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特開2024-82788局所皮弁デザインを支援するプログラムおよび装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082788
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】局所皮弁デザインを支援するプログラムおよび装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240613BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196890
(22)【出願日】2022-12-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (行為1)学術集会での発表、令和4年5月7日、大阪市立大学形成外科同門会、ホテルモントレグラスミア大阪(大阪府大阪市浪速区湊町1丁目2-3) (行為2)アプリストアで公開、令和4年4月16日、https://apps.apple.com/jp/app/muze/id1610558812 (行為3)刊行物による公開、令和4年11月25日(令和4年12月10日発行)、日本シミュレーション外科学会会誌、第32回日本シミュレーション外科学会プログラム・抄録第30巻第1号 71-72頁、日本シミュレーション外科学会
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】川田 恭平
(57)【要約】
【課題】皮弁デザインを容易に行うための補助となるプログラムおよび装置を提供する。
【解決手段】局所皮弁の術前画像と術後画像とを切替表示することにより局所皮弁デザインを支援するプログラムは、患者画像12を読み込む処理と、ユーザが選択した皮弁パターン画像を、前記患者画像上のユーザが指定した位置に重ね合わせて術前画像として表示する処理と、皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像とが対応付けて記憶されているパターン記憶部から、前記ユーザが選択した皮弁パターン画像に対応する予測縫合線パターン画像を抽出し、抽出した予測縫合線パターン画像14bを、前記患者画像上で、前記術前画像において前記皮弁パターン画像が配置された位置に重ね合わせて、術後画像として表示する処理と、をコンピュータのプロセッサに実行させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所皮弁の術前画像と術後画像とを切替表示することにより局所皮弁デザインを支援するプログラムであって、
患者画像を読み込む処理と、
ユーザが選択した皮弁パターン画像を、前記患者画像上のユーザが指定した位置に重ね合わせて術前画像として表示する処理と、
皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像とが対応付けて記憶されているパターン記憶部から、前記ユーザが選択した皮弁パターン画像に対応する予測縫合線パターン画像を抽出し、抽出した予測縫合線パターン画像を、前記患者画像上で、前記術前画像において前記皮弁パターン画像が配置された位置に重ね合わせて、術後画像として表示する処理と、
をコンピュータのプロセッサに実行させる命令を含む、プログラム。
【請求項2】
前記術前画像に表示されている前記皮弁パターン画像に対して、移動、反転、拡大または縮小、および、回転のうち少なくとも一つを含む操作をユーザから受けると、
受け付けた操作に従った画像処理を前記皮弁パターン画像に対して行い、前記画像処理後の皮弁パターン画像を前記患者画像に重ね合わせて術前画像の表示を更新する、処理を前記プロセッサに実行させる命令をさらに含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記術前画像の表示を更新した後に、術後画像への切替指示をユーザから受けると、
前記皮弁パターン画像に対して行ったものと同じ画像処理を前記予測縫合線パターン画像に対して行い、前記画像処理後の予測縫合線パターン画像を前記患者画像に重ね合わせて術後画像として表示する、処理を前記プロセッサに実行させる命令をさらに含む、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記術後画像に表示されている前記予測縫合線パターン画像に対して、移動、反転、拡大または縮小、および、回転のうち少なくとも一つを含む操作をユーザから受けると、
受け付けた操作に従った画像処理を前記予測縫合線パターン画像に対して行い、
前記画像処理後の予測縫合線パターン画像を前記患者画像に重ね合わせて術後画像の表示を更新する、処理を前記プロセッサに実行させる命令をさらに含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記術後画像の表示を更新した後に、術前画像への切替指示をユーザから受けると、
前記予測縫合線パターン画像に対して行ったものと同じ画像処理を前記皮弁パターン画像に対して行い、前記画像処理後の皮弁パターン画像を前記患者画像に重ね合わせて術前画像として表示する、処理を前記プロセッサに実行させる命令をさらに含む、請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
皮弁パターン画像と、これに対応する予測縫合線パターン画像とを、前記パターン記憶部へ追加登録する処理を前記プロセッサに実行させる命令をさらに含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
局所皮弁の術前画像と術後画像とを切替表示することにより局所皮弁デザインを支援する装置であって、
患者画像を読み込む処理と、
ユーザが選択した皮弁パターン画像を、前記患者画像上のユーザが指定した位置に重ね合わせて術前画像として表示する処理と、
皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像とが対応付けて記憶されているパターン記憶部から、前記ユーザが選択した皮弁パターン画像に対応する予測縫合線パターン画像を抽出し、抽出した予測縫合線パターン画像を、前記患者画像上で、前記術前画像において前記皮弁パターン画像が配置された位置に重ね合わせて、術後画像として表示する処理と、
を実行するプロセッサを備えた、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所皮弁のデザインを支援するプログラムと装置に関する。
【背景技術】
【0002】
局所皮弁形成術は、腫瘍切除後等の皮膚欠損の閉鎖のために形成外科で使用される技術であり、欠損部に隣接する皮膚に切れ目(切開線)を入れ、皮膚を引っ張って移動させて欠損部を覆うことにより、欠損部を修復する。局所皮弁は、主に、顔のホクロや腫瘍等を摘出した後の、比較的大きな欠損部を修復するために利用される。皮膚の移動や縫合による変形を最小限にするため、すなわち術後の痕跡をできる限り目立たなくするための切開線のデザイン(皮弁デザイン)については、多種多様な提案がなされている(例えば下記の非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】久保盾貴他 「幾何学的局所皮弁使用の実際」 日本創傷外科学会会誌「創傷」2012年3巻2号 p52-57
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、術前のカンファレンスにおいて、ペーパークラフトを利用して皮弁デザインを検討することも試みられている。しかし、ペーパークラフトでは、紙が破れやすい、保存ができない、紙は皮膚とは異なり伸縮性が無いので術前・術後の状態を正確には捉えにくい、デザイン決定まで試行錯誤を繰り返す場合は紙加工の手間がかかる、といった課題があった。本願発明者らは、このような課題を踏まえ、皮弁デザインを容易に行うための補助となる有用なアプリケーションプログラムを開発した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、以下に開示するプログラムは、局所皮弁の術前画像と術後画像とを切替表示することにより局所皮弁デザインを支援するプログラムであって、
患者画像を読み込む処理と、
ユーザが選択した皮弁パターン画像を、前記患者画像上のユーザが指定した位置に重ね合わせて術前画像として表示する処理と、
皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像とが対応付けて記憶されているパターン記憶部から、前記ユーザが選択した皮弁パターン画像に対応する予測縫合線パターン画像を抽出し、抽出した予測縫合線パターン画像を、前記患者画像上で、前記術前画像において前記皮弁パターン画像が配置された位置に重ね合わせて、術後画像として表示する処理と、
をコンピュータのプロセッサに実行させる命令を含む。
【0006】
また、以下に開示する装置は、局所皮弁の術前画像と術後画像とを切替表示することにより局所皮弁デザインを支援する装置であって、
患者画像を読み込む処理と、
ユーザが選択した皮弁パターン画像を、前記患者画像上のユーザが指定した位置に重ね合わせて術前画像として表示する処理と、
皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像とが対応付けて記憶されているパターン記憶部から、前記ユーザが選択した皮弁パターン画像に対応する予測縫合線パターン画像を抽出し、抽出した予測縫合線パターン画像を、前記患者画像上で、前記術前画像において前記皮弁パターン画像が配置された位置に重ね合わせて、術後画像として表示する処理と、
を実行するプロセッサを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、皮弁デザインを容易に行うための補助となるプログラムおよび装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態において、スマートフォンのディスプレイに表示される初期画面の一例を示す模式図である。
図2図2は、患者画像を選択するための画面を示す模式図である。
図3図3は、患者画像が読み込まれた画面の状態を示す模式図である。
図4図4は、図3の画面の下部をスライドさせて、異なる皮弁パターンを表示させた状態を示す模式図である。
図5図5は、選択した皮弁パターンを患者画像に重ね合わせた状態を示す模式図である。
図6図6は、図5の画面から、皮弁パターンを反転、縮小、回転させた後の状態を示す模式図である。
図7図7は、図6の画面から「術後」の予測縫合線パターンを表示する画面に切り替えた状態を示す模式図である。
図8図8は、本発明の一実施形態にかかるアプリケーションプログラムの機能的構成を示すブロック図である。
図9A図9Aは、皮弁パターンとそれに対応する予測縫合線パターンとの対応の一例である。
図9B図9Bは、皮弁パターンとそれに対応する予測縫合線パターンとの対応の一例である。
図9C図9Cは、皮弁パターンとそれに対応する予測縫合線パターンとの対応の一例である。
図9D図9Dは、皮弁パターンとそれに対応する予測縫合線パターンとの対応の一例である。
【0009】
以下、本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。さらに、以下で参照する図面においては、実際の画像を線画に置き換えて表現している。
【0010】
本実施形態にかかるプログラムは、スマートフォンやタブレット等にダウンロードして使用されるアプリケーションプログラム(以下、「AP」と略称する。)である。最初に、このAPの動作について説明する。
【0011】
[APの動作]
図1は、スマートフォンにダウンロードされたAPが、スマートフォンのディスプレイ10に表示する初期画面の一例である。図1に示すように、画面の右側には、操作ボタンとして、「反転」と表記された反転ボタン11a、上下方向矢印と共に「拡大・縮小」と表記された縦方向拡大縮小ボタン11b、左右方向矢印と共に「拡大・縮小」と表記された横方向拡大縮小ボタン11c、「リセット」と表記されたリセットボタン11d、図1では「術前」と表記された術前術後切替ボタン11e、および、「患者様」と表記された患者画像選択ボタン11fが表示されている。画面の下部には、局所皮弁のパターン例として、皮弁パターン13a,13bが表示されている。本例示において、操作ボタンが右側、皮弁パターン13a,13bが下側に表示されているが、操作ボタンが下側、皮弁パターンが右側であってもよく、場所は特に限定されない。
【0012】
この初期画面において患者画像選択ボタン11fをタッチすると、スマートフォンからアクセス可能な画像フォルダを選択することができ、さらに、選択された画像フォルダに記憶されている画像がディスプレイ10に一覧表示される(例えば、図2参照)。なお、画像フォルダは、スマートフォンに内蔵されたメモリ上の画像フォルダであっても良いし、スマートフォンからアクセス可能な外部(例えばクラウド上)の画像フォルダであっても良い。図2は、スマートフォンで最近撮影された画像が格納された「Recents」という名称の画像フォルダが選択され、そこに記憶されている画像が一覧表示された状態を示す。ここで、ユーザ(例えば医師)は、いずれかの画像をタッチして選択することができる。例えば、図2の一覧表示のうち右下の画像が選択された場合、図3に示すように、選択された画像が、患者画像12としてAPの画面に表示される。
【0013】
上述したように、画面の下部には皮弁パターン13a,13bが表示されている。図3では、皮弁パターン13aはZ形成の切開線、皮弁パターン13bはDufourmentalの切開線、をそれぞれ表している。皮弁パターン13a,13bが表示されている領域は、横方向にドラッグすることでスクロール操作することができ、例えば図4に示すように、他の皮弁パターンを表示させることができる。図4に示す皮弁パターン13cは、Limberg原法のパターン、皮弁パターン13dは回転皮弁のパターン、をそれぞれ表す。なお、APで使用できる皮弁パターンはこれらの具体例に限定されない。皮弁パターン13a~13dの全てを使用しなくても良いし、他の任意の皮弁パターンをあらかじめ登録することができる。または、ユーザが自分で皮弁パターンを追加登録できるようにしても良い。なお、以降の説明において、皮弁パターン13a~13dを総称的に指す場合は、「皮弁パターン13」と称する。
【0014】
ユーザは、画面下部に表示されている皮弁パターン13a~13dのいずれかをタッチして選択し、ドラッグして患者画像12に重ね合わせる。図5は、ユーザが皮弁パターン13bを選択して患者画像12に重ねた状態を示す。この例では、皮弁パターン13bが選択されると他の皮弁パターンは非表示となるが、他の皮弁パターンを表示させたままとしても良い。
【0015】
皮弁パターン13における切開線以外の部分は、その背景(皮弁パターン13が重ねられた患者画像12)が視認できる透過画像であっても良いし、背景は視認できない非透過画像であっても良い。皮弁パターン13における切開線以外の部分を透過画像とする場合、その透過率は任意である。また、前記透過率をユーザが調整可能としても良い。透過率を低めにすると、切開線を視認し易いという利点がある。その反対に、透過率を高めにすると、切開線と背景との識別がやや難しくなるが、皮弁を形成する箇所やその周囲における患者の肌の状況を考慮し易くなる、という利点がある。また、切開線における線自体の太さや透明度も適宜変更可能であってもよく、本明細書で記載した皮弁パターン13の効果を有するものであれば特に限定されない。
【0016】
ここで、ユーザは、縦方向拡大縮小ボタン11bをタッチしてからピンチアウトまたはピンチイン操作を行うことにより、皮弁パターン13bを縦方向に拡大または縮小することができる。また、横方向拡大縮小ボタン11cをタッチしてからピンチアウトまたはピンチイン操作を行うことにより、皮弁パターン13bを横方向に拡大または縮小することができる。縦方向の拡大・縮小と横方向の拡大・縮小とを、任意に組み合わせることが可能である。例えば、縦方向拡大縮小ボタン11bをタッチしてから皮弁パターン13bを縦方向にx倍に拡大した後、横方向拡大縮小ボタン11bをタッチすると、縦方向にx倍された皮弁パターン13bを横方向に任意の倍率で拡大・縮小することができる。この例では、縦方向と横方向それぞれで拡大・縮小できる形態であるが、縦方向と横方向を同時に拡大・縮小することができる形態であってもよい。
【0017】
また、皮弁パターン13bを二本の指でタッチしながら回転させることにより、皮弁パターン13bを任意の角度に回転させることができる。さらに、反転ボタン11aをタッチすると、皮弁パターン13bを裏表に反転させることができる。
【0018】
このように、反転ボタン11a、縦方向拡大縮小ボタン11b、横方向拡大縮小ボタン11cとタッチスクリーン操作とを組み合わせることにより、皮弁パターン13bを、患者画像12上の任意の位置に、任意の角度および任意の拡大・縮小率で配置することができる。例えば、図6は、図5に示した状態から、ユーザが皮弁パターン13bを若干縮小し回転させて配置した後の表示状態を示す。
【0019】
以上の配置時における操作の際に、右側に表示される操作ボタンや下側に表示される皮弁パターンが非表示の状態であってもよい。この場合、患者画像12の視認性が向上し、皮弁パターン13の配置領域も広がるため、利便性も向上する。
【0020】
ここで、ユーザが術前術後切替ボタン11eをタッチすると、術前術後切替ボタン11eの表記が図7に示すように「術後」に変化する。また、APの画面表示が術後の状態を示す画面に切り替わり、図7に示すように、患者画像12上に配置された皮弁パターン13bに応じた、術後の予測縫合線パターン14bが表示される。すなわち、APは、皮弁パターンの位置、大きさ、回転角度によって術後の縫合線パターンがどのようなものになるかをディスプレイ上に表示する。ユーザが術前術後切替ボタン11eを再度タッチすると、画面は図6に示した術前の状態に戻る。したがって、ユーザは、「術前」の画面で皮弁パターン13bの位置や、拡大・縮小率や、回転角度を様々に調整してから、「術後」の画面で予測縫合線パターン14bを確認するという作業を、術後の予想縫合線パターン14bが所望の状態となるまで繰り返し行うことができる。
【0021】
また、図7に示すように、「術後」の予測縫合線パターン14bが表示された画面にも、反転ボタン11a、縦方向拡大縮小ボタン11b、横方向拡大縮小ボタン11c等が表示されている。ユーザは、これらのボタンを使用して、予測縫合線パターン14bの反転、拡大・縮小を行うことができる。また、予測縫合線パターン14bを二本の指でタッチしながら回転させることにより、予測縫合線パターン14bを任意の角度に回転させることができる。このように予測縫合線パターン14bに対して反転、拡大・縮小、回転を行った後に術前術後切替ボタン11eをタッチすると、APの画面は「術前」の状態に切り替わる。このとき、予測縫合線パターン14bに対して行われた反転、拡大・縮小、回転が反映された状態で、皮弁パターン13bが表示される。すなわち、予測縫合線パターン14bが反転されると、皮弁パターン13bも反転される。予測縫合線パターン14bが縦方向および/または横方向に拡大・縮小されると、同じ倍率で縦方向および/または横方向に皮弁パターン13bが拡大・縮小される。また、予測縫合線パターン14bが回転されると、同じ回転角度で皮弁パターン13bも回転される。
【0022】
したがって、予測縫合線パターン14bが表示された画面において、予測縫合線パターン14bが理想の状態となるように反転、拡大・縮小、回転の操作を行ってから、術前術後切替ボタン11eをタッチすれば、理想的な皮弁パターン13bが得られる。例えば、縫合線はRSTL(Relax Skin Tension Line)線に沿わせた方が、治癒後に縫合痕が残りにくい。したがって、予測縫合線パターン14bがRSTL線にできるだけ沿うように、予測縫合線パターン14bに対して反転、拡大・縮小、回転の操作を行うことが考えられる。このような操作を容易に行えるようにするために、患者画像12にRSTL線パターンを重ね合わせて表示することも望ましい。
【0023】
なお、リセットボタン11dをタッチすると、画面は図2の状態に戻る。
【0024】
[APの機能仕様]
次に、上記の動作を実現するためのAPの機能仕様について説明する。図8は、APによって実現される構成を模式的に示すブロック図である。なお、図8のブロック図に示したそれぞれの機能部は、スマートフォンやタブレット等の装置(コンピュータ)のプロセッサがAPの命令を実行することによって実現される。図8に示すように、APによって実現される機能部は、ユーザからのタッチパネルによる入力を受け付ける入力処理部101と、画像フォルダにアクセスする画像取得部102と、皮弁パターンおよび予測縫合線パターンの画像を記憶したパターン記憶部103と、各種の画像処理を行って表示画像を生成する画像処理部104とを含む。なお、ここでは、スマートフォン等のコンピュータ内にパターン記憶部103が存在するものとしているが、パターン記憶部103はAPから参照可能であれば、コンピュータ外部に設けられていても良い。
【0025】
入力処理部101は、タッチパネルに対するユーザの操作を検出する。すなわち、ディスプレイに表示されているGUIオブジェクト(ボタンや画像等)に対するユーザのタッチ位置やその数およびアクション(タップ、ドラッグ、ピンチアウト・ピンチイン、回転、等)を検出し、どのGUIオブジェクトに対するどのような指示であるかを判別する。
【0026】
画像取得部102は、前述したように患者画像選択ボタン11fがタッチされた際に、AP外の画像ファイルへアクセスして、患者画像を取得する処理を行う。
【0027】
パターン記憶部103は、皮弁パターンの画像と予測縫合線パターンの画像とを対応付けて記憶している。図9A~9Dに、皮弁パターン13a~13dと、予測縫合線パターン14a~14dとの対応付けを示す。局所皮弁術では、術後の縫合線パターンは概ね、皮弁パターンに応じて決まる。皮弁パターンと予測縫合線パターンとのこのような組み合わせは、例えば熟練した医師等によって画像として作成され、皮弁パターンと予測縫合線パターンとのペアとして、パターン記憶部103にあらかじめ登録される。
【0028】
なお、以降の説明において、予測縫合線パターン14a~14dを総称的に指す場合は、「予測縫合線パターン14」と称する。また、前述したように、APで使用する皮弁パターンは、皮弁パターン13a~13dの組み合わせに限定されない。皮弁パターンの数はこれよりも少なくても良いし、多くても良い。また、APのアップデート時に、新しくデザインされた皮弁パターンの画像とそれに対応する予測縫合線パターンの画像とが、パターン記憶部103に追加登録されるようにしても良い。あるいは、ユーザが自らデザインした皮弁パターンの画像とそれに対応する予測縫合線パターンの画像とを、パターン記憶部103に自ら登録できるようにしても良い。
【0029】
前述したように、患者画像12上で皮弁パターン13に対して反転、拡大・縮小、または回転の操作がユーザによって行われると、入力処理部101がその情報を取得し、画像処理部104へ送る。画像処理部104では、皮弁パターン13に対するユーザの操作に応じて、操作対象として選択されている皮弁パターン13に対応する予測縫合線パターン14を反転、拡大・縮小、または回転させ、術後の予測縫合線パターン14として患者画像12に重ね合わせて表示する。
【0030】
例えば、反転ボタン11aがタッチされることにより、皮弁パターン13に対する反転指示が入力されると、画像処理部104は、入力処理部101からその指示を受け取り、対応する予測縫合線パターン14を裏表に反転させる。縦方向拡大縮小ボタン11bおよび/または横方向拡大縮小ボタン11cのタッチ後に、ピンチアウトまたはピンチイン操作によって皮弁パターン13が縦方向および/または横方向に拡大・縮小された場合は、入力処理部101は、縦方向の拡大・縮小率および/または横方向の拡大・縮小率を取得し、画像処理部104へ送る。画像処理部104は、入力処理部101から送られた縦方向の拡大・縮小率および/または横方向の拡大・縮小率と同じ倍率で、対応する予測縫合線パターン14の画像を縦方向および/または横方向に拡大・縮小する。また、皮弁パターン13がユーザの操作によって回転された場合は、画像処理部104は、入力処理部から送られた回転角度と同じ角度だけ、対応する予測縫合線パターン14を回転させる。
【0031】
また、反転ボタン11aがタッチされることにより、予測縫合線パターン14に対する反転指示が入力されると、画像処理部104は、入力処理部101からその指示を受け取り、対応する皮弁パターン13を裏表に反転させる。縦方向拡大縮小ボタン11bおよび/または横方向拡大縮小ボタン11cのタッチ後に、ピンチアウトまたはピンチイン操作によって予測縫合線パターン14が縦方向および/または横方向に拡大・縮小された場合は、入力処理部101は、縦方向の拡大・縮小率および/または横方向の拡大・縮小率を取得し、画像処理部104へ送る。画像処理部104は、入力処理部101から送られた縦方向の拡大・縮小率および/または横方向の拡大・縮小率と同じ倍率で、対応する皮弁パターン13の画像を縦方向および/または横方向に拡大・縮小する。また、予測縫合線パターン14がユーザの操作によって回転された場合は、画像処理部104は、入力処理部から送られた回転角度と同じ角度だけ、対応する皮弁パターン13を回転させる。
【0032】
以上の入力処理部101および画像処理部104による処理により、ユーザが皮弁パターン13を反転、拡大・縮小、または回転させることに応じて、対応する予測縫合線パターン14を患者画像12上で変化させることができる。また、ユーザが予測縫合線パターン14を反転、拡大・縮小、または回転させることに応じて、対応する皮弁パターン13を患者画像12上で変化させることができる。これにより、ユーザは、理想的な予測縫合線パターン14が得られるように、皮弁パターン13の適切なデザインを容易に行うことができる。また、経験の浅い医師が、皮弁パターン13と予想縫合線パターン14との相関性をシミュレーション的に習得するためにも、本実施形態のAPは有用である。また、医師が、手術を受ける患者や他診療科の医師等に手術について説明する際等にも、本実施形態のAPを用いれば、術後の様子を視覚的に示すことができ、非常に有用である。
【0033】
なお、上記の実施形態は、皮弁パターン13および予測縫合線パターン14を二次元画像として扱い、皮弁パターン13/予測縫合線パターン14に対する反転、拡大・縮小、または回転のユーザ操作に応じて予測縫合線パターン14/皮弁パターン13を反転、拡大・縮小、または回転させるという二次元的な画像処理を行う。しかし、より正確な皮弁デザインを行うために、患者画像12上で皮弁パターン13/予測縫合線パターン14が配置されている部位の三次元形状に応じて、予測縫合線パターン14/皮弁パターン13に対して三次元的な画像処理を行うことも望ましい。三次元的な画像処理を行うことにより、例えば「dog ear(犬の耳のような形状の盛り上がり)」がどこにできるか等を把握することが可能となる。この場合、患者画像12として三次元画像として撮影したものを使用するか、または、二次元画像として撮影された患者画像12を三次元化して使用する。なお、このような三次元的な画像処理は、公知のポリゴン技術やコンピュータシミュレーション技術を用いて実現することができ、その具体的手法に限定はない。
【0034】
また、上記の実施形態では、スマートフォン等にダウンロードして用いられるアプリケーションプログラムとして本発明を説明したが、本発明は、アプリケーションプログラムを格納した記憶媒体として実施することも可能である。また、プロセッサや各種メモリを備えた装置であって、上述したアプリケーションプログラムを実行する装置(スマートフォンやタブレットを含む)としても、本発明は実施可能である。さらに、アプリケーションプログラムをサーバ上で実行し、ユーザ端末からこれを利用するSaaS型のシステムとして本発明を実施することも可能である。
【0035】
また、上記の実施形態では、患者の顔に局所皮弁術を施す例を提示したが、四肢や胴体、首など対象となる身体部位は顔に限定されない。
【0036】
また、上記の実施形態では術前術後切替ボタン11eをタッチすることで皮弁パターン13が予測縫合線パターン14に変化、すなわち置換されるが、置換されずに患者画像12上に皮弁パターン13と予想縫合線パターン14とが同時に表示される形態であってもよい。この場合、皮弁パターン13および予想縫合線パターン14はいずれも同時に視認可能なような透明度を有していてもよく、皮弁パターン13と予想縫合線パターン14とが切り替わる際の変化を把握することが容易となり、術前術後の様子を視覚的に示すことが出来る。
【0037】
本発明の実施形態は、下記のように説明することもできる。
【0038】
(第1のプログラム)
局所皮弁の術前画像と術後画像とを切替表示することにより局所皮弁デザインを支援するプログラムであって、
患者画像を読み込む処理と、
ユーザが選択した皮弁パターン画像を、前記患者画像上のユーザが指定した位置に重ね合わせて術前画像として表示する処理と、
皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像とが対応付けて記憶されているパターン記憶部から、前記ユーザが選択した皮弁パターン画像に対応する予測縫合線パターン画像を抽出し、抽出した予測縫合線パターン画像を、前記患者画像上で、前記術前画像において前記皮弁パターン画像が配置された位置に重ね合わせて、術後画像として表示する処理と、
をコンピュータのプロセッサに実行させる命令を含む、プログラム。
【0039】
上記の第1のプログラムによれば、患者画像が読み込まれ、ユーザ(例えば医師)が皮弁パターン画像を選択すると、選択された皮弁パターン画像が患者画像上の指定位置に重ね合わされ、これが術前画像として表示される。パターン記憶部には、皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像とが対応付けて記憶されており、ユーザが選択した皮弁パターン画像に対応する予測縫合線パターン画像が抽出される。抽出された予測縫合線パターン画像は、患者画像において皮弁パターン画像が配置された位置と同じ位置に重ね合わされて、これが術後画像として表示される。これにより、ユーザは、選択した皮弁パターンが、術後に患者の体の上でどのような縫合線になるかを、画面上において目視で確認することができる。このように、皮弁パターン(術前)と縫合線(術後)との相関性を実際の患者画像上において目視で確認できるので、例えば経験の浅い医師が皮弁デザインの技術を習得することが容易となる、という利点がある。また、手術を受ける患者およびその家族や、他診療科の医師や医療スタッフに、術後の状態を説明する際にも有用である。
【0040】
(第2のプログラム)
前記第1のプログラムは、
前記術前画像に表示されている前記皮弁パターン画像に対して、移動、反転、拡大または縮小、および、回転のうち少なくとも一つを含む操作をユーザから受けると、
(1)受け付けた操作に従った画像処理を前記皮弁パターン画像に対して行い、
(2)前記画像処理後の皮弁パターン画像を前記患者画像に重ね合わせて術前画像の表示を更新する、
という処理を前記プロセッサに実行させる命令をさらに含んでも良い。
【0041】
この第2のプログラムによれば、ユーザは、術前画面上で皮弁パターン画像に対して操作を行うことにより、皮弁パターン画像の位置を移動させたり、皮弁パターン画像を反転させたり、皮弁パターン画像を拡大または縮小させたり、皮弁パターン画像を回転させたりすることができる。
【0042】
(第3のプログラム)
前記第2のプログラムにおいてさらに、
前記術前画像の表示を更新した後に、術後画像への切替指示をユーザから受けると、
前記皮弁パターン画像に対して行ったものと同じ画像処理を前記予測縫合線パターン画像に対して行い、前記画像処理後の予測縫合線パターン画像を前記患者画像に重ね合わせて術後画像として表示する、処理を前記プロセッサに実行させる命令を含むようにしても良い。
【0043】
この第3のプログラムによれば、ユーザは、術前画面上で皮弁パターン画像に対して、位置の移動、反転、拡大または縮小、回転等の操作を行って皮弁パターン画像の表示を更新させると、それと同じ更新が予測縫合線パターン画像に適用される。すなわち、ユーザが術前画像において皮弁パターン画像を移動させると、術後画像において予測縫合線パターン画像が同じ距離と方向だけ移動する。ユーザが術前画像において皮弁パターン画像を反転させると、術後画像において予測縫合線パターン画像も反転する。ユーザが術前画像において皮弁パターン画像を拡大または縮小すると、術後画像において予測縫合線パターン画像が同じ倍率だけ拡大または縮小される。また、ユーザが術前画像において皮弁パターン画像を回転させると、術後画像において予測縫合線パターン画像が同じ角度だけ回転する。これにより、ユーザは、皮弁パターン画像を変化させた場合の、予測縫合線パターン画像の変化を、目視によってより正確に確認できる。皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像との相関性がより分かりやすくなるので、初学者にとっても有用である。
【0044】
(第4のプログラム)
前記第1~第3のプログラムは、
前記術後画像に表示されている前記予測縫合線パターン画像に対して、移動、反転、拡大または縮小、および、回転のうち少なくとも一つを含む操作をユーザから受けると、
(1)受け付けた操作に従った画像処理を前記予測縫合線パターン画像に対して行い、
(2)前記画像処理後の予測縫合線パターン画像を前記患者画像に重ね合わせて術後画像の表示を更新する、
という処理を、前記プロセッサに実行させる命令をさらに含んでも良い。
【0045】
この第4のプログラムによれば、ユーザは、術後画面上で予測縫合線パターン画像に対して操作を行うことにより、予測縫合線パターン画像の位置を移動させたり、予測縫合線パターン画像を反転させたり、予測縫合線パターン画像を拡大または縮小させたり、予測縫合線パターン画像を回転させたりすることができる。
【0046】
(第5のプログラム)
前記第4のプログラムにおいてさらに、
前記術後画像の表示を更新した後に、術前画像への切替指示をユーザから受けると、
前記予測縫合線パターン画像に対して行ったものと同じ画像処理を前記皮弁パターン画像に対して行い、前記画像処理後の皮弁パターン画像を前記患者画像に重ね合わせて術前画像として表示する、処理を前記プロセッサに実行させる命令を含むようにしても良い。
【0047】
この第5のプログラムによれば、ユーザは、術後画面上で予測縫合線パターン画像に対して、位置の移動、反転、拡大または縮小、回転等の操作を行って予測縫合線パターン画像の表示を更新させると、それと同じ更新が皮弁パターン画像に適用される。すなわち、ユーザが術後画像において予測縫合線パターン画像を移動させると、術前画像において皮弁パターン画像が同じ距離と方向だけ移動する。ユーザが術後画像において予測縫合線パターン画像を反転させると、術前画像において皮弁パターン画像も反転する。ユーザが術後画像において予測縫合線パターン画像を拡大または縮小すると、術前画像において皮弁パターン画像が同じ倍率だけ拡大または縮小される。また、ユーザが術後画像において予測縫合線パターン画像を回転させると、術前画像において皮弁パターン画像が同じ角度だけ回転する。これにより、ユーザは、予測縫合線パターン画像を変化させた場合の、皮弁パターン画像の変化を、目視によってより正確に確認できる。また、理想的な縫合線となるように予測縫合線パターン画像の移動、反転、拡大または縮小、回転等を行うことにより、その縫合線を実現するための皮弁パターン画像が自動的に生成されるという優れた利点がある。
【0048】
(第6のプログラム)
前記第1~第5のプログラムは、皮弁パターン画像と、これに対応する予測縫合線パターン画像とを、前記パターン記憶部へ追加登録する処理を前記プロセッサに実行させる命令をさらに含むようにしても良い。
【0049】
この第6のプログラムによれば、プログラムの提供者またはユーザが、新しい皮弁パターンをデザインした際に、その皮弁パターン画像とそれに対応する予測縫合線パターン画像とを追加登録することができる。これにより、参照可能な皮弁パターンデザインのバリエーションを充実させることができる。
【0050】
(第1の装置)
局所皮弁の術前画像と術後画像とを切替表示することにより局所皮弁デザインを支援する装置であって、
患者画像を読み込む処理と、
ユーザが選択した皮弁パターン画像を、前記患者画像上のユーザが指定した位置に重ね合わせて術前画像として表示する処理と、
皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像とが対応付けて記憶されているパターン記憶部から、前記ユーザが選択した皮弁パターン画像に対応する予測縫合線パターン画像を抽出し、抽出した予測縫合線パターン画像を、前記患者画像上で、前記術前画像において前記皮弁パターン画像が配置された位置に重ね合わせて、術後画像として表示する処理と、
を実行するプロセッサを備えた、装置。
【0051】
上記の第1の装置によれば、患者画像が読み込まれ、ユーザが皮弁パターン画像を選択すると、選択された皮弁パターン画像が患者画像上の指定位置に重ね合わされ、これが術前画像として表示される。パターン記憶部には、皮弁パターン画像と予測縫合線パターン画像とが対応付けて記憶されており、ユーザが選択した皮弁パターン画像に対応する予測縫合線パターン画像が抽出される。パターン記憶部は、装置の内部にあっても良いし、外部にあっても良い。パターン記憶部から抽出された予測縫合線パターン画像は、患者画像において皮弁パターン画像が配置された位置と同じ位置に重ね合わされて、これが術後画像として表示される。これにより、ユーザは、選択した皮弁パターンが、術後に患者の体の上でどのような縫合線になるかを、画面上において目視で確認することができる。このように、皮弁パターン(術前)と縫合線(術後)との相関性を実際の患者画像上において目視で確認できるので、例えば経験の浅い医師が皮弁デザインの技術を習得することが容易となる、という利点がある。また、手術を受ける患者およびその家族や、他診療科の医師や医療スタッフに、術後の状態を説明する際にも有用である。
【符号の説明】
【0052】
10:ディスプレイ、11a:反転ボタン、11b:縦方向拡大縮小ボタン、11c:横方向拡大縮小ボタン、11d:リセットボタン、11e:術前術後切替ボタン、11f:患者画像選択ボタン、13a~13d:皮弁パターン、14a~14d:予測縫合線パターン、101:入力処理部、102:画像取得部、103:パターン記憶部、104:画像処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D