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  • 特開-制御装置、制御方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082804
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/58 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
B29C43/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196910
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】亀井 孝宏
【テーマコード(参考)】
4F204
【Fターム(参考)】
4F204AC03
4F204AG01
4F204AR12
4F204AR14
4F204FA06
4F204FB02
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ31
(57)【要約】
【課題】フィルム生成における少なくとも一部の動作を自動化する。
【解決手段】材料を混錬する混錬装置と、前記混錬装置により混錬された材料を圧延し、フィルムを生成する圧延装置と、前記フィルムを測定する測定装置と、を備えるフィルム生成システムを制御する制御装置であって、機械学習により生成された推定モデルである、前記フィルムの特性を入力として、前記圧延装置のパラメータを出力する推定モデル、前記圧延装置により圧延される材料の量を入力として、前記圧延装置に含まれるカレンダーロール間の距離又はストックガイドの幅を出力する推定モデル、前記圧延装置に送られる材料の量を入力として、前記混錬装置が送り出す材料の量を出力する推定モデル、のうち少なくとも1つの推定モデルによる推定結果を用いて前記フィルム生成システムを制御する、制御装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を混錬する混錬装置と、
前記混錬装置により混錬された材料を圧延し、フィルムを生成する圧延装置と、
前記フィルムを測定する測定装置と、を備えるフィルム生成システムを制御する制御装置であって、
機械学習により生成された推定モデルである、
前記フィルムの特性を入力として、前記圧延装置のパラメータを出力する推定モデル、
前記圧延装置により圧延される材料の量を入力として、前記圧延装置に含まれるカレンダーロール間の距離又はストックガイドの幅を出力する推定モデル、
前記圧延装置に送られる材料の量を入力として、前記混錬装置が送り出す材料の量を出力する推定モデル、
のうち少なくとも1つの推定モデルによる推定結果を用いて前記フィルム生成システムを制御する、
制御装置。
【請求項2】
材料を混錬する混錬装置と、
前記混錬装置により混錬された材料を圧延し、フィルムを生成する圧延装置と、
前記フィルムを測定する測定装置と、を備えるフィルム生成システムを制御する制御方法であって、
機械学習により生成された推定モデルである、
前記フィルムの特性を入力として、前記圧延装置のパラメータを出力する推定モデル、
前記圧延装置により圧延される材料の量を入力として、前記圧延装置に含まれるカレンダーロール間の距離又はストックガイドの幅を出力する推定モデル、
前記圧延装置に送られる材料の量を入力として、前記混錬装置が送り出す材料の量を出力する推定モデル、
のうち少なくとも1つの推定モデルにより推定結果を用いて前記フィルム生成システムを制御する、
制御方法。
【請求項3】
コンピュータに、請求項2に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムを作成する際に原材料を混錬する装置や、材料を圧延するカレンダーロールなどの装置が使用されることがある。当該装置においては、混錬する原材料の量や圧延する原材料の量を調整することで、フィルムの厚さなどの特性を調整している。
【0003】
原材料を混錬する装置やカレンダーロールなどのフィルム生成装置を制御する方法がいくつか提案されている。例えば特許文献1には、バンク量を含む演算を行うことで、バンク量の変動を抑制するカレンダ装置が開示されている。また、特許文献2には材料供給量が定常状態よりも少ない状態を推定し、少ない状態であると推定された場合に材料供給の作動を制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-87920号公報
【特許文献2】特許第5102248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、十分に制御ができているとはいうことができない。
本発明の目的は、機械学習に基づく制御を行う制御装置、制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、材料を混錬する混錬装置と、前記混錬装置により混錬された材料を圧延し、フィルムを生成する圧延装置と、前記フィルムを測定する測定装置と、を備えるフィルム生成システムを制御する制御装置であって、機械学習により生成された推定モデルである、前記フィルムの特性を入力として、前記圧延装置のパラメータを出力する推定モデル、前記圧延装置により圧延される材料の量を入力として、前記圧延装置に含まれるカレンダーロール間の距離又はストックガイドの幅を出力する推定モデル、前記圧延装置に送られる材料の量を入力として、前記混錬装置が送り出す材料の量を出力する推定モデル、のうち少なくとも1つの推定モデルによる推定結果を用いて前記フィルム生成システムを制御する、制御装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルム生成における少なくとも一部の動作を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フィルム生成システム1の構成例を示す図である。
図2】混錬装置2の構成を示す図である。
図3】圧延装置3の構成を示す図である。
図4】測定装置4の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、フィルム生成システム1の構成例を示す図である。フィルム生成システム1は、混錬装置2、圧延装置3及び測定装置4を備える。混錬装置2は材料を混錬する。圧延装置3は、混錬装置2により混錬された材料を圧延し、フィルムを生成する。測定装置4は、生成されたフィルムの特性を測定する。以上の工程により、フィルム生成システム1はフィルムを生成する。フィルム生成システム1は、制御装置5により制御され、生成するフィルムの厚さなどを変化させる。制御装置5によるフィルム生成システム1の制御は、学習装置6による学習により生成されるモデルに基づく。
【0010】
以下、混錬装置2、圧延装置3、測定装置4の詳細を説明する。なお、初めに混錬装置2、圧延装置3、測定装置4の動作を説明した後に学習装置6による学習方法及び制御装置5による制御方法を説明する。
【0011】
図2は、混錬装置2の構成を示す図である。混錬装置2は、混錬機21及びカメラ26を備える。
【0012】
混錬機21は、材料を混錬し、混錬した材料を圧延装置3に送る。混錬機21は、圧延装置3に送る材料の量を制御する。混錬機21が材料を切断する材料切り出し装置を備え、切断する材料の量を制御してもよい。
【0013】
カメラ26は、混錬機21により混錬される材料の画像又は動画を撮影する。カメラ26は、複数のカメラから構成され、各々のカメラが混錬機21の別の領域の画像又は動画を撮影してもよい。
【0014】
図3は、圧延装置3の構成を示す図である。圧延装置3は、圧延部31及びカメラ33を備える。
【0015】
圧延部31は、混錬機21から送られる材料を圧延する。圧延部31は、例えば複数のカレンダーロールやテイクオフロールを備え、カレンダーロールを回転させることで材料を圧延し、テイクオフロールによりカレンダーロールから圧延した材料を剥がすことでフィルムを作成する。圧延部31はカレンダーロールやテイクオフロールに係るパラメータを調整することで圧延する材料の厚さを調整することができる。圧延部31は圧延することで生成したフィルムを測定装置4に送る。カレンダーロールやテイクオフロールに係るパラメータは、例えば、カレンダーロールとテイクオフロールとの間の速度比、カレンダーロールやテイクオフロール間の距離、カレンダーロールやテイクオフロールのクロス量、カレンダーロールやテイクオフロールのベンディング量、カレンダーロールやテイクオフロールの温度を含む。
【0016】
また、圧延部31は、カレンダーロールに送られる材料の幅を調整し、送られる材料の量を調整するストックガイドを備えてもよい。また、圧延部31は、圧延された材料の表面状態を整えるポリシングロールを備えてもよい。
【0017】
カメラ33は、圧延部31により圧延される材料の画像又は動画を撮影する。カメラ33は、複数のカメラから構成され、各々のカメラが圧延部31の別の領域の画像又は動画を撮影してもよい。各々のカメラが撮影する領域は、複数のカレンダーロールであってもよく、各々のカレンダーロールであってもよい。カメラ33は、ストックガイドからカレンダーロールに送られる材料を撮影してもよい。カメラ33は、ポリシングロールにより表面状態が整えられる材料を撮影してもよい。
【0018】
図4は、測定装置4の構成例を示す図である。測定装置4は、厚さ測定装置41及び表面状態検査部42を備える。厚さ測定装置41は、圧延装置3から送られたフィルムの厚さを測定する。厚さ測定装置41は、フィルムの厚さだけではなく、フィルムの幅やフレアを測定してもよい。
【0019】
表面状態検査部42は、フィルムの表面状態を検査する。フィルムの表面状態は、フィルムの両面の状態と、フィルムの表裏いずれかの片面の状態を含む。表面状態検査部42は、例えばカメラによりフィルムの表面状態を撮影することで、フィルムの表面状態を検査する。
【0020】
次に、学習装置6による学習方法について説明する。学習装置6は、機械学習により下流工程におけるパラメータから上流工程におけるパラメータを推定する推定モデルを生成する。
【0021】
例えば、学習装置6は、生成されるフィルムの特性を入力として、圧延部31のパラメータを出力する推定モデル(圧延装置推定モデルA)を生成する。生成されるフィルムの特性はフィルムの厚さやフィルムの表面状態を含み、厚さ測定装置41や表面状態検査部42により取得される。圧延部31のパラメータはカメラ33により撮影される圧延部31から送り出されるフィルムの画像又は動画であって、圧延部31により圧延される材料の量を示す。圧延部31のパラメータは、カレンダーロールのパラメータであるカレンダーロールのベンディング量、カレンダーロールの温度を含んでもよい。
【0022】
また、例えば、学習装置6は、圧延部31により圧延される材料の量を入力として、圧延部31のカレンダーロール間の距離又はストックガイドの幅を出力する推定モデル(圧延装置推定モデルB)を生成する。カレンダーロールにより圧延される材料の量は、カメラ33により撮影されるカレンダーロールにより圧延される材料の画像又は動画である。
【0023】
また、学習装置6は、圧延装置3に送られる材料の量を入力として、混錬装置2が送り出す材料の量を出力する推定モデル(混錬装置推定モデルA)を生成する。圧延装置3に送られる材料の量は、例えばカメラ33により撮影される画像又は動画である。
【0024】
学習装置6による推定モデルの生成方法は、入力データと出力データを含むデータセットを用いる機械学習の方法であればよい。学習装置6は、ニューラルネットワークモデルを用いてもよく、バギングやブースティングと呼ばれる手法により推定モデルを生成してもよい。
【0025】
制御装置5は、学習装置6により生成された推定モデルによる推定結果を用いて、フィルム生成システム1を制御する。制御装置5は、例えば圧延装置推定モデルAに所望するフィルムの特性を入力することで、望ましい圧延部31のカレンダーロールのパラメータを出力させる。制御装置5は、圧延部31のカレンダーロールが出力された望ましいパラメータを満たすように、圧延部31を制御する。
【0026】
制御装置5は、例えば圧延装置推定モデルBに圧延部31により圧延される材料の所望の量を入力することで、圧延部31のカレンダーロール間の距離又はストックガイドの幅を出力させる。圧延部31により圧延される材料の所望の量は、圧延装置推定モデルAにより出力される値であってもよい。制御装置5は、出力されたカレンダーロール間の距離又はストックガイドの幅を満たすように、圧延部31を制御する。
【0027】
制御装置5は、例えば混錬装置推定モデルAに圧延装置3に送られる材料の所望の量を入力し、混錬装置2が送り出す材料の量を出力させる。制御装置5は、出力された送り出す材料の量を満たすように、混錬装置2の材料切り出し装置を制御する。
【0028】
なお、制御装置5は上記の推定モデルのうち、少なくとも1つの推定モデルを用いればよく、一部の制御は人間により行われてもよいし、機械学習によらない推定モデルに基づいていてもよい。
【0029】
学習装置6は、混錬装置2により混錬される材料や可塑材料により異なる推定モデルを生成してもよい。学習装置6は、混錬される材料や可塑材料の種類や割合といったパラメータを入力データに含む推定モデルを生成してもよい。
【0030】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0031】
上述した実施形態における制御装置5及び学習装置6の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記録装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、制御装置5及び学習装置6の一部または全部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 フィルム生成システム、2 混錬装置、3 圧延装置、4 測定装置、5 制御装置、6 学習装置、21 混錬機、26 カメラ、31 圧延部、33 カメラ、41 厚さ測定装置、42 表面状態検査部
図1
図2
図3
図4