(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082823
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】マッサージ機構
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A61H7/00 323D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196952
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石黒 文敬
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD12
4C100AD13
4C100AD17
4C100BA06
4C100BB03
4C100BC03
4C100BC08
4C100CA20
4C100DA04
4C100DA05
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】使用者の施療部に対して、一つの装置で多様なマッサージ動作を効果的に付与することで、多様な揉み感を付与して良好なマッサージを行うことができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明のマッサージ機構2は、上下方向に近接離反して施療部に対して掴み揉みマッサージを行う上部施療子4aと下部施療子4cを備えた第1マッサージ部12Rと、上下方向に近接離反して施療部に対して掴み揉みマッサージを行う上部施療子4dと下部施療子4fを備えた第2マッサージ部12Lと、駆動モータ15の駆動力を上下運動に変換し第1マッサージ部12Rに伝達する第1変換部13Rと、駆動力を上下運動に変換し第2マッサージ部12Lに伝達する第2変換部13Lを有し、第1マッサージ部12Rの上部施療子4aと下部施療子4cが挟み込むタイミングと、第2マッサージ部12Lの上部施療子4dと下部施療子4fが挟み込むタイミングが異なっている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に近接離反することで施療部に対して掴み揉みマッサージを行う上部施療子と下部施療子を備えている第1マッサージ部と、
前記第1マッサージ部と対となるように配備され且つ、上下方向に近接離反することで別の施療部に対して掴み揉みマッサージを行う上部施療子と下部施療子を備えている第2マッサージ部と、
駆動力を上下運動に変換して前記第1マッサージ部に伝達する第1変換部と、
駆動力を上下運動に変換して前記第2マッサージ部に伝達する第2変換部と、を有し、
前記第1マッサージ部に配備された前記上部施療子と前記下部施療子が挟み込むタイミングと、前記第2マッサージ部に配備された前記上部施療子と前記下部施療子が挟み込むタイミングが異なる構成とされている
ことを特徴とするマッサージ機構。
【請求項2】
前記駆動力を出力軸より出力する駆動モータを有し、
前記第1変換部に、前記第1マッサージ部の挟み込むタイミングをずらすことで、当該挟み込むタイミングが前記第2マッサージ部の挟み込むタイミングと異なるものとする遅延機構が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機構。
【請求項3】
前記遅延機構は、前記出力軸の正回転と逆回転で、前記第1マッサージ部の挟み込み動作の位相を切り替える切り替え部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機構。
【請求項4】
前記切り替え部は、
前記第1マッサージ部と前記第2マッサージ部を同じ位相で挟み込み動作を行わせる「第1挟み込み動作」と、
前記第2マッサージ部の挟み込み動作の位相に対して、前記第1マッサージ部の挟み込み動作を遅れる位相で挟み込み動作を行わせる「第2挟み込み動作」と、
を切り替え可能に構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機構。
【請求項5】
前記切り替え部は、回転体を軸体回りに正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、前記第1マッサージ部の挟み込み動作を前記第2マッサージ部の挟み込み動作に対して遅延させることで、前記第1マッサージ部の挟み込み動作の位相を切り替える「半回転クラッチ機構」とされている
ことを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機構。
【請求項6】
前記半回転クラッチ機構は、鉤部が形成されている切り替え軸と、前記鉤部が摺動自在に嵌り込む鉤溝部と、を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機構。
【請求項7】
前記半回転クラッチ機構は、前記回転体が前記軸体回りに正回転することにより、前記鉤部が前記鉤溝部内を正回転方向に半回転することで、前記鉤部が前記鉤溝部内の一方の終端に係合されると、前記第1マッサージ部の動きが遅延することにより、
前記第1マッサージ部と前記第2マッサージ部の挟み込み動作の位相を同位相に切り替えて、前記第1挟み込み動作を行わせる構成とされている
ことを特徴とする請求項6に記載のマッサージ機構。
【請求項8】
前記半回転クラッチ機構は、前記回転体が前記軸体回りに逆回転することにより、前記
鉤部が前記鉤溝部内を逆回転方向に半回転することで、前記鉤部が前記鉤溝部内の他方の終端に係合されると、前記第1マッサージ部の動きが遅延することにより、
前記第1マッサージ部を、前記第2マッサージ部の挟み込み動作の位相に対して遅れる挟み込み動作の位相に切り替えて、前記第2挟み込み動作を行わせる構成とされている
ことを特徴とする請求項6に記載のマッサージ機構。
【請求項9】
前記第1マッサージ部と前記第2マッサージ部は、前記切り替え部により、前記第1挟み込み動作と前記第2挟み込み動作に切り替え可能な構成とされていて、
前記第1挟み込み動作では、前記第1マッサージ部の上部施療子と下部施療子による上下方向の近接離反の位相と、前記第2マッサージ部の上部施療子と下部施療子による上下方向の近接離反の位相とが、同位相とされ、
前記第2挟み込み動作では、前記第1マッサージ部の上部施療子と下部施療子による上下方向の近接離反の位相と、前記第2マッサージ部の上部施療子と下部施療子による上下方向の近接離反の位相とが、異なる位相とされている
ことを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療部に対して効果的なマッサージを行うことができるマッサージ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マッサージ機には、施療部に対してマッサージを行うことができるマッサージ機構が収容されている。例えば、首掛け型のマッサージ機には、首部(首筋)や肩部をマッサージすることができるマッサージ機構が収容されている。このようなマッサージ機として、特許文献1に示すものがある。また、椅子型マッサージ機には、肩部や背中などの背部に対して揉みマッサージをすることができるマッサージ機構や、臀部や腿部などに対してマッサージをすることができるマッサージ機構などが収容されている。このようなマッサージ機構として、特許文献2に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許7049671号公報
【特許文献2】特開2016-135191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、首部や肩部などに対して十分にマッサージを行うことができ、高いマッサージ効果を得ることができるものである。また、特許文献2は、肩部・背中・腰部の背部などに対して十分に揉みマッサージを行うことができ、高いマッサージ効果を得ることができるものである。
【0005】
さて近年では、使用者からは多様な揉み感を求める要望や、さらに効果的なマッサージを受けたいとの要望などが挙がってきている。例えば、施療部に対して一定の周期的な動作(揺動運動の位相)で揉むマッサージだけではなく、揉む範囲などを変えたいとの要望が挙げられている。これまで、高いマッサージ効果を得ることができるマッサージの装置が特許文献1,2などのように様々市販されている。
【0006】
しかしながら、上記した使用者の要望に対しては、複数の装置を用意することで実現できる場合がある。この場合、使用者にとっては、装置を複数購入するといったコスト面などの負担が大きくなる。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、使用者の施療部に対して、一つの装置で多様なマッサージ動作を効果的に付与することで、多様な揉み感を付与して良好なマッサージを行うことができるマッサージ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0009】
本発明にかかるマッサージ機構は、上下方向に近接離反することで施療部に対して掴み揉みマッサージを行う上部施療子と下部施療子を備えている第1マッサージ部と、前記第1マッサージ部と対となるように配備され且つ、上下方向に近接離反することで別の施療部に対して掴み揉みマッサージを行う上部施療子と下部施療子を備えている第2マッサージ部と、駆動力を上下運動に変換して前記第1マッサージ部に伝達する第1変換部と、駆動力を上下運動に変換して前記第2マッサージ部に伝達する第2変換部と、を有し、前記第1マッサージ部に配備された前記上部施療子と前記下部施療子が挟み込むタイミングと、前記第2マッサージ部に配備された前記上部施療子と前記下部施療子が挟み込むタイミングが異なる構成とされていることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記駆動力を出力軸より出力する駆動モータを有し、前記第1変換部に、前記第1マッサージ部の挟み込むタイミングをずらすことで、当該挟み込むタイミングが前記第2マッサージ部の挟み込むタイミングと異なるものとする遅延機構が設けられているとよい。
【0011】
好ましくは、前記遅延機構は、前記出力軸の正回転と逆回転で、前記第1マッサージ部
の挟み込み動作の位相を切り替える切り替え部を有するとよい。
【0012】
好ましくは、前記切り替え部は、前記第1マッサージ部と前記第2マッサージ部を同じ位相で挟み込み動作を行わせる「第1挟み込み動作」と、前記第2マッサージ部の挟み込み動作の位相に対して、前記第1マッサージ部の挟み込み動作を遅れる位相で挟み込み動作を行わせる「第2挟み込み動作」と、を切り替え可能に構成されているとよい。
【0013】
好ましくは、前記切り替え部は、回転体を軸体回りに正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、前記第1マッサージ部の挟み込み動作を前記第2マッサージ部の挟み込み動作に対して遅延させることで、前記第1マッサージ部の挟み込み動作の位相を切り替える「半回転クラッチ機構」とされているとよい。
【0014】
好ましくは、前記半回転クラッチ機構は、鉤部が形成されている切り替え軸と、前記鉤部が摺動自在に嵌り込む鉤溝部と、を有するとよい。
【0015】
好ましくは、前記半回転クラッチ機構は、前記回転体が前記軸体回りに正回転することにより、前記鉤部が前記鉤溝部内を正回転方向に半回転することで、前記鉤部が前記鉤溝部内の一方の終端に係合されると、前記第1マッサージ部の動きが遅延することにより、前記第1マッサージ部と前記第2マッサージ部の挟み込み動作の位相を同位相に切り替えて、前記第1挟み込み動作を行わせる構成とされているとよい。
【0016】
好ましくは、前記半回転クラッチ機構は、前記回転体が前記軸体回りに逆回転することにより、前記鉤部が前記鉤溝部内を逆回転方向に半回転することで、前記鉤部が前記鉤溝部内の他方の終端に係合されると、前記第1マッサージ部の動きが遅延することにより、前記第1マッサージ部を、前記第2マッサージ部の挟み込み動作の位相に対して遅れる挟み込み動作の位相に切り替えて、前記第2挟み込み動作を行わせる構成とされているとよい。
【0017】
好ましくは、前記第1マッサージ部と前記第2マッサージ部は、前記切り替え部により、前記第1挟み込み動作と前記第2挟み込み動作に切り替え可能な構成とされていて、前記第1挟み込み動作では、前記第1マッサージ部の上部施療子と下部施療子による上下方向の近接離反の位相と、前記第2マッサージ部の上部施療子と下部施療子による上下方向の近接離反の位相とが、同位相とされ、前記第2挟み込み動作では、前記第1マッサージ部の上部施療子と下部施療子による上下方向の近接離反の位相と、前記第2マッサージ部の上部施療子と下部施療子による上下方向の近接離反の位相とが、異なる位相とされているとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のマッサージ機構によれば、使用者の施療部に対して、一つの装置で多様なマッサージ動作を効果的に付与することで、多様な揉み感を付与して良好なマッサージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のマッサージ機構の第1実施形態の概略を示した斜視図である。
【
図2】本発明のマッサージ機構の概略を示した正面図であり、第1挟み込み動作(正回転)と第2挟み込み動作(逆回転)を切り替えた図である。
【
図3】本発明のマッサージ機構の内部を示した正面図であり、第1挟み込み動作(正回転)と第2挟み込み動作(逆回転)を切り替えた図である。
【
図4】本発明のマッサージ機構の概略を示した前方斜視図であり、同じ揺動運動の位相時(正回転)における切り替え部の概略を示した分解図である。
【
図5】本発明のマッサージ機構の概略を示した後方斜視図であり、同じ揺動運動の位相時(正回転)における切り替え部の概略を示した分解図である。
【
図6】切り替え部により、マッサージ機構が同じ揺動運動の位相の第1挟み込み動作(正回転)を行う状態を示した背面図であり、第1右回転ボス部を部分断面した図である。
【
図7】第1右回転ボス部の断面を拡大した図である(正回転)。
【
図8】本発明のマッサージ機構の概略を示した前方斜視図であり、異なる揺動運動の位相時(逆回転)における切り替え部の概略を示した分解図である。
【
図9】本発明のマッサージ機構の概略を示した後方斜視図であり、異なる揺動運動の位相時(逆回転)における切り替え部の概略を示した分解図である。
【
図10】切り替え部により、マッサージ機構が異なる揺動運動の位相の第2挟み込み動作(逆回転)を行う状態を示した背面図であり、第1右回転ボス部を部分断面した図である。
【
図11】第1右回転ボス部の断面を拡大した図である(逆回転)。
【
図12】本発明のマッサージ機構を搭載した首掛け型のマッサージ機(第2実施形態)の概略を示した斜視図である。
【
図13】本発明のマッサージ機構の概略を示した前方斜視図であり、第1挟み込み動作と第2挟み込み動作を切り替えた図である。
【
図14】本発明のマッサージ機構の概略を示した前方斜視図であり、同じ揺動運動の位相時における切り替え部の概略を示した分解図である。
【
図15】切り替え部により、マッサージ機構が同じ揺動運動の位相の第1挟み込み動作を行う状態を示した右側面図であり、第1右回転ボス部を断面した図である。
【
図16】第1右回転ボス部の断面を拡大した図である。
【
図17】本発明のマッサージ機構の概略を示した後方斜視図であり、異なる揺動運動の位相時における切り替え部の概略を示した分解図である。
【
図18】切り替え部により、マッサージ機構が異なる揺動運動の位相の第2挟み込み動作を行う状態を示した右側面図であり、第1右回転ボス部を断面した図である。
【
図19】第1右回転ボス部の断面を拡大した図である。
【
図20】マッサージ機構の概略を示した前方斜視図であり、左変換部の概略を示した分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかるマッサージ機構2の実施形態を、図を参照して説明する。
【0021】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0022】
例えば、本発明にかかるマッサージ機構2(切り替え部14)は、巻き付け型のマッサージ機(第1実施形態)に搭載してもよいし、首掛け型のマッサージ機1(第2実施形態)に搭載してもよい。
【0023】
また、本発明にかかるマッサージ機構2(切り替え部14)は、肩部や背部などをマッサージする背揉みマッサージ機に搭載してもよいし、腿部や臀部などをマッサージする座部マッサージ機に搭載してもよい。また、脹脛や足部などをマッサージする下肢用マッサージ機に本発明のマッサージ機構2を搭載することも可能である。すなわち、本発明にかかるマッサージ機構2(切り替え部14)は、様々なマッサージ機または運動機などに搭載することが可能である。
[第1実施形態]
第1実施形態のマッサージ機構2は、巻き付け型のマッサージ機に内蔵されるタイプを例に挙げて説明する。
【0024】
また、本実施形態の説明をするにあたり、マッサージ機構2の前後及び左右等の方向については、図面に示す通りである。これはマッサージ機構2を内蔵したベルト型のマッサージ機を装着して使用する使用者から見た方向と一致する。以降の説明においては、図面において示す方向を、本発明のマッサージ機構2を説明する際の方向とする。また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略したり、仮想線などを用いて描いている。
【0025】
なお、本実施形態のマッサージ機に関して、可撓性を備えた左右のベルト状の把持部(図示せず)を手で持ち、例えば、首部、肩部、背中などの施療部に対して、施療子4を押し当てて、マッサージ機構2を駆動させてマッサージを行ってもよいし、腰部にマッサージ機構2の施療子4が当たるように、左右のベルト状の把持部を巻いて腰部をマッサージしてもよい。
【0026】
図1~
図11は、本実施形態のマッサージ機構2の構成について示した図である。
【0027】
図2の上図、
図3の上図、
図4、
図5、
図6、
図7などは、右側上下の施療子4a,4cと左側上下の施療子4d,4fが同じタイミングで上下方向に近接離反して施療部に対して挟み込みマッサージをする状態を示した図である。すなわち、左右の回転ボス部26L,26Rが正回転している状態を示す。
【0028】
図2の下図、
図3の下図、
図8、
図9、
図10、
図11などは、右側上下の施療子4a,4cが左側上下の施療子4d,4fに対して遅れて回転し、異なるタイミングで(左右交互に)上下方向に近接離反して施療部に対して挟み込みマッサージをする状態を示した図である。
【0029】
すなわち、左右の回転ボス部26L,26Rが正回転を反転させて逆回転にし、切り替え部14(半回転クラッチ機構14)により左側の回転ボス部26Lに対して、右側の回転ボス部26Rが半回転遅れて回転している状態を示す。
【0030】
なお、
図2、
図3などに示すように、正面視で、右側の回転ボス部26R(右上部の施療子4a)が反時計回りに回転し、左側の回転ボス部26L(左上部の施療子4d)が時計回りに回転する状態を「正回転」と呼ぶ。この正回転時におけるマッサージ部12の挟み込み動作(左右同時の挟み込み動作)を、本実施形態では「第1挟み込み動作」とする。
【0031】
また、正面視で、左側の回転ボス部26Lが反時計回りに回転し、右側の回転ボス部26R(右上部の施療子4a)が時計回りに、左回転ボス部26L(左上部の施療子4d)の回転より半回転遅れて(半回転ずれて)回転する状態を「逆回転」と呼ぶ。この逆回転時におけるマッサージ部12の挟み込み動作(左右交互の挟み込み動作)を、本実施形態では「第2挟み込み動作」とする。
【0032】
まず、本実施形態のマッサージ機構2の特徴を以下に述べる。
【0033】
本実施形態のマッサージ機構2は、右マッサージ部12Rに配備された右上部施療子4aと右下部施療子4cが近接離反する(挟み込む)タイミングと、左マッサージ部12Lに配備された左上部施療子4dと左下部施療子4fが近接離反する(挟み込む)タイミングが異なる(タイミングをずらすことができる)構成としていることを特徴としている。
【0034】
なお、本実施形態では、後述する第1変換部13R(右変換部13R)に、右マッサージ部12Rの挟み込むタイミングをずらすことで、右マッサージ部12Rと左マッサージ部12Lの挟み込むタイミングを異ならせる遅延機構が設けられている。
【0035】
すなわち、本実施形態のマッサージ機構2は、右上部の施療子4aと左上部の施療子4dを同じ位相で偏心回転させることで、左右上部の施療子4a,4dを左右方向に近接離反させる。
【0036】
これに加え、本実施形態のマッサージ機構2は、左マッサージ部12Lに配備された左上下の4d,4fの上下方向の近接離反に対して、右マッサージ部12Rに配備された右上下の施療子4a,4cの上下方向の近接離反をずらして行わせて、挟み込む(掴み揉み)マッサージをさせていることに特徴がある。
【0037】
本実施形態のマッサージ機構2は、右上部施療子4aと左上部施療子4dは偏心回転をすることで、右上部施療子4aと左上部施療子4dが近接したとき、施療部を左右方向から挟み込むマッサージを行うことができる。
【0038】
また、本実施形態のマッサージ機構2は、右上部施療子4aと右下部施療子4cが近接したとき、施療部を上下方向から挟み込むマッサージを行うことができる。同様に、本実施形態のマッサージ機構2は、左上部施療子4dと左下部施療子4fが近接したとき、施療部を上下方向から挟み込むマッサージを行うことができる。
【0039】
さらに、本実施形態のマッサージ機構2は、右上部施療子4aと右下部施療子4c、左上部施療子4dと左下部施療子4fの挟み込むタイミングをずらして、左右交互に施療部を挟み込むマッサージを行うことが可能となっている。
【0040】
つまり、本実施形態のマッサージ機構2は、右マッサージ部12Rの挟み込み動作を切り替え部14(詳細は後述)により可変とし、その右マッサージ部12Rに配備された右上下の施療子4a,4cと左マッサージ部12Lに配備された左上下の施療子4d,4fを使って、左右交互に施療部を挟み込む(掴み揉み)マッサージと、左右同時に施療部を
挟み込む(掴み揉み)マッサージを切り替えて行うことができる。
【0041】
本実施形態のマッサージ機構2は、駆動モータ15の出力軸15a(詳細は後述)を正回転させたとき、左マッサージ部12Lでは、左上部の施療子4dが偏心回転する(左側の回転は一定)。
【0042】
一方で、右マッサージ部12Rは、出力軸15aの正回転時に、切り替え部14により動作が切り替えられ、右上部の施療子4aが同位相で偏心回転することで、右上部施療子4aと左上部施療子4dが近接離反する。
【0043】
また、出力軸15aの正回転時には、左下部施療子4fが左上部施療子4dに対して上下方向に近接離反し、同じタイミングで右下部施療子4cが右上部施療子4aに対して上下方向に近接離反する。
【0044】
このように、本実施形態のマッサージ機構2は、出力軸15aの正回転時に同じ位相で、右上部施療子4aと左上部施療子4dとが左右方向に近接離反し、左上部施療子4dと下部施療子4fとが上下方向に近接離反し、右上部施療子4aと右下部施療子4cとが上下方向に近接離反することを、同じタイミング(同位相)で行う「第1挟み込み動作」を実施する。
【0045】
つまり、本実施形態のマッサージ機構2では、出力軸15aの正回転時に、左右上部の施療子4a,4dが偏心回転により近接すると左右方向から施療部を挟み込み、左右上部の施療子4a,4dが離反すると施療部に対する左右方向の挟み込みを緩めることを繰り返す。
【0046】
また、本実施形態のマッサージ機構2では、出力軸15aの正回転時に、左下部の施療子4fが左上部の施療子4dに近接することで上下方向から施療部を挟み込み、それと同時に、右下部の施療子4cが右上部の施療子4aに近接することで上下方向から施療部を挟み込み、左側の上下の施療子4d,4fが離反すると同時に右側の上下の施療子4a,4cが離反して左右の施療部に対する上下方向の挟み込みを緩めることを繰り返す。
【0047】
すなわち、本実施形態のマッサージ機構2では、左右上部の施療子4a,4dが左右方向から施療部を挟み込むとともに、右上下の施療子4a,4cが上下方向から施療部を挟み込み、同時に左上下の施療子4d,4fが上下方向から施療部を挟み込む、掴み揉みマッサージを行う。
【0048】
また、本実施形態のマッサージ機構2は、駆動モータ15の出力軸15aを逆回転させたとき、左マッサージ部12Lでは、左上部の施療子4dが偏心回転する(左側の回転は一定)。
【0049】
一方、右マッサージ部12Rは、出力軸15aの逆回転時に、切り替え部14により動作が切り替えられ、右上部の施療子4aが異なった位相で偏心回転する。これにより、右上部の施療子4aは、左上部の施療子4dに対して遅れて回転する。つまり、右上部の施療子4aと左上部の施療子4dは、互い違いに回転する。
【0050】
すなわち、本実施形態のマッサージ機構2は、第3ギア58R(回転体)の回転を切り替えると、第3ギア58Rは切り替え部14により、第2軸部材60R(軸体)回りに半回転し、右回転ボス部26Rは左回転ボス部26Lの回転より半回転分遅れて動き出すので、それに伴って左下部の施療子4fに対して右下部の施療子4cが半回転分遅れて動き出し、右下部の施療子4cが左下部の施療子4fと異なるタイミングで、右上部の施療子4aに対して上下方向に近接離反する。
【0051】
つまり、右マッサージ部12Rでは、右下部の施療子4cが左下部の施療子4fに対して、180°の位相差で上下方向に近接離反する(右側の位相は可変)。
【0052】
このように、本実施形態のマッサージ機構2は、左上部の施療子4dの偏心回転と右上部の施療子4aの偏心回転は互い違いの回転となり、左側の上下の施療子4d,4fの近接離反の動作に対して、右側の上下の施療子4a,4cの近接離反は遅れるタイミング(異なる位相)となり、「第2挟み込み動作」を行う。
【0053】
つまり、本実施形態のマッサージ機構2は、出力軸15aの逆回転時に、左側の上下の施療子4d,4fが近接することで左側の施療部を上下方向から挟み込む一方で、右側の上下の施療子4a,4cは離反して右側の施療部に対する上下方向の挟み込みを緩める。
【0054】
その後、左側の上下の施療子4d,4fが離反すると左側の施療部に対する上下方向の挟み込みを緩める一方で、右側の上下の施療子4a,4cは近接することで右側の施療部を上下方向から挟み込むといった異なる動作を繰り返す。
【0055】
すなわち、本実施形態のマッサージ機構2は、左側の上下の施療子4d,4fが一定の近接離反動作を行うのに対し、切り替え部14により、右側の上下の施療子4a,4cの近接離反動作が遅れる位相に切り替えられて、右側の上下の施療子4a,4cの近接離反動作が異なるタイミングとなり、右側上下の施療子4a,4cと左側上下の施療子4d,4fが左右交互(互い違い)に施療部を上下方向から挟み込む、掴み揉みマッサージを行う。
【0056】
以下に、本実施形態のマッサージ機構2を具体的に説明する。
【0057】
図1~
図11に示すように、本実施形態のマッサージ機構2は、基台9に配備され且つ駆動力を発生する駆動部10と、施療子4を複数備え且つ基台9上に左右に一対で配備されたマッサージ部12と、駆動部10より出力される駆動力の回転を正回転と逆回転に切り替えることで、マッサージ部12の挟み込み動作の位相を切り替える切り替え部14と、を有する。
【0058】
なお、本実施形態においては、右マッサージ部12R側に切り替え部14が配備されている。つまり、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相が、左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相(一定の位相)に対して切り替わる構成となっている。
【0059】
図2、
図3は、正回転時のマッサージ機構2と、逆回転時のマッサージ機構2の概要を示した正面図である。
図4は、前方から見た、右側のマッサージ部12Rに備えられた切り替え部14の正回転時における分解図である。
図5は、後方から見た、右側のマッサージ部12Rに備えられた切り替え部14の正回転時における分解図である。
【0060】
図6は、切り替え部14により、マッサージ機構2が同じ挟み込み動作の位相の第1挟み込み動作(正回転)を行う状態を示した背面図であり、右回転ボス部26Rを部分断面した図である。
図7は、
図6に示されている右回転ボス部26Rの断面を拡大した図である(正回転)。
【0061】
図8は、前方から見た、右側のマッサージ部12Rに備えられた切り替え部14の逆回転時における分解図である。
図9は、後方から見た、右側のマッサージ部12Rに備えられた切り替え部14の逆回転時における分解図である。
【0062】
図10は、切り替え部14により、マッサージ機構2が異なる左右交互の挟み込み動作の位相の第2挟み込み動作(逆回転)を行う状態を示した背面図であり、右回転ボス部26Rを部分断面した図である。
図11は、
図10に示されている右回転ボス部26Rの断面を拡大した図である(逆回転)。
【0063】
図4~
図11などに示すように、駆動部10は、回転駆動力(駆動力)を出力する駆動モータ15と、出力された回転駆動力を所定の速度に減速するギアケース16と、を有している。
【0064】
駆動モータ15は、正逆回転可能なモータであり、回転駆動力を出力する出力軸15a,15bが左右に備えられた二軸のモータである。駆動モータ15は基台9の中央に配備され、出力軸15aは右方向を向き且つ水平に配備され、出力軸15bは左方向を向き且つ水平に配備されている。駆動モータ15は、操作パネル(図示せず)を操作することにより、回転方向や速度などを制御可能となっている。
【0065】
本実施形態の駆動部10は、右出力軸15aから出力される回転駆動力により右マッサージ部12Rを駆動する右駆動機構10Rと、左出力軸15bから出力される回転駆動力により左マッサージ部12Lを駆動する左駆動機構10Lからなるものである。まず、右駆動機構10Rについて、説明する。
図4、
図5、
図8、
図9は、右駆動機構10R、右変換部13R(第1変換部13R)、切り替え部14の分解図である。
【0066】
図4、
図5、
図8、
図9などに示すように、右駆動機構10Rは、以下に述べる複数のギアで構成されているものである。右出力軸15aにはウォームギアが取り付けられていて、ギアケース16内に配備されている。右側のウォームギア15aは、ギアケース16内の第1ギア56Rと噛み合っている。右側の第1ギア56Rは、ウォームギア15aの
上側に配備されている。
【0067】
第1ギア56Rは、中央に貫通孔56aが設けられた円盤状のギアである。第1ギア56Rの貫通孔56aには、基板9に設けられた第1軸部材59Rが挿入されている。第1ギア56Rの前側には、第2ギア57Rが設けられている。
【0068】
右側の第2ギア57Rは、第1ギア56Rより小さい径とされ、中央に貫通孔57aが設けられている。第2ギア57Rの貫通孔57aは、第1ギア56Rの貫通孔56aと連通し且つ同一軸心とされている。貫通孔57a,56aには、基板9に設けられた第1軸部材59Rが挿入されている。つまり、第1ギア56Rと第2ギア57Rは、フランジ形状とされた一体型の二段ギアであり、第1軸部材59Rにより回転自在に支持されている。
【0069】
第2ギア57Rの上側には、第3ギア58Rが配備されている。右側の第3ギア58Rは、第2ギア57Rと噛み合っている。第3ギア58Rは、第2ギア57Rより大きい径とされた円盤状のギアである。第3ギア58Rの中央には、貫通孔58aが設けられている。第3ギア58Rの貫通孔58aには、基板9に設けられた第2軸部材60Rが挿入されている。つまり、第3ギア58Rは、第2軸部材60Rにより回転自在に支持されている。
【0070】
駆動モータ15の回転駆動力は、ウォームギア15aから第1ギア56Rへ伝達され、一体に回転する第2ギア57Rより第3ギア58Rへ伝達されることとなる。
【0071】
さて、本発明のマッサージ機構2は、右マッサージ部12Rの挟み込むタイミングと、左マッサージ部12Lの挟み込むタイミングをずらす遅延機構を備えている。この遅延機構は、右変換部13R(第1変換部13R)に設けられ、左右のマッサージ部12の挟み込み動作の位相を切り替える切り替え部14を有している。
【0072】
図4~
図11などに示すように、本実施形態においては、右マッサージ部12Rの基端側に切り替え部14を備えている。なお、切り替え部14については、左部マッサージ部12Lの基端側に備えていてもよい。
【0073】
切り替え部14は、駆動モータ15の出力軸15a,15bの正回転と逆回転で、左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相(一定の位相)に対して、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相(周期的な動作)を切り替えるものである。
【0074】
図2、
図3に示すように、本実施形態の切り替え部14は、左右一対のマッサージ部12の挟み込み動作を同じ位相で行わせる「第1挟み込み動作」と、左右いずれか一方のマッサージ部12(本実施形態では、左マッサージ部12L)が動き出した後に、その一方のマッサージ部12の挟み込み動作の位相に対して、他方のマッサージ部12(右マッサージ部12R)の挟み込み動作を遅れる位相で行わせる「第2挟み込み動作」と、を切り替え可能に構成されている。
【0075】
なお、本実施形態では、回転ボス部26が正回転しているとき、切り替え部14は「第1挟み込み動作」に切り替え、回転ボス部26が逆回転しているとき、切り替え部14は「第2挟み込み動作」に切り替えさせるものとする。
【0076】
切り替え部14は、左変換部13L(第2変換部13L)が動き出した後に、右変換部13Rの動き出しをずらす遅延動作により、第1挟み込み動作と第2挟み込み動作とを切り替えることができる。
【0077】
切り替え部14は、回転体を軸体回りに正回転方向または逆回転方向に所定の角度(例えば、1/4回転、1/3回転、1/2回転(半回転)など)に回転させた後に、右マッサージ部12Rの動きを、その回転させた分だけ遅延させることで、マッサージ部12の挟み込み動作の位相を切り替える「回転クラッチ機構」とされていると好ましい。なお、後述する鉤部51が設けられた部材が回転体であり、本実施形態では回転体は第3ギア58Rである。また、本実施形態では軸体は第2軸部材60Rである。
【0078】
本実施形態では、切り替え部14は、第3ギア58R(切り替え軸53)を第2軸部材60R(軸体)の軸心回りに正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、左マッサージ部12Lの動きに対して右マッサージ部12Rの動きを180°の位相差で遅延させることで、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相を切り替える「半回
転クラッチ機構」を採用している。
【0079】
つまり、本実施形態では、右回転ボス部26Rと右側の第3ギア58Rに設けられた半回転クラッチ機構14による遅延動作により右回転ボス部26Rを、左回転ボス部26Lの回転より半回転分遅らせて回転させ始めることにより、右マッサージ部12Rは左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相に対して遅れる挟み込み動作の位相に切り替えている。ただし、「半回転クラッチ機構14」は、半回転(180°)以外も含むものとする。例えば、120°、90°などが挙げられる。
【0080】
図4~
図11などに示すように、本実施形態の半回転クラッチ機構14(切り替え部14)は、第1挟み込み動作と第2挟み込み動作とを切り替える鉤部51と、その鉤部51が摺動自在に嵌り込む鉤溝部52と、鉤部51が設けられている切り替え軸53と、を有している。
【0081】
なお、本実施形態では、第3ギア58Rに鉤部51が設けられており、この第3ギア58Rが切り替え軸53である。第3ギア58Rは、第2軸部材60Rに対して正回転方向または逆回転方向に半回転し、その後に右回転ボス部26Rを回転させるものである。
【0082】
本実施形態の鉤部51は、第3ギア58R(回転体)の前面側に、前方に突出するように設けられている。鉤部51は、第2軸部材60R(軸体)の軸心方向前方に突設され、その第2軸部材60Rの外周側に沿って湾曲状に設けられた板部材である。すなわち、鉤部51は、後述する鉤溝部52に沿った湾曲状の膨出片といえる。
【0083】
この鉤部51は、第2軸部材60Rの外周曲面と同じ円弧の側壁と二つの終端壁51a,51bを有する湾曲部材である。一方の終端壁51aは、正回転時に、鉤溝部52の第1回転切替部54に係合する壁面である。他方の終端壁51bは、逆回転時に、鉤溝部52の第2回転切替部55に係合する壁面である。
【0084】
つまり、鉤部51は、鉤溝部52に嵌り込む形状で且つ、前後方向の長さ(高さ)が鉤溝部52と略同じである。この鉤部51は、鉤溝部52内において、第2軸部材60Rの軸心回りに摺動する。
【0085】
本実施形態の鉤溝部52は、右回転ボス部26Rの後面側に、後方に開口された状態で設けられている。鉤溝部52は、後方断面視で、第2軸部材60Rの外周を周回する三日月形状(C字状)の軌道を有する溝となっている。鉤溝部52は、第2軸部材60Rの外周に沿って設けられ、第2軸部材60Rの軸心方向に長い(深い)溝である。
【0086】
すなわち、鉤溝部52は、鉤部51の外周曲面と同じ円弧とされた湾曲溝である。また、鉤溝部52は、鉤部51に沿った湾曲状の溝である。つまり、鉤溝部52は、鉤部51が嵌り込む形状で且つ、前後方向の長さ(深さ)が鉤部51の高さと略同じである。
【0087】
この鉤溝部52は、第2軸部材60Rの外周を周回する円弧状の溝であり、二つの終端壁を有する軌道となっている。この二つの終端壁、すなわち側壁部54,55は、第2軸部材60Rに支持された第3ギア58Rの回転を切り替える回転切替部54,55とされている。
【0088】
回転切替部54,55は、第2軸部材60Rに支持された第3ギア58Rが正回転または逆回転したときに、半回転した鉤部51が係合することにより、右変換部13R(詳細は後述)の動作を遅らせて、右マッサージ部12Rの挟み込み動作を切り替えるものである。
【0089】
本実施形態では、半円状の鉤溝部52に設けられた一方の終端壁54が第1回転切替部54である。第1回転切替部54は、第2軸部材60Rに支持された第3ギア58Rの正回転時に、左右の変換部13L,13Rの動作を同調させるための部位である。
【0090】
すなわち、第3ギア58R(切り替え軸53)の正回転時において、第3ギア58Rの鉤部51が第2軸部材60Rの軸心回りに正回転方向に半回転した後に、鉤部51の一方の終端壁51aが第1回転切替部54に係合されることで、右回転ボス部26Rが左回転ボス部26Lとともに回転し始め、左右の変換部13L,13Rの動作を合わせて、右マッサージ部12Rを「第1挟み込み動作」に切り替える。
【0091】
また、半円状の鉤溝部52に設けられた他方の終端壁55が第2回転切替部55である。第2回転切替部55は、第2軸部材60Rに支持された第3ギア58Rの逆回転時に、左変換部13Lの動作に対し、右変換部13Rの動作を遅らせるため部位である。
【0092】
つまり、第3ギア58R(切り替え軸53)の逆回転時において、第3ギア58Rの鉤部51が第2軸部材60Rの軸心回りに逆回転方向に半回転した後に、鉤部51の他方の終端壁51bが第2回転切替部55に係合されることで、右回転ボス部26Rが左回転ボス部26Lの回転に対して半回転分遅れて回転し始め、左変換部13Lの動作に対して右変換部13Rの動作を遅らせて、右マッサージ部12R(詳細は後述)を「第2挟み込み動作」に切り替える。
【0093】
図4~
図7などに示すように、本実施形態の半回転クラッチ機構14(切り替え部14)は、第2軸部材60Rに支持された第3ギア58R(切り替え軸53)がその第2軸部材60Rの軸心回りに正回転方向に半回転することで、鉤部51の一方の終端51aが鉤溝部52内の第1回転切替部54(一方の終端54)に係合されると、右変換部13Rが遅れて動き出して、左右の変換部13L,13Rの動作が同調するようになり、右マッサージ部12Rと左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相を同位相に切り替えて、第1挟み込み動作(正回転時のマッサージ)を行わせる。
【0094】
図8~
図11などに示すように、本実施形態の半回転クラッチ機構14は、第2軸部材60Rに支持された第3ギア58R(切り替え軸53)がその第2軸部材60Rの軸心回りに逆回転方向に半回転することで、鉤部51の他方の終端51bが鉤溝部52内の第2回転切替部55(他方の終端55)に係合されると、左変換部13Lの動作より右変換部13Rが遅れて動き出して、右マッサージ部12Rの動きが遅延することによって、右マッサージ部12Rを、左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相に対して遅れる挟み込み動作の位相に切り替えて、第2挟み込み動作(逆回転時のマッサージ)を行わせる。
【0095】
なお、鉤部51が第1回転切替部54または第2回転切替部55に係合されるまで(第3ギア58R(切り替え軸53)が半回転している間)は、左回転ボス部26Lは回転しているが、右回転ボス部26Rは一時停止した状態となっている。つまり、左マッサージ部12L(左マッサージ部材24L)は挟み込み動作をしているが、右マッサージ部12R(右マッサージ部材24R)は一時停止した状態となっている。
【0096】
図4、
図5、
図8、
図9などに示すように、右回転ボス部26Rは、右マッサージ部材24Rの上部に設けられた部材である。右回転ボス部26Rは、後側に円盤状の筒部材(後筒部36R)を設け、その前側に小径の筒部材(前筒部37R)を設けた部材である。すなわち、右回転ボス部26Rは、フランジ形状に形成された部材である。
【0097】
後筒部36Rの軸心(右回転ボス部26Rの中心)には、第2軸部材60Rが挿入される孔部38Rが形成されている。また、後筒部36Rには、孔部38Rの外側を周回するように鉤溝部52が形成されている。
【0098】
前筒部37Rは、後筒部36Rの前側に設けられている。前筒部37Rは、後筒部36Rに対して偏心して設けられている。すなわち、前筒部37Rの前後方向を向く軸心は、後筒部36Rの前後方向を向く軸心に対して異なる位置に配備されている。
【0099】
前筒部37Rの前部には、右上部の施療子4a(上部施療子4a)を固定する星形形状の係合部37aが形成されている。
図1、
図2などに示すように、右上部の施療子4aは、やや長い略俵状の部材であり、基端が係合部37aに固定されている。右上部の施療子4aは、係合部37aを中心にして偏心回転する。右上部の施療子4aの先端には、施療部を押圧する押圧部が複数設けられている。
【0100】
前筒部37Rは、右マッサージ部材24Rの基端に設けられた貫通孔24aに挿入される。これにより、右マッサージ部材24Rは、右回転ボス部26Rに回転自在に取り付けられる。また、貫通孔24aより突出した係合部37aに、右上部の施療子4a内に形成された星形形状の嵌合部(図示せず)が噛み合うことで、右回転ボス部26Rに右上部の施療子4aが固定される。右回転ボス部26Rが回転すると、右上部の施療子4aが回転する。
【0101】
後筒部36Rの鉤溝部52に第3ギア58Rの鉤部51が摺動自在に嵌り込んでおり、第3ギア58Rの回転で鉤部51が鉤溝部52に係合され、後筒部36Rは第2軸部材60Rの軸心周りに回転するが、前筒部37Rは第2軸部材60Rに対して偏心回転する。
【0102】
これにより、第2軸部材60Rに対する右回転ボス部26Rの偏心回転により、右上部の施療子4aは前後方向を向く軸心回りに偏心回転し、右マッサージ部材24Rは上下左右に挟み込み動作する。
【0103】
マッサージ部12は、右側の施療部に対してマッサージをする右マッサージ部12Rと、左側の施療部に対してマッサージをする左マッサージ部12Lからなるものである。まず、右マッサージ部12Rについて、説明する。
図4、
図5、
図8、
図9は、右駆動機構10R、右マッサージ部12R、右変換部13R、切り替え部14の分解図である。
【0104】
図4、
図5、
図8、
図9などに示すように、右マッサージ部12Rの基端側には、回転駆動力を挟み込み動作(上下揺動運動)に変換して右マッサージ部12Rに伝達する右変換部13Rが設けられている。本実施形態の右変換部13Rは、右回転ボス部26Rとされている。右変換部13Rは、右回転ボス部26Rが偏心回転することで、第3ギア58Rの回転を右マッサージ部材24Rの挟み込み動作(上下揺動運動)に変換する。
【0105】
右マッサージ部12Rは、右側の施療部に対してマッサージをする右マッサージ部材24Rを有している。右マッサージ部材24Rは、上下方向に長いアーム状の部材である。右マッサージ部材24Rの基端には、右回転ボス部26Rの前筒部37Rが挿入される貫通孔24aが設けられている。貫通孔24aの内径は前筒部37Rの外径と略同じである。右マッサージ部材24Rの長手方向中途部には、上下方向に長い規制溝24bが設けられている。
【0106】
規制溝24bは、右マッサージ部材24Rの前筒部37Rとの供回りを規制するものである。規制溝24bには、規制ピン(図示せず)が摺動自在に設けられる。この規制ピンは、第1軸部材59Rの先端にねじ止めされている。
【0107】
右回転ボス部26Rが偏心回転すると、規制ピンが規制溝24bを略上下方向に摺動することにより、右マッサージ部材24Rが右回転ボス部26Rとの供回りが規制され、右マッサージ部材24Rは上下に揺動運動する。この右マッサージ部材24Rと右回転ボス部26Rは、スライダークランク機構となっている。
【0108】
図1、
図2などに示すように、右マッサージ部材24Rの先端は、外側に少し屈曲した形状に形成されている。この屈曲形状により、右マッサージ部材24Rは挟み込み動作時に上下方向の動作だけでなく左右方向にも動作する。右マッサージ部材24Rの先端には、右下部の施療子4c(下部施療子4c)が取り付けられる台座部24cが設けられている。
【0109】
右下部の施療子4cは、台座部24c上に前後方向を向く軸心回りに回動自在に取り付けられている。この右下部の施療子4cは、先端が球状に形成された部材であり、その球面には施療部を押圧する押圧部が複数設けられている。
【0110】
つまり、第3ギア58Rが回転すると右回転ボス部26R(右変換部13R)が第2軸部材60Rに対して偏心回転して挟み込み動作(上下揺動運動)に変換することにより、右マッサージ部材24Rは上下左右に揺動運動するので、それに伴って右下部の施療子4cは上下左右に揺動運動する。
【0111】
ここで、左駆動機構10Lについて説明する。なお、左駆動機構10Lは、右駆動機構10Rを左右に鏡像反転させた類似形状であるので詳細な説明は省略する。
【0112】
図4、
図5、
図8、
図9などに示すように、左駆動機構10Lは、以下に述べる複数のギアで構成されているものである。左出力軸15bにはウォームギアが取り付けられていて、ギアケース16内に配備されている。左側のウォームギア15bは、上側に配備された第1ギア56Lと噛み合っている。
【0113】
左側の第1ギア56Lは、中央に貫通孔56bが設けられた円盤状のギアである。貫通孔56bには、基板9に設けられた第1軸部材59Lが挿入されている。第1ギア56Lの前側には、第2ギア57Lが設けられている。
【0114】
左側の第2ギア57Lは、中央に貫通孔57bが設けられている。貫通孔57bは貫通孔56bと連通し且つ同一軸心とされ、貫通孔57b,56bには第1軸部材59Lが挿入されている。この第1ギア56Lと第2ギア57Lは、フランジ形状とされた一体型の二段ギアであり、第1軸部材59Lにより回転自在に支持されている。
【0115】
左側の第3ギア58Lは、下側に配備された第2ギア57Lと噛み合っている。第3ギア58Lは、第2ギア57Lより大きい径とされた円盤状のギアであり、中央には貫通孔58bが設けられている。貫通孔58bには、基板9に設けられた第2軸部材60Lが挿入されている。
【0116】
第3ギア58Lは、第2軸部材60Lにより回転自在に支持されている。駆動モータ15の回転駆動力は、ウォームギア15bから第1ギア56Lへ伝達され、一体に回転する第2ギア57Lより第3ギア58Lへ伝達されることとなる。
【0117】
図4、
図5、
図8、
図9などに示すように、左回転ボス部26Lは、左マッサージ部材24Lの上部に設けられた部材である。本実施形態の左回転ボス部26Lは、第3ギア58Lと一体成型されたフランジ形状の部材である。
【0118】
この左回転ボス部26Lは、円盤状の後筒部36Lを設け、その前側に小径の前筒部37Lを設けている。後筒部36Lの軸心(左回転ボス部26Lの中心)には、第2軸部材60Lが挿入される孔部38Lが形成されている。前筒部37Lは、後筒部36Lに対して偏心して設けられている。
【0119】
前筒部37Lの前部には、左上部の施療子4d(上部施療子4d)を固定する星形形状の係合部37bが形成されている。左上部の施療子4dは、基端が係合部37bに固定され、その係合部37bを中心にして偏心回転する。
【0120】
なお、左上部の施療子4dは、右上部の施療子4aと略同じ形状である。前筒部37Lは、左マッサージ部材24Lの基端に設けられた貫通孔24bに挿入される。これにより、左マッサージ部材24Lは、左回転ボス部26Lに回転自在に取り付けられる。
【0121】
また、貫通孔24bより突出した係合部37bに、左上部の施療子4d内に形成された星形形状の嵌合部(図示せず)が噛み合うことで、左回転ボス部26Lに左上部の施療子4dが固定される。
【0122】
左回転ボス部26Lが回転すると、左上部の施療子4dが回転する。第3ギア58Lの回転で左回転ボス部26Lが第2軸部材60Lに対して偏心回転し、左上部の施療子4dは前後方向を向く軸心回りに偏心回転し、左マッサージ部材24Lは上下左右に揺動運動する。
【0123】
次いで、左マッサージ部12Lについて説明する。なお、左マッサージ部12Lは、右マッサージ部12Rを左右に鏡像反転させた類似形状であるので詳細な説明は省略する。
【0124】
図4、
図5、
図8、
図9などに示すように、左マッサージ部12Lの基端側には、回転駆動力を挟み込み動作(上下揺動運動)に変換して左マッサージ部12Lに伝達する左変換部13Lが設けられている。
【0125】
本実施形態の左変換部13Lは、左回転ボス部26Lとされている。左変換部13Lは、左回転ボス部26Lが偏心回転することで、第3ギア58Lの回転を左マッサージ部材24Lの挟み込み動作(上下揺動運動)に変換する。
【0126】
左マッサージ部12Lは、右側の施療部に対してマッサージをする左マッサージ部材24Lを有している。左マッサージ部材24Lは、上下方向に長いアーム状の部材である。左マッサージ部材24Lの基端には、左回転ボス部26Lの前筒部37Lが挿入される貫通孔24dが設けられている。
【0127】
左マッサージ部材24Lの長手方向中途部には、上下方向に長い規制溝24eが設けられている。規制溝24eは、左マッサージ部材24Lの前筒部37Lとの供回りを規制するものである。左回転ボス部26Lが偏心回転すると、規制ピンが規制溝24eを略上下方向に摺動することにより、左マッサージ部材24Lが左回転ボス部26Lとの供回りが規制され、左マッサージ部材24Lは上下に揺動運動する。
【0128】
左マッサージ部材24Lは、左回転ボス部26Lが回転すると前筒部37Lが第2軸部材60Lに対して偏心回転することに伴って、上下に揺動運動する。すなわち、左マッサージ部材24Lと左回転ボス部26Lは、スライダークランク機構となっている。
【0129】
左マッサージ部材24Lの先端は、外側に少し屈曲した形状に形成され、左下部の施療子4f(下部施療子4f)が回動自在に取り付けられる台座部24fが設けられている。なお、左下部の施療子4fは、右下部の施療子4cと略同じ形状である。
【0130】
つまり、第3ギア58Lが回転すると左回転ボス部26L(左変換部13L)が第2軸部材60Lに対して偏心回転して挟み込み動作(上下揺動運動)に変換することにより、左マッサージ部材24Lは上下左右に揺動運動するので、それに伴って左下部の施療子4fは上下左右に揺動運動する。
[作動態様]
次いで、本実施形態のマッサージ機構2の作動態様について、図を参照しながら説明する。
<第1挟み込み動作(正回転)>
図4は、本実施形態のマッサージ機構2を前方から見た正回転時の斜視図である。
図5は、本実施形態のマッサージ機構2を後方から見た正回転時の斜視図である。
図6は、本実施形態のマッサージ機構2を正回転時の背面図であり、右回転ボス部26Rの部分断面図である。
【0131】
図4~
図6は、第3ギア58Rが正回転しているとき、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、第3ギア58Rが正回転方向に半回転した後に、右回転ボス部26Rが正回転することにより、左マッサージ部12Lと右マッサージ部12Rが同位相の揺動回転に切り替わり、第1挟み込み動作(正回転時の挟み込みマッサージ)を行う状態を示した図である。
図7は、
図6を拡大した図であり、右回転ボス部26Rの断面図である。
【0132】
使用者は、例えば腰部に上下左右の施療子4a,4c,4d,4fが当たるように、マッサージ機構2に備えられた左右のベルト(図示せず)を腰部に巻く。マッサージ機構2に設けられている操作パネル(図示せず)を操作し、例えば第1挟み込み動作、すなわち正回転時のマッサージを行うよう指示をする。駆動部10は、指示により右駆動機構10Rと左駆動機構10Lを駆動する。
【0133】
図4~
図7などに示すように、左駆動機構10Lは、駆動モータ15の左出力軸15bより出力された、正回転方向成分の回転駆動力を左回転ボス部26Lへ伝達する。なおこのとき、駆動モータ15は、正回転方向成分の回転駆動力を右出力軸15aより同時に出力している。
【0134】
正回転方向成分の回転駆動力は、左出力軸15bより左側の第1ギア56Lに伝達され、第1ギア56Lと第2ギア57Lからなる二段ギアが回転する。第2ギア57Lから第3ギア58Lへ正回転方向成分の回転駆動力が伝達され、第3ギア58Lが正回転方向(装置の左外方向、
図6の背面視で反時計回り)に回転する。この第3ギア58Lの正回転に伴って、第3ギア58Lと一体とされた左回転ボス部26Lが正回転方向に回転する。
【0135】
左変換部13Lが一定の位相の上下揺動運動に変換することにより、左マッサージ部材24L(左マッサージ部12L)は一定の位相で挟み込み動作をする。左上部の施療子4dは装置の左外方向に偏心回転して、左下部の施療子4fに近づき挟み込み動作を行う。
【0136】
一方、右駆動機構10Rは、駆動モータ15の右出力軸15aより出力された、正回転方向の回転駆動力を右回転ボス部26Rへ伝達する。正回転方向成分の回転駆動力は、右出力軸15aより右側の第1ギア56Rに伝達され、第1ギア56Rと第2ギア57Rからなる二段ギアが回転する。
【0137】
第2ギア57Rから第3ギア58R(回転体)へ正回転方向成分の回転駆動力が伝達され、第3ギア58Rが正回転方向(装置の右外方向)に回転する。この第3ギア58Rの正回転に伴って、鉤部51が右回転ボス部26Rの鉤溝部52内を正回転の周方向(
図6の背面視で時計回り)に摺動するようになり、第2軸部材60R(軸体)の軸心回りに正回転方向に半回転する。
【0138】
右変換部13Rは、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、第3ギア58Rが第2軸部材60Rの軸心回りに正回転方向に半回転することにより、右回転ボス部26Rは左回転ボス部26Lの回転より半回転分遅れて正回転方向に回転し始める。
【0139】
つまり、右変換部13Rでは、第3ギア58Rが正回転方向に半回転分だけ空転するような状態となる。その後、右変換部13Rは左変換部13Lの回転と同調し、右マッサージ部12Rは左マッサージ部12Lと同じ位相で挟み込み動作をする。
【0140】
具体的には、第3ギア58Rが正回転の方向に回転すると、鉤部51が半円状の鉤溝部52内を正回転の周方向に摺動するようになる。第3ギア58Rは、第2軸部材60Rの軸心回りに正回転方向に半回転分だけ空転する。
【0141】
第3ギア58R(切り替え軸53)が正回転方向に半回転すると半回転クラッチ機構14により、鉤部51の一方の終端壁51aは鉤溝部52内の第1回転切替部54(一方の終端壁54)に係合される。右回転ボス部26Rは、左回転ボス部26Lの回転より半回転分遅れて動き出して、右回転ボス部26Rは第3ギア58Rの正回転に伴って、同じ正回転をする。
【0142】
右変換部13Rの動きを遅らせることで左変換部13Lと同じ一定の位相の上下揺動運動に変換することにより、右マッサージ部材24R(右マッサージ部12R)は一定の位相で挟み込み動作をする。右上部の施療子4aは装置の右外方向に偏心回転して、右下部の施療子4cに近づき挟み込み動作を行う。
【0143】
なお、鉤部51が第1回転切替部54に係合されるまで(切り替え軸53である第3ギア58Rが正回転方向に半回転している間)は、左マッサージ部12L(左マッサージ部材24L)は挟み込み動作しているが、右マッサージ部12R(右マッサージ部材24R)は一時停止した状態となっている。
【0144】
半回転クラッチ機構14により、右回転ボス部26Rは、左回転ボス部26Lと同じ挟み込み動作の位相となって回転する。つまり、左右の変換部13L,13Rは同調して、同じ位相の揺動動作に変換し、右マッサージ部材24Rと左マッサージ部材24Lが同じ位相で動き出す。このように、右マッサージ部12Rと左マッサージ部12Lは、同位相の挟み込み動作に切り替わり、第1挟み込み動作を行う。
【0145】
すなわち、半回転クラッチ機構14は、左回転ボス部26L(左変換部13L)の左マッサージ部12Lへの変換動作と、右回転ボス部26R(右変換部13R)の右マッサージ部12Rへの変換動作を同調させて、左マッサージ部12Lと右マッサージ部12Rを同位相の挟み込み動作に切り替えて、第1挟み込み動作を行う。
【0146】
このようなことより、左右のマッサージ部材24L,24Rは、同じ挟み込み動作の位相で揺動する。右マッサージ部材24Rは、右上部の施療子4aを右外側に偏心回転させることにより、使用者の右上側の施療部に対してマッサージを行うことができる。また、右マッサージ部材24Rは、右下部の施療子4cを上下左右に揺動させることにより、使用者の右下側の施療部に対してマッサージを行うことができる。
【0147】
一方、左マッサージ部材24Lは、左上部の施療子4dを左外側に偏心回転させることにより、使用者の左上側の施療部に対してマッサージを行うことができる。また、左マッサージ部材24Lは、左下部の施療子4fを上下左右に揺動させることにより、使用者の左下側の施療部に対してマッサージを行うことができる。
<第2挟み込み動作(逆回転)>
図8は、本実施形態のマッサージ機構2を前方から見た逆回転時の斜視図である。
図9は、本実施形態のマッサージ機構2を後方から逆回転時の見た斜視図である。
図10は、本実施形態のマッサージ機構2の逆回転時の背面図であり、右回転ボス部26Rの部分断面図である。
【0148】
図8~
図10は、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、第3ギア58Rが逆回転方向に半回転した後に、右回転ボス部26Rが逆回転することにより、右マッサージ部12Rが左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相に対して遅れる挟み込み動作の位相に切り替わり、第2挟み込み動作を行う状態を示した図である。
図11は、
図10を拡大した図であり、右回転ボス部26Rの断面図である。
【0149】
使用者は、マッサージ機構2に設けられている操作パネルを操作して第2挟み込み動作、すなわち逆回転時のマッサージを行う切り替え操作をする。駆動部10は、切り替え指示により回転方向を逆回転に切り替えて、右駆動機構10Rと左駆動機構10Lを駆動する。
【0150】
図8~
図11などに示すように、左駆動機構10Lは、切り替え指示により逆回転に切り替えられると、駆動モータ15の左出力軸15bより出力された、逆回転方向成分の回
転駆動力を左回転ボス部26Lへ伝達する。なおこのとき、駆動モータ15は、逆回転方向成分の回転駆動力を右出力軸15aより同時に出力している。
【0151】
逆回転方向成分の回転駆動力は、左出力軸15bより左側の第1ギア56Lに伝達され、第1ギア56Lと第2ギア57Lからなる二段ギアが回転する。第2ギア57Lから第3ギア58Lへ逆回転方向成分の回転駆動力が伝達され、第3ギア58Lが逆回転方向(装置の右内方向、
図10の背面視で時計回り)に回転する。
【0152】
この第3ギア58Lの逆回転に伴って、第3ギア58Lと一体とされた左回転ボス部26Lが逆回転方向に回転する。左変換部13Lが一定の位相の上下揺動運動に変換することにより、左マッサージ部材24L(左マッサージ部12L)は一定の位相で挟み込み動作をする。左上部の施療子4dは装置の右内方向に偏心回転して、左下部の施療子4fに近づき挟み込み動作を行う。
【0153】
一方、右駆動機構10Rは、切り替え指示により逆回転に切り替えられると、駆動モータ15の右出力軸15aより出力された、逆回転方向成分の回転駆動力を右回転ボス部26Rへ伝達する。逆回転方向成分の回転駆動力は、右出力軸15aより右側の第1ギア56Rに伝達され、第1ギア56Rと第2ギア57Rからなる二段ギアが回転する。
【0154】
第2ギア57Rから第3ギア58R(回転体)へ逆回転方向成分の回転駆動力が伝達され、第3ギア58Rが逆回転方向(装置の左内方向)に回転する。この第3ギア58Rの逆回転に伴って、鉤部51が右回転ボス部26Rの鉤溝部52内を逆回転の周方向(
図10の背面視で反時計回り)に摺動するようになり、第2軸部材60R(軸体)の軸心回りに逆回転方向に半回転する。
【0155】
右変換部13Rは、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、第3ギア58Rが第2軸部材60Rの軸心回りに逆回転方向に半回転することにより、右回転ボス部26Rは左回転ボス部26Lの回転より半回転分遅れて逆回転方向に回転し始める。
【0156】
つまり、右変換部13Rでは、第3ギア58Rが逆回転方向に半回転分だけ空転するような状態となる。その後、右変換部13Rは左変換部13Lの回転と異なる回転をし、右マッサージ部12Rは左マッサージ部12Lと異なる位相で挟み込み動作をする。
【0157】
具体的には、第3ギア58Rが逆回転の方向に回転すると、鉤部51が半円状の鉤溝部52内を逆回転の周方向に摺動するようになる。第3ギア58Rは、第2軸部材60Rの軸心回りに逆回転方向に半回転分だけ空転する。
【0158】
第3ギア58R(切り替え軸53)が逆回転方向に半回転すると半回転クラッチ機構14により、鉤部51の他方の終端壁51bは鉤溝部52内の第2回転切替部55(他方の終端壁55)に係合される。右回転ボス部26Rは、左回転ボス部26Lの回転より半回転分遅れて動き出して、右回転ボス部26Rは第3ギア58Rの逆回転に伴って、同じ逆回転をする。
【0159】
右変換部13Rの動きを遅らせることで左変換部13Lと異なる位相の上下揺動運動に変換することにより、右マッサージ部材24R(右マッサージ部12R)は異なる位相で挟み込み動作をする。
【0160】
右上部の施療子4aは装置の左内方向に偏心回転して、右下部の施療子4cに近づき挟み込み動作を、左上部の施療子4dと左下部の施療子4fの挟み込み動作より遅れて行う。見方を変えれば、右部の施療子4a,4cの挟み込み動作が先に行われ、左部の施療子4d,4fの挟み込み動作が遅れて行われるとも見える。
【0161】
なお、鉤部51が第2回転切替部55に係合されるまで(切り替え軸53である第3ギア58Rが逆回転方向に半回転している間)は、左マッサージ部12L(左マッサージ部材24L)は挟み込み動作しているが、右マッサージ部12R(右マッサージ部材24R)は一時停止した状態となっている。
【0162】
半回転クラッチ機構14により、右回転ボス部26Rは左回転ボス部26Lより遅れて動き出して、左回転ボス部26Lの回転位相と異なる位相の回転をする。つまり、右変換部13Rは、左変換部13Lの揺動変換に対して、遅れる位相の揺動動作に変換し、右マッサージ部材24Rが左マッサージ部材24Lの揺動動作に遅れて動き出す。このように、右マッサージ部12Rと左マッサージ部12Lは、異なる位相の挟み込み動作に切り替わり、第2挟み込み動作を行う。
【0163】
すなわち、半回転クラッチ機構14は、左回転ボス部26L(左変換部13L)の左マッサージ部12Lへの変換動作に対して、右回転ボス部26R(右変換部13R)の右マッサージ部12Rへの変換動作を遅らせる遅延変換動作を行い、左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相に対して、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相を遅らせる第2挟み込み動作に切り替える。
【0164】
このようなことより、右マッサージ部材24Rは、左マッサージ部材24Lと異なる挟み込み動作の位相(遅延掴み揉み動作)で、左上部の施療子4dの偏心回転(右内方向の回転)に対して、右上部の施療子4aを異なる(半周分遅れる)偏心回転(左内方向の回転)させることにより、使用者の右上側の施療部に対してマッサージを行うことができる。
【0165】
また、右マッサージ部材24Rは、左下部の施療子4fの上下左右の揺動運動に対して、右下部の施療子4cを異なる(遅れる)上下左右の近接離反させることにより、使用者の右下側の施療部に対してマッサージを行うことができる。
【0166】
なお、左マッサージ部材24Lは、左上部の施療子4dを右内側に偏心回転させることにより、使用者の左上側の施療部に対してマッサージを行うことができる。また、左マッサージ部材24Lは、左下部の施療子4fを上下左右に揺動させることにより、使用者の左下側の施療部に対してマッサージを行うことができる。
【0167】
すなわち、右マッサージ部12Rは、例えば右側の背中下部~腰部にかけて押圧マッサージを行うことができる。左マッサージ部12Lは、例えば左側の背中下部~腰部にかけて押圧マッサージを行うことができる。このように、半回転クラッチ機構14は、第3ギア58R(切り替え軸53)を正回転または逆回転させることで、第1挟み込み動作と第2挟み込み動作に切り替えることができる。
【0168】
なお、本実施形態のマッサージ機構2において、第3ギア58Rを正回転または逆回転させてマッサージをしているとき、右側の上下の施療子4a,4c及び、左側の上下の施療子4d,4fは施療部を挟み込むような動きとなるが、弾性のある材料(例えば、強く押せば変形する材料)で形成されているため適宜変形するので、施療部に対し快適なマッサージを付与することができる。
【0169】
例えば、
図1に示すように、右上部の施療子4aと左上部の施療子4dの先端側をゴム状の材料で形成する。またさらに、上側の右左の施療子4a,4dの先端側において厚みある部分を肉抜きする(内側を凹形状にしてリブを立てて空間を作る)ことで、上側の右左の施療子4a,4dと下側の右左の施療子4c,4fが施療部を挟み込んだときに弾性で強度を持たせつつたわむ構造とすると好ましい。
【0170】
すなわち、上側の右左の施療子4a,4dの先端をゴム状の部材で覆い、施療部に当接する部位内に空間を設けて適宜変形するようにするとよい。なお、下側の右左の施療子4c,4fも弾性のある材料で形成されているとよい。
【0171】
まとめると、本実施形態の半回転クラッチ機構14は、切り替え軸53である第3ギア58Rを正回転させて、鉤部51の一方の終端壁51aを鉤溝部52内の第1回転切替部54に係合させることで、右回転ボス部26Rの回転を左回転ボス部26Lの回転より半回転分遅らせて、左右の回転ボス部26R,26Lの回転を同調させて、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相と左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相を「同位相」に切り替えることができる。
【0172】
これにより、左マッサージ部材24Lと右マッサージ部材24Rが同じ挟み込み動作の位相で腰部に対してマッサージを行うことができる。
【0173】
また、本実施形態の半回転クラッチ機構14は、切り替え軸53である第3ギア58Rを逆回転させて、鉤部51の他方の終端壁51bを鉤溝部52内の第2回転切替部55に係合させることで、右回転ボス部26Rの回転を左回転ボス部26Lの回転より半回転分遅らせて右マッサージ部12Rを動作させ、左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相に対して、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相が「遅れる挟み込み動作の位相」に切り替えることができる。
【0174】
これにより、右マッサージ部材24Rは、左マッサージ部材24Lとは異なる挟み込み動作の位相で、使用者の右腰部に対してマッサージを行うことができる。すなわち、左マッサージ部12L(左マッサージ部材24L)は左の背中下部~腰部にかけて押圧マッサージを行い、右マッサージ部12R(右マッサージ部材24R)は右の背中下部~腰部にかけて押圧マッサージを行うことができる。
【0175】
すなわち、本実施形態の切り替え部14(半回転クラッチ機構14)は、回転体である第3ギア58R(切り替え軸53)が軸体である第2軸部材60Rの軸心回りに、正回転と逆回転のいずれかの方向に半回転して、第3ギア58Rに設けられた鉤部51が、右回転ボス部26Rに設けられた鉤溝部52内の終端壁54,55(第1回転切替部54または第2回転切替部55)に係合されると、右回転ボス部26Rが左回転ボス部26Lの回転より半回転分遅れて回転し始めることにより、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相を切り替えることができる。
【0176】
つまり、左右一対のマッサージ部12は、第1マッサージ部12R(右マッサージ部12R)と第2マッサージ部12L(左マッサージ部12L)とを有している。
【0177】
第1マッサージ部12Rは、上下方向に近接離反することで施療部に対して掴み揉みマッサージを行う右上部施療子4aと右下部施療子4cを備えている。また、第2マッサージ部12Lは、第1マッサージ部12Rと対となるように配備され且つ、上下方向に近接離反することで別の施療部に対して掴み揉みマッサージを行う左上部施療子4dと左下部施療子4fを備えている。
【0178】
第1マッサージ部12Rと第2マッサージ部12Lは、切り替え部14(半回転クラッチ機構14)により、第1挟み込み動作と第2挟み込み動作に切り替え可能となっている。
【0179】
第1挟み込み動作では、第1マッサージ部12Rの右上部施療子4aと右下部施療子4cによる近接離反の位相と、第2マッサージ部12Lの左上部施療子4dと左下部施療子4fによる近接離反の位相とが、同位相とされている。すなわち、第1挟み込み動作では、左右一対のマッサージ部12L,12Rが同時に掴み揉みマッサージを行うことを繰り返す。
【0180】
第2挟み込み動作では、第1マッサージ部12Rの右上部施療子4aと右下部施療子4cによる近接離反の位相と、第2マッサージ部12Lの左上部施療子4dと左下部施療子4fによる近接離反の位相とが、異なる位相とされている。すなわち、第2上下運動では、例えば、第2マッサージ部12Lが掴み揉みマッサージを行い、その後遅れて、第1マッサージ部12Rが掴み揉みマッサージを行うことを繰り返す。本発明のマッサージ機構2は、左右のマッサージ部12の位相差が変わるだけでなく、上下の施療子4の近接離反のタイミングが変わる。
[第2実施形態]
第2実施形態においては、本発明のマッサージ機構2が搭載された首掛け型のマッサージ機1を例に挙げて説明する。また、本実施形態の説明をするにあたり、マッサージ機1の前後及び左右等の方向については、図面に示す通りである。これはマッサージ機1を首肩部などにかけて使用する使用者から見た方向と一致する。以降の説明においては、図面において示す方向を、本発明のマッサージ機構2を搭載した首掛け型のマッサージ機1を説明する際の方向とする。また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略したり、仮想線などを用いて描いている。
【0181】
まず、本実施形態のマッサージ機構2の特徴を以下に述べる。
【0182】
本実施形態のマッサージ機構2は、右マッサージ部12Rに配備された右上部の施療子4aおよび施療子4bと、右下部の施療子4cが近接離反する(挟み込む)タイミングと、左マッサージ部12Lに配備された左上部の施療子4dおよび施療子4eと左下部の施療子4fが近接離反する(挟み込む)タイミングをずらしていることを特徴としている。
【0183】
すなわち、本実施形態のマッサージ機構2は、右上部の施療子4a,4bと、左上部の施療子4d,4eが左右方向に互いに近接離反するとともに、右下部の施療子4cが右上部の施療子4a,4bに対して上下方向に近接離反し、左下部の施療子4fが左上部の施
療子4d,4eに対して上下方向に近接離反する。
【0184】
これに加え、本実施形態のマッサージ機構2は、左マッサージ部12Lに配備された左上部の施療子4a,4bと下部の施療子4cとの上下方向の近接離反と、右マッサージ部12Rに配備された右上部の施療子4d,4eと下部の施療子4fとの上下方向の近接離反をずらして、挟み込む(掴み揉み)マッサージを行わせていることに特徴がある。
【0185】
つまり、本実施形態のマッサージ機構2は、右マッサージ部12Rの挟み込み動作を切り替え部14(詳細は後述)により可変とし、その右マッサージ部12Rに配備された右上部の施療子4a,4bと右下部の施療子4c、および、左マッサージ部12Lに配備された左上部の施療子4d,4eと左下部の施療子4fを使って、左右交互に施療部を挟み込む(掴み揉み)マッサージと、左右同時に施療部を挟み込む(掴み揉み)マッサージを切り替えて行うことができる。
【0186】
本実施形態のマッサージ機構2は、駆動モータ15の出力軸15a(詳細は後述)を正回転させたとき、左マッサージ部12Lでは、左上部の施療子4dと施療子4eが左右方向に揺動し、左下部の施療子4fが左上部の施療子4dと施療子4eに対して上下方向に近接離反する(左側の動作は一定)。
【0187】
また、出力軸15aの正回転時には、右マッサージ部12Rは切り替え部14により動作が切り替えられ、右上部の施療子4aと施療子4bが左右方向に揺動して、左上部の施療子4dと施療子4eに対して左右方向に近接離反する。右下部の施療子4cが右上部の施療子4a,4bに対して上下方向に近接離反する。
【0188】
このように、本実施形態のマッサージ機構2は、左上部の施療子4d,4eと右上部の施療子4a,4bの左右方向の近接離反と、左上部の施療子4d,4eに対する左下部の施療子4fの上下方向の近接離反と、右上部の施療子4a,4bに対する右下部施療子4cの上下方向の近接離反とが、同じタイミング(同位相)となり、「第1挟み込み動作」行う。
【0189】
つまり、本実施形態のマッサージ機構2は、出力軸15aの正回転時に、右上部の施療子4a,4bと左上部の施療子4d,4eが近接することで施療部を左右方向から挟み込み、右上部の施療子4a,4bと左上部の施療子4d,4eが離反すると施療部に対する左右方向の挟み込みを緩めることを繰り返す。
【0190】
また、本実施形態のマッサージ機構2は、出力軸15aの正回転時に、左下部の施療子4fが左上部の施療子4d,4eに近接すると同時に右下部の施療子4cが右上部の施療子4a,4bに近接することで、施療部を上下方向から挟み込み、左下部の施療子4fが左上部の施療子4d,4eから離反すると同時に右下部の施療子4cが右上部の施療子4a,4bから離反することで、施療部に対する上下方向の挟み込みを緩めることを繰り返す。
【0191】
すなわち、本実施形態のマッサージ機構2は、右上部の施療子4a,4bと左上部の施療子4d,4eが左右方向から施療部を挟み込むとともに、右上部の施療子4a,4bと右下部の施療子4cが上下方向から施療部を挟み込み、同時に左上部の施療子4d,4eと左下部の施療子4fが上下方向から施療部を挟み込む、掴み揉みマッサージを同時に行う。
【0192】
また、本実施形態のマッサージ機構2は、駆動モータ15の出力軸15aを逆回転させたとき、左マッサージ部12Lでは、左上部の施療子4dおよび施療子4eが左右方向に揺動し、左下部の施療子4fが左上部の施療子4d,4eに対して上下方向に近接離反する(左側の動作は一定)。
【0193】
出力軸15aの逆回転時には、右マッサージ部12Rは切り替え部14により動作が切り替えられ、右上部の施療子4aおよび施療子4bが左右方向に揺動して、左上部の施療子4d,4eも左右方向に揺動する。
【0194】
その一方で、回転駆動軸11の回転を切り替えると、切り替え軸53(回転体)は切り替え部14により回転駆動軸11(軸体)回りに半回転し、第1右回転ボス部26Rおよび第2右回転ボス部46Rは、第1左回転ボス部26Lおよび第2左回転ボス部46Lの回転より半回転分遅れて動き出すので、それに伴って左下部の施療子4fに対して右下部
の施療子4cが半回転分遅れて動き出し、右下部の施療子4cが左下部の施療子4fと異なるタイミングで、右上部の施療子4a,4bに対して上下方向に近接離反する。
【0195】
すなわち、右マッサージ部12Rでは、右下部の施療子4cが左下部の施療子4fに対して、180°の位相差で上下方向に揺動する(右側の動作は可変)。
【0196】
このように、本実施形態のマッサージ機構2は、左上部の施療子4d,4eと右上部の施療子4a,4bが左右方向に揺動し、左上部の施療子4d,4eに対する左下部の施療子4fの上下方向の近接離反動作に対して、右上部の施療子4a,4bに対する右下部の施療子4cの上下方向の近接離反動作は遅れるタイミング(異なる位相)となり、「第2挟み込み動作」を行う。
【0197】
つまり、本実施形態のマッサージ機構2は、出力軸15aの逆回転時に、左下部の施療子4fが左上部の施療子4d,4eに近接すると施療部を上下方向から挟み込む一方で、右下部の施療子4cは右上部の施療子4a,4bから離反して施療部に対する上下方向からの挟み込みを緩める。
【0198】
その後マッサージ機構2は、左下部の施療子4fが左上部の施療子4d,4eから離反すると施療部に対する上下方向からの挟み込みを緩める一方で、右下部の施療子4cは右上部の施療子4a,4bに近接して施療部を上下方向から挟み込むといった異なる動作を繰り返す。
【0199】
すなわち、本実施形態のマッサージ機構2は、左上部の施療子4d,4eと左下部の施療子4fが一定の上下方向の近接離反動作を行うのに対し、右マッサージ部12Rは切り替え部14により近接離反動作が遅れる位相に切り替えられ、右上部の施療子4a,4bと右下部の施療子4cの近接離反動作が異なるタイミングとなり、右上部の施療子4a,4bと右下部の施療子4c、および、左上部の施療子4d,4eと左下部の施療子4fが左右交互(互い違い)に施療部を上下方向から挟み込む、掴み揉みマッサージを行う。
【0200】
以下に、本実施形態のマッサージ機構2を具体的に説明する。
【0201】
図12は、本発明のマッサージ機構2を搭載した首掛け型のマッサージ機1(第2実施形態)の概略を示す前方斜視図である。
【0202】
図12に示すように、本実施形態のマッサージ機1は、マッサージ本体3にマッサージ機構2が内蔵されており、そのマッサージ本体3の前方には施療子4が突出状に複数設けられている。なお、本実施形態では、片側に3個ずつの合計6個の施療子4が設けられている。
【0203】
また、マッサージ本体3の右方から前方に突出状に右把持部5Rが延設されている。この右把持部5Rには、右把持ベルト6Rが吊下状に設けられている。また、マッサージ本体3の左方から前方に突出状に左把持部5Lが延設されている。この左把持部5Lには、左把持ベルト6Lが吊下状に設けられている。
【0204】
使用者は、左右の把持部5L,5Rを手で持ち、例えば、首部、肩部、背中、あるいは腰部などの施療部に対して、マッサージ本体3の施療子4を押し当てて、マッサージ機構2を駆動させてマッサージを行う。なお、左右の把持ベルト6L,6Rを手で下方に引っ張るとさらに施療子4を施療部に押し付けることができる。
【0205】
本実施形態のマッサージ機1は、マッサージ機構2を格納するマッサージ本体3と、使用者が把持可能で長尺の把持部5と、を有している。把持部5には把持ベルト6が吊下状に設けられている。マッサージ本体3は合成樹脂等で形成された筐体であり、内部が空洞となっている。マッサージ本体3は、後方に向かって窪むように曲がる凹形状に形成された前部カバー体3aと、後方に向かって膨らむように曲がる凸形状に形成された後部カバー体3bと、からなる。前部カバー体3aと後部カバー体3bとが合わされた内部空間に、マッサージ機構2が格納されている。
【0206】
前部カバー体3aの前面(マッサージ本体3の前面)には、前方に向かって開口された開口部7が形成されている。開口部7からは、マッサージ機構2の施療子4が前方に突き出すようにして配備されている。この開口部7には、施療子4を覆うように可撓性を備えた布材(図示せず)が取り付けられている。この布材により、施療子4の押し込みの強さを和らげ、施療部に対し快適なマッサージを付与する。
【0207】
マッサージ本体3の左端は、前方斜め左側に向かって絞られるように突出して形成されている。突出した左先端側(左前端側)には、前方に向かって長尺の右把持部5Rが設けられている。同様に、マッサージ本体3の右端は、前方斜め右側に向かって絞られるように突出して形成されている。突出した右先端側(右前端側)には、前方に向かって長尺の左把持部5Lが設けられている。左右の把持部5L,5Rは、使用者が把持しやすいように、前方に向かって細く形成されている。
【0208】
左把持部5L内には、マッサージ機構2のマッサージ動作を制御するコントローラが格納されている。そのコントローラを操作する操作パネル8が左把持部5Lの上面に設けられている。操作パネル8を介してコントローラより、後述する駆動部10へ司令を送信することで、マッサージ機構2に備えられた切り替え部14によるマッサージ動作の切り替えや、マッサージ動作の強度などのマッサージの内容を変更することが可能となっている。なお、本実施形態のマッサージ機1は、左右の把持部5L,5Rを握って首肩部などにかけて使用してもよいし、腰部に当てて使用してもよい。
【0209】
次に、マッサージ本体3に内蔵されたマッサージ機構2について詳しく説明する。
【0210】
図12~
図20は、本実施形態のマッサージ機構2の構成について示した図である。
【0211】
図13の上図、
図14、
図15、
図16などは、左右両方の施療子4a~4fが掴みマッサージをする状態を示す。なお、左右両方の施療子4a~4fが同時に掴み揉みマッサージをすることを「両掴みマッサージ」と呼ぶこともある。
【0212】
図13の下図、
図17、
図18、
図19、
図20などは、右下部の第3施療子4cを備えた右下部マッサージ部材25Rを下降させて、左側の施療子4d~4fが掴み揉みマッサージをするとともに、右側の施療子4a~4cが遅れて掴み揉みマッサージをする状態を示す。
【0213】
なお、左側の施療子4d~4fが掴み揉みマッサージをして、遅れて右側の施療子4a~4cが揉みマッサージをする、すなわち左右交互に掴み揉みマッサージをすることを「片掴みマッサージ」と呼ぶこともある。
【0214】
本実施形態のマッサージ機構2は、基台9に配備され且つ駆動力を発生する駆動部10と、軸心が左右方向を向くように基台9上に配備され且つ駆動力により回転する回転駆動軸11と、施療子4を先端側に備え且つ基台9上に左右に一対で配備されたマッサージ部12と、回転駆動軸11に配備され且つ駆動力を挟み込み動作(上下揺動運動)に変換してマッサージ部12に伝達する変換部13と、回転駆動軸11の正回転と逆回転で、マッサージ部12の挟み込み動作の位相を切り替える切り替え部14と、を有する。
【0215】
なお、本実施形態においては、右マッサージ部12R側に切り替え部14が配備されている。つまり、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相が、左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相(一定の位相)に対して切り替わる構成となっている。
【0216】
図14、
図17、
図20などに示すように、駆動部10は、回転駆動力(駆動力)を出力する駆動モータ15と、出力された回転駆動力を所定の速度に減速するギアケース16と、を有している。駆動モータ15は、正逆回転可能なモータである。駆動モータ15は、操作パネル8を操作することにより、回転方向や速度などを制御可能となっている。
【0217】
駆動モータ15は基台9の後側に配備され、回転駆動力を出力する出力軸15aが一軸のモータである。その出力軸15aは右方向を向き且つ水平に配備されている。また、出力軸15aにはウォームギアが取り付けられていて、ギアケース16内に挿入されている。ウォームギア15aは、ギアケース16内のウォームホイール17と噛み合っている。ウォームホイール17は、伝達軸18の後側に取り付けられている。
【0218】
伝達軸18は、軸心が前後方向を向くように基台9上に配備され、ベアリング19を介して回動自在に支持されている。伝達軸18の前側には、ウォームギア20が取り付けられている。ウォームギア20は、回転駆動軸11に取り付けられたウォームホイール21と噛み合っている。
【0219】
すなわち、駆動部10は、駆動モータ15で発生した回転駆動力をギアケース16で減速して回転駆動軸11に伝達する。なお、基台9の下部には、左右方向を向くように長円柱状のバッテリー22が配備されている。バッテリー22は、電動モータ15を駆動する
のに十分な容量で且つ小型のものを用いている。このバッテリー22としては、例えばリチウムイオン電池などが挙げられるが、これに限定されない。
【0220】
回転駆動軸11は、基台9(ギアケース16)を貫通し且つ、軸心が左右方向(水平方向)を向くように配備されている。回転駆動軸11は長尺な丸棒状の軸部材であり、ベアリング23を介して回転方向を切り替え自在に支持されている。回転駆動軸11は、駆動モータ15の出力軸15aと並行して配備されている。回転駆動軸11の右側には、ウォームホイール21が取り付けられている。
【0221】
回転駆動軸11の右端側には、回転駆動力を挟み込み動作(上下揺動運動)に変換する右変換部13R(第1変換部13R)が設けられている。また、回転駆動軸11の左端側には、回転駆動力を挟み込み動作(上下揺動運動)に変換する左変換部13L(第2変換部13L)が設けられている。
【0222】
つまり、回転駆動軸11は、長手方向中途部に駆動部10が配備され、左右両端にマッサージ部12L,12Rが配備されている。回転駆動軸11は、駆動モータ15から出力された回転駆動力を左右一対のマッサージ部12L,12Rに分配して伝達する。
【0223】
なお、この回転駆動軸11に関し、本実施形態では「正回転」を後~上~前への回転(
図15における時計回り)とし、「逆回転」を前~上~後への回転(
図18における反時計回り)とする。この回転駆動軸11の回転の定義に関し、正逆を反対にしてもよい。
【0224】
図14、
図17、
図20などに示すように、マッサージ部12は、右側の施療部に対してマッサージをする右マッサージ部12Rと、左側の施療部に対してマッサージをする左マッサージ部12Lからなるものである。また、マッサージ部12は、上下一対のマッサージ部材24,25を有している。
【0225】
また、マッサージ部12の基端側には、回転駆動力を挟み込み動作に変換してマッサージ部12に伝達する変換部13が設けられている。変換部13は、回転駆動軸11に取り付けられ且つ、当該回転駆動軸11と一体回転する回転ボス部26,46と、マッサージ部12の基端に設けられ且つ、回転ボス部26,46の外周縁(カム面30,50)に嵌り込む環状嵌合部27,40と、マッサージ部12が回転駆動軸11との同伴回転することを規制する規制部28と、を有している。
【0226】
なお、本実施形態の回転ボス部26,46は、第1回転ボス部26と第2回転ボス部46からなるものである。また、環状嵌合部27,40は、第1環状嵌合部27と第2環状嵌合部40からなるものである。
【0227】
まず、右マッサージ部12Rについて、説明する。
図14、
図17は、右マッサージ部12R、右変換部13R、切り替え部14の分解図である。
【0228】
図14、
図17などに示すように、右マッサージ部12Rは、右上側の施療部に対してマッサージをする右上部マッサージ部材24Rと、右下側の施療部に対してマッサージをする右下部マッサージ部材25Rと、を有している。
【0229】
本実施形態では、上部マッサージ部材24が「揉みマッサージ」を行う部材であるのに対して、下部マッサージ部材25は「掴みマッサージ」を行う部材となっている。つまり、上部マッサージ部材24と下部マッサージ部材25とは互いに異なるマッサージ動作を行うものとなっている。
【0230】
図14、
図17などに示すように、右上部マッサージ部材24R(右側の第1マッサージ部材24R)は、前方に突出状に設けられた右上部アーム部材29Rと、後述する第1右回転ボス部26Rを外側から嵌合する第1右環状嵌合部27Rと、を有している。この右上部マッサージ部材24Rは、後述する左上部マッサージ部材24Lと左右で互いに線対称な構成となっている。
【0231】
右上部アーム部材29Rは基端側が回転駆動軸11側に設けられ且つ、先端側は回転駆動軸11から前方に伸ばすような形状で形成されている。右上部アーム部材29Rの先端側は上方と下方とに枝分かれした形状とされている。この上下に枝分かれした右上部アーム部材29Rの先端側のそれぞれには、第1施療子4a(上部施療子4a)と第2施療子4b(上部施療子4b)が設けられている。
【0232】
なお、本実施形態では、右側の上部施療子を、右上部マッサージ部材24Rに設けられ
た第1施療子4aおよび第2施療子4bとの二つとし、右側の下部施療子を、右下部マッサージ部材25Rに設けられた第3施療子4cとする。
【0233】
また、左側の上部施療子を、左上部マッサージ部材24Lに設けられた左上部施療子4dおよび左中間施療子4eとの二つとし、左側の下部施療子を、左下部マッサージ部材25Lに設けられた左下部施療子4fとする。
【0234】
第1施療子4aは、上側に枝分かれした右上部アーム部材29Rの先端側に取り付けられている。この第1施療子4a(右上部施療子4a)は、先端が丸まった円筒状に形成された部材であり、上下方向を向く軸心回りに回動自在に取り付けられている。
【0235】
また、第2施療子4bは、下側に枝分かれした右上部アーム部材29Rの先端側に取り付けられている。この第2施療子4b(右中間施療子4b)は、押圧する部位が丸められた略俵状の部材であり、前方やや上方を向くように右上部アーム部材29Rの下方先端に固定されている。すなわち、第1施療子4aと第2施療子4bは、右上部アーム部材29Rを挟んで上下方向で対向するように設けられている。
【0236】
この第1施療子4aと第2施療子4bは左右方向に揺動し、第1施療子4aと第2施療子4bに対して後述する第3施療子4cが上下方向に近接離反する動作を行う。この第1施療子4aと第2施療子4bは、回転駆動軸11の回転駆動力により右上部マッサージ部材24Rが揺動することによって、右上側の施療部に対してマッサージ(揉みマッサージ)をするものである。
【0237】
右上部アーム部材29Rの基端側には、右変換部13Rを構成する第1右環状嵌合部27Rが設けられている。この第1右環状嵌合部27Rは、後述する第1左環状嵌合部27Lと左右で互いに線対称な構成となっている。第1右環状嵌合部27Rは、第1右回転ボス部26Rの第1右カム面30Rに嵌合可能に形成されている。
【0238】
つまり、第1右環状嵌合部27Rの内径は第1右カム面30Rの外径と略同じである。第1右環状嵌合部27Rが第1右回転ボス部26Rに外嵌することにより、右上部マッサージ部材24Rは第1右回転ボス部26Rの軸心回りに回動する。
【0239】
また、第1右環状嵌合部27Rの下方には右連結部31Rが設けられている。右連結部31Rは、幅方向内側に向かって突出するように設けられている。この右連結部31Rは、右下部マッサージ部材25Rに設けられた右連結孔42Rに挿入され、右上部マッサージ部材24Rと右下部マッサージ部材25Rを連結するものである。
【0240】
右連結部31Rは、右上部マッサージ部材24Rに連動して右下部マッサージ部材25Rを揺動させるものである。つまり、右上部マッサージ部材24Rと右下部マッサージ部材25Rは、右連結部31Rの軸心回りに回動自在に連結される。
【0241】
なお、右上部アーム部材29Rと第1右環状嵌合部27Rを連結する下方部位には、平板材32Rが設けられていて、その平板材32Rの内側面には溝部33が形成されている。溝部33は、右下部アーム部材39Rと右リング部材40R(第2右環状嵌合部40R)を連結する右支持軸44Rを案内するものである。
【0242】
後述する切り替え部14(半回転クラッチ機構14)による切り替えで右上部マッサージ部材24Rが左右方向に移動するとき、右上部マッサージ部材24Rの平板材32Rの内側面に形成された溝部33に沿って右支持軸44Rが上下方向に移動する。
【0243】
第1右環状嵌合部27Rには、右上部マッサージ部材24Rが第1右回転ボス部26Rと供回りすることを規制する右規制部28Rが設けられている。右規制部28Rは、第1右環状嵌合部27R(右上部マッサージ部材24R)の基端側に設けられた右規制ピン34Rと、当該右規制ピン34Rが摺動自在に嵌り込む右規制溝35Rと、を有している。
【0244】
右規制ピン34Rは、第1右環状嵌合部27Rの外周面(後側)から、後方に向かって突出するように設けられている。右規制溝35は、右規制ピン34の対面する位置に設けられ且つ、左右方向に長い溝である。この右規制ピン34が右規制溝35を左右方向に摺動することで、右上部マッサージ部材24Rが回転駆動軸11と供回りすることを規制する。
【0245】
図14、
図17などに示すように、第1回転ボス部26は、回転駆動軸11の右端側に第1右回転ボス部26Rが設けられるとともに、回転駆動軸11の左端側に第1左回転ボ
ス部26Lが設けられている。この第1右回転ボス部26Rと第1左回転ボス部26Lは、左右で互いに線対称な構成となっている。
【0246】
第1右回転ボス部26Rは、右上部マッサージ部材24Rに設けられた部材である。第1右回転ボス部26Rは、外側に円盤状の筒部材(右外筒部36R)を設け、その内側に小径の筒部材(右内筒部37R)を設けた部材である。
【0247】
すなわち、第1右回転ボス部26Rは、横向きの段付き円筒形状(フランジ形状)に形成された部材である。この第1右回転ボス部26Rには、右外筒部36Rと右内筒部37Rを貫通する右貫通孔38Rが形成されている。
【0248】
この右貫通孔38Rには、回転駆動軸11の右端が挿入される。本実施形態においては、第1右回転ボス部26Rの右外筒部36Rの内側面は外側面に対して傾斜している。その傾斜した右外筒部36Rの内側面に右内筒部37Rが形成されている。
【0249】
また、右内筒部37Rは、右貫通孔38Rに対して偏心して設けられている。すなわち、第1右回転ボス部26Rは、回転駆動軸11に対して偏心して取り付けられている。
【0250】
右内筒部37Rの外周面には、回転駆動軸11の軸心に対して傾斜した第1右カム面30Rが形成されている。第1右カム面30Rは、後述する第1左カム面30Lと左右で互いに線対称な構成となっている。
【0251】
第1右カム面30Rは、右上部マッサージ部材24Rの第1右環状嵌合部27Rが嵌合するようになっている。この形状により、第1右回転ボス部26Rは傾斜回転ボス部となっている。
【0252】
また、右外筒部36Rの軸心に対してオフセットした位置に軸心が通るように、右内筒部37Rが設けられている。この形状により、第1右回転ボス部26Rは偏心回転ボス部となっている。つまり、第1右回転ボス部26Rは、回転駆動軸11の軸心に対して傾斜回転すると共に偏心回転するものとなっている。
【0253】
図14、
図17などに示すように、右下部マッサージ部材25R(右側の第2マッサージ部材25R)は、右下部アーム部材39Rと右リング部材40Rの2つの部材を組み合わせた部材である。この右下部マッサージ部材25Rは、後述する左下部マッサージ部材25Lと左右で互いに線対称な構成となっている。
【0254】
右下部アーム部材39Rは、右下部マッサージ部材25Rの先端側に設けられている部材である。右下部アーム部材39Rは、長手方向中途部が略L字状に下方に折れ曲がるとともに、先端が前方に折れ曲がった部材である。その先端に第3施療子4c(右下部施療子4c)が取り付けられている。この第3施療子4c(右下部施療子4c)は、第1施療子4aと略同形状であり、前後方向を向く軸心回りに回動自在に取り付けられている。
【0255】
この第3施療子4cは、第1施療子4aと第2施療子4b対して上下方向に近接離反する動作を行う。すなわち、第1施療子4aと第2施療子4bは左右方向に揺動し、第3施療子4cは上下方向に揺動する。
【0256】
右下部アーム部材39Rの長手方向中途部(L字状の屈曲部位)には、軸心が左右方向を向く右貫通孔41Rが形成されている。この右貫通孔41Rは、後述する右リング部材40Rを連結する右支持軸44Rが挿入される孔である。
【0257】
右貫通孔41Rは、右リング部材40Rの右貫通孔45Rと合わせられることで、右支持軸44Rが挿入される。右下部アーム部材39Rと右リング部材40Rは、右貫通孔41Rと右貫通孔45Rに挿入された右支持軸44Rの軸心回りに回動自在に連結される。
【0258】
右下部アーム部材39Rの基端側には、軸心が左右方向を向く右連結孔42Rが形成されている。この右連結孔42Rは、右上部マッサージ部材24Rの右連結部31Rが挿入される孔である。右上部マッサージ部材24Rと右下部マッサージ部材25Rは、右連結孔42Rに挿入された右連結部31Rの軸心回りに回動自在に連結される。
【0259】
右リング部材40Rは、右下部マッサージ部材25Rの基端側に設けられている部材である。この右リング部材40Rは、後述する左リング部材40Lと左右で互いに線対称な構成となっている。右リング部材40Rは、後述する第2右回転ボス部46Rに外嵌可能なリング状に形成された部材である。つまり、右リング部材40Rは第2右環状嵌合部40Rである。
【0260】
この第2右環状嵌合部40Rの外周側には、右突起部43Rが形成されている。右突起部43Rは、側方視で三角形状に突出するように設けられている。この右突起部43Rの先端には、右支持軸44Rが挿入される右貫通孔45Rが形成されている。この右支持軸44Rの軸心回りに、右下部アーム部材39Rの長手方向中途部が回動自在に支持されている。
【0261】
図14、
図17などに示すように、第2回転ボス部46は、回転駆動軸11上であって、第1右回転ボス部26Rの内側に第2右回転ボス部46Rが設けられるとともに、第1左回転ボス部26Lの内側に第2左回転ボス部46Lが設けられている。この第2右回転ボス部46Rと第2左回転ボス部46Lは、左右で互いに線対称な構成となっている。
【0262】
第2右回転ボス部46Rは、右下部マッサージ部材25Rに設けられた部材である。第2右回転ボス部46Rは、内側に円盤状の筒部材(右内筒部47R)を設け、その外側に小径の有する筒部材(右外筒部48R)を設けた部材である。すなわち、第2右回転ボス部46Rは、横向きの段付き円筒形状(フランジ形状)に形成された部材である。
【0263】
この第2右回転ボス部46Rには、右外筒部48Rと右内筒部47Rを貫通する右貫通孔49Rが形成されている。この右貫通孔49Rには、回転駆動軸11の右側が挿入される。また、右外筒部48Rは、右貫通孔49Rに対して偏心して設けられている。すなわち、第2右回転ボス部46Rは、回転駆動軸11に対して偏心して取り付けられている。
【0264】
本実施形態においては、第2右回転ボス部46Rの右内筒部47Rの外側面は内側面に対して傾斜している。なお、第2右回転ボス部46Rの右内筒部47Rの外側面における傾斜角度は、第1右回転ボス部26Rの右外筒部36Rの内側面における傾斜角度と同じである。
【0265】
つまり、右内筒部47Rの外側面と右外筒部36Rの内側面は、並行な面となっている。傾斜した右内筒部47Rの外側面に右外筒部48Rが形成されている。右外筒部48Rの外周面には、回転駆動軸11の軸心に対して傾斜した第2右カム面50Rが形成されている。
【0266】
第2右カム面50Rは、右下部マッサージ部材25Rの第2右環状嵌合部40R(右リング部材40R)が嵌合するようになっている。なお、第2右カム面50Rの傾斜角度は、第1右カム面30Rにおける回転駆動軸11の軸心に対する角度と同じ傾斜角度となっている。この形状により、第2右回転ボス部46Rは傾斜回転ボス部となっている。
【0267】
また、右内筒部47Rの軸心に対してオフセットした位置に軸心が通るように右外筒部48Rが設けられている。この形状により、第2右回転ボス部46Rは偏心回転ボス部となっている。つまり、第2右回転ボス部46Rは、回転駆動軸11の軸心に対して傾斜回転すると共に偏心回転するものとなっている。
【0268】
本実施形態の右変換部13Rは、右上部マッサージ部材24Rを揺動させる第1右回転ボス部26Rと第1右環状嵌合部27R、及び、右下部マッサージ部材25Rを揺動させる第2右回転ボス部46Rと第2右環状嵌合部40Rからなる分割体である。
【0269】
さて、本発明のマッサージ機構2は、左右のマッサージ部12の挟み込み動作の位相を切り替える切り替え部14を備えている。
【0270】
図13は、第1挟み込み動作時のマッサージ機構2と、第2挟み込み動作時のマッサージ機構2の概要を示した斜視図である。
図14は、第1挟み込み動作時の右変換部13Rと切り替え部14の分解図である。
図15は、第1挟み込み動作時の右側の第1右回転ボス部26Rを断面した図である。
図16は、
図15に示されている第1右回転ボス部26Rの断面を拡大した図である。
【0271】
図17は、第2挟み込み動作時の右変換部13Rと切り替え部14の分解図である。
図18は、第2挟み込み動作時の第1右回転ボス部26Rを断面した図である。
図19は、
図18に示されている第1右回転ボス部26Rの断面を拡大した図である。
【0272】
図13~
図19などに示すように、本実施形態のマッサージ機構2は、右マッサージ部12Rの挟み込むタイミングと、左マッサージ部12Lの挟み込むタイミングが異なる(タイミングをずらすことができる)構成としていることを特徴としている。
【0273】
右変換部13R(第1変換部13R)に、右マッサージ部12Rの挟み込むタイミング
をずらすことで、右マッサージ部12Rと左マッサージ部12Lの挟み込むタイミングを異ならせる遅延機構が設けられている。
【0274】
遅延機構は、左右のマッサージ部12の挟み込み動作の位相を切り替える切り替え部14を有している。なお、切り替え部14については、左部マッサージ部12Lの左変換部13Lに備えていてもよい。
【0275】
本実施形態の切り替え部14は、回転駆動軸11の正回転と逆回転で、左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相(一定の位相)に対して、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相(周期的な動作)を切り替えるものである。
【0276】
図13に示すように、切り替え部14は、左右一対のマッサージ部12を同じ位相で行わせる「第1挟み込み動作(両掴みマッサージ)」と、左右いずれか一方のマッサージ部12(本実施形態では、左マッサージ部12L)が動き出した後に、その一方のマッサージ部12の挟み込み動作の位相に対して、他方のマッサージ部12(右マッサージ部12R)の挟み込み動作を遅れる位相で行わせる「第2挟み込み動作(片掴みマッサージ)」と、を切り替え可能に構成されている。
【0277】
なお、本実施形態では、回転駆動軸11が正回転しているとき、切り替え部14は「第1挟み込み動作」に切り替え、回転駆動軸11が逆回転しているとき、切り替え部14は「第2挟み込み動作」に切り替えさせるものとする。
【0278】
切り替え部14は、左変換部13Lが動き出した後に、右変換部13Rの動き出しをずらす遅延動作により、第1挟み込み動作と第2挟み込み動作とを切り替えることができる。
【0279】
切り替え部14は、回転体を軸体回りに正回転方向または逆回転方向に所定の角度(例えば、1/4回転、1/3回転、1/2回転(半回転)など)に回転させた後に、右マッサージ部12Rの動きを、その回転させた分だけ遅延させることで、マッサージ部12の挟み込み動作の位相を切り替える「回転クラッチ機構」とされていると好ましい。なお、後述する鉤部51が設けられた部材が回転体であり、本実施形態では回転体は切り替え軸53である。また、本実施形態では軸体は回転駆動軸11である。
【0280】
本実施形態では、切り替え部14は、回転駆動軸11に設けられた切り替え軸53を正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、右マッサージ部12Rの動きを遅延させることで、右マッサージ部12Rの挟み込み動作の位相を切り替える「半回転クラッチ機構」を採用している。
【0281】
つまり、本実施形態では、半回転クラッチ機構14による遅延動作により、回転駆動軸11の右側に設けられた第1右回転ボス部26Rと第2右回転ボス部46Rを、第1左回転ボス部26Lと第2左回転ボス部46Lの回転より半回転分遅らせて回転させ始めることにより、右マッサージ部12Rは左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相に対して遅れる挟み込み動作の位相に切り替えている。
【0282】
ただし、「半回転クラッチ機構14」は、半回転(180°)以外も含むものとする。例えば、120°、90°などが挙げられる。
【0283】
図14~
図19などに示すように、本実施形態の半回転クラッチ機構14(切り替え部14)は、回転駆動軸11上に設けられた鉤部51と、その鉤部51が摺動自在に嵌り込む鉤溝部52と、鉤部51が設けられている切り替え軸53と、を有している。
【0284】
本実施形態の切り替え軸53は、回転駆動軸11の右端部を覆うように取り付けられた円筒状の部材である。切り替え軸53は、回転駆動軸11とともに回転するものである。切り替え軸53(回転体)は、回転駆動軸11(軸体)に対して正回転方向または逆回転方向に半回転し、その後に第1右回転ボス部26Rおよび第2右回転ボス部46Rを回転させるものである。
【0285】
切り替え軸53の内径は回転駆動軸11の外径と略同じで、外径は右貫通孔38R,49Rの内径と略同じである。この切り替え軸53の外周には、径方向外側に突状の鉤部51が形成されている。
【0286】
本実施形態の鉤部51は、切り替え軸53の外周に沿って設けられ、切り替え軸53(回転駆動軸11)の軸心方向に長い板状の部材である。すなわち、鉤部51は、後述する鉤溝部52に沿った湾曲状の膨出片といえる。
【0287】
この鉤部51は、切り替え軸53の外周曲面と同じ円弧の側壁と二つの終端壁51a,51bを有する湾曲部材である。一方の終端壁51aは、正回転時に、鉤溝部52の第1回転切替部54に係合する壁面である。他方の終端壁51bは、逆回転時に、鉤溝部52の第2回転切替部55に係合する壁面である。
【0288】
つまり、鉤部51は、鉤溝部52に嵌り込む形状で且つ、前後方向の長さ(高さ)が鉤溝部52と略同じである。この鉤部51は、鉤溝部52内において、切り替え軸53(回転駆動軸11)の軸心回りに摺動する。
【0289】
本実施形態の鉤溝部52は、側方断面視で、切り替え軸53(回転駆動軸11)の外周を周回する三日月形状(C字状)の軌道を有する溝となっている。鉤溝部52は、切り替え軸53の外周に沿って設けられ、切り替え軸53(回転駆動軸11)の軸心方向に長い(深い)溝である。
【0290】
すなわち、鉤溝部52は、鉤部51の外周曲面と同じ円弧とされた湾曲溝である。また、鉤溝部52は、鉤部51に沿った湾曲状の溝である。つまり、鉤溝部52は、鉤部51が嵌り込む形状で且つ、前後方向の長さ(深さ)が鉤部51の高さと略同じである。
【0291】
本実施形態の鉤溝部52は、第1右回転ボス部26Rの右貫通孔38R内に形成された鉤溝部52aと、第2右回転ボス部46Rの右貫通孔49R内に形成された鉤溝部52bからなる。この鉤溝部52aと鉤溝部52bは、同形状である。つまり、第1右回転ボス部26Rと第2右回転ボス部46Rが組み合わせられた状態のとき、鉤溝部52a,52bは連通した状態となっている。
【0292】
この鉤溝部52は、切り替え軸53の外周を周回する円弧状の溝であり、二つの終端壁を有する軌道となっている。この二つの終端壁、すなわち側壁部54,55は、回転駆動軸11の回転を切り替える回転切替部54,55とされている。
【0293】
回転切替部54,55は、回転駆動軸11が正回転または逆回転したときに、半回転した鉤部51が係合することにより、右変換部13Rの動作を遅らせて、右マッサージ部12Rの挟み込み動作を切り替えるものである。
【0294】
本実施形態では、半円状の鉤溝部52に設けられた一方の終端54が第1回転切替部54である。第1回転切替部54は、回転駆動軸11の正回転時に、左右の変換部13L,13Rの動作を同調させるための部位である。
【0295】
すなわち、回転駆動軸11の正回転時において、切り替え軸53の鉤部51が回転駆動軸11の軸心回りに正回転方向に半回転した後に、第1回転切替部54に鉤部51の一方の終端51aが係合されることで、右回転ボス部26R,46Rが左回転ボス部26L,46Lとともに回転し始め、左右の変換部13L,13Rの動作を合わせて、右マッサージ部12Rを「第1挟み込み動作」に切り替える。
【0296】
また、半円状の鉤溝部52に設けられた他方の終端55が第2回転切替部55である。第2回転切替部55は、回転駆動軸11の逆回転時に、左変換部13Lの動作に対し、右変換部13Rの動作を遅らせるため部位である。
【0297】
つまり、回転駆動軸11の逆回転時において、切り替え軸53の鉤部51が回転駆動軸11の軸心回りに逆回転方向に半回転した後に、鉤部51の他方の終端51bが第2回転切替部55に係合されることで、右回転ボス部26R,46Rが左回転ボス部26L,46Lの回転に対して半回転分遅れて回転し始め、左変換部13Lの動作に対して右変換部13Rの動作を遅らせて、右マッサージ部12Rを「第2挟み込み動作」に切り替える。
【0298】
すなわち、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)は、回転駆動軸11が正回転することにより、切り替え軸53が回転駆動軸11の軸心回りに正回転方向に半回転している間、右マッサージ部材12Rの動きは一時停止しており、その半回転後に鉤部51の一方端51aが鉤溝部52内の第1回転切替部54(一方の終端54)に係合されると、一時停止していた右マッサージ部材12Rが動き出す(遅延動作する)ことにより、左右の変換部13L,13Rの動作が同調するようになり、右マッサージ部12Rと左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相を同位相に切り替えて、第1挟み込み動作(両掴みマッサージ)を行わせる。
【0299】
また、半回転クラッチ機構14は、回転駆動軸11が逆回転することにより、切り替え軸53が回転駆動軸11の軸心回りに逆回転方向に半回転している間、右マッサージ部材12Rの動きは一時停止しており、その半回転後に鉤部51の他方端51bが鉤溝部52内の第2回転切替部55(他方の終端55)に係合されると、一時停止していたマッサージ部材12Rが動き出す(遅延動作する)ことにより、右マッサージ部12Rを、左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相に対して遅れる挟み込み動作の位相に切り替えて、第2挟み込み動作(片掴みマッサージ)を行わせる。
【0300】
なお、鉤部51が第1回転切替部54または第2回転切替部55に係合されるまで(切り替え軸53が半回転している間)は、第1左回転ボス部26Lと第2左回転ボス部46Lは回転しているが、第1右回転ボス部26Rと第2右回転ボス部46Rは一時停止した状態となっている。
【0301】
つまり、左マッサージ部12L(左上部マッサージ部材24Lと左下部マッサージ部材25L)は挟み込み動作しているが、右マッサージ部12R(右上部マッサージ部材24Rと右下部マッサージ部材25R)は一時停止した状態となっている。
【0302】
ここで、左マッサージ部12Lについて説明する。なお、左マッサージ部12Lは、右マッサージ部12Rを左右に鏡像反転させた類似形状であるので詳細な説明は省略する。
【0303】
図20は、左マッサージ部12L及び左変換部13Lの分解図である。
図20に示すように、左マッサージ部12Lは、左上側の施療部に対してマッサージをする左上部マッサージ部材24Lと、左下側の施療部に対してマッサージをする左下部マッサージ部材25Lと、を有している。
【0304】
左上部マッサージ部材24L(左側の第1マッサージ部材24L)は、前方に突出状に設けられた左上部アーム部材29Lと、後述する第1左回転ボス部26Lを外側から嵌合する第1左環状嵌合部27Lと、を有している。この左上部マッサージ部材24Lは、右上部マッサージ部材24Rと左右で互いに線対称な構成となっている。
【0305】
左上部アーム部材29Lは、右上部アーム部材29Rと同形状である。左上部アーム部材29Lの先端側のそれぞれには、左上部施療子4dと左中間施療子4eが設けられている。左上部施療子4dは、第1施療子4aと同形状である。また、左中間施療子4eは、第2施療子4bと同形状である。
【0306】
この左上部施療子4dと左中間施療子4eは左右方向に揺動し、左上部施療子4dと左中間施療子4eに対して後述する左下部施療子4fが上下方向に近接離反する動作を行う。これら左上部施療子4dと左中間施療子4eは、回転駆動軸11の回転駆動力により左上部マッサージ部材24Lが揺動することによって、左上側の施療部に対してマッサージをするものである。
【0307】
左上部アーム部材29Lの基端側には、左変換部13Lを構成する第1左環状嵌合部27Lが設けられている。この左上部アーム部材29Lは、右上部アーム部材29Rと左右で互いに線対称な構成となっている。第1左環状嵌合部27Lは、第1左回転ボス部26Lの第1左カム面30Lに嵌合可能に形成されている。また、第1左環状嵌合部27Lの下方には左連結部31Lが設けられている。
【0308】
この左連結部31Lは、左下部マッサージ部材25Lに設けられた左連結孔42Lに挿入され、左上部マッサージ部材24Lと左下部マッサージ部材25Lを連結するものである。なお、右上部マッサージ部材24Rと同様に、左上部アーム部材29Lと第1左環状嵌合部27Lを連結する下方部位には、平板材32Lが設けられている。その平板材32Lの内側面には、左支持軸44Lを案内する溝部が形成されている。
【0309】
さて、第1左環状嵌合部27Lには、左上部マッサージ部材24Lが第1左回転ボス部26Lと供回りすることを規制する左規制部28Lが設けられている。この左規制部28Lは、左規制ピン34Lと左規制溝35Lを有している。
【0310】
第1左回転ボス部26Lは、左上部マッサージ部材24Lに設けられた部材である。この第1左回転ボス部26Lは、第1右回転ボス部26Rと左右で互いに線対称な構成となっている。第1左回転ボス部26Lは、外側に円盤状の左外筒部36Lを設け、その内側に小径の左内筒部37Lを設けた部材である。
【0311】
この第1左回転ボス部26Lには左貫通孔38Lが形成され、この左貫通孔38Lには回転駆動軸11の左端が挿入される。左内筒部37Lの外周面には、回転駆動軸11の軸心に対して傾斜した第1左カム面30Lが形成されている。また、第1左回転ボス部26Lは、回転駆動軸11の軸心に対して偏心している。第1左回転ボス部26Lは、回転駆動軸11の軸心に対して傾斜回転すると共に偏心回転するものとなっている。
【0312】
図20に示すように、左下部マッサージ部材25L(左側の第2マッサージ部材25L)は、左下部アーム部材39Lと左リング部材40Lの2つの部材を組み合わせた部材である。この左下部マッサージ部材25Lは、右下部マッサージ部材25Rと左右で互いに線対称な構成となっている。
【0313】
左下部アーム部材39Lは、左下部マッサージ部材25Lの先端側に設けられている部材である。左下部アーム部材39Lの先端には、左下部施療子4fが取り付けられている。この左下部施療子4fは、第3施療子4cと略同形状である。
【0314】
この左下部施療子4fは、左上部施療子4dと左中間施療子4eに対して上下方向に近接離反する動作を行う。すなわち、左上部施療子4dと左中間施療子4eは左右方向に揺動し、左下部施療子4fは上下方向に揺動する。
【0315】
左下部アーム部材39LのL字状の屈曲部位には、左支持軸44Lが挿入される左貫通孔41Lが形成されている。左下部アーム部材39Lと左リング部材40Lは、左貫通孔41Lと左貫通孔45Lに挿入された左支持軸44Lの軸心回りに回動自在に連結される。
【0316】
左下部アーム部材39Lの基端側には、左連結部31Lが挿入される左連結孔42Lが形成されている。左上部マッサージ部材24Lと左下部マッサージ部材25Lは、左連結孔42Lに挿入された左連結部31Lの軸心回りに回動自在に連結される。
【0317】
左リング部材40Lは、左下部マッサージ部材25Lの基端側に設けられ、第2左回転ボス部46Lを外嵌する第2左環状嵌合部40Lである。この第2左環状嵌合部40Lは、第2右環状嵌合部40Rと左右で互いに線対称な構成となっている。
【0318】
また、第2左環状嵌合部40Lの外周側には左突起部43Lが形成され、この左突起部43Lには左支持軸44Lが挿入される左貫通孔45Lが形成されている。左支持軸44Lの軸心回りに、左下部アーム部材39Lの長手方向中途部が回動自在に支持されている。
【0319】
第2左回転ボス部46Lは、左下部マッサージ部材25Lに設けられた部材である。この第2左回転ボス部46Lは、第2右回転ボス部46Rと左右で互いに線対称な構成となっている。第2左回転ボス部46Lは、内側に円盤状の左内筒部47Lを設け、その外側に小径の左外筒部48Lを設けた部材である。
【0320】
この第2左回転ボス部46Lには左貫通孔49Lが形成され、この左貫通孔49Lには回転駆動軸11の左側が挿入される。左外筒部48Lの外周面には、回転駆動軸11の軸心に対して傾斜した第2左カム面50Lが形成されている。
【0321】
この第2左カム面50Lは、第2右カム面50Rと左右で互いに線対称な構成となっている。また、第2左回転ボス部46Lは、回転駆動軸11の軸心に対して偏心している。第2左回転ボス部46Lは、回転駆動軸11の軸心に対して傾斜回転すると共に偏心回転するものとなっている。
【0322】
本実施形態の左変換部13Lは、左上部マッサージ部材24Lを揺動させる第1左回転ボス部26Lと第1左環状嵌合部27L、及び、左下部マッサージ部材25Lを揺動させる第2左回転ボス部46Lと第2左環状嵌合部40Lからなる分割体である。
[作動態様]
次いで、本実施形態のマッサージ機構2を備えたマッサージ機1の作動態様について、図を参照しながら説明する。
<第1挟み込み動作>
図15は、本実施形態のマッサージ機構2を右側方から見た図であり、第1右回転ボス部26Rの部分断面図である。
図16は、
図15を拡大した図であり、第1右回転ボス部26Rの断面図である。
【0323】
図15は、回転駆動軸11が正回転しているとき、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、切り替え軸53が正回転方向に半回転した後に、右回転ボス部26Rが正回転することにより、左マッサージ部12Lと右マッサージ部12Rが同位相の揺動回転に切り替わり、第1挟み込み動作(両掴みマッサージ)を行う状態を示した図である。
【0324】
使用者は、左右の把持部5L,5Rを両手で握って、例えばマッサージ機1を肩部などの背中上部または腰部などの背中下部に当てて、左把持部5Lに設けられている操作パネル8を操作する。このとき、例えば第1挟み込み動作、すなわち両掴みマッサージ(左右同時に掴み揉みマッサージ)を行う操作ボタンを押すなどをする。
【0325】
図15、
図16などに示すように、駆動部10は駆動し、駆動モータ15の回転駆動力により回転駆動軸11が正回転する。この回転駆動軸11の正回転に伴って、左変換部13Lは回転し、左マッサージ部12Lは一定の位相で上下方向の挟み込み動作をする。
【0326】
右変換部13Rは、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、切り替え軸53が正回転方向に半回転した分だけ遅れて回転し始める。つまり、右変換部13Rでは、回転駆動軸11が正回転方向に半回転分だけ空転するような状態となる。その後、右変換部13Rは左変換部13Lの回転と同調し、右マッサージ部12Rは左マッサージ部12Lと同じ位相で左右および上下方向の挟み込み動作をする。
【0327】
具体的には、回転駆動軸11の正回転に伴って、切り替え軸53が正回転の方向に回転すると、鉤部51が半円状の鉤溝部52内を正回転の周方向(
図16の側面視で時計回り)に摺動するようになり、回転駆動軸11の軸心回りに正回転方向に半回転する。つまり、切り替え軸53が正回転方向(マッサージ機1の前方向)に半回転分だけ空転する。
【0328】
切り替え軸53が正回転方向に半回転すると、半回転クラッチ機構14により、鉤部51は一方端51aが鉤溝部52内の第1回転切替部54(一方の終端壁54)に係合される。
【0329】
右変換部13Rは、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、切り替え軸53(回転体)が回転駆動軸11(軸体)の軸心回りに正回転方向に半回転することにより、右回転ボス部26R,46Rは、左回転ボス部26L,46Rの回転より半回転分遅れて正回転方向に回転し始める。第1右回転ボス部26Rと第2右回転ボス部46Rは、回転駆動軸11の正回転に伴って、同じ正回転をする。
【0330】
なお、鉤部51が第1回転切替部54に係合されるまで(切り替え軸53が正回転方向に半回転している間)は、左マッサージ部12L(左上部マッサージ部材24Lと左下部マッサージ部材25L)は上下方向の挟み込み動作しているが、右マッサージ部12R(右上部マッサージ部材24Rと右下部マッサージ部材25R)は一時停止した状態となっている。
【0331】
これにより、第1右回転ボス部26Rと第2右回転ボス部46Rは、第1左回転ボス部26Lと第2左回転ボス部46Lと同じ挟み込み動作の位相となって回転する。つまり、左右の変換部13L,13Rは同調して、同じ位相の揺動動作に変換する。すなわち、右マッサージ部12Rと左マッサージ部12Lは、同位相の上下揺動運動に切り替わり、第1挟み込み動作を行う。
【0332】
このようなことより、左側の上部マッサージ部材24Lおよび下部マッサージ部材25Lと、右側の上部マッサージ部材24Rおよび下部マッサージ部材25Rは、同じ位相で左右および上下方向の挟み込み動作をする、第1挟み込み動作を行う。
【0333】
すなわち、本実施形態のマッサージ機構2は、右上部マッサージ部材24Rの第1施療子4aおよび第2施療子4bと、左上部マッサージ部材24Lの左上部施療子4dおよび左中間施療子4eが左右方向に近接離反することにより、使用者の肩部中央(または腰部中央)に対して左右方向から挟み込む、揉みマッサージを行うことができる。
【0334】
また、本実施形態のマッサージ機構2は、右上部マッサージ部材24Rの第1施療子4aおよび第2施療子4bに対して、右下部マッサージ部材25Rの第3施療子4cが上下方向に近接離反する(距離を縮める)ことにより、使用者の中央より右側の肩部~背中(または右腰部)に対して上下方向から掴んで挟み込む、掴み揉みマッサージを行うことができる。
【0335】
また、本実施形態のマッサージ機構2は、左上部マッサージ部材24Lの左上部施療子4dおよび左中間施療子4eに対して、左下部マッサージ部材25Lの左下部施療子4fが上下方向に近接離反することにより、使用者の中央より左側の肩部~背中(または左腰部)に対して上下方向から掴んで挟み込む、掴み揉みマッサージを行うことができる。
【0336】
すなわち、右マッサージ部12Rと左マッサージ部12Lは、左右および中央の肩部~背中にかけて(または腰部に対して)マッサージを行うことができる。
<第2挟み込み動作>
図18は、本実施形態のマッサージ機構2を右側方から見た図であり、第1右回転ボス部26Rの部分断面図である。
図19は、
図18を拡大した図であり、第1右回転ボス部26Rの断面図である。
【0337】
図18は、回転駆動軸11が逆回転しているとき、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、切り替え軸53が逆回転方向に半回転した後に、右回転ボス部26Rが逆回転することにより、右マッサージ部12Rが左マッサージ部12Lの挟み込み動作の位相に対して遅れる挟み込み動作の位相に切り替わり、第2挟み込み動作(片掴みマッサージ)を行う状態を示した図である。
【0338】
使用者は操作パネル8を操作して第2挟み込み動作、すなわち片掴みマッサージ(左右交互に掴み揉みマッサージ)を行う切り替え操作をする。
【0339】
図18、
図19などに示すように、駆動部10は駆動し、駆動モータ15の回転駆動力により回転駆動軸11が逆回転する。この回転駆動軸11の逆回転に伴って、左変換部13Lは回転し、左マッサージ部12Lは一定の位相で上下方向の挟み込み動作をする。
【0340】
一方、右変換部13Rは、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、切り替え軸53が逆回転方向に半回転した分だけ遅れて回転し始める。つまり、右変換部13Rでは、回転駆動軸11が逆回転方向(マッサージ機1の後方向)に半回転分だけ空転するような状態となる。その後、右変換部13Rは左変換部13Lの回転と異なる回転をし、右マッサージ部12Rは左マッサージ部12Lと異なる位相で上下方向の挟み込み動作をする。
【0341】
具体的には、回転駆動軸11の逆回転に伴って、切り替え軸53が逆回転の方向に回転すると、鉤部51が半円状の鉤溝部52内を逆回転の周方向(
図19の側面視で反時計回り)に摺動するようになり、回転駆動軸11の軸心回りに逆回転方向に半回転する。つまり、切り替え軸53が逆回転方向に半回転分だけ空転する。
【0342】
切り替え軸53が逆回転方向に半回転すると、半回転クラッチ機構14により、鉤部51は他方端51bが鉤溝部52内の第2回転切替部55(他方の終端壁55)に係合される。
【0343】
右変換部13Rは、半回転クラッチ機構14(切り替え部14)により、切り替え軸53(回転体)が回転駆動軸11(軸体)の軸心回りに逆回転方向に半回転することにより、右回転ボス部26R,46Rは、左回転ボス部26L,46Rの回転より半回転分遅れて逆回転方向に回転し始める。第1右回転ボス部26Rと第2右回転ボス部44Rは、回転駆動軸11の逆回転に伴って逆回転をする。
【0344】
なお、鉤部51が第2回転切替部55に係合されるまで(切り替え軸53が逆回転方向に半回転している間)は、左マッサージ部12L(左上部マッサージ部材24Lと左下部マッサージ部材25L)は上下方向の挟み込み動作をしているが、右マッサージ部12R(右上部マッサージ部材24Rと右下部マッサージ部材25R)は一時停止した状態となっている。
【0345】
これにより、第1右回転ボス部26Rと第2右回転ボス部44Rは、第1左回転ボス部26Lと第2左回転ボス部44Lの回転位相と異なる位相の回転をする。つまり、右変換部13Rは、左変換部13Lの揺動変換に対して、遅れる位相の揺動動作に変換する。
【0346】
この半回転クラッチ機構14により、左変換部13Lの動作より右変換部13Rが遅れて動き出して、右上部マッサージ部材24Rが左上部マッサージ部材24Lの揺動動作に遅れて動き出す。同様に、右下部マッサージ部材25Rが左下部マッサージ部材25Lの揺動動作に遅れて動き出す。
【0347】
半回転クラッチ機構14は、左変換部13Lの左マッサージ部12Lへの変換動作に対して、右変換部13Rの右マッサージ部12Rへの変換動作を遅らせる遅延変換動作を行い、左マッサージ部12Lの上下方向の挟み込み動作の位相に対して、右マッサージ部12Rの上下方向の挟み込み動作の位相を遅らせる第2挟み込み動作を行わせる。
【0348】
このようなことより、右側の上部マッサージ部材24Rおよび下部マッサージ部材25Rは、左側の上部マッサージ部材24Lおよび下部マッサージ部材25Lに対して、異なる位相で、遅延させた上下方向の挟み込み動作をする、第2挟み込み動作を行う。
【0349】
すなわち、本実施形態のマッサージ機構2は、左上部マッサージ部材24Lの左上部施療子4dおよび左中間施療子4eに対して、左下部マッサージ部材25Lの左下部施療子4fが上下方向に近接離反することにより、使用者の中央より左側の肩部~背中(または左腰部)に対して上下方向から掴んで挟み込む、掴み揉みマッサージを行うことができる。
【0350】
一方で、本実施形態のマッサージ機構2は、左側の上部施療子4d,4eに対する左側の下部施療子4fの上下方向の近接離反動作に対して、右下部マッサージ部材25Rの第3施療子4cが180°の位相差で、右上部マッサージ部材24Rの第1施療子4aと第2施療子4bに対して上下方向に近接離反することにより、使用者の中央より右側の肩部~背中(または右腰部)に対して上下方向から掴んで挟み込む、掴み揉みマッサージを行うことができる。
【0351】
このように、半回転クラッチ機構14は、回転駆動軸11を正回転または逆回転させることで、右マッサージ部12Rと左マッサージ部12Lによる、第1挟み込み動作(両掴みマッサージ)と第2挟み込み動作(片掴みマッサージ)に切り替えることができる。
【0352】
まとめると、半回転クラッチ機構14は、回転駆動軸11が正回転しているときに、切り替え軸53の回転を正回転方向に半回転させて、鉤部51の一方の終端壁51aを鉤溝部52内の第1回転切替部54に係合させることで、右マッサージ部12Rの動作を半回転分遅らせて左マッサージ部12Lの動作と同調することにより、右マッサージ部12Rの上下方向の挟み込み動作の位相と左マッサージ部12Lの上下方向の挟み込み動作の位相を「同位相」に切り替えることができる。
【0353】
これにより、同じ上下方向の挟み込み動作の位相で、左上部マッサージ部材24Lが左肩部に対してマッサージを行うとともに、左下部マッサージ部材25Lが左側の背中に対してマッサージを行う、第1挟み込み動作を行うことができる。
【0354】
また、同じ上下方向の挟み込み動作の位相で、右上部マッサージ部材24Rが右肩部に対してマッサージを行うとともに、右下部マッサージ部材25Rが右側の背中に対してマッサージを行う、第1挟み込み動作を行うことができる。
【0355】
さらに、半回転クラッチ機構14は、回転駆動軸11が逆回転しているときに、切り替え軸53の回転を逆回転方向に半回転させて、鉤部51の他方の終端壁51bを鉤溝部52内の第2回転切替部55に係合させることで、右マッサージ部12Rの動作を半回転分遅らせて、左マッサージ部12Lの上下方向の挟み込み動作の位相に対して、右マッサージ部12Rの上下方向の挟み込み動作の位相が「遅れる挟み込み動作の位相」に切り替えることができる。
【0356】
これにより、右上部マッサージ部材24Rは、左上部マッサージ部材24Lとは異なる位相で、上下方向の挟み込み動作を行って、使用者の右肩部に対してマッサージを行う、第2挟み込み動作を行うことができる。
【0357】
また、右下部マッサージ部材25Rは、左下部マッサージ部材25Lとは異なる位相で、上下方向の挟み込み動作を行っているので、左下部マッサージ部材25Lが上がっているとき、右下部マッサージ部材25Rは下降しているので、上下方向で異なったタイミングで、使用者の右側の背中に対してマッサージを行う、第2挟み込み動作を行うことができる。
【0358】
つまり、左右異なる位相で、左マッサージ部12Lは左の肩部~背中にかけて掴みマッサージを行い、その後右マッサージ部12Rは右の肩部~背中にかけて揉みマッサージを行うことができる。
【0359】
すなわち、本発明の切り替え部14(半回転クラッチ機構14)は、回転体である切り替え軸53が軸体である回転駆動軸11の軸心回りに、正回転と逆回転のいずれかの方向に半回転して、切り替え軸53に設けられた鉤部51が、右回転ボス部26R,46Rに設けられた鉤溝部52内の終端54,55(第1回転切替部54または第2回転切替部55)に係合されると、右回転ボス部26R,46Rが、左回転ボス部26L,46Lの回転より半回転分遅れて回転し始めることにより、右マッサージ部12Rの上下方向の挟み込み動作の位相を切り替えることができる。
【0360】
以上、本発明のマッサージ機構2によれば、切り替え部14(半回転クラッチ機構14)を備えることで、右マッサージ部12と左マッサージ部12の上下方向の挟み込み動作の位相が切り替わるので、使用者の施療部(例えば、首部(首筋)や肩部、腰部など)に対して、一つの装置で多様なマッサージ動作を効果的に付与することで、多様な揉み感を付与して良好なマッサージを行うことができる。すなわち、本発明のマッサージ機構2は、施療部に対してマッサージをする際に、揉み方を変えて効果的なマッサージを行うことができる。
【0361】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【0362】
例えば、マッサージ機構2に備えられている上部マッサージ部材24と下部マッサージ部材25の長さや形状など、回転駆動軸11に対する上部マッサージ部材24(第1回転ボス部26(第1カム面30))、下部マッサージ部材25(第2回転ボス部46(第2カム面50))の傾斜角度、左右にあるマッサージ部12の左右の離間距離、上部マッサージ部材24と下部マッサージ部材25の上下の離間距離などについては、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。
【0363】
また、切り替え部14によるマッサージ部12の挟み込み動作(上下揺動運動)の位相差、切り替え軸53の鉤部51と、右回転ボス部26R,46Rの鉤溝部52の関係(例えば、鉤部51と鉤溝部52の形状(摺動範囲)等)などについては、例示したものに限定されず、適宜変更可能である。つまり、鉤部51が第1回転切替部54または第2回転切替部55(鉤溝部52の終端壁54,55)に係合するまでの切り替え軸53の回転角度については半回転でもよいし、任意の角度でもよい。
【符号の説明】
【0364】
1 マッサージ機
2 マッサージ機構
3 マッサージ本体
4 施療子
4a 上部施療子
4c 下部施療子
9 基台
10 駆動部
10R 右駆動機構
10L 左駆動機構
11 回転駆動軸
12 マッサージ部
12R 右マッサージ部(第1マッサージ部)
12L 左マッサージ部(第2マッサージ部)
13 変換部
13R 右変換部(第1変換部)
13L 左変換部(第2変換部)
14 切り替え部(半回転クラッチ機構)
15 駆動モータ
15a 右出力軸(右側のウォームギア)
15b 左出力軸(左側のウォームギア)
24 マッサージ部材(上部マッサージ部材)
24R 右マッサージ部材(右上部マッサージ部材)
24L 左マッサージ部材(左上部マッサージ部材)
25 下部マッサージ部材
25R 右下部マッサージ部材
25L 左下部マッサージ部材
26 回転ボス部(第1回転ボス部)
26R 右回転ボス部(第1右回転ボス部)
26L 左回転ボス部(第1左回転ボス部)
27 第1環状嵌合部
27R 第1右環状嵌合部
27L 第1左環状嵌合部
30R 第1右カム面
30L 第1左カム面
40 リング部材(第2環状嵌合部)
40R 右リング部材(第2右環状嵌合部)
40L 左リング部材(第2左環状嵌合部)
46 第2回転ボス部
46R 第2右回転ボス部
46L 第2左回転ボス部
50R 第2右カム面
50L 第2左カム面
51 鉤部
51a 一方端
51b 他方端
52 鉤溝部
52a 鉤溝部
52b 鉤溝部
53 切り替え軸
54 第1回転切替部
55 第2回転切替部
56R 第1ギア(右側)
56L 第1ギア(左側)
57R 第2ギア(右側)
57L 第2ギア(左側)
58R 第3ギア(右側)
58L 第3ギア(左側)
59R 第1軸部材
59L 第1軸部材
60R 第2軸部材
60L 第2軸部材