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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082844
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 16/00 20060101AFI20240613BHJP
   B41M 3/00 20060101ALI20240613BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240613BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240613BHJP
   B65H 39/14 20060101ALI20240613BHJP
   B65H 16/00 20060101ALI20240613BHJP
   B65H 18/00 20060101ALI20240613BHJP
   B65H 20/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B41F16/00 A
B41F16/00 C
B41F16/00 J
B41M3/00 Z
B65H7/14
B65H5/06 H
B65H39/14
B65H16/00
B65H18/00
B65H20/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196997
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠也
(72)【発明者】
【氏名】山田 英哲
(72)【発明者】
【氏名】末安 雅人
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修史
【テーマコード(参考)】
2H113
3F048
3F049
3F050
3F052
3F055
3F103
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113BA22
2H113BA23
2H113BA24
3F048AA01
3F048AB01
3F048AB06
3F048AB07
3F048BA05
3F048BA07
3F048BB03
3F048BB04
3F048CA03
3F048CC01
3F048DA06
3F048DB02
3F048DB06
3F048DB09
3F048DC11
3F048EB37
3F049DA12
3F049DA19
3F049DB04
3F049EA28
3F049LA01
3F049LB01
3F049LB08
3F049LB10
3F050BB01
3F050BB07
3F050BE19
3F050CE08
3F050LA01
3F050LB01
3F050LB08
3F050LB10
3F052AA04
3F052AA06
3F052AB04
3F052BA14
3F052CA08
3F052DA15
3F055AA06
3F055AA10
3F055CA01
3F055DA01
3F055FA17
3F103AA04
3F103AA05
3F103BA25
3F103EA15
(57)【要約】
【課題】シート搬送中にシートが箔転写部に引っ掛かることを抑制する。
【解決手段】箔転写装置は、供給リールと、巻取リールと、箔転写部と、シート幅を検出する第1センサと、箔幅と箔位置を検出する第2センサと、制御部とを備える。箔転写部は、加熱回転体と、加圧回転体と、加熱回転体を圧接位置および離間位置に移動させるアクチュエータとを有する。制御部は、画像が形成されていない領域で加熱回転体を離間位置に位置させるフォイルセーブモード(FSモード)を実行可能である。制御部は、第1センサおよび第2センサの検出結果に基づいて、幅方向においてシートの全部が箔フィルムと重なると判定した場合(S14,Yes)、フォイルセーブモードの実行を禁止せず(S50)、幅方向においてシートの少なくとも一部が箔フィルムと重ならないと判定した場合(S14,No)、原則としてフォイルセーブモードの実行を禁止する(S30)。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムが巻回される供給リールと、
前記供給リールからの箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
前記供給リールから前記巻取リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねてシートに形成された画像に箔を転写する箔転写部であって、
箔フィルムおよびシートを加熱する加熱回転体と、
前記加熱回転体に圧接した状態で前記加熱回転体との間で箔フィルムとシートを搬送する加圧回転体と、
前記加熱回転体および前記加圧回転体が互いに圧接する圧接位置と、前記加熱回転体および前記加圧回転体が互いに離間する離間位置と、の間で前記加熱回転体および前記加圧回転体の少なくとも一方を移動させるアクチュエータと、を有する箔転写部と、
シートの搬送経路を通過するシート幅を検出可能な第1センサと、
箔フィルムの箔幅、および、シートの幅方向における箔フィルムの位置である箔位置を検出可能な第2センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
シートに形成された画像に箔を転写する場合において、画像が形成されていない領域が転写位置を通過するタイミングで前記加熱回転体および前記加圧回転体の少なくとも一方を前記離間位置に位置させ、画像が形成された領域が転写位置に到達するタイミングで前記加熱回転体および前記加圧回転体の少なくとも一方を前記圧接位置に位置させるように、前記アクチュエータを制御するフォイルセーブモードを実行可能であり、
前記第1センサが検出した前記シート幅と、前記第2センサが検出した前記箔幅および前記箔位置と、に基づいて、前記幅方向においてシートの全部が箔フィルムと重なると判定した場合、前記フォイルセーブモードの実行を禁止せず、
前記第1センサが検出した前記シート幅と、前記第2センサが検出した前記箔幅および前記箔位置と、に基づいて、前記幅方向においてシートの少なくとも一部が箔フィルムと重ならないと判定した場合、前記フォイルセーブモードの実行を禁止することを特徴とする箔
【請求項2】
前記制御部は、前記シート幅が前記箔幅より大きい場合、シートの少なくとも一部が前記幅方向において箔フィルムと重ならないと判定することを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記箔幅が半幅であり、かつ、前記箔位置が片寄せである場合、シートの少なくとも一部が前記幅方向において箔フィルムと重ならないと判定することを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記第1センサは、シートの搬送経路を通過するシートの像であるシート像を取得可能なイメージセンサであり、
前記制御部は、前記イメージセンサが取得したシート像から前記シート幅を取得可能であることを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記制御部は、
第1センサが検出したシート像からシートの前端が搬送経路の上側に向けて湾曲しているか否かを判定可能であり、
シートの前端が上側に向けて湾曲していると判定した場合、シートの少なくとも一部が前記幅方向において箔フィルムと重ならないと判定した場合であっても、前記フォイルセーブモードの実行を禁止しないことを特徴とする請求項4に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1センサが検出した前記シート幅が、第1幅より小さいと判定した場合、前記加熱回転体および前記加圧回転体の少なくとも一方を前記圧接位置から前記離間位置に移動させる離間動作を第1所定枚数ごとに実行することを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記加熱回転体は、シートの幅方向における中央部を加熱する中央ヒータと、シートの幅方向における両端部を加熱するサイドヒータと、を有し、
前記制御部は、
前記箔幅および前記箔位置に基づいて、前記箔フィルムが前記幅方向における前記加熱回転体の両端部の少なくとも一方を通過すると判定した場合には、前記中央ヒータを点灯し、かつ、前記サイドヒータを点灯し、
前記箔幅および前記箔位置に基づいて、前記箔フィルムが前記幅方向における前記加熱回転体の中央部のみを通過すると判定した場合には、前記中央ヒータを点灯し、かつ、前記サイドヒータを消灯することを特徴とする請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記シート幅が前記第1幅より小さい第2幅未満である場合、前記中央ヒータを点灯し、前記サイドヒータを消灯し、前記離間動作を前記第1所定枚数より多い枚数である第2所定枚数ごとに実行することを特徴とする請求項7に記載の箔転写装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1センサが検出した前記シート幅と、前記第2センサが検出した前記箔幅および前記箔位置と、に基づいて、前記幅方向においてシートの少なくとも一部が箔フィルムと重ならないと判定した場合、ユーザに前記フォイルセーブモードを実行するか否かの確認を報知し、前記フォイルセーブモードを実行する指示がユーザにより入力された場合、前記フォイルセーブモードの実行を許可し、前記フォイルセーブモードを実行する指示がユーザにより入力されない場合、前記フォイルセーブモードの実行を禁止することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の1項に記載の箔転写装置。
【請求項10】
前記加熱回転体は、加熱ローラであり、前記加圧回転体は、加圧ローラであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項11】
メッセージを表示可能なパネルをさらに備え、
前記制御部は、前記フォイルセーブモードの実行を許可する第1モードであるか、前記フォイルセーブモードの実行を禁止する第2モードであるかを前記パネルに表示することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔フィルムにシートを重ねて箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
箔フィルムにシートを重ねた状態で、加熱回転体と加圧回転体で圧接することで箔を転写する箔転写装置が知られている(特許文献1)。この箔転写装置では、箔を節約するために、画像が形成されていない領域では、加熱回転体と加圧回転体を離間し、画像が形成されている領域だけ加熱回転体と加圧回転体を圧接するフォイルセーブモードを実行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-160295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フォイルセーブモードを実行している間は、箔転写部を構成する加熱回転体と加圧回転体が圧接状態となったり離間状態となったりするため、シートの搬送中に箔転写部に引っ掛かってしまうことがあり、特に、シートの少なくとも一部が箔フィルムと重ならない場合にシートが箔転写部に引っ掛かりやすいという問題点があった。
【0005】
そこで、箔転写装置において、シートの搬送中にシートが箔転写部に引っ掛かってしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る箔転写装置は、供給リールと、巻取リールと、箔転写部と、第1センサと、第2センサと、制御部と、を備える。
供給リールは、箔を含む箔フィルムが巻回される。巻取リールは、供給リールからの箔フィルムを巻き取る。箔転写部は、供給リールから巻取リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねてシートに形成された画像に箔を転写する。箔転写部は、加熱回転体と、加圧回転体と、アクチュエータと、を有する。加熱回転体は、箔フィルムおよびシートを加熱する。加圧回転体は、加熱回転体に圧接した状態で加熱回転体との間で箔フィルムとシートを搬送する。アクチュエータは、加熱回転体および加圧回転体が互いに圧接する圧接位置と、加熱回転体および加圧回転体が互いに離間する離間位置と、の間で加熱回転体および加圧回転体の少なくとも一方を移動させる。第1センサは、シートの搬送経路を通過するシート幅を検出可能である。第2センサは、箔フィルムの箔幅、および、シートの幅方向における箔フィルムの位置である箔位置を検出可能である。
制御部は、シートに形成された画像に箔を転写する場合において、画像が形成されていない領域が転写位置を通過するタイミングで加熱回転体および加圧回転体の少なくとも一方を離間位置に位置させ、画像が形成された領域が転写位置に到達するタイミングで加熱回転体および加圧回転体の少なくとも一方を圧接位置に位置させるように、アクチュエータを制御するフォイルセーブモードを実行可能である。
制御部は、第1センサが検出したシート幅と、第2センサが検出した箔幅および箔位置と、に基づいて、幅方向においてシートの全部が箔フィルムと重なると判定した場合、フォイルセーブモードの実行を禁止しない。
制御部は、第1センサが検出したシート幅と、第2センサが検出した箔幅および箔位置と、に基づいて、幅方向においてシートの少なくとも一部が箔フィルムと重ならないと判定した場合、フォイルセーブモードの実行を禁止する。
【0007】
制御部が幅方向においてシートの少なくとも一部が箔フィルムと重ならないと判定した場合、フォイルセーブモードの実行を禁止するため、シートの搬送中にシートが箔転写部に引っ掛かってしまうことを抑制できる。
【0008】
また、制御部は、シート幅が箔幅より大きい場合、シートの少なくとも一部が幅方向において箔フィルムと重ならないと判定する構成としてもよい。
【0009】
また、制御部は、箔幅が半幅であり、かつ、箔位置が片寄せである場合、シートの少なくとも一部が幅方向において箔フィルムと重ならないと判定する構成としてもよい。
【0010】
また、第1センサは、シートの搬送経路を通過するシートの像であるシート像を取得可能なイメージセンサであり、制御部は、イメージセンサが取得したシート像からシート幅を取得可能である構成としてもよい。
【0011】
第1センサがイメージセンサであるため、制御部はあらゆるシートのシート幅を正確に取得可能である。
【0012】
また、制御部は、第1センサが検出したシート像からシートの前端が搬送経路の上側に向けて湾曲しているか否かを判定可能であり、シートの前端が上側に向けて湾曲していると判定した場合、シートの少なくとも一部が幅方向において箔フィルムと重ならないと判定した場合であっても、フォイルセーブモードの実行を禁止しない構成としてもよい。
【0013】
制御部は、シートの前端が上側に向けて湾曲していると判定した場合、シートの少なくとも一部が幅方向において箔フィルムと重ならないと判定した場合であっても、フォイルセーブモードの実行を禁止しないため、不必要にフォイルセーブモードを禁止することを抑制できる。
【0014】
また、制御部は、第1センサが検出したシート幅が、第1幅より小さいと判定した場合、加熱回転体および加圧回転体の少なくとも一方を圧接位置から離間位置に移動させる離間動作を第1所定枚数ごとに実行する構成としてもよい。
【0015】
第1センサが検出したシート幅が、第1幅より小さいと判定した場合、離間動作を第1所定枚数ごとに実行することで、箔の圧縮ひずみにより蓄積したシワがリセットされるため、箔フィルムのシワの発生を抑制できる。
【0016】
また、加熱回転体は、シートの幅方向における中央部を加熱する中央ヒータと、シートの幅方向における両端部を加熱するサイドヒータと、を有し、制御部は、箔幅および箔位置に基づいて、箔フィルムが幅方向における加熱回転体の両端部の少なくとも一方を通過すると判定した場合には、中央ヒータを点灯し、かつ、サイドヒータを点灯し、箔幅および箔位置に基づいて、箔フィルムが幅方向における加熱回転体の中央部のみを通過すると判定した場合には、中央ヒータを点灯し、かつ、サイドヒータを消灯する構成としてもよい。
【0017】
制御部は箔フィルムが加熱回転体の両端部を通過しない場合、サイドヒータを消灯するため、不要な加熱を抑制できる。
【0018】
また、制御部は、シート幅が前記第1幅より小さい第2幅未満である場合、中央ヒータを点灯し、サイドヒータを消灯し、離間動作を前記第1所定枚数より多い枚数である第2所定枚数ごとに実行する構成としてもよい。
【0019】
制御部はシート幅が第2幅未満である場合、離間動作を第2所定枚数ごとに実行するため、第1所定枚数ことに離間動作を実行する場合に比べて、離間動作によって箔転写の終了が遅くなることを抑制できる。
【0020】
制御部は、第1センサが検出したシート幅と、第2センサが検出した箔幅および箔位置とに基づいて、幅方向においてシートの少なくとも一部が箔フィルムと重ならないと判定した場合、ユーザに前記フォイルセーブモードを実行するか否かの確認を報知し、フォイルセーブモードを実行する指示がユーザにより入力された場合、フォイルセーブモードの実行を許可し、フォイルセーブモードを実行する指示がユーザにより入力されない場合、前記フォイルセーブモードの実行を禁止する構成としてもよい。
【0021】
また、加熱回転体は、加熱ローラであり、加圧回転体は、加圧ローラである構成としてもよい。
【0022】
また、メッセージを表示可能なパネルをさらに備え、制御部は、フォイルセーブモードの実行を許可する第1モードであるか、フォイルセーブモードの実行を禁止する第2モードであるかをパネルに表示する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、シートの搬送中にシートが箔転写部に引っ掛かってしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
図3】加熱回転体の断面図である。
図4】第1フィルムユニット(a)と、第2フィルムユニット(b)と、第3フィルムユニット(c)を示す斜視図である。
図5】3つのフィルムセンサを示す図(a)と、各センサの判定結果を示す表(b)である。
図6】シートの前端がカールなしの場合におけるCIS画像およびシートのカール状態(a)と、下カールの場合におけるCIS画像およびシートのカール状態(b)と、上カールの場合におけるCIS画像およびシートのカール状態(c)である。
図7】フォイルセーブモードにおける圧接・離間のタイミングを説明する図である。
図8】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図9図8の続きのフローチャートである。
図10】シート幅と箔幅の比較判定処理を示すフローチャートである。
図11】FSモード実行可否確認処理を示すフローチャートである。
図12】離間動作モードの設定処理を示すフローチャートである。
図13】シート幅と箔幅に対応して制御部が設定するモードの一覧表である。
図14】第1フィルムユニットにA4サイズのシートを搬送した場合(a)と、第2フィルムユニットにA4サイズのシートを搬送した場合(b)と、第3フィルムユニットにA4サイズのシートを搬送した場合(a)を示す斜視図である。
図15】第1フィルムユニットにA6サイズのシートを搬送した場合(a)と、第2フィルムユニットにA6サイズのシートを搬送した場合(b)と、第3フィルムユニットにA6サイズのシートを搬送した場合(a)を示す斜視図である。
図16】第1フィルムユニットにA7サイズのシートを搬送した場合(a)と、第2フィルムユニットにA7サイズのシートを搬送した場合(b)と、第3フィルムユニットにA7サイズのシートを搬送した場合(a)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、箔を含む箔フィルムFにシートSを重ねて、シートS上の画像に箔を転写する装置である。例えば、箔転写装置1は、レーザプリンタなどの画像形成装置でシートSにトナー像などの画像を形成した後、シートSの画像の上にアルミニウムなどの箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成する。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、箔転写部50と、モータMとを備えている。
【0026】
筐体2は、樹脂などからなり、装置本体21と、カバー22とを備えている。
装置本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、装置本体21に後述するフィルムカートリッジFCを着脱するための開口である。
カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、装置本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
【0027】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルムなどのシートSがセットされるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、画像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上にセットされる。
なお、本実施形態では、箔転写可能なシート幅の最大が210mmである。また、本実施形態では、シートトレイ3上にセットされたシートSは、中央に寄せた状態で搬送されるものとする。
【0028】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート搬送部10は、モータMによって回転駆動されることでシートSを搬送する。
シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを1枚ずつ箔転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、搬送ローラとしての上流側搬送ローラ11Cとを備えている。
【0029】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3にセットされたシートSをピックアップするローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。ピックアップローラ11Aは、シートSをピックアップする場合には、例えば、ピックアップローラ11Aが1回転する時間だけ駆動する。
【0030】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0031】
上流側搬送ローラ11Cは、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。上流側搬送ローラ11Cは、シートSの搬送方向において箔転写部50の直前に配置された搬送ローラである。詳しくは、上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと箔転写部50との間に配置されている。上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11AによりピックアップされたシートSを箔転写部50に向けて搬送する。
【0032】
シート排出機構12は、箔転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、下流側搬送ローラ12Aと、排出ローラ12Bとを備えている。
【0033】
下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。下流側搬送ローラ12Aは、箔転写部50と排出ローラ12Bとの間に配置され、箔転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに搬送する。排出ローラ12Bは、シートSの搬送方向において下流側搬送ローラ12Aの下流側に配置され、下流側搬送ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に排出する。
【0034】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムカートリッジFCを備えている。
【0035】
フィルムカートリッジFCは、図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して装置本体21に着脱可能となっている。フィルムカートリッジFCは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムカートリッジFCの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0036】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。
支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。
【0037】
被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0038】
転写層F22は、画像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウムなどの薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0039】
接着層F23は、転写層F22を画像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、箔転写部50によって加熱された画像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0040】
図1(a)に示すように、供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。巻取リール35は、樹脂などからなり、供給リール31からの箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。巻取リール35は、モータMによって回転駆動されることで箔フィルムFを巻き取る。なお、図1などにおいては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示している。
【0041】
第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する軸である。
【0042】
第1案内軸41は、画像を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された箔フィルムFを下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された箔フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に箔フィルムFを案内する。
【0043】
第2案内軸42は、箔転写部50を通過した箔フィルムFと接触し、箔転写部50を通過した箔フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更している。箔転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された箔フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
【0044】
箔転写部50は、供給リール31から巻取リール35に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねてシートSと箔フィルムFを挟んだ状態で加熱および加圧することで、シートSに形成された画像の上に箔を含む転写層F22を転写するための部分である。箔転写部50は、加圧回転体の一例としての加圧ローラ51と、加熱回転体の一例としての加熱ローラ60と、アクチュエータ70とを備えている。
【0045】
加圧ローラ51は、加熱ローラ60との間で箔フィルムFとシートSを挟むローラであり、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆してなる。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの、画像が形成された面と反対側の面と接触可能となっている。加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ60に圧接した状態で加熱ローラ60との間で箔フィルムFとシートSを搬送する。
【0046】
加熱ローラ60は、箔フィルムFおよびシートSを加熱するローラである。加熱ローラ60は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触可能となっている。図3に示すように、加熱ローラ60は、ローラ61と、中央ヒータ62と、サイドヒータ63とを有している。
【0047】
ローラ61は、円筒状に形成された金属管である。ローラ61は、中央ヒータ62およびサイドヒータ63に加熱され、箔フィルムFと接触して、箔フィルムFおよびシートSを加熱する。中央ヒータ62は、シートSの幅方向における中央部を加熱する。ヒータである。中央ヒータ62は、幅方向における中央部62Aの出力が幅方向における両端部62Bより出力が高い。サイドヒータ63は、シートSの幅方向における両端部を加熱する。サイドヒータ63は、幅方向における両端部63Bの出力が幅方向における中央部63Aより出力が高い。
【0048】
アクチュエータ70は、加熱ローラ60および加圧ローラ51が互いに圧接する圧接位置(図1において実線で示す。)と、加熱ローラ60および加圧ローラ51が互いに離間する離間位置(図1において二点鎖線で示す。)と、加熱ローラ60を移動させる部材である。
【0049】
加圧ローラ51および加熱ローラ60は、圧接した状態で駆動することによって箔フィルムFとシートSを搬送可能である。詳しくは、加圧ローラ51は、加熱ローラ60が圧接位置にある状態で、モータMによって回転駆動されることで加熱ローラ60を従動回転させる。これにより、加圧ローラ51および加熱ローラ60は、加圧ローラ51と加熱ローラ60との間に挟まれる箔フィルムFとシートSを搬送する。
【0050】
このように構成された箔転写装置1では、画像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3にセットされたシートSが、シート供給機構11により1枚ずつ箔転写部50に向けて搬送される。シートSは、箔転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSの画像と箔フィルムFが接触した状態で箔転写部50に搬送される。
【0051】
箔転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ60の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ60と加圧ローラ51により加熱および加圧され、シートSに形成された画像の上に箔を含む転写層F22が転写される。なお、以下の説明では、シートSへの箔の転写を、単に「箔転写」とも称する。
【0052】
箔転写が行われた後、シートSと箔フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離される。
【0053】
シートSから剥離された箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0054】
箔転写装置1には、箔フィルムFの幅と位置が異なるフィルムカートリッジFCを装着することが可能である。例えば、図4(a),(b),(c)に示すように、箔転写装置1には、第1フィルムカートリッジFC1、第2フィルムカートリッジFC2、または、第3フィルムカートリッジFC3を装着可能である。
【0055】
第1フィルムカートリッジFC1、第2フィルムカートリッジFC2、および、第3フィルムカートリッジFC3の供給リール31は、円筒状の供給ケース32に覆われている。)供給ケース32は、供給リール31を収容する中空のケースである。供給ケース32は、樹脂などからなり、略円筒状の外周壁32Aと、外周壁32Aに設けられた3つの凹部32Dが供給リール31の軸方向に並んで形成されている。
【0056】
ここで、図4(a)に示すように、幅がH1である箔フィルムFを有する第1フィルムカートリッジFC1が装着されたフィルムユニットFUを第1フィルムユニットFU1と呼ぶ。幅H1は、フィルムユニットFUに配置可能な箔フィルムFの最大幅であり、一例として、220mmである。第1フィルムユニットFU1は、外周壁32Aに形成された3つの凹部32Dのすべてに識別子としての係合片P1,P2,P3が固定されている。
【0057】
図4(b)に示すように、幅がH2である箔フィルムFを有し、箔フィルムFが中央に寄せられて配置された第2フィルムカートリッジFC2が装着されたフィルムユニットを第2フィルムユニットFU2と呼ぶ。幅H2は、幅H1より小さく、一例として、100mmである。第2フィルムユニットFU2は、外周壁32Aに形成された3つの凹部32Dのうち、左右両側の2つの凹部32Dには係合片P1,P3が固定されており、中央の凹部32Dには係合片が固定されていない。
【0058】
図4(c)に示すように、幅がH3である箔フィルムFを有し、箔フィルムFが箔フィルムFの幅方向の片側に寄せられて配置された第3フィルムカートリッジFC3が装着されたフィルムユニットを第3フィルムユニットFU3と呼ぶ。幅H3は、幅H1より小さく、一例として、110mmである。第3フィルムユニットFU3は、外周壁32Aに形成された3つの凹部32Dのうち、中央の凹部32Dと、左右片側の凹部32Dに係合片P1,P2が固定されており、左右片側のもう一方の凹部32Dには係合片が固定されていない。
【0059】
箔転写装置1は、第1センサの一例としてのCIS(Contact Image Sensor)センサ100と、第2センサの一例としての箔幅センサ200と、制御部300と、パネルPAと、をさらに備えている。
【0060】
CISセンサ100は、搬送経路を通過するシートSのシートの像であるシート像を検出可能なイメージセンサである。CISセンサ100は、例えば、LEDなどの光源と、シートSの幅方向に沿って並んで配置された受光素子と、光源や受光素子を収容するセンサ筐体とを備えるラインセンサである。本実施形態では、CISセンサ100は、シートSの搬送方向においてピックアップローラ11Aと上流側搬送ローラ11Cの間に配置されている。制御部300は、CISセンサ100が検出したシート像からシート幅を取得可能である。
【0061】
また、CISセンサ100は、シートSの前端におけるカール状態を検出可能である。制御部300は、CISセンサ100が検出したシート前端のシート像から、シートSの前端が搬送経路の上側に向けて湾曲しているか(以下の説明では、「上カール状態」という。)否かを判定可能である。
【0062】
具体的には、CISセンサ100が検出したシート前端のシート像の影が図6(a)のように、搬送方向と略平行であった場合、制御部300は、シートSが上側にも下側にも湾曲していない(以下の説明では、「カールなし状態」という。)と判定する。例えば、シートSの前端から第1距離L1における幅方向のシート像の影の寸法a1の、シートSの前端から、第1距離L1より大きい第2距離L2における幅方向のシート像の影の寸法a2に対する割合が所定範囲(例えば70~130%)以内であれば、カールなし状態と判定する。なお、一例として、第1距離L1は5mm、第2距離は10mmである。
【0063】
また、CISセンサ100が検出したシート前端のシート像の影が図6(b)のように、前端に近づくほど外側に広がっていれば、制御部300は、シートSが下側に湾曲している(以下の説明では「下カール状態」という。)と判定する。例えば、シートSの前端から第1距離L1における幅方向のシートSの影の寸法b1の、シートSの前端から第2距離L2における幅方向の影の寸法b2に対する割合が所定範囲(例えば70~130%)より大きければ、下カール状態であると判定する。
【0064】
また、CISセンサ100が検出したシート前端のシート像の影が図6(c)のように、前端に近づくほど内側に収束していれば、制御部300は、シートSが上側に湾曲している(以下の説明では「上カール状態」という。)と判定する。例えば、シートSの前端から第1距離L1における幅方向のシートSの影の寸法c1の、シートSの前端から第2距離L2における幅方向の影の寸法c2に対する割合が所定範囲(例えば70~130%)より小さければ、上カール状態であると判定する。
【0065】
また、CISセンサ100は、ピックアップローラ11Aと上流側搬送ローラ11Cの間を搬送されるシートSの下側の面と向かい合うように配置されている。これにより、CISセンサ100は、シートSが、画像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3にセットされた場合、シートSに形成された画像を読取可能である。
【0066】
図5に戻り、箔幅センサ200は、箔フィルムFの箔幅、および、シートSの幅方向における箔フィルムFの位置である箔位置を検出可能である。本実施形態では、箔幅センサ200は、第1箔幅センサ201と、第2箔幅センサ202と、第3箔幅センサ203と、を有する。第1箔幅センサ201、第2箔幅センサ202および第3箔幅センサ203は、フィルムユニットFUが装置本体21に装着された状態で、供給ケース32の外周壁32Aに形成された3つ凹部32Dに対応する位置に配置されている。
【0067】
図5(b)に示すように、第1フィルムユニットFU1が装置本体21に装着されると、3つの係合片P1,P2,P3と係合して、第1箔幅センサ201、第2箔幅センサ202および第3箔幅センサ203がLOW信号を制御部300に送る。
第2フィルムユニットFU2が装置本体21に装着されると、2つの係合片P1,P3と係合して、第1箔幅センサ201および第3箔幅センサ203がLOW信号を制御部300に送る。
第3フィルムユニットFU3が装置本体21に装着されると、2つの係合片P1,P2と係合して、第1箔幅センサ201および第2箔幅センサ202がLOW信号を制御部300に送る。
【0068】
制御部300は、第1箔幅センサ201、第2箔幅センサ202、第3箔幅センサ203からの信号を受けることで、第1フィルムユニットFU1、第2フィルムユニットFU2または第3フィルムユニットFU3のどれが装置本体21に装着されているのか判断することができる。
【0069】
制御部300は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えており、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって制御を実行する。制御部300は、CISセンサ100および箔幅センサ200で読み取った情報に基づいて箔転写部50を制御するように構成されている。
【0070】
図1に示すように、パネルPAは、カバー22の上面に設けられている。パネルPAは、メッセージを表示可能なパネルである。ユーザは、パネルPAに表示されたメッセージを読むことで、箔転写装置1を操作可能である。
【0071】
ここで、制御部300が実行する制御について説明する。
【0072】
制御部300は、フォイルセーブモード(以下の説明では「FSモード)という。)を実行可能である。FSモードは、箔フィルムFを節約するために、シートS上に画像が形成されていない領域が箔転写部50を通過している間は加熱ローラ60を離間させておき、シートS上に画像が形成されている領域が箔転写部50を通過している間だけ加熱ローラ60を圧接するモードである。すなわち、FSモードでは、制御部300は、シートSに形成された画像に箔を転写する場合において、画像が形成されていない領域が転写位置を通過するタイミングで加熱ローラ60を離間位置に位置させ、画像が形成された領域が転写位置に到達するタイミングで加熱ローラ60を圧接位置に位置させるように、アクチュエータ70を制御する。なお、ユーザは、FSモードを有効にするか否かの選択が可能である。
【0073】
具体的には、図7(a)のように、シートSの搬送方向における下流側が空白領域BAであり、上流側にのみ画像形成領域TAが形成されている場合、制御部300は、空白領域BAの途中まで、加熱ローラ60を離間させておき、空白領域BAの途中から画像形成領域TAが通過してしばらく経つまで加熱ローラ60を圧接させる。
また、図7(b)のように、シートSの搬送方向における下流部および上流部が空白領域BAであり、中央にのみ画像形成領域TAが形成されている場合、制御部300は、画像形成領域TAの少し前から通過してしばらく経つまでの間だけ加熱ローラ60を圧接させる。
図7(c)のように、シートSの搬送方向における上流側が空白領域BAであり、上流側にのみ画像形成領域TAが形成されている場合、制御部300は、シート前端から画像形成領域TAが通過してしばらく経つまで加熱ローラ60を圧接させ、その後、離間させる。
【0074】
制御部300は、箔幅センサ200が取得した箔幅および箔位置に基づいて、箔フィルムFが幅方向における加熱ローラ60の両端部の少なくとも一方を通過すると判定した場合には、加熱ローラ60の全体を加熱する必要があるため、中央ヒータ62を点灯(ON)し、かつ、サイドヒータ63を点灯(ON)する。具体的には、制御部300は、装置本体21に装着されたフィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1、または、第3フィルムユニットFU3であると判定した場合、中央ヒータ62およびサイドヒータ63を点灯(ON)する。なお、各ヒータを点灯するタイミングは、電源がONされたときでもよいし、スタートボタンが押されたときでもよい。
【0075】
一方、制御部300は、箔幅および箔位置に基づいて、箔フィルムFが幅方向における加熱ローラ60の中央部のみを通過すると判定した場合には、加熱ローラ60の全体を加熱する必要がないため、中央ヒータ62を点灯(ON)し、かつ、サイドヒータ63を消灯(OFF)する。具体的には、制御部300は、装置本体21に装着されたフィルムユニットFUが第2フィルムユニットFU2であると判定した場合、中央ヒータ62を点灯(ON)し、サイドヒータ63を消灯(OFF)する。なお、中央ヒータ62を点灯するタイミングは、電源がONされたときでもよいし、スタートボタンが押されたときでもよい。
【0076】
制御部300は、例えば、ユーザによって、スタートボタンが押された場合、箔転写を実行するために、シートSの搬送を開始する。シートSの搬送が開始されて、シートSがCISセンサ100に到達すると、CISセンサ100によりシートSの読取が開始される。制御部300は、CISセンサ100の読取情報からシート幅を取得し、シート幅と箔幅の比較判定処理を実行する。
【0077】
制御部300は、シート幅と箔幅の比較判定処理において、装置本体21に装着されたフィルムカートリッジFCが第1フィルムユニットFU1であると判定した場合、シートSの幅によらず、必ずシートSが箔フィルムFと重なるので、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定する。すなわち、制御部300は、箔幅が全幅である場合、シートSの全部が幅方向において箔フィルムFと重なると判定する。
【0078】
また、制御部300は、シート幅と箔幅の比較判定処理において、装置本体21に装着されたフィルムユニットFUが第2フィルムユニットFU2であると判定した場合、シートSの幅が所定幅以下である場合、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定し、シートSの幅が所定幅より大きい場合、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定しない。所定幅は、例えば110mmである。
【0079】
また、制御部300は、シート幅と箔幅の比較判定処理において、装置本体21に装着されたフィルムユニットFUが第3フィルムユニットFU3であると判定した場合、シートSの幅によらず、シートSが箔フィルムFからはみ出すので、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定しない。すなわち、制御部300は、箔幅が半幅であり、かつ、箔位置が片寄せである場合、シートSの少なくとも一部が幅方向において箔フィルムFと重ならないと判定する。
【0080】
制御部300は、シート幅と箔幅の比較判定処理の実行の結果、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定しなかった場合、FSモード実行可否確認処理を実行し、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定した場合、離間動作モードの設定処理を実行し、箔転写を開始する。
【0081】
制御部300は、FSモード実行可否確認処理において、FSモードが有効でなければ、FSモード実行可否確認をする必要がないので、そのまま箔転写を開始する。
【0082】
制御部300は、FSモード実行可否確認処理において、シートSの前端が上カール状態であると判定した場合、シートSの少なくとも一部が幅方向において箔フィルムFと重ならないと判定した場合であっても、FSモードの実行を禁止しない、すなわち、FSモードの実行を許可する第1モードとする。
【0083】
制御部300は、幅方向においてシートSの少なくとも一部が箔フィルムFと重ならないと判定した場合、ユーザに前記FSモードを実行するか否かの確認をパネルPAによって報知する。ユーザは、制御部300の報知に応じて、パネルから指示を入力することで箔転写の実行を中止できる。
【0084】
制御部300は、幅方向においてシートSの全部が箔フィルムFと重なると判定した場合であっても、FSモードを実行する指示がユーザにより入力された場合、シートSの少なくとも一部が幅方向において箔フィルムFと重ならないと判定した場合であっても、FSモードの実行を許可する第1モードとする。
【0085】
逆に、ユーザによりFSモードを禁止してもよいことが確認されれば、制御部300は、FSモードの実行を禁止する第2モードとする。すなわち、制御部300は、パネルPAに報知した後、FSモードを実行する指示がユーザにより入力されない場合、FSモードの実行を禁止する第2モードとする。
【0086】
制御部300は、FSモードの実行を許可する第1モードであるか、FSモードの実行を禁止する第2モードであるかをパネルPAに表示する。
【0087】
制御部300は、離間動作モードの設定処理において、装置本体21に装着されたフィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であると判定しなかった場合、箔フィルムFのシワは発生しにくいので非離間モードとする。非離間モードは、連続して箔転写を実行する場合であっても、その間に加熱ローラ60を圧接位置から離間位置に移動させる離間動作を実行しないモードである。
【0088】
制御部300は、離間動作モードの設定処理において、装置本体21に装着されたフィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であると判定した場合、シート幅によって、第1離間モードまたは第2離間モードを選択する。
【0089】
制御部300は、CISセンサ100が検出したシート幅が、第1幅より小さいと判定した場合、第1離間モードとする。第1離間モードは、加熱ローラ60を圧接位置から離間位置に移動させる離間動作を第1所定枚数ごとに実行するモードである。第1所定枚数は、一例として5枚である。
【0090】
制御部300は、シート幅が第1幅より小さい第2幅未満である場合、中央ヒータ62を点灯(ON)し、サイドヒータ63を消灯し、第2離間モードとする。第2離間モードは、離間動作を第1所定枚数より多い枚数である第2所定枚数ごとに実行する。第2所定枚数は、一例として10枚である。
【0091】
次に、制御部300の動作の一例について説明する。
【0092】
図8に示すように、制御部300は、電源がONされたかを判定し(S1)、電源がONされたと判定した場合、箔幅センサ200から箔幅および箔位置を取得する(S2)。
【0093】
ステップS2の後、制御部300は、スタートボタンが押されたかを判定し(S3)、スタートボタンが押されたと判定した場合、装置本体21に装着されたフィルムユニットFUが第2フィルムユニットFU2であるかを判定する(S4)。
【0094】
ステップS4において、制御部300は、装置本体21に装着されたフィルムユニットFUが第2フィルムユニットFU2であると判定しなかった場合(S4,No)、装置本体21に挿入されているフィルムユニットFUは第1フィルムユニットFU1または第3フィルムユニットFU3であるので、中央ヒータ62をONし、サイドヒータ63をONする(S5)。
【0095】
ステップS4において、制御部300は、装置本体21に装着されたフィルムユニットFUが第2フィルムユニットFU2であると判定した場合(S4,Yes)、サイドヒータ63は点灯する必要がないので、中央ヒータ62をONし、サイドヒータ63をOFFする(S6)。
【0096】
図9に示すように、ステップS4またはステップS5の後、制御部300は、シートを搬送し(S11)、CISセンサ100により読取を開始する(S12)。そして、CISセンサ100の読取情報からシート幅を取得する(S13)。
【0097】
ステップS13の後、制御部300は、シート幅と箔幅の比較判定処理を実行する(S20)。
【0098】
図10に示すように、シート幅と箔幅の比較判定処理(S20)において、制御部300は、装着されたフィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であるかを判定する(S21)。
【0099】
ステップS21において、制御部300は、装着されたフィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であると判定した場合(S21,Yes)、シート幅は箔幅以下であるため、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定し(S24)、ステップS14に進む。
【0100】
ステップS21において、制御部300は、装着されたフィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であると判定しなかった場合(S21,No)、制御部300は、装着されたフィルムユニットFUが第3フィルムユニットFU3であるかを判定する(S22)。
【0101】
ステップS22において、制御部300は、装着されたフィルムユニットFUが第3フィルムユニットFU3であると判定した場合(S22,Yes)、シートSの幅方向の半分は箔フィルムFからはみ出るので、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定しないで(S25)、ステップS14に進む。
【0102】
ステップS22において、制御部300は、装着されたフィルムユニットFUが第3フィルムユニットFU3であると判定しなかった場合(S22,No)、装着されたフィルムユニットFUが第2フィルムユニットFU2であるため、シート幅が110mmより大きいかを判定する(S23)。
【0103】
ステップS23において、制御部300は、シート幅が110mmより大きいと判定しなかった場合(S23,No)、シート幅が箔幅より小さいため、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定し(S24)、ステップS14に進む。
【0104】
ステップS23において、制御部300は、シート幅が110mmより大きいと判定した場合(S23,Yes)、シート幅が箔幅より大きいため、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定しないで(S25)、ステップS14に進む。
【0105】
図9に戻り、シート幅と箔幅の比較判定処理(S20)において、制御部300は、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定しなかった場合(S14,No)、FSモード実行可否確認処理を実行し(S30)、シートSの全部が箔フィルムFと重なると判定した場合(S14,Yes)、離間動作モードの設定処理を実行する(S50)。制御部300は、FSモード実行可否確認処理(S30)、または、離間動作モードの設定処理(S50)を実行した後、箔転写を開始する(S15)。
【0106】
図11に示すように、制御部300は、FSモード実行可否確認処理(S30)において、FSモードが有効であるかを判定する(S31)。
【0107】
ステップS31において、制御部300は、FSモードが有効であると判定しなかった場合(S31,No)、FSモード実行可否確認処理をする必要がないので、ステップS15に進む。
【0108】
ステップS31において、制御部300は、FSモードが有効であると判定した場合(S31,Yes)、シートSの前端が上カールしているかを判定する(S32)。
【0109】
ステップS32において、制御部300は、シートSの前端が上カールしていると判定した場合(S32,Yes)、FSモードの実行を許可する第1モードとして(S39)、ステップS15に進む。
【0110】
ステップS32において、制御部300は、シートSの前端が上カールしていると判定しなかった場合(S32,No)、シートSの搬送を停止し(S33)、シートSの全部が箔フィルムと重ならないことをパネルPAに表示することでユーザに報知し、箔転写を実行するかユーザに確認する(S34)。
【0111】
ステップS34の後、制御部300は、箔転写を実行しないとユーザから指示を受けた場合(S35,No)、シートSを排出して箔転写の動作を終了する(S36)。制御部300は、箔転写を実行するとユーザから指示を受けた場合(S35,Yes)、FSモードを禁止しないとシートSが引っ掛かってしまう可能性が高いため、FSモードを禁止してもよいかパネルPAに表示してユーザに確認する(S37)。
【0112】
ステップS37の後、制御部300は、FSモードの禁止が選択されなかった場合(S38,No)、FSモードを許可する第1モードとし、FSモードの禁止が選択された場合(S38,Yes)、FSモードを禁止する第2モードとし、シートSの搬送を再開して(S41)、ステップS15に進む。
【0113】
図12に示すように、制御部300は、離間動作モードの設定処理(S50)において、装着されているフィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であるかを判定する(S51)。
【0114】
ステップS51において、制御部300は、装着されているフィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であると判定しなかった場合(S51,No)、サイドヒータ63がOFFであるので、離間動作モードを非離間モードとし(S52)、ステップS15に進む。
【0115】
ステップS51において、制御部300は、フィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であると判定した場合(S51,Yes)、シートSの幅が120mm以下であるかを判定する(S53)。
【0116】
ステップS53において、制御部300は、シートSの幅が120mm以下であると判定しなかった場合(S53,No)、シートSの幅が十分大きいので、離間動作モードを非離間モードとし(S52)、ステップS15に進む。
【0117】
ステップS53において、制御部300は、シートSの幅が120mm以下であると判定した場合(S53,Yes)、シートSの幅が100mm以下であるかを判定する(S54)。
【0118】
ステップS54において、制御部300は、シートSの幅が100mm以下であると判定しなかった場合(S54,No)、シートSの幅が100mmより大きくて120mmより小さいので、離間動作モードを第1離間モードとし(S55)、ステップS15に進む。
【0119】
ステップS54において、制御部300は、シートSの幅が100mm以下であると判定した場合(S54,Yes)、サイドヒータ63をOFFし(S56)、離間動作モードを第2離間モードとし(S56)、ステップS15に進む。
【0120】
次に、図13の一覧表を参照して、シート幅と箔幅が変わった場合に制御部300が設定するモードについて説明する。ここでは、シートSの前端が上カール状態ではないものとする。
なお、A4サイズに代表されるシート幅が120mmより大きいシートSを第1シートS1とする。A6サイズに代表されるシート幅が100mmより大きく120mm以下のシートSを第2シートS2とする。A7サイズに代表されるシート幅が100mm以下のシートSを第3シートS3とする。
【0121】
図14(a)に示すように、第1フィルムユニットFU1が装置本体21に装着された状態で、第1シートS1を箔転写する場合、第1シートS1の全部が箔フィルムFと重なるため、離間動作モードの設定処理(S50)を実行する。離間動作モードの設定処理において、制御部300は、フィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であり、シート幅が120mmより大きいので非離間モードを設定する(図13参照)。
【0122】
図14(b)に示すように、第2フィルムユニットFU2が装置本体21に装着された状態で、第1シートS1を箔転写する場合、第1シートS1の全部が箔フィルムFと重ならないため、FSモード実行可否確認処理(S30)を実行する。FSモード実行可否確認処理において、制御部300は、箔転写を実行するとユーザから指示を受け、かつ、FSモードの禁止が選択された場合、FSモードを禁止する第2モードを設定する(図13参照)。
【0123】
図14(c)に示すように、第3フィルムユニットFUが装置本体21に装着された状態で、第1シートS1を箔転写する場合、第1シートS1の全部が箔フィルムFと重ならないため、FSモード実行可否確認処理(S30)を実行する。FSモード実行可否確認処理において、制御部300は、箔転写を実行するとユーザから指示を受け、かつ、FSモードの禁止が選択された場合、FSモードを禁止する第2モードを設定する(図13参照)。
【0124】
図15(a)に示すように、第1フィルムユニットFU1が装置本体21に装着された状態で、第2シートS2を箔転写する場合、第2シートS2の全部が箔フィルムFと重なるため、離間動作モードの設定処理(S50)を実行する。離間動作モードの設定処理において、制御部300は、フィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であり、シート幅が120mm以下で100mmより大きいので第1離間モードを設定
【0125】
図15(b)に示すように、第2フィルムユニットFU2が装置本体21に装着された状態で、第2シートS2を箔転写する場合、第2シートS2の全部が箔フィルムFと重なるため、離間動作モードの設定処理(S50)を実行する。離間動作モードの設定処理において、制御部300は、フィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1ではないので非離間モードを設定する(図13参照)。
【0126】
図15(c)に示すように、第3フィルムユニットFUが装置本体21に装着された状態で、第2シートS2を箔転写する場合、第2シートS2の全部が箔フィルムFと重ならないため、FSモード実行可否確認処理(S30)を実行する。FSモード実行可否確認処理において、制御部300は、箔転写を実行するとユーザから指示を受け、かつ、FSモードの禁止が選択された場合、FSモードを禁止する第2モードを設定する(図13参照)。
【0127】
図16(a)に示すように、第1フィルムユニットFU1が装置本体21に装着された状態で、第3シートS3を箔転写する場合、第3シートS3の全部が箔フィルムFと重なるため、離間動作モードの設定処理(S50)を実行する。離間動作モードの設定処理において、制御部300は、フィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1であり、シート幅が100mm以下であるので、サイドヒータ63を消灯し、第2離間モードを設定する(図13参照)。
【0128】
図16(b)に示すように、第2フィルムユニットFU2が装置本体21に装着された状態で、第3シートS3を箔転写する場合、第3シートS3の全部が箔フィルムFと重なるため、離間動作モードの設定処理(S50)を実行する。離間動作モードの設定処理において、制御部300は、フィルムユニットFUが第1フィルムユニットFU1ではないので非離間モードを設定する(図13参照)。
【0129】
図16(c)に示すように、第3フィルムユニットFUが装置本体21に装着された状態で、第3シートS3を箔転写する場合、第3シートS3の全部が箔フィルムFと重ならないため、FSモード実行可否確認処理(S30)を実行する。FSモード実行可否確認処理において、制御部300は、箔転写を実行するとユーザから指示を受け、かつ、FSモードの禁止が選択された場合、FSモードを禁止する第2モードを設定する(図13参照)。
【0130】
箔転写装置1によれば、以下のような効果を得ることができる。
箔転写装置1では、箔を節約するために、FSモードを実行可能である。しかし、FSモードを実行している間は、加熱ローラ60が圧接状態となったり離間状態となったりするため、シートSの搬送中にシートSが箔転写部50に引っ掛かってしまうことがある。特に、シートSの少なくとも一部が箔フィルムFと重ならない場合にシートSが箔転写部50に引っ掛かりやすい。上述したように、箔転写が行われた後、シートSと箔フィルムFは、密着した状態で箔転写部50から第2案内軸42まで搬送される(図1参照)。この場合において、シートSの少なくとも一部が箔フィルムFと重ならない場合には、シートSの前端のうち箔フィルムFと重ならない部分が箔転写部50の図示しないガイドの下に引っ掛かってシートSが詰まってしまうことがある。
しかし、箔転写装置1によれば、制御部300が幅方向においてシートSの少なくとも一部が箔フィルムFと重ならないと判定した場合、FSモードの実行を禁止するため、シートSの搬送中にシートSが箔転写部50に引っ掛かってしまうことを抑制できる。
【0131】
また、箔転写装置1では、シート幅を取得するセンサがイメージセンサ(CISセンサ100)であるため、制御部300はあらゆるサイズのシートSのシート幅を正確に取得可能である。
【0132】
また、制御部300は、シートSの前端が上側に向けて湾曲している(上カール状態)と判定した場合、シートの少なくとも一部が幅方向において箔フィルムと重ならないと判定した場合であっても、FSモードの実行を禁止しないため、不必要にFSモードを禁止することを抑制できる。
【0133】
ここで、シートSの幅方向において、中央ヒータ62およびサイドヒータ63の両方が点灯(ON)している状態で、搬送されるシートSのシート幅が箔フィルムFに対して小さい場合、加熱ローラ60の両端部の箔フィルムFとシートSが重ならない部分には、シートSが通過しない。シートSが通過しない部分は、シートSによって熱が奪われないので、加熱ローラ60の両端部の温度が中央部に対して高くなる。加熱ローラ60の両端部の温度が中央部に対して高くなると、中央部に比べて両端部の方が大きく膨張するため、両端部における箔フィルムFの搬送速度と、中央部における箔フィルムFの搬送速度とのバランスが崩れて箔フィルムFにシワの原因となる圧縮ひずみが徐々に蓄積されていく。
この状態でしばらく加熱ローラ60が離間されないと、蓄積した圧縮ひずみによって箔フィルムFにシワが発生してしまう。
例えば、A6サイズ(105mm幅)のシートSを箔転写する場合、中央ヒータ62およびサイドヒータ63の両方が点灯(ON)している状態で、加熱ローラ60の両端部には、シートSが通過しないので、箔フィルムFにシワが発生しやすい。
しかし、箔転写装置1によれば、CISセンサ100が検出したシート幅が、第1幅(例えば120mm)より小さいと判定した場合、離間動作を第1所定枚数(例えば5枚)ごとに実行することで、蓄積した圧縮ひずみがリセットされるため、箔フィルムFのシワの発生を抑制できる。
【0134】
また、制御部300は箔フィルムFが加熱ローラ60の両端部を通過しない場合、サイドヒータ63を消灯するため、不要な加熱を抑制できる。
【0135】
また、制御部300はシート幅が第2幅未満である場合、サイドヒータ63を消灯するため、サイドヒータ63を点灯している場合と比較して箔フィルムFにおけるシワの発生確率が下がるので、離間動作を第2所定枚数ごとに実行する。このため、第1所定枚数ことに離間動作を実行する場合に比べて、離間動作によって箔転写の終了が遅くなることを抑制できる。
【0136】
以上、実施形態について説明したが、箔転写装置は以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0137】
前記実施形態では、箔転写装置1は、箔転写可能なシート幅の最大が210mmであったが、これに限定されない。例えば、箔転写可能なシート幅の最大が210mmより大きくてもよいし、小さくてもよい。この場合、最大シート幅、中央ヒータの加熱範囲、サイドヒータの加熱範囲を考慮して所定幅、第1幅および第2幅を変更すればよい。
【0138】
前記実施形態では、第1センサの一例としてCISセンサを例示したが、第1センサはCISセンサに限定されるものではない。例えば、第1センサは、幅方向に複数配置された接触式センサや光センサであってもよい。
【0139】
前記実施形態では、第2センサの一例として3つの接触センサからなる箔幅センサを例示したが、第2センサは3つの接触センサからなる箔幅センサに限定されるものではない。第2センサは、箔フィルムを検出する、幅方向に並ぶ複数の光センサであってもよいし、CISセンサでもよい。
【0140】
前記実施形態では、第1所定枚数を5枚とし、第2所定枚数を10枚としたが、第1所定枚数および第2所定枚数は、適宜変更してもよい。
【0141】
前記実施形態では、所定幅を110mm、第1幅を120mm、第2幅を100mmとしたが、これらの寸法は、特に限定されるものではなく、適宜変更できる。
【0142】
前記実施形態では、パネルPAによってユーザへの報知をしていたが、音声による報知、PCディスプレイへの表示など、他の方法によって報知してもよい。
【0143】
また、前記実施形態では、加熱回転体として、金属管の内部に中央ヒータ62およびサイドヒータ63を配置した加熱ローラ60を例示したが、例えば、加熱回転体は、無端状のベルトと、加圧回転体との間でベルトを挟んで加圧回転体とベルト(加熱回転体)との間にニップ部を形成するニップ板と、ベルトを加熱するヒータとを備える構成であってもよい。
【0144】
また、前記実施形態では、加圧回転体として、芯金の周囲をゴム層で被覆した加圧ローラ51を例示したが、例えば、加圧回転体は、無端状のベルトと、ゴムなどからなるパッドであって、加熱回転体との間でベルトを挟むパッドとを備える構成であってもよい。
【0145】
また、前記実施形態では、加熱ローラ60(加熱回転体)が、加圧ローラ51(加圧回転体)に圧接する圧接位置と、加圧ローラ51から離間する離間位置との間で移動可能であったが、例えば、加圧回転体が、加熱回転体に圧接する圧接位置と、加熱回転体から離間する離間位置との間で移動可能であってもよい。また、加熱回転体と加圧回転体のそれぞれが、相手方のユニットに圧接する圧接位置と、相手方のユニットから離間する離間位置との間で移動可能であってもよい。
【0146】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0147】
1 箔転写装置
21 装置本体
31 供給リール
31A 供給軸部
32 供給ケース
35 巻取リール
35A 巻取軸部
50 箔転写部
51 加圧ローラ
60 加熱ローラ
100 CISセンサ
200 箔幅センサ
300 制御部
F 箔フィルム
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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