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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082813
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20240613BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240613BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240613BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20240613BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240613BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/6554
H01M10/6551
H01M10/625
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196934
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正文
【テーマコード(参考)】
5E322
5H031
【Fターム(参考)】
5E322DA04
5E322EA11
5E322FA01
5H031KK01
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】バッテリモジュールの外面から熱を奪い良好な冷却を可能にするヒートシンクを構成する。
【解決手段】一方の端部のポート7から他方の端部のポート7に冷却流体が流通する冷却空間が、内部に形成された複数の冷却プレートCを備えている。冷却プレートCは、バッテリパックBの第1面W1に対向する第1プレートC1と、バッテリパックBの第2面W2に対向する第2プレートC2と、を少なくとも有する。2つのポート7は、長手方向の手前側Fと奥側Rとに振り分けて配置され、第1プレートC1の奥側Rにあるポート7と第2プレートC2の奥側Rにあるポート7とを連通させる中継流路11を更に備え、第1プレートC1の手前側Fにあるポート7から冷却流体が供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリモジュールで構成される直方体状のバッテリパックを冷却するヒートシンクであって、
一方の端部のポートから他方の端部のポートに冷却流体が流通する冷却空間が、前記バッテリパックの長手方向に沿って内部に形成された複数の冷却プレートを備え、
前記冷却プレートは、前記バッテリパックの前記長手方向に沿う第1面に対向する第1プレートと、前記バッテリパックの前記長手方向に沿う第2面に対向する第2プレートと、を少なくとも有しており、
2つの前記ポートは、前記長手方向に対して手前側と奥側とに振り分けられる姿勢で配置されており、
前記第1プレートの前記奥側にある前記ポートと前記第2プレートの前記奥側にある前記ポートとを連通させる中継流路を更に備え、
前記第1プレートの前記手前側にある前記ポートから前記冷却流体が供給されるヒートシンク。
【請求項2】
前記第1プレートが対向する前記第1面が、前記バッテリパックの側面であり、前記第2プレートが対向する前記第2面が前記バッテリパックの底面であり、
前記冷却プレートは、前記中継流路が前記第2プレートの前記手前側にある前記ポートと連通させる前記手前側にある前記ポートを含み、前記第1プレートと反対側の前記バッテリパックの側面に対向する第3プレートを更に有している請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記第1プレートが対向する前記第1面が、前記バッテリパックの底面であり、前記第2プレートが対向する前記第2面が前記バッテリパックの側面であり、
前記冷却プレートは、前記中継流路が前記第2プレートの前記手前側にある前記ポートと連通させる前記手前側にある前記ポートを含み、前記第2プレートと反対側の前記バッテリパックの側面に対向する第3プレートを更に有している請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記中継流路が内部に形成されたマニホールドを更に備えている請求項1~3の何れか一項に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記バッテリパックは、複数の前記バッテリモジュールの同じ極が前記長手方向に沿って並んで配置されており、
前記バッテリパックの前記側面に対向する複数の前記冷却プレートのうち、1番目に前記冷却流体が流通する前記冷却プレートに前記バッテリモジュールの正極が近接している請求項2又は3に記載のヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却流体が供給されることにより冷却を実現するヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシンクとして特許文献1には、電池のセルアッセンブリーの一方の側面に第1ヒートシンクを配置し、他方の側面に第2ヒートシンクを配置したヒートシンクが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-529202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1におけるヒートシンクでは、第1,第2ヒートシンクはプレート状であり、夫々には冷媒が流れる冷却流路を内部に形成した構成が記載されている。この特許文献1では、第1,第2のヒートシンクは、電池セルの積層方向に延びる空間の両側部に配置されている。この第1ヒートシンクでは、電池の積層方向の一方の端部からの冷媒を供給し、冷却流路に流れた冷媒を、同じ端部から送り出すように構成されている。
【0005】
また、特許文献1に記載される構成では、第1ヒートシンクから送り出された冷媒を、第2ヒートシンクのうち第1ヒートシンクと同じ側の端部から、この第2ヒートシンクに供給し、同じ側の端部から排出する。
【0006】
しかしながら、第1,第2ヒートシンクに対し、同じ端部から冷媒の給排を行う構成では、冷媒昇温の影響を受け、下流側のセル冷却が不十分になる傾向がある。
【0007】
このような理由から、バッテリモジュールの外面から熱を奪い良好な冷却を可能にするヒートシンクが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るヒートシンクの特徴構成は、複数のバッテリモジュールで構成される直方体状のバッテリパックを冷却するヒートシンクであって、一方の端部のポートから他方の端部のポートに冷却流体が流通する冷却空間が、前記バッテリパックの長手方向に沿って内部に形成された複数の冷却プレートを備え、前記冷却プレートは、前記バッテリパックの前記長手方向に沿う第1面に対向する第1プレートと、前記バッテリパックの前記長手方向に沿う第2面に対向する第2プレートと、を少なくとも有しており、2つの前記ポートは、前記長手方向に対して手前側と奥側とに振り分けられる姿勢で配置されており、前記第1プレートの前記奥側にある前記ポートと前記第2プレートの前記奥側にある前記ポートとを連通させる中継流路を更に備え、前記第1プレートの前記手前側にある前記ポートから前記冷却流体が供給される点にある。
【0009】
この特徴構成によると、バッテリパックの長手方向に沿う第1面から第1プレートが熱を奪い、バッテリパックの長手方向に沿う第2面から第2プレートが熱を奪うことでバッテリパックを冷却する。特に、第1プレートの手前側のポートから冷却流体を供給し、第1プレートの冷却空間に流れた冷却流体が奥側のポートから送り出され後に、中継流路から第2プレートの奥側のポートに供給される。この後冷却流体は、第2プレートの手前側のポートから送り出される。このように冷却流体は第1プレートにおいて奥側に流れた後、中継流路によって折り返され第2プレートにおいて手前側に流れるため、バッテリパックの手前側と奥側との温度勾配を小さくする。従って、バッテリモジュールの外面から熱を奪い良好な冷却を可能にするヒートシンクが構成された。
【0010】
上記構成に加えた構成として、前記第1プレートが対向する前記第1面が、前記バッテリパックの側面であり、前記第2プレートが対向する前記第2面が前記バッテリパックの底面であり、前記冷却プレートは、前記中継流路が前記第2プレートの前記手前側にある前記ポートと連通させる前記手前側にある前記ポートを含み、前記第1プレートと反対側の前記バッテリパックの側面に対向する第3プレートを更に有しても良い。
【0011】
これによると、バッテリパックの側面の第1面を第1プレートで冷却し、バッテリパックの底面の第2面を第2プレートで冷却し、バッテリパックの第1面と反対側の面を第3プレートで冷却することが可能となる。また、この構成では、バッテリパックの一方の側面(第1プレート)、底面(第2プレート)、他方の側面(第3プレート)の順番で冷却流体を循環させ、第1プレートに流れた冷却流体を奥側の中継流路によって折り返すように第2プレートに供給し、この第2プレートに供給された冷却流体を、手前側の中継流路で折り返して第3プレートに供給する構成となる。その結果、バッテリパックの奥側が流体昇温の影響を受けにくく、バッテリパックの手前側と奥側との温度勾配を小さくすることも可能となる。
【0012】
上記構成に加えた構成として、前記第1プレートが対向する前記第1面が、前記バッテリパックの底面であり、前記第2プレートが対向する前記第2面が前記バッテリパックの側面であり、前記冷却プレートは、前記中継流路が前記第2プレートの前記手前側にある前記ポートと連通させる前記手前側にある前記ポートを含み、前記第2プレートと反対側の前記バッテリパックの側面に対向する第3プレートを更に有しても良い。
【0013】
これによると、バッテリパックの底面の第1面を第1プレートで冷却し、バッテリパックの側面の第2面を第2プレートで冷却し、バッテリパックの第2面と反対側の面を第3プレートで冷却する。また、この構成では、バッテリパックの底面(第1プレート)、一方の側面(第2プレート)、他方の側面(第3プレート)の順番で冷却流体を循環させ、第1プレートに流れた冷却流体を奥側の中継流路によって折り返すように第2プレートに供給し、この第2プレートに供給された冷却流体を、手前側の中継流路で折り返して第2プレートに供給する。その結果、バッテリパックの奥側が流体昇温の影響を受けにくく、バッテリパックの手前側と奥側との温度勾配を小さくすることも可能となる。
【0014】
上記構成に加えた構成として、前記中継流路が内部に形成されたマニホールドを更に備えても良い。
【0015】
これによると、2つの冷却プレートのうちの一方の冷却プレートのポートから送り出された冷却流体を、他方の冷却プレートのポートに対してマニホールドによって供給することが可能となる。このマニホールドには、他の流路も配置することが可能となり、装置構成をコンパクトにできる。
【0016】
上記構成に加えた構成として、前記バッテリパックは、複数の前記バッテリモジュールの同じ極が前記長手方向に沿って並んで配置されており、前記バッテリパックの前記側面に対向する複数の前記冷却プレートのうち、1番目に前記冷却流体が流通する前記冷却プレートに前記バッテリモジュールの正極が近接しても良い。
【0017】
これによると、1番目に冷却流体が流通する冷却プレートは相対的に低温であるため、正極の近傍の発熱が、負極側の近傍の発熱より大きい電池(バッテリモジュール)に対して良好な放熱を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ヒートシンクの全体の構成を示す斜視図である。
図2】冷却プレートとバッテリモジュールとの位置関係を示す平面図である。
図3】冷却プレートの冷却空間と冷却流体の流動方向とを示す展開断面図である。
図4】手前側と奥側とのマニホールドの配置を示す図である。
図5】別実施形態(a)の冷却プレートの冷却空間と冷却流体の流動方向とを示す展開断面図である。
図6】別実施形態(a)の手前側と奥側とのマニホールドの配置を示す図である。
図7】別実施形態(b)のヒートシンクの全体の構成を示す斜視図である。
図8】別実施形態(b)の冷却プレートの冷却空間と冷却流体の流動方向とを示す展開断面図である。
図9】別実施形態(c)の冷却プレートの冷却空間と冷却流体の流動方向とを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、複数の単位セルが夫々積層された複数(実施形態では8つ)のバッテリモジュールBaで構成される直方体状のバッテリパックBを冷却する複数(実施形態では3つ)の冷却プレートCと、複数の冷却プレートCの夫々の冷却空間に冷却流体を供給する冷却流体ポンプ1と、冷却流体の放熱を行う放熱部2とを備えてヒートシンクAが構成されている。尚、本実施形態におけるヒートシンクAは、複数の冷却プレートCの組合体として説明する。
【0020】
このヒートシンクAは、バッテリパックBから供給される電力によって走行するEV車に備えられるものを想定している。ヒートシンクAは、バッテリパックBの熱を奪いバッテリパックBの温度上昇を抑制する。バッテリパックBのバッテリモジュールBaには、リチウムイオン電池のように充電が可能な二次電池が用いられる。
【0021】
複数のバッテリモジュールBaが電気的に接続されたバッテリパックBは、一方S1の第1面W1と、底部側の第2面W2と、第1面W1の反対側となる他方S2の第3面W3とが長手方向に沿って形成されている。第1面W1に沿って配置した冷却プレートCを第1プレートC1と称している。これと同様に、第2面W2に沿って配置した冷却プレートCを第2プレートC2と称し、第3面W3に沿って配置した冷却プレートCを沿う第3プレートC3と称している。
【0022】
第1プレートC1と、第2プレートC2と、第3プレートC3とは、夫々の長手方向が、バッテリパックBの長手方向に沿って配置される。また、これらの冷却プレートCは、長手方向の手前側Fと奥側Rとに振り分けて配置したポート7を備えている。更に、冷却プレートCは、冷却空間として、図3に示すように2つのポート7の間に「S」字状に蛇行する内部流路8が形成されている。
【0023】
図1図4に示すように、ヒートシンクAは、第1プレートC1、第2プレートC2及び第3プレートC3の手前側Fと奥側Rとに端部プレート5を配置しており、この一対の端部プレート5に対して3つの冷却プレートCがボルト6で固定される。これにより3つの冷却プレートCと、一対の端部プレート5とに囲まれる領域にバッテリ収容空間Vが形成される。このバッテリ収容空間VにバッテリパックB(複数のバッテリモジュールBa)が収容される。
【0024】
ヒートシンクAは、冷却流体ポンプ1から送り出された冷却流体を、供給流路3から第1プレートC1に供給する。このように供給された冷却流体は、第2プレートC2と、第3プレートC3とに順次供給され、この供給の後に排出流路4から排出される。
【0025】
尚、冷却流体として、エチレングリコールや、プロピレングリコール等を含むロングライフクーラント(LLC)等の冷却水、パラフィン系等の絶縁油、又はハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロフルオロオレフィン(HFO)等の冷媒が用いられる。
【0026】
特に、冷却プレートCに形成された一方のポート7は、幅方向の一方の端部側に配置され、他方のポート7は、幅方向の他方の端部側に配置される。具体的に説明すると、幅方向とは、第1プレートC1と第3プレートC3とにおいて上下方向であり、幅方向の一方の端部側とは高い位置であり、幅方向の他方の端部とは低い位置となる。これと同様に、第2プレートC2では、幅方向の一方の端部とは、図3に示す一方S1または他方S2であり、幅方向の他方の端部とは一方S1または他方S2の逆側となる。
【0027】
〔流路構成〕
図1図3図4に示すように、第1プレートC1は、手前側Fの上部位置と、奥側Rの下部位置とにポート7が配置される。第2プレートC2は、手前側Fの幅方向の他方S2の位置と、奥側Rの幅方向の一方S1の側とにポート7が配置される。第3プレートC3は、手前側Fの下部位置と、奥側Rの上部位置とにポート7が配置される。
【0028】
図3図4に示すように、ヒートシンクAは、第1プレートC1の、奥側Rのポート7から送り出した冷却流体を、第2プレートC2の奥側Rのポート7に供給する第1マニホールド11(中継流路の一例)を備えている。更に、ヒートシンクAは、第2プレートC2の、手前側Fのポート7から送り出した冷却流体を、第3プレートC3の手前側Fのポート7に供給する第2マニホールド12(中継流路の一例)を備えている。
【0029】
第1マニホールド11と第2マニホールド12とは、2つのポート7を連通させるため内部に流路を形成した構造であり、第1マニホールド11と第2マニホールド12とは、隣接する位置の端部プレート5に各別に支持される。尚、第1マニホールド11や第2マニホールド12は、端部プレート5と一体形成しても良いし、ポンプ等の補機類を備えた流路ハウジングに一体形成して良い。
【0030】
この流路構成から、供給流路3から第1プレートC1の手前側Fのポート7に供給された冷却流体は、奥側Rのポート7から第1マニホールド11を中継して第2プレートC2の奥側Rのポート7に供給される。次に、第2プレートC2に供給された冷却流体は、手前側Fのポート7から第2マニホールド12を介して第3プレートC3の手前側Fのポート7に供給される。この第3プレートC3は、供給された冷却流体を奥側Rのポート7から排出流路4に排出する。
【0031】
このように、ヒートシンクAは、供給流路3からの冷却流体を、第1プレートC1と、第2プレートC2と、第3プレートC3と、の順序で供給し、バッテリ収容空間Vに収容されたバッテリパックBの熱を、両側面と底面とで奪い、効率的な冷却を実現する。
【0032】
このヒートシンクAでは、図2に示すように、バッテリ収容空間Vに対し正極と負極(図2で「+」「-」で示している)の電極を上側にして複数のバッテリモジュールBaが隣接する位置関係で収容される。また、本実施形態では、全ての正極が長手方向に沿って並んで配置されている。バッテリモジュールBaは、正極(+)の側が、負極(-)の極より発熱量が大きい。
【0033】
この理由から、バッテリモジュールBaは、1番目に冷却流体が流通する第1プレートC1に正極(+)が近接しており、正極(+)の側を積極的に冷却する。また、図2に示すように、供給流路3から冷却冷媒が供給されるポート7を、バッテリモジュールBaの正極(+)に近い高さに設定し、第1プレートC1の内部流路8(冷却空間)のうち初期に冷却流体が流れる流路を高い位置に設定している。この配置により、ポート7から供給された冷却流体を正極(+)の近傍に最初に流し、バッテリモジュールBaの温度上昇を抑制している。
【0034】
図面には示していないが、底部に配置される第2プレートC2の上面と複数のバッテリモジュールBaの底面との間に伝熱シートを配置している。これにより、第2プレートC2と複数のバッテリモジュールBaとの間で良好な熱伝導を実現する。尚、伝熱シートは、第1プレートC1と、第3プレートC3との内面に配置しても良い。
【0035】
〔実施形態の作用効果〕
ヒートシンクAは、冷却プレートCから送り出された冷却流体を第1マニホールド11と、第2マニホールド12とで折り返して次の冷却プレートCに対し逆方向に流すように流路が形成される。このため、2つの冷却プレートCに冷却流体が流れる方向でのバッテリ収容空間Vにおける温度勾配を小さくして複数のバッテリモジュールBaの均一的な冷却を実現している。
【0036】
ヒートシンクAは、3つの冷却プレートCの間で冷却流体を送るために第1マニホールド11と、第2マニホールド12とを用いており、これらのマニホールド11,12が端部プレート5の外側に配置されていることから、マニホールドの内部に流路の短縮を実現している。また、夫々のマニホールド11,12を端部プレート5に支持するため、例えば、配管によって流路を繋ぐ構成と比較して中継流路の構成が簡素にできる。
【0037】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0038】
(a)図5図6に示すようにヒートシンクAは、バッテリ収容空間Vの下部の第1プレートC1と、バッテリ収容空間Vの一方S1の側部の第2プレートC2と、バッテリ収容空間Vの他方S2の側部の第3プレートC3と、を備えている。
【0039】
このヒートシンクAでは、第1プレートC1は、バッテリパックBの底面の第1面W1に対向する位置に配置される。第2プレートC2は、バッテリパックBの一方S1の側の第2面W2に対向する位置に配置される。第3プレートC3は、バッテリパックBの他方S2の側の第3面W3に対向する位置に配置される。
【0040】
このヒートシンクAは、冷却プレートCの一対のポート7を有する構成、内部流路8の構成が基本的に共通している。また、このヒートシンクAは、第1プレートC1と、第2プレートC2と、第3プレートC3とに対して、この順序で冷却流体が供給される。
【0041】
第1プレートC1は、手前側Fの幅方向の一方S1の側の位置と、奥側Rの幅方向の他方S2の側の位置とにポート7が配置される。第2プレートC2は、手前側Fの下部位置と、奥側Rの上部位置とにポート7が配置される。第3プレートC3は、手前側Fの下部位置と、奥側Rの上部位置とにポート7が配置される。
【0042】
ヒートシンクAは、供給流路3から第1プレートC1の手前側Fのポート7に供給された冷却流体は、奥側Rのポート7から第1マニホールド11(中継流路の一例)を中継して第2プレートC2の奥側Rのポート7に供給される。次に、第2プレートC2に供給された冷却流体は、手前側Fのポート7から第2マニホールド12(中継流路の一例)を介して第3プレートC3の手前側Fのポート7に供給される。この第3プレートC3は、供給された冷却流体を奥側Rのポート7から排出流路4に排出する。
【0043】
この別実施形態(a)では、上述した実施形態と同様に、奥側Rの端部プレート5の外面に第1マニホールド11を備え、手前側Fの端部プレート5の外面に第2マニホールド12を備えるものの、これらのマニホールドの形状は、実施形態と異なる。
【0044】
この別実施形態(a)のヒートシンクAでは、冷却プレートCから送り出された冷却流体を第1マニホールド11と、第2マニホールド12とで折り返して次の冷却プレートCに対し逆方向に流すため、2つの冷却プレートCに冷却流体が流れる方向でのバッテリ収容空間Vにおける温度勾配を小さくして複数のバッテリモジュールBaの均一的な冷却を実現する。
【0045】
特に、この別実施形態(a)のヒートシンクAでは、供給流路3から供給される冷却流体が最初に第1プレートC1に供給され、この第1プレートC1の上面にバッテリモジュールBaの底面が接触する構成であるため、バッテリモジュールBaの底面から熱を効率的に奪い、バッテリモジュールBaの冷却を良好に行える。
【0046】
(b)図7図8に示すように、バッテリ収容空間Vを取り囲む3箇所に冷却プレートCを配置し、複数の冷却プレートCの夫々の冷却空間に冷却流体を供給する冷却流体ポンプ1と、冷却流体の放熱を行う放熱部2とを備えてヒートシンクAを構成する。
【0047】
この別実施形態(b)では、冷却プレートCとして、一方S1の側部の第1プレートC1と、バッテリ収容空間Vの下部の底部の第2プレートC2と、バッテリ収容空間Vの他方S2の側部の第3プレートC3とが配置されている。第1プレートC1、第2プレートC2、第3プレートC3の順序で冷却流体が供給される。
【0048】
このヒートシンクAは、第1プレートC1が、バッテリパックBの一方S1の側の第1面W1に対向する位置に配置される。第2プレートC2が、バッテリパックBの底面の第2面W2に対向する位置に配置される。第3プレートC3が、バッテリパックBの他方S2の側の第3面W3に対向する位置に配置される。
【0049】
この別実施形態(b)のヒートシンクAは、冷却プレートCの配置と、冷却流体の供給順序とは、上述した実施形態と共通している。しかしながら、ヒートシンクAを構成する冷却プレートC(第1プレートC1、第2プレートC2、第3プレートC3)の夫々が、長手方向の端部の幅方向の中央に突出部15を形成し、この突出部15にポート7を有する点において実施形態と異なっている。
【0050】
図8に示すように、冷却プレートCは、内部の冷却空間として「S」字状に蛇行する内部流路8を有し、この内部流路8が両端のポート7に連通している。また、両端のポート7は、内面側(バッテリ収容空間Vに向かう側)に開口している。
【0051】
この別実施形態(b)では、手前側Fの端部プレート5が、第1プレートC1の手前側Fのポート7に連通する入力ブロック16と、第2マニホールド12とを備えている。これと同様に奥側Rの端部プレート5が、第2プレートC2の奥側Rのポート7に連通する排出ブロック17と、第1マニホールド11とを備えている。
【0052】
尚、入力ブロック16、第2マニホールド12の夫々は、手前側Fの端部プレート5に3つの冷却プレートCが適正に固定されることにより、対応するポート7と連通する状態に達する。これと同様に、排出ブロック17、第1マニホールド11の夫々は、奥側Rの端部プレート5に3つの冷却プレートCが適正に固定されることにより、対応するポート7と連通する状態に達する。
【0053】
このような構成から、供給流路3からの冷却流体を入力ブロック16に供給することにより、供給された冷却流体を入力ブロック16から、第1プレートC1の手前側Fのポート7に供給される。供給された冷却流体は、第1プレートC1の奥側Rのポート7から排出され、第1マニホールド11を中継して第2プレートC2の奥側Rのポート7に供給される。
【0054】
次に、第2プレートC2に供給された冷却流体は、手前側Fのポート7から第2マニホールド12を中継して第3プレートC3の手前側Fのポート7に供給される。この第3プレートC3に供給された冷却流体は、奥側Rのポート7から排出ブロック17を介して排出流路4に排出される。このように、マニホールド11,12やブロック16,17を設けることにより、組付性が向上する。
【0055】
(c)冷却プレートCの内部流路8は、図9に示すように、一方のポート7の流路を複数の流路に分岐させ、この後に、一つの流路に合流させて他方のポート7から送り出すように構成されるものでも良い。また、冷却プレートCの内部流路8を複数に分岐させずに一つの冷却空間としても良い。
【0056】
(d)2つの冷却プレートCを、底部と側部に配置することや、2つの冷却プレートCを両側部に配置する等、ヒートシンクAが、2つの冷却プレートCを備えて構成しても良い。このように構成する場合にも実施形態に記載した第1マニホールド11(中継流路)等を用いて、冷却流体の流れを折り返すことにより、良好な温度勾配での冷却を実現する。
【0057】
(e)複数の冷却プレートCを用いて構成されるヒートシンクAは、夫々の冷却プレートCに冷却流体を供給する順序は、実施形態に記載した順序に限るものではない。
【0058】
(f)バッテリモジュールBaは、正極と負極とが長手方向に沿って交互に配置されていても良い。この場合、バッテリモジュールBaの直列接続に必要な導線長を短縮できる。
【0059】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、バッテリパックを冷却するヒートシンクに利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
7 ポート
8 冷却流路(冷却空間)
11 第1マニホールド(中継流路)
12 第2マニホールド(中継流路)
A ヒートシンク
B バッテリパック
Ba バッテリモジュール
C 冷却プレート
C1 第1プレート
C2 第2プレート
C3 第3プレート
W1 第1面
W2 第2面
W3 第3面
F 手前側
R 奥側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9