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  • 特開-手術器材セット管理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082851
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】手術器材セット管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240613BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197011
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】504368309
【氏名又は名称】株式会社 サン・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】弓場 仁哉
(72)【発明者】
【氏名】福澄 和寛
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】極めて効率的に手術器材セットの準備を行うことができ、しかも、手術器材セットの最適化を図ることも可能な従来にない手術器材セット管理システムを提供する。
【解決手段】複数の手術器材で構成される手術器材セットを管理する手術器材セット管理システムであって、手術を行う際に準備され撮影手段により撮影された複数の前記手術器材の画像から手術器材セット情報を取得する手術器材セット情報取得手段と、前記手術器材セット情報と予め登録されている手術器材基準セット情報とを照合して照合結果を生成する照合手段と、前記照合結果を画面上に表示する表示手段と、前記手術器材セット情報を、少なくとも術式情報、医師情報および患者情報のいずれかを含む関連情報と共に記憶させる記憶手段とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の手術器材で構成される手術器材セットを管理する手術器材セット管理システムであって、
手術を行う際に準備され撮影手段により撮影された複数の前記手術器材の画像から手術器材セット情報を取得する手術器材セット情報取得手段と、
前記手術器材セット情報と予め登録されている手術器材基準セット情報とを照合して照合結果を生成する照合手段と、
前記照合結果を画面上に表示する表示手段と、
前記手術器材セット情報を、少なくとも術式情報、医師情報および患者情報のいずれかを含む関連情報と共に記憶させる記憶手段と、
を有することを特徴とする手術器材セット管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の手術器材セット管理システムにおいて、蓄積された前記手術器材セット情報及び前記関連情報に基づいて前記手術器材の使用数及び使用回数を分析する分析手段を有することを特徴とする手術器材セット管理システム。
【請求項3】
請求項1記載の手術器材セット管理システムにおいて、手術前の前記手術器材セット情報と、手術後の前記手術器材セット情報とを比較して相違点を検出する検出手段を有することを特徴とする手術器材セット管理システム。
【請求項4】
請求項2記載の手術器材セット管理システムにおいて、手術前の前記手術器材セット情報と、手術後の前記手術器材セット情報とを比較して相違点を検出する検出手段を有することを特徴とする手術器材セット管理システム。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の手術器材セット管理システムにおいて、前記手術器材基準セット情報を編集する編集手段を有することを特徴とする手術器材セット管理システム。
【請求項6】
請求項1~4いずれか1項に記載の手術器材セット管理システムにおいて、前記手術器材セット情報は、載置部に並設された複数の手術器材から取得される情報であることを特徴とする手術器材セット管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術器材セット管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、手術に使用する手術器材にバーコード等の読み取り用記号を付与し、読み取り装置で各手術器材のバーコード等を順次読み取り、コンピュータに入力して照合することで、手術器材一式(手術器材セット)の準備を正確に行えるようにした手術器材準備システムが開示されている。
【0003】
しかし、この特許文献1に係るシステムは、手術器材のバーコード等を一つずつ読み取りコンピュータに入力して確認するもので、多数の手術器材を一つ一つ読み取っていく必要があり実用性に劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-142105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、極めて効率的に手術器材セットの準備を行うことができ、しかも、手術器材セットの最適化を図ることも可能な従来にない手術器材セット管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨を説明する。
【0007】
複数の手術器材で構成される手術器材セットを管理する手術器材セット管理システムであって、
手術を行う際に準備され撮影手段により撮影された複数の前記手術器材の画像から手術器材セット情報を取得する手術器材セット情報取得手段と、
前記手術器材セット情報と予め登録されている手術器材基準セット情報とを照合して照合結果を生成する照合手段と、
前記照合結果を画面上に表示する表示手段と、
前記手術器材セット情報を、少なくとも術式情報、医師情報および患者情報のいずれかを含む関連情報と共に記憶させる記憶手段と、
を有することを特徴とする手術器材セット管理システムに係るものである。
【0008】
また、請求項1記載の手術器材セット管理システムにおいて、蓄積された前記手術器材セット情報及び前記関連情報に基づいて前記手術器材の使用数及び使用回数を分析する分析手段を有することを特徴とする手術器材セット管理システムに係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の手術器材セット管理システムにおいて、手術前の前記手術器材セット情報と、手術後の前記手術器材セット情報とを比較して相違点を検出する検出手段を有することを特徴とする手術器材セット管理システムに係るものである。
【0010】
また、請求項2記載の手術器材セット管理システムにおいて、手術前の前記手術器材セット情報と、手術後の前記手術器材セット情報とを比較して相違点を検出する検出手段を有することを特徴とする手術器材セット管理システムに係るものである。
【0011】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の手術器材セット管理システムにおいて、前記手術器材基準セット情報を編集する編集手段を有することを特徴とする手術器材セット管理システムに係るものである。
【0012】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の手術器材セット管理システムにおいて、前記手術器材セット情報は、載置部に並設された複数の手術器材から取得される情報であることを特徴とする手術器材セット管理システムに係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、極めて効率的に手術器材セットの準備を行うことができ、しかも、手術器材セットの最適化を図ることも可能な従来にない手術器材セット管理システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例の概略説明図である。
図2】照合結果の一例を示す概略図である。
図3】分析結果の一例を示す概略図である。
図4】分析結果の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0016】
手術を行う際にトレイ等の載置部に並設された手術器材一式をまとめて撮影した画像から、手術器材基準セット情報と比較するための手術器材セット情報を取得し、両者を照合して手術器材の過不足を確認することができる。したがって、肉眼では視認しにくい僅かな形状の違いなども容易に判別可能となり、ベテランの看護師に限らず、比較的経験が少ない看護師であっても手術器材セットの準備を効率的に行うことができる。
【0017】
しかも、手術器材セット情報を関連情報と共に蓄積させることで、この蓄積されている情報をデータベースとして術式や医師毎に最新のニーズ(所定の手術器具の使用数)を分析したり、また、分析結果に応じて手術器材基準セット情報を更新したりすることが容易に行える。
【0018】
例えば、分析により手術器材基準セット情報には含まれているが近時の手術には使用されていない手術器材が検出された場合、当該手術器材を排除した手術器材基準セット情報に手動若しくは自動で更新することができ、随時最適な手術器材セットを準備したり、執刀医の好みに応じた手術器材セットを準備したりすることなども容易に行えることになる。
【実施例0019】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。なお、図中の写真はイメージであり、実際の手術器材セット等を表すものではない。
【0020】
本実施例は、複数の手術器材で構成される手術器材セットを管理する手術器材セット管理システムである。
【0021】
具体的には、手術を行う際に準備され撮影手段により撮影された複数の前記手術器材の画像から手術器材セット情報を取得する手術器材セット情報取得手段と、前記手術器材セット情報と予め登録されている手術器材基準セット情報とを照合して照合結果を生成する照合手段と、前記照合結果を画面上に表示する表示手段と、前記手術器材セット情報を、少なくとも術式情報、医師情報および患者情報のいずれかを含む関連情報と共に記憶させる記憶手段とを有するものである。
【0022】
本実施例は、CPUなどの制御装置と、RAMなどの主記憶装置(メモリ)と、HDDやSSDなどの補助記憶装置と、液晶表示装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置と、通信ネットワークに接続するためのNICなどの通信装置と、バスとを備えた一般的なコンピュータに実装できる。例えば本実施例の機能は、コンピュータの補助記憶装置にプログラムの形式で格納される。プログラムは補助記憶装置から読み出されてメモリ上に展開され、CPUによって実行される。すなわち、本実施例を利用したシステムは、例えば、図1に図示したように、携帯端末A、サーバB、クライアントCおよびモニタDなどを用いて実現できる。
【0023】
撮影手段としては、カメラを有するスマートフォンやタブレット等の携帯端末を用いることができる。
【0024】
手術器材セット情報取得手段は、撮影手段からコンピュータに送信等され入力された画像を解析し、画像に含まれる各手術器材の外形に関する情報を取得して各手術器材の情報(品番、型番など)を手術器材セット情報として取得(サーバのデータベースに登録)するように構成されている。
【0025】
前記手術器材セット情報は、載置部(トレイなど)に並設された複数の手術器材から取得される情報である。手術器材はできるだけまとめて撮影できることが望ましいが、多数の手術器材を用いる場合などには、複数回に分けて照合作業を行わざるを得ないこともある。
【0026】
また、各手術器材の外形に関する情報を取得する手段としては、周知の画像処理技術、例えば特徴点検出手法などを用いることができる。
【0027】
照合手段は、予め登録されている手術器材基準セット情報(その手術で用いる手術器材の品番、型番のリスト)と、手術器材セット情報とを照合して過不足を検出するように構成されている。
【0028】
特徴点検出手法を用いる場合には、手術器材基準セット情報に含まれる手術器材と検出された画像中の各手術器材の特徴点とを比較することで、基準側の手術器材の全体または部分の形状や色等の特徴に基づいて、品番・型番などを特定することができる。
【0029】
表示手段は、携帯端末やクライアントのモニタ等に照合結果を表示するように構成されている。例えば画面上に不足している手術器材と不要な手術器材の画像や品番・型番を表示し、手術器材を管理する作業者に知らせるように照合結果を表示する形態であれば適宜採用できる。また、照合結果を、撮影した画像に重畳して表示しても良い。例えば、不要な手術器材を強調表示したり、不足している手術器材を別途表示させたりしても良い。
【0030】
具体的には、例えば図2に図示したように照合結果を表示する。この例では、左側に構成品の一覧(器材名、規格もしくは品番と、マーキング番号(各器材個別の番号)とが紐付けられている)が表示され、右側上部には器材セットの写真が表示され、右側下部には不要な器材(!マーク)、不足している器材(×マーク)が表示される。表示された不要な器材、不足している器材を参考にして作業者は適宜セットした器材を取り替えて正しいセット内容に修正することができる。
【0031】
記憶手段は、手術器材セット情報が取得された際、この手術器材セット情報を、少なくとも術式情報、医師情報および患者情報のいずれかを含む関連情報と共に記憶させる。したがって、医師、患者、術式に応じた器材セットの管理が可能となる。本実施例では、術式情報、医師情報および患者情報を全て関連情報として記憶させている。
【0032】
本実施例は概略的には、手術器材を準備する看護師が、手術器材を載置部上に並べた後、携帯端末を用いて手術前に準備された複数の手術器材をまとめて撮影し、その画像をサーバに送信し、撮影された画像に含まれる手術器材が手術器材基準セット情報中の手術器材と合致しているか否かをサーバで判定し、その結果を携帯端末(またはクライアント)に送信して携帯端末等で確認するために用いられるものであり、具体的には、さらに以下の各手段を有する構成としている。
【0033】
本実施例は、前記手術器材基準セット情報を編集する編集手段を有している。したがって、例えば、手術直後に手術器材基準セット情報から変更された点を書き換えて更新登録することも可能である。
【0034】
また、本実施例は、蓄積された前記手術器材セット情報及び前記関連情報に基づいて前記手術器材の使用数及び使用回数を分析する分析手段を有している。分析手段による分析は操作者が任意のタイミングで行っても良いし、定期的に自動で分析を行い、その結果を保存し、定期的に行われた過去の分析結果を操作者が適宜確認できるようにしても良い。
【0035】
例えば、手術(術式、医師及び患者)が決まった後、蓄積されている過去に準備された手術器材セット情報から術式及び医師が共通する手術器材セット情報を抽出すると共に、これらに含まれる各手術器材の直近(例えば過去3回分)の手術に使用されている数をカウントし、今回の手術に対応する手術器材基準セット情報と比較して、使用数が異常なもの(手術器材基準セット情報どおりの使用数と同じでないもの)を抽出して表示するように構成する。また、使用回数を分析することで、交換やメンテナンスを適切な時期に行うことなどが可能となる。
【0036】
この分析結果から、編集手段を用いて手動で手術器材基準セット情報を更新したり、新たな手術器材基準セット情報を生成しても良いし、分析結果に応じて現状の手術器材基準セット情報との相違点を変更した新たな手術器材基準セット情報を自動的に生成するように構成しても良い。
【0037】
これにより、手術器材基準セット情報には含まれているが近時の手術には使用されていない手術器材や、新たに使用が開始された手術器材を検出することが可能となり、当該検出結果に応じた手術器材基準セット情報に手動若しくは自動で更新することができ、随時最適な手術器材セットを準備することが可能となる。
【0038】
具体的には、例えば図3,4に図示したように分析結果を表示する。図3は2015年6月~2015年10月までの各器材の平均使用率(および平均未使用率)を表示したものであり、例えば平均使用率が80%以下の器材がある場合に、当該器材が含まれているセット情報の更新の有無をチェックすることにしておけば、随時最適な(使用しない器材を準備しなくても良い)基準セット情報とすることができる。また、図4は2015年6月~2015年10月までのセット情報に含まれる器材の平均使用率(および平均未使用率)を表示したものであり、この場合も例えば平均使用率が80%以下のセットがある場合に、当該セット情報の更新の有無をチェックすることにしておけば、随時最適な基本セット情報とすることができる。
【0039】
また、本実施例は、手術前の前記手術器材セット情報と、手術後の前記手術器材セット情報とを比較して相違点を検出する検出手段を有している。したがって、手術前および手術後で夫々手術器材を撮影することで、手術に使用された手術器材や戻し忘れている手術器材などを検出することが可能となる。
【0040】
本実施例は上述のように構成したから、手術を行う際にトレイ等の載置部に並設された手術器材一式をまとめて撮影した画像から、手術器材基準セット情報と比較するための手術器材セット情報を取得し、両者を照合して手術器材の過不足を確認することで、手術器材セットの準備を極めて効率的に行うことができる。
【0041】
しかも、手術器材セット情報を関連情報と共に蓄積させることで、この蓄積されている情報をデータベースとして術式や医師毎に最新のニーズ(所定の手術器具の使用数)を分析したり、また、分析結果に応じて手術器材基準セット情報を更新したりすることが容易に行える。
【0042】
よって、本実施例は、極めて効率的に手術器材セットの準備を行うことができ、しかも、手術器材セットの最適化を図ることも可能な従来にない手術器材セット管理システムとなる。
図1
図2
図3
図4