(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082807
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】シャワーシステム、及びそれを備えた浴室システム、シャワー室システム
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20240613BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A47K3/28
A47K4/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196915
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 遼太
(72)【発明者】
【氏名】林 信宏
(72)【発明者】
【氏名】中道 俊一
(72)【発明者】
【氏名】黒石 正宏
(72)【発明者】
【氏名】浮貝 清岳
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132FA02
2D132FA07
2D132FB01
2D132FB02
2D132FC01
2D132FC04
2D132FD01
2D132FD02
2D132FH11
2D132GA11
(57)【要約】
【課題】電波式レーダを使用して、シャワー吐水中においても使用者の動作の誤検出を抑制することができるシャワーシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、室内に設置されるシャワーシステム(1)であって、室(2)内の側壁面(2b)又は天井壁面(2a)に固定され、シャワー吐水を行う固定シャワーヘッド(6a)と、室内に電波を照射し、シャワーシステムの使用者によって反射された電波を受信する電波式レーダ(14)と、この電波式レーダによって検出された信号に基づいて、室内に設定された所定の検出空間(22)内におけるシャワーシステムの使用者の動作を検出し、検出された使用者の動作に基づいて固定シャワーヘッドからの吐水を制御する制御部(16)と、を有し、検出空間は、固定シャワーヘッドからのシャワー吐水中においても、シャワーシステムの使用者の動作を検出できる位置に設定されていることを特徴としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置されるシャワーシステムであって、
上記室内の側壁面又は天井壁面に固定され、シャワー吐水を行う固定シャワーヘッドと、
上記室内に電波を照射し、上記シャワーシステムの使用者によって反射された電波を受信する電波式レーダと、
この電波式レーダによって検出された信号に基づいて、上記室内に設定された所定の検出空間内における上記シャワーシステムの使用者の動作を検出し、検出された使用者の動作に基づいて上記固定シャワーヘッドからの吐水を制御する制御部と、
を有し、
上記検出空間は、上記シャワー吐水により形成される吐水空間と、上記固定シャワーヘッドが固定されている側壁面、又は天井壁面に固定されている上記固定シャワーヘッドの近傍に位置する側壁面との間に設定されていることを特徴とするシャワーシステム。
【請求項2】
上記電波式レーダは、上記室内の所定の受信可能空間内において上記使用者によって反射された電波を受信可能に構成されており、上記検出空間は上記受信可能空間の内部に設定され、少なくとも上記固定シャワーヘッドから吐水が行われている場合において、上記検出空間内における上記使用者の動作の検出感度が、上記検出空間の外側の上記受信可能空間内における検出感度よりも高い請求項1記載のシャワーシステム。
【請求項3】
上記固定シャワーヘッドからの吐水が開始されると、上記検出空間内における上記使用者の動作の検出感度が、上記検出空間の外側の上記受信可能空間内における検出感度よりも高くなるように変更される請求項2記載のシャワーシステム。
【請求項4】
上記制御部は、上記電波式レーダによって検出された信号に基づいて、上記使用者の身長又は姿勢を検知するように構成され、上記制御部は、検知された上記使用者の身長又は姿勢に基づいて、上記検出空間を設定する高さを変更する請求項1乃至3の何れか1項に記載のシャワーシステム。
【請求項5】
上記電波式レーダは、上記検出空間内に照射する電波の強度を上記検出空間の外側の上記受信可能空間内に照射する電波の強度よりも強くし、又は、上記検出空間内で反射された電波の受信感度を上記検出空間の外側の上記受信可能空間内で反射された電波の受信感度よりも高くすることによって、上記検出空間内における上記使用者の動作の検出感度が、上記検出空間の外側の上記受信可能空間内における検出感度よりも高くされる請求項2又は3に記載のシャワーシステム。
【請求項6】
上記制御部は、上記電波式レーダによって受信された所定の強度閾値以下の電波をノイズと判定するように構成されており、上記検出空間内で反射された電波に適用する強度閾値を、上記検出空間の外側の上記受信可能空間内で反射された電波に適用する強度閾値よりも低く設定することによって、上記検出空間内における上記使用者の動作の検出感度が、上記検出空間の外側の上記受信可能空間内における検出感度よりも高くされる請求項2又は3に記載のシャワーシステム。
【請求項7】
上記電波式レーダを所定のシャワー設置壁面に設けることにより、上記検出空間内における上記使用者の動作の検出感度が、上記検出空間の外側の上記受信可能空間内における検出感度よりも高くされる請求項2又は3に記載のシャワーシステム。
【請求項8】
側壁面、天井壁面、及び床面を備えた浴室と、
この浴室内に配置された浴槽と、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシャワーシステムと、
を有することを特徴とする浴室システム。
【請求項9】
側壁面、天井壁面、及び床面を備えたシャワー室と、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシャワーシステムと、
を有することを特徴とするシャワー室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーシステムに関し、特に、室内に設置されるシャワーシステム、及びそれを備えた浴室システム、シャワー室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11-338614号公報(特許文献1)には、操作入力装置が記載されている。この操作入力装置は、浴室内の浴室リモコンに内蔵された撮像部により、入浴者の画像を取り込んで、入浴者の動作を認識している。そして、認識された入浴者の動作パターンが、予め登録されている動作パターンと一致した場合に、操作信号を浴室リモコンや、シャワー装置に出力し、これらを作動させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の操作入力装置では、入浴中の入浴者の画像が取得されるため、操作入力装置から画像情報が窃取された場合、入浴者のプライバシーが侵害される虞がある。このため、特許文献1記載の操作入力装置では、入浴者に潜在的な不安感を与えてしまうという問題がある。
【0005】
また、入浴者に潜在的な不安感を与えないように、入浴者の画像を取得するのではなく、電波を使用して入浴者の動作を検出することも考えられる。しかしながら、電波は、シャワー吐水にも反応してしまうため、シャワーが使用される可能性のある浴室内等での動作の検出に利用した場合、誤検知を起こす可能性が高い。
【0006】
従って、本発明は、電波式レーダを使用して、シャワー吐水中においても使用者の動作の誤検出を抑制することができるシャワーシステム、及びそれを備えた浴室システム、シャワー室システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、室内に設置されるシャワーシステムであって、室内の側壁面又は天井壁面に固定され、シャワー吐水を行う固定シャワーヘッドと、室内に電波を照射し、シャワーシステムの使用者によって反射された電波を受信する電波式レーダと、この電波式レーダによって検出された信号に基づいて、室内に設定された所定の検出空間内におけるシャワーシステムの使用者の動作を検出し、検出された使用者の動作に基づいて固定シャワーヘッドからの吐水を制御する制御部と、を有し、検出空間は、シャワー吐水により形成される吐水空間と、固定シャワーヘッドが固定されている側壁面、又は天井壁面に固定されている固定シャワーヘッドの近傍に位置する側壁面との間に設定されていることを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、シャワー吐水を行う固定シャワーヘッドが室内の側壁面又は天井壁面に固定されている。また、電波式レーダは、室内に電波を照射し、シャワーシステムの使用者によって反射された電波を受信する。制御部は、室内に設定された所定の検出空間内におけるシャワーシステムの使用者の動作を検出し、検出された使用者の動作に基づいて固定シャワーヘッドからの吐水を制御する。
【0009】
一般に、室内に固定された固定シャワーヘッドから吐出されるシャワーを浴びている入浴者が、固定シャワーヘッドからの吐水を制御するために動作を行い得る空間は室内の所定の空間に限られる。上記のように構成された本発明によれば、使用者の動作を検出する検出空間が、シャワー吐水により形成される吐水空間と、固定シャワーヘッドが固定されている側壁面、又は天井壁面に固定されている固定シャワーヘッドの近傍に位置する側壁面との間に設定されているので、シャワー吐水中においても使用者の動作の誤検出を抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、電波式レーダは、室内の所定の受信可能空間内において使用者によって反射された電波を受信可能に構成されており、検出空間は受信可能空間の内部に設定され、少なくとも固定シャワーヘッドから吐水が行われている場合において、検出空間内における使用者の動作の検出感度が、検出空間の外側の受信可能空間内における検出感度よりも高い。
【0011】
このように構成された本発明によれば、受信可能空間の内部に設定された検出空間内における使用者の動作の検出感度が、検出空間の外側の受信可能空間内における検出感度よりも高いので、固定シャワーヘッドからの吐水が行われている状態であっても、ノイズ等の影響を受けにくくなり、使用者の動作の誤検出を抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、固定シャワーヘッドからの吐水が開始されると、検出空間内における使用者の動作の検出感度が、検出空間の外側の受信可能空間内における検出感度よりも高くなるように変更される。
【0013】
このように構成された本発明によれば、固定シャワーヘッドからの吐水が開始されると検出空間内における検出感度が高くされるので、非吐水時には受信可能空間内における使用者の動作を広く検知する一方、誤検知が発生しやすい吐水時には検出空間内の検出感度を高くし、誤検出を抑制することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、制御部は、電波式レーダによって検出された信号に基づいて、使用者の身長又は姿勢を検知するように構成され、制御部は、検知された使用者の身長又は姿勢に基づいて、検出空間を設定する高さを変更する。
【0015】
このように構成された本発明によれば、検知された使用者の身長又は姿勢に基づいて、検出空間の高さを変更するので、使用者が動作を行うことが予想される高さに検出空間を設定することができ、使用者の動作をより確実に検出することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、電波式レーダは、検出空間内に照射する電波の強度を検出空間の外側の受信可能空間内に照射する電波の強度よりも強くし、又は、検出空間内で反射された電波の受信感度を検出空間の外側の受信可能空間内で反射された電波の受信感度よりも高くすることによって、検出空間内における使用者の動作の検出感度が、検出空間の外側の受信可能空間内における検出感度よりも高くされる。
【0017】
このように構成された本発明によれば、検出空間内に照射する電波の強度を強くし、又は検出空間内で反射された電波の受信感度を高くするので、検出空間内における使用者の動作をより確実に検出することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、制御部は、電波式レーダによって受信された所定の強度閾値以下の電波をノイズと判定するように構成されており、検出空間内で反射された電波に適用する強度閾値を、検出空間の外側の受信可能空間内で反射された電波に適用する強度閾値よりも低く設定することによって、検出空間内における使用者の動作の検出感度が、検出空間の外側の受信可能空間内における検出感度よりも高くされる。
【0019】
このように構成された本発明によれば、検出空間内で反射された電波に適用する強度閾値が低く設定されるので、検出空間内で反射された強度の低い反射波も信号として検出することができ、使用者の動作をより確実に検出することができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、電波式レーダを所定のシャワー設置壁面に設けることにより、検出空間内における使用者の動作の検出感度が、検出空間の外側の受信可能空間内における検出感度よりも高くされる。
【0021】
このように構成された本発明によれば、電波式レーダをシャワー設置壁面に設けているので、検出空間内における使用者の動作の検出感度が必然的に高くなり、特別な構成又は処理を設けることなく、誤検出を抑制することができる。
【0022】
また、本発明は、浴室システムであって、側壁面、天井壁面、及び床面を備えた浴室と、この浴室内に配置された浴槽と、本発明のシャワーシステムと、を有することを特徴としている。
【0023】
また、本発明は、シャワー室システムであって、側壁面、天井壁面、及び床面を備えたシャワー室と、本発明のシャワーシステムと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明のシャワーシステム、及びそれを備えた浴室システム、シャワー室システムによれば、電波式レーダを使用して、シャワー吐水中においても使用者の動作の誤検出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態のシャワーシステムが備えられた浴室内を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態のシャワーシステムが備えられた浴室、及び浴室に隣接する脱衣室を示す平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、側壁面に設けられたシャワー装置の正面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、側壁面に設けられたターゲット指示部を拡大して示す図である。
【
図5A】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、電波式レーダの側壁面への取付構造を示す断面図である。
【
図5B】電波式レーダの側壁面への取付構造の変形例を示す断面図である。
【
図5C】電波式レーダの側壁面への取付構造の変形例を示す断面図である。
【
図5D】電波式レーダの側壁面への取付構造の変形例を示す断面図である。
【
図5E】電波式レーダの側壁面への取付構造の変形例を示す断面図である。
【
図5F】電波式レーダの側壁面への取付構造の変形例を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、電波式レーダによって受信された電波の強度分布、及び検出された点群の一例を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、電波式レーダによって受信された電波の強度分布、及び検出された点群の一例を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、電波式レーダによって受信された電波の強度分布、及び検出された点群の一例を示す図である。
【
図9A】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、電波式レーダによって受信された電波の強度分布、及び検出された点群の一例を示す図である。
【
図9B】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、電波の受信感度を変更する例を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態のシャワーシステムに備えられた制御部において実行される処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図10に示すフローチャートから呼び出されるサブルーチンのフローチャートである。
【
図12】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、浴室内に設定されている吐水空間及び検出空間を示す側面図である。
【
図13】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、浴室内に設定されている吐水空間及び検出空間を示す側面図である。
【
図14】本発明の第1実施形態のシャワーシステムにおいて、浴室内に設定されている検出空間を示す側面図である。
【
図15】本発明の第2実施形態によるシャワーシステム、及びそれを備えたシャワー室システムを示す斜視図である。
【
図16】本発明の第3実施形態によるシャワーシステム、及びそれを備えたシャワー室システムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態によるシャワーシステム、及びそれを備えた浴室システムを説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のシャワーシステムが備えられた浴室内を示す斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態のシャワーシステムが備えられた浴室、及び浴室に隣接する脱衣室を示す平面図である。
【0027】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のシャワーシステム1が備えられた浴室2内には、浴槽4と、シャワー装置6と、浴室2の側壁面2bに設けられたシャワーバー8と、側壁面2bに固定された鏡10及び浴室カウンター12が設置されている。また、シャワー装置6の固定シャワーヘッド6aは、オーバーヘッドシャワーとして、浴室2の天井壁面2aに固定されている。さらに、浴室2の側壁面2bには、浴室2に電波を照射する電波式レーダ14と、電波式レーダ14によって検出された信号に基づいてシャワー装置6による吐水を制御する制御部16が設けられている。また、浴室2に隣接して隣接室である脱衣室18(
図2)が設けられ、扉18aを介して脱衣室18から浴室2に入室できるようになっている。なお 、本明細書において「固定シャワーヘッド」とは、シャワーヘッド又はシャワーヘッドを支持する配管が天井壁面や側壁面に固定されているシャワーヘッドを意味し、吐水方向が固定されているシャワーヘッドばかりでなく、吐水方向が変更可能なシャワーヘッドも含む。
【0028】
ここで、シャワー装置6の固定シャワーヘッド6a、電波式レーダ14、及び制御部16は、本実施形態のシャワーシステム1を構成する。また、シャワーシステム1、浴室2及び浴槽4は、本実施形態の浴室システムを構成する。
【0029】
浴室2は、天井壁面2a、4つの側壁面2b、2c、2d、2e、及び床面2fから構成された室である。上記のように、天井壁面2aには、オーバーヘッドシャワーとして固定シャワーヘッド6aが固定されている。また、浴室2の1つの側壁面2bには、シャワーバー8、鏡10、及び浴室カウンター12が取り付けられている。また、側壁面2bの裏側には、電波式レーダ14、及び制御部16が設けられている。さらに、側壁面2bに隣接する側壁面2cに沿って浴槽4が配置されている。側壁面2cに対向する側壁面2eには、脱衣室18に通じる扉18aが設けられている。
【0030】
浴槽4は、浴室2の側壁面2cに沿って配置され、側壁面2cに隣接している一方の側壁面2bから他方の側壁面2dまで延びており、上面視において略長方形に構成されている。
【0031】
鏡10は、側壁面2bの、シャワーバー8の側方に取り付けられており、縦長の長方形に構成されている。
浴室カウンター12は、側壁面2bの、シャワーバー8及び鏡10の下方に取り付けられた棚であり、所定の高さに水平方向に延びている。
脱衣室18は、浴室2に隣接して設けられた隣接室であり、側壁面2eに設けられた扉18aを介して、浴室2と出入りできるようになっている。
【0032】
次に、
図3及び
図4を新たに参照して、シャワー装置6を説明する。
図3は、側壁面2bに設けられたシャワー装置6の正面図である。
図4は、側壁面2bに設けられたターゲット指示部を拡大して示す図である。
シャワー装置6は、シャワー吐水、及びスパウト吐水が可能なシャワー装置であり、天井壁面2aに固定された固定シャワーヘッド6a、シャワーバー8に保持されたハンドシャワーヘッド6b、及び側壁面2bに取り付けられたスパウト6cを有する。さらに、シャワー装置6は、固定シャワーヘッド6a、ハンドシャワーヘッド6b、及びスパウト6cからの吐水、止水を切り替える電磁弁6d、吐出される湯水の温度を調整する温度調整弁6e、及び吐出される湯水の流量を調整する流量調整弁6fを備えている。
【0033】
固定シャワーヘッド6aは、浴室2の天井壁面2aに固定され、上方から入浴者に向けてシャワー吐水を行うように構成されている。また、本実施形態において、固定シャワーヘッド6aは、浴室2のコーナー付近の天井壁面2aに設けられている。即ち、固定シャワーヘッド6aは、鏡10等が設けられた側壁面2bと、浴槽4とは反対側の側壁面2eが交わるコーナーの近傍に設けられており、鏡10の前の入浴者の頭上からシャワー吐水を行うように構成されている。
【0034】
シャワーバー8は、側壁面2bに設けられており、バー部材8aと、ハンドシャワーヘッド6bを保持するヘッド保持部8bと、を有する。バー部材8aは、鉛直方向に延びるように側壁面2bに固定された棒状の部材であり、側壁面2bから所定の間隔を空けて側壁面2bと平行に延びている。ヘッド保持部8bは、バー部材8aに上下方向に摺動可能に取り付けられており、バー部材8a上の任意の高さに調整できるように構成されている。ヘッド保持部8bはハンドシャワーヘッド6bを保持可能に構成されており、ハンドシャワーヘッド6bはヘッド保持部8bから取り外して使用することができる。即ち、ハンドシャワーヘッド6bは、側壁面2bに固定されていない。なお、ハンドシャワーヘッド6bは、使用者が手で持った状態、或いは、ハンドシャワーヘッド6bをヘッド保持部8bに保持した状態で使用することができる。
【0035】
さらに、ターゲット指示部9が、側壁面2bの鏡10の側方に設けられている。
図4に示すように、ターゲット指示部9は、オーバーヘッドシャワー指示部9aと、スパウト指示部9bと、温度上昇指示部9cと、温度低下指示部9dと、流量増加指示部9e、流量低下指示部9fと、を有する。これらのターゲット指示部9は、使用者が動作によってシャワー装置6を操作しようとする際、使用者が動作を実行すべき位置を示すために設けられている。
【0036】
即ち、使用者が固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水を開始させる場合には、オーバーヘッドシャワー指示部9aに向けて手指を差し出す動作を行う。この動作が電波式レーダ14及び制御部16により検出され、制御部16はシャワー装置6の電磁弁6dを開弁させ、固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水が開始される。また、固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水中において、使用者が再びオーバーヘッドシャワー指示部9aに向けて手指を差し出す動作を行うと、この動作が検出され、シャワー吐水が停止される。同様に、使用者がスパウト指示部9bに向けて手指を差し出す動作を行うことにより、スパウト6cからの吐水、止水を切り替えることができる。
【0037】
さらに、使用者が、固定シャワーヘッド6a等からの吐水温度を上昇させる場合には、温度上昇指示部9cに向けて手指を差し出す動作を行うことにより、温度調整弁6eが制御部16によって制御され、固定シャワーヘッド6a等からの吐水温度が上昇する。同様に、吐水温度を低下させる場合には、温度低下指示部9dに向けて手指を差し出す動作を行うことにより、温度調整弁6eが制御され、固定シャワーヘッド6a等からの吐水温度が低下する。
【0038】
また、使用者が、固定シャワーヘッド6a等からの吐水流量を増加させる場合には、流量増加指示部9eに向けて手指を差し出す動作を行うことにより、制御部16によって流量調整弁6fが制御され、固定シャワーヘッド6a等からの吐水流量が増加する。同様に、吐水流量を低下させる場合には、流量低下指示部9fに向けて手指を差し出す動作を行うことにより、流量調整弁6fが制御され、固定シャワーヘッド6a等からの吐水流量が低下する。
【0039】
なお、本実施形態において、ターゲット指示部9は、使用者が手指を差し出す動作を行うべき位置を示す機能のみを備えており、単に、側壁面2bに付されたマークによって構成されている。これに対して変形例として、ターゲット指示部9は、単に、固定シャワーヘッド6aに関する温度や流量などの吐水状態を示す表示としての機能だけを有していてもよいし、ターゲット指示部9に実際の操作ボタンとしての機能を持たせることもできる。即ち、ターゲット指示部9は、使用者が手指を差し出す動作を行うべき位置を示す機能ばかりでなく、吐水状態を表示する表示部としての機能するように本発明を構成することもできる。また、各ターゲット指示部9が動作を行うべき位置を示す機能の他に、各機能を実行するための操作ボタンとして機能するように本発明を構成することもできる。この場合には、各ターゲット指示部9に使用者が手指を差し出すことによってシャワー装置6を操作することができると共に、故障時や停電時などに各ターゲット指示部9を押圧操作することによってもシャワー装置6を手動操作することもできる。
【0040】
一方、ハンドシャワーヘッド6bからの吐水、止水、及び吐出流量は、使用者が流量調整弁6fを手動で操作することにより、操作、調整することができる。また、使用者が温度調整弁6eを手動で操作することにより、ハンドシャワーヘッド6bから吐出される湯水の温度を調整することができる。なお、変形例として、ハンドシャワーヘッド6bを操作するためのターゲット指示部(図示せず)を浴室2の側壁面2bに設けておき、そのターゲット指示部に使用者が手指を差し出す動作により、ハンドシャワーヘッド6bが操作できるように本発明を構成することもできる。或いは、他の変形例として、ハンドシャワーヘッド6bがヘッド保持部8bによって保持されている状態では、使用者が手動で流量調整弁6f、温度調整弁6eを操作し、ハンドシャワーヘッド6bがヘッド保持部8bから外されているときは、使用者の動作により各操作ができるように本発明を構成することもできる。
【0041】
次に、
図5A乃至
図5Fを参照して、電波式レーダ14を説明する。
図5A乃至
図5Fは電波式レーダの側壁面への取付構造を示す断面図である。
電波式レーダ14は、浴室2内に電波を照射し、シャワーシステム1の使用者によって反射された電波を受信するように構成されている。具体的には、電波式レーダ14は、側壁面2bの鏡10の側方に設けられており、浴室2内に電波を放射状に照射して、反射されて戻った電波を検出するように構成されている。また、電波式レーダ14は、浴室2内に電波を所定の時間間隔で照射し、シャワーシステム1の使用者の検出を実行する。本実施形態において、電波式レーダ14は、周波数60GHz帯のミリ波を照射して、反射波を受信するように構成されている。好ましくは、24GHz帯乃至3THz帯、より好ましくは60GHz帯乃至79GHz帯の電波を照射する電波式レーダを使用する。
【0042】
電波式レーダ14は、反射されて戻った電波を受信することにより、その電波が反射された点の座標、反射された電波の強度、電波を反射した点の電波の進行方向の速度(ドップラー速度)を検出することができる。従って、電波式レーダ14による検出信号からは、電波を反射した点群の座標情報、各点からの反射波の強度の情報、各点の移動速度の情報を得ることができる。例えば、浴室2内に使用者が入室した場合には、使用者によって反射された電波が電波式レーダ14により検出され、使用者を表す点群の情報が検出される。
【0043】
また、電波式レーダ14から照射された電波は、浴室2の壁面等によっても反射されるが、各壁面は電波式レーダ14から比較的遠く、また、電波の反射率も低いため、壁面によって反射されて受信した電波の強度は比較的低くなる。さらに、電波式レーダ14から照射された電波の一部は側壁面2eを透過して、浴室2に隣接する脱衣室18にも入射する。このため、脱衣室18に人が入室した場合でも、電波式レーダ14により、これを検出することができる。従って、本実施形態においては、
図2に示すように、電波式レーダ14から照射され、反射された電波を受信することができる受信可能空間20は、浴室2内、及び脱衣室18内のほぼ全域に広がっている。
【0044】
なお、本実施形態においては、
図5Aに示すように、電波式レーダ14の検出部14a(電波を射出し、受信する部分)が側壁面2bの裏側(浴室2の外側)に取り付けられ、この検出部14aが側壁面2bの裏側に取り付けたレーダ筐体14bにより覆われている。これに対して変形例として、
図5Bに示すように、電波式レーダ14の検出部14aを側壁面2bの表側(浴室2内)に取り付け、この検出部14aを側壁面2bの表側に取り付けたレーダ筐体14bによって覆うように本発明を構成することもできる。
【0045】
さらに、
図5Cに示すように、電波式レーダ14の検出部14a全体がレーダ筐体14bによって覆われている場合には、側壁面2bの電波式レーダ14を取り付ける部分に開口を設け、この開口にレーダ筐体14bを嵌め込むことにより、電波式レーダ14を側壁面2bに設けることもできる。また、電波式レーダ14の検出部14aは、
図5Cに示すようにレーダ筐体14bの中の浴室2内側に取り付けられていても良いし、
図5Dに示すように、レーダ筐体14bの中の浴室2外側に取り付けられていても良い。
【0046】
或いは、
図5Eに示すように、電波式レーダ14の検出部14a全体を覆うレーダ筐体14bを側壁面2bの裏側に取り付け、又は、
図5Fに示すように、レーダ筐体14bを側壁面2bの表側に取り付けることもできる。なお、本明細書において、「壁面に電波式レーダを設ける」には、
図5A乃至
図5Fの全ての態様が含まれるものとする。また、浴室カウンター12やシャワー装置6の筐体(図示せず)の内部に電波式レーダ14の検出部14aを設けることもできる。
【0047】
制御部16は、電波式レーダ14によって検出された信号に基づいて、浴室2内に設定された所定の検出空間内におけるシャワーシステム1の使用者の動作を検出し、検出された使用者の動作に基づいて固定シャワーヘッド6aからの吐水を制御するように構成されている。即ち、浴室2内には、受信可能空間20の内部に所定の検出空間22(
図2)が設定されている。電波式レーダ14によって検出された信号は制御部16に送られ、制御部16は、入力された信号に基づいて、設定された検出空間22の中で、使用者により所定の動作が行われたか否かを判断する。所定の動作が行われた場合には、制御部16はシャワー装置6に制御信号を送り、固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水を開始させ、又は停止させる。本実施形態において、検出空間22は、電波式レーダ14の前方(
図2)、且つ浴室カウンター12の上方(
図12)に位置する、直方体形状の空間として設定されている。なお、具体的には、制御部16は、マイクロプロセッサ、メモリ、インターフェイス回路、及びこれらを作動させるためのソフトウェア(以上、図示せず)から構成されている。
【0048】
次に、
図6乃至
図9Bを参照して、制御部16において実行される、使用者の動作を検出する処理を説明する。
まず、上述したように、電波式レーダ14は、浴室2内の各方向に電波を照射する。電波式レーダ14から照射される電波は、
図2に示す受信可能空間20全体をカバーするように、各方向に向けて照射される。さらに、電波式レーダ14は、照射した電波の反射波を受信する。ここで、浴室2の各壁面、及び床面は、比較的、電波式レーダ14から遠く、また、電波の反射率も低いため、浴室2内に使用者が居ない場合には、電波式レーダ14によって受信される反射波の強度は低くなる。
【0049】
一方、使用者が脱衣室18や浴室2に入室すると、人体は電波を比較的強く反射するため、使用者によって反射された比較的強い反射波が電波式レーダ14によって受信される。ここで、電波式レーダ14は、各方向に照射した電波が、どれだけの距離伝播したところで反射されたかを検出することができる。これにより、電波が反射された点の座標情報が得られ、浴室2内に入室した使用者が、
図6の左欄に示すように、点群として電波式レーダ14によって検出される。
【0050】
また、
図6の右欄は、各点から反射された電波の強度を横軸に、その強度を示す点の頻度(点の数)を縦軸として模式的に示したグラフである。上記のように、電波式レーダ14から照射され、浴室2の各壁面等によって反射された反射波は強度が低くなる。また、電波式レーダ14から照射された電波の多くは浴室2の各壁面等によって反射されるため、このような電波の頻度(点の数)は多くなる。これにより、
図6の右欄のグラフには、反射波の強度が低い領域に1つのピークができる。一方、浴室2内に入室した使用者によって反射された反射波は、比較的強度が高いため、
図6の右欄のグラフには、反射波の強度が高い領域に、使用者によって反射された反射波によるもう一つのピークができる。そして、受信した反射波のうち、所定の強度閾値以下の電波はノイズと判定され、検出データから削除される。この処理により、
図6の左欄に示す点群が検出される。
【0051】
ここで、受信した電波をノイズと判定する強度閾値Ithは、検出された反射波に基づいて変更することができる。本実施形態においては、CFAR(Constant False Alarm Rate)法により、強度閾値Ithが決定される。一般に、強度閾値Ithは、低く設定するほど、検出しようとする目標の検出確率は上昇するが、誤警報(検出)確率も高くなる。一方、強度閾値Ithを高く設定すると、誤警報確率を低くすることはできるが、目標の検出確率は低下してしまう。このように、目標の検出確率と誤警報確率は、強度閾値Ithの設定により変化し、トレードオフの関係になる。CFAR法は、受信された反射波の強度分布に基づいて、誤警報確率が一定となるように強度閾値Ithを設定する手法として一般に知られている。
【0052】
さらに詳細には、電波式レーダ14は、照射した電波を反射した点の、電波の進行方向の速度(ドップラー速度)も検出することができる。このため、浴室2の壁面等によって反射された電波からは速度ゼロが検出され、浴室2内で動いている使用者によって反射された電波からは正(電波式レーダ14から離れる方向)又は負(電波式レーダ14に近づく方向)の速度が検出される。
【0053】
このようにして得られた各点から反射された電波の強度の情報、及び各点の速度の情報を掛け合わせることによって、脱衣室18内や浴室2内の使用者を、点群としてより正確に検出することができる。さらに、電波を反射した点群の重心位置を計算することにより、浴室2内等における使用者の位置の情報を得ることができる。また、点群のうちの最高点の高さに基づいて、使用者の身長や、使用者の姿勢等の情報を得ることができる。
【0054】
しかしながら、浴室2内において、固定シャワーヘッド6aからシャワー吐水が行われている場合、シャワーを浴びている使用者を電波式レーダ14によって検出することが困難となる。即ち、固定シャワーヘッド6aから吐出されているシャワー吐水も電波を反射するため、電波式レーダ14には、シャワー吐水によって反射された電波も、検出対象物の点群として認識されてしまう。
【0055】
図7の左欄は、このような状態で検出された点群の一例を模式的に示すものである。また、
図7の右欄は、各点から反射された電波の強度を横軸に、その強度を示す点の頻度(点の数)を縦軸として模式的に示したグラフである。また、
図7の右欄のグラフにおいては、シャワー吐水又は使用者の胴体が反射した点の頻度を破線で示し、使用者がターゲット指示部9に向けて差し出した手指が反射した点の頻度を実線で示している。
【0056】
図7の右欄に示すように、電波式レーダ14によって検出される点群は、電波の強度、頻度(点の数)において、シャワー吐水又は使用者の胴体によって反射された電波(
図7に破線で示す)が支配的であり、使用者がターゲット指示部9に向けて差し出した手指から反射された電波(
図7に実線で示す)は、強度、頻度とも低くなる。このため、手指から反射された電波はノイズの中に埋もれてしまい(例えば、手指から反射された電波の強度が強度閾値よりも低くなる)、ターゲット指示部9に向けて差し出した使用者の手指を電波式レーダ14によって検出することが困難になる。
【0057】
そこで、本実施形態においては、検出空間22(
図2)内における使用者の動作の検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高くされている。より具体的には、本実施形態においては、固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水が開始されると、検出空間22内における使用者の動作の検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高くなるように変更される。
【0058】
図8乃至
図9Bは、検出空間22内の検出感度が高くなるように、検出感度を変更した場合における使用者の手指検出の一例を模式的に示す図である。
図8に示す例は、検出空間22の外側について、検出感度をゼロとした場合における検出結果の一例を示している。即ち、
図8に示す例では、電波式レーダ14は、電波の射出角度を制御して電波の射出方向を変えることにより検出空間22を通過する方向のみに電波を射出し、検出空間22を通過しない方向には電波を射出していない。
【0059】
この場合には、
図2に示すように、検出空間22を通過した電波は、シャワー吐水が行われている固定シャワーヘッド6aの下方の空間を通過しないため、シャワー吐水によって反射された電波が電波式レーダ14によって検出されることはない。このため、
図8に示す例では、検出空間22内で反射された反射波(
図8の右欄に実線で示す)のみが電波式レーダ14によって検出されている。即ち、検出空間22内に照射する電波の強度を検出空間22の外側の受信可能空間20内に照射する電波の強度(
図8の場合では強度=0)よりも強くすることにより、検出空間22内における使用者の動作の検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高くなる。これにより、
図8の左欄に示すように、検出空間22内に差し出された使用者の手指によって反射された反射波を検出することができる。
【0060】
或いは、電波式レーダ14により、受信可能空間20全体に電波を照射する一方、検出空間22以外の方向に射出され、反射された電波の受信感度をゼロとすることによっても、
図8と同様の結果を得ることができる。このように、検出空間22内で反射された電波の受信感度を検出空間22の外側の受信可能空間20内で反射された電波の受信感度(上記の例では受信感度=0)よりも高くすることもできる。
【0061】
次に、
図9Aに示す例は、検出空間22の外側について、検出感度を低下させた場合における検出結果の一例を示している。即ち、
図9Aに示す例では、電波式レーダ14は、検出空間22を通過する方向に射出する電波の強度を、検出空間22を通過しない方向に射出する電波の強度よりも強くしている。この結果、検出空間22内における使用者の動作の検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高くなる。
【0062】
これにより、
図9Aの右欄に示すように、検出空間22内で使用者の手指によって反射された反射波(
図9Aの右欄に実線で示す)の強度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内で使用者の胴体及びシャワー吐水によって反射された反射波(
図9Aの右欄に破線で示す)の強度よりも強く検出される。この結果、所定の強度閾値以下の強度の電波をノイズとして削除した場合でも、使用者の手指によって反射された反射波が削除されることはない。これにより、
図9Aの左欄に示すように、検出空間22内に差し出された使用者の手指によって反射された反射波を、点群として検出することができる。
【0063】
或いは、電波式レーダ14により、受信可能空間20全体に強度一定の電波を照射する一方、検出空間22以外の方向に射出され、反射された電波の受信感度を低くする(例えば、受信した反射波の強度に1よりも小さい重みを乗じる)ことによっても、
図9Aと同様の結果を得ることができる。
【0064】
即ち、
図9Bに示すように、電波式レーダ14により、受信可能空間20全体に強度一定の電波を照射する。そして、この電波が検出空間22内の点P1において反射された場合には、電波式レーダ14は、この受信した電波に対する重みを大きく(例えば、重み=1)する。これに対して、受信した電波が検出空間22外の点P2や、点P3において反射されたものである場合には、電波式レーダ14は、この受信した電波に対する重みを小さく(例えば、重み=0)する。この場合には、吐水空間24内において反射された電波(例えば、点P2において反射された電波)の影響を低減することができるので、
図9Bに示すように、検出空間22広く設定することもできる。このように、検出空間22内で反射された電波の受信感度を検出空間22の外側の受信可能空間20内で反射された電波の受信感度よりも高くすることもできる。
【0065】
さらに、上述した
図7に示す例では、電波式レーダ14によって受信された反射波に対し、その強度がCFAR法により決定された強度閾値I
thよりも低いものを削除していた。その結果、相対的に強度が低い使用者の手指からの反射波が削除され、使用者の手指を点群として検出することができなくなっていた(
図7の左欄)。これに対し、変形例として、検出空間22内で反射された反射波に対しては、強度閾値をCFAR法により決定された強度閾値I
thよりも所定値低く設定することもできる。即ち、検出空間22内で反射された電波に適用する強度閾値I
thを、検出空間22の外側の受信可能空間20内で反射された電波に適用する強度閾値I
thよりも低く設定する。これにより、検出空間22内で使用者の手指によって反射された反射波がノイズとして削除されにくくなり、使用者の手指を検出することが可能になる。この結果、検出空間22内における使用者の動作の検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高くされる。
【0066】
また、本実施形態においては、
図2に示すように、電波式レーダ14が、シャワー設置壁面である側壁面2bに設けられている。このため、検出空間22が電波式レーダ14の近傍に設定されることになり、検出空間22において反射された反射波は、比較的強い強度で電波式レーダ14に受信されることとなる。加えて、本実施形態においては、検出空間22が、側壁面2bと固定シャワーヘッド6aの下方の吐水空間24との間に設定されている。これにより、シャワー吐水中であっても、検出空間22に入射する電波が途中でシャワー吐水によって遮られることがなく、検出空間22における使用者の動作を確実に検出することができる。また、ターゲット指示部(
図3)が設けられた側壁面2bと固定シャワーヘッド6aの下方の吐水空間24との間に検出空間22が設定されていることにより、検出空間22に入射する電波が途中でシャワー吐水によって遮られることがないとともに、シャワー吐水中において自然と利用者が向いている方向に検出領域を設定でき使い勝手が良い。なお、固定シャワーヘッド6aが側壁面に固定されている場合には、「吐水空間24」は、固定シャワーヘッド6aから吐出された湯水が通過する空間を意味する。
【0067】
即ち、本実施形態においては、電波式レーダ14を「シャワー設置壁面」である側壁面2bに設けることにより、固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水中においても、シャワーシステム1の使用者の動作を検出できる位置に検出空間22を設定することができる。加えて、電波式レーダ14を「シャワー設置壁面」に設けることにより、検出空間22内における使用者の動作の検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高くされる。
【0068】
なお、本明細書において「シャワー設置壁面」とは、固定シャワーヘッドが側壁面に設けられている場合には、その固定シャワーヘッドが設けられた側壁面を意味する。また、固定シャワーヘッドが天井面に設けられている場合には、固定シャワーヘッドの近傍に位置する側壁面(
図2に示す例では側壁面2b及び2e)、及び天井壁面2aのうちの、シャワーヘッドの近傍に位置する側壁面と固定シャワーヘッドの間に延在する領域が、「シャワー設置壁面」に該当する。また、「固定シャワーヘッドの近傍に位置する側壁面」とは、固定シャワーヘッドの中心から約60cm以内に位置する側壁面を意味する。
【0069】
次に、
図10乃至
図14を参照して、本発明の第1実施形態によるシャワーシステム1の作用を説明する。
図10は、シャワーシステム1に備えられた制御部16において実行される処理を示すフローチャートである。
図11は、
図10に示すフローチャートから呼び出されるサブルーチンのフローチャートである。
図12及び
図13は、浴室2内に設定されている吐水空間及び検出空間を示す側面図である。なお、
図10に示すフローチャートによる処理は、シャワーシステム1の電源が投入されている状態では、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0070】
まず、
図10のステップS1においては、受信可能空間20(
図2)内が検査される。具体的には、
図11に示すサブルーチンが実行され、受信可能空間20内に使用者が立ち入っているか否かが検査される。
【0071】
次に、
図11のステップS11においては、制御部16により、電波式レーダ14から各種データが取得される。具体的には、電波式レーダ14の検出部14a(
図5A)から受信可能空間20全体に電波が射出され、受信された反射波から各種データが導出される。本実施形態においては、電波が反射された点から検出部14aまでの距離、電波が反射された点の方位角、電波が反射された点の仰角、受信した電波の強度、及び電波を反射した点のドップラー速度が導出される。
【0072】
次いで、ステップS12においては、各点から反射された反射波の強度に基づいて、低強度のノイズが除去される。本実施形態においては、CFAR法を使用して、強度閾値I
thが計算され、この強度閾値I
thよりも強度が低い反射波はノイズであると判定され、そのデータが除去される(
図6右欄の網掛け部分)。
【0073】
さらに、ステップS13においては、電波を反射した点のうち、ドップラー速度が低いものが除去される。一般に、電波を反射した各点のドップラー速度は、速度ゼロを中心に、負の値(電波式レーダ14の検出部14aに近づいている点)から正の値(検出部14aから遠ざかっている点)まで分布する。これらの点のうち、ドップラー速度が特にゼロに近い点は、静止した壁面や床面から反射されたものである可能性が高い。このため、本実施形態においては、ドップラー速度の絶対値が所定の速度閾値Vthよりも小さい点はノイズと判定され、除去される。
【0074】
次に、ステップS14においては、ステップS12における処理と、ステップS13における処理の掛け合わせにより、使用者を表すものと考えられる点群が算出される。本実施形態においては、反射波により検出された点のうち、反射波の強度が強度閾値Ith以上であり、且つ、ドップラー速度の絶対値が所定の速度閾値Vth以上である点が、使用者を表す点群として抽出される。
【0075】
さらに、ステップS15においては、ステップS14において抽出された点群の重心位置が算出され、
図11に示すサブルーチンによる処理を終了する。即ち、ステップS14において抽出された各点の重心位置が計算され、使用者は、この重心位置に居るものと判断される。
【0076】
図11のサブルーチンの処理が終了すると、制御部16における処理は、
図10のステップS2に進む。ステップS2においては、計算された重心位置(使用者の位置)が、受信可能空間20内の浴室2内であるか否かが判断される。計算された重心位置が浴室2内である場合にはステップS3に進み、浴室2外である場合には、
図10に示すフローチャートの1回の処理を終了する。即ち、使用者が浴室2内に居ない場合には、当然に、使用者の動作によるシャワー装置6の制御は実行されない。
【0077】
一方、ステップS3においては、計算された重心位置が浴室2の中の吐水空間24内であるか否かが判断される。即ち、
図12、
図13に示すように、浴室2内の固定シャワーヘッド6aの鉛直下方の空間は、固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水が落下する吐水空間24に設定されており、この空間内に点群の重心位置が位置するか否かが判断される。
【0078】
重心位置が吐水空間24内に位置しない場合にはステップS9に進み、ステップS9においては、受信可能空間20における電波式レーダ14による検出感度を基準値に設定する。さらに、ステップS10においては、検出空間22における電波式レーダ14による検出感度も基準値に設定し、
図10のフローチャートにおける処理はステップS1に戻る。
【0079】
本実施形態においては、受信可能空間20における検出感度の基準値と、検出空間22における検出感度の基準値は同一にされている。この状態においては、検出空間22内における使用者の動作の検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度と同一にされる。即ち、使用者が吐水空間24内に居ない状態では、使用者が動作によりシャワー装置6を操作する可能性は低いため、受信可能空間20と検出空間22の検出感度を同一にし、使用者の動きを広範囲で検出する。
【0080】
一方、ステップS3において、重心位置が吐水空間24内であると判断された場合には、ステップS4に進む。
ステップS4においては、固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水が行われているか否かが判断される。シャワー吐水が行われている場合にはステップS5に進み、シャワー吐水が行われていない場合にはステップS6に進む。なお、本実施形態において、制御部16は、電磁弁6dに対する制御信号に基づいて、シャワー吐水が行われているか否かを判断している。即ち、制御部16が電磁弁6dを開弁させる制御信号を出している状態では、電磁弁6dを通過した湯水が固定シャワーヘッド6aから吐水されるので、シャワー吐水が行われている、と判断される。また、変形例として、電波式レーダ14によって検出された点群のデータに基づいて、シャワー吐水が行われているか否かを判断することもできる。
【0081】
一方、シャワー吐水が行われている場合にはステップS5に進み、ステップS5においては、検出空間22内における使用者の動作の検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高くなるように変更される。即ち、シャワー吐水が行われていない状態においては、
図12に示すように、吐水空間24内に使用者が居る場合でも、検出空間22内における検出感度と、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度は同一にされる。一方、シャワー吐水が行われている状態では、
図13に示すように、検出空間22内における検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高くされる。
【0082】
また、本実施形態において、
図2、
図12及び
図13に示すように、検出空間22は、側壁面2bに沿って、浴室カウンター12の上面から、所定の高さまで延びる直方体状の空間として、吐水空間24とは重ならない位置に設定されている。この検出空間22の高さは、電波式レーダ14によって検出された使用者の身長に応じて、適宜変更することもできる。即ち、使用者の身長が高い場合には検出空間22の高さを高くし、使用者の身長が低い場合には検出空間22の高さを低く設定しても良い。さらに、使用者の姿勢に応じて検出空間22の高さを変更することができる。例えば、
図14に示すように、使用者が座っている場合には、検出空間22の高さを低く設定しても良い。このように、使用者の身長や姿勢に応じて検出空間22の高さを変更することにより、使用者が行う動作を確実に検出することができる。
【0083】
なお、
図7乃至
図9Aにより説明したように、検出空間22内の検出感度を受信可能空間20内の検出感度よりも高くするには種々の方法がある。本実施形態においては、検出空間22内に照射する電波の強度を検出空間22の外側の受信可能空間20内に照射する電波の強度よりも強くすることにより、検出空間22内における検出感度を、受信可能空間20内の検出感度よりも高くしている。
【0084】
即ち、本実施形態においては、検出空間22内に照射する電波の強度を、基準値よりも強くすることにより検出空間22内における検出感度が高くされる。これに対し、変形例として、検出空間22の外側の受信可能空間20内に照射する電波の強度を、基準値よりも弱くすることにより検出空間22内における検出感度を相対的に高くすることもできる。或いは、検出空間22内に照射する電波の強度を基準値よりも強くすると同時に、検出空間22の外側の受信可能空間20内に照射する電波の強度を基準値よりも弱くしても良い。さらに、照射する電波の強度を変更する以外の方法により、検出空間22内における検出感度を、受信可能空間20内の検出感度よりも高くすることもできる。
【0085】
また、本実施形態においては、シャワー吐水が行われている場合に、検出空間22内における検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高く変更されている。これに対して、変形例として、検出空間22内における検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも常に高くなるように、検出感度を設定することもできる。このように、検出空間22内における検出感度を、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高く設定することにより、固定シャワーヘッド6aからの吐水中においても、シャワー吐水によって反射された電波により、誤検出が発生するのを抑制することができる。
【0086】
次に、ステップS6においては、検出空間22内において、使用者が所定の動作を行ったか否かが判断される。即ち、検出空間22内で点群が検出され、その検出空間22内で検出された点群の重心が、側壁面2bに設けられたターゲット指示部9の方へ移動しているか否かが判断される。点群の重心がターゲット指示部9の方へ移動している場合には、使用者がシャワーシステム1を操作する所定の動作を行っていると判断され、ステップS7に進む。一方、検出空間22内で点群が検出されない場合、及び検出された点群の重心がターゲット指示部9の方へ向かっていない場合には、使用者は所定の動作を行っていないと判断され、フローチャートにおける処理は、ステップS1に戻る。
【0087】
さらに、ステップS7においては、検出空間22内で検出された点群の重心がターゲット指示部9のうちの、どの指示部に向かっているかが認識される。即ち、検出空間22内で検出された点群の位置に基づいて、使用者の手指がどの指示部に向けられているか識別される。
【0088】
次に、ステップS8において、制御部16は、ステップS7において識別されたターゲット指示部9に基づいてシャワー装置6に制御信号を送信し、フローチャートにおける処理は、ステップS1に戻る。例えば、使用者の手指がオーバーヘッドシャワー指示部9aに向けられていると判断された場合には、制御部16は電磁弁6dに制御信号を送り、固定シャワーヘッド6aからの吐水状態と止水状態を切り替える。即ち、固定シャワーヘッド6aから吐水されている状態において、使用者の手指がオーバーヘッドシャワー指示部9aに向けて差し出された場合には、固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水を停止させる。また、止水されている状態において、使用者の手指がオーバーヘッドシャワー指示部9aに向けて差し出された場合には、固定シャワーヘッド6aからのシャワー吐水を開始させる。
【0089】
さらに、制御部16は、使用者の手指がスパウト指示部9bに向けられていると判断された場合には、スパウト6cに接続されている電磁弁6dを開閉させる。また、使用者の手指が温度上昇指示部9c又は温度低下指示部9dに向けられていると判断された場合には、制御部16は温度調整弁6eに制御信号を送り、温度設定を変更する。さらに、使用者の手指が流量増加指示部9e又は流量低下指示部9fに向けられていると判断された場合には、制御部16は流量調整弁6fに制御信号を送り、流量設定を変更する。以上の処理が繰り返し実行されることにより、使用者の動作に基づいて固定シャワーヘッド6aからの吐水が制御される。
【0090】
なお、上述した本実施形態においては、使用者がターゲット指示部9に手指を差し出す動作により、シャワー装置6が制御されていた。これに対して、変形例として、ターゲット指示部9を使用せず、手指を検出空間22内で鉛直方向又は水平方向に振る等、予め設定された任意の動作に基づいてシャワー装置6が制御されるように本発明を構成することもできる。
【0091】
本発明の第1実施形態のシャワーシステム1によれば、使用者の動作を検出する検出空間22が、シャワー吐水により形成される吐水空間24と、天井壁面2aに固定されている固定シャワーヘッド6aの近傍に位置する側壁面2bとの間に設定されているので、シャワー吐水中においても使用者の動作の誤検出を抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態のシャワーシステム1によれば、受信可能空間20の内部に設定された検出空間22内における使用者の動作の検出感度が、検出空間22の外側の受信可能空間20内における検出感度よりも高いので、固定シャワーヘッド6aからの吐水が行われている状態であっても、ノイズ等の影響を受けにくくなり、使用者の動作の誤検出を抑制することができる。
【0093】
さらに、本実施形態のシャワーシステム1によれば、固定シャワーヘッド6aからの吐水が開始されると検出空間22内における検出感度が高くされるので、非吐水時には受信可能空間20内における使用者の動作を広く検知する一方、誤検知が発生しやすい吐水時には検出空間22内の検出感度を高くし、誤検出を抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態のシャワーシステム1によれば、検知された使用者の身長又は姿勢に基づいて、検出空間22の高さを変更するので、使用者が動作を行うことが予想される高さに検出空間22を設定することができ、使用者の動作をより確実に検出することができる。
【0095】
さらに、本実施形態のシャワーシステム1によれば、検出空間22内に照射する電波の強度を強くし、又は検出空間22内で反射された電波の受信感度を高くするので、検出空間22内における使用者の動作をより確実に検出することができる。
【0096】
また、本実施形態のシャワーシステム1によれば、検出空間22内で反射された電波に適用する強度閾値Ithが低く設定されるので、検出空間22内で反射された強度の低い反射波も信号として検出することができ、使用者の動作をより確実に検出することができる。
【0097】
さらに、本実施形態のシャワーシステム1によれば、電波式レーダ14をシャワー設置壁面である側壁面2bに設けているので、検出空間22内における使用者の動作の検出感度が必然的に高くなり、特別な構成又は処理を設けることなく、誤検出を抑制することができる。
【0098】
次に、
図15を参照して、本発明の第2実施形態によるシャワーシステム、及びそれを備えたシャワー室システムを説明する。
本実施形態のシャワーシステムは、シャワー装置がシャワー室に設けられている点が上述した第1実施形態とは異なる。従って、以下では、本発明の第2実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図15は、本発明の第2実施形態のシャワーシステムが備えられたシャワー室内を示す斜視図である。
【0099】
図15に示すように、本実施形態のシャワーシステム100は、シャワー室102内に設けられている。室であるシャワー室102は、天井壁面102a、4つの側壁面102b、102c、102d、102e、及び床面102fを備えている。また、シャワーシステム100は、側壁面102bに設けられており、この側壁面102bに対向する側壁面102dは、ほぼ全面がシャワー室102に出入りするための扉になっている。さらに、本実施形態のシャワーシステム100は、シャワー装置6と、電波式レーダ14と、制御部16と、を有する。
【0100】
シャワー装置6は、固定シャワーヘッド6aと、ハンドシャワーヘッド6bと、電磁弁6dと、温度調整弁6eと、流量調整弁6fと、を有する。
固定シャワーヘッド6aは、オーバーヘッドシャワー用のシャワーヘッドであり、天井壁面102aに固定され、使用者の頭上からシャワー吐水を行うように構成されている。また、固定シャワーヘッド6aは、側壁面102b及び102eの近傍に、天井壁面102aに設けられている。
【0101】
ハンドシャワーヘッド6bは、側壁面102bに取り付けられたシャワーバー8のヘッド保持部8bに保持され、ヘッド保持部8bはバー部材8aに摺動可能に取り付けられている。
また、温度調整弁6e及び流量調整弁6fは側壁面102bに設けられ、電磁弁6dは側壁面102bの裏側に設けられている。
【0102】
電波式レーダ14は、シャワー設置壁面である側壁面102bの裏側に設けられており、シャワー室102内、及びシャワー室102に隣接する隣接室(図示せず)内に電波を照射し、シャワーシステム100の使用者によって反射された電波を受信するように構成されている。
【0103】
制御部16は、電波式レーダ14によって検出された信号に基づいて、シャワー室102内に設定された所定の検出空間内におけるシャワーシステム100の使用者の動作を検出し、検出された使用者の動作に基づいて固定シャワーヘッド6aからの吐水を制御するように構成されている。即ち、使用者が側壁面102bに設けられたターゲット指示部9に手指を差し出すことにより、固定シャワーヘッド6aからの吐止水等を制御できるように構成されている。
【0104】
図15に示すように、本実施形態において、検出空間22は、シャワー室102の側壁面102b及び102eに隣接する直方体状の空間として設定されている。また、使用者によって反射された電波を受信可能な受信可能空間(図示せず)は、シャワー室102及びこれに隣接する隣接室(図示せず)内全体をカバーするように設定されている。
【0105】
次に、
図16を参照して、本発明の第3実施形態によるシャワーシステム、及びそれを備えたシャワー室システムを説明する。
本実施形態のシャワーシステムは、シャワー装置が所謂3in1式のバスルームに設けられている点が上述した第1実施形態とは異なる。従って、以下では、本発明の第3実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図16は、本発明の第3実施形態のシャワーシステムが備えられた室内を示す斜視図である。
【0106】
図16に示すように、本実施形態のシャワーシステム200は、室202内に設けられている。室202は、内部にシャワーシステム200の他、水洗大便器204、及び洗面化粧台205が配置された所謂3in1式のバスルームである。この室202の一角がガラス製又は樹脂製のパーティションにより区切られており、パーティションの内部にシャワーシステム200が設けられている。従って、本実施形態においては、室202の中に、パーティションによりシャワー室203が形成され、このシャワー室203とシャワーシステム200により、本実施形態のシャワー室システムが構成されている。
【0107】
室であるシャワー室203は、天井壁面203a、室202の一部を構成する2つの側壁面203b、203c、パーティションにより構成された2つの側壁面203d、203e、及び床面203fを備えている。また、シャワーシステム200は、側壁面203bに設けられており、この側壁面203bに対向する側壁面203dにはシャワー室203に出入りするための扉218が設けられている。さらに、本実施形態のシャワーシステム200は、シャワー装置6と、電波式レーダ14と、制御部16と、を有する。
【0108】
シャワー装置6は、固定シャワーヘッド6aと、ハンドシャワーヘッド6bと、電磁弁6dと、温度調整弁6eと、流量調整弁6fと、を有する。
固定シャワーヘッド6aは、オーバーヘッドシャワー用のシャワーヘッドであり、側壁面203bから水平方向に延びる配管の先端に固定され、使用者の頭上からシャワー吐水を行うように構成されている。従って、固定シャワーヘッド6aは、シャワー設置壁面である側壁面203bに固定されている。
【0109】
ハンドシャワーヘッド6bは、側壁面203bに取り付けられたシャワーバー8のヘッド保持部8bに保持され、ヘッド保持部8bはバー部材8aに摺動可能に取り付けられている。
また、温度調整弁6e及び流量調整弁6fは側壁面203bに設けられ、電磁弁6dは側壁面203bの裏側に設けられている。
【0110】
電波式レーダ14は、側壁面203bの裏側に設けられており、シャワー室203内、及びシャワー室203に隣接する隣接室である室202内に電波を照射し、シャワーシステム200の使用者によって反射された電波を受信するように構成されている。
【0111】
制御部16は、電波式レーダ14によって検出された信号に基づいて、シャワー室203内に設定された所定の検出空間内におけるシャワーシステム200の使用者の動作を検出し、検出された使用者の動作に基づいて固定シャワーヘッド6aからの吐水を制御するように構成されている。即ち、使用者が側壁面203bに設けられたターゲット指示部9に手指を差し出すことにより、固定シャワーヘッド6aからの吐止水等を制御できるように構成されている。
【0112】
図16に示すように、本実施形態において、検出空間22は、シャワー室203の側壁面203bに隣接する直方体状の空間として設定されている。また、使用者によって反射された電波を受信可能な受信可能空間(図示せず)は、シャワー室203及び室202内全体をカバーするように設定されている。
【0113】
なお、本発明の第3実施形態によるシャワーシステム200は、水洗大便器204及び洗面化粧台205が配置された室202内の一角に構成されたシャワー室に設けられ、シャワー室システムを構成していた。これに対して、変形例として、シャワーシステムを、浴槽、水洗大便器、洗面化粧台等が配置された浴室内に設け、浴室システムを構成することもできる。
【0114】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。例えば、上述した実施形態においては、入浴中の使用者の動作を電波式レーダによって検出し、シャワー装置の制御を行っていたが、この機能に加え、浴室内の使用者に事故や体調急変が発生しているか否かを、電波式レーダによって見守るように本発明を構成することもできる。
【符号の説明】
【0115】
1 シャワーシステム
2 浴室(室)
2a 天井壁面
2b、2c、2d、2e 側壁面
2f 床面
4 浴槽
6 シャワー装置
6a 固定シャワーヘッド
6b ハンドシャワーヘッド
6c スパウト
6d 電磁弁
6e 温度調整弁
6f 流量調整弁
8 シャワーバー
8a バー部材
8b ヘッド保持部
9 ターゲット指示部
9a オーバーヘッドシャワー指示部
9b スパウト指示部
9c 温度上昇指示部
9d 温度低下指示部
9e 流量増加指示部
9f 流量低下指示部
10 鏡
12 浴室カウンター
14 電波式レーダ
14a 検出部
14b レーダ筐体
16 制御部
18 脱衣室(隣接室)
18a 扉
20 受信可能空間
22 検出空間
24 吐水空間
100 シャワーシステム
102 シャワー室
102a 天井壁面
102b、102c、102d、102e 側壁面
102f 床面
200 シャワーシステム
202 室
203 シャワー室
203a 天井壁面
203b、203c、203d、203e 側壁面
203f 床面
204 水洗大便器
205 洗面化粧台
218 扉