(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082785
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】トレーラ用補助脚
(51)【国際特許分類】
B60S 9/08 20060101AFI20240613BHJP
B62D 63/06 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B60S9/08
B62D63/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196886
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000229357
【氏名又は名称】日本トレクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 真一朗
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026EA05
3D026EA26
3D026EA36
3D026EA43
(57)【要約】
【課題】トレーラ用補助脚の安全性をより高める。
【解決手段】トレーラ用補助脚は、トレーラに設けられる本体部と、前記本体部に伸縮可能に設けられる脚部と、を備える補助脚ユニットを有する。前記トレーラ用補助脚は、前記補助脚ユニットに設けられて前記脚部に連結されており、アクチュエータが連結される第1回転体と、手動ハンドルが着脱可能に連結される第2回転体と、を備える駆動機構を有する。前記トレーラ用補助脚は、前記手動ハンドルの位置を検出する検出部を備え、前記手動ハンドルの位置が前記第2回転体に連結される連結位置である場合に、前記アクチュエータの駆動を禁止する制御装置を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラに設けられるトレーラ用補助脚であって、
前記トレーラに設けられる本体部と、前記本体部に伸縮可能に設けられる脚部と、を備える補助脚ユニットと、
前記補助脚ユニットに設けられて前記脚部に連結されており、アクチュエータが連結される第1回転体と、手動ハンドルが着脱可能に連結される第2回転体と、を備える駆動機構と、
前記手動ハンドルの位置を検出する検出部を備え、前記手動ハンドルの位置が前記第2回転体に連結される連結位置である場合に、前記アクチュエータの駆動を禁止する制御装置と、
を有する、トレーラ用補助脚。
【請求項2】
請求項1に記載のトレーラ用補助脚において、
前記検出部は、近接センサである、
トレーラ用補助脚。
【請求項3】
請求項1に記載のトレーラ用補助脚において、
前記アクチュエータは、電動モータであり、
前記制御装置は、前記電動モータを電源から切り離すことで、前記電動モータの駆動を禁止する、
トレーラ用補助脚。
【請求項4】
請求項1に記載のトレーラ用補助脚において、
前記トレーラの車幅方向の中心よりも一方側に配置され、前記アクチュエータを駆動する際に作業者に操作される操作部、を有しており、
前記補助脚ユニットとして、前記トレーラの車幅方向の中心よりも一方側に配置される第1補助脚ユニットと、前記トレーラの車幅方向の中心よりも他方側に配置される第2補助脚ユニットと、があり、
前記手動ハンドルが着脱可能に連結される前記第2回転体は、前記第1補助脚ユニットに設けられている、
トレーラ用補助脚。
【請求項5】
請求項1に記載のトレーラ用補助脚において、
前記手動ハンドルは、前記補助脚ユニットに設けられており、前記第2回転体に連結される連結位置と、前記第2回転体から分離される分離位置と、に移動可能である、
トレーラ用補助脚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラに設けられるトレーラ用補助脚に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに牽引されるトレーラとして、カプラに連結されるキングピンを備えたセミトレーラがある。また、セミトレーラには、ランディングギヤ等と呼ばれるトレーラ用補助脚が設けられている。さらに、トレーラ用補助脚として、手動ハンドルおよび電動モータを備えた補助脚が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動モータ等の動力源を用いてトレーラ用補助脚を作動させる際には、周囲の安全を確保することが重要である。つまり、トレーラ用補助脚の安全性をより高めることが求められている。
【0005】
本発明の目的は、トレーラ用補助脚の安全性をより高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るトレーラ用補助脚は、トレーラに設けられるトレーラ用補助脚であって、前記トレーラに設けられる本体部と、前記本体部に伸縮可能に設けられる脚部と、を備える補助脚ユニットと、前記補助脚ユニットに設けられて前記脚部に連結されており、アクチュエータが連結される第1回転体と、手動ハンドルが着脱可能に連結される第2回転体と、を備える駆動機構と、前記手動ハンドルの位置を検出する検出部を備え、前記手動ハンドルの位置が前記第2回転体に連結される連結位置である場合に、前記アクチュエータの駆動を禁止する制御装置と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、トレーラ用補助脚の安全性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】トラクタおよびセミトレーラの連結状態を示す図である。
【
図2】トラクタおよびセミトレーラの連結過程を示す図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿ってトレーラ用補助脚を示す断面図である。
【
図4】
図2のIII-III線に沿ってトレーラ用補助脚を示す断面図である。
【
図5】(A)は
図3の矢印A方向からトレーラ用補助脚を示す図であり、(B)は
図4の矢印B方向からトレーラ用補助脚を示す図である。
【
図6】トレーラ用補助脚の内部構造の一例を簡単に示す図である。
【
図9】本発明の他実施形態であるトレーラ用補助脚を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一または実質的に同一の構成や要素については、同一の符号を付して繰り返しの説明を省略する。
【0010】
<セミトレーラの概要>
図1はトラクタ100およびセミトレーラ10の連結状態を示す図であり、
図2はトラクタ100およびセミトレーラ10の連結過程を示す図である。
図1および
図2に示すように、トラクタ100に連結されるセミトレーラ(トレーラ)10は、フレーム11とこれに搭載される箱形荷台12とを有している。フレーム11には、車輪13を備えた2本の車軸14が設けられている。また、フレーム11には、本発明の一実施形態であるトレーラ用補助脚15が設けられるとともに、トラクタ100のカプラ101に連結可能なキングピン16が設けられている。さらに、箱形荷台12の下部には、車幅方向の両端に位置するサイドガード17が設けられている。
【0011】
<トレーラ用補助脚>
図3および
図4は、
図2のIII-III線に沿ってトレーラ用補助脚15を示す断面図である。
図3には手動ハンドル20を連結位置に移動させた状態が示されており、
図4には手動ハンドル20を分離位置に移動させた状態が示されている。
図5(A)は
図3の矢印A方向からトレーラ用補助脚15を示す図であり、
図5(B)は
図4の矢印B方向からトレーラ用補助脚15を示す図である。
【0012】
図3および
図4に示すように、セミトレーラ10のフレーム11は、車体の前後方向に延びる一対のメインレール21,22と、車体の車幅方向に延びる複数のクロスメンバ23と、を有している。トレーラ用補助脚15は、メインレール21にマウント部材21aを介して取り付けられる第1補助脚ユニット(補助脚ユニット)30と、メインレール22にマウント部材22aを介して取り付けられる第2補助脚ユニット(補助脚ユニット)40と、を有している。第1補助脚ユニット30は、セミトレーラ10の車幅方向の中心C1よりも左側(一方側)に配置されており、第2補助脚ユニット40は、セミトレーラ10の車幅方向の中心C1よりも右側(他方側)に配置されている。また、第1補助脚ユニット30と第2補助脚ユニット40とは、連結部材24を介して互いに連結されている。さらに、連結部材24とクロスメンバ23とは、ブレース25,26を介して互いに連結されており、連結部材24とメインレール21,22とは、ブレース27,28を介して互いに連結されている。
【0013】
図3、
図4および
図5に示すように、第1補助脚ユニット30は、メインレール21にマウント部材21aを介して取り付けられる角筒状の本体部31と、本体部31に対して伸縮可能に設けられる角筒状の脚部32と、を有している。第1補助脚ユニット30の脚部32は、本体部31に収容されて路面Sから離れる格納位置と、本体部31から伸び出て路面Sに接触する接地位置(矢印α)と、に移動可能である。同様に、第2補助脚ユニット40は、メインレール22にマウント部材22aを介して取り付けられる角筒状の本体部41と、本体部41に対して伸縮可能に設けられる角筒状の脚部42と、を有している。第2補助脚ユニット40の脚部42は、本体部41に収容されて路面Sから離れる格納位置と、本体部41から伸び出て路面Sに接触する接地位置(矢印α)と、に移動可能である。
【0014】
また、第1補助脚ユニット30の本体部31には、双方の脚部32,42を手動で伸縮させるため、クランク状に折り曲げられた形状を備えた手動ハンドル20が設けられている。後述するように、本体部31には駆動軸33が設けられており、この駆動軸33には回転可能に筒状のカラー69が取り付けられている。また、カラー69には回動可能に手動ハンドル20が取り付けられている。このように、第1補助脚ユニット30に設けられる手動ハンドル20は、
図3に示される連結位置と、
図4に示される分離位置と、に移動可能となっている。
【0015】
図3および
図5(A)に示すように、作業者が手動ハンドル20を連結位置に移動させることにより、手動ハンドル20と駆動軸33との端部を互いに噛み合わせることができ、手動ハンドル20は駆動軸33に対して連結される。一方、
図4および
図5(B)に示すように、作業者が手動ハンドル20を分離位置に移動させることにより、手動ハンドル20と駆動軸33との噛み合いを外すことができ、手動ハンドル20は駆動軸33から分離される。このように、手動ハンドル20は、駆動軸33に対して着脱可能に連結されている。なお、手動ハンドル20を分離位置に移動させる際には、本体部31のフック34に対して手動ハンドル20が掛けられている。
【0016】
図3および
図4に示すように、第2補助脚ユニット40の本体部41には、双方の脚部32,42を自動で伸縮させるため、電動モータ(アクチュエータ)43を備えたモータユニット44が設けられている。なお、
図2に示すように、セミトレーラ10とトラクタ100との連結を解除する際には、手動ハンドル20や電動モータ43を回転させることにより、各補助脚ユニット30,40の脚部32,42は接地位置に伸ばされている。これにより、セミトレーラ10からトラクタ100を切り離した場合であっても、セミトレーラ10の姿勢を維持することができる。
【0017】
<トレーラ用補助脚の駆動機構>
図6はトレーラ用補助脚15の内部構造の一例を簡単に示す図である。
図6に示すように、第1補助脚ユニット30および第2補助脚ユニット40には、手動ハンドル20や電動モータ43からの動力を脚部32,42に伝達するため、歯車列やネジ軸等からなる駆動機構50が設けられている。つまり、第1補助脚ユニット30および第2補助脚ユニット40には、脚部32,42に連結される駆動機構50が設けられている。以下、トレーラ用補助脚15の駆動機構50について説明する。
【0018】
第1補助脚ユニット30に設けられる駆動機構50は、駆動機構50を構成する回転体として、ネジ軸35、大傘歯車37a、小傘歯車37b、回転軸38、従動歯車39a、駆動歯車39bおよび駆動軸33を有している。第1補助脚ユニット30の本体部31にはネジ軸35が回転可能に支持されており、本体部31に収容される脚部32にはネジ軸35に係合するナット36が固定されている。また、ネジ軸35の上端部には大傘歯車37aが固定されている。大傘歯車37aには小傘歯車37bが噛み合っており、小傘歯車37bには回転軸38を介して従動歯車39aが連結されている。さらに、従動歯車39aには駆動歯車39bが噛み合っており、駆動歯車39bには駆動軸(第2回転体)33が連結されている。この駆動軸33は本体部31から外部に突出している。前述したように、手動ハンドル20を連結位置に移動させることにより、駆動軸33の先端部に対して手動ハンドル20を連結することができ、作業者が手動ハンドル20を操作することで本体部31の駆動歯車39bを回転させることができる。このように、駆動歯車39bを回転させてネジ軸35を回転させることにより、ネジ軸35に沿って脚部32を伸縮させることができる。
【0019】
第2補助脚ユニット40に設けられる駆動機構50は、駆動機構50を構成する回転体として、ネジ軸45、大傘歯車47a、小傘歯車47b、回転軸48、従動歯車49aおよび駆動歯車49bを有している。第2補助脚ユニット40の本体部41にはネジ軸45が回転可能に支持されており、本体部41に収容される脚部42にはネジ軸45に係合するナット46が固定されている。また、ネジ軸45の上端部には大傘歯車47aが固定されている。大傘歯車47aには小傘歯車47bが噛み合っており、小傘歯車47bには回転軸48を介して従動歯車49aが連結されている。さらに、従動歯車49aには駆動歯車49bが噛み合っており、駆動歯車(第1回転体)49bには電動モータ43のモータ軸51が連結されている。本体部41のモータユニット44には、マイクロコントローラやインバータ回路等からなるコントローラ52が組み込まれている。コントローラ52に対して操作ボタン(操作部)53から操作信号が送信されると、電動モータ43を回転駆動して本体部41の駆動歯車49bを回転させることができる。このように、駆動歯車49bを回転させてネジ軸45を回転させることにより、ネジ軸45に沿って脚部42を伸縮させることができる。なお、
図3および
図5に示すように、作業者によって操作される操作ボタン53は第1補助脚ユニット30の本体部31に設けられている。
【0020】
また、第1補助脚ユニット30の小傘歯車37bと第2補助脚ユニット40の小傘歯車47bとは、駆動機構50の回転軸54を介して互いに連結されている。これにより、小傘歯車37bと小傘歯車47bとを一体に回転させることができ、脚部32,42の伸縮状態を同期させることができる。つまり、手動ハンドル20を操作することにより、双方の脚部32,42を同期させつつ伸縮させることが可能である。また、電動モータ43を駆動することにより、双方の脚部32,42を同期させつつ伸縮させることが可能である。
【0021】
<トレーラ用補助脚の制御装置>
続いて、電動モータ43を制御する制御装置60について説明する。
図7および
図8は制御装置60の一例を示す図である。
図7に示すように、制御装置60は、電源ソケット61、サーキットプロテクタ62、電源リレー63および近接センサ64を有している。図示する電源リレー63は、ノーマルオープンタイプの電源リレーである。つまり、電源リレー63は、電磁コイル63aの非通電時に開放状態に作動する一方、電磁コイル63aの通電時に接続状態に作動する。また、図示する近接センサ(検出部)64は、ノーマルクローズタイプの近接センサである。つまり、近接センサ64は、検出領域内に金属物体が存在する場合に開放状態に作動する一方、検出領域内に金属物体が存在しない場合に接続状態に作動する。なお、近接センサ64は、近接スイッチとも呼ばれている。
【0022】
図1に示すように、セミトレーラ10の前端に設けられる電源ソケット61には、トラクタ100から延びる電源ケーブル102の電源プラグ103が接続されている。このように、電源ソケット61と電源プラグ103とを接続することにより、セミトレーラ10にはトラクタ100のバッテリ(電源)104が接続された状態となる。
図7に示すように、電源ソケット61の正極ライン65は、過電流保護用の遮断器であるサーキットプロテクタ62、およびフェイルセーフ用の継電器である電源リレー63を介して、コントローラ52の正極ライン66に接続されている。また、電源ソケット61の負極ライン67は、コントローラ52の負極ライン68に接続されている。そして、電源リレー63の電磁コイル63aの一端部は、近接センサ64を介して正極ライン65に接続されており、電源リレー63の電磁コイル63aの他端部は、負極ライン67,68に接続されている。
【0023】
ここで、
図3および
図4に示すように、近接センサ64は箱形荷台12の下部に取り付けられており、近接センサ64は第1補助脚ユニット30の近傍に配置されている。つまり、
図4に示すように、手動ハンドル20が分離位置に配置されている場合には、近接センサ64の検出領域Xから手動ハンドル20が外れるため、ノーマルクローズタイプの近接センサ64は接続状態に作動する。これにより、
図7に示すように、電源リレー63の電磁コイル63aに対して通電が為されるため、ノーマルオープンタイプの電源リレー63は接続状態に作動する。つまり、電源ソケット61およびコントローラ52の正極ライン65,66が互いに接続されるため、電源ソケット61からコントローラ52に電力を供給することができ、操作ボタン53の操作に応じて電動モータ43を回転駆動させることができる。このように、電源リレー63が接続状態に作動する状況とは、電動モータ43に対してバッテリ104が接続される状況である。
【0024】
一方、
図3に示すように、手動ハンドル20が連結位置に配置されている場合には、近接センサ64の検出領域Xに手動ハンドル20が含まれるため、ノーマルクローズタイプの近接センサ64は開放状態に作動する。これにより、
図8に示すように、電源リレー63の電磁コイル63aに対する通電が遮断されるため、ノーマルオープンタイプの電源リレー63は開放状態に作動する。つまり、電源ソケット61およびコントローラ52の正極ライン65,66が互いに切り離されるため、電源ソケット61からコントローラ52に電力を供給することが不可能となる。すなわち、制御装置60は、近接センサ64によって手動ハンドル20が連結位置であると検出された場合に、操作ボタン53による電動モータ43の回転駆動を禁止する。このように、電源リレー63が開放状態に作動する状況とは、電動モータ43からバッテリ104が切り離される状況である。
【0025】
前述したように、第1補助脚ユニット30の駆動軸33に手動ハンドル20が接続された状態のもとでは、電動モータ43からバッテリ104が切り離されることから、操作ボタン53による電動モータ43の回転駆動が禁止される。すなわち、電動モータ43の回転駆動を禁止していない場合には、電動モータ43によって手動ハンドル20を回転させてしまう虞があるが、この手動ハンドル20の意図しない回転を防止することができる。このように、手動ハンドル20の意図しない回転を防止することができ、トレーラ用補助脚15の安全性をより高めることができる。
【0026】
なお、前述したように、駆動軸33にはカラー69を介して手動ハンドル20が取り付けられている。このため、手動ハンドル20が分離位置に配置されている場合に、手動ハンドル20に対して駆動軸33は回転可能である。これにより、電動モータ43によって駆動軸33を回転させた場合であっても、駆動軸33に対してカラー69および手動ハンドル20は空転するため、駆動軸33から手動ハンドル20に回転力が伝達されることはない。
【0027】
<実施形態2>
前述の説明では、第1補助脚ユニット30に手動ハンドル20を設けるとともに、第2補助脚ユニット40に電動モータ43を設けているが、これに限られることはない。例えば、第1補助脚ユニット30に手動ハンドル20と電動モータ43との双方を設けても良く、第2補助脚ユニット40に手動ハンドル20と電動モータ43との双方を設けても良い。ここで、
図9は本発明の他実施形態であるトレーラ用補助脚70を示す図である。なお、
図9において、
図6に示した部材や部品と同様の部材や部品については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図9に示すように、トレーラ用補助脚70は、第1補助脚ユニット80および第2補助脚ユニット90を有している。第1補助脚ユニット80は、セミトレーラ10の車幅方向の中心C1よりも左側(一方側)に配置されている。第1補助脚ユニット80は、前述のマウント部材21aに取り付けられる角筒状の本体部81と、本体部81に対して伸縮可能に設けられる角筒状の脚部82と、を有している。また、第2補助脚ユニット90は、セミトレーラ10の車幅方向の中心C1よりも右側(他方側)に配置されている。第2補助脚ユニット90は、前述のマウント部材22aに取り付けられる角筒状の本体部91と、本体部91に対して伸縮可能に設けられる角筒状の脚部92と、を有している。そして、第1補助脚ユニット80および第2補助脚ユニット90には、手動ハンドル20や電動モータ43からの動力を脚部82,92に伝達するため、歯車列やネジ軸等からなる駆動機構71が設けられている。つまり、第1補助脚ユニット80および第2補助脚ユニット90には、脚部82,92に連結される駆動機構71が設けられている。
【0029】
第1補助脚ユニット80に設けられる駆動機構71は、駆動機構71を構成する回転体として、ネジ軸35、大傘歯車37a、小傘歯車37b、回転軸38、従動歯車39a、駆動歯車39b、駆動軸33および駆動歯車83を有している。第1補助脚ユニット80の本体部81にはネジ軸35が回転可能に支持されており、本体部81に収容される脚部82にはネジ軸35に係合するナット36が固定されている。また、ネジ軸35の上端部には大傘歯車37aが固定されている。大傘歯車37aには小傘歯車37bが噛み合っており、小傘歯車37bには回転軸38を介して従動歯車39aが連結されている。さらに、従動歯車39aには駆動歯車39bが噛み合っており、駆動歯車39bには駆動軸(第2回転体)33が連結されている。
【0030】
駆動軸33は本体部81から外部に突出しており、駆動軸33には手動ハンドル20が着脱可能に連結されている。つまり、手動ハンドル20を連結位置に移動させることにより、駆動軸33に対して手動ハンドル20を連結することが可能である。一方、手動ハンドル20を分離位置に移動させることにより、駆動軸33から手動ハンドル20を分離することが可能である。また、第1補助脚ユニット80の本体部81には、電動モータ43を備えたモータユニット44が設けられている。本体部81の従動歯車39aには駆動歯車83が噛み合っており、駆動歯車83(第1回転体)には電動モータ43のモータ軸51が連結されている。
【0031】
第2補助脚ユニット90に設けられる駆動機構71は、駆動機構71を構成する回転体として、ネジ軸45、大傘歯車47aおよび小傘歯車47bを有している。第2補助脚ユニット90の本体部91にはネジ軸45が回転可能に支持されており、本体部91に収容される脚部92にはネジ軸45に係合するナット46が固定されている。また、ネジ軸45の上端部には大傘歯車47aが固定されており、大傘歯車47aには小傘歯車47bが噛み合っている。また、小傘歯車47bには回転軸54を介して第1補助脚ユニット80側の小傘歯車37bが連結されている。つまり、第1補助脚ユニット80と第2補助脚ユニット90とは、駆動機構71の回転軸54を介して互いに連結されている。
【0032】
このように、第1補助脚ユニット80に手動ハンドル20と電動モータ43との双方を設けた場合であっても、前述のトレーラ用補助脚15と同様にトレーラ用補助脚70を機能させることができる。すなわち、制御装置60は、近接センサ64によって手動ハンドル20が連結位置であると検出された場合に、操作ボタン53による電動モータ43の回転駆動を禁止する。これにより、手動ハンドル20の意図しない回転を防止することができ、トレーラ用補助脚70の安全性をより高めることができる。
【0033】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、手動ハンドル20の位置を検出する検出部として、磁界を利用する磁気型や高周波発振型の近接センサを用いても良く、電界を利用する静電容量型の近接センサを用いても良い。また、手動ハンドル20の位置を検出する検出部として、近接センサ64等の非接触センサに限られることはなく、手動ハンドル20に接触することで連結位置であることを検出するリミットスイッチを用いても良い。また、図示する手動ハンドル20は金属製のハンドルであるが、これに限られることはなく、手動ハンドル20に金属以外の材料を用いても良い。前述の説明では、駆動軸33にカラー69を介して手動ハンドル20を取り付けているが、これに限られることはなく、駆動軸33から手動ハンドル20の取り外しが可能な構造であっても良い。つまり、第1補助脚ユニット30,80に手動ハンドル20を設けることなく、第1補助脚ユニット30,80に対して脱着可能な手動ハンドルを採用しても良い。
【0034】
図示する例では、第1補助脚ユニット30と第2補助脚ユニット40とを回転軸54を介して互いに連結し、第1補助脚ユニット80と第2補助脚ユニット90とを回転軸54を介して互いに連結しているが、これに限られることはない。つまり、第1補助脚ユニット30と第2補助脚ユニット40とを互いに切り離しても良く、第1補助脚ユニット80と第2補助脚ユニット90とを互いに切り離しても良い。図示する例では、フレーム11の前後方向の中央よりも前方に補助脚ユニット30,40を設けているが、これに限られることはなく、フレーム11の如何なる位置に補助脚ユニット30,40を設けても良い。例えば、フレーム11の後部に補助脚ユニット30,40を設けても良く、フレーム11の前部と後部との双方に補助脚ユニット30,40を設けても良い。
【0035】
前述の説明では、ノーマルクローズタイプの近接センサ64を用いるとともに、ノーマルオープンタイプの電源リレー63を用いているが、これに限られることはない。例えば、ノーマルオープンタイプの近接センサを用いるとともに、ノーマルクローズタイプの電源リレーを用いても良い。前述の説明では、制御装置60にサーキットプロテクタ62を設けているが、これに限られることはなく、サーキットプロテクタ62に代えてサーキットブレーカやヒューズを設けても良い。前述の説明では、トラクタ100のバッテリ104から電動モータ43に電力を供給しているが、これに限られることはなく、セミトレーラ10に搭載されるバッテリから電動モータ43に電力を供給しても良い。
【0036】
前述の説明では、電動モータ43の操作部として、ボタン形式の操作部である操作ボタン53を用いているが、これに限られることはない。例えば、電動モータ43の操作部として、レバー形式やダイヤル形式等の操作部を用いても良い。また、図示する例では、操作ボタン53を第1補助脚ユニット30に取り付けているが、これに限られることはなく、セミトレーラ10の他の部位に操作ボタン53を取り付けても良い。例えば、操作ボタン53を、箱形荷台12、メインレール22、マウント部材22a、サイドガード17、連結部材24、クロスメンバ23、ブレース25、或いはブレース27に取り付けても良い。前述の説明では、アクチュエータとして電動モータ43を用いているが、ことに限られることはなく、アクチュエータとしてエアモータ等を用いても良い。なお、図示するセミトレーラ10は、バントレーラであるが、これに限られることはない。トレーラ用補助脚15が適用されるトレーラとしては、例えば、平床トレーラ、コンテナトレーラ、バルクトレーラ、タンクトレーラ、車両運搬トレーラ、低床トレーラ或いはダンプトレーラであっても良い。
【符号の説明】
【0037】
10 セミトレーラ(トレーラ)
15 トレーラ用補助脚
20 手動ハンドル
30 第1補助脚ユニット(補助脚ユニット)
31 本体部
32 脚部
33 駆動軸(第2回転体)
40 第2補助脚ユニット(補助脚ユニット)
41 本体部
42 脚部
43 電動モータ(アクチュエータ)
49b 駆動歯車(第1回転体)
50 駆動機構
53 操作ボタン(操作部)
60 制御装置
64 近接センサ(検出部)
70 トレーラ用補助脚
71 駆動機構
80 第1補助脚ユニット(補助脚ユニット)
83 駆動歯車(第1回転体)
90 第2補助脚ユニット(補助脚ユニット)
104 バッテリ(電源)
C1 中心