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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082828
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】貯蔵庫及び貯蔵物排出方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/46 20060101AFI20240613BHJP
   B65G 33/18 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B65G65/46 Z
B65G33/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196959
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】391043505
【氏名又は名称】アイスマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230120499
【弁護士】
【氏名又は名称】藤江 和典
(74)【代理人】
【識別番号】100201385
【弁理士】
【氏名又は名称】中安 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100207206
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 毅
(72)【発明者】
【氏名】秋山 知昭
【テーマコード(参考)】
3F040
3F075
【Fターム(参考)】
3F040BA01
3F040CA03
3F040CA08
3F040EA01
3F040EA03
3F075AA10
3F075BA02
3F075BB01
3F075CA06
3F075CA09
3F075CB14
3F075CC05
3F075DA03
(57)【要約】
【課題】
駆動部品を少なくすることにより、貯蔵庫の大きさの自由度を高めるとともに、貯蔵庫の製造コストを下げる。さらに、貯蔵庫内において貯蔵物によるブリッジが形成されにくい貯蔵庫を実現する。
【解決手段】
粒状物又は粉状物からなる貯蔵物を貯蔵する貯蔵庫10であって、少なくとも壁面15及び床面16からなる貯蔵室14と、貯蔵室の床面の全域を覆うように、かつ回転軸が並行するように設けられた複数の第1のスクリューコンベア21と、複数の第1のスクリューコンベアの下部に、鉛直方向から見て複数の第1のスクリューコンベアと重なるように設けられた第2のスクリューコンベア22と、複数の第1のスクリューコンベア及び第2のスクリューコンベアを駆動する駆動部23,24と、第2のスクリューコンベアの端部又は下部に設けられた貯蔵物の排出口25と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物又は粉状物からなる貯蔵物を貯蔵する貯蔵庫(10)であって、
少なくとも壁面(15)及び床面(16)からなる貯蔵室(14)と、
前記貯蔵室の前記床面の全域を覆うように、かつ回転軸が並行するように設けられた複数の第1のスクリューコンベア(21)と、
前記複数の第1のスクリューコンベアの下部に、鉛直方向から見て前記複数の第1のスクリューコンベアと重なるように設けられた第2のスクリューコンベア(22)と、
前記複数の第1のスクリューコンベア及び前記第2のスクリューコンベアを駆動する駆動部(23,24)と、
前記第2のスクリューコンベアの端部又は下部に設けられた前記貯蔵物の排出口(25)と、を有する、
貯蔵庫。
【請求項2】
前記複数の第1のスクリューコンベアと前記第2のスクリューコンベアとは、前記複数の第1のスクリューコンベアのフィンと前記第2のスクリューコンベアのフィンとが近接するように設けられている、
請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記複数の第1のスクリューコンベアのフィンは、鉛直方向から見て前記第2のスクリューコンベアのフィンの回転半径内まで設けられている、
請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記複数の第1のスクリューコンベアには、鉛直方向から見て前記第2のスクリューコンベアと重なる部分に攪拌用平板(37)が設けられている、
請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記複数の第1のスクリューコンベアのフィンは、鉛直方向から見て前記複数の第1のスクリューコンベアの回転軸と前記第2のスクリューコンベアの回転軸とが交わる交点を挟んでらせん方向が逆になるように設けられている、
請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記第2のスクリューコンベアは、前記複数の第1のスクリューコンベアの中点付近に設けられている、
請求項5記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記第2のスクリューコンベアによる前記貯蔵物の排出量は、前記複数の第1のスクリューコンベアによる前記貯蔵物の集約量よりも大きい、
請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記複数の第1のスクリューコンベアは、前記第2のスクリューコンベアが回転を開始してから所定の時間後に回転を開始する、
請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項9】
さらに、前記排出口から排出された前記貯蔵物を鉛直方向に搬送する第3のスクリューコンベア(26)を有する、
請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項10】
さらに、利用者から入力された情報を受信する入力受信部(13)と、
前記入力された情報が示す前記貯蔵物の要求排出量から前記駆動部の駆動量を決定する駆動量決定部(36)と、を有し、
前記駆動部は、前記駆動量決定部が決定した前記駆動量に基づき、前記複数の第1のスクリューコンベア及び前記第2のスクリューコンベアを駆動して前記要求排出量の前記貯蔵物を排出する、
請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項11】
前記貯蔵物は氷である、
請求項1~10のいずれかに記載の貯蔵庫。
【請求項12】
請求項10記載の貯蔵庫で実行する貯蔵物排出方法であって、
利用者から入力された情報を受信し(S101)
前記入力された情報が示す前記貯蔵物の要求排出量から前記駆動部の駆動量を決定し(S102)、
前記駆動量に基づき、前記要求排出量の前記貯蔵物を排出する(S103)、
貯蔵物排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物又は粉状物からなる貯蔵物を貯蔵する貯蔵庫、及び貯蔵物の排出方法に関し、例えば砕氷やスラリーを貯蔵する貯氷庫、及び砕氷やスラリーの排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鮮魚等の保冷目的で大量の砕氷を使用する場合、製氷機で予め製氷した砕氷を貯蔵しておき、必要時に必要量を取り出す貯氷庫が用いられている。例えば特許文献1の図2のように、貯氷庫の床にスラットコンベア16を設け、スラットコンベア16の終端部上部にクラッシャー12を設けた貯氷庫が開示されている。貯氷庫では、スラットコンベア16上に堆積した砕氷全体をクラッシャー12に向けてスラットコンベア16で送り出し、堆積した砕氷の側面をクラッシャー12で破砕又は解砕し、破砕等した砕氷をスクリューコンベア45で庫外に排出している。
【0003】
しかしながら、特許文献1の構成によれば、複数段からなるクラッシャー12が設けられているので駆動部品が多く、貯氷庫自体を小型化することが難しい。また、クラッシャー12をはじめとする構成部品が多いので、貯氷庫の製造コストを下げにくい。さらに、クラッシャー12で破砕するもスクリューコンベア45で排出しなかった砕氷がスクリューコンベア45の上部に溜まってブリッジを形成してしまうことがあるが、ブリッジにより砕氷がスクリューコンベア45に落下しないことから、ブリッジを取り除かないと砕氷が排出できない。
【0004】
また、特許文献2及び特許文献3のように、クラッシャーを設けない貯氷庫も開示されている。しかし、特許文献2及び特許文献3の貯氷庫では、上段に設けた2本のスクリューコンベアをスクリューコンベアの回転軸と直交する方向に往復移動させる機構が必要であり、より複雑な構造を有している。また、特許文献2では上段のスクリューコンベア5と下段のスクリューコンベア14との間に開口13を有する横長ケーシング12が設けられており、開口13付近でブリッジが形成される可能性があった。特許文献3においては、下段の搬送用スクリューコンベア3が貯氷庫1の外に設けられており、搬送用スクリューコンベア3から取り出せていない氷が溶けて無駄になる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-73568公報
【特許文献2】特開昭61-1972公報
【特許文献3】特開平11-14211公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、駆動部品を少なくすることにより、貯蔵庫の大きさの自由度を高めるとともに、貯蔵庫の製造コストを下げることを目的とする。
さらに望ましくは、貯蔵庫内において貯蔵物によるブリッジが形成されにくい貯蔵庫を実現することを目的とする。
なお、これらの課題は、砕氷に限らず、一般的に粒状物や粉状物にも生じる課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の発明は、粒状物又は粉状物からなる貯蔵物を貯蔵する貯蔵庫(10)であって、
少なくとも壁面(15)及び床面(16)からなる貯蔵室(14)と、
前記貯蔵室の床面の全域を覆うように、かつ回転軸が並行するように設けられた複数の第1のスクリューコンベア(21)と、
前記複数の第1のスクリューコンベアの下部に、鉛直方向から見て前記複数の第1のスクリューコンベアと重なるように設けられた第2のスクリューコンベア(22)と、
前記複数の第1のスクリューコンベア及び前記第2のスクリューコンベアを駆動する駆動部(23,24)と、
前記第2のスクリューコンベアの端部又は下部に設けられた前記貯蔵物の排出口(25)と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の貯蔵庫は、貯蔵室の床面全域を覆うように設けられた複数の第1のスクリューコンベアと、複数の第1のスクリューコンベアと重なるように設けられた第2のスクリューコンベアを有することよって、クラッシャーや移動機構のような駆動部品を設ける必要がないので、貯蔵庫の大きさの自由度が高く、貯蔵庫の製造コストを下げることができる。
また、貯蔵室の床面全域を覆うように設けられた複数の第1のスクリューコンベアと、複数の第1のスクリューコンベアと重なるように設けられた第2のスクリューコンベアを有することよって、貯蔵庫内において貯蔵物によるブリッジが形成されにくい貯蔵庫を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1a】本発明の実施形態1の貯蔵庫の外観斜視図
図1b】本発明の実施形態1の貯蔵庫が有する貯蔵室の外観斜視図
図2】本発明の実施形態1の貯蔵庫の上面断面図
図3】本発明の実施形態1の貯蔵庫の側面断面図
図4】本発明の実施形態1の貯蔵庫の正面断面図
図5】本発明の実施形態1の貯蔵庫における正面方向から見た貯蔵物の動きを示す説明図
図6】本発明の実施形態1の貯蔵庫における上面方向から見た貯蔵物の動きを示す説明図
図7】本発明の実施形態1のフィンの位置関係を説明する図
図8】本発明の実施形態1の貯蔵庫における制御に関する構成を示すブロック図
図9】本発明の実施形態1の貯蔵庫の制御に関する動作を示すフローチャート
図10】本発明の実施形態1の変形例1の貯蔵庫の構成を示す説明図
図11】本発明の実施形態1の変形例2の貯蔵庫の構成を示す説明図
図12】本発明の実施形態1の変形例3の貯蔵庫の構成を示す説明図
図13】本発明の実施形態2の貯蔵庫の第1のスクリューコンベアの構成を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
なお、本発明とは、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された発明を意味するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。また、少なくともかぎ括弧内の語句は、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された語句を意味し、同じく以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
特許請求の範囲の従属項に記載の構成及び方法は、特許請求の範囲の独立項に記載の発明において任意の構成及び方法である。従属項に記載の構成及び方法に対応する実施形態の構成及び方法、並びに特許請求の範囲に記載がなく実施形態のみに記載の構成及び方法は、本発明において任意の構成及び方法である。特許請求の範囲の記載が実施形態の記載よりも広い場合における実施形態に記載の構成及び方法も、本発明の構成及び方法の例示であるという意味で、本発明において任意の構成及び方法である。いずれの場合も、特許請求の範囲の独立項に記載することで、本発明の必須の構成及び方法となる。
【0013】
実施形態に記載した効果は、本発明の例示としての実施形態の構成を有する場合の効果であり、必ずしも本発明が有する効果ではない。
【0014】
複数の実施形態がある場合、各実施形態に開示の構成は各実施形態のみで閉じるものではなく、実施形態をまたいで組み合わせることが可能である。例えば一の実施形態に開示の構成を、他の実施形態に組み合わせてもよい。また、複数の実施形態それぞれに開示の構成を集めて組み合わせてもよい。実施例や変形例についても実施形態と同様である。
【0015】
発明が解決しようとする課題に記載した課題は公知の課題ではなく、本発明者が独自に知見したものであり、本発明の構成及び方法と共に発明の進歩性を肯定する事実である。
【0016】
1.実施形態1
(1)実施形態1の貯蔵庫10の概略構成
本発明の貯蔵庫は、粒状物又は粉状物からなる貯蔵物を貯蔵する貯蔵庫である。以下の実施形態では、貯蔵物が氷や、氷と水の混合物であるスラリーである場合について説明する。この場合、貯蔵庫は貯氷庫と呼ばれるが、本実施形態では貯蔵庫と記載する。氷には、清水を凍らせたものの他、水を溶媒とする溶液を凍らせたもの、例えば炭酸氷や塩水氷の他、果実飲料、清涼飲料、及び酒類を凍らせたものも含まれる。
【0017】
なお、粒状物とは所定の長さを超える粒子から構成される物である。粒状物の例としては、氷、米や麦などの穀物、石、ゴルフボールなどが挙げられ、これらに限らない。また、粉状物とは所定の長さに満たない粒子から構成される物である。粉状物の例として、穀物紛や砂などが挙げられ、これらに限らない。また、粒状物と粉状物の混合である粉粒物も、粒径の定義によって粒状物又は粉状物に分類される。さらに、固体粒子が液体の中に懸濁しているスラリーも、スラリー中に粒状物や粉状物が含まれることから、粒状物又は粉状物といえる。
【0018】
図1(a)は、本実施形態の貯蔵庫10の外観を示す。貯蔵庫10は、側面を外壁11で囲まれた略直方体の形状であり、外壁11には払出口12と入力パネル13(本発明の「入力受信部」に相当)が設けられている。本実施形態では形状は略直方体としたが、形状は任意である。例えば、円形のサイロ状としてもよい。
【0019】
図1(b)は、本実施形態の貯蔵庫10の内部に設けられた貯蔵室14の外観を示す。貯蔵室14は、少なくとも4面の壁面15と床面16からなる。壁面15は、例えばフレームとフレームに設けられた断熱パネルとで構成される。床面16は、鉛直方向から見た貯蔵室14の底面であり、実際の形状は平面又は曲面で構成されるとともに、必要に応じて段差が設けられている。貯蔵室14の外部には、後述の第1の駆動モータ23、第2の駆動モータ24、第3のスクリューコンベア26、及び庫内冷却部35が設けられている。貯蔵室14は貯蔵物を内部に貯蔵するものであるが、貯蔵物が氷やスラリーである場合は貯氷室、あるいは氷貯蔵ボックスや貯氷ボックスと呼ばれる。本実施形態では貯蔵室と記載する。
【0020】
貯蔵物を氷とした場合、貯蔵庫10は、漁船や貨物船等の船舶への氷の積み込み用途、化学工場用途、食品工場用途等の大型の貯氷庫や、自動販売機用途等の中型の貯氷庫が好適である。もっとも小型であってもよい。
【0021】
図1(a)において、A-A矢視断面図を貯蔵庫10の上面断面図(図2)、B-B矢視断面図を貯蔵庫10の側面断面図(図3)、C-C矢視断面図を貯蔵庫10の正面断面図(図4)とし、以下貯蔵庫10の詳細構成を説明する。
【0022】
(2)実施形態1の貯蔵庫10の詳細構成
図2図4を用いて本実施形態の貯蔵庫10の詳細構成を説明する。
本実施形態の貯蔵庫10は、貯蔵室14、第1のスクリューコンベア21、第2のスクリューコンベア22、第1の駆動モータ23、第2の駆動モータ24、排出口25、第3のスクリューコンベア26、庫内冷却部35、及びこれらに関連する構成を有する。
【0023】
複数の第1のスクリューコンベア21は、貯蔵室14の「床面の全域」を覆うように、かつ回転軸が並行するように設けられている。この結果、複数の第1のスクリューコンベア21は、床面の全域に同時に作用する。本実施形態では、5本のスクリューコンベアが、それぞれの回転軸が貯蔵室14の長辺方向となるように、貯蔵室14の短辺方向に隣接して配置されている。第1のスクリューコンベア21は、氷を第2のスクリューコンベア22の直上に集約させるための構成であることから、落とし込みスクリュー、又は落とし込みスクリューコンベアと称してもよい。
ここで、「床面の全域」とは、鉛直方向から見て床面の大部分を占めていれば足りる。また、第1のスクリューコンベアが床面に接しているかどうかは問わない。
【0024】
第1のスクリューコンベア21には、回転軸の外周部にらせん状のフィン(羽根)が形成されている。第1のスクリューコンベア21のフィンは、鉛直方向から見て第1のスクリューコンベア21の回転軸と後述の第2のスクリューコンベア22の回転軸とが交わる交点を挟んで、らせん方向が逆になるように設けられている。
【0025】
第1のスクリューコンベア21の下部には、断面U字状のトラフ27が配置されており、第1のスクリューコンベア21の略下半分を収容している。本実施形態では、鉛直方向から見た場合、トラフ27が貯蔵室14の床面16の大部分を占めている。また、第1のスクリューコンベア21のフィンとトラフ27との間隙の距離は約15~25mmであるが、貯蔵する氷の大きさに応じて決めることができる。すなわち、氷の直径よりも小さな距離とすることで、氷を取りこぼすことなく搬送することができる。また、貯蔵物がスラリーの場合は液体を含んでいるので、間隙は小さい方がよい。なお、間隙がゼロ、すなわち第1のスクリューコンベア21のフィンとトラフ27が接していてもよい。
【0026】
第1のスクリューコンベア21を回転させると、鉛直方向から見て隣接するフィン間(すなわちピッチ)及びトラフ27で形成された空間が第2のスクリューコンベア22の方向に向かって移動するので、当該空間に堆積した氷は第2のスクリューコンベア22付近に集約されるように移動する。つまり、図5のように、貯蔵室14の正面方向から見た場合、貯蔵室14の左右の側から中央に向かって貯蔵室14の下部の氷が第2のスクリューコンベア22の上部に集約される。これに伴い、貯蔵室14の上部の氷が重力を受けて順次貯蔵室14の下部へと沈降する。このような氷の動きによれば、貯蔵室14のいずれの壁面15に対してもほぼ均等な圧力がかかるのみであり、特定の壁面15のみに過剰な圧力がかかることがないので、壁面15の破損を防ぐことができる。また、局所的に過剰な圧力が氷にかかることがないので、ブリッジが形成されなくなる。
【0027】
また、第1のスクリューコンベア21は貯蔵室14の床面全域を覆うように設けているので、図6のように、鉛直方向から見て床面のどの位置の氷も第1のスクリューコンベア21により同時に搬送することが可能となる。すなわち、貯蔵庫10に貯蔵した氷は、いずれかの第1のスクリューコンベア21によって第2のスクリューコンベア22に集約されるように移動する。しかも、第1のスクリューコンベア21とトラフ27との組み合わせにより、隣接する第1のスクリューコンベア21間の氷もトラフ27によりいずれかの第1のスクリューコンベア21に振り分けられる。
【0028】
第2のスクリューコンベア22は、複数の第1のスクリューコンベア21の下部に、鉛直方向から見て複数の第1のスクリューコンベア21と「重なるように」設けられている。本実施形態では、第2のスクリューコンベア22は、複数の第1のスクリューコンベア21の中点付近に設けられている。第2のスクリューコンベア22は、氷を貯蔵庫10の外部に排出するための構成であることから、庫外排出スクリュー、又は庫外排出スクリューコンベアと称してもよい。
ここで、「重なるように」とは、回転軸が交差していればよい。
【0029】
第2のスクリューコンベア22も、第1のスクリューコンベア21と同様、回転軸の外周部にらせん状のフィンが形成されている。ただし、本実施形態では、第2のスクリューコンベア22のフィンは、らせん方向が一方向のみである。必要に応じて第2のスクリューコンベア22の回転方向を逆転できるようにしてもよい。例えば、後述の排出口25を第2のスクリューコンベア22の両端に設けるようにすれば、2か所から氷を排出することができる。
【0030】
第2のスクリューコンベア22の下部にも、断面U字状のトラフ28が配されており、第2のスクリューコンベア22の略下半分を収容している。本実施形態では、鉛直方向から見た場合、トラフ28も貯蔵室14の床面16を構成している。また、第2のスクリューコンベア22のフィンとトラフ28との間隙の距離は約15~25mmであるが、貯蔵する氷の大きさに応じて決めることができる。すなわち、氷の直径よりも小さな距離とすることで、氷を取りこぼすことなく搬送することができる。また、貯蔵物がスラリーの場合は液体を含んでいるので、間隙は小さい方がよい。なお、間隙がゼロ、すなわち第1のスクリューコンベア21のフィンとトラフ28が接していてもよい。
【0031】
第2のスクリューコンベア22を回転させると、鉛直方向から見て隣接するフィン間(すなわちピッチ)及びトラフ28で形成された空間が排出口25の方向に向かって移動するので、当該空間に堆積した氷は排出口25の方向に移動し、排出口25から排出される。第1のスクリューコンベア21や第2のスクリューコンベア22が動作している状態ではもちろん、停止している状態でもフィンの隙間から落下した氷が当該空間に溜まっているので、動作を開始すると同時に氷を排出することができる。
【0032】
上述の通り、第2のスクリューコンベア22は、第1のスクリューコンベア21と重なるように設けているが、フィンに着目した場合、望ましくは、複数の第1のスクリューコンベア21と第2のスクリューコンベア22とは、複数の第1のスクリューコンベア21のフィンと第2のスクリューコンベア22のフィンとが「近接するように」設けられている。例えば、フィン同士が最も近接する場合、第1のスクリューコンベア21のフィンの先端と第2のスクリューコンベア22のフィンの先端との間隔は、5mm~15mmが好ましい。
ここで、「近接するように」とは、第1のスクリューコンベアのフィンと第2のスクリューコンベアのフィンとの間に介在物がないことをいう。
【0033】
あるいは、フィンの回転半径に着目した場合、望ましくは、複数の第1のスクリューコンベア21のフィンは、鉛直方向から見て第2のスクリューコンベア22のフィンの回転半径内まで設けられている。すなわち、図7に示すように、鉛直方向から見て、フィンまで含めた第2のスクリューコンベア22の回転半径rの内部に、第1のスクリューコンベア21のフィンの端部dが位置している。この状態は、鉛直方向から見て、第1のスクリューコンベア21の搬送可能範囲と第2のスクリューコンベア22の搬送可能範囲とが、領域cで重なっている状態ともいえる。
【0034】
このように、本実施形態によれば、鉛直方向から見て第1のスクリューコンベア21と第2のスクリューコンベア22とが重なるように設けられており、さらに、第1のスクリューコンベア21のフィンと第2のスクリューコンベア22のフィンとが近接するように設けられている、若しくは、第1のスクリューコンベア21のフィンは第2のスクリューコンベア22のフィンの回転半径内まで設けられているので、第1のスクリューコンベア21と第2のスクリューコンベア22の間にブリッジが形成されなくなり、仮にブリッジが形成されたとしても、第1のスクリューコンベア21のフィンからブリッジが受ける応力の方向と、第2のスクリューコンベア22のフィンからブリッジが受ける応力の方向とが異なるので、ブリッジに剪断力が働き、ブリッジを砕くことができる。これにより、従来技術のようなクラッシャーは不要となる。
加えて、本実施形態のかかる構成によれば、貯氷室14や貯蔵庫10の高さを低くすることができる。あるいは、貯氷室14の貯蔵量を増やすことができる。
【0035】
また、第1のスクリューコンベア21により集約された氷が第2のスクリューコンベア22の上部で圧縮された状態となっていても、第1のスクリューコンベア21のフィンで圧縮された氷を掻き出すように砕くことができ、排出口25からスムーズに氷を排出することができる。
【0036】
第1の駆動モータ23(本発明の「駆動部」に相当)は、第1のスクリューコンベア21を駆動する。具体的には、第1の駆動モータ23の動力は、減速器29で減速された後、チェーン30及び第1のスクリューコンベア21のそれぞれの端部に設けられたスプロケット31を介してそれぞれの第1のスクリューコンベア21に伝達され、それぞれの第1のスクリューコンベア21が回転する。それぞれの第1のスクリューコンベア21の回転方向は同じ方向でもよいし、隣接する第1のスクリューコンベア21同士は回転方向が互いに逆になるようにしてもよい。回転方向が互いに逆の場合、隣接する第1のスクリューコンベア21のフィンのらせん方向は互いに逆になるように設けられている。
本実施形態では、第1の駆動モータ23は1台であるが、第1の駆動モータ23は複数設けてもよい。例えば、第1のスクリューコンベア21のそれぞれに第1の駆動モータ23を設けるようにしてもよい。
【0037】
第2の駆動モータ24(本発明の「駆動部」に相当)は、第2のスクリューコンベア22を駆動する。具体的には、第2の駆動モータ24の動力は、減速器32で減速された後、チェーン33及び第2のスクリューコンベア22の端部に設けられたスプロケット34を介して第2のスクリューコンベア22に伝達され、第2のスクリューコンベア22が回転する。
【0038】
なお、本実施形態では、第1の駆動モータ23により第1のスクリューコンベア21を、第2の駆動モータ24により第2のスクリューコンベア22を、それぞれ駆動しているが、1台の駆動モータで第1のスクリューコンベア21及び第2のスクリューコンベア22の両方を駆動するようにしてもよい。
【0039】
排出口25は、第2のスクリューコンベア22の端部又は下部に設けられており、排出口25から氷を排出する。例えば、排出口25を第2のスクリューコンベア22の端部に設けた場合は、第2のスクリューコンベア22によって水平方向に排出される。排出口25を第2のスクリューコンベア22の端部の下部に設けた場合は、第2のスクリューコンベア22の端部から落下して排出される。排出口25を第2のスクリューコンベア22の中点付近の下部に設けた場合は、第2のスクリューコンベア22の中点付近から落下して排出される。この場合は、第2のスクリューコンベア22のフィンは、第2のスクリューコンベア15の中点付近を挟んでらせん方向が逆になるように設ければよい。
【0040】
第3のスクリューコンベア26は、排出口25から排出された氷を鉛直方向に搬送する。搬送された氷は、貯蔵庫10の外部に設けられた払出口12から払い出される。第3のスクリューコンベア26も、第2のスクリューコンベア22と同様、回転軸の外周部にらせん状のフィンが形成されている。
【0041】
庫内冷却部35は、貯蔵庫10の内部を循環冷却する装置である。庫内冷却部35によって冷却された空気は、貯蔵庫10の内部や貯蔵室14の内部を循環し、貯蔵庫10の内部を常時適正な温度に維持している。
【0042】
この他、貯蔵室14の上部に、氷を製氷する製氷機、又は製氷機で製氷した氷を投入するための供給口が設けられていてもよい。
【0043】
また、第3のスクリューコンベア26に代えて、任意の搬送手段を用いることができる。
【0044】
(3)実施形態1の貯蔵庫10の制御に関する構成及び動作
(a)制御に関する構成
図8は、本実施形態の貯蔵庫10の制御に関する構成を示すブロック図である。
入力パネル13(本発明の「入力受信部」に相当)は、利用者から「入力された情報」を受信する。入力パネル13は、液晶表示装置の表示面にタッチパネルが設けられており、例えば利用者が氷の排出量をタッチパネルから入力することができる。なお、表示装置と入力装置は別に設けてもよい。
本実施形態では貯蔵庫10は入力パネル13を備えているが、入力パネル13に代えて、あるいは入力パネル13とともに、ICカードリーダや金銭投入口を設けるようにしてもよい。この場合、「入力された情報」は、カードリーダに記載した情報や投入された金銭の額が相当する。
また、入力パネル13に代えて、無線又は有線を用いて遠方操作が可能な入力装置を用いるようにしてもよい。
ここで、「入力された情報」とは、情報そのものが入力される場合の他、利用者の行為が情報と紐づけられている場合の当該行為も含まれる。
【0045】
駆動量決定部36は、入力パネル13から入力された情報が示す氷の要求排出量から第1の駆動モータ23及び第2の駆動モータ24の駆動量を決定する。入力された情報が、氷の排出量、例えば氷の重量や氷の体積である場合は、当該体積や重量を排出するために必要となる第1の駆動モータ23及び第2の駆動モータ24の回転数や回転角を決定する。入力された情報が投入された金銭の額の場合は、当該金銭の額に相当する氷の重量や氷の体積を、金額と氷の量との対応関係を示したテーブル等を用いて求める。そして、決定した駆動量を第1の駆動モータ23及び第2の駆動モータ24に出力する。
【0046】
第1の駆動モータ23及び第2の駆動モータ24は、駆動量決定部36が決定し出力した駆動量に基づき、複数の第1のスクリューコンベア21及び第2のスクリューコンベア22を駆動して、利用者が指示する要求排出量の氷を排出する。
【0047】
(b)制御に関する動作
図9は、本実施形態の貯蔵庫10の制御に関する動作、すなわち氷の払出しに関する動作を示すフローチャートである。
入力パネル13は、利用者から「入力された情報」を受信する(S101)。
駆動量決定部36は、入力パネル13から入力された情報が示す氷の要求排出量から第1の駆動モータ23及び第2の駆動モータ24の駆動量を決定する(S102)。
第1の駆動モータ23及び第2の駆動モータ24は、駆動量決定部36が決定し出力した駆動量に基づき、複数の第1のスクリューコンベア21及び第2のスクリューコンベア22を駆動して、利用者が指示する要求排出量の氷を排出する(S103)。
【0048】
(c)制御に関するその他の事項
複数の第1のスクリューコンベア21による第2のスクリューコンベア22付近への氷の集約量と、第2のスクリューコンベア22による排出口25への氷の排出量は原則同じである。
望ましくは、第2のスクリューコンベア22による氷の排出量は、複数の第1のスクリューコンベア21による氷の集約量よりも大きくしてもよい。これにより、第1のスクリューコンベア21により集約された氷によって発生する第2のスクリューコンベア22に対する負荷を軽減することができる。集約量や排出量は、第1のスクリューコンベア21及び第2のスクリューコンベア22の断面積、回転数、及びフィンのピッチ(間隔)で決まる。
【0049】
本実施形態では、第1のスクリューコンベア21の回転軸に対して直角方向の断面積及は、第2のスクリューコンベア22の回転軸に対して直角方向の断面積と同じである。また、第1のスクリューコンベア21のフィンのピッチと第2のスクリューコンベア22のフィンのピッチは同じである。この場合、第2のスクリューコンベア22の単位時間当たりの回転数を、第1のスクリューコンベア21の単位時間当たりの回転数の10倍以上とすればよい。
あるいは、第2のスクリューコンベア22の断面積を第1のスクリューコンベアの断面積よりも大きくしてもよい。この場合、第2のスクリューコンベア22の単位時間当たりの回転数を下げることができる。
【0050】
氷を排出口25から排出する場合、原則第1のスクリューコンベア21と第2のスクリューコンベア22が同時に回転を開始する。
望ましくは、第1のスクリューコンベア21は、第2のスクリューコンベア22が回転を開始してから所定の時間後に回転を開始するようにしてもよい。例えば、第2のスクリューコンベア22の回転開始から5~10秒後に第1のスクリューコンベア21が回転を開始する。これによれば、第2のスクリューコンベア22のトラフ28上に堆積している氷をまず排出するので、第1のスクリューコンベア21によって第2のスクリューコンベア22上に集約された氷が過剰に圧縮されることがなく、第1のスクリューコンベア21及び第2のスクリューコンベア22に過負荷がかかることを防止できる。そして、第1のスクリューコンベア21により集約された氷をスムーズに2のスクリューコンベア16に受け渡すことができる。
【0051】
あるいは、第1のスクリューコンベア21は、排出口25より遠い側から回転を開始するようにしてもよい。これによれば、第2のスクリューコンベア22が回転することにより、空きができた領域から順に第1のスクリューコンベア21で氷を当該領域に供給することができる。
【0052】
(4)小括
以上、本実施形態に貯蔵庫10は、貯蔵室14の床面全域を覆うように設けられた複数の第1のスクリューコンベア21と、複数の第1のスクリューコンベア21と重なるように設けられた第2のスクリューコンベア22を有することよって、クラッシャーや移動機構のような駆動部品を設ける必要がないので、貯蔵庫10の大きさの自由度が高く、貯蔵庫10の製造コストを下げることができる。加えて、従来のようにクラッシャーを設ける場合は、スクリューコンベア上の空間に貯氷することができなかったが、本実施形態によればクラッシャーを設ける必要がないので、貯蔵室14の空間を無駄なく使用することができる。
【0053】
また、貯蔵室14の床面全域を覆うように設けられた複数の第1のスクリューコンベア21と、複数の第1のスクリューコンベア21と重なるように設けられた第2のスクリューコンベア15を有することよって、貯蔵庫10内において氷によるブリッジが形成されにくい貯蔵庫10を実現することができる。特に、第1のスクリューコンベア21のフィンと第2のスクリューコンベア22のフィンとが近接するように設けられている、若しくは、第1のスクリューコンベア21のフィンは、鉛直方向から見て第2のスクリューコンベア22のフィンの回転半径内まで設けられているので、第1のスクリューコンベア21と第2のスクリューコンベア22との間のスペースが小さいことから氷のブリッジ自体が形成されず、またたとえブリッジが形成されたとしてもフィンが回転することにより、ブリッジがフィンからの力を受けてブリッジを破壊することができる。
【0054】
さらに、本実施形態の貯蔵庫10は、第2のスクリューコンベア22を貯蔵室14の中央付近に設けていることから、氷を貯蔵庫10の外に排出する場合、貯蔵室14の貯蔵物は垂直方向に沈下し、貯蔵室14の特定の壁面15に対して過剰な圧力が加わることがないので、貯蔵庫10の破損を防止することができる。
【0055】
2.実施形態1の変形例
実施形態1では、第2のスクリューコンベア22を、貯蔵室14の長辺の略中央に設けている。以下の変形例では、第2のスクリューコンベア22の位置や数を変えた例を説明する。なお、実施形態1と同様の構成を有する場合は実施形態1と同様の効果を奏するものであり、実施形態1の効果の記載を引用する。
【0056】
(1)変形例1
図10は、本変形例の第1のスクリューコンベア21及び第2のスクリューコンベア22の配置を説明する図である。本変形例では、第2のスクリューコンベア22を、貯蔵室14の長辺の端部、すなわち貯蔵室14の短辺に隣接するように設けている。第1のスクリューコンベア21の配置は実施形態1と同様であるので、図10や以降の変形例の図では1本のみ記載している。
【0057】
この場合においても第1の実施形態と同様、第2のスクリューコンベア22は、複数の第1のスクリューコンベア21の下部に、鉛直方向から見て複数の第1のスクリューコンベア21と重なるように設けられている。この場合、第1のスクリューコンベア21のフィンのらせん方向は、第1のスクリューコンベア21の全長にわたり一方向に設けられている。
【0058】
本変形例では、貯蔵室14の下部の氷は、図10の矢印で示すように、第1のスクリューコンベア21によって第2のスクリューコンベア22の直上まで搬送される。
【0059】
本変形例の貯蔵庫10によれば、簡単な構成で貯蔵庫10を実現することができる。
【0060】
(2)変形例2
本変形例では、第2のスクリューコンベア22を複数本設ける例を示す。
図11(a)の貯蔵庫10では、第2のスクリューコンベア22を、貯蔵室14の長辺の端部の両側、すなわち貯蔵室14の両側の短辺に隣接するように設けられている。
図11(b)の貯蔵庫10では、第2のスクリューコンベア22を、貯蔵室14の長辺の略中央付近に並べて2本設けられている。2本の第2のスクリューコンベア22は、互いに逆方向に回転するように、かつ氷を2本の第2のスクリューコンベア22の間に巻き込む方向で回転するようにすることが望ましい。この場合、2本の第2のスクリューコンベア22のフィンのらせん方向は、お互い逆にすればよい。
図11(c)の貯蔵庫10では、第2のスクリューコンベア22を、貯蔵室14の長辺の端部の両側、及び貯蔵室14の長辺の中央付近に、合計3本設けられている。
【0061】
それぞれの例において、第1のスクリューコンベア21のフィンのらせん方向は、図11(a)(b)(c)の矢印方向に氷が搬送されるように設けている。
【0062】
本変形例の貯蔵庫10によれば、複数の第2のスクリューコンベア22を有しているので、短時間に大量の氷を排出することができる。また、壁面15に対して過剰な圧力が加わることを防止できる。
【0063】
(3)変形例3
本変形例では、第2のスクリューコンベア22を、複数の第1のスクリューコンベア21に対して斜めに設ける例を示す。
図12の貯蔵庫10では、第2のスクリューコンベア22を、複数の第1のスクリューコンベア21に対して斜めに設けている。第1のスクリューコンベア21のらせん方向は、図12の矢印方向に氷が搬送されるように設けている。
【0064】
本変形例の貯蔵庫10によれば、第2のスクリューコンベア22が第1のスクリューコンベア21に対して斜めに設けられているので、第2のスクリューコンベア22の長さを長くとることができることから、より多くの氷を排出することができる。
【0065】
3.実施形態2
実施形態1では、第1のスクリューコンベア21にフィンを設けた例を説明した。
本実施形態では、第1のスクリューコンベア21にフィンと攪拌用平板37を設けた例を説明する。
【0066】
図13(a)(b)は、それぞれ、第2の実施形態の貯蔵庫10の第1のスクリューコンベア21の平面図及び斜視図である。本実施形態では、第1のスクリューコンベア21には、鉛直方向から見て第2のスクリューコンベア22と重なる部分に攪拌用平板37が設けられている。例えば図13のように、第1のスクリューコンベア21の中央付近に、左右のフィンに延設するように、第1のスクリューコンベア21の回転軸に平行に接するように、2枚の攪拌用平板37が設けられている。
【0067】
視点を変えると、攪拌用平板37は、複数の第1のスクリューコンベア21に、鉛直方向から見て第2のスクリューコンベア22のフィンの回転半径内に設けられているともいえる。
【0068】
なお、攪拌用平板37は、フィンから延設することなく独立して設けてもよい。また、攪拌用平板37は、2枚以上設けてもよい。さらに、攪拌用平板37は、第1のスクリューコンベア21の回転軸に対して斜めに接するように設けられてもよい。
【0069】
本実施形態では、攪拌用平板37を設けることにより、第1のスクリューコンベア21と第2のスクリューコンベア22の間にブリッジが形成されなくなり、仮にブリッジが形成されたとしても、攪拌用平板37によりブリッジを砕くことができる。
また、第1のスクリューコンベア21により集約された氷が第2のスクリューコンベア22の上部で圧縮された状態であっても、攪拌用平板37で圧縮された氷を取り除くことができ、排出口25からスムーズに氷を排出することができる。
【0070】
4.総括
以上、本発明の実施形態における貯蔵庫の特徴について説明した。
各実施形態や変形例で使用した用語は例示であるので、同義の用語、あるいは同義の機能を含む用語に置き換えてもよい。
実施形態の説明に用いたブロック図は、装置の構成を機能毎に分類及び整理したものである。それぞれの機能を示すブロックは、ハードウェア又はソフトウェアの任意の組み合わせで実現される。また、機能を示したものであることから、かかるブロック図は方法の発明、及び当該方法を実現するプログラムの発明の開示としても把握できるものである。
実施形態に記載した処理、フロー、及び方法として把握できる機能ブロック、については、一のステップでその前段の他のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えてもよい。
実施形態、及び特許請求の範囲で使用する、第1、第2、乃至、第N(Nは整数)、の用語は、同種の2以上の構成や方法を区別するために使用しており、順序や優劣を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の貯蔵庫は、氷だけでなく、氷以外の粉状物や粒状物の貯蔵及び排出にも用いることができる。
【符号の説明】
【0072】
10:貯蔵庫、11:外壁、12:払出口、13:入力パネル、14:貯蔵室、15:側壁、16:床面、21:第1のスクリューコンベア、22:第2のスクリューコンベア、23:第1の駆動モータ、24:第2の駆動モータ、25:排出口、26:第3のスクリューコンベア、27,28:トラフ、29,32:減速器、30,33:チェーン、31,34:スプロケット、35:庫内冷却部、36:駆動量決定部、37:攪拌用平板
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13