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特開2024-82842バッチャープラントのセメントミルク製造方法およびバッチャープラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082842
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】バッチャープラントのセメントミルク製造方法およびバッチャープラント
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/06 20060101AFI20240613BHJP
   B28C 9/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B28C7/06
B28C9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196993
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】関根 延明
(72)【発明者】
【氏名】山上 翼
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA07
4G056CB13
4G056CB31
4G056CB35
4G056DA01
4G056DA05
(57)【要約】
【課題】従来、所望量のセメントミルクを得る行程は、混合投入された後のセメントミルクの重量を計測しているにすぎず、混合割合は正確に把握できず、セメントミルクの品質にばらつきが生じるという課題がある。
【解決手段】所望量のセメントミルク量に設定された水とセメントとをミキサー3に供給して混練してセメントミルクを得るセメントミルク製造方法において、セメントの総量に対してセメント投入時の補正値を設定値より低い数値の2段階設定し、段階的にセメントの投入を行う構成とし、第二補正値までは通常の運転によりセメント供給し、第二補正値以降では寸動運転させてセメントを微少供給する寸動運転機能を搭載し、補正値とはオーバーランで設定値を上回らないよう予め設定値より低い値で運転を停止させる数値とし、かつ設定値以上になるまで寸動運転を繰り返して行うセメントミルクを製造するバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望量のセメントミルクとなるべき量に設定された貯水タンク8から供給された水とサイロ5から供給されたセメントとをミキサー3に供給して混練してセメントミルクを得るセメントミルク製造方法において、ミキサー3に供給されるべきセメントの総量を設定値に対してセメント投入時の補正値を設定値より低い数値の2段階設定し、2段階の補正値ごとに段階的にセメントの投入を行う構成とし、2段目の第二補正値までは通常のサイロ5の運転によりセメント供給し、2段目の第二補正値以降ではサイロ5を寸動運転させてミキサー3にセメントを微少供給する寸動運転機能を搭載し、不足分を微小単位で投入する構成とし、前記補正値とはサイロ5停止後のオーバーランで設定値を上回らないよう、予め設定値より低い値でサイロ5の運転を停止させる数値とし、かつ、設定値以上になるまでサイロ5を寸動運転を繰り返して行うセメントミルクを製造するバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項2】
請求項1において、2段階の補正値のうち、第一補正値では設定値を下回る数値とし、第二補正値では先の投入の不足分を補う数値とし、かつ、設定値ー第一補正値の差Aよりも設定値ー第二補正値の差Bが小さくなるように設定し、第二補正値を用いた投入が終了した際でも設定値を下回っている場合は、前記寸動運転を繰り返し、設定値以上になるまでサイロ5の寸動運転を繰り返すバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項3】
バッチャープラント1のミキサー3に、予め設定された量となるセメントミルクとなるべき量に設定された水を供給し、ミキサー3に供給された水量を基準に所定割合の割合比となるセメント量を演算し、補正されたセメント量をミキサー3に供給する構成とし、セメントを供給するサイロ5の搬送装置9は、供給総量に対する所定値まで供給すると、一旦、供給を停止させ、その後はサイロ5の搬送装置9を寸動運転させて微少供給する構成とし、サイロ5の搬送装置9を寸動運転させるに際し搬送装置9の再運転までに必ず所定時間の停止時間を挟む構成としたバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3において、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、サイロ5を停止させると、開閉バルブ13を閉塞し、サイロ5を再運転するときには開閉バルブ13を開く構成としたバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項5】
所望量のセメントミルクとなるべき量に設定された貯水タンク8から供給された水とサイロ5から供給されたセメントとをミキサー3に供給して混練してセメントミルクを得るセメントミルク製造方法において、ミキサー3に供給されるべきセメントの総量を設定値とすると、設定値より低い数値の所定値を設定し、サイロ5の駆動して所定値となるであろう時間通常運転し、通常運転後のミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、サイロ5を駆動させて微少量供給する搬送装置9の寸動運転を開始し、寸動運転後のミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えるまで、前記サイロ5の寸動運転を繰り返してセメントを供給して行うバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項6】
請求項5において、前記サイロ5の寸動運転は、サイロ5の寸動運転停止後、必ず、ミキサー3のセメント量を計測することとしたバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項7】
請求項5において、前記所定値は、前記設定値より低い2段階の補正値を設定し、2段目の第二補正値までは通常のサイロ5の運転によりセメント供給し、2段目の第二補正値以降ではサイロ5を寸動運転させてセメント供給する構成としたバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項8】
請求項5において、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、サイロ5を停止させると、開閉バルブ13を閉塞し、サイロ5を再運転するときには開閉バルブ13を開く構成としたバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項9】
請求項5~請求項8において、ミキサー3に、予め設定された量となるセメントミルクとなるべき量に設定された水設定値の水を供給し、ミキサー3に実際に供給された水量を重量計測器25により計測して水計量値とし、水設定値と水計量値とを対比し、水設定値と水計量値とが不一致のとき、予め算出された所定水量に対するセメント量となる割合となるように、水計量値の水に投入すべきセメント量を演算し、この自動補正されたセメント量をミキサー3に供給するバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項10】
請求項5~請求項8において、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、開閉バルブ13の上手側の供給流路10は所定量のセメントを貯留しうる構成とし、寸動運転によるセメント供給終了後にミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、サイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給し、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、サイロ5の寸動運転させてセメントをミキサー3に供給し、セメント供給後に、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えるとセメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、再び、サイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給し、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えるまで、開閉バルブ13の開放とサイロ5の寸動運転とを交互に繰り返して行うバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【請求項11】
枠フレーム体2に、水とセメントとを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー3と、このミキサー3で製造したセメントミルクを固まらないようにかき回しながら一時貯留するアジテータ4と、ミキサー3へセメントを供給するサイロ5とを設け、バッチャープラント1の近傍にセメントに加える水を貯留する貯水タンク8を配置し、前記サイロ5にはサイロ5内のセメントを排出する搬送装置9を設け、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設けたバッチャープラント。
【請求項12】
請求項11において、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に設けた開閉バルブ13の上手側の供給流路10には所定量のセメントを貯留しうる構成としバッチャープラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイロを使用したバッチヤープラントに関する発明であり、特にサイロを用いて投入する、セメントやベントナイトなどの粉体の計量精度を求める場合に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、セメント貯蔵用のサイロからのセメントに水を加えて撹拌することでセメントミルクを製造するミキサーと、このミキサーの重量を計測する重量計測器を設けた構成は、公知である(特許文献1)。
また、従来、セメント投入の際、予め所定量の水に投入すべき割合のセメント量を設定しておき、設定したセメント量の設定値に満たない状態で投入を停止した場合、設定値を上回るようにセメントを追加投入する構成は公知である(特許文献2~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-281632号公報
【特許文献2】特開2020-92290号公報
【特許文献3】特開2020-93424号公報
【特許文献4】特開2021-176696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例の特許文献1では、所望量のセメントミルクを得るために、重量計測器によりセメントミルクの重量を計測しているが、単に、混合投入された後のセメントミルクの重量を計測しているにすぎず、水とセメントの混合割合は正確に把握できず、セメントミルクの品質にばらつきが生じるという課題がある。
また、前記公知例の特許文献2~4では、設定したセメント量の設定値に満たない状態で投入を停止した場合に、追加投入を行った際、設定値を上回ってからサイロでの投入を停止するので、停止後のオーバーランにより、設定値よりも大幅に多く投入されてしまう。
そして、追加投入する機能は、設定値を上回っていればよい場合には有効であるが、設定値からの許容範囲に上限値が設けられていて、許容範囲が狭い場合に許容範囲を超えてしまう欠点があった。
実現場ではセメントの使用量に基準が設けられており、許容範囲が狭い場合、従来の方式ではセメントの投入量が基準を超えてしまう問題があった。
本発明は、セメントミルクの製造工程のうち、粉体(セメント)の供給方法を工夫して、セメント供給精度を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、所望量のセメントミルクとなるべき量に設定された貯水タンク8から供給された水とサイロ5から供給されたセメントとをミキサー3に供給して混練してセメントミルクを得るセメントミルク製造方法において、ミキサー3に供給されるべきセメントの総量を設定値に対してセメント投入時の補正値を設定値より低い数値の2段階設定し、2段階の補正値ごとに段階的にセメントの投入を行う構成とし、2段目の第二補正値までは通常のサイロ5の運転によりセメント供給し、2段目の第二補正値以降ではサイロ5を寸動運転させてミキサー3にセメントを微少供給する寸動運転機能を搭載し、不足分を微小単位で投入する構成とし、前記補正値とはサイロ5停止後のオーバーランで設定値を上回らないよう、予め設定値より低い値でサイロ5の運転を停止させる数値とし、かつ、設定値以上になるまでサイロ5を寸動運転を繰り返して行うセメントミルクを製造するバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項2の発明は、2段階の補正値のうち、第一補正値では設定値を下回る数値とし、第二補正値では先の投入の不足分を補う数値とし、かつ、設定値ー第一補正値の差Aよりも設定値ー第二補正値の差Bが小さくなるように設定し、第二補正値を用いた投入が終了した際でも設定値を下回っている場合は、前記寸動運転を繰り返し、設定値以上になるまでサイロ5の寸動運転を繰り返すバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項3の発明は、バッチャープラント1のミキサー3に、予め設定された量となるセメントミルクとなるべき量に設定された水を供給し、ミキサー3に供給された水量を基準に所定割合の割合比となるセメント量を演算し、補正されたセメント量をミキサー3に供給する構成とし、セメントを供給するサイロ5の搬送装置9は、供給総量に対する所定値まで供給すると、一旦、供給を停止させ、その後はサイロ5の搬送装置9を寸動運転させて微少供給する構成とし、サイロ5の搬送装置9を寸動運転させるに際し搬送装置9の再運転までに必ず所定時間の停止時間を挟む構成としたバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項4の発明は、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、サイロ5を停止させると、開閉バルブ13を閉塞し、サイロ5を再運転するときには開閉バルブ13を開く構成としたバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項5の発明は、所望量のセメントミルクとなるべき量に設定された貯水タンク8から供給された水とサイロ5から供給されたセメントとをミキサー3に供給して混練してセメントミルクを得るセメントミルク製造方法において、ミキサー3に供給されるべきセメントの総量を設定値とすると、設定値より低い数値の所定値を設定し、サイロ5の駆動して所定値となるであろう時間通常運転し、通常運転後のミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、サイロ5を駆動させて微少量供給する搬送装置9の寸動運転を開始し、寸動運転後のミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えるまで、前記サイロ5の寸動運転を繰り返してセメントを供給して行うバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項6の発明は、前記サイロ5の寸動運転は、サイロ5の寸動運転停止後、必ず、ミキサー3のセメント量を計測することとしたバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項7の発明は、前記所定値は、前記設定値より低い2段階の補正値を設定し、2段目の第二補正値までは通常のサイロ5の運転によりセメント供給し、2段目の第二補正値以降ではサイロ5を寸動運転させてセメント供給する構成としたバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項8の発明は、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、サイロ5を停止させると、開閉バルブ13を閉塞し、サイロ5を再運転するときには開閉バルブ13を開く構成としたバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項9の発明は、ミキサー3に、予め設定された量となるセメントミルクとなるべき量に設定された水設定値の水を供給し、ミキサー3に実際に供給された水量を重量計測器25により計測して水計量値とし、水設定値と水計量値とを対比し、水設定値と水計量値とが不一致のとき、予め算出された所定水量に対するセメント量となる割合となるように、水計量値の水に投入すべきセメント量を演算し、この自動補正されたセメント量をミキサー3に供給するバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項10の発明は、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、開閉バルブ13の上手側の供給流路10は所定量のセメントを貯留しうる構成とし、寸動運転によるセメント供給終了後にミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、サイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給し、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、サイロ5の寸動運転させてセメントをミキサー3に供給し、セメント供給後に、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えるとセメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、再び、サイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給し、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えるまで、開閉バルブ13の開放とサイロ5の寸動運転とを交互に繰り返して行うバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
請求項11の発明は、枠フレーム体2に、水とセメントとを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー3と、このミキサー3で製造したセメントミルクを固まらないようにかき回しながら一時貯留するアジテータ4と、ミキサー3へセメントを供給するサイロ5とを設け、バッチャープラント1の近傍にセメントに加える水を貯留する貯水タンク8を配置し、前記サイロ5にはサイロ5内のセメントを排出する搬送装置9を設け、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設けたバッチャープラントとしたものである。
請求項12の発明は、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に設けた開閉バルブ13の上手側の供給流路10には所定量のセメントを貯留しうる構成としバッチャープラントとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、セメントミルクの製造の際に、ミキサー3に実際に供給されたセメント量を計量し、不足したセメントをサイロ5の搬送装置9の寸動運転でミキサー3に供給する構成であるので、セメントの供給量がセメント設定値を大幅に超えることがなく、供給精度を向上させることができ、正確で均一なセメントミルクを製造できる。
請求項2の発明では、2段階の補正値のうち、第一補正値では設定値を下回る数値とし、第二補正値では先の投入の不足分を補う数値とし、かつ、設定値ー第一補正値の差Aよりも設定値ー第二補正値の差Bが小さくなるように設定し、第二補正値を用いた投入が終了した際でも設定値を下回っている場合は、前記寸動運転を繰り返し、設定値以上になるまでサイロ5の寸動運転を繰り返すので、搬送装置9停止後のオーバーランがあってもセメントの供給を確実にセメント設定値を超えつつ僅かな増量値で停止させることができ、適正なセメント含有成分のセメントミルクとすることができ、セメントミルクの品質を安定させることができる。
請求項3の発明では、セメントを供給するサイロ5の搬送装置9は、供給総量に対する所定値まで供給すると、一旦、供給を停止させ、その後はサイロ5の搬送装置9を寸動運転させて微少供給する構成とし、サイロ5の搬送装置9を寸動運転に際し搬送装置9の再運転までに必ず所定時間の停止時間を挟む構成としているので、サイロ5を寸動運転させても、サイロ5の各部の損傷を防止でき、セメント供給精度を向上させて、セメントミルクの品質を安定させることができる。
請求項4の発明では、サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、サイロ5を停止させると、開閉バルブ13を閉塞し、サイロ5を再運転するときには開閉バルブ13を開く構成としているので、サイロ5からミキサー3へのセメントの供給は、直ちに停止され、これにより、サイロ5の供給停止時の慣性によるセメント流入現象もなく、一層、ミキサー3へのセメント供給精度を向上させられる。
請求項5の発明では、サイロ5の寸動運転を繰り返してセメントを供給するので、ミキサー3へのセメント供給精度を向上させることができる。
請求項6の発明では、サイロ5の寸動運転停止後、必ず、ミキサー3のセメント量を計測するので、この計測時間中セメント搬送駆動モータ16を停止させて冷却させることができ、サイロ5の各部の損傷を防止することができ、微少量のセメント供給となるサイロ5の寸動運転を実現でき、セメント供給精度を向上させることができる。
請求項7の発明では、前記所定値は、前記設定値より低い2段階の補正値を設定し、2段目の第二補正値まではサイロ5の通常運転によりセメント供給し、2段目の第二補正値以降ではサイロ5を寸動運転させてセメント供給するので、通常供給に比し微少供給を確実に行うことができる。
請求項8の発明では、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、サイロ5のセメント搬送駆動モータ16を停止させると、開閉バルブ13を閉塞し、サイロ5を再運転するときには開閉バルブ13を開く構成としているので、サイロ5の供給停止時の慣性によるセメント流入現象もなく、一層、ミキサー3へのセメント供給精度を向上させられることができる。
請求項9の発明では、ミキサー3に、予め設定された量となるセメントミルクとなるべき量に設定された水設定値の水を供給し、ミキサー3に実際に供給された水量を重量計測器25により計測して水計量値とし、水設定値と水計量値とを対比し、水設定値と水計量値とが不一致のとき、水設定値に対する所定割合の割合比となるセメント量を演算し、この自動補正されたセメント量をミキサー3に供給するので、一層、セメント供給精度を向上させられることができる。
請求項10の発明では、通常運転または寸動運転によるセメント供給(投入)終了後に、計測値が設定値と不一致(少ない)のときは、サイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給できるので、サイロ5の寸動運転よりもさらに微少量のセメントをミキサー3に追加供給でき、一層、セメント供給精度を向上させられることができる。
請求項11の発明では、枠フレーム体2に、水とセメントとを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー3と、このミキサー3で製造したセメントミルクを固まらないようにかき回しながら一時貯留するアジテータ4と、ミキサー3へセメントを供給するサイロ5とを設け、バッチャープラント1の近傍にセメントに加える水を貯留する貯水タンク8を配置し、前記サイロ5にはサイロ5内のセメントを排出する搬送装置9を設け、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設けているので、サイロ5の供給停止時の慣性によるセメント流入現象もなく、ミキサー3へのセメント供給精度を向上させられることができる。
請求項12の発明では、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に設けた開閉バルブ13の上手側の供給流路10には所定量のセメントを貯留しうる構成としているので、セメント投入(供給)終了後に、計測値が設定値と不一致のとき、サイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給でき、これにより、サイロ5の寸動運転よりもさらに微少量セメントをミキサー3に供給でき、一層、セメント供給精度を向上させられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】バッチャープラントの側面図。
図2】同平面図。
図3】同概略回路図。
図4】供給流路の構成図。
図5】セメントミルク製造のフロー図。
図6】経過時間に伴うセメント投入量のグラフ図。
図7】他の実施形態のフロー図。
図8】他の実施形態のフロー図。
図9】セメント量を演算するフロー図。
図10】制御部(操作盤)の正面図。
図11】同一部拡大図。
図12】制御部の表示操作部(タッチパネル)の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図により説明すると、1は可搬式のバッチャープラント、2はバッチャープラント1の枠フレーム体であり、枠フレーム体2には水とセメント(ベントナイトを含む粉体)とを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー3と、このミキサー3で製造したセメントミルクを固まらないようにかき回しながら一時貯留するアジテータ4とを備えている。
バッチャープラント1の枠フレーム体2の上部には、ミキサー3に供給するセメントを貯留するサイロ5を設ける。
そのため、サイロ5は、後述するミキサー3にセメントの微少供給をするために適した仕様とすると好適である。
なお、本発明の要件ではないが、本実施形態では、バッチャープラント1の近傍に、サイロ5に供給するセメントを貯留する外部補給サイロ6を設け、外部補給サイロ6とサイロ5とを補給搬送ホース7により接続している。
そのため、セメントミルク製造に際し、バッチャープラント1を連続運転可能に構成している。
【0009】
また、バッチャープラント1の近傍にはセメントに加える水を貯留する貯水タンク8を設けている。
前記サイロ5の構成は任意であり、サイロ5はセメントを貯留できればよく、サイロ5内の底部に搬送装置9を設けていればよい。
また、搬送装置9はスクリュー(螺旋翼)のピッチを大きく、回転速度を速い構成とすると、通常運転時の投入量を多くして、作業効率を向上させ、後述する寸動運転で微少供給をも可能になる。
サイロ5の搬送装置9の排出口には排出ホース11の上部を接続し、排出ホース11の下部にはセメント供給管12を接続し、セメント供給管12の下部はミキサー3に接続する。
したがって、排出ホース11とセメント供給管12により、サイロ5とミキサー3とを連結する供給流路10を構成し、供給流路10に開閉バルブ13を設ける。
【0010】
16はサイロ5の搬送装置9を駆動するセメント搬送駆動モータである。
サイロ5にはセメント容量検出器(パドルスイッチ)14を設け、サイロ5内のセメント容量が少なくなると外部サイロ6からサイロ5へ自動でセメントを供給する構成とする。
前記貯水タンク8の構成は任意であり、貯水タンク8にはミキサー3に水を供給する給水ポンプ18を設ける。
給水ポンプ18には給水ホース19を接続し、給水ホース19の終端は枠フレーム体2内に設けた内部供水管20の始端部に接続し、内部供水管20の終端部はミキサー3に接続する。内部供水管20の中間部にアクチュエータ(図示省略)で開閉する開閉バルブ21を設け、所定量の水をミキサー3に供給すると開閉バルブ21を閉鎖するので、ミキサー3へ供給する供給水の供給量の供給精度を向上させられる。
22は給水ポンプ18の給水用モータである。
【0011】
前記ミキサー3は、混練用樋24を枠フレーム体2内に上下動自在に吊設し、混練用樋24には重量計測器(ロードセル)25を取付ける。
重量計測器25は混練用樋24の重量を正確に計測しうるように、混練用樋24の重量バランスを考慮して3カ所に設置し、3カ所の重量計測器25により混練用樋24の重量を計測する。
混練用樋24には撹拌翼26を吊設し、撹拌翼26は撹拌モーター27により回転させる。混練用樋24の所定箇所には混練したセメントミルクを排出する排出口28を設ける。29は開閉バルブである。
混練用樋24の排出口28の下方にはアジテータ4の貯留樋30を臨ませる。貯留樋30には回転翼31を設け、回転翼31の駆動モーター32を貯留樋30の上方に設ける。
35はアジテータ4の貯留樋30のセメントミルク量を検出する検出計である。
【0012】
アジテータ4にはセメントミルクを搬送する搬送ホース40を接続し、搬送ホース40の中間部所定位置にはセメントミルクを搬送する搬送ポンプ(グラウトポンプ)41を設ける。
このように、本発明では、枠フレーム体2に、水とセメントとを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー3と、このミキサー3で製造したセメントミルクを固まらないようにかき回しながら一時貯留するアジテータ4と、ミキサー3へセメントを供給するサイロ5とを設け、バッチャープラント1の近傍にセメントに加える水を貯留する貯水タンク8を配置し、サイロ5にはサイロ5内のセメントを排出する搬送装置9を設け、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設ける。
そのため、サイロ5の供給停止時の慣性によるセメント流入現象もなく、一層、ミキサー3へのセメント供給精度を向上させられることができる。
【0013】
また、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に設けた開閉バルブ13の上手側の供給流路10には所定量のセメントを貯留しうる構成とする。
すなわち、後述する、セメント投入終了後の、計測値と設定値との不一致の際に、サイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給し、これにより、サイロ5の寸動運転よりもさらに微少量セメントのミキサー3への供給を行う。
しかして、所望量のセメントミルクを得る場合、水とセメントとを所定割合比でミキサー3に投入して混練すればよいが、セメントやベントナイトなどの粉体を設定量投入することは難しかった。
すなわち、サイロ5の搬送装置9が、制御部45の停止信号により停止するまでのタイムラグと、搬送装置9が停止するまでの慣性動作により、ミキサー3に投入供給されるセメント量の供給精度が、従来では低かった。
【0014】
また、サイロ5の搬送装置9の駆動を頻繁に入切させると、搬送装置9を含めてサイロ5の各部の破損に繋がるので、従来ではサイロ5を寸動運転させることはなかった。
本発明では、制御部45のタッチパネルで、所望量のセメントミルクを得る場合の水に対する所定の混合割合となるセメント量のセメント設定値の手前でセメントの投入を停止する所定値(補正値)の設定を可能にし、一段目の所定値にミキサー3内の重量が到達すると、搬送装置9を停止させ、開閉バルブ13を閉める。
開閉バルブ13が完全に閉まるまでの時間より長い時間をスリープタイマの時間として制御部45のタッチパネルで設定可能にし、内部セメント供給管12内のセメントが完全にミキサー3内に投入されるタイミングを見計らうことができる。
スリープタイマで設定した時間が経過後にミキサー3内の重量を計測し、セメント設定値に到達していない場合、サイロ5の寸動運転を行って不足したセメントを少しずつ投入する。
【0015】
したがって、所定値に至るまではサイロ5の搬送装置9を通常運転させて、ミキサー3へのセメント投入時間を短縮化し、所定値以降は寸動運転して微少投入に切替え、セメント供給量の供給精度を向上させ、作業効率化と作業精度の両立を図っている。
寸動運転の時間は設定可能にする。
すなわち、本発明では、所望量のセメントミルクとなるべき量に設定された貯水タンク8から供給された水とサイロ5から供給されたセメントとをミキサー3に供給して混練してセメントミルクを得るセメントミルク製造方法において、ミキサー3に供給されるべきセメントの総量を設定値に対してセメント投入時の補正値(所定値)を設定値より低い数値の2種類設け、2種類の補正値に段階的にセメントの投入を行う構成とし、2段目の第二補正値までは通常のサイロ5の運転によりセメント供給し、2段目の第二補正値以降ではサイロ5を寸動運転させてミキサー3にセメントを微少供給する寸動運転により、設定値に対する不足分を微小単位で投入する構成とし、前記補正値とはサイロ5停止後のオーバーランで設定値を上回らないよう、予め設定値より低い値でサイロ5の運転を停止させる数値とし、かつ、設定値以上になるまでサイロ5を寸動運転させるセメントミルクを製造する構成とする。
【0016】
図6は、セメント投入状態の一例を示し、搬送装置9を通常運転させてミキサー3内の重量が一段目の補正値に到達すると、搬送装置9を停止させ、搬送装置9停止後開閉バルブ13を閉じ、ミキサー3内のセメント重量は、第一補正値の100kgに対し、計量値129kgとなり、この差の29kgが従来のオーバーランによる「誤差」となる。
次に、所定時間経過後、再び、搬送装置9を通常運転させてミキサー3内の重量が二段目の補正値に到達すると、搬送装置9を停止させ、搬送装置9停止後開閉バルブ13を閉じ、ミキサー3内のセメント重量は、第二補正値155kgに対し、計量値158kgとなり、第二補正値と計量値の差を小さくし、供給精度を向上させている。
次に、計量値の158kgでは、セメント設定値160kgに到達していないので、寸動運転に移行する。
寸動運転後の計量値は163kgとなり、セメント設定値160kgを超えたので、セメント投入を終了する。
したがって、前記したように、通常運転中に重量を計測して、到達値で搬送装置9を停止させたのでは、30kgの誤差が生じるが、本発明では寸動運転によりセメント供給するので、5kg以内の誤差で供給でき、セメント供給精度を著しく向上させられる。
【0017】
また、2種類の補正値のうち、第一補正値では設定値を下回る数値とし、第二補正値では先の投入の不足分を補う数値とし、かつ、「設定値」ー「第一補正値」の差よりも「設定値」ー「第二補正値」の差が小さくなるように設定し、第二補正値を用いた投入が終了した際でも設定値を下回っている場合は、前記寸動運転を反復し、設定値以上になるまでサイロ5による微少供給を繰り返す構成とする。
また、換言すると、バッチャープラント1のミキサー3に、予め設定された量となるセメントミルクとなるべき量に設定された水を供給し、ミキサー3に実際に供給された水量を基準に所定割合の割合比となるセメント量を演算し、補正されたセメント量をミキサー3に供給する構成とし、セメントを供給するサイロ5の搬送装置9は、供給総量に対する所定値(補正値)まで供給すると、一旦、供給を停止させ、その後はサイロ5の搬送装置9を寸動運転させて微少供給する構成とし、サイロ5の搬送装置9の寸動運転に際して搬送装置9の再運転までに必ず所定時間の停止時間を挟む構成とする。
また、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、サイロ5を停止させると、開閉バルブ13を閉塞し、サイロ5を再運転するときには開閉バルブ13を開く構成とする。
【0018】
そのため、微少供給時には、供給流路10を開閉バルブ13により閉塞するので、サイロ5からミキサー3へのセメントの供給は、直ちに停止され、これにより、サイロ5の供給停止時の慣性によるセメント流入現象もなく、一層、ミキサー3へのセメント供給精度を向上させられる。
また、本発明では、所望量のセメントミルクとなるべき量に設定された貯水タンク8から供給された水とサイロ5から供給されたセメントとをミキサー3に供給して混練してセメントミルクを得るセメントミルク製造方法において、ミキサー3に供給されるべきセメントの総量を設定値とすると、設定値より低い数値の所定値(補正値・前段階停止値)を設定し、サイロ5の駆動して所定値となるであろう時間通常運転し、通常運転後のミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、サイロ5を駆動させて微少量供給する搬送装置9の寸動運転を開始し、寸動運転後のミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値Lが設定値と不一致のときは、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えるまで、前記サイロ5の寸動運転を繰り返してセメントを供給して行う構成とする。
【0019】
前記サイロ5の寸動運転は、サイロ5の寸動運転停止後、必ず、ミキサー3のセメント(ベントナイトを含む粉体)量を計測することとする。
このように、寸動運転のとき、駆動停止後に必ずセメント計量するので、この計測時間中サイロ5の搬送装置9(セメント搬送駆動モータ16)を停止状態にできてこの間冷却させることができ、サイロ5の各部を破損(特に焼損)させることなく、微少量のセメント供給となるサイロ5の寸動運転を実現でき、セメント供給精度を向上させられる。
前記所定値は、前記設定値より低い2段階の補正値を設定し、2段目の第二補正値までは通常のサイロ5の運転によりセメント供給し、2段目の第二補正値以降ではサイロ5を寸動運転させてセメント供給する構成とする。
そのため、微少再供給は、通常セメント供給より短時間でサイロ5を停止させるので、通常供給に比し微少供給を確実に行うことができる。
【0020】
前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設け、サイロ5を停止させると、開閉バルブ13を閉塞し、サイロ5を再運転するときには開閉バルブ13を開く構成とする。
そのため、微少供給時には、供給流路10を開閉バルブ13により閉塞するので、サイロ5からミキサー3へのセメントの供給は、直ちに停止され、これにより、サイロ5の供給停止時の慣性によるセメント流入現象もなく、一層、ミキサー3へのセメント供給精度を向上させられる。
また、ミキサー3に、予め設定された量となるセメントミルクとなるべき量に設定された水設定値の水を供給し、ミキサー3に実際に供給された水量を重量計測器25により計測して水計量値とし、水設定値と水計量値とを対比し、水設定値と水計量値とが不一致のとき、水設定値に対する所定割合の割合比となるセメント量を演算し、この自動補正されたセメント量をミキサー3に供給する。
【0021】
前記枠フレーム体2に、水とセメント(ベントナイトを含む粉体)とを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー3と、このミキサー3で製造したセメントミルクを固まらないようにかき回しながら一時貯留するアジテータ4とを設け、バッチャープラント1の上部に、ミキサー3に供給するセメントを貯留するサイロ5を設け、バッチャープラント1の近傍にサイロ5に供給するセメントを貯留するサイロ5と、セメントに加える水を貯留する貯水タンク8とを配置し、前記サイロ5にはサイロ5内のセメントを排出する搬送装置9を設け、前記サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に開閉バルブ13を設ける。
この場合、サイロ5からミキサー3へのセメントを供給する供給流路10に設けた開閉バルブ13の上手側の供給流路10には所定量のセメントを貯留しうる構成とする。
【0022】
そのため、開閉バルブ13の上手側の供給流路10は所定量のセメントを貯留しうる構成とし、寸動運転によるセメント供給の終了後にミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、サイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給し、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えているときに、セメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、サイロ5の寸動運転させてセメントをミキサー3に供給し、セメント供給後に、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えるとセメント供給を終了させ、計測値が設定値と不一致のときは、再び、サイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給し、ミキサー3のセメント量が設定値と同じか超えるまで、開閉バルブ13の開放とサイロ5の寸動運転とを交互に繰り返して行う。
【0023】
これにより、寸動運転によるセメント供給(投入)終了後に、計測値が設定値と不一致のときは、次のサイロ5の寸動運転させる前に、閉塞している開閉バルブ13を開放して供給流路10内のセメントをミキサー3に供給しできるので、サイロ5の寸動運転よりもさらに微少量セメントをミキサー3に供給でき、一層、セメント供給精度を向上させられることができる。
すなわち、前記したように、寸動運転による供給誤差を5kg単位としていたのを、さらに、1kg以下の100グラム単位にまで誤差を小さくして、セメント供給精度を著しく向上させられる。
【0024】
したがって、開閉バルブ13は、サイロ5の搬送装置9からのセメントを排出を停止させるストップ機能と、開閉バルブ13の上流側の供給流路10内にセメントを貯留するストック機能を有する。
ただし、セメントミルク製造作業が終了したときには、開閉バルブ13を開放して供給流路10内にセメントを残留させないようにする。
なお、作業終了後、残留セメントはミキサー3に落として薄いセメントミルクにしたり、あるいは、ミキサー3の清掃に合わせて廃棄用汚水として排出処理する。
45は制御部(操作盤)であり、前記ポンプ等を接続し、これらの作動を制御する。制御部(操作盤)45の構成は任意であり、以下、概略を説明すると、図10は操作盤(制御部)45の正面図、図11は操作盤(制御部)45の一部拡大図であり、図10において、46は表示操作部(タッチパネル)であり、通常時プラントの動作状態を表示し、画面を切り替えることで、各設定の入力を行う。
【0025】
47は運転切替スイッチであり、ミキサー3の自動洗浄と、自動運転と手動運転とを運転方法の切り替えを行うものであり、自動運転を選択すると、水・ベントナイト・セメントを自動的に計量し、設定した練り時間でミキサー3にて混練後、アジテータ4に排出し、また、自動洗浄を選択すると、セメントミルク製造作業終了後、ミキサー3内の水洗いを自動的に連続的に行う。また、手動運転を選択すると、手動操作にて各モータの運転・停止、バルブの開閉などを行なう。
図12は、表示操作部(タッチパネル)48の表示例を示し、図12Aでは設定入力画面を表示し、この画面にて水・セメントの投入量の設定を行う。
図12Bでは運転中の表示を示す。68は自動補正制御実行中であることを表示する自動補正制御表示である。
なお、図10、12の数字の記載は、理解を容易にするため、任意の数量等を示したものであり、実際に入力した値を示すものではない。
【0026】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、杭打ちあるいは地盤改良の作業現場、あるいは、作業現場近傍にバッチャープラント1を運搬して設置する。また、バッチャープラント1の近傍に貯水タンク8を設置し、貯水タンク8の給水ホース19に枠フレーム体2の内部供水管20を接続する。
バッチャープラント1のミキサー3に水とセメントを投入して混練すると、セメントミルクになり、所望量のセメントミルクを得るために、水とセメントを所定割合比で投入すればよいが、セメントやベントナイトなどの粉体を設定量投入することは難しく、従来、設定値を上回るように追加投入する機能が存在していた。
しかし、この追加投入は設定値を上回ってからサイロからの投入を停止するため、停止後のサイロ5の搬送装置9のオーバーランによって、設定値よりも大幅に多くセメントが投入されてしまう。
【0027】
そのため、追加投入機能は、設定値からの許容範囲の上限値が設けられていて、設定値の範囲が狭い場合に許容範囲を超えてしまう欠点があった。
そこで、上記構成のバッチャープラント1において、ミキサー3に供給されるべきセメントの総量を設定値に対して設定値より低い所定値を設定し、所定値までサイロ5を通常運転させてセメントを供給し、所定値以降ではサイロ5を寸動運転させてミキサー3にセメントを微少供給する寸動運転してセメント供給する。
具体的な一例を図5により以下説明する。
まず、制御部(操作盤)45の自動運転開始ボタン48を操作してバッチャープラント1の作動を開始する(S1)。
制御部(操作盤)45は貯水タンク8の給水ポンプ18に通電して1バッチ(1工程)あたり設定した水(以下、水設定値とする)をミキサー3に供給し、水設定値になると給水ポンプ18への通電を遮断すると共に、開閉バルブ21を閉塞する(S2)。
【0028】
ミキサー3内に規定値の水を供給後に、重量計測器25がミキサー3の重量を計測し、計測した水量に応じたベントナイト供給量を演算補正設定し、この自動補正ベントナイト設定値となるようにベントナイトを供給し、設定値となると、ベントナイトの供給を停止させる(S3)。
ベントナイトの供給を停止させると、ミキサー3の撹拌モーター27に通電して撹拌翼26を回転させ、所定時間混練する。
所定時間混練されると、ミキサー3の撹拌翼26は自動停止させられる。
次に、ミキサー3に実際に供給された水量を基準に所定割合の割合比となるセメント量を演算し、補正された自動補正セメント設定値に基づいたセメント量となるように、サイロ5の搬送装置9に通電してセメントのミキサー3への供給を開始する(S4)。
【0029】
まず、開閉バルブ13を開き(S5)、サイロ5の搬送装置9を駆動する(S7)。
セメントがサイロ5からミキサー3に供給されると、重量計測器25がミキサー3の重量を計測し(S8)、所定値までセメントが供給されると、サイロ5からのセメント供給を一旦停止させる(S9)。
次に、スクリュータイムラグ(S10)を経て、開閉バルブ13を閉めるまでにタイムラグが生じるが、開閉バルブ13が完全に閉まるまでの時間より長い時間をスリープタイマの時間として操作盤で設定可能にし、内部セメント供給管12内のセメントが完全にミキサ-3内に投入されるタイミングを見計らうことができる。
スリープタイマで設定した時間が経過後にミキサ内の重量を計測し、セメント設定値に到達した場合は、セメント計量を終了する(S33)
一方、ステップ13で、セメント設定値に到達していない場合、計量管理モードで追加投入を開始し(S13)、計量管理モード(S14)では開閉バルブ13を開き(S15)、サイロ5の搬送装置9を駆動する(S17)。
【0030】
セメントがサイロ5からミキサー3に供給されると、重量計測器25がミキサー3の重量を計測し(S18)、所定値までセメントが供給されると、サイロ5からのセメント供給を一旦停止させる(S19)。
次に、スクリュータイムラグ(S20)を経て、開閉バルブ13を閉塞し(S21)、スリープタイマ(S22)を経てミキサー3内の重量を計測し、セメント設定値に到達または超えると(S23)、セメント計量を終了する(S33)。
さらに、ステップ23でセメント設定値に到達しない場合は、搬送装置9の寸動運転を開始し(S26)、ステップ32でセメント設定値に到達していない場合、セメント設定値を超えるまで寸動運転を繰り返す。
これにより、セメントの余分な使用量を削減することでコスト削減が可能となる。
【0031】
また、実現場での厳しいセメント使用量の基準を満たすことが可能となり、より基準が厳格な現場への機械の導入が可能となる。
さらに、計量誤差が最小になるためのセメントミルクに含まれるセメント配合が均一になり、より良質なセメントミルクを供給することができる。
このように、ミキサー3には、正確な割合の水とセメントが供給され、この状態で、ミキサー3の撹拌モーター27に通電して撹拌翼26を回転させ、所定時間混練する。
ミキサー3で所定時間混練されると、撹拌モーター27への通電を遮断して撹拌翼26を停止させる。
そして、ミキサー3の排出口28からセメントミルクが排出されてアジテータ4に供給され、アジテータ4内では回転翼31が駆動モーター32により回転し、セメントミルクが固化するのを防止し、アジテータ4から搬送ポンプ41を介して杭打ちあるいは地盤改良装置に供給される。
【0032】
図7の他の実施形態では、計量管理モード(S13)でミキサー3の重量を計測してセメント設定値≧セメント計量値のとき、寸動運転に移行し(S14)、開閉バルブ13を開き(S15)、スクリュータイムラグ経過後(S16)、サイロ5の搬送装置9を寸動動作時間駆動し(S17)、寸動スリープタイマー(S18)後、ミキサー3の重量を計測してセメント設定値を超えると、搬送装置9を停止させ(S19)、スクリュータイムラグ経過後(S20)、開閉バルブ13を閉塞し(S21)、セメント計量作業は終了し(S24)、混練過程に移行する。
また、ステップ23でセメント設定値≧セメント計量値であるときには、ステップ17に戻り、セメント設定値を超えるまで、前記寸動運転を繰り返す。
【0033】
図8の他の実施形態では、計量管理モード(S13)でミキサー3の重量を計測してセメント設定値≧セメント計量値のとき、寸動運転に移行するが(S14)、搬送装置9を寸動運転させる前に、開閉バルブ13を開き(S15)、開閉バルブ13の上手側の供給流路10内の残留セメントをミキサー3に供給し、スクリュータイムラグ経過後に(S16)、ミキサー3内の重量を計測し、セメント設定値に到達している場合、セメント計量作業は終了し(S26)、混練過程に移行する(S27)。
また、ステップ17で、セメント設定値に到達していない場合には、サイロ5の搬送装置9の寸動運転を開始し(S19)、セメントがサイロ5からミキサー3に微少量供給されると、重量計測器25がミキサー3の重量を計測し(S25)、セメント設定値に到達している場合、セメント計量作業は終了し(S26)、混練過程に移行する。
【0034】
さらに、ステップ25で、微少量供給後のミキサー3の重量の計測し、セメント設定値に到達していない場合には、ステップ15に戻り、前記した開閉バルブ13を開放と搬送装置9の寸動運転とを、セメント設定値に到達するまで、繰り返し実行する。
なお、所望量のセメントミルクを得るために、水とセメントを所定割合比で投入すればよいが、設定量の水の供給は案外難しく、給水ポンプ18は供給ホースに所謂脈動が起きるように、吐出する水量が一定でなく、供給量にばらつきが生じることがある。
この場合、図9のように、制御部(操作盤)45は貯水タンク6の給水ポンプ18に通電して1バッチ(1工程)あたり設定した水(以下、水設定値Lとする)をミキサー3に供給し、水設定値Lになると給水ポンプ18への通電を遮断すると共に、開閉バルブ21を閉塞し、ミキサー3の重量を重量計測器25により計測し(S2)、実際にミキサー3に供給された水量(以下、水計量値Mとする)を検出する。
【0035】
この場合、水設定値Lに対して実際にミキサー3に供給される水量(水計量値M)は一致しないから、水設定値Lと水計量値Mとは不一致となるが、この不一致の水量を、予め所定水量に対するセメント量(以下、セメント設定値N)となるように水計量値Mに対するセメント量となる割合(W/C)を計算する(S5・ステップ5で「W/C」は水とセメントの割合である)。
次に、水計量値M÷W/C=自動補正セメント設定値Pを算出し(S6)、自動補正セメント設定値Pが算出されると、予め設定していある所定量のセメントに対して供給するべきベントナイト(添加剤)量のベントナイト設定値Bとなる割合(B/C)を計算する(S8)。次に、自動補正セメント設定値P÷割合(B/C)=自動補正ベントナイト設定値Rを算出する(S9)。
そこで、自動補正ベントナイト設定値Rは、ミキサー3に実際に供給するべきセメント量に基づいて算出されたベントナイト量となるので、自動補正ベントナイト設定値Rを制御部(操作盤)45の制御に反映させる(S10)。
【0036】
すると、制御部(操作盤)45による制御はベントナイト設定値Bであるか否かの判定を行って(S11)、自動補正ベントナイト設定値Rに基づいて、ベントナイトをミキサー3に供給し、ベントナイトがミキサー3に供給されると、重量計測器25がミキサー3の重量を計測し、自動補正ベントナイト設定値Rとなるようにベントナイトが供給されると、ベントナイトの供給を停止させる(S12)。
ここで、ミキサー3には、正確な割合の水とベントナイトが供給されたことになり、ベントナイトの供給を停止させると、ミキサー3の撹拌モーター27に通電して撹拌翼26を回転させ、所定時間混練する(S13)。
所定時間混練されると、ミキサー3の撹拌翼26は自動停止させられる。
次に、自動補正セメント設定値Pに基づいたセメント量となるように、サイロ5の搬送装置9を駆動して本発明の図5、7、8のそれぞれのフローに基づいてセメントをミキサー3に供給する(S14)。
【符号の説明】
【0037】
1…バッチャープラント、2…枠フレーム体、3…ミキサー、4…アジテータ、5…サイロ、6…外部補給サイロ、7…補給搬送ホース、8…貯水タンク、9…搬送装置、10…供給流路、11…排出ホース、12…セメント供給管、13…開閉バルブ、14…セメント容量検出器、18…給水ポンプ、19…給水ホース、20…内部供水管、21…開閉バルブ、22…給水用モータ、24…混練用樋、25…重量計測器、26…撹拌翼、27…撹拌モーター、28…排出口、29…開閉バルブ、30…貯留樋、31…回転翼、32…駆動モーター、40…搬送ホース、41…搬送ポンプ、45…制御部(操作盤)、46…表示操作部(タッチパネル)、47…運転切替スイッチ、55…非常停止ボタン、56…制御電源ランプ、57…非常停止ランプ、58…運時間表示部、59…記録用プリンタ、60…挿入口、61…データ入力部、63…記憶部、65…中扉、66…窓。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12