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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082824
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】腰部マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A61H7/00 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196953
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】沼田 康一
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD12
4C100AF02
4C100AF16
4C100BB03
4C100CA06
4C100DA06
(57)【要約】
【課題】第1マッサージ部の揺動運動と第2マッサージ部の揺動運動とを切り替えて協働させることで、使用者の施療部に対して複数のマッサージ動作、例えばひねりマッサージと揉みマッサージを付与することができる腰部マッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明の腰部マッサージ機1は、施療部に対してマッサージを行うマッサージ部材6を、基台2上に所定の間隔をあけて左右一対備えた第1マッサージ部5と、第1マッサージ部5の内側に配備され且つ、施療部に対してマッサージを行うアーム部材10を左右一対備えた第2マッサージ部9と、マッサージ部材6の揺動運動とアーム部材10の揺動運動を協働状態に切り替える切り替え部8,12と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療部に対してマッサージを行うマッサージ部材を、基台上に所定の間隔をあけて左右一対備えた第1マッサージ部と、
前記第1マッサージ部の内側に配備され且つ、施療部に対してマッサージを行うアーム部材を左右一対備えた第2マッサージ部と、
前記マッサージ部材の揺動運動と前記アーム部材の揺動運動を協働状態に切り替える切り替え部と、を有する
ことを特徴とする腰部マッサージ機。
【請求項2】
駆動力を発生する駆動部と、
軸心が左右方向を向くように基台上に配備され且つ、前記駆動力により回転する回転駆動軸と、
前記回転駆動軸に配備され且つ、前記駆動力を左右揺動運動に変換して前記第1マッサージ部に伝達する第1変換部と、
前記回転駆動軸の正回転と逆回転で、前記第1マッサージ部が行う左右方向の揺動運動の位相を切り替える第1切り替え部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の腰部マッサージ機。
【請求項3】
前記第1切り替え部は、
左右一対の前記マッサージ部材を左右同じ方向に傾斜させる位相で行わせる第1左右揺動運動と、
左右一対の前記マッサージ部材を近接離反させる位相で行わせる第2左右揺動運動と、
を切り替え可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の腰部マッサージ機。
【請求項4】
前記第1左右揺動運動は、前記左右一対のマッサージ部材を左右同じ方向に揺らぐように傾斜する揺動運動を行う「ひねりマッサージ」とされ、
前記第2左右揺動運動は、前記左右一対のマッサージ部材を左右方向に互いに近接離反する揺動運動を行う「揉みマッサージ」とされている
ことを特徴とする請求項3に記載の腰部マッサージ機。
【請求項5】
前記第1切り替え部は、前記第1マッサージ部の左右いずれか一方のマッサージ部材の動きを一時停止させて、
他方のマッサージ部材の左右揺動運動に合わせて、前記一方のマッサージ部材を前記「ひねりマッサージ」または前記「揉みマッサージ」に切り替え可能となっている
ことを特徴とする請求項4に記載の腰部マッサージ機。
【請求項6】
前記第1切り替え部は、前記回転駆動軸を正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、前記一方のマッサージ部材の動きを一時停止させて遅延させることで、前記一方のマッサージ部材の左右揺動運動の位相を前記「ひねりマッサージ」または前記「揉みマッサージ」をするための位相に切り替える「半回転クラッチ機構」とされている
ことを特徴とする請求項5に記載の腰部マッサージ機。
【請求項7】
前記半回転クラッチ機構は、前記回転駆動軸に取り付けられた突状の係合ピンと、前記係合ピンが摺動自在に嵌り込む係合溝部と、を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の腰部マッサージ機。
【請求項8】
前記半回転クラッチ機構は、
前記回転駆動軸が正回転することにより、前記係合ピンが前記回転駆動軸の軸心回りに正回転方向に半回転することで、前記係合ピンが前記係合溝部内の一方の終端に係合されると、
前記一方のマッサージ部材の動きが一時停止して遅延することにより、前記一方のマッサージ部材と前記他方のマッサージ部材の左右揺動運動の位相を、左右同じ方向に傾斜する位相に切り替えて、前記「ひねりマッサージ」を行わせる構成とされている
ことを特徴とする請求項7に記載の腰部マッサージ機。
【請求項9】
前記半回転クラッチ機構は、
前記回転駆動軸が逆回転することにより、前記係合ピンが前記回転駆動軸の軸心回りに逆回転方向に半回転することで、前記係合ピンが前記係合溝部内の他方の終端に係合されると、
前記一方のマッサージ部材の動きが一時停止して遅延することにより、前記一方のマッサージ部材と前記他方のマッサージ部材の左右揺動運動の位相を、互いに近接離反させる位相に切り替えて、前記「揉みマッサージ」を行わせる構成とされている
ことを特徴とする請求項7に記載の腰部マッサージ機。
【請求項10】
前記第1切り替え部を備えた前記第1変換部には、マッサージを行っているときの負荷により前記第1変換部の寸法変化を防ぐ金属製の第1リング部材が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の腰部マッサージ機。
【請求項11】
前記回転駆動軸に配備され且つ前記駆動力を揺動運動に変換して前記第2マッサージ部に伝達する第2変換部と、
前記回転駆動軸の正回転と逆回転で、前記第2マッサージ部が行う揺動運動の位相を切り替える第2切り替え部と、を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の腰部マッサージ機。
【請求項12】
前記第2切り替え部は、
前記第1切り替え部が前記マッサージ部材の左右方向の揺動運動の位相を切り替えると、前記アーム部材の揺動運動の位相を切り替えて、前記マッサージ部材と前記アーム部材を協働させる
ことを特徴とする請求項11に記載の腰部マッサージ機。
【請求項13】
前記第2切り替え部は、前記回転駆動軸を正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、前記一方のアーム部材の動きを一時停止させて遅延させることで、前記一方のアーム部材の揺動運動の位相を切り替える「半回転クラッチ機構」とされている
ことを特徴とする請求項12に記載の腰部マッサージ機。
【請求項14】
前記第2切り替え部を備えた前記第2変換部には、マッサージを行っているときの負荷により前記第2変換部の寸法変化を防ぐ金属製の第2リング部材が設けられている
ことを特徴とする請求項11に記載の腰部マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の施療部に対して、複数のマッサージ動作を付与することができる腰部マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の施療部に対してマッサージをするマッサージ機は、様々市販されている。例えば、特許文献1に開示されているように、腿部、腰部や背部など複数の施療部に対してマッサージをするマッサージ機などが挙げられる。特許文献1のマッサージ機は、第1マッサージ部材が使用者の臀部の施療部に対して揉みマッサージを行い、第2マッサージ部材が背部の施療部に対して擦りマッサージを行い、第3マッサージ部材が腿部や腰部の施療部に対して押圧マッサージを行うことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-7488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、特許文献1のマッサージ機は、使用者の複数の施療部に対してマッサージを行うことができるものである。さて近年では、使用者の要望が様々挙がってきている。例えば、一つのマッサージ装置で、ひねりマッサージと揉みマッサージなど複数のマッサージ動作を付与することができるようにしてほしいとの要望がある。
【0005】
このように、複数のマッサージ動作を付与するにあたっては、可能なマッサージ動作が増えると、その動作をさせるために部品の点数が多くなり、マッサージ機構が複雑な構成になることが多い。そのため、一つのマッサージ装置で複数のマッサージ動作をさせる場合、可能な限り部品点数を抑えて、簡単な構成でマッサージ動作を切り替えるようにすることも求められる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、第1マッサージ部の揺動運動と第2マッサージ部の揺動運動とを切り替えて協働させることで、使用者の施療部に対して複数のマッサージ動作、例えばひねりマッサージと揉みマッサージを付与することができる腰部マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0008】
本発明にかかる腰部マッサージ機は、施療部に対してマッサージを行うマッサージ部材を、基台上に所定の間隔をあけて左右一対備えた第1マッサージ部と、前記第1マッサージ部の内側に配備され且つ、施療部に対してマッサージを行うアーム部材を左右一対備えた第2マッサージ部と、前記マッサージ部材の揺動運動と前記アーム部材の揺動運動を協働状態に切り替える切り替え部と、を有することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、駆動力を発生する駆動部と、軸心が左右方向を向くように基台上に配備され且つ、前記駆動力により回転する回転駆動軸と、前記回転駆動軸に配備され且つ、前記駆動力を左右揺動運動に変換して前記第1マッサージ部に伝達する第1変換部と、前記回転駆動軸の正回転と逆回転で、前記第1マッサージ部が行う左右方向の揺動運動の位相を切り替える第1切り替え部と、を有するとよい。
【0010】
好ましくは、前記第1切り替え部は、左右一対の前記マッサージ部材を左右同じ方向に傾斜させる位相で行わせる第1左右揺動運動と、左右一対の前記マッサージ部材を近接離反させる位相で行わせる第2左右揺動運動と、を切り替え可能に構成されているとよい。
【0011】
好ましくは、前記第1左右揺動運動は、前記左右一対のマッサージ部材を左右同じ方向に揺らぐように傾斜する揺動運動を行う「ひねりマッサージ」とされ、前記第2左右揺動運動は、前記左右一対のマッサージ部材を左右方向に互いに近接離反する揺動運動を行う「揉みマッサージ」とされているとよい。
【0012】
好ましくは、前記第1切り替え部は、前記第1マッサージ部の左右いずれか一方のマッ
サージ部材の動きを一時停止させて、他方のマッサージ部材の左右揺動運動に合わせて、前記一方のマッサージ部材を前記「ひねりマッサージ」または前記「揉みマッサージ」に切り替え可能となっているとよい。
【0013】
好ましくは、前記第1切り替え部は、前記回転駆動軸を正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、前記一方のマッサージ部材の動きを一時停止させて遅延させることで、前記一方のマッサージ部材の左右揺動運動の位相を前記「ひねりマッサージ」または前記「揉みマッサージ」をするための位相に切り替える「半回転クラッチ機構」とされているとよい。
【0014】
好ましくは、前記半回転クラッチ機構は、前記回転駆動軸に取り付けられた突状の係合ピンと、前記係合ピンが摺動自在に嵌り込む係合溝部と、を有するとよい。
【0015】
好ましくは、前記半回転クラッチ機構は、前記回転駆動軸が正回転することにより、前記係合ピンが前記回転駆動軸の軸心回りに正回転方向に半回転することで、前記係合ピンが前記係合溝部内の一方の終端に係合されると、前記一方のマッサージ部材の動きが一時停止して遅延することにより、前記一方のマッサージ部材と前記他方のマッサージ部材の左右揺動運動の位相を、左右同じ方向に傾斜する位相に切り替えて、前記「ひねりマッサージ」を行わせる構成とされているとよい。
【0016】
好ましくは、前記半回転クラッチ機構は、前記回転駆動軸が逆回転することにより、前記係合ピンが前記回転駆動軸の軸心回りに逆回転方向に半回転することで、前記係合ピンが前記係合溝部内の他方の終端に係合されると、前記一方のマッサージ部材の動きが一時停止して遅延することにより、前記一方のマッサージ部材と前記他方のマッサージ部材の左右揺動運動の位相を、互いに近接離反させる位相に切り替えて、前記「揉みマッサージ」を行わせる構成とされているとよい。
【0017】
好ましくは、前記第1切り替え部を備えた前記第1変換部には、マッサージを行っているときの負荷により前記第1変換部の寸法変化を防ぐ金属製の第1リング部材が設けられているとよい。
【0018】
好ましくは、前記回転駆動軸に配備され且つ前記駆動力を揺動運動に変換して前記第2マッサージ部に伝達する第2変換部と、前記回転駆動軸の正回転と逆回転で、前記第2マッサージ部が行う揺動運動の位相を切り替える第2切り替え部と、を有するとよい。
【0019】
好ましくは、前記第2切り替え部は、前記第1切り替え部が前記マッサージ部材の左右方向の揺動運動の位相を切り替えると、前記アーム部材の揺動運動の位相を切り替えて、前記マッサージ部材と前記アーム部材を協働させるとよい。
【0020】
好ましくは、前記第2切り替え部は、前記回転駆動軸を正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、前記一方のアーム部材の動きを一時停止させて遅延させることで、前記一方のアーム部材の揺動運動の位相を切り替える「半回転クラッチ機構」とされているとよい。
【0021】
好ましくは、前記第2切り替え部を備えた前記第2変換部には、マッサージを行っているときの負荷により前記第2変換部の寸法変化を防ぐ金属製の第2リング部材が設けられているとよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の腰部マッサージ機によれば、第1マッサージ部の揺動運動と第2マッサージ部の揺動運動とを切り替えて協働させることで、使用者の施療部に対して複数のマッサージ動作、例えばひねりマッサージと揉みマッサージを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の腰部マッサージ機がひねりマッサージの状態にあるときの概略を示した斜視図である。
図2】本発明の腰部マッサージ機が揉みマッサージの状態にあるときの概略を示した斜視図である。
図3】ひねりマッサージの状態と、揉みマッサージの状態を示した腰部マッサージ機の正面図である。
図4】ひねりマッサージの状態と、揉みマッサージの状態を示した腰部マッサージ機の上面図である。
図5】ひねりマッサージを行う第1マッサージ部の右側を示した図であり、右マッサージ部材、第1右変換部、第1切り替え部(半回転クラッチ機構)を拡大した斜視図である。
図6】ひねりマッサージを行う右マッサージ部材を側方から見た図であり、第1右変換部、第1切り替え部(半回転クラッチ機構)を模式的に示した断面図である。
図7】揉みマッサージを行う第1マッサージ部の右側を示した図であり、右マッサージ部材、第1右変換部、第1切り替え部(半回転クラッチ機構)を拡大した斜視図である。
図8】揉みマッサージを行う右マッサージ部材を側方から見た図であり、第1右変換部、第1切り替え部(半回転クラッチ機構)を模式的に示した断面図である。
図9】第1マッサージ部によるひねりマッサージ時に、第1揉みマッサージを行う第2マッサージ部の右側を示した図であり、右アーム部材、第2右変換部、第2切り替え部(第2の半回転クラッチ機構)を拡大した斜視図である。
図10】第1マッサージ部によるひねりマッサージ時に、第1揉みマッサージを行う右アーム部材を側方から見た図であり、第2右変換部、第2切り替え部(第2の半回転クラッチ機構)を模式的に示した断面図である。
図11】第1マッサージ部による揉みマッサージ時に、第2揉みマッサージを行う第2マッサージ部の右側を示した図であり、右アーム部材、第2右変換部、第2切り替え部(第2の半回転クラッチ機構)を拡大した斜視図である。
図12】第1マッサージ部による揉みマッサージ時に、第2揉みマッサージを行う右アーム部材を側方から見た図であり、第2右変換部、第2切り替え部(第2の半回転クラッチ機構)を模式的に示した断面図である。
図13】第1マッサージ部の左側を示した図であり、左マッサージ部材、第1左変換部を拡大した斜視図である。
図14】第2マッサージ部の左側を示した図であり、左アーム部材、第2左変換部を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明にかかる腰部マッサージ機1の実施形態を、図を参照して説明する。
【0025】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0026】
また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略したり、仮想線などを用いて描いている。また、腰部マッサージ機1の前後及び左右等の方向については、図面に示す通りである。これは腰部マッサージ機1に腰部や臀部などを、マッサージ部材6に挟まれるように挿入した使用者から見た方向と一致する。
【0027】
本実施形態の腰部マッサージ機1は、床面に載置し、使用者の腰部や臀部などをマッサージ部材6に挟まれるように挿入して、仰向けに寝て使用することができる。また、本実施形態の腰部マッサージ機1は、例えば椅子の座面に載置し、使用者の臀部や腿部などをマッサージ部材6に挟まれるように挿入して、着座して使用することもできる。なお、本実施形態では、使用者の腿部、腰部、臀部などを施療部としているが、施療部はこれらの部位に限定されない。
【0028】
図1図4などに、腰部マッサージ機1が実施可能なひねりマッサージの状態の概要、および、揉みマッサージの状態の概要を示す。
【0029】
図1図3の上図および図4の上図などは、左右一対のマッサージ部材6(揉み板6)が左右同じ方向に揺らぐように揺動する第1左右揺動運動をする状態を示した図である。なお、本実施形態では、第1左右揺動運動を「ひねりマッサージ」と呼ぶ。
【0030】
図2図3の上図および図4の下図などは、左右一対のマッサージ部材6が左右方向に近接離反する第2左右揺動運動をする状態を示した図である。なお、本実施形態では、第2左右揺動運動を「揉みマッサージ」と呼ぶ。
【0031】
なお、本実施形態の腰部マッサージ機1は、図示はしないが、装置の外周全体がクッシ
ョン部材に覆われている。特に、施療部(例えば、腰部、臀部、腿部など)と接する腰部マッサージ機1の表面(上面側)には、やわらかいクッション部材が配設されている。
【0032】
図1図4などに示すように、本実施形態の腰部マッサージ機1は、基台2に配備され且つ駆動力を発生する駆動部3と、軸心が左右方向を向くように基台2上に配備され且つ、駆動力により回転する回転駆動軸4と、腿部や腰部などの施療部に対してひねりや揉みのマッサージを行うマッサージ部材6を、基台2上に所定の間隔をあけて左右一対備えたマッサージ部5(第1マッサージ部5)と、回転駆動軸4に配備され且つ、駆動力を左右揺動運動に変換してマッサージ部5に伝達する変換部7(第1変換部7)と、回転駆動軸4の正回転と逆回転で、マッサージ部5が行う左右方向の揺動運動の位相を切り替える切り替え部8(第1切り替え部8)と、を有する。
【0033】
なお、本実施形態においては、右マッサージ部材6R側に第1切り替え部8が配備されている。つまり、右マッサージ部材6Rの左右揺動運動の位相が、左マッサージ部材6Lの左右揺動運動の位相(一定の位相)に対して切り替わることで、ひねりマッサージまたは揉みマッサージを行う。
【0034】
さらに、本実施形態の腰部マッサージ機1は、第1マッサージ部5の内側に配備され且つ、臀部や腿部裏などの施療部に対して揉みマッサージを行うアーム部材10(揉みアーム10)を左右一対備えた第2のマッサージ部9と、回転駆動軸4に配備され且つ駆動力を上下方向の揺動運動に変換して第2のマッサージ部9に伝達する第2の変換部11と、回転駆動軸4の正回転と逆回転で、第2のマッサージ部9が行う上下左右方向の揺動運動の位相を切り替える第2の切り替え部12と、を有している。
【0035】
なお、本実施形態においては、右アーム部材10R側に第2切り替え部12が配備されている。つまり、右アーム部材10Rの上下左右運動の位相が、左アーム部材10Lの上下左右運動の位相(一定の位相)に対して切り替わることで、右アーム部材10Rの前端(または後端)と左アーム部材10Lの前端(または後端)を左右同じ方向に揺動させて揉む第1揉みマッサージ、または、左右のアーム部材10R,10Lの前端を近接させ、その後、後端を近接させて揉む第2揉みマッサージを行う。
【0036】
基台2は、所定の広さを有し且つ床面などの載置可能な平板状の部材である。基台2には、駆動部3(駆動モータ15)と、回転駆動軸4と、第1マッサージ部5(マッサージ部材6)と、第1変換部7と、第1切り替え部8と、が配備されている。また、本実施形態においては、基台2には、第2マッサージ部9(アーム部材10)と、第2変換部11と、第2切り替え部12と、が配備されている。
【0037】
この基台2の上方には、使用者が着座することができる座部13が配備されている。座部13は、左右に長い長方形状の平板材とされ、その平板材の前後左右の四隅に脚部が設けられている。つまり、座部13の下部には、所定の空間が設けられている。その座部13の下部空間には、駆動部3、回転駆動軸4、第2マッサージ部9などが収容されている。言い換えれば、第2マッサージ部9や駆動部3などの上部に、座部13が設けられているといえる。座部13の上面には、使用者の臀部や腿部裏などの施療部を温めるヒーター部14(例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーター)が設けられている。
【0038】
図1図4などに示すように、駆動部3は、回転駆動力(駆動力)を出力する駆動モータ15と、出力された回転駆動力を所定の速度に調整するギアケース16と、を有している。駆動モータ15は、正逆回転可能なモータである。駆動モータ15は、操作パネル(図示せず)を操作することにより、回転方向や速度などを制御可能となっている。駆動モータ15は、基台2に設けられたギアケース16の前側に配備されている。
【0039】
本実施形態での駆動モータ15は、回転駆動力を出力する出力軸15aが一軸のモータである。その出力軸15aは右方向を向き且つ水平に配備されている。また、出力軸15aには、ウォームギアが取り付けられている。ウォームホイール17は、ギアケース16内に配備され、ウォームギア15aの下方に配置されている。ウォームギア15aは、ウォームホイール17と噛み合っている。ウォームホイール17は、伝達軸18の前側に取り付けられている。
【0040】
伝達軸18は、軸心が前後方向を向くようにギアケース16内に配備されている。伝達軸18は、ウォームギア15aの下方に配置され、ベアリング(図示せず)を介して回動自在に支持されている。伝達軸18の上方には、回転駆動軸4が直交するように配備されている。伝達軸18の後側には、ウォームギア19が取り付けられている。ウォームギア19は、回転駆動軸4に取り付けられたウォームホイール20と噛み合っている。
【0041】
すなわち、駆動部3は、駆動モータ15で発生した回転駆動力をギアケース16で速度を調整して回転駆動軸4に伝達する。なお、基台2の後側には、バッテリー21が配備されている。バッテリー21は、電動モータ15を駆動するのに十分な容量で且つ小型のものを用いている。このバッテリー21としては、例えばリチウムイオン電池などが挙げられるが、これに限定されない。
【0042】
回転駆動軸4は、基台2に設けられたギアケース16を貫通し且つ、軸心が左右方向(水平方向)を向くように配備されている。回転駆動軸4は、長尺な丸棒状の軸部材であり、支持部材22やベアリング22aを介して回転方向を切り替え自在に支持されている。
【0043】
回転駆動軸4は、駆動モータ15の出力軸15aの後側に並行して配備されている。回転駆動軸4の長手中央右側には、ギアケース16内に配備されるウォームホイール20が取り付けられている。つまり、回転駆動軸4の長手方向中途部には、駆動部3が配備されている。
【0044】
回転駆動軸4の右端側には、回転駆動力を左右揺動運動(ひねり運動または揉み運動)に変換する第1右変換部7Rが設けられている。つまり、回転駆動軸4の右端には、右端に右マッサージ部材6Rが配備されている。
【0045】
また、回転駆動軸4の左端側には、回転駆動力を左右揺動運動(ひねり運動または揉み運動)に変換する第1左変換部7Lが設けられている。つまり、回転駆動軸4の左端には、左マッサージ部材6Lが配備されている。回転駆動軸4は、駆動モータ15から出力された回転駆動力を左右一対のマッサージ部材6L,6Rに分配して伝達する。
【0046】
なお、この回転駆動軸4に関し、本実施形態では「正回転」を後から上側を通過し前への回転(例えば、図6図10などの断面図における反時計回り)とし、「逆回転」を前から上側を通過し後への回転(例えば、図8図12などの断面図における時計回り)とする。ただし、回転駆動軸4の回転方向の定義に関し、正逆を反対にしてもよい。
【0047】
図1図4などに示すように、マッサージ部5(第1マッサージ部5)は、使用者の施療部(腰横部(体側)や腿部など)に対して、ひねりマッサージや揉みマッサージを行うものである。
【0048】
第1マッサージ部5は、右側の施療部(右側の腰横部(右側の体側)や右腿部など)に対して、ひねりマッサージや揉みマッサージを行う右マッサージ部材6Rと、左側の施療部(左側の腰横部(左側の体側)や左腿部など)に対して、ひねりマッサージや揉みマッサージを行う左マッサージ部材6Lと、有している。マッサージ部材6R,6Lは、使用者の施療部(臀部や腰部)を左右方向から挟み込むことができるように離間して、左右一対設けられている。
【0049】
具体的には、左右一対のマッサージ部材6R,6Lは、基台2上に、所定の間隔(使用者の臀部や腰部が入る程度(およそ腰幅)の間隔)をあけて備えられている。つまり、左右のマッサージ部材6R,6Lの離間距離は、使用者の臀部や腰部などを嵌め入れることができる幅である。
【0050】
左右のマッサージ部材6R,6Lは、座部13を挟むようにして左右一対設けられている。つまり、左右一対のマッサージ部材6R,6Lは、互いに向かい合うように配備されている。この左右一対のマッサージ部材6のひねり運動または揉み運動により、使用者の施療部(腿部、腰部、臀部等)に対して、左右側方から施療部を左右にひねるひねりマッサージ、または、左右側方から施療部を挟み込む揉みマッサージを効果的に付与することができる。
【0051】
なお、左右のマッサージ部材6R,6Lは、第1変換部7R,7Lにより、左右・前後・上下に立体的に揺動運動するが、本実施形態では左右揺動運動と呼ぶこととする。
【0052】
まず、第1マッサージ部5の右側について、詳しく説明する。
【0053】
図5は、ひねりマッサージ(第1左右揺動運動)を行う第1マッサージ部5の右側を示した図であり、右マッサージ部材6R、第1右変換部7R、第1切り替え部8(半回転クラッチ機構8)を拡大した斜視図である。
【0054】
図6は、ひねりマッサージを行う右マッサージ部材6Rを側方から見た図であり、第1右変換部7R、第1切り替え部8(半回転クラッチ機構8)を模式的に示した断面図である。
【0055】
図7は、揉みマッサージ(第2左右揺動運動)を行う第1マッサージ部5の右側を示した図であり、右マッサージ部材6R、第1右変換部7R、第1切り替え部8(半回転クラッチ機構8)を拡大した斜視図である。
【0056】
図8は、揉みマッサージを行う右マッサージ部材6Rを側方から見た図であり、第1右変換部7R、第1切り替え部8(半回転クラッチ機構8)を模式的に示した断面図である。
【0057】
図1図8などに示すように、第1マッサージ部5の右側には、平板状の右マッサージ部材6Rと、回転駆動軸4の回転駆動力を左右揺動運動に変換する第1右変換部7Rと、が配備されている。また、本実施形態においては、右マッサージ部材6Rの左右揺動運動の位相を切り替える第1切り替え部8が、第1マッサージ部5の右側に配備されている。
【0058】
本実施形態の右マッサージ部材6R(右揉み板6R)は、側面視で、使用者の施療部である右側の腿部~臀部~腰部に沿うように形成されたものである。なお、右マッサージ部材6Rの高さは、使用者の前後の厚み程度の有している。
【0059】
右マッサージ部材6Rは、側面視で、前後方向に長い長方形状の平板材で形成されている。この右マッサージ部材6Rは、基台2上の座部13に着座した使用者の施療部を外側から覆うことができる広い面積を有するものとなっている。これにより、右マッサージ部材6Rは、使用者の腰横部(体側)や腿部などの施療部を右外側からひねったり、挟み込んで揉んだりすることができる。
【0060】
右マッサージ部材6Rは、腰部マッサージ機1の右端において、略水平方向で且つ前方向および後方向へ突出するように配備されている。つまり、右マッサージ部材6Rは、腰部マッサージ機1の右端に側壁のように配備されている。
【0061】
右マッサージ部材6Rの前後方向中央下側(基端側)には、回転駆動軸4の回転駆動力を、右マッサージ部材6Rの左右揺動運動に変換する第1右変換部7Rが設けられている。つまり、右マッサージ部材6Rは、第1右変換部7Rから略水平方向で且つ前方向および後方向へ突出状に形成された部材である。
【0062】
図5図8などに示すように、第1右変換部7Rは、回転駆動軸4に取り付けられ且つ、この回転駆動軸4と一体回転する第1右回転ボス部23Rと、右マッサージ部材6Rの基端に設けられ且つ、第1右回転ボス部23Rの外周縁(第1右カム面29R)に嵌り込む第1右環状嵌合部24Rと、右マッサージ部材6Rが回転駆動軸4との同伴回転することを規制する第1右規制部25Rと、を有している。
【0063】
第1右回転ボス部23Rは、回転駆動軸4の右端側に設けられている。第1右回転ボス部23Rは、右マッサージ部材6Rの下部(基端側)に配備されている。なお、本実施形態の第1右回転ボス部23Rは、左右に分割の構成となっており、第1右環状嵌合部24Rを挟み込むように配備される。
【0064】
第1右回転ボス部23Rは、内側に大径の円盤部材(右円盤部26R)を設け、その外側に小径の筒部材(右小筒部27R)を設けた部材である。すなわち、第1右回転ボス部23Rは、横向きの段付き円筒形状(フランジ形状)に形成された部材である。この第1右回転ボス部23Rには、右円盤部26Rと右小筒部27Rを貫通する右貫通孔28Rが形成されている。
【0065】
この右貫通孔28Rには、回転駆動軸4の右端が挿入される。本実施形態においては、第1右回転ボス部23Rの右円盤部26Rの外側面は内側面に対して傾斜した面である。その傾斜した右円盤部26Rの傾斜面に右小筒部27Rが形成されている。また、右小筒部27Rは、右貫通孔28Rに対して偏心して設けられている。
【0066】
すなわち、第1右回転ボス部23Rは、回転駆動軸4に対して偏心して取り付けられて
いる。右小筒部27Rの外周面には、回転駆動軸4の軸心に対して傾斜した第1右カム面29Rが形成されている。
【0067】
第1右カム面29Rは、右マッサージ部材6Rに設けられた第1右環状嵌合部24Rが嵌合するようになっている。この形状により、第1右回転ボス部23Rは傾斜回転ボス部となっている。また、右小筒部27Rの軸心は、右円盤部26Rの軸心に対して交差して通るように設けられている。つまり、右貫通孔28Rの軸心と右円盤部26Rの軸心は同一軸心であるが、右小筒部27Rの軸心は異なるものである。
【0068】
この形状により、第1右回転ボス部23Rは偏心回転ボス部となっている。つまり、第1右回転ボス部23Rは、回転駆動軸4の軸心に対して傾斜回転するとともに偏心回転するものとなっている。なお、第1右回転ボス部23Rは、後述する第1左回転ボス部23Lと左右で互いに線対称な構成となっている。また、第1右カム面29Rは、後述する第1左カム面29Lと左右で互いに線対称な構成となっている。
【0069】
第1右環状嵌合部24Rは、右マッサージ部材6Rの基端側に設けられている。第1右環状嵌合部24Rは、第1右回転ボス部23Rの第1右カム面29Rに嵌合可能に形成されている。第1右環状嵌合部24Rが第1右回転ボス部23Rに外嵌することにより、右マッサージ部材6Rは第1右回転ボス部23Rの軸心回りに回動する。
【0070】
第1右規制部25Rは、右マッサージ部材6Rが第1右回転ボス部23Rと供回りすることを規制するものである。第1右規制部25Rは、第1右環状嵌合部24Rの基端側(右マッサージ部材6Rの下部)に設けられた第1右規制ピン30Rと、当該第1右規制ピン30Rが摺動自在に嵌り込む第1右規制溝31Rと、を有している。
【0071】
本実施形態の腰部マッサージ機1は、第1マッサージ部5のマッサージ部材6の揺動運動と、第2マッサージ部9のアーム部材10の揺動運動を協働状態に切り替える切り替え部8,12と、を有している。
【0072】
図5図8などに示すように、本実施形態の腰部マッサージ機1は、マッサージ部材6の左右揺動運動の位相を切り替える第1切り替え部8を備えている。本実施形態においては、右マッサージ部材6Rに配備される第1右変換部7Rに第1切り替え部8を備え、右マッサージ部材6Rの左右揺動運動の位相を切り替えている。なお、第1切り替え部8については、左マッサージ部材6Lに配備される第1左変換部7Lに備えていてもよい。
【0073】
第1切り替え部8は、回転駆動軸4の正回転と逆回転で、左マッサージ部材6Lの左右揺動運動の位相(一定の位相)に対して、右マッサージ部材6Rの左右揺動運動の位相(周期的な動作)を切り替えるものである。
【0074】
第1切り替え部8は、左右一対のマッサージ部材6R,6Lを左右同じ方向に傾斜させる位相で行わせる第1左右揺動運動と、左右一対のマッサージ部材6R,6Lを近接離反させる位相で行わせる第2左右揺動運動と、を切り替え可能に構成されている。
【0075】
第1左右揺動運動は、左右一対のマッサージ部材6R,6Lを左右同じ方向に揺らぐように傾斜する揺動運動を行う「ひねりマッサージ」とされている。つまり、第1左右揺動運動とは、左右一対のマッサージ部材6R,6Lが同じ方向を向く位相の動きにして、施療部に対して、ひねりマッサージ運動を行わせるものである。
【0076】
また、第2左右揺動運動は、左右一対のマッサージ部材6R,6Lを左右方向に互いに近接離反する揺動運動を行う「揉みマッサージ」とされている。第2左右揺動運動とは、右マッサージ部材6Rと左マッサージ部材6Lを近接離反させる位相の動きにして、左右一対のマッサージ部材6R,6Lを左右外側から施療部を挟み込む揉みマッサージ運動を行わせるものである。
【0077】
第1切り替え部8は、マッサージ部5の左右いずれか一方のマッサージ部材6(本実施形態では、右マッサージ部材6R)の動きを一時停止させて、他方のマッサージ部材6(本実施形態では、左マッサージ部材6L)の左右揺動運動に合わせて、一方のマッサージ部材6(右マッサージ部材6R)を「ひねりマッサージ」または「揉みマッサージ」に切り替え可能となっている。
【0078】
第1切り替え部8は、左右いずれか一方のマッサージ部材6(本実施形態では、右マッサージ部材6R)を、他方のマッサージ部材6(左マッサージ部材6L)に対して遅れて
動き出させることで、左右一対のマッサージ部材6R,6Lを同じ位相(ともに同じ方向に倒れる位相)で行わせるひねりマッサージと、右マッサージ部材6Rと左マッサージ部材6Lを近接離反させる位相(挟み込む位相)で行わせる揉みマッサージと、を切り替え可能に構成されている。
【0079】
なお、本実施形態では、回転駆動軸4が正回転しているとき、第1切り替え部8はひねりマッサージ(第1左右揺動運動)に切り替える。また、回転駆動軸4が逆回転しているとき、第1切り替え部8は揉みマッサージ(第2左右揺動運動)に切り替えさせるものとする。
【0080】
すなわち、第1切り替え部8は、第1左変換部7Lが動き出した後に、第1右変換部7Rの動き出しをずらす遅延動作により、ひねりマッサージと揉みマッサージとを切り替えることができる。
【0081】
本実施形態では、第1切り替え部8は、回転駆動軸4を正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、右マッサージ部材6Rの動きを一時停止させて遅延させることで、右マッサージ部材6Rの左右揺動運動の位相を「ひねりマッサージ」または「揉みマッサージ」をするための位相に切り替える「半回転クラッチ機構」を採用している。
【0082】
なお、第1切り替え部8は、回転駆動軸4が正回転方向または逆回転方向に所定の角度(例えば、1/4回転、1/3回転、1/2回転(半回転)など)に回転させた後に、左マッサージ部材6Lに対して右マッサージ部材6Rの動きを、その回転させた分だけ遅延させることで、第1マッサージ部5の左右揺動運動の位相を切り替える「回転クラッチ機構」とされていると好ましい。
【0083】
つまり、本実施形態では、半回転クラッチ機構8による遅延動作により、回転駆動軸4の右側に設けられた第1右回転ボス部23Rを、第1左回転ボス部23Lの回転より半回転分遅らせて回転させ始めることにより、右マッサージ部材6Rと左マッサージ部材6Lの左右揺動運動の位相を、ひねりマッサージまたは揉みマッサージをするための位相に切り替えている。ただし、「半回転クラッチ機構8」は、半回転(180°)以外も含むものとする。例えば、120°、90°などが挙げられる。
【0084】
本実施形態の第1切り替え部8は、回転駆動軸4を空転させることにより、回転駆動軸4の回転を一定時間無負荷にして、右マッサージ部材6Rの左右揺動運動を一時停止させて、右マッサージ部材6Rを、ひねりマッサージ運動または揉みマッサージ運動のいずれかに切り替えて、左マッサージ部材6Lの左右揺動運動に合わせる。
【0085】
すなわち、第1切り替え部8は、回転駆動軸4を半回転させることで、左右揺動運動が一定である左マッサージ部材6Lに対して、右マッサージ部材6Rが行う左右揺動運動の位相を可変とする。
【0086】
図5図8などに示すように、本実施形態の半回転クラッチ機構8(第1切り替え部8)は、回転駆動軸4に取り付けられた突状の第1係合ピン32と、この第1係合ピン32が摺動自在に嵌り込む第1係合溝部33と、を有する。
【0087】
本実施形態の第1係合ピン32は、円柱形状の部材であって、回転駆動軸4の外周から径方向外側に向かって設けられている。つまり、第1係合ピン32は、回転駆動軸4の外周から一方方向に突出状に設けられている。
【0088】
さて、回転駆動軸4には、第1係合ピン32が挿入される孔部34が設けられている。本実施形態では、孔部34が回転駆動軸4の軸心方向に二つ並んで設けられている。つまり、第1係合ピン32は、二つの孔部34にそれぞれ挿入され、回転駆動軸4の軸心方向に二つ並んで、径方向外側(一方方向)に突出して設けられている。
【0089】
なお、第1係合ピン32の形状を円柱形状として例示したが、例えば角柱形状や多角形状の部材であってもよい。また、第1係合ピン32の材質については、回転駆動軸4の回転駆動力を確実に伝達できる硬さ、例えば鉄などの金属製であることが好ましい。また、第1係合ピン32の突出量に関しては、回転駆動軸4の回転駆動力を確実に伝達できる長さ(第1係合溝部33に係合できる所定の突出量)であればよい。
【0090】
つまり、第1係合ピン32は、第1係合溝部33内に嵌り込むことができる高さだけ、
回転駆動軸4の外周から一方方向に突出して設けられている。この第1係合ピン32は、第1係合溝部33内において、回転駆動軸4(右貫通孔28R)の軸心回りに摺動する。
【0091】
本実施形態の第1係合溝部33は、第1右回転ボス部23R内に設けられている。第1係合溝部33は、側方断面視で、右貫通孔28R(回転駆動軸4)の外周を周回する半月形状(U字状やC字状)の軌道を有する溝となっている。また、第1係合溝部33は、回転駆動軸4の外周に沿って設けられ、右貫通孔28Rの軸心方向に向かって深く形成された溝である。
【0092】
すなわち、第1係合溝部33は、円柱形状の第1係合ピン32が回転駆動軸4の軸心回りに摺動することができる、回転駆動軸4の曲率と同じ円弧とされた湾曲状の溝である。つまり、第1係合溝部33は、二本の円柱形状の第1係合ピン32が嵌り込み可能な深さを備えた形状の溝部である。
【0093】
また、第1係合溝部33は、右貫通孔28Rの外周を周回する円弧状の溝であり、右貫通孔28R回りに二つの終端壁35,36を有する軌道となっている。一方の終端壁35は、回転駆動軸4の回転が正回転に切り替わったときに、第1係合ピン32が係合されることで、第1右回転ボス部23Rの回転を正回転に切り替える第1正回転切替部35とされている。他方の終端壁36は、回転駆動軸4の回転が逆回転に切り替わったときに、第1係合ピン32が係合されることで、第1右回転ボス部23Rの回転を逆回転に切り替える第1逆回転切替部36とされている。
【0094】
第1正回転切替部35は、回転駆動軸4が正回転したときに、第1左変換部7Lの動作に対して第1右変換部7Rの動作を遅らせて、右マッサージ部材6Rが行うひねりマッサージに切り替えるものである。
【0095】
つまり、第1正回転切替部35は、回転駆動軸4の正回転時に、第1右変換部7Rの動作を第1左変換部7Lの動作と同調させて、右マッサージ部材6Rにひねりマッサージを行わせるための部位である。本実施形態では、半円状の第1係合溝部33に設けられた一方の終端壁35が第1正回転切替部35である。
【0096】
図5図6などに示すように、回転駆動軸4の回転を正回転方向に切り替えたとき、回転駆動軸4を正回転方向に半回転分空転させることで、第1右回転ボス部23Rの動きが一時止まる。第1係合溝部33内の第1係合ピン32が正回転方向に半回転した後に、その第1係合ピン32の一方の接線32aが第1正回転切替部35(一方の終端壁35)に係合されることで、回転駆動軸4の正回転方向の成分が第1右回転ボス部23Rに伝達される。
【0097】
その第1右回転ボス部23Rが半回転分遅れて正回転し始め、第1右変換部7Rの左右揺動運動の位相が、第1左変換部7Lの左右揺動運動の位相と同じ位相となる。右マッサージ部材6Rが左マッサージ部材6Lと同調して左右同じ方向に傾斜させる位相となり、ひねりマッサージ運動に切り替わる。
【0098】
第1逆回転切替部36は、回転駆動軸4が逆回転したときに、第1左変換部7Lの動作に対して第1右変換部7Rの動作を遅らせて、右マッサージ部材6Rが行う揉みマッサージに切り替えるものである。
【0099】
つまり、第1逆回転切替部36は、回転駆動軸4の逆回転時に、第1右変換部7Rと第1左変換部7Lを近接離反させる動作にして、右マッサージ部材6Rに揉みマッサージを行わせるための部位である。本実施形態では、半円状の第1係合溝部33に設けられた他方の終端壁36が第1逆回転切替部36である。
【0100】
図7図8などに示すように、回転駆動軸4の回転を逆回転方向に切り替えたとき、回転駆動軸4を逆回転方向に半回転分空転させることで、第1右回転ボス部23Rの動きが一時止まる。第1係合溝部33内の第1係合ピン32が逆回転方向に半回転した後に、その第1係合ピン32の他方の接線32bが第1逆回転切替部36(他方の終端壁36)に係合されることで、回転駆動軸4の逆回転方向の成分が第1右回転ボス部23Rに伝達される。
【0101】
その第1右回転ボス部23Rが半回転分遅れて逆回転し始め、第1右変換部7Rの左右揺動運動の位相が、第1左変換部7Lの左右揺動運動の位相に対して近接離反する位相と
なる。右マッサージ部材6Rが左マッサージ部材6Lと同調して左右方向外側から挟み込む位相となり、揉みマッサージ運動に切り替わる。
【0102】
すなわち、半回転クラッチ機構8(第1切り替え部8)は、回転駆動軸4が正回転することにより、第1係合ピン32が回転駆動軸4の軸心回りに正回転方向に半回転している間、右マッサージ部材6Rの動きは一時停止しており、その半回転後に第1係合ピン32の一方の接線32aが第1係合溝部33内の第1正回転切替部35(一方の終端35)に係合されると、一時停止していた右マッサージ部材6Rが動き出す(遅延動作する)ことにより、右マッサージ部材6Rと左マッサージ部材6Lの左右揺動運動の位相を、左右同じ方向に傾斜する位相に切り替えて、「ひねりマッサージ」を行わせる。
【0103】
また、半回転クラッチ機構8は、回転駆動軸4が逆回転することにより、第1係合ピン32が回転駆動軸4の軸心回りに逆回転方向に半回転している間、右マッサージ部材6Rの動きは一時停止しており、その半回転後に第1係合ピン32の他方の接線32bが第1係合溝部33内の第1逆回転切替部36(他方の終端36)に係合されると、一時停止していたマッサージ部材6Rが動き出す(遅延動作する)ことにより、右マッサージ部材6Rと左マッサージ部材6Lの左右揺動運動の位相を、互いに近接離反させる位相に切り替えて、「揉みマッサージ」を行わせる。
【0104】
なお、第1係合ピン32が第1正回転切替部35または第1逆回転切替部36に係合されるまで(回転駆動軸4が半回転している間)は、第1左回転ボス部23Lは回転しているが、第1右回転ボス部23Rは一時停止した状態となっている。つまり、左マッサージ部材6Lは左右揺動運動しているが、右マッサージ部材6Rは一時停止した状態となっている。
【0105】
さて、本実施形態の腰部マッサージ機1には、第1マッサージ部5の動きにくさを防止する第1リング部材37が設けられている。具体的には、第1リング部材37は、第1右回転ボス部23Rの内周に設けられている。第1リング部材37は、金属製(例えば、アルミニウムをリング状に焼結させたものなど)のものが好ましい。
【0106】
第1リング部材37を金属製とするのは、樹脂製と比べて熱膨張しにくいため、その性質(特性)を利用し、第1右回転ボス部23Rと第1リング部材37の隙間を維持するために使用している。
【0107】
図6に示すように、第1右回転ボス部23Rは、第1係合ピン32で押されることで回転するが、第1右回転ボス部23Rの回転により、右マッサージ部材6Rが回転する。右マッサージ部材6Rで施療部をマッサージすると、右マッサージ部材6Rには施療部からの抵抗がかかるため、第1係合ピン32で第1右回転ボス部23Rを押し、施療部の負荷に負けないように右マッサージ部材6Rを押す。
【0108】
しかし、第1係合ピン32の回転位相が、右マッサージ部材6Rが施療部から離れる角度にくると、右マッサージ部材6Rは施療部自身から受ける負荷により、第1係合ピン32で押されるよりも先に位相が進んでしまうことがある。
【0109】
このような状況を防ぐために、第1右回転ボス部23Rと第1リング部材37は、一定の抵抗がかかるくらいの寸法精度で作成している。すなわち、第1右回転ボス部23Rに対して、第1リング部材37による抵抗を付与することで、施療部からの負荷で右マッサージ部材6Rが回転しないようにしている。
【0110】
このとき、仮に(金属製ではない場合)第1リング部材37が駆動による熱で膨張してしまうと、通常でも抵抗をかかっている第1右回転ボス部23Rと第1リング部材37の隙間がより狭くなり、第1右回転ボス部23Rを回転させるための負荷が非常に重くなってしまう。すなわち、第1右回転ボス部23Rの回転が渋くなり、右マッサージ部材6Rの揺動運動が動きにくくなる。
【0111】
また、右マッサージ部材6が施療部を押す方向が変わるとき(例えば、内向きから外向きに変わるとき)、右マッサージ部材6が施療部自身から受ける負荷により、第1右回転ボス部23Rが空回りするような状態となることがある。
【0112】
このことから、本実施形態では、金属製の第1リング部材37を、第1右回転ボス部23R内に所定の隙間を有するように装入することで、第1右回転ボス部23Rと第1リング部材37の熱による寸法変化を少なくしている。
【0113】
つまり、本実施形態では、回転駆動軸4にアルミ焼結製の第1リング部材37を取り付けて、その第1リング部材37に第1右回転ボス部23Rを外嵌させる。この第1リング部材37は金属製のため、熱膨張することなく、第1右回転ボス部23Rと第1リング部材37の隙間が維持される。これにより、第1右回転ボス部23Rの回転をスムーズになり、右マッサージ部材6Rの揺動運動の動きがよくなる。
【0114】
第1リング部材37の外径は、第1右回転ボス部23Rの内径との所定の隙間を設けるため、所定の厚みを有するものとなっている。また、第1リング部材37の軸心方向の厚みも、所定の厚みを有するものとなっている。この第1リング部材37の外周に、第1切り替え部8を備えた第1右変換部7Rが外嵌するように配備されている。
【0115】
また、本実施形態の腰部マッサージ機1は、第1マッサージ部5の内側に配備され且つ、腿部裏・臀部・腰部など施療部に対して揉みマッサージを行うアーム部材10(揉みアーム10)を左右一対備えた第2のマッサージ部9と、回転駆動軸4に配備され且つ駆動力を上下左右方向の揺動運動に変換して第2のマッサージ部9に伝達する第2の変換部11と、回転駆動軸4の正回転と逆回転で、第2のマッサージ部9が行う上下左右方向の揺動運動の位相を切り替える第2の切り替え部12と、を有している。
【0116】
図1図4などに示すように、第2マッサージ部9は、使用者の施療部(腿部裏、臀部や腰部など)に対して、下方から上方に向かって押し込むように揉む、揉みマッサージを行うものである。つまり、本実施形態の腰部マッサージ機1は、第1マッサージ部5によるひねりマッサージや揉みマッサージを行いながら、第2マッサージ部9による揉みマッサージを行うことができる。
【0117】
第2マッサージ部9は、右側の施療部(右側の腿部裏、腰部や臀部など)に対して、揉みマッサージ行う右アーム部材10Rと、左側の施療部(左側の腿部裏、腰部や臀部など)に対して、揉みマッサージ行う左アーム部材10Lと、有している。
【0118】
左右一対のアーム部材10R,10Lは、左右のマッサージ部材6R,6Lの内側で且つ、座部13の下方に配備されている。左右一対のアーム部材10R,10Lは、所定の間隔をあけて左右並んで備えられている。
【0119】
つまり、左右のアーム部材10R,10Lの離間距離は、右アーム部材10Rの施療子38R,39Rが使用者の例えば右側の臀部や腿部裏などに当接するとともに、左アーム部材10Lの施療子38R,39Rが使用者の例えば左側の臀部や腿部裏などに当接することができる間隔である。この左右一対のアーム部材10R,10Lの上下左右の揺動運動により、使用者の施療部(腿部裏、腰部、臀部など)に対して下方から効果的な揉みマッサージを付与することができる。
【0120】
なお、左右のアーム部材10R,10Lは、第2変換部11R,11Lにより、上下・前後・左右に立体的に揺動運動するが、本実施形態では上下左右運動と呼ぶこととする。
【0121】
さて、回転駆動軸4の右側(第1右変換部7Rの右内側)には、回転駆動力を上下左右運動(揉みマッサージ)に変換する第2右変換部11Rが設けられている。つまり、回転駆動軸4の右側(右マッサージ部材6Rの右内側)には、右アーム部材10Rが配備されている。
【0122】
また、回転駆動軸4の左側(第1左変換部7Lの左内側)には、回転駆動力を上下左右運動(揉みマッサージ)に変換する第2左変換部11Lが設けられている。つまり、回転駆動軸4の左側(左マッサージ部材6Lの左内側)には、左アーム部材10Lが配備されている。この回転駆動軸4は、駆動モータ15から出力された回転駆動力を左右一対のアーム部材10L,10Rに分配して伝達する。
【0123】
次に、第2マッサージ部9の右側について、詳しく説明する。
【0124】
図9は、第1マッサージ部5によるひねりマッサージ時に、第1揉みマッサージ(第1上下左右運動)を行う第2マッサージ部9の右側を示した図であり、右アーム部材10R、第2右変換部11R、第2切り替え部12(第2の半回転クラッチ機構12)を拡大した斜視図である。
【0125】
図10は、第1マッサージ部5によるひねりマッサージ時に、第1揉みマッサージを行
う右アーム部材10Rを側方から見た図であり、第2右変換部11R、第2切り替え部12(第2の半回転クラッチ機構12)を模式的に示した断面図である。
【0126】
図11は、第1マッサージ部5による揉みマッサージ時に、第2揉みマッサージ(第2上下左右運動)を行う第2マッサージ部9の右側を示した図であり、右アーム部材10R、第2右変換部11R、第2切り替え部12(第2の半回転クラッチ機構12)を拡大した斜視図である。
【0127】
図12は、第1マッサージ部5による揉みマッサージ時に、第2揉みマッサージを行う右アーム部材10Rを側方から見た図であり、第2右変換部11R、第2切り替え部12(第2の半回転クラッチ機構12)を模式的に示した断面図である。
【0128】
図1図4図9図12などに示すように、第2マッサージ部9の右側には、前後方向に長尺の右アーム部材10Rと、回転駆動軸4の回転駆動力を上下左右運動に変換する第2右変換部11Rと、が配備されている。また、本実施形態においては、右アーム部材10Rの上下左右運動の位相を切り替える第2切り替え部12が、第2マッサージ部9の右側に配備されている。
【0129】
本実施形態の右アーム部材10R(右揉みアーム10R)は、使用者の右側の施療部である腿部裏、腰部や臀部などに沿うように形成された棒状の部材である。具体的には、右アーム部材10Rは、第2右変換部11Rを構成する第2右環状嵌合部47R(回転駆動軸4)から略水平方向で且つ前方に向かって伸びるように形成されるとともに、略水平方向で且つ後方に向かって伸びるように形成されている。
【0130】
つまり、右アーム部材10Rの前後方向中央下側(基端側)には、回転駆動軸4の回転駆動力を、右アーム部材10Rの上下左右運動に変換する第2右変換部11Rが配備されている。
【0131】
右アーム部材10Rは、前端が内側に屈曲状に形成され、その前端には右前施療子38Rが設けられている。また、右アーム部材10Rの後端には、右後施療子39Rが立ち上がるように設けられている。
【0132】
すなわち、右アーム部材10Rは、基台2上の座部13に着座した使用者の施療部に施療子38R,39Rが当接できる長さとなっている。これにより、右アーム部材10Rは、使用者の右側の臀部や腿部裏などの施療部を下方から押し込むように揉むマッサージをすることができる。
【0133】
また、右アーム部材10Rの前端には、軸心が水平方向を向く孔部40Rが設けられている。孔部40Rは、軸部材41Rが嵌め入れられるものである。軸部材41Rは、右前施療子38Rを回転自在に支持するものである。すなわち、軸部材41Rは、右アーム部材10R前端の孔部40Rに嵌め入れられることにより、右前施療子38Rを上下方向(軸部材41Rの軸心回り)に回転自在に支持する。
【0134】
この軸部材41Rには、バネ部材42Rが取り付けられている。バネ部材42Rは、右前施療子38Rを前方で且つ、やや斜め上方に突出状に支持するものである。このバネ部材42Rは、所定以上の負荷がかかると右前施療子38Rを回動させ、負荷がなくなると反発力で右前施療子38Rを元の位置に戻す。
【0135】
また、右アーム部材10Rの後端には、軸心が水平方向を向く孔部43Rが設けられている。孔部43Rは、軸部材44Rが嵌め入れられるものである。軸部材44Rは、右後施療子39Rを回転自在に支持するものである。すなわち、軸部材44Rは、右アーム部材10R後端の孔部43Rに嵌め入れられることにより、右後施療子39Rを上下方向(軸部材44Rの軸心回り)に回転自在に支持する。
【0136】
この軸部材44Rには、バネ部材45Rが取り付けられている。バネ部材45Rは、右後施療子39Rを後方で且つ、斜め上方に突出状に支持するものである。つまり、右後施療子39Rは、バネ部材45Rにより立ち上がるように設けられている。バネ部材45Rは、所定以上の負荷がかかると右後施療子39Rを回動させ、負荷がなくなると反発力で右後施療子39Rを元の位置に戻す。
【0137】
バネ部材42R,45Rは、例えば、右側の腿部裏、腰部や臀部などに対するマッサージ時において、右側前後の施療子38R,39Rを上下方向に回動させることによって、
右アーム部材10Rに取り付けられた右側前後の施療子38R,39Rを、右側の腿部裏、腰部や臀部などに沿って滑らかに移動させるものである。
【0138】
また、バネ部材42R,45Rは、右側前後の施療子38R,39Rの押し込みが強くなりすぎないように、右側前後の施療子38R,39Rを回動させて負荷を逃がして、押し込みを少し弱めて右側の腿部裏、腰部や臀部などに対して痛みを抑えるものでもある。
【0139】
さらには、バネ部材42R,45Rは、所定以上の負荷がかかった場合に、右側前後の施療子38R,39Rを回動させて負荷を逃がし、その右側前後の施療子38R,39Rや右アーム部材10Rの損傷を防止するものでもある。
【0140】
図9図12などに示すように、第2右変換部11Rは、回転駆動軸4に取り付けられ且つ、この回転駆動軸4と一体回転する第2右回転ボス部46Rと、右アーム部材10Rの基端に設けられ且つ、第2右回転ボス部46Rの外周縁(第2右カム面52R)に嵌り込む第2右環状嵌合部47Rと、右アーム部材10Rが回転駆動軸4との同伴回転することを規制する第2右規制部48Rと、を有している。
【0141】
第2右回転ボス部46Rは、回転駆動軸4の右端側に設けられている。第2右回転ボス部46Rは、右アーム部材10Rの下部(基端側)に配備されている。なお、本実施形態の第2右回転ボス部46Rは、左右に分割の構成となっており、第2右環状嵌合部47Rを挟み込むように配備される。
【0142】
第2右回転ボス部46Rは、内側に大径の円盤部材(右円盤部49R)を設け、その外側に小径の筒部材(右小筒部50R)を設けた部材である。すなわち、第2右回転ボス部46Rは、横向きの段付き円筒形状(フランジ形状)に形成された部材である。この第2右回転ボス部46Rには、右円盤部49Rと右小筒部50Rを貫通する右貫通孔51Rが形成されている。
【0143】
この右貫通孔51Rには、回転駆動軸4の右側が挿入される。本実施形態においては、第2右回転ボス部46Rの右円盤部49Rの外側面は内側面に対して傾斜した面である。その傾斜した右円盤部49Rの傾斜面に右小筒部50Rが形成されている。また、右小筒部50Rは、右貫通孔51Rに対して偏心して設けられている。
【0144】
すなわち、第2右回転ボス部46Rは、回転駆動軸4に対して偏心して取り付けられている。右小筒部50Rの外周面には、回転駆動軸4の軸心に対して傾斜した第2右カム面52Rが形成されている。
【0145】
第2右カム面52Rは、右アーム部材10Rに設けられた第2右環状嵌合部47Rが嵌合するようになっている。この形状により、第2右回転ボス部46Rは傾斜回転ボス部となっている。また、右小筒部50Rの軸心は、右円盤部49Rの軸心に対して交差して通るように設けられている。つまり、右貫通孔51Rの軸心と右円盤部49Rの軸心は同一軸心であるが、右小筒部50Rの軸心は異なるものである。
【0146】
この形状により、第2右回転ボス部46Rは偏心回転ボス部となっている。つまり、第2右回転ボス部46Rは、回転駆動軸4の軸心に対して傾斜回転するとともに偏心回転するものとなっている。なお、第2右回転ボス部46Rは、後述する第2左回転ボス部46Lと左右で互いに線対称な構成となっている。また、第2右カム面52Rは、後述する第2左カム面52Lと左右で互いに線対称な構成となっている。
【0147】
第2右環状嵌合部47Rは、右アーム部材10Rの基端側に設けられている。第2右環状嵌合部47Rは、第2右回転ボス部46Rの第2右カム面52Rに嵌合可能に形成されている。第2右環状嵌合部47Rが第2右回転ボス部46Rに外嵌することにより、右アーム部材10Rは第2右回転ボス部46Rの軸心回りに回動する。
【0148】
第2右規制部48Rは、右アーム部材10Rが第2右回転ボス部46Rと供回りすることを規制するものである。第2右規制部48Rは、第2右環状嵌合部47Rの基端側(右アーム部材10Rの下部)に設けられた第2右規制ピン53Rと、当該第2右規制ピン53Rが摺動自在に嵌り込む第2右規制溝54Rと、を有している。
【0149】
図9図12などに示すように、本実施形態の腰部マッサージ機1は、アーム部材10の上下左右運動の位相を切り替える第2の切り替え部12を備えている。本実施形態においては、右アーム部材10Rに配備される第2右変換部11Rに第2切り替え部12を備
え、右アーム部材10Rの上下左右運動の位相を切り替えている。なお、第2切り替え部12については、左アーム部材10Lに配備される第2左変換部11Lに備えていてもよい。
【0150】
第2切り替え部12は、回転駆動軸4の正回転と逆回転で、左アーム部材10Lの上下左右運動の位相(一定の位相)に対して、右アーム部材10Rの上下左右運動の位相(周期的な動作)を切り替えるものである。
【0151】
また、第2切り替え部12は、第1切り替え部8がマッサージ部材6の左右方向の揺動運動の位相を切り替えると、その位相に合わせてアーム部材10の上下左右の揺動運動の位相を切り替えて、マッサージ部材6とアーム部材10を協働させることができる。
【0152】
本実施形態の第2切り替え部12は、左アーム部材10Lが動き出した後に、その左アーム部材10Lの上下左右運動の位相に対して、右アーム部材10Rの上下揺動運動を同じ方向の位相で行わせる第1上下左右運動(第1揉みマッサージ)と、左右一対のアーム部材10を近接離反させる位相で行わせる第2上下左右運動(第2揉みマッサージ)と、を切り替え可能に構成されている。
【0153】
なお、本実施形態では、回転駆動軸4が正回転しているとき、第2切り替え部12は左右のアーム部材10R,10Lを同じ方向の位相の第1上下左右運動に切り替えて、マッサージ部材6R,6Lのひねりマッサージと協働させるものとする。
【0154】
一方、回転駆動軸4が逆回転しているとき、第2切り替え部12は左右のアーム部材10R,10Lを近接離反させる位相の第2上下左右運動に切り替えて、マッサージ部材6R,6Lの揉みマッサージと協働させるものとする。
【0155】
本実施形態では、第2切り替え部12は、回転駆動軸4を正回転の方向に半回転または逆回転の方向に半回転させてから、一方のアーム部材10(本実施形態では、右アーム部材10R)の動きを一時停止させて遅延させることで、右アーム部材10Rの上下左右運動の位相を切り替える「半回転クラッチ機構」を採用している。
【0156】
第2切り替え部12は、第2左変換部11Lが動き出した後に、第2右変換部11Rの動き出しをずらす遅延動作により、第1上下左右運動と第2上下左右運動とを切り替えることができる。なお、第2切り替え部12は、回転駆動軸4が正回転方向または逆回転方向に所定の角度(例えば、1/4回転、1/3回転、1/2回転(半回転)など)に回転させた後に、左アーム部材10Lに対して右アーム部材10Rの動きを、その回転させた分だけ遅延させることで、第2マッサージ部9の上下左右運動の位相を切り替える「回転クラッチ機構」とされていると好ましい。
【0157】
つまり、本実施形態では、第2の半回転クラッチ機構12による遅延動作により、回転駆動軸4の右側に設けられた第2右回転ボス部46Rを、第2左回転ボス部46Lの回転より半回転分遅らせて回転させ始めることにより、右アーム部材10Rと左アーム部材10Lの上下左右運動の位相を、同じ方向に揺動させる位相または近接離反させる位相に切り替えることができる。ただし、第2の半回転クラッチ機構12は、半回転(180°)以外も含むものとする。例えば、120°、90°などが挙げられる。
【0158】
本実施形態の第2切り替え部12は、回転駆動軸4を空転させることにより、回転駆動軸4の回転を一定時間無負荷にして、右アーム部材10Rの上下左右運動を一時停止させて、右アーム部材10Rを第1上下左右運動または第2上下左右運動のいずれかに切り替えて、左アーム部材10Lの上下左右運動に合わせる。
【0159】
すなわち、第2切り替え部12は、回転駆動軸4を半回転させることで、上下左右運動が一定である左アーム部材10Lに対して、右アーム部材10Rが行う上下左右運動の位相を可変とする。
【0160】
図9図12などに示すように、本実施形態の半回転クラッチ機構12(第2切り替え部12)は、回転駆動軸4に取り付けられた突状の第2係合ピン55と、この第2係合ピン55が摺動自在に嵌り込む第2係合溝部56と、を有する。
【0161】
本実施形態の第2係合ピン55は、円柱形状の部材であって、回転駆動軸4の外周から径方向外側に向かって設けられている。つまり、第2係合ピン55は、回転駆動軸4の外周から一方方向に突出状に設けられている。
【0162】
さて、回転駆動軸4には、第2係合ピン55が挿入される孔部57が設けられている。本実施形態では、孔部57が回転駆動軸4の軸心方向に二つ並んで設けられている。つまり、第2係合ピン55は、二つの孔部57にそれぞれ挿入され、回転駆動軸4の軸心方向に二つ並んで、径方向外側(一方方向)に突出して設けられている。
【0163】
なお、第2係合ピン55の形状を円柱形状として例示したが、例えば角柱形状や多角形状の部材であってもよい。また、第2係合ピン55の材質については、回転駆動軸4の回転駆動力を確実に伝達できる硬さ、例えば鉄などの金属製であることが好ましい。また、第2係合ピン55の突出量に関しては、回転駆動軸4の回転駆動力を確実に伝達できる長さ(第2係合溝部56に係合できる所定の突出量)であればよい。
【0164】
つまり、第2係合ピン55は、第2係合溝部56内に嵌り込むことができる高さだけ、回転駆動軸4の外周から一方方向に突出して設けられている。この第2係合ピン55は、第2係合溝部56内において、回転駆動軸4(右貫通孔51R)の軸心回りに摺動する。
【0165】
本実施形態の第2係合溝部56は、第2右回転ボス部46R内に設けられている。第2係合溝部56は、側方断面視で、右貫通孔51R(回転駆動軸4)の外周を周回する半月形状(U字状やC字状)の軌道を有する溝となっている。また、第2係合溝部56は、回転駆動軸4の外周に沿って設けられ、右貫通孔51Rの軸心方向に向かって深く形成された溝である。
【0166】
すなわち、第2係合溝部56は、円柱形状の第2係合ピン55が回転駆動軸4の軸心回りに摺動することができる、回転駆動軸4の曲率と同じ円弧とされた湾曲状の溝である。つまり、第2係合溝部56は、二本の円柱形状の第2係合ピン55が嵌り込み可能な深さを備えた形状の溝部である。
【0167】
また、第2係合溝部56は、右貫通孔51Rの外周を周回する円弧状の溝であり、右貫通孔51R回りに二つの終端壁58,59を有する軌道となっている。一方の終端壁58は、回転駆動軸4の回転が正回転に切り替わったときに、第2係合ピン55が係合されることで、第2右回転ボス部46Rの回転を正回転に切り替える第2正回転切替部58とされている。他方の終端壁59は、回転駆動軸4の回転が逆回転に切り替わったときに、第2係合ピン55が係合されることで、第2右回転ボス部46Rの回転を逆回転に切り替える第2逆回転切替部59とされている。
【0168】
第2正回転切替部58は、回転駆動軸4が正回転したときに、第2左変換部11Lの動作に対して第2右変換部11Rの動作を遅らせて、右アーム部材10Rの上下左右運動の位相を左アーム部材10Lの位相(ひねりマッサージの位相)と同じ位相に切り替えるものである。
【0169】
つまり、第2正回転切替部58は、回転駆動軸4の正回転時に、第2右変換部11Rの動作を第2左変換部11Lの動作と同調させて、右アーム部材10Rに第1上下左右運動を行わせるための部位である。本実施形態では、半円状の第2係合溝部56に設けられた一方の終端壁58が第2正回転切替部58である。
【0170】
図9図10などに示すように、回転駆動軸4の回転を正回転方向に切り替えたとき、回転駆動軸4を正回転方向に半回転分空転させることで第2右回転ボス部46Rの動きが一時止まる。第2係合溝部56内の第2係合ピン55が正回転方向に半回転した後に、その第2係合ピン55の一方の接線55aが第1正回転切替部58(一方の終端壁58)に係合されることで、回転駆動軸4の正回転方向の成分が第2右回転ボス部46Rに伝達される。
【0171】
その第2右回転ボス部46Rが半回転分遅れて正回転し始め、第2右変換部11Rの上下左右運動の位相が、第2左変換部11Lの上下左右運動の位相と同じ位相となる。左右のアーム部材10R,10Lが左右同じ方向に揺動運動する第1上下左右運動に切り替わり、左右のマッサージ部材6R,6Lのひねりマッサージ運動と協働する。
【0172】
第2逆回転切替部59は、回転駆動軸4が逆回転したときに、第2左変換部11Lの動作に対して第2右変換部11Rの動作を遅らせて、右アーム部材10Rの上下左右運動の位相を左アーム部材10Lの位相(揉みマッサージの位相)と同じ位相に切り替えるものである。
【0173】
つまり、第2逆回転切替部59は、回転駆動軸4の逆回転時に、第2右変換部11Rの動作を第2左変換部11Lの動作と同調させて、右アーム部材10Rに第2上下左右運動を行わせるための部位である。本実施形態では、半円状の第2係合溝部56に設けられた他方の終端壁59が第2逆回転切替部59である。
【0174】
図11図12などに示すように、回転駆動軸4の回転を逆回転方向に切り替えたとき、回転駆動軸4を逆回転方向に半回転分空転させることで第2右回転ボス部46Rの動きが一時止まる。第2係合溝部56内の第2係合ピン55が逆回転方向に半回転した後に、その第2係合ピン55の他方の接線55bが第2逆回転切替部59(他方の終端壁59)に係合されることで、回転駆動軸4の逆回転方向の成分が第2右回転ボス部46Rに伝達される。
【0175】
その第2右回転ボス部46Rが半回転分遅れて逆回転し始め、第2右変換部11Rの上下左右運動の位相が、第2左変換部11Lの上下左右運動の位相と同じ位相となる。左右のアーム部材10R,10Lが左右方向に近接離反する揺動運動を行う第2上下左右運動に切り替わり、左右のマッサージ部材6R,6Lの揉みマッサージ運動と協働する。
【0176】
すなわち、第2の半回転クラッチ機構12(第2切り替え部12)は、回転駆動軸4が正回転することにより、第2係合ピン55が回転駆動軸4の軸心回りに正回転方向に半回転している間、右アーム部材10Rの動きは一時停止しており、その半回転後に第2係合ピン55が第2係合溝部56内の第2正回転切替部58(一方の終端58)に係合されると、一時停止していた右アーム部材10Rが動き出す(遅延動作する)ことにより、右アーム部材10Rと左アーム部材10Lの位相を第1上下左右運動の位相に切り替える。
【0177】
つまり、第2の半回転クラッチ機構12により、右アーム部材10Rに設けられた施療子38R,39Rと、左アーム部材10Rに設けられた施療子38L,39Lが、左右同じ方向に揺動運動する第1上下左右運動に切り替わる。
【0178】
図4に示すように、第1上下左右運動(第1揉みマッサージ)とは、第1マッサージ部5によるひねりマッサージ時に、右マッサージ部材6Rの前側が右外方向に揺動すると、右アーム部材10Rの前側も同様に右外方向に揺動するとともに、左マッサージ部材6Lの前側が右方向に揺動すると、左アーム部材10Lの前側も同様に右方向に揺動する。このとき、左右のマッサージ部材6R,6Lと左右のアーム部材10R,10Lの後側は、左方向に揺動する。
【0179】
続いて、右マッサージ部材6Rの前側が左外方向に揺動すると、右アーム部材10Rの前側も同様に左外方向に揺動するとともに、左マッサージ部材6Lの前側が左方向に揺動すると、左アーム部材10Lの前側も同様に左方向に揺動する。このとき、左右のマッサージ部材6R,6Lと左右のアーム部材10R,10Lの後側は、右方向に揺動することを交互に繰り返し行う。
【0180】
なおこのとき、右アーム部材10Rの右前施療子38Rと右後施療子39R、左アーム部材10Lの左前施療子38Lと左後施療子39Lのそれぞれは、右アーム部材10Rおよび左アーム部材10Lに伴って上下左右の揺動運動を交互に繰り返し行う。つまり、第1上下左右運動は、左右のマッサージ部材6R,6Lと、左右のアーム部材10R,10Lを協働させて、「ひねりマッサージ」に合わせた揉みマッサージを行わせる。
【0181】
また、第2の半回転クラッチ機構12は、回転駆動軸4が逆回転することにより、第2係合ピン55が回転駆動軸4の軸心回りに逆回転方向に半回転している間、右マッサージ部材6Rの動きは一時停止しており、その半回転後に第2係合ピン55が第2係合溝部56内の第2逆回転切替部59(他方の終端59)に係合されると、一時停止していた右アーム部材10Rが動き出す(遅延動作する)ことにより、右アーム部材10Rと左アーム部材10Lの位相を第2上下左右運動の位相に切り替える。
【0182】
つまり、第2の半回転クラッチ機構12により、右アーム部材10Rの前端に設けられた施療子38Rと、左アーム部材10Rの前端に設けられた施療子38Lが左右方向に近接離反するとともに、右アーム部材10Rの後端に設けられた施療子39Rと、左アーム部材10Rの後端に設けられた39Lが左右方向に近接離反する揺動運動を行う第2上下左右運動に切り替わる。
【0183】
図4に示すように、第2上下左右運動(第2揉みマッサージ)とは、第1マッサージ部5による揉みマッサージ時に、左右のマッサージ部材6R,6Lの前側が左右外方向に開く(離反する)ように揺動すると、左右のアーム部材10R,10Lの前側も同様に左右外方向に開く(離反する)ように揺動する。このとき、左右のマッサージ部材6R,6Lと左右のアーム部材10R,10Lの後側は、左右内方向に閉じる(近接する)ように揺動する。
【0184】
続いて、左右のマッサージ部材6R,6Lの前側が左右内方向に閉じる(近接する)ように揺動すると、左右のアーム部材10R,10Lの前側が左右内方向に閉じる(近接する)ように揺動する。このとき、左右のマッサージ部材6R,6Lと左右のアーム部材10R,10Lの後側は、左右外方向に開く(離反する)ように揺動することを交互に繰り返し行う。
【0185】
なおこのとき、右アーム部材10Rの右前施療子38Rと右後施療子39R、左アーム部材10Lの左前施療子38Lと左後施療子39Lのそれぞれは、右アーム部材10Rおよび左アーム部材10Lに伴って上下左右の揺動運動を交互に繰り返し行う。つまり、第1上下左右運動は、左右のマッサージ部材6R,6Lと、左右のアーム部材10R,10Lを協働させて、「揉みマッサージ」に合わせたマッサージを行わせる。
【0186】
なお、第2係合ピン55が第2正回転切替部58または第2逆回転切替部59に係合されるまで(回転駆動軸4が半回転している間)は、第2左回転ボス部46Lは回転しているが、第2右回転ボス部46Rは一時停止した状態となっている。つまり、左アーム部材10Lは上下左右運動しているが、右アーム部材10Rは一時停止した状態となっている。
【0187】
なお、第1切り替え部8によるひねりマッサージまたは揉みマッサージと、第2切り替え部12による第1揉みマッサージまたは第2揉みマッサージの協働動作について、本実施形態で例に挙げた協働動作の組み合わせに限定されず、施療部の状況(部位や凝りの度合いなど)を鑑み適宜変更可能である。
【0188】
さて、本実施形態の腰部マッサージ機1には、第2マッサージ部9の動きにくさを防止する第2リング部材60が設けられている。具体的には、第2リング部材60は、第2右回転ボス部46Rの内周に設けられている。第2リング部材60は、金属製(例えば、アルミニウムをリング状に焼結させたものなど)のものが好ましい。
【0189】
第2リング部材60を金属製とするのは、樹脂製と比べて熱膨張しにくいため、その性質(特性)を利用し、第2右回転ボス部46Rと第2リング部材60の隙間を維持するために使用している。
【0190】
図10に示すように、第2右回転ボス部46Rは、第2係合ピン55で押されることで回転するが、第2右回転ボス部46Rの回転により、右アーム部材10Rが回転する。右アーム部材10Rで施療部をマッサージすると、右アーム部材10Rには施療部からの抵抗がかかるため、第2係合ピン55で第2右回転ボス部46Rを押し、施療部の負荷に負けないように右アーム部材10Rを押す。
【0191】
しかし、第2係合ピン55の回転位相が、右アーム部材10Rが施療部から離れる角度にくると、右アーム部材10Rは施療部自身から受ける負荷により、第2係合ピン55で押されるよりも先に位相が進んでしまうことがある。
【0192】
このような状況を防ぐために、第2右回転ボス部46Rと第2リング部材60は、一定の抵抗がかかるくらいの寸法精度で作成している。すなわち、第2右回転ボス部46Rに対して、第2リング部材60による抵抗を付与することで、施療部からの負荷で右アーム部材10Rが回転しないようにしている。
【0193】
このとき、仮に(金属製ではない場合)第2リング部材60が駆動による熱で膨張してしまうと、通常でも抵抗をかかっている第2右回転ボス部46Rと第2リング部材60の隙間がより狭くなり、第2右回転ボス部46Rを回転させるための負荷が非常に重くなってしまう。すなわち、第2右回転ボス部46Rの回転が渋くなり、右アーム部材10Rの揺動運動が動きにくくなる。
【0194】
また、右アーム部材10が施療部を押す方向が変わるとき、右マッサージ部材6が施療
部自身から受ける負荷により、第1右回転ボス部23Rが空回りするような状態となることがある。
【0195】
このことから、本実施形態では、金属製の第1リング部材37を、第1右回転ボス部23R内に所定の隙間を有するように装入することで、第1右回転ボス部23Rと第1リング部材37の熱による寸法変化を少なくしている。
【0196】
つまり、本実施形態では、回転駆動軸4にアルミ焼結製の第2リング部材60を取り付けて、その第2リング部材60に第2右回転ボス部46Rを外嵌させる。この第2リング部材60は金属製のため、熱膨張することなく、第2右回転ボス部46Rと第2リング部材60の隙間が維持される。これにより、第2右回転ボス部46Rの回転がスムーズになり、右アーム部材10Rの揺動運動の動きがよくなる。
【0197】
第2リング部材60の外径は、第2右回転ボス部46Rの内径との所定の隙間を設けるため、所定の厚みを有するものとなっている。また、第2リング部材60の軸心方向の厚みも、所定の厚みを有するものとなっている。この第2リング部材60の外周に、第2切り替え部12を備えた第2右変換部11Rが外嵌するように配備されている。
【0198】
さて、第1マッサージ部5の左側には、前後方向に長尺の左マッサージ部材6Lと、回転駆動軸4の回転駆動力を左右揺動運動に変換する第1左変換部7Lと、が配備されている。
【0199】
図13に、第1マッサージ部5の左側を示し、左マッサージ部材6L、第1左変換部7Lの拡大図を示す。なお、左マッサージ部材6Lは右マッサージ部材6Rを左右に鏡像反転させた類似形状であり、また第1左変換部7Lは第1右変換部7Rを左右に鏡像反転させた類似形状であるので詳細な説明は省略する。
【0200】
図13に示すように、本実施形態の左マッサージ部材6L(左揉み板6L)は、側面視で、使用者の施療部である左側の腿部~臀部~腰部に沿うように形成されたものである。左マッサージ部材6Lは、腰部マッサージ機1の左端において、略水平方向で且つ前方向および後方向へ突出するように配備されている。つまり、左マッサージ部材6Lは、腰部マッサージ機1の左端に側壁のように配備されている。これにより、左マッサージ部材6Lは、使用者の腰横部(体側)や腿部などの施療部を左外側からひねったり揉んだりすることができる。左マッサージ部材6Lの前後方向中央下側(基端側)には、回転駆動軸4の回転駆動力を、左マッサージ部材6Lの左右揺動運動に変換する第1左変換部7Lが設けられている。
【0201】
図13に示すように、第1左変換部7Lは、回転駆動軸4に取り付けられ且つ、この回転駆動軸4と一体回転する第1左回転ボス部23Lと、左マッサージ部材6Lの基端に設けられ且つ、第1左回転ボス部23Lの外周縁(第1左カム面29L)に嵌り込む第1左環状嵌合部24Lと、左マッサージ部材6Lが回転駆動軸4との同伴回転することを規制する第1左規制部25Lと、を有している。
【0202】
また、第2マッサージ部9の左側には、前後方向に長尺の左アーム部材10Lと、回転駆動軸4の回転駆動力を上下左右運動に変換する第2左変換部11Lと、が配備されている。
【0203】
図14に、第2マッサージ部9の左側を示し、左アーム部材10L、第2左変換部11Lの拡大図を示す。なお、左アーム部材10Lは右アーム部材10Rを左右に鏡像反転させた類似形状であり、また第2左変換部11Lは、第2右変換部11Rを左右に鏡像反転させた類似形状であるので詳細な説明は省略する。
【0204】
図14に示すように、左アーム部材10L(左揉みアーム10L)は、使用者の施療部である左側の臀部や腿部裏などに沿うように形成された棒状の部材である。また、左アーム部材10Lの前後方向中央下側(基端側)には、回転駆動軸4の回転駆動力を、左アーム部材10Lの上下左右運動に変換する第2左変換部11Lが設けられている。
【0205】
左アーム部材10Lは、前端が内側に屈曲状に形成され、その前端には左前施療子38Lが設けられている。また、左アーム部材10Lの後端には、左後施療子39Lが立ち上がるように設けられている。これにより、左アーム部材10Lは、使用者の左側の臀部や腿部裏などの施療部を下方から押し込むように揉むマッサージをすることができる。
【0206】
左アーム部材10Lの前端には、軸部材41Lが嵌め入れられる孔部40Lが設けられている。左前施療子38Lは、左アーム部材10Lの前端において、軸部材41Lにより、上下方向(軸部材41Lの軸心回り)に回転自在に支持されている。また、軸部材41Lには、バネ部材42Lが取り付けられている。このバネ部材42Lは、所定以上の負荷がかかると左前施療子38Lを回動させ、負荷がなくなると反発力で左前施療子38Lを元の位置に戻す。
【0207】
左アーム部材10Lの後端には、軸部材44Lが嵌め入れられる孔部43Lが設けられている。左後施療子39Lは、左アーム部材10Lの後端において、軸部材44Lにより、上下方向(軸部材44Lの軸心回り)に回転自在に支持されている。また、軸部材44Lには、バネ部材45Lが取り付けられている。このバネ部材45Lは、所定以上の負荷がかかると左後施療子39Lを回動させ、負荷がなくなると反発力で左後施療子39Lを元の位置に戻す。
【0208】
バネ部材42L,45Lは、例えば、左側前後の施療子38L,39Lを上下方向に回動させることによって、左側の腰部、臀部や腿部裏などに沿って滑らかに移動させるものである。また、バネ部材42L,45Lは、左側前後の施療子38L,39Lを回動させて負荷を逃がして、左側の腰部、臀部や腿部裏などに対して痛みを抑えるものでもある。さらには、バネ部材42L,45Lは、所定以上の負荷がかかった場合に、左側前後の施療子38L,39Lを回動させて負荷を逃がし、その左側前後の施療子38L,39Lや左アーム部材10Lの損傷を防止するものでもある。
【0209】
第2左変換部11Lは、回転駆動軸4に取り付けられ且つ、この回転駆動軸4と一体回転する第2左回転ボス部46Lと、左アーム部材10Lの基端に設けられ且つ、第2左回転ボス部46Lの外周縁(第2左カム面52L)に嵌り込む第2左環状嵌合部47Lと、左アーム部材10Lが回転駆動軸4との同伴回転することを規制する第2左規制部48Lと、を有している。
[作動態様]
次いで、本実施形態の腰部マッサージ機1の作動態様について、図を参照しながら説明する。本実施形態の腰部マッサージ機1は、ひねりマッサージと揉みマッサージに切り替え可能となっている。
[ひねりマッサージ]
仰向けに寝て腰部マッサージ機1を使用する場合は平らな床面に載置し、椅子などを使って腰部マッサージ機1を使用する場合、その椅子の座部に載置する。使用者は、左右一対のマッサージ部材6R,6Lの間に臀部・腰部を嵌め入れて座部13に着座する。
【0210】
すると、右側方の腰部、臀部や腿部が右マッサージ部材6Rに当接し、左側方の腰部、臀部や腿部が左マッサージ部材6Lに当接する。また、右側の臀部や腿部裏が右アーム部材10Rの施療子38R,39Rに当接し、左側の左アーム部材10Lの施療子38L,39Lに当接するようになる。
【0211】
使用者は、腰部マッサージ機1に設けられている操作パネル(図示せず)を操作する。このとき、操作ボタンを押すなどを行って、例えば、回転駆動軸4の正回転による、第1マッサージ部5(左右のマッサージ部材6R,6L)のひねりマッサージに切り替える。
【0212】
ただし、本実施形態では、第2マッサージ部9(左右のアーム部材10R,10L)は、例えば交差方向の施療子38R,39Lを同時に押し上げ、その後交差方向の施療子38L,39Rを同時に押し上げることを交互に繰り返す第1揉みマッサージ(第1上下左右運動)を行う。
【0213】
図1図6などに示すように、駆動部3は駆動し、駆動モータ15の回転駆動力により回転駆動軸4が正回転方向に回転する。第1マッサージ部5では、回転駆動軸4の正回転に伴って、第1左変換部7Lは第1左右揺動運動に変換し、左マッサージ部材6Lは一定の位相で左右に倒れ込み動作をする。
【0214】
第1右変換部7Rは、半回転クラッチ機構8(第1切り替え部8)により、回転駆動軸4が正回転方向に半回転した分だけ遅れて回転し始める。つまり、第1右変換部7Rでは、回転駆動軸4が正回転方向に半回転分だけ空転するような状態となる。つまり、第1右回転ボス部23Rの動きが一時止まる。
【0215】
その後、第1右変換部7Rは第1左変換部7Lの回転と同調し、右マッサージ部材6Rは左マッサージ部材6Lと同じ位相で左右に倒れ込み動作をする。これにより、右マッサージ部材6Rと左マッサージ部材6Lはひねりマッサージを行う。
【0216】
図5図6などに示すように、具体的には、回転駆動軸4が正回転の方向に回転すると、その回転駆動軸4の正回転方向の成分が第1右回転ボス部23Rに伝達される。第1右回転ボス部23R内において、第1係合ピン32が半円状の第1係合溝部33内を正回転の周方向に摺動するようになる。回転駆動軸4が正回転方向(腰部マッサージ機1の前方向)に半回転分だけ空転する。
【0217】
回転駆動軸4が正回転方向に半回転すると、半回転クラッチ機構8により、第1係合ピン32は一方の接線32aが第1係合溝部33内の第1正回転切替部35(一方の終端壁35)に係合される。第1右変換部7Rが遅れて動き出して、第1右回転ボス部23Rは、回転駆動軸4の正回転に伴って、同じ正回転をする。
【0218】
回転駆動軸4の正回転成分の回転駆動力が第1右変換部7Rで第1左右揺動運動に変換される。すなわち、第1右変換部7Rの左右揺動運動の位相が、第2左変換部7Lの左右揺動運動の位相と同じ位相の第1左右揺動運動に切り替わる。右マッサージ部材6Rは、左マッサージ部材6Lの動きに合わせて左右同じ方向に揺らぐように傾斜するひねりマッサージを行う。
【0219】
なお、第1係合ピン32が第1正回転切替部35に係合されるまで(回転駆動軸4が半回転している間)は、第1左回転ボス部23Lは回転しているが、第1右回転ボス部23Rは一時停止した状態となっている。つまり、左マッサージ部材6Lは左右揺動運動しているが、右マッサージ部材6Rは一時停止した状態となっている。
【0220】
すなわち、右マッサージ部材6Rの動きが半回転クラッチ機構8(第1切り替え部8)により、第1左右揺動運動の位相に切り替わることにより、左マッサージ部材6Lと同じ左右に倒れ込む動作をすることで、左マッサージ部材6Lの動きに合わせて左右同じ方向に揺らぐように傾斜するひねりマッサージを行う。
【0221】
つまり、ひねりマッサージ運動は、左右一対のマッサージ部材6を同じ方向に揺動させる。例えば、左方向であれば一対のマッサージ部材6R,6Lを左方向へ倒れるように揺動させ、右方向であれば一対のマッサージ部材6R,6Lを右方向へ倒れるように揺動させることを繰り返す。
【0222】
このように、左右一対のマッサージ部材6R,6Lは、左右の腰横部(体側)や左右の腿部などの施療部に対して、左右同じ方向に揺らぐように、ひねりマッサージ運動を効果的に付与することができる。
【0223】
一方で、第2マッサージ部9では、回転駆動軸4の正回転に伴って、第2左変換部11Lは第1上下左右運動に変換し、左アーム部材10Lは一定の位相で上下左右に揺動運動をする。
【0224】
第2右変換部11Rは、第2の半回転クラッチ機構12(第2切り替え部12)により、回転駆動軸4が正回転方向に半回転した分だけ遅れて回転し始める。つまり、第2右変換部11Rでは、回転駆動軸4が正回転方向に半回転分だけ空転するような状態となる。つまり、第2右回転ボス部46Rの動きが一時止まる。
【0225】
その後、第2右変換部11Rは第2左変換部11Lの回転と同調し、右アーム部材10Rは左アーム部材10Lと同じ位相で第1上下左右運動を行う。これにより、右アーム部材10Rと左アーム部材10Lは、交差方向の施療子38,39を左右同じ方向に揺動運動させる第1揉みマッサージを行う。
【0226】
図9図10などに示すように、具体的には、回転駆動軸4が正回転の方向に回転すると、その回転駆動軸4の正回転方向の成分が第2右回転ボス部46Rに伝達される。第2右回転ボス部46R内において、第2係合ピン55が半円状の第2係合溝部56内を正回転の周方向に摺動するようになる。回転駆動軸4が正回転方向(腰部マッサージ機1の前方向)に半回転分だけ空転する。
【0227】
回転駆動軸4が正回転方向に半回転すると、第2の半回転クラッチ機構12により、第
2係合ピン55は一方の接線55aが第2係合溝部56内の第2正回転切替部58(一方の終端壁58)に係合される。第2右変換部11Rが遅れて動き出して、第2右回転ボス部46Rは、回転駆動軸4の正回転に伴って、同じ正回転をする。
【0228】
回転駆動軸4の正回転成分の回転駆動力が第2右変換部11Rで第1上下左右運動に変換される。すなわち、第2右変換部11Rの上下左右運動の位相が、第2左変換部11Lの上下左右運動の位相と同じ位相の第1上下左右運動に切り替わる。
【0229】
図4に示すように、右アーム部材10Rは前端の右前施療子38Rを右外方向に揺動させるとともに、左アーム部材10Lも同様に前端の左前施療子38Lを右方向に揺動させる。このとき、右アーム部材10Rの後端の右後施療子39Rと、左アーム部材10Lの後端の左後施療子39Lは、左方向に揺動する。
【0230】
その後、右アーム部材10Rは前端の右前施療子38Rを左方向に揺動させるとともに、左アーム部材10Lも同様に前端の左前施療子38Lを左外方向に揺動させる。このとき、右アーム部材10Rの後端の右後施療子39Rと、左アーム部材10Lの後端の左後施療子39Lは、右方向に揺動する。
【0231】
このように、第2マッサージ部9では、右アーム部材10Rに設けられた施療子38R,39Rと、左アーム部材10Rに設けられた施療子38L,39Lを、左右同じ方向に揺動運動させながら押し上げる第1揉みマッサージを行い、左右のマッサージ部材6R,6Lのひねりマッサージ運動に合わせて協働する。
【0232】
なお、第2係合ピン55が第2正回転切替部58に係合されるまで(回転駆動軸4が半回転している間)は、第2左回転ボス部46Lは回転しているが、第2右回転ボス部46Rは一時停止した状態となっている。つまり、左アーム部材10Lは上下左右運動しているが、右アーム部材10Rは一時停止した状態となっている。
【0233】
すなわち、右アーム部材10Rの動きが、第2の半回転クラッチ機構12(第2切り替え部12)により、左アーム部材10Lと左右同じ方向に揺動する第1上下左右運動の位相に切り替わることで、右前施療子38Rと左前施療子38Lが左右同じ方向に揺動しながら押し上げられ、その後、右後施療子39Rと左後施療子39Lが左右同じ方向に揺動しながら押し上げられる第1揉みマッサージを行う。この第1揉みマッサージを繰り返し行い、左右のマッサージ部材6R,6Lのひねりマッサージ運動と協働する。
【0234】
このように、左右一対のアーム部材10R,10Lは、臀部、腰部、腿部の裏側などの施療部に対して、前側左右の施療子38R,38Lが押し込み、後側左右の施療子39L,39Rが押し込むことを交互に繰り返す第1揉みマッサージを、左右一対のマッサージ部材6R,6Lのひねりマッサージ運動と協働させることで、効果的なマッサージを施療部に同時に付与することができる。
【0235】
以上、本実施形態の腰部マッサージ機1で「ひねりマッサージ」を行う場合、同位相の揺動と逆位相の揺動で行うことが可能である。
【0236】
図4に示すように、マッサージ部材6とアーム部材10を同位相で揺動させる場合、マッサージ部材6は、腰部に対して左右にひねる「ひねりマッサージ」を行い、アーム部材10は、「ひねりマッサージ」と同位相で、腿部裏に対して押し込む第1揉みマッサージを行う。
【0237】
「ひねりマッサージ」の同位相の動作について、マッサージ部材6が左方向に揺動すると、アーム部材10も同様に左方向に揺動することで同じ方向に協働し、施療子38,39は左方向に揺動しつつ押し上げられる。また、マッサージ部材6が右方向に揺動すると、アーム部材10も同様に右方向に揺動することで同じ方向に協働し、施療子38,39は右方向に揺動しつつ押し上げられる。
【0238】
一方で、図示はしないが、マッサージ部材6とアーム部材10を逆位相で揺動させる場合、マッサージ部材6は、腰部に対して左右にひねる「ひねりマッサージ」を行い、アーム部材10は、「ひねりマッサージ」と逆位相で、腿部に対して挟み込みマッサージを行う。
【0239】
「ひねりマッサージ」の逆位相の動作について、マッサージ部材6が左方向に揺動すると、アーム部材10は反対の右方向に揺動することで逆方向に協働し、施療子38,39
はマッサージ部材6に対して近接離反する。また、マッサージ部材6が右方向に揺動すると、アーム部材10は反対の左方向に揺動することで逆方向に協働し、施療子38,39はマッサージ部材6に対して近接離反する。
【0240】
例えば、右マッサージ部材6Rの前側が右外側に揺動すると、その右マッサージ部材6Rの前側は右前部施療子38R(右アーム部材10Rの前端)から離反し、右マッサージ部材6Rの後側は右後部施療子39R(右アーム部材10Rの後端)に近接する。右マッサージ部材6Rの前側と右前部施療子38Rの間が大きく開き、右腿部(前側)が入り込む。
【0241】
その後、右マッサージ部材6Rの前側が左内側に揺動すると、その右マッサージ部材6Rの前側は右前部施療子38Rに近接し、右マッサージ部材6Rの後側は右後部施療子39Rから離反する。右マッサージ部材6Rの前側と右前部施療子38Rの間は狭まり、右腿部(前側)に対して挟み込みマッサージをする。なおこのとき、右マッサージ部材6Rの後側と右後部施療子39Rの間が大きく開き、右腿部(後側)が入り込む。
【0242】
一方、左マッサージ部材6Lの前側が右内側に揺動すると、その左マッサージ部材6Lの前側は左前部施療子38L(左アーム部材10Lの前端)に近接し、左マッサージ部材6Lの後側は左後部施療子39L(左アーム部材10Lの後端)から離反する。左マッサージ部材6Lの後側と左後部施療子39Lの間が大きく開き、左腿部(後側)が入り込む。
【0243】
その後、左マッサージ部材6Lの前側が左外側に揺動すると、その左マッサージ部材6Lの前側は左前部施療子38Lから離反し、左マッサージ部材6Lの後側は左後部施療子39Lに近接する。左マッサージ部材6Lの後側と左後部施療子39Lの間は狭まり、左腿部(後側)に対して挟み込みマッサージをする。なおこのとき、左マッサージ部材6Lの前側と左前部施療子38Lの間が大きく開き、左腿部(前側)が入り込む。
【0244】
また、右マッサージ部材6Rの前側が左内側に揺動すると、その右マッサージ部材6Rの前側は右前部施療子38R(右アーム部材10Rの前端)に近接し、右マッサージ部材6Rの後側は右後部施療子39R(右アーム部材10Rの後端)から離反する。右マッサージ部材6Rの後側と右後部施療子39Rの間が大きく開き、右腿部(後側)が入り込む。
【0245】
その後、右マッサージ部材6Rの前側が右外側に揺動すると、その右マッサージ部材6Rの前側は右前部施療子38Rから離反し、右マッサージ部材6Rの後側は右後部施療子39Rに近接する。右マッサージ部材6Rの後側と右後部施療子39Rの間は狭まり、右腿部(後側)に対して挟み込みマッサージをする。なおこのとき、右マッサージ部材6Rの前側と右前部施療子38Rの間が大きく開き、右腿部(前側)が入り込む。
【0246】
一方、左マッサージ部材6Lの前側が左外側に揺動すると、その左マッサージ部材6Lの前側は左前部施療子38L(左アーム部材10Lの前端)から離反し、左マッサージ部材6Lの後側は左後部施療子39L(左アーム部材10Lの後端)に近接する。左マッサージ部材6Lの前側と左前部施療子38Lの間が大きく開き、左腿部(前側)が入り込む。
【0247】
その後、左マッサージ部材6Lの前側が右内側に揺動すると、その左マッサージ部材6Lの前側は左前部施療子38Lに近接し、左マッサージ部材6Lの後側は左後部施療子39Lから離反する。左マッサージ部材6Lの前側と左前部施療子38Lの間は狭まり、左腿部(前側)に対して挟み込みマッサージをする。なおこのとき、左マッサージ部材6Lの後側と左後部施療子39Lの間が大きく開き、左腿部(後側)が入り込む。
【0248】
すなわち、マッサージ部材6が右方向(左方向)に揺動すると、アーム部材10は反対の左方向(右方向)に揺動する。離反時にマッサージ部材6と施療子38,39の間が大きく開き、腿部が入り込む。その後、マッサージ部材6と施療子38,39は近接し、腿部に対して挟み込みマッサージをする。この挟み込みマッサージを、左右の腿部に対して交互に行う。
[揉みマッサージ運動]
ここで、使用者は、腰部マッサージ機1に設けられている操作パネル(図示せず)を操
作し、回転駆動軸4の逆回転による、第1マッサージ部5(左右のマッサージ部材6R,6L)の揉みマッサージに切り替える。
【0249】
ただし、本実施形態では、第2マッサージ部9(左右のアーム部材10R,10L)は、例えば左右に並んだ前側施療子38R,38Lを近接させ、その後左右に並んだ後側施療子39R,39Lを近接させることを交互に繰り返す第2揉みマッサージ(第2上下左右運動)を行う。
【0250】
図1図4図7図8などに示すように、駆動部3は駆動し、駆動モータ15の回転駆動力により回転駆動軸4が逆回転方向に回転する。第1マッサージ部5では、回転駆動軸4の逆回転に伴って、第1左変換部7Lは第2左右揺動運動に変換し、左マッサージ部材6Lは右方向に倒れ込んで起き上がる動作をする。
【0251】
第1右変換部7Rは、半回転クラッチ機構8(第1切り替え部8)により、回転駆動軸4が逆回転方向に半回転した分だけ遅れて回転し始める。つまり、第1右変換部7Rでは、回転駆動軸4が逆回転方向に半回転分だけ空転するような状態となる。つまり、第1右回転ボス部23Rの動きが一時止まる。
【0252】
その後、第1右変換部7Rは第1左変換部7Lの回転と同調し、右マッサージ部材6Rは左マッサージ部材6Lと同じ位相で左方向に倒れ込んで起き上がる動作をする。これにより、右マッサージ部材6Rと左マッサージ部材6Lは、同じ位相で左右に近接離反動作をし、互いにお辞儀するような動作をすることにより、左右外側から挟み込む揉みマッサージを行う。
【0253】
図7図8などに示すように、具体的には、回転駆動軸4が逆回転の方向に回転すると、その回転駆動軸4の逆回転方向の成分が第1右回転ボス部23Rに伝達される。第1右回転ボス部23R内において、第1係合ピン32が半円状の第1係合溝部33内を逆回転の周方向に摺動するようになる。回転駆動軸4が逆回転方向(腰部マッサージ機1の前方向)に半回転分だけ空転する。
【0254】
回転駆動軸4が逆回転方向に半回転すると、半回転クラッチ機構8により、第1係合ピン32は他方の接線32bが第1係合溝部33内の第1逆回転切替部36(他方の終端壁36)に係合される。第1右変換部7Rが遅れて動き出して、第1右回転ボス部23Rは、回転駆動軸4の逆回転に伴って、同じ逆回転をする。
【0255】
回転駆動軸4の逆回転成分の回転駆動力が第1右変換部7Rで第2左右揺動運動に変換される。すなわち、第1右変換部7Rの左右揺動運動の位相が、第2左変換部7Lの左右揺動運動の位相と同じ位相の第2左右揺動運動に切り替わる。
【0256】
図4に示すように、右アーム部材10Rは前端を左内方向に揺動させるとともに、左アーム部材10Lは前端を反対の右内方向に揺動させる。右前施療子38Rと左前施療子38Lは、近接する。このとき、右アーム部材10Rの後端は右外方向に揺動し、左アーム部材10Lの後端は反対の左外方向に揺動する。右後施療子39Rと左後施療子39Lは、離反する。
【0257】
その後、右アーム部材10Rは前端を右外方向に揺動させるとともに、左アーム部材10Lは前端を反対の左外方向に揺動させる。右前施療子38Rと左前施療子38Lは、離反する。このとき、右アーム部材10Rの後端は左内方向に揺動し、左アーム部材10Lの後端は反対の右内方向に揺動する。右後施療子39Rと左後施療子39Lは、近接する。
【0258】
このように、第2マッサージ部9では、右アーム部材10Rに設けられた前側施療子38Rと左アーム部材10Rに設けられた前側施療子38Lを近接離反させ、その後、後側施療子39Rと後側施療子39Lを近接離反させながら押し上げる第2揉みマッサージを行い、左右のマッサージ部材6R,6Lの揉みマッサージ運動に合わせて協働する。
【0259】
なお、第1係合ピン32が第1逆回転切替部36に係合されるまで(回転駆動軸4が半回転している間)は、第1左回転ボス部23Lは回転しているが、第1右回転ボス部23Rは一時停止した状態となっている。つまり、左マッサージ部材6Lは左右揺動運動しているが、右マッサージ部材6Rは一時停止した状態となっている。
【0260】
すなわち、右マッサージ部材6Rの動きが半回転クラッチ機構8(第1切り替え部8)
により、第2左右揺動運動の位相に切り替わることにより、左マッサージ部材6Lと同じ左右に近接離反動作をすることで、左マッサージ部材6Lの動きに合わせて、右マッサージ部材6Rは互いにお辞儀するように、同じ位相で左右に近接離反動作をする揉みマッサージを行う。
【0261】
つまり、揉みマッサージは、左右一対のマッサージ部材6を異なる方向に揺動させる。例えば、右マッサージ部材6Rを左方向へ倒れるように揺動させるとともに、左マッサージ部材6Lを右方向へ倒れるように揺動させる。その後、右マッサージ部材6Rを右方向へ起きるように揺動させるとともに、左マッサージ部材6Lを左方向へ起きるように揺動させることを繰り返す。
【0262】
このように、左右一対のマッサージ部材6R,6Lは、左右の腰横部(体側)や左右の腿部などの施療部に対して、左右外側から内側に押し込むように挟み込んで、揉みマッサージ運動を効果的に付与することができる。
【0263】
一方で、第2マッサージ部9では、回転駆動軸4の逆回転に伴って、第2左変換部11Lは第2上下揺動運動に変換し、左アーム部材10Lは一定の位相で上下左右に揺動運動をする。
【0264】
第2右変換部11Rは、第2の半回転クラッチ機構12(第2切り替え部12)により、回転駆動軸4が逆回転方向に半回転した分だけ遅れて回転し始める。つまり、第2右変換部11Rでは、回転駆動軸4が逆回転方向に半回転分だけ空転するような状態となる。つまり、第2右回転ボス部46Rの動きが一時止まる。
【0265】
その後、第2右変換部11Rは第2左変換部11Lの回転と同調し、右アーム部材10Rは左アーム部材10Lと同じ位相で上下左右運動を行う。これにより、右アーム部材10Rと左アーム部材10Lは、前側の施療子38R,38Lを近接させる、または後側の施療子39R,39Lを近接させる揉みマッサージを行う。
【0266】
図11図12などに示すように、具体的には、回転駆動軸4が逆回転の方向に回転すると、その回転駆動軸4の逆回転方向の成分が第2右回転ボス部46Rに伝達される。第2右回転ボス部46R内において、第2係合ピン55が半円状の第2係合溝部56内を逆回転の周方向に摺動するようになる。回転駆動軸4が逆回転方向(腰部マッサージ機1の前方向)に半回転分だけ空転する。
【0267】
回転駆動軸4が逆回転方向に半回転すると、第2の半回転クラッチ機構12により、第2係合ピン55は他方の接線55bが第2係合溝部56内の第2逆回転切替部59(他方の終端壁59)に係合される。第2右変換部11Rが遅れて動き出して、第2右回転ボス部46Rは、回転駆動軸4の逆回転に伴って、同じ逆回転をする。
【0268】
回転駆動軸4の逆回転成分の回転駆動力が第2右変換部11Rで第2上下左右運動に変換される。すなわち、第2右変換部11Rの上下左右運動の位相が、第2左変換部11Lの上下左右運動の位相と同じ位相の第2上下左右運動に切り替わる。
【0269】
右アーム部材10Rの前端が左内側に揺動するとともに、左アーム部材10Lの前端が右内側に揺動することで、右前施療子38Rと左前施療子38Lが近接する。その後、右アーム部材10Rの前端が右外側に揺動するとともに、左アーム部材10Lの前端が左外側に揺動することで、右前施療子38Rと左前施療子38Lが離反する。このとき、右アーム部材10Rの後端が左内側に揺動するとともに、左アーム部材10Lの後端が右内側に揺動することで、右後施療子39Rと左後施療子39Lが近接する。
【0270】
このように、第2マッサージ部9では、前側左右の施療子38R,38Lを近接させ、その後後側左右の施療子39R,39Lを近接させることで、腿部に対して第2揉みマッサージを行い、左右のマッサージ部材6R,6Lの揉みマッサージ運動と協働する。
【0271】
なお、第2係合ピン55が第2逆回転切替部59に係合されるまで(回転駆動軸4が半回転している間)は、第2左回転ボス部46Lは回転しているが、第2右回転ボス部46Rは一時停止した状態となっている。つまり、左アーム部材10Lは上下左右運動しているが、右アーム部材10Rは一時停止した状態となっている。
【0272】
すなわち、右アーム部材10Rの動きが、第2の半回転クラッチ機構12(第2切り替え部12)により、左アーム部材10Lに対して左右方向に近接離反しながら揺動する第
2上下左右運動の位相に切り替わることにより、右前施療子38Rと左前施療子38Lが近接離反し、その後、右後施療子39Rと左後施療子39Lが近接離反する第2揉みマッサージを行う。この第2揉みマッサージを繰り返し行い、左右のマッサージ部材6R,6Lの揉みマッサージ運動と協働する。
【0273】
このように、左右一対のアーム部材10R,10Lは、臀部、腰部、腿部の裏側などの施療部に対して、前側左右の施療子38R,38Lが押し込み、後側左右の施療子39R,39Lが押し込むことを交互に繰り返す第2揉みマッサージを、左右一対のマッサージ部材6R,6Lの揉みマッサージと協働させることで、効果的なマッサージを施療部に同時に付与することができる。
【0274】
まとめると、半回転クラッチ機構8は、回転駆動軸4を正回転させて、第1係合ピン32を第1係合溝部33内の第1正回転切替部35に係合させることで、右マッサージ部材6Rの左右揺動運動の位相と左マッサージ部材6Lの左右揺動運動の位相を、同じ方向に倒れ込む位相に切り替えることができる。
【0275】
これにより、右マッサージ部材6Rと左マッサージ部材6Lがともに左右同じ方向に揺れる動きをすることで、左右の腰横部(体側)や左右の腿部などの施療部に対して、効果的なひねりマッサージを行うことができる。
【0276】
また、第2の半回転クラッチ機構12は、回転駆動軸4を正回転させて、第2係合ピン55を第2係合溝部56内の第2正回転切替部58に係合させることで、右アーム部材10Rの上下左右運動の位相と左アーム部材10Lの上下左右運動の位相を、左右同じ方向に揺動させる位相に切り替えることができる。
【0277】
これにより、右アーム部材10Rと左アーム部材10Lが、前側左右の施療子38R,38Lを左右同じ方向に揺動させ、その後、後側左右の施療子39L,39Rを左右同じ方向に揺動させながら押し込む動きをすることで、臀部、腰部、腿部の裏側などの施療部に対して、効果的な第1揉みマッサージを、第1マッサージ部5のひねりマッサージと同時に付与することができる。
【0278】
さらに、半回転クラッチ機構8は、回転駆動軸4を逆回転させて、第1係合ピン32を第1係合溝部33内の第1逆回転切替部36に係合させることで、右マッサージ部材6Rの左右揺動運動の位相と左マッサージ部材6Lの左右揺動運動の位相を、近接離反する位相に切り替えることができる。
【0279】
これにより、右マッサージ部材6Rと左マッサージ部材6Lが左右方向に近接離反する動きをすることで、左右の腰横部(体側)や左右の腿部などの施療部に対して、効果的な揉みマッサージを行うことができる。
【0280】
また、第2の半回転クラッチ機構12は、回転駆動軸4を逆回転させて、第2係合ピン55を第2係合溝部56内の第2逆回転切替部59に係合させることで、右アーム部材10Rの上下左右運動の位相と左アーム部材10Lの上下左右運動の位相を、近接離反する位相に切り替えることができる。
【0281】
これにより、右アーム部材10Rと左アーム部材10Lが、前側左右の施療子38R,38Lを近接離反させ、その後、後側左右の施療子39R,39Lを近接離反させながら押し込む動きをすることで、臀部、腰部、腿部の裏側などの施療部に対して、効果的な第2揉みマッサージを、第1マッサージ部5の揉みマッサージと同時に付与することができる。
【0282】
すなわち、本発明の切り替え部8(半回転クラッチ機構8)は、回転駆動軸4が正回転と逆回転のいずれかの方向に半回転して、第1係合ピン32が第1係合溝部33内の終端35,36(第1正回転切替部35または第1逆回転切替部36)に係合されると、回転駆動軸4の第1右回転ボス部23Rが、第1左回転ボス部23Lより半回転分遅れて回転し始めることにより、右マッサージ部材6Rの位相をひねりマッサージの位相または揉みマッサージの位相に切り替えることができる。
【0283】
また、第2の切り替え部12(第2の半回転クラッチ機構12)は、回転駆動軸4が正回転と逆回転のいずれかの方向に半回転して、第2係合ピン55が第2係合溝部56内の終端58,59(第2正回転切替部58または第2逆回転切替部59)に係合されると、
回転駆動軸4の第2右回転ボス部46Rが、第2左回転ボス部46Lより半回転分遅れて回転し始めることにより、右アーム部材10Rの上下左右運動(揉みマッサージ)の位相を切り替えて、第1マッサージ部5によるひねりマッサージまたは揉みマッサージに協働させることができる。
【0284】
以上、本実施形態の腰部マッサージ機1で「揉みマッサージ」を行う場合、同位相の揺動と逆位相の揺動で行うことが可能である。
【0285】
図4に示すように、マッサージ部材6とアーム部材10を同位相で揺動させる場合、マッサージ部材6は、腰部に対して左右から挟み込んで揉む「揉みマッサージ」を行い、アーム部材10は、「揉みマッサージ」と同位相で、腿部裏に対して押し込む第2揉みマッサージを行う。
【0286】
「揉みマッサージ」の同位相の動作について、例えば、右マッサージ部材6Rの前端が右外側から左内側(近接する方向)に揺動するとともに後端が左内側から右外側(離反する方向)に揺動すると、右アーム部材10Rも同様に前端が右外側から左内側(近接する方向)に揺動するとともに後端が左内側から右外側(離反する方向)に揺動することで、同じ方向に協働する。右前部施療子38Rは内側に揺動し、右後部施療子39Rは外側に揺動する。
【0287】
左マッサージ部材6Lの前端が左外側から右内側(近接する方向)に揺動するとともに後端が右内側から左外側(離反する方向)に揺動すると、左アーム部材10Lも同様に前端が左外側から右内側(近接する方向)に揺動するとともに後端が右内側から左外側(離反する方向)に揺動することで、同じ方向に協働する。左前部施療子38Lは内側に揺動し、左後部施療子39Lは外側に揺動する。
【0288】
すなわち、前側左右の施療子38R,38Lは近接し、後側左右の施療子39R,39Lは離反する。
【0289】
また、右マッサージ部材6Rの前端が左内側から右外側(離反する方向)に揺動するとともに後端が右外側から左内側(近接する方向)に揺動すると、右アーム部材10Rも同様に前端が左内側から右外側(離反する方向)に揺動するとともに後端が右外側から左内側(近接する方向)に揺動することで、同じ方向に協働する。右前部施療子38Rは外側に揺動し、右後部施療子39Rは内側に揺動する。
【0290】
左マッサージ部材6Lの前端が右内側から左外側(離反する方向)に揺動するとともに後端が左外側から右内側(近接する方向)に揺動すると、左アーム部材10Lも同様に前端が右内側から左外側(離反する方向)に揺動するとともに後端が左外側から右内側(近接する方向)に揺動することで、同じ方向に協働する。左前部施療子38Lは外側に揺動し、左後部施療子39Lは内側に揺動する。
【0291】
すなわち、前側左右の施療子38R,38Lは離反し、後側左右の施療子39R,39Lは近接する。
【0292】
一方で、図示はしないが、マッサージ部材6とアーム部材10を逆位相で揺動させる場合、マッサージ部材6は、腰部に対して左右外側から挟み込んで揉む「揉みマッサージ」を行い、アーム部材10は、「揉みマッサージ」と逆位相で、腿部に対して挟み込みマッサージを行う。
【0293】
「揉みマッサージ」の逆位相の動作について、例えば、右マッサージ部材6Rの前側が右外側に揺動すると、右前部施療子38R(右アーム部材10Rの前端)が右マッサージ部材6Rの前側から離反し、右後部施療子39R(右アーム部材10Rの後端)は右マッサージ部材6Rの後側に近接する。右マッサージ部材6Rの前側と右前部施療子38Rの間が大きく開き、右腿部(前側)が入り込む。
【0294】
その後、右マッサージ部材6Rの前側が左内側に揺動すると、右前部施療子38Rが右マッサージ部材6Rの前側に近接し、右後部施療子39Rは右マッサージ部材6Rの後側から離反する。右マッサージ部材6Rの前側と右前部施療子38Rの間は狭まり、右腿部(前側)に対して挟み込みマッサージをする。なおこのとき、右マッサージ部材6Rの後側と右後部施療子39Rの間が大きく開き、右腿部(後側)が入り込む。
【0295】
同じように、左マッサージ部材6Lの前側が左外側に揺動すると、左前部施療子38L
(左アーム部材10Lの前端)が左マッサージ部材6Lの前側から離反し、左後部施療子39L(左アーム部材10Lの後端)は左マッサージ部材6Lの後側に近接する。左マッサージ部材6Lの前側と左前部施療子38Lの間が大きく開き、左腿部(前側)が入り込む。
【0296】
その後、左マッサージ部材6Lの前側が右内側に揺動すると、左前部施療子38Lが左マッサージ部材6Lの前側に近接し、左後部施療子39Lは左マッサージ部材6Lの後側から離反する。左マッサージ部材6Lの前側と左前部施療子38Lの間は狭まり、左腿部(前側)に対して挟み込みマッサージをする。なおこのとき、左マッサージ部材6Lの後側と左後部施療子39Lの間が大きく開き、左腿部(後側)が入り込む。
【0297】
また、右マッサージ部材6Rの前側が左内側に揺動すると、右前部施療子38R(右アーム部材10Rの前端)が右マッサージ部材6Rの前側に近接し、右後部施療子39R(右アーム部材10Rの後端)は右マッサージ部材6Rの後側から離反する。右マッサージ部材6Rの後側と右後部施療子39Rの間が大きく開き、右腿部(後側)が入り込む。
【0298】
その後、右マッサージ部材6Rの前側が右外側に揺動すると、右前部施療子38Rが右マッサージ部材6Rの前側から離反し、右後部施療子39Rは右マッサージ部材6Rの後側に近接する。右マッサージ部材6Rの後側と右後部施療子39Rの間は狭まり、右腿部(後側)に対して挟み込みマッサージをする。なおこのとき、右マッサージ部材6Rの前側と右前部施療子38Rの間が大きく開き、右腿部(前側)が入り込む。
【0299】
同じように、左マッサージ部材6Lの前側が右内側に揺動すると、左前部施療子38L(左アーム部材10Lの前端)が左マッサージ部材6Lの前側に近接し、左後部施療子39L(左アーム部材10Lの後端)は左マッサージ部材6Lの後側から離反する。左マッサージ部材6Lの後側と左後部施療子39Lの間が大きく開き、左腿部(後側)が入り込む。
【0300】
その後、左マッサージ部材6Lの前側が左外側に揺動すると、左前部施療子38Lが左マッサージ部材6Lの前側から離反し、左後部施療子39Lは左マッサージ部材6Lの後側に近接する。左マッサージ部材6Lの後側と左後部施療子39Lの間は狭まり、左腿部(後側)に対して挟み込みマッサージをする。なおこのとき、左マッサージ部材6Lの前側と左前部施療子38Lの間が大きく開き、左腿部(前側)が入り込む。
【0301】
すなわち、この「揉みマッサージ」の逆位相では、右腿部(前側)と左腿部(前側)に対して同時に挟み込みマッサージをし、その後、右腿部(後側)と左腿部(後側)に対して同時に挟み込みマッサージをする。
【0302】
以上のように、第1マッサージ部5の揺動に対して、第2マッサージ部9の揺動が逆位相としても協働させることが可能である。すなわち、マッサージ部材6の揺動に対してアーム部材10が近接離反する逆位相で揺動させて、マッサージ部材6とアーム部材10を協働させることも可能である。
【0303】
また、アーム部材10に設けられた前側の施療子38、後側の施療子39を起立するように上に向けて配備することで、マッサージ部材6の揺動に対してアーム部材10が近接離反する逆位相で揺動させるときに、マッサージ部材6とアーム部材10の前側の施療子38、後側の施療子39が互いに近接離反することにより、腿部に対して挟み込みマッサージを行うことができるようになる。
【0304】
以上、本発明の腰部マッサージ機1によれば、第1マッサージ部5のマッサージ部材6の揺動運動と、第2マッサージ部9のアーム部材10の揺動運動とを切り替えて協働させることで、使用者の施療部に対して複数のマッサージ動作、例えばひねりマッサージと揉みマッサージを付与することができる。
【0305】
すなわち、本発明の腰部マッサージ機1は、椅子などの座面に載せた上に使用者が座った状態で、ひねりマッサージ、揉みマッサージともに使用することができる。また、本発明の腰部マッサージ機1を床面に置いて、その上に使用者が仰向けに寝た状態でも、ひねりマッサージ、揉みマッサージともに使用することができる。
【0306】
ひねりマッサージについては、腰部マッサージ機1を床面に置いて使用した方が効果的にマッサージ効果を得ることができる。なお、椅子の上で腰部マッサージ機1を使用した
場合では、ひねりマッサージ動作に合わせて使用者の上半身が揺れてしまうが、床面に載置して仰臥して使用する場合は、使用者の上半身が床面との摩擦で固定されるような状態となり、ひねりマッサージが効果的に行われる。つまり、椅子の上で腰部マッサージ機1を使用する場合、揉みマッサージを行うようにすると、施療部にマッサージの効果が付与されるので好ましい。
【0307】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【0308】
例えば、腰部マッサージ機1に備えられているマッサージ部材6の大きさ、回転駆動軸4に対するマッサージ部材6(第1回転ボス部23の第1カム面29)の傾斜角度、左右に一対あるマッサージ部材6の離間距離など、第1マッサージ部5の構成については、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。
【0309】
また、アーム部材10の長さ、回転駆動軸4に対するアーム部材10(第2回転ボス部46の第2カム面52)の傾斜角度、左右に一対あるアーム部材10の離間距離など、第2マッサージ部9の構成については、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。
【0310】
また、第1切り替え部8によるひねりマッサージまたは揉みマッサージと、第2切り替え部12による第1揉みマッサージまたは第2揉みマッサージの協働動作について、本実施形態で例に挙げた協働動作の組み合わせに限定されず、施療部の状況(対象とする部位や、その部位の凝りの度合いなど)を鑑み適宜変更可能である。
【0311】
本発明の腰部マッサージ機は、椅子型マッサージ機の座面に搭載されていてもよいし、使用者の脚部をマッサージするため、椅子型マッサージ機の前側に搭載されていてもよい。すなわち、本発明の腰部マッサージ機は、様々なマッサージ機に搭載可能である。
【符号の説明】
【0312】
1 腰部マッサージ機
2 基台
3 駆動部
4 回転駆動軸
5 第1マッサージ部
6 マッサージ部材
7 第1変換部
8 第1切り替え部(半回転クラッチ機構)
9 第2マッサージ部
10 アーム部材
11 第2変換部
12 第2切り替え部(第2の半回転クラッチ機構)
15 駆動モータ
15a 出力軸
23R 第1右回転ボス部
23L 第1左回転ボス部
24R 第1右環状嵌合部
24L 第1左環状嵌合部
32 第1係合ピン
33 第1係合溝部
35 第1正回転切替部(一方の終端)
36 第1逆回転切替部(他方の終端)
37 第1リング部材
46R 第2右回転ボス部
46L 第2左回転ボス部
47R 第2右環状嵌合部
47L 第2左環状嵌合部
55 第2係合ピン
56 第2係合溝部
58 第2正回転切替部(一方の終端)
59 第2逆回転切替部(他方の終端)
60 第2リング部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14