(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082839
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ゴム部材の冷却装置及びゴム部材の冷却方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/88 20190101AFI20240613BHJP
F25D 3/11 20060101ALI20240613BHJP
B29C 48/92 20190101ALI20240613BHJP
B29C 48/07 20190101ALI20240613BHJP
B29C 48/305 20190101ALI20240613BHJP
B29C 48/355 20190101ALI20240613BHJP
B29K 21/00 20060101ALN20240613BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20240613BHJP
【FI】
B29C48/88
F25D3/11 A
B29C48/92
B29C48/07
B29C48/305
B29C48/355
B29K21:00
B29L7:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196989
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 淳志
【テーマコード(参考)】
3L044
4F207
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA09
3L044CA12
3L044DB02
3L044FA06
3L044HA01
3L044HA03
3L044JA01
3L044KA03
3L044KA04
4F207AA45
4F207AG02
4F207AH20
4F207AJ08
4F207AK02
4F207AP05
4F207AR06
4F207AR14
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK55
4F207KK74
4F207KM06
4F207KM16
(57)【要約】
【課題】 ゴム部材の冷却制御が容易なゴム部材の冷却装置及びゴム部材の冷却方法を提供する。
【解決手段】 ゴム部材の冷却装置は、押出装置から連続して押し出されるゴム部材と前記ゴム部材を冷却する冷却水とが収容される水槽と、冷却水を前記水槽に供給する供給部と、前記水槽に貯留された冷却水の水温を測定する測定部と、前記供給部から供給される冷却水の供給量又は水温を調整可能な調整部と、前記測定部で測定される水温を設定水温に近づけるように前記調整部を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出装置から連続して押し出されるゴム部材と前記ゴム部材を冷却する冷却水とが収容される水槽と、
冷却水を前記水槽に供給する供給部と、
前記水槽に貯留された冷却水の水温を測定する測定部と、
前記供給部から供給される冷却水の供給量又は水温を調整可能な調整部と、
前記測定部で測定される水温を設定水温に近づけるように前記調整部を制御する制御部と、を備える、ゴム部材の冷却装置。
【請求項2】
前記測定部は、前記ゴム部材の入水位置と退水位置との中間点よりも下流側に設けられている、請求項1に記載のゴム部材の冷却装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記ゴム部材と実質的に同じ高さで冷却水の水温を測定する、請求項1に記載のゴム部材の冷却装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記供給部から供給される冷却水の供給量を調整可能な供給量調整部と、前記供給部から供給される冷却水の水温を調整可能な水温調整部と、を備える、
請求項1~3の何れか1項に記載のゴム部材の冷却装置。
【請求項5】
押出装置から連続して押し出されるゴム部材を水槽に貯留された冷却水で冷却する、ゴム部材の冷却方法であって、
前記水槽に供給される冷却水の供給量又は水温を制御して、前記水槽に貯留された冷却水の水温を設定水温に近づける、ゴム部材の冷却方法。
【請求項6】
前記水槽に貯留された冷却水の水温を前記ゴム部材の入水位置と退水位置との中間点よりも下流側で測定する、請求項5に記載のゴム部材の冷却方法。
【請求項7】
前記水槽に貯留された冷却水の水温を前記ゴム部材と実質的に同じ高さで測定する、請求項5に記載のゴム部材の冷却方法。
【請求項8】
前記水槽に供給される冷却水の供給量及び水温の両方を制御して、前記水槽に貯留された冷却水の水温を前記設定水温に近づける、請求項5~7の何れか1項に記載のゴム部材の冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴム部材の冷却装置及びゴム部材の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、押出装置から押し出された帯状のゴム部材を冷却する冷却装置が知られている。特許文献1には、搬送中のゴム部材に冷却水を噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルをゴム部材の幅方向に移動させるノズル移動手段と、ゴム部材の複数位置の温度を測定する温度測定手段と、温度測定手段で測定した測定温度に基づいてノズル移動手段を制御する制御手段と、を備えた、ゴム部材の冷却装置が開示されている。
【0003】
上記冷却装置の制御手段は、測定温度の高い位置への冷却水の噴射量が測定温度の低い位置への冷却水の噴射量よりも多くなるように噴射ノズルを移動させる冷却制御を行っている。これにより、ゴム部材を短時間で効率良く冷却可能と記載されている。しかしながら、ゴム部材の測定位置によっては、ゴム部材の表面に形成された凹凸などによりゴム部材の温度を正確に測定できない恐れがある。そのため、測定温度をもとに冷却水の噴射量を調整する冷却制御は容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、ゴム部材の冷却制御が容易なゴム部材の冷却装置及びゴム部材の冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のゴム部材の冷却装置は、押出装置から連続して押し出されるゴム部材と前記ゴム部材を冷却する冷却水とが収容される水槽と、冷却水を前記水槽に供給する供給部と、前記水槽に貯留された冷却水の水温を測定する測定部と、前記供給部から供給される冷却水の供給量又は水温を調整可能な調整部と、前記測定部で測定される水温を設定水温に近づけるように前記調整部を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本開示のゴム部材の冷却方法は、押出装置から連続して押し出されるゴム部材を水槽に貯留された冷却水で冷却する、ゴム部材の冷却方法であって、前記水槽に供給される冷却水の供給量又は水温を制御して、前記水槽に貯留された冷却水の水温を設定水温に近づける。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のゴム部材の製造装置の一例を示す概略図
【
図3】水槽に供給される冷却水の供給量の調整処理例を示すフローチャート
【
図4】水槽に供給される冷却水の水温の調整処理例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
まずは、ゴム部材の冷却装置1を有するゴム部材の製造装置10の一例について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、ゴム部材の製造装置10の一例を示す概略図である。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
ゴム部材の製造装置10は、ゴム部材Gを連続して押し出す押出装置11と、押し出されたゴム部材Gを搬送する搬送装置12と、ゴム部材Gを冷却する冷却装置1と、ゴム部材Gを所定の長さでカットする不図示のカット装置と、備えている。製造装置10は、カット装置によってカットされたゴム部材Gを巻き取る巻取装置を備えていてもよい。
【0011】
押出装置11は、ゴム材料が投入される不図示のホッパーと、ゴム材料に熱を与えながら押し出す不図示のスクリューと、ゴム部材Gが押し出される開口を有する口金111と、を備える。押出装置11によるゴム部材Gの押出量は、スクリューの回転速度によって制御される。口金111の開口は、例えば、断面台形状に形成されている。ゴム部材Gは、長尺状に押し出されている。ゴム部材Gとしては、例えば、タイヤの成形に用いられるトレッドゴム、サイドウォールゴムやビードフィラーゴムなどが挙げられる。
【0012】
搬送装置12は、ゴム部材Gを搬送する複数の搬送部121と、ゴム部材Gの搬送をガイドするガイドローラ122と、を備えている。
図1においては、搬送部121がベルトコンベヤである例を示しているが、これに限られない。例えば、搬送部121は、ローラコンベヤや複数種のコンベヤを組み合わせたものであってもよい。搬送装置12において、上流側は押出装置11側を示し、下流側は押出装置11と反対側を示す。
【0013】
[ゴム部材の冷却装置]
次に、ゴム部材の冷却装置1について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図2は、
図1のII-II線断面図である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、冷却装置1は、ゴム部材Gとゴム部材Gを冷却する冷却水とが一時的に収容される水槽2と、冷却水を水槽2に供給する供給部3と、水槽2に収容(貯留)された冷却水(貯留水ともいう)の水温を測定する測定部4(貯留水温測定部4ともいう)と、供給部3から供給される冷却水(供給水ともいう)の供給量又は水温を調整可能な調整部5と、測定部4で測定される水温を設定水温に近づけるように調整部5を制御する制御部6(
図2参照)と、を備える。
【0015】
斯かる構成によれば、ゴム部材Gが貯留水によって水槽2内で冷却される。そして、貯留水の水温が設定水温となるように制御することによって、貯留水の水温を一定に保つことができ、ゴム部材Gの冷却を安定させることができる。このように、供給水の供給量又は水温を制御することによってゴム部材Gの冷却を安定させることができるので、ゴム部材Gの冷却制御が容易である。また、貯留水の水温に基づいて供給水の供給量又は水温を調整可能とすることにより、供給水の供給量や水温が常に一定の冷却装置よりもゴム部材Gの冷却能力を高めることができる。
【0016】
水槽2は、搬送装置12の搬送方向に沿って設けられている。水槽2は、長手方向に長い箱状に形成されている。
図1においては、水槽2が1つ設けられた例を示しているが、これに限られない。例えば、水槽2は、上下方向に複数設けられていてもよい。
【0017】
水槽2は、不図示のオーバーフロー孔を備えている。これにより、水槽2に供給水が供給されることによって、貯留水の水位が一定に保たれる。オーバーフロー孔は、水槽2の側壁に設けられている。なお、水槽2の底壁に排出孔を設け、排出孔から貯留水を排出してもよい。
【0018】
複数の搬送部121のうち一部は、水槽2に収容されていることが好ましい。搬送部121のうち、ゴム部材Gを貯留水に入水させる搬送部121を第1搬送部121aとし、貯留水に入水させたゴム部材Gを搬送する搬送部121を第2搬送部121bとし、水中のゴム部材Gを退水させる搬送部121を第3搬送部121cとする。搬送方向の上流側から第1搬送部121a、第2搬送部121b、第3搬送部121cの順に配置されている。
【0019】
第1搬送部121aは、搬送方向の下流側に向かって下方向に傾斜して設けられている。本実施形態においては、第1搬送部121aの下流側部が水槽2に収容されている。即ち、第1搬送部121aの下流側部が貯留水に浸かっているが、これに限られない。
【0020】
第2搬送部121bは、水槽2に収容されている。第2搬送部121bは、貯留水に沈設されている。第2搬送部121bは、ゴム部材Gの上面が貯留水に浸からない位置に設けられていることが好ましい。これにより、ゴム部材Gの上面に供給水を吹きかける(垂らす)ことによって、ゴム部材Gの上面と接触した供給水の一部が気化し、気化熱によってゴム部材Gが冷却される。その結果、例えば、貯留水にゴム部材Gを完全に浸けた場合よりもゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。
【0021】
第2搬送部121bは、複数設けられている。本実施形態において、複数の第2搬送部121bは、1列に設置されているが、これに限られない。例えば、複数の第2搬送部121bは、上下方向に複数段となるように設置されていてもよい。第2搬送部121bは、水槽2の側壁又は底壁に固定されている。
【0022】
第3搬送部121cは、搬送方向の下流側に向かって上方向に傾斜して設けられている。本実施形態においては、第3搬送部121cの上流側部が水槽2に収容されている。即ち、第3搬送部121cの上流側部が貯留水に浸かっているが、これに限られない。
【0023】
供給部3は、ゴム部材Gの搬送方向に沿って複数設けられていることが好ましい。
図1においては、供給部3が4つ設けられた例を示しているが、これに限られない。例えば、供給部3は、1つであってもよい。
図2においては、供給部3が搬送方向に沿って1列に設けられた例を示しているが、これに限られない。例えば、供給部3は、搬送方向に沿って2列設けられていてもよい。
【0024】
供給部3は、入水したゴム部材G(第2搬送部121b)の上方に設けられていることが好ましい。これにより、上面が貯留水に浸からないようにゴム部材Gが搬送されている場合、上述したように気化熱でゴム部材Gを冷却できる。なお、供給部3は、水槽2の側壁側又は底壁側から水槽2に供給水を供給する構成であってもよい。
【0025】
供給部3は、供給水が貯留される供給槽31(
図2参照)と、供給水を供給する供給ノズル32と、供給槽31と供給ノズル32とを接続する供給管33と、を備えている。供給槽31は、複数設けられていてもよく、1つであってもよい。
図2においては、供給槽31が水槽2の上方に設けられた例を示しているが、これに限られない。供給管33は、他の供給部3の供給管33と接続されていてもよく、非接続であってもよい。
【0026】
供給ノズル32は、供給水を噴射する噴射ノズルであることが好ましい。これにより、1つの供給ノズル32でゴム部材Gの広範囲に供給水を吹きかけることができる。噴射ノズルは、圧縮空気や油圧により供給水を噴射する周知の構造である。なお、供給ノズル32は、供給水を垂らす構造であってもよい。
【0027】
供給ノズル32は、複数設けられていることが好ましい。
図1においては、1つの供給部3に対して供給ノズル32が3つ設けられた例を示しているが、これに限られない。例えば、供給ノズル32は、1つの供給部3に対して1つであってもよい。
図2においては、供給ノズル32が搬送方向に沿って1列に設けられている例を示しているが、これに限られない。例えば、供給ノズル32は、搬送方向に沿って2列設けられていてもよい。
【0028】
測定部4は、水温センサである。水温センサとしては、例えば、サーミスタなどを用いることができる。測定部4は、水槽2の側壁や底壁などに取り付けられる。
図2においては、測定部4が1つである例を示しているが、これに限られない。例えば、測定部4は、複数(例えば、供給部3と同数)設けられていてもよい。その場合、各測定部4で測定した水温によって、各供給部3から供給される供給水の供給量をそれぞれ調整してもよい。また、各測定部4で測定した平均水温をもとに供給水の供給量及び/又は水温を調整してもよい。
【0029】
測定部4は、
図1のゴム部材Gの入水位置P1と退水位置P2との中間点よりも下流側に設けられていることが好ましい。これにより、入水位置P1側よりも冷却水の水温変化が緩やかな位置に測定部4を設けることによって、測定部4が外れ値(異常値)を測定することを抑制できる。その結果、調整部5によって貯留水の水温を設定水温に近づけやすくなり、ゴム部材Gの温度を所定の温度まで冷却する制御を精度良く行うことができる。本実施形態において、測定部4は、退水位置P2の近くに設けられている。具体的には、測定部4は、後述する第4供給部3dの下方に設けられているが、これに限られない。
【0030】
測定部4は、ゴム部材Gと実質的に同じ高さに設けられていることが好ましい。測定部4は、ゴム部材Gと実質的に同じ高さで貯留水の水温を測定することが好ましい。これにより、ゴム部材Gと実質的に同じ高さの貯留水の水温を設定水温に近づけることができる。その結果、ゴム部材Gの温度を所定の温度まで冷却する制御を精度良く行うことができる。
【0031】
調整部5は、供給水の供給量を調整可能な供給量調整部51及び/又は供給水の水温を調整可能な水温調整部52(
図2参照)を備えている。調整部5は、供給量調整部51及び水温調整部52の両方を備えていることが好ましい。これにより、貯留水の水温を供給量調整部51及び水温調整部52の両方で調整することができる。その結果、供給水の供給量及び水温のうちどちらか一方のみで調整する場合よりも貯留水の水温を設定水温に近づけやすくなり、ゴム部材Gの温度を所定の温度まで冷却する制御を精度良く行うことができる。
調整部5が供給量調整部51のみを備える場合、供給水の水温は、貯留水の設定水温よりも低い水温で維持される。
【0032】
供給量調整部51は、バルブ511を備えている。バルブ511は、供給管33に設けられている。これにより、バルブ511の開口度を変更することによって、供給水の供給量を調整することができる。
【0033】
バルブ511は、複数設けられていることが好ましい。複数のバルブ511の開口度は、それぞれ同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。例えば、上流側の供給部3に設けられたバルブ511の開口度を、下流側の供給部3に設けられたバルブ511の開口度よりも大きくしてもよい。
【0034】
バルブ511は、各供給部3のそれぞれの供給管33に設けられていることが好ましい。これにより、各供給部3のバルブ511を開閉することによって、供給水を供給する供給部3の数を変更することができ、水槽2に供給される供給水の供給量を調整することができる。
図1に示す供給部3を上流側から順に、第1供給部3a、第2供給部3b、第3供給部3c、第4供給部3dとし、各供給部3a~3dに設けられたバルブ511をそれぞれ第1バルブ511a、第2バルブ511b、第3バルブ511c、第4バルブ511dとする。例えば、第1バルブ511a~第3バルブ511cを開状態とし、第4バルブ511dを閉状態とすることによって、供給水の供給量が減少する。なお、バルブ511は、各供給ノズル32ごとに設けられていてもよい。
【0035】
図2に示すように、水温調整部52は、供給水の水温を測定する供給水温測定部521と、供給水の水温を調整可能な調整器522と、調整器522に冷却水を流入させる流入管523と、調整器522で調整した冷却水が流れ出る流出管524と、を備えていることが好ましい。なお、水温調整部52は、調整器522を備えていない、という構成であってもよい。その場合、公知の冷却手段によって所定の水温に冷却された供給水が供給槽31に貯留される。また、水温調整部52は、設定水温よりも水温が高い冷却水と設定水温よりも水温が低い冷却水とを混ぜる(又は切り替える)ことによって供給水の水温を調整する構成であってもよい。
【0036】
供給水温測定部521は、水温センサである。水温センサとしては、例えば、サーミスタなどを用いることができる。
図2においては、供給水温測定部521が供給槽31の側壁に設けられた例を示しているが、これに限られない。例えば、供給水温測定部521は、供給管33に設けられていてもよい。
【0037】
調整器522は、例えば、熱交換器である。熱交換器としては、例えば、水冷式熱交換器や空冷式熱交換器などが挙げられる。調整器522が水冷式熱交換器である場合、調整器522は、供給水温測定部521で測定した供給水の水温によってチラー水の水量を増減させて供給水の水温を調整する。例えば、調整器522は、チラー水の水量を減らして供給水の水温を上げ、チラー水の水量を増やして供給水の水温を下げる。
【0038】
流入管523は、水槽2のオーバーフロー孔と直接又は間接的に接続されていることが好ましい。これにより、水槽2からオーバーフローした貯留水を供給水として利用することができる。
図2においては、流入管523がオーバーフロー孔に直接接続された例を示しているが、これに限られない。例えば、流入管523は、オーバーフローした貯留水を溜める槽に接続されていてもよい。また、流入管523は、供給槽31と接続されていてもよい。
【0039】
流出管524は、供給槽31と接続されているが、これに限られない。例えば、流出管524は、供給管33と接続されていてもよい。
【0040】
制御部6は、バルブ511を制御するバルブ制御部61及び/又は調整器522を制御する調整器制御部62を備えている。制御部6は、バルブ制御部61及び調整器制御部62の両方を備えていることが好ましい。
【0041】
バルブ制御部61は、測定部4で測定した貯留水の水温に基づいてバルブ511の開口度(0~100%)を制御している。貯留水の水温が設定水温よりも低い場合(例えば、貯留水の水温が12度、設定水温が13度である場合)、バルブ制御部61は、貯留水の水温測定時よりもバルブ511の開口度を小さくする。即ち、貯留水の水温測定時よりも供給水の供給量を少なくする。これにより、ゴム部材Gの熱によって貯留水の水温が上がる。
【0042】
貯留水の水温が設定水温よりも高い場合(例えば、貯留水の水温が14度、設定水温が13度である場合)、バルブ制御部61は、貯留水の水温測定時よりもバルブ511の開口度を大きくする。即ち、貯留水の水温測定時よりも供給水の供給量を多くする。これにより、供給水によって貯留水の水温が下がる。貯留水の水温が設定水温と同じである場合、バルブ制御部61は、貯留水の水温測定時におけるバルブ511の開口度を維持する。
【0043】
調整器制御部62は、測定部4で測定した貯留水の水温に基づいて調整器522を制御している。貯留水の水温が設定水温よりも低い場合、調整器制御部62は、供給水の水温が設定水温よりも高くなるように調整器522を制御する。例えば、貯留水の水温が12度、設定水温が13度である場合、調整器制御部62は、供給水の水温が14度となるように調整器522を制御する。
【0044】
貯留水の水温が設定水温よりも高い場合、調整器制御部62は、供給水の水温が設定水温よりも低くなるように調整器522を制御する。例えば、貯留水の水温が14度、設定水温が13度である場合、調整器制御部62は、供給水の水温が12度となる調整器522を制御する。貯留水の水温が設定水温と同じである場合、調整器制御部62は、貯留水の水温測定時から供給水の温度が変化しないように調整器522を制御する。
【0045】
貯留水の設定水温は、12度を超えていることが好ましい。これにより、ゴム部材Gの製造エリアが高温多湿であった場合でもゴム部材Gの表面に結露が生じることを抑制でき、ゴム製品にエア入りが生じることを抑制できる。表面に結露が生じたゴム部材Gを加硫すると、ゴム部材Gと他のゴム部材との間に入り込んだ結露によってエア入りが生じる恐れがあるためである。
【0046】
貯留水の設定水温は、14度未満であることが好ましい。これにより、ゴム部材Gの水槽2内での冷却効果を高めることができ、ゴム部材Gの退水後の収縮を抑制できる。これにより、カット後におけるゴム部材Gの収縮を抑制でき、ゴム部材Gの均一性(例えば、タイヤのユニフォミティバランス)の悪化を抑制できる。カット後にゴム部材Gが収縮すると、そのゴム部材Gの長手方向の中央部と端部とで収縮量が異なり、ゴム部材Gの厚みが不均一になるためである。設定水温は、13度であることがより好ましい。
【0047】
冷却装置1は、設定水温を入力可能な入力部を備えていてもよい。また、設定水温は、予め設定された水温であってもよい。設定水温は、ゴム部材Gの製造エリアの気温や室温などによって可変であってもよい。設定水温は、ゴム部材Gの成形条件を一定にする観点から、常に同じであることが好ましい。
【0048】
[ゴム部材の冷却方法]
次に、ゴム部材の冷却方法について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0049】
まずは、
図1に示すように、押出装置11から連続して押し出されたゴム部材Gを水槽2に貯留された冷却水(貯留水)に入水させる。次に、入水から所定時間経過後のゴム部材Gを貯留水から退水させる。本実施形態において、ゴム部材Gは、搬送装置12による搬送中に冷却装置1によって冷却される。ゴム部材Gは、水槽2(貯留水)内において一定速度で搬送されるが、これに限られない。例えば、ゴム部材Gは、水槽2(貯留水)内で一時的に停止され、所定時間経過後に搬送が再開されてもよい。
【0050】
ゴム部材の冷却方法においては、水槽2に供給される冷却水(供給水)の供給量又は水温を制御することによって、貯留水の水温を設定水温に近づける。貯留水の水温は、ゴム部材Gの入水位置P1と退水位置P2との中間点よりも下流側で測定されることが好ましい。貯留水の水温は、ゴム部材Gと実質的に同じ高さで測定されることが好ましい。
【0051】
貯留水の水温を供給水の供給量で調整した場合の処理について説明する。
図3は、供給水の供給量の調整処理例を示すフローチャートである。
【0052】
図3に示すように、まずは、貯留水の水温T1を測定する(S11)。次に、水温T1が設定水温T0よりも高いか否かを制御部6で判断する(S12)。水温T1が設定水温T0よりも高い場合、水温T1の測定時よりも供給水の供給量を多くする(S13)。S12において水温T1が設定水温T0よりも高くないと判断した場合、水温T1が設定水温T0よりも低いか否かを制御部6で判断する(S14)。水温T1が設定水温T0よりも低い場合、水温T1の測定時よりも供給水の供給量を少なくする(S15)。S14において水温T1が設定水温T0よりも低くないと判断した場合、水温T1の測定時から供給水の供給量を変化させない。なお、S12における判断とS14における判断との順番を入れ換えてもよい。
【0053】
貯留水の水温を供給水の水温で調整した場合の処理について説明する。
図4は、供給水の水温の調整処理例を示すフローチャートである。
【0054】
図4に示すように、まずは、貯留水の水温T1を測定する(S21)。次に、水温T1が設定水温T0よりも高いか否かを制御部6で判断する(S22)。水温T1が設定水温T0よりも高い場合、水温T1の測定時よりも供給水の水温を低くする(S23)。S12において水温T1が設定水温T0よりも高くないと判断した場合、水温T1が設定水温T0よりも低いか否かを制御部6で判断する(S24)。貯留水の水温T1が設定水温T0よりも低い場合、水温T1の測定時よりも供給水の水温を高くする(S25)。S24において水温T1が設定水温T0よりも低くないと判断した場合、水温T1の測定時における供給水の水温を維持する(S26)。なお、S22における判断とS24における判断との順番を入れ換えてもよい。
【0055】
ゴム部材の冷却方法においては、供給水の供給量及び水温の両方を制御することによって、貯留水の水温を設定水温に近づけることが好ましい。供給水の供給量及び水温の各調整処理は、同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。各調整処理を別々に行う場合、供給水の供給量の調整処理後に供給水の水温の調整処理を行うことが好ましい。上記の各処理は、任意の時間間隔で行われる。
【0056】
[1]
以上、本開示のゴム部材の冷却装置1は、押出装置11から連続して押し出されるゴム部材Gとゴム部材Gを冷却する冷却水とが収容される水槽2と、冷却水を水槽2に供給する供給部3と、水槽2に貯留された冷却水(貯留水)の水温を測定する測定部4と、供給部3から供給される冷却水(供給水)の供給量又は水温を調整可能な調整部5と、測定部4で測定される水温を設定水温に近づけるように調整部5を制御する制御部6と、を備える。
【0057】
斯かる構成によれば、ゴム部材Gが貯留水によって水槽2内で冷却される。そして、貯留水の水温が設定水温に近づくように調整部5を制御することによって、貯留水の水温を一定に保つことができ、ゴム部材Gの冷却を安定させることができる。このように、供給水の供給量又は水温を制御することによってゴム部材Gの冷却を安定させることができるので、ゴム部材Gの冷却制御が容易である。
【0058】
[2]
上記[1]のゴム部材の冷却装置1において、測定部4は、ゴム部材Gの入水位置P1と退水位置P2との中間点よりも下流側に設けられている、という構成が好ましい。
【0059】
斯かる構成によれば、入水位置P1側よりも冷却水の水温変化が緩やかな位置に測定部4を設けることによって、測定部4が外れ値(異常値)を測定することを抑制できる。これにより、調整部5によって貯留水の水温を設定水温に近づけやすくなり、ゴム部材Gの温度を所定の温度まで冷却する制御を精度良く行うことができる。
【0060】
[3]
上記[1]又は[2]のゴム部材の冷却装置1において、測定部4は、ゴム部材Gと実質的に同じ高さで冷却水(貯留水)の水温を測定する、という構成が好ましい。
【0061】
斯かる構成によれば、ゴム部材Gと実質的に同じ高さの貯留水の水温を設定水温に近づけることができる。これにより、ゴム部材Gの温度を所定の温度まで冷却する制御を精度良く行うことができる。
【0062】
[4]
上記[1]~[3]の何れか1つのゴム部材の冷却装置1において、調整部5は、供給部3から供給される冷却水(供給水)の供給量を調整可能な供給量調整部51と、供給部3から供給される冷却水(供給水)の水温を調整可能な水温調整部52と、を備える、という構成が好ましい。
【0063】
斯かる構成によれば、貯留水の水温を供給量調整部51及び水温調整部52の両方で調整することができる。これにより、供給水の供給量及び水温のうちどちらか一方のみで調整する場合よりも貯留水の水温を設定水温に近づけやすくなり、ゴム部材Gの温度を所定の温度まで冷却する制御を精度良く行うことができる。
【0064】
[5]
本開示のゴム部材の冷却方法は、押出装置11から連続して押し出されるゴム部材Gを水槽2に貯留された冷却水で冷却する、ゴム部材の冷却方法であって、水槽2に供給される冷却水(供給水)の供給量又は水温を制御して、水槽2に貯留された冷却水(貯留水)の水温を設定水温に近づける、という方法が好ましい。
【0065】
斯かる方法によれば、貯留水の水温が設定水温に近づくように制御することによって、貯留水の水温を一定に保つことができ、ゴム部材Gの冷却を安定させることができる。このように、供給水の供給量又は水温を制御することによってゴム部材Gの冷却を安定させることができるので、ゴム部材Gの冷却制御が容易である。
【0066】
[6]
上記[5]のゴム部材の冷却方法は、水槽2に貯留された冷却水(貯留水)の水温をゴム部材Gの入水位置P1と退水位置P2との中間点よりも下流側で測定する、という方法が好ましい。
【0067】
斯かる方法によれば、入水位置P1側よりも貯留水の水温変化が緩やかな位置で貯留水の水温を測定することにより、測定値が外れ値(異常値)となることを抑制できる。これにより、貯留水の水温を設定水温に近づけやすくなり、ゴム部材Gの温度を所定の温度まで冷却する制御を精度良く行うことができる。
【0068】
[7]
上記[5]又は[6]のゴム部材の冷却方法は、水槽2に貯留された冷却水(貯留水)の水温をゴム部材Gと実質的に同じ高さで測定する、という方法が好ましい。
【0069】
斯かる方法によれば、ゴム部材Gと実質的に同じ高さの貯留水の水温を設定水温に近づけることができる。これにより、ゴム部材Gの温度を所定の温度まで冷却する制御を精度良く行うことができる。
【0070】
[8]
上記[5]~[7]の何れか1つのゴム部材の冷却方法は、水槽2に供給される冷却水の供給量及び水温の両方を制御して、水槽2に貯留された冷却水の水温を設定水温に近づける、という方法が好ましい。
【0071】
斯かる方法によれば、貯留水の水温を供給水の供給量及び水温の両方で制御することにより、供給水の供給量及び水温のうちどちらか一方のみで制御する場合よりも貯留水の水温を設定水温に近づけやすくなり、ゴム部材Gの温度を所定の温度まで冷却する制御を精度良く行うことができる。
【0072】
なお、ゴム部材の冷却装置1及びゴム部材の冷却方法は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ゴム部材の冷却装置1及びゴム部材の冷却方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
1…冷却装置、2…水槽、3…供給部、3a…第1供給部、3b…第2供給部、3c…第3供給部、3d…第4供給部、31…供給槽、32…供給ノズル、33…供給管、4…測定部、5…調整部、51…供給量調整部、511…バルブ、511a…第1バルブ、511b…第2バルブ、511c…第3バルブ、511d…第4バルブ、52…水温調整部、521…供給水温測定部、522…調整器、523…流入管、524…流出管、6…制御部、61…バルブ制御部、62…調整器制御部、10…製造装置、11…押出装置、111…口金、12…搬送装置、121…搬送部、121a…第1搬送部、121b…第2搬送部、121c…第3搬送部、122…ガイドローラ、P1…入水位置、P2…退水位置