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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082853
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】多軸駆動制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
H02P5/46 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197013
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】奥泉 優
(72)【発明者】
【氏名】中馬 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】畑 誠
【テーマコード(参考)】
5H572
【Fターム(参考)】
5H572AA14
5H572BB07
5H572DD02
5H572EE01
5H572GG02
5H572GG04
5H572HA05
5H572HA09
5H572HB07
5H572HB18
5H572HC07
5H572HC09
5H572JJ17
5H572LL01
5H572LL22
5H572LL46
5H572MM11
(57)【要約】
【課題】複数のモータを精度良く同期制御しつつ、冗長性を確保可能な多軸駆動制御装置を提供する。
【解決手段】多軸駆動制御装置1は、複数の第1駆動回路30a,30bの駆動をそれぞれ制御する複数の第1制御部11a,11bを有する第1演算部10と、複数の第2駆動回路40a,40bの駆動をそれぞれ制御する複数の第2制御部21a,21bを有する第2演算部20と、を有する。複数の第1駆動回路30a,30bと複数の第2駆動回路40a,40bとは、複数のモータ2a,2bのそれぞれに対して、並列に電力を供給するように電気的に接続されている。複数の第1制御部11a,11b及び複数の第2制御部21a,21bは、複数のモータ2a,2bを同期させて駆動するように、複数の第1駆動回路30a,30b及び複数の第2駆動回路40a,40bの駆動を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモータを同期して駆動させる多軸駆動制御装置であって、
前記複数のモータに対してそれぞれ電力を供給可能な複数の第1駆動回路と、
前記複数の第1駆動回路をそれぞれ制御する複数の第1制御部を有する第1演算部と、
前記複数のモータに対してそれぞれ電力を供給可能な複数の第2駆動回路と、
前記複数の第2駆動回路をそれぞれ制御する複数の第2制御部を有する第2演算部と、
を有し、
前記複数の第1駆動回路と前記複数の第2駆動回路とは、前記複数のモータのそれぞれに対して、並列に電力を供給するように電気的に接続されていて、
前記複数の第1制御部及び前記複数の第2制御部は、前記複数のモータを同期させて駆動するように、前記複数の第1駆動回路及び前記複数の第2駆動回路を制御する、
多軸駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の多軸駆動制御装置において、
前記複数の第1駆動回路と前記複数のモータとを電気的に接続または切断する第1接続切替部と、
前記複数の第2駆動回路と前記複数のモータとを電気的に接続または切断する第2接続切替部と、
をさらに有する、
多軸駆動制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の多軸駆動制御装置において、
前記第1制御部は、該第1制御部及び該第1制御部によって制御される前記第1駆動回路の動作の異常を判定する第1異常判定部を有し、
前記第2制御部は、該第2制御部及び該第2制御部によって制御される前記第2駆動回路の動作の異常を判定する第2異常判定部を有し、
前記複数の第1制御部または前記複数の第2制御部は、前記第1異常判定部によって前記第1制御部または前記第1駆動回路の動作の異常が判定された場合に、異常であると判定された第1制御部によって制御される第1駆動回路または異常であると判定された第1駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離するように、前記第1接続切替部を動作させるとともに、前記複数のモータに供給する電力を補うように、他の第1駆動回路または前記複数の第2駆動回路の少なくとも一つを制御し、
前記複数の第2制御部または前記複数の第1制御部は、前記第2異常判定部によって前記第2制御部または前記第2駆動回路の動作の異常が判定された場合に、異常であると判定された第2制御部によって制御される第2駆動回路または異常であると判定された第2駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離するように、前記第2接続切替部を動作させるとともに、前記複数のモータに供給する電力を補うように、他の第2駆動回路または前記複数の第1駆動回路の少なくとも一つを制御する、
多軸駆動制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の多軸駆動制御装置において、
前記第1異常判定部によって、前記複数のモータのうち一つのモータの駆動を制御する前記第1制御部または前記第1駆動回路の動作の異常が判定され、且つ、前記第2異常判定部によって、前記一つのモータの駆動を制御する前記第2制御部または前記第2駆動回路の動作の異常が判定された場合には、前記複数のモータのうち他のモータの駆動を制御している第1制御部及び第2制御部のうち一つの制御部は、前記一つのモータの駆動を制御するように、前記複数の第1駆動回路または前記複数の第2駆動回路のうち前記一つの制御部によって制御される駆動回路を、前記一つのモータに対して電気的に接続する、
多軸駆動制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載の多軸駆動制御装置において、
前記第1制御部は、前記第2演算部の動作の異常を判定する第1異常判定部を有し、
前記第2制御部は、前記第1演算部の動作の異常を判定する第2異常判定部を有し、
前記複数の第1制御部は、前記第1異常判定部によって前記第2演算部の動作の異常が判定された場合に、前記第2演算部における前記複数の第2制御部によって制御される第2駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離し、
前記複数の第2制御部は、前記第2異常判定部によって前記第1演算部の動作の異常が判定された場合に、前記第1演算部における前記複数の第1制御部によって制御される第1駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離する、
多軸駆動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモータを同期させて駆動させる多軸駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のモータを同期させて駆動させる多軸駆動制御装置が知られている。このような多軸駆動制御装置として、例えば特許文献1に開示されるように、マスタ装置と、各々が個別の伝送路で前記マスタ装置と接続され、多軸駆動系の複数のモータを制御する複数のスレーブ装置とを含む、多軸モータ制御システムが知られている。
【0003】
前記特許文献1に開示されている多軸モータ制御システムでは、前記マスタ装置は、所定の周期で固定長の第1の送信データを複数のスレーブ装置へ同時に送信するデータ送信部を有する。前記スレーブ装置は、前記所定の周期に応じて設定されたカウント設定値をカウントするカウンタにおけるカウント値に基づいて制御タイミングを決定してモータへの制御信号を出力すると共に、前記マスタ装置からの前記第1の送信データ中の所定のビットの受信タイミングに基づいて前記カウント設定値を調整する制御部を有する。
【0004】
これにより、前記特許文献1に開示されている多軸モータ制御システムでは、マスタ装置とスレーブ装置間及びスレーブ装置間においてより厳密な同期タイミングを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-103176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に開示されている多軸モータ制御システムでは、モータを駆動させる駆動回路や該駆動回路を制御する制御部に異常等が生じた場合、前記モータを制御できなくなる。この場合、一般的には、アラーム等を出して、前記モータを停止する必要がある。
【0007】
これに対し、複数のモータを精度良く同期制御しつつ、前記モータの駆動回路や制御部に異常が生じた場合でも、前記モータを継続して駆動可能な制御装置が求められている。
【0008】
本発明の目的は、複数のモータを精度良く同期制御しつつ、冗長性を確保可能な多軸駆動制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る多軸駆動制御装置は、複数のモータを同期して駆動させる多軸駆動制御装置である。前記多軸駆動制御装置は、前記複数のモータに対してそれぞれ電力を供給可能な複数の第1駆動回路と、前記複数の第1駆動回路をそれぞれ制御する複数の第1制御部を有する第1演算部と、前記複数のモータに対してそれぞれ電力を供給可能な複数の第2駆動回路と、前記複数の第2駆動回路をそれぞれ制御する複数の第2制御部を有する第2演算部と、を有する。前記複数の第1駆動回路と前記複数の第2駆動回路とは、前記複数のモータのそれぞれに対して、並列に電力を供給するように電気的に接続されている。前記複数の第1制御部及び前記複数の第2制御部は、前記複数のモータを同期させて駆動するように、前記複数の第1駆動回路及び前記複数の第2駆動回路を制御する(第1の構成)。
【0010】
これにより、複数のモータのそれぞれに対して、複数の第1駆動回路または複数の第2駆動回路から電力を供給することができる。よって、例えば、前記複数の第1駆動回路または該複数の第1駆動回路をそれぞれ制御する複数の第1制御部のうち少なくとも一つに異常が生じた場合でも、複数の第2制御部により制御される前記複数の第2駆動回路によって、前記複数のモータのそれぞれに対して電力を供給できる。
【0011】
よって、モータの駆動回路または制御部に異常が生じた場合でも、前記モータを継続して駆動させることができる。したがって、モータを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【0012】
しかも、第1演算部が前記複数の第1制御部を有し、第2演算部が複数の第2制御部を有するため、前記複数の第1制御部同士、前記複数の第2制御部同士で、それぞれ、容易に且つ精度良く同期させることができる。
【0013】
よって、複数のモータを精度良く同期制御しつつ、冗長性を確保可能な多軸駆動制御装置が得られる。
【0014】
前記第1の構成において、前記多軸駆動制御装置は、前記複数の第1駆動回路と前記複数のモータとを電気的に接続または切断する第1接続切替部と、前記複数の第2駆動回路と前記複数のモータとを電気的に接続または切断する第2接続切替部と、をさらに有する(第2の構成)。
【0015】
これにより、複数の第1駆動回路と複数のモータとを電気的に接続または切断できる。また、複数の第2駆動回路と複数のモータとを電気的に接続または切断できる。よって、例えば、前記複数の第1駆動回路または該駆動回路を制御する第1制御部に異常が生じた場合でも、異常が生じた第1駆動回路または異常が生じた第1制御部によって制御される第1駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に切断でき、電力供給が必要なモータに対して第2駆動回路を電気的に接続できる。
【0016】
よって、モータの駆動回路または制御部に異常が生じた場合でも、前記モータを継続して駆動させることができる。したがって、モータを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【0017】
前記第2の構成において、前記第1制御部は、該第1制御部及び該第1制御部によって制御される前記第1駆動回路の動作の異常を判定する第1異常判定部を有する。前記第2制御部は、該第2制御部及び該第2制御部によって制御される前記第2駆動回路の動作の異常を判定する第2異常判定部を有する。前記複数の第1制御部または前記複数の第2制御部は、前記第1異常判定部によって前記第1制御部または前記第1駆動回路の動作の異常が判定された場合に、異常であると判定された第1制御部によって制御される第1駆動回路または異常であると判定された第1駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離するように、前記第1接続切替部を動作させるとともに、前記複数のモータに供給する電力を補うように、他の第1駆動回路または前記複数の第2駆動回路の少なくとも一つを制御する。前記複数の第2制御部または前記複数の第1制御部は、前記第2異常判定部によって前記第2制御部または前記第2駆動回路の動作の異常が判定された場合に、異常であると判定された第2制御部によって制御される第2駆動回路または異常であると判定された第2駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離するように、前記第2接続切替部を動作させるとともに、前記複数のモータに供給する電力を補うように、他の第2駆動回路または前記複数の第1駆動回路の少なくとも一つを制御する(第3の構成)。
【0018】
これにより、第1異常判定部によって第1制御部または第1駆動回路の異常が判定された場合に、異常であると判定された第1制御部によって制御される第1駆動回路または異常であると判定された第1駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離できる。そして、複数の第1制御部または複数の第2制御部が、他の第1駆動回路または複数の第2駆動回路の少なくとも一つを制御することにより、前記複数のモータに供給する電力を補うことができる。
【0019】
同様に、第2異常判定部によって第2制御部または第2駆動回路の異常が判定された場合に、異常であると判定された第2制御部によって制御される第2駆動回路または異常であると判定された第2駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離できる。そして、複数の第1制御部または複数の第2制御部が、他の第2駆動回路または複数の第1駆動回路の少なくとも一つを制御することにより、前記複数のモータに供給する電力を補うことができる。
【0020】
よって、モータの駆動回路または制御部に異常が生じた場合でも、前記モータを継続して駆動させることができる。したがって、モータを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【0021】
前記第3の構成において、前記第1異常判定部によって、前記複数のモータのうち一つのモータの駆動を制御する前記第1制御部または前記第1駆動回路の動作の異常が判定され、且つ、前記第2異常判定部によって、前記一つのモータの駆動を制御する前記第2制御部または前記第2駆動回路の動作の異常が判定された場合には、前記複数のモータのうち他のモータの駆動を制御している第1制御部及び第2制御部のうち一つの制御部は、前記一つのモータの駆動を制御するように、前記複数の第1駆動回路または前記複数の第2駆動回路のうち前記一つの制御部によって制御される駆動回路を、前記一つのモータに対して電気的に接続する(第4の構成)。
【0022】
これにより、第1異常判定部によって、複数のモータのうち一つのモータの駆動を制御する第1制御部または第1駆動回路の動作の異常が判定され、且つ、第2異常判定部によって、前記一つのモータの駆動を制御する前記第2制御部または前記第2駆動回路の動作の異常が判定された場合でも、前記複数のモータのうち他のモータの駆動を制御している第1制御部及び第2制御部のうち一つの制御部によって、前記一つのモータの駆動を制御することができる。
【0023】
よって、モータの駆動を制御する複数の制御部または駆動回路に異常が生じた場合でも、前記モータを継続して駆動させることができる。したがって、モータを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【0024】
前記第2の構成において、前記第1制御部は、前記第2演算部の動作の異常を判定する第1異常判定部を有する。前記第2制御部は、前記第1演算部の動作の異常を判定する第2異常判定部を有する。前記複数の第1制御部は、前記第1異常判定部によって前記第2演算部の動作の異常が判定された場合に、前記第2演算部における前記複数の第2制御部によって制御される第2駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離する。前記複数の第2制御部は、前記第2異常判定部によって前記第1演算部の動作の異常が判定された場合に、前記第1演算部における前記複数の第1制御部によって制御される第1駆動回路を、前記複数のモータに対して電気的に分離する(第5の構成)。
【0025】
これにより、第1演算部または第2演算部の一方の演算部の動作に異常が生じた場合でも、他方の演算部によって、複数のモータの駆動を制御することができる。
【0026】
よって、一方の演算部に異常が生じた場合でも、モータを継続して駆動させることができる。したがって、モータを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態に係る多軸駆動制御装置は、複数のモータに対してそれぞれ電力を供給可能な複数の第1駆動回路と、前記複数の第1駆動回路の駆動をそれぞれ制御する複数の第1制御部を有する第1演算部と、前記複数のモータに対してそれぞれ電力を供給可能な複数の第2駆動回路と、前記複数の第2駆動回路の駆動をそれぞれ制御する複数の第2制御部を有する第2演算部と、を有する。前記複数の第1駆動回路と前記複数の第2駆動回路とは、前記複数のモータのそれぞれに対して、並列に電力を供給するように電気的に接続されている。前記複数の第1制御部及び前記複数の第2制御部は、前記複数のモータを同期させて駆動するように、前記複数の第1駆動回路及び前記複数の第2駆動回路の駆動を制御する。
【0028】
これにより、モータ駆動回路または制御部に異常が生じた場合でも、前記モータを継続して駆動させることができる。よって、複数のモータを精度良く同期制御しつつ、冗長性を確保可能な多軸駆動制御装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、実施形態に係る多軸駆動制御装置の概略構成を機能ブロックで示す図である。
図2図2は、第1制御部の概略構成を機能ブロックで示す図である。
図3図3は、第2制御部の概略構成を機能ブロックで示す図である。
図4図4は、第1制御部の異常時制御を示すフローチャートである。
図5図5は、第1制御部の異常時制御を示すフローチャートである。
図6図6は、第2演算部の第2制御部または第2駆動回路に異常が生じた場合における第1制御部及び他の第2制御部の異常時制御を太線で示す図である。
図7図7は、第2演算部の第2制御部または第2駆動回路に異常が生じた場合における第1制御部の異常時制御を太線で示す図である。
図8図8は、第2演算部の第2制御部または第2駆動回路に異常が生じた場合における前記第2制御部の異常時制御を太線で示す図である。
図9図9は、2つの第1制御部及び2つの第2制御部によって、2つのモータを駆動させる様子を模式的に示す図である。
図10図10は、2つの第1制御部及び1つの第2制御部によって、2つのモータを駆動させる様子を模式的に示す図である。
図11図11は、第2演算部の第2制御部または第2駆動回路に異常が生じ且つ第1演算部の第1制御部または第1駆動回路に異常が生じた場合における他の第1制御部及び他の第2制御部の異常時制御を太線で示す図である。
図12図12は、第2演算部の第2制御部または第2駆動回路に異常が生じ且つ第1演算部の第1制御部または第1駆動回路に異常が生じた場合における前記第1制御部の異常時制御を太線で示す図である。
図13図13は、第2演算部の第2制御部または第2駆動回路に異常が生じ且つ第1演算部の第1制御部または第1駆動回路に異常が生じた場合における前記第1制御部の異常時制御を太線で示す図である。
図14図14は、1つの第1制御部及び1つの第2制御部によって、1つのモータを駆動させる様子を模式的に示す図である。
図15図15は、1つの第1制御部によって1つのモータを駆動させるとともに、1つの第2制御部によって1つのモータを駆動させる様子を模式的に示す図である。
図16図16は、第2演算部に異常が生じた場合における第1制御部の異常時制御を太線で示す図である。
図17図17は、1つの第1制御部によって1つのモータを駆動させるとともに、1つの第1制御部によって1つのモータを駆動させる様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る多軸駆動制御装置1の概略構成を示す図である。多軸駆動制御装置1は、複数のモータ2を同期して駆動制御する。具体的には、多軸駆動制御装置1は、第1演算部10と、第2演算部20と、第1駆動回路30と、第2駆動回路40と、第1リレー50(第1接続切替部)と、第2リレー60(第2接続切替部)とを有する。
【0032】
第1演算部10は、第1駆動回路30の駆動を制御する第1制御部11を有する。第1演算部10は、同じ構成である2つの第1制御部11を有する。第1演算部10は、例えばCPUなどによって構成されている。
【0033】
第1制御部11は、後述するように、速度制御部、電流指令演算部、電流制御部、異常判定部及び異常時制御部を有する。すなわち、第1制御部11は、第1駆動回路30の駆動を制御する機能だけでなく、第1制御部11及び第1駆動回路30の動作の状態を判定して、その判定結果に応じて、第1リレー50等の駆動を制御する。
【0034】
なお、以下では、説明のために、2つの第1制御部11のうち一方の第1制御部に11aの符号を付し、他方の第1制御部に11bの符号を付す。
【0035】
第2演算部20は、第2駆動回路40の駆動を制御する第2制御部21を有する。第2演算部20は、同じ構成である2つの第2制御部21を有する。第2演算部20は、例えばCPUなどによって構成されている。
【0036】
第2制御部21は、第1制御部11と同様、速度制御部、電流指令演算部、電流制御部、異常判定部及び異常時制御部を有する。すなわち、第2制御部21は、第2駆動回路40の駆動を制御する機能だけでなく、第2制御部21及び第2駆動回路40の動作の状態を判定して、その判定出結果に応じて、第2リレー60等の駆動を制御する。
【0037】
なお、以下では、説明のために、2つの第2制御部21のうち一方の第2制御部に21aの符号を付し、他方の第2制御部に21bの符号を付す。
【0038】
上述のように、第2制御部21は、第1制御部11と同様の構成を有する。よって、第2制御部21を含む第2演算部20も、第1制御部11を含む第1演算部10と同様の構成を有する。
【0039】
多軸駆動制御装置1は、同じ構成である2つの第1駆動回路30を有する。第1駆動回路30は、例えば、複数のスイッチング素子を含むインバータ装置である。第1駆動回路30は、モータ2に供給する電力を調整することにより、モータ2を駆動させる。第1駆動回路30の構成は、モータを駆動させる従来の駆動回路と同様の構成である。よって、第1駆動回路30の詳しい説明を省略する。前記スイッチング素子は、熱的な平衡及び電流的な平衡を保てるように、電解効果トランジスタ(FET)が好ましい。すなわち、FETのスイッチング素子の場合、電流が多く流れると、温度上昇によって抵抗値が上昇するため、流れる電流を抑制する。よって、スイッチング素子に流れる電流のばらつきを抑制できる。
【0040】
なお、以下では、説明のために、2つの第1駆動回路30のうち一方の第1駆動回路に30aの符号を付し、他方の第1駆動回路に30bの符号を付す。
【0041】
多軸駆動制御装置1は、同じ構成である2つの第2駆動回路40を有する。第2駆動回路40は、第1駆動回路30と同様、例えば、複数のスイッチング素子を含むインバータ装置である。第2駆動回路40は、モータ2に供給する電力を調整することにより、モータ2を駆動させる。第2駆動回路40の構成は、モータを駆動させる従来の駆動回路と同様の構成である。よって、第2駆動回路40の詳しい説明を省略する。
【0042】
なお、以下では、説明のために、2つの第2駆動回路40のうち一方の第2駆動回路に40aの符号を付し、他方の第2駆動回路に40bの符号を付す。
【0043】
多軸駆動制御装置1は、同じ構成である2つの第1リレー50を有する。第1リレー50は、第1制御部11の制御信号に応じて、第1駆動回路30をモータ2に対して電気的に接続または切断する。第1リレー50の構成は、従来のリレー装置と同様の構成である。よって、第1リレー50の詳しい説明を省略する。
【0044】
なお、以下では、説明のために、2つの第1リレー50のうち一方の第1リレーに50aの符号を付し、他方の第1リレーに50bの符号を付す。
【0045】
多軸駆動制御装置1は、同じ構成である2つの第2リレー60を有する。第2リレー60は、第2制御部21の制御信号に応じて、第2駆動回路40をモータ2に対して電気的に接続または切断する。第2リレー60の構成は、従来のリレー装置と同様の構成である。よって、第2リレー60の詳しい説明を省略する。
【0046】
なお、以下では、説明のために、2つの第2リレー60のうち一方の第2リレーに60aの符号を付し、他方の第2リレーに60bの符号を付す。
【0047】
本実施形態では、多軸駆動制御装置1は、2つのモータ2を同期して駆動させる。モータの構成は、従来と同様であるため、詳しい説明を省略する。なお、以下では、説明のために、2つのモータ2のうち一方のモータに2aの符号を付し、他方のモータに2bの符号を付す。
【0048】
また、モータ2a,2bには、それぞれ、回転数を計測するためのセンサ3a,3bが設けられている。
【0049】
(制御部)
図2を用いて、第1制御部11a,11bの詳しい構成について説明する。なお、第1制御部11bは、第1制御部11aと同様の構成を有する。よって、以下では、第1制御部11aの構成についてのみ説明する。
【0050】
図2に示すように、第1制御部11aは、速度制御部12aと、電流指令演算部13aと、電流制御部14aと、異常判定部15a(第1異常判定部)と、異常時制御部16aとを有する。なお、特に図示しないが、第1制御部11aは、他の制御部(第1制御部11b、第2制御部21a,21b)が正常であるかどうか、モータ2a,2bが1つの制御部によって制御されている(以下、単軸駆動制御という)かどうか、2つの制御部によって制御されている(以下、2軸駆動制御という)かどうか、どの制御部によっても制御されていないかどうか(以下、非駆動制御という)などの運転状態に関する状態信号を記憶する記憶部も有する。第1制御部11aは、前記他の制御部との間で、前記運転状態に関する情報を図示しない通信配線等によって通信している。
【0051】
速度制御部12aは、上位のコントローラ5から入力される速度指令aと、モータ2aのセンサ3aから出力される検出速度値(以下、速度FBaという)とに基づいて、速度偏差を算出して出力する。なお、第1制御部11bの速度制御部12bには速度指令b、速度FBbが入力される。
【0052】
電流指令演算部13aは、速度制御部12aで算出された前記速度偏差に基づいて、電流指令を生成する。電流指令演算部13aは、第1制御部11bなどの他の制御部において生成される電流指令も考慮して、電流指令を生成する。すなわち、モータ2aを第1制御部11a以外の制御部も駆動制御する場合(いわゆる2軸駆動制御の場合)には、電流指令演算部13aは、後述する第2制御部20の電流指令演算部23aで生成される電流指令も考慮(例えば、モータ2aに供給する電流の比率を、電流指令演算部13aで生成される電流指令と電流指令演算部23aで生成される電流指令との比率が、それぞれ70%及び30%になるように調整する等)して、モータ2aに入力される電流が速度指令aに適した電流になるように、電流指令を生成する。
【0053】
電流制御部14aは、電流指令演算部13aで生成された電流指令に基づいて、駆動信号を生成する。具体的には、電流制御部14aは、図示しないCPUのクロック信号に基づいて、第1駆動回路30aに入力されるPWM信号を生成する。なお、前記クロック信号は、第1演算部10の第1制御部11a,11b同士を同期して動作させる場合や第2演算部20の第2制御部21a,21b同士を同期して動作させる場合に用いられる。
【0054】
なお、速度制御部12aにおいて速度偏差を算出する構成、電流指令演算部13aにおいて速度偏差から電流指令を生成する構成、及び、電流制御部14aにおいて電流指令に基づいて駆動信号を生成する構成は、それぞれ従来の構成と同様である。よって、それらの構成についての詳しい説明は省略する。
【0055】
異常判定部15aは、第1駆動回路30a及び第1制御部11aの異常をそれぞれ判定する。具体的には、異常判定部15aは、速度指令a、前記電流指令及び検出信号に基づいて、第1駆動回路30a及び第1制御部11aの異常が発生しているかどうかを判定する。
【0056】
前記検出信号は、例えば、速度FBa、電流の検出値(以下、電流FBという)、同期信号の有無などの信号を含む。
【0057】
異常時制御部16aは、異常判定部15aによって、異常と判定された場合には、リレー駆動信号を生成して出力するとともに、電流指令演算部13aに対して電流指令をゼロにする指示信号を出力する。前記リレー駆動信号は、第1リレー50aを駆動させて、第1駆動回路30aとモータ2aとを電気的に切断する信号である。
【0058】
なお、上述のとおり、第1制御部11bは、第1制御部11aと同様の構成を有する。すなわち、第1制御部11bは、速度制御部12bと、電流指令演算部13bと、電流制御部14bと、異常判定部15b(第1異常判定部)と、異常時制御部16bと、図示しない記憶部とを有する。第1制御部11bは、第1制御部11aと同じ第1演算部10に設けられている。よって、第1制御部11bは、第1制御部11aと同期して動作可能である。
【0059】
図3は、第2制御部21a,21bの概略構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、第2制御部21a,21bは、駆動信号が第2駆動回路40a,40bに出力される点以外、第1制御部11a,11bと同様の構成を有する。よって、第2制御部21a,21bの詳しい説明を省略する。
【0060】
なお、図3に示すように、第2制御部21aは、速度制御部22aと、電流指令演算部23aと、電流制御部24aと、異常判定部25a(第2異常判定部)と、異常時制御部26aと、図示しない記憶部とを有する。また、第2制御部21bは、速度制御部22bと、電流指令演算部23bと、電流制御部24bと、異常判定部25b(第2異常判定部)と、異常時制御部26bと、図示しない記憶部とを有する。
【0061】
特に図示しないが、第2制御部21a,21bは、第1演算部10の第1制御部11a,11bとの間で同期信号を送受信している。よって、第2制御部21a,21bは、第1制御部11a,11bと同期して動作可能である。
【0062】
以上のように、第1演算部10及び第2演算部20は、同じ構成を有する。また、第1演算部10において、第1制御部11a,11bは同じ構成を有する。第2演算部20において、第2制御部21a,21bは同じ構成を有する。
【0063】
図9は、第1制御部11a,11b及び第2制御部21a,21bによって、モータ2a,2bを駆動させる様子を模式的に示す図である。図9に示すように、第1制御部11a及び第2制御部21aは、モータ2aの駆動を制御可能である。具体的には、第1制御部11aは、第1駆動回路30aの駆動を制御することにより、モータ2aの駆動を制御可能である。第1駆動回路30aは、第1リレー50aを介してモータ2aに電気的に接続されている。また、第2制御部21aは、第2駆動回路40aの駆動を制御することにより、モータ2aの駆動を制御可能である。第2駆動回路40aは、第2リレー60aを介してモータ2aに電気的に接続されている。
【0064】
第1制御部11b及び第2制御部21bは、モータ2bの駆動を制御可能である。具体的には、第1制御部11bは、第1駆動回路30bの駆動を制御することにより、モータ2bの駆動を制御可能である。第1駆動回路30bは、第1リレー50bを介してモータ2bに電気的に接続されている。また、第2制御部21bは、第2駆動回路40bの駆動を制御することにより、モータ2bの駆動を制御可能である。第2駆動回路40bは、第2リレー60bを介してモータ2bに電気的に接続されている。
【0065】
このように、多軸駆動制御装置1は、モータ2a,2bを、それぞれ2つの制御部によって駆動制御可能に構成されている。これにより、各モータを駆動させる2つの制御部のうち一方に異常が発生した場合、または、各モータに電気的に接続された2つの駆動回路のうち一方に異常が発生した場合でも、もう一方の制御部及び駆動回路を動作させることにより、モータを停止させることなく継続して駆動させることができる。すなわち、多軸駆動制御装置1は、モータ2a,2bの駆動制御に関してロバスト性を有する制御装置である。
【0066】
なお、多軸駆動制御装置1が、モータ2a,2bを、それぞれ2つの制御部によって駆動制御している場合、前記2つの制御部でそれぞれ生成される電流指令の合計は、モータの駆動に対して要求される電流指令に等しい。すなわち、前記2つの制御部では、それぞれ、モータの駆動に対して要求される電流指令の一部(例えば、各制御部で50%の電流指令)が生成される。これにより、前記2つの制御部によって制御される2つの駆動回路からモータに供給される電流の合計は、モータの駆動に対して要求される電流指令に対応する電流である。
【0067】
(異常判定時の制御について)
次に、図4及び図5を用いて、多軸駆動制御装置1における制御部または駆動回路で異常が発生した際の制御(以下、異常時制御という)を説明する。なお、多軸駆動制御装置1において、第1制御部11a,11b及び第2制御部21a,21bは、上述の異常発生時に、図4及び図5に示すフローチャートのような異常時制御を行う。以下では、第1制御部11aが図4及び図5に示すフローチャートのような異常時制御を行う場合について説明する。
【0068】
図4及び図5は、第1制御部11aの異常時制御を示すフローチャートである。図4に示すように、第1制御部11aの異常時制御のフローがスタートすると(START)、まず、ステップS1において、第1制御部11aの異常判定部15aは、第1制御部11aがモータ2aまたはモータ2bに対して単軸駆動制御を行っているかどうかを判定する。この判定は、第1制御部11aの図示しない記憶部に記憶されている、各制御部の運転状態に関する状態信号を含む情報に基づいて行われる。なお、ステップS1では、第1制御部11aは、前記運転状態に関する情報として、各制御部が正常であるかどうかの情報も取得する。
【0069】
ステップS1において、第1制御部11aがモータ2aに対して単軸駆動制御を行っていると判定した場合(ステップS1においてYESの場合)には、図5に示すステップS20以降に進む。一方、第1制御部11aがモータ2aに対して単軸駆動制御を行っていないと判定した場合(ステップS1においてNOの場合)には、ステップS2以降に進む。
【0070】
ステップS1において単軸駆動制御が行われていないと判定された場合に進むステップS2では、異常判定部15aが、第1制御部11aによるモータ2aまたはモータ2bの駆動に異常(自軸の異常)が発生したかどうかを判定する。異常判定部15aは、例えば、電流指令に応じた電流FBaが得られているか、または、速度指令aに応じた速度FBaが得られているかなどに基づいて、自軸で異常が発生しているかどうかを判定する。
【0071】
なお、ステップS2では、第1制御部11aは、2軸駆動制御を行っているかどうかの情報、及び、各制御部が正常であるかどうかの情報を取得して、それらの情報に基づいて、運転状態に関する状態信号が記憶されている前記記憶部の情報を更新する。
【0072】
具体的には、後述するステップS2において自軸の異常であると判定された場合(ステップS2においてYESの場合)には、第1制御部11aが正常でなく、モータ2aまたはモータ2bが非駆動制御であると判断される。そして、この情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている運転状態に関する状態信号を更新する。
【0073】
一方、ステップS2において自軸の異常ではないと判定された場合(ステップS2においてNOの場合)には、モータ2aまたはモータ2bが2軸駆動制御しており、第1制御部11aが正常であると判断される。そして、この情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている運転状態に関する状態信号を更新する。
【0074】
ステップS2において自軸の異常であると判定された場合(ステップS2においてYESの場合)には、ステップS3に進んで、異常時制御部16aは、自軸のリレーである第1リレー50aを切断するリレー駆動信号を生成する。そして、続くステップS4において、異常時制御部16aは、電流指令演算部13aに対して、生成する電流指令をゼロにする指示信号を出力して、第1駆動回路30aの駆動を停止させる。その後、この異常時制御のフローを終了する(END)。
【0075】
一方、ステップS2において自軸の異常でないと判定された場合(ステップS2においてNOの場合)には、ステップS5に進んで、異常判定部15aは、2軸駆動制御の他軸の制御部(第1制御部11a以外の制御部)がどの制御部であるかを確認する。そして、続くステップS6において、異常判定部15aは、第1演算部10が第2演算部20の同期信号を監視しているか(同期信号を送受信しているか) どうかを判定する。
【0076】
ステップS6において演算部同士で同期信号を監視していると判定された場合(ステップS6においてYESの場合)には、ステップS7に進んで、2軸駆動制御の他軸の制御部(例えば第2制御部21a)の状態信号が正常であるかどうかを判定する。前記他軸の制御部の状態信号が正常であると判定された場合(ステップS7においてYESの場合)には、ステップS8に進んで、第1制御部11aは、現状の運転条件でモータ2aの運転を継続する。その後、この異常時制御のフローを終了する(END)。
【0077】
一方、ステップS6において演算部同士で同期信号を監視していないと判定された場合(ステップS6においてNOの場合)には、他の演算部である第2演算部20に異常が生じているため、ステップS9に進んで、異常時制御部16aは、前記他の演算部(第2演算部20)のリレー(例えば第2リレー60a)を切断するリレー駆動信号を生成して出力する。続くステップS10では、異常時制御部16aは、生成する電流指令を、要求される電流指令の100%にする指示信号を電流指令演算部13aに出力して、第1駆動回路30aを駆動させる。これにより、第1制御部11aのみが、モータ2aを駆動制御する。
【0078】
ステップS7において前記他軸の制御部の状態信号が正常ではないと判定された場合(ステップS7においてNOの場合)にも、上述のステップS10に進む。ステップS10の後、この異常時制御のフローを終了する(END)。
【0079】
上述のステップS1において第1制御部11aがモータ2aに対して単軸駆動制御を行っていると判定した場合(ステップS1においてYESの場合)に進むステップS20では、図5に示すように、ステップS2と同様、異常判定部15aが、第1制御部11aによるモータ2aの駆動に異常(自軸の異常)が発生したかどうかを判定する。
【0080】
なお、ステップS20では、第1制御部11aは、単軸駆動制御を行っているかどうかの情報、2軸駆動制御を行っているかどうかの情報、及び、各制御部が正常であるかどうかの情報を取得して、それらの情報に基づいて、運転状態に関する状態信号を記憶している前記記憶部の情報を更新する。
【0081】
具体的には、後述するステップS20において自軸の異常であると判定された場合(ステップS20においてYESの場合)には、第1制御部11aが正常でなく、モータ2aまたはモータ2bが非駆動制御であると判断される。そして、この情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている運転状態に関する状態信号を更新する。
【0082】
一方、ステップS20において自軸の異常ではないと判定された場合(ステップS20においてNOの場合)には、モータ2a,2bが単軸駆動制御しており、第1制御部11aが正常であると判断される。そして、この情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている運転状態に関する状態信号を更新する。
【0083】
ステップS20において自軸の異常であると判定された場合(ステップS20においてYESの場合)には、ステップS21に進んで、異常時制御部16aは、自軸のリレーである第1リレー50aを切断するリレー駆動信号を生成する。そして、続くステップS22において、異常時制御部16aは、電流指令演算部13aに対して、生成する電流指令をゼロにさせる指示信号を出力して、第1駆動回路30aの駆動を停止させる。
【0084】
その後、ステップS23に進んで、他のモータ(モータ2b)が2軸駆動制御されているかどうかを判定する。前記他のモータが2軸駆動制御されている場合(ステップS23においてYESの場合)には、ステップS24に進んで、同じ演算部である第1演算部10の他の制御部(第1制御部11b)によって、モータ2aを駆動させる。これにより、モータ2aが第1制御部11aによって単軸駆動制御されていて、第1制御部11aが異常を生じた場合でも、他の制御部によってモータ2aの運転を継続することができる。
【0085】
一方、前記他のモータが2軸駆動制御されていない場合(ステップS23においてNOの場合)には、この異常時制御のフローを終了する(END)。
【0086】
ステップS20において自軸の異常でないと判定された場合(ステップS20においてNOの場合)には、ステップS25に進んで、第1制御部11aは、現状の運転条件でモータ2aの運転を継続する。その後、この異常時制御のフローを終了する(END)。
【0087】
上述の異常時制御は、所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、ステップS8,S10,S25の後に、再度、ステップS1に戻ってもよい。
【0088】
第1制御部11a,11b及び第2制御部21a,21bは、それぞれ、図4及び図5に示すフローチャートに沿って、各々の制御部を同期させつつ上述の異常時制御を行う。これにより、多軸駆動制御装置1の制御部または駆動回路で生じた異常に応じて、モータ2a,2bを駆動させる制御部及び駆動回路を切り替えることができる。よって、多軸駆動制御装置1は、モータ2a,2bの駆動制御に関してロバスト性を有する。
【0089】
次に、例えば、第1制御部11a及び第2制御部21aと第1制御部11b及び第2制御部21bとがそれぞれ2軸駆動制御している状態において、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じた場合における各制御部の異常時制御について説明する。図6は、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じた場合における第1制御部11a及び第2制御部21aの異常時制御を太線で示す図である。図7は、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じた場合における第1制御部11bの異常時制御を太線で示す図である。図8は、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じた場合における第2制御部21bの異常時制御を太線で示す図である。
【0090】
図6に示すように、第1制御部11a及び第2制御部21aは、単軸駆動制御でもなく、自軸の異常でもなく、演算部同士の同期信号も正常であり、双方の状態信号も正常であるため、現状の運転を継続する。
【0091】
図7に示すように、第1制御部11bは、単軸駆動制御でもなく、自軸の異常でもなく、演算部同士の同期信号も正常だが、2軸駆動制御の他軸の制御部(第2制御部21b)の状態信号が正常ではないため、電流指令を、要求される電流指令の100%に変更する。すなわち、第1制御部11bは、2軸駆動制御から単軸駆動制御に切り替わる。
【0092】
図8に示すように、第2制御部21bは、単軸駆動制御ではないが、自軸の異常であるため、第2リレー60bを切断して、電流指令演算部23bで生成する電流指令をゼロにする。
【0093】
これにより、モータ2a,2bに対する電力供給は、図9に示す状態から、図10に示す状態に切り替わる。
【0094】
次に、例えば、第1制御部11a及び第2制御部21aが2軸駆動制御しており、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じて第1制御部11bが単独駆動制御を行っている状態において、第1演算部10の第1制御部11bまたは第1駆動回路30bに異常が生じた場合における各制御部の異常時制御について説明する。図11は、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じ且つ第1演算部10の第1制御部11bまたは第1駆動回路30bに異常が生じた場合における第1制御部11a及び第2制御部21aの異常時制御を太線で示す図である。図12及び図13は、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じ且つ第1演算部10の第1制御部11bまたは第1駆動回路30bに異常が生じた場合における第1制御部11bの異常時制御を太線で示す図である。なお、第2制御部21bは、第2制御部21bまたは第2駆動回路40bの異常発生時に異常時制御を行った後、異常時制御を行わないが、異常時制御を行ってもよい。
【0095】
図11に示すように、第1制御部11a及び第2制御部21aは、単軸駆動制御でもなく、自軸の異常でもなく、演算部同士の同期信号も正常であり、双方の状態信号も正常であるため、現状の運転を継続する。
【0096】
図12及び図13に示すように、第1制御部11bは、単軸駆動制御であり、自軸の異常であるため、第1リレー50bを切断して、電流指令演算部13bで生成する電流指令をゼロにする。この場合、図14に示すように、モータ2bを駆動させる制御部がなくなる。そのため、図15に示すように、2軸駆動制御を行っている第1制御部11aによってモータ2aを駆動制御するように、第1駆動回路30aを、リレー70及び第1リレー50bを介して、モータ2aに電気的に接続する。これにより、モータ2a,2bを継続して駆動させることができる。
【0097】
なお、リレー70は、正常時には、多軸駆動制御装置1の回路に電気的に接続されておらず、異常時にのみ駆動回路と他のリレーとを電気的に接続するように構成されている。本実施形態では、リレー70が第1駆動回路30aと第1リレー50bとを電気的に接続した後に、第1リレー50bはリレー駆動信号によって、モータ2bと接続状態に切り替えられる。
【0098】
次に、例えば、第1制御部11a及び第2制御部21aと第1制御部11b及び第2制御部21bとがそれぞれ2軸駆動制御している状態において、第2演算部20に異常が生じた場合における各制御部の異常時制御について説明する。図16は、第2演算部20に異常が生じた場合における第1制御部11a,11bの異常時制御を太線で示す図である。なお、第2演算部20で異常が発生しているため、第2演算部20の第2制御部21a,21bは異常時制御を行わないが、異常時制御を行ってもよい。
【0099】
図16に示すように、第1制御部11a,11bは、単軸駆動制御ではなく、自軸の異常でもないが、第2演算部20の異常であるため、第2演算部20に接続されている第2リレー60a,60bを切断して、電流指令を、要求される電流指令の100%に変更する。
【0100】
これにより、図17に示すように、第1演算部10の第1制御部11a,11bによって、モータ2a,2bを継続して駆動させることができる。
【0101】
本実施形態に係る多軸駆動制御装置1は、複数のモータ2a,2bを同期させて駆動させる。多軸駆動制御装置1は、複数のモータ2a,2bに対してそれぞれ電力を供給可能な複数の第1駆動回路30a,30bと、複数の第1駆動回路30a,30bの駆動をそれぞれ制御する複数の第1制御部11a,11bを有する第1演算部10と、複数のモータ2a,2bに対してそれぞれ電力を供給可能な複数の第2駆動回路40a,40bと、複数の第2駆動回路40a,40bの駆動をそれぞれ制御する複数の第2制御部21a,21bを有する第2演算部20と、を有する。複数の第1駆動回路30a,30bと複数の第2駆動回路40a,40bとは、複数のモータ2a,2bのそれぞれに対して、並列に電力を供給するように電気的に接続されている。複数の第1制御部11a,11b及び複数の第2制御部21a,21bは、複数のモータ2a,2bを同期させて駆動するように、複数の第1駆動回路30a,30b及び複数の第2駆動回路40a,40bの駆動を制御する。
【0102】
これにより、複数のモータ2a,2bのそれぞれに対して、複数の第1駆動回路30a,30bまたは複数の第2駆動回路40a,40bから電力を供給することができる。よって、例えば、複数の第1駆動回路30a,30bまたは複数の第1駆動回路30a,30bをそれぞれ制御する複数の第1制御部11a,11bのうち少なくとも一つに異常が生じた場合でも、複数の第2制御部21a,21bにより制御される複数の第2駆動回路40a,40bによって、複数のモータ2a,2bのそれぞれに対して電力を供給できる。
【0103】
よって、モータ2a,2bの駆動回路または制御部に異常が生じた場合でも、モータ2a,2bを継続して駆動させることができる。したがって、モータ2a,2bを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【0104】
しかも、第1演算部10が複数の第1制御部11a,11bを有し、第2演算部20が複数の第2制御部21a,21bを有するため、複数の第1制御部11a,11b同士、複数の第2制御部21a,21b同士で、それぞれ、容易に且つ精度良く同期させることができる。
【0105】
よって、複数のモータ2a,2bを精度良く同期制御しつつ、冗長性を確保可能な多軸駆動制御装置1が得られる。
【0106】
また、本実施形態では、多軸駆動制御装置1は、複数の第1駆動回路30a,30bと複数のモータ2a,2bとを電気的に接続または切断する第1リレー50a,50bと、複数の第2駆動回路40a,40bと複数のモータ2a,2bとを電気的に接続または切断する第2リレー60a,60bと、をさらに有する。
【0107】
これにより、複数の第1駆動回路30a,30bと複数のモータ2a,2bとを電気的に接続または切断できる。また、複数の第2駆動回路40a,40bと複数のモータ2a,2bとを電気的に接続または切断できる。よって、例えば、第1駆動回路30bまたは該駆動回路を制御する第1制御部11bに異常が生じた場合でも、異常が生じた第1駆動回路30bまたは異常が生じた第1制御部11bによって制御される第1駆動回路30bを、複数のモータ2a,2bに対して電気的に切断でき、電力供給が必要なモータ2bに対して第2駆動回路40bを電気的に接続できる。
【0108】
よって、駆動回路または制御部に異常が生じた場合でも、モータ2a,2bを継続して駆動させることができる。したがって、モータ2a,2bを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【0109】
また、本実施形態では、第1演算部10は、複数の第1制御部11a,11b及び複数の第1駆動回路30a,30bのそれぞれの動作の異常を判定する異常判定部15a,15bを有する。第2演算部20は、複数の第2制御部21a,21b及び複数の第2駆動回路40a,40bのそれぞれの動作の異常を判定する異常判定部25a,25bを有する。複数の第1制御部11a,11bまたは複数の第2制御部21a,21bは、異常判定部15bによって第1制御部11bまたは第1駆動回路30bの動作の異常が判定された場合に、異常であると判定された第1制御部11bによって制御される第1駆動回路30bまたは異常であると判定された第1駆動回路30bを、複数のモータ2a,2bに対して電気的に分離するように、第1リレー50bを動作させるとともに、モータ2bに供給する電力を補うように、他の第1駆動回路30aまたは複数の第2駆動回路40a,40bの少なくとも一つの駆動を制御する。複数の第2制御部21a,21bまたは複数の第1制御部11a,11bは、異常判定部25bによって第2制御部21bまたは第2駆動回路40bの動作の異常が判定された場合に、異常であると判定された第2制御部21bによって制御される第2駆動回路40bまたは異常であると判定された第2駆動回路40bを、複数のモータ2a,2bに対して電気的に分離するように、第2リレー60bを動作させるとともに、モータ2bに供給する電力を補うように、他の第2駆動回路40aまたは複数の第1駆動回路30a,30bの少なくとも一つの駆動を制御する。
【0110】
これにより、異常判定部15bによって第1制御部11bまたは第1駆動回路30bの異常が判定された場合に、異常であると判定された第1制御部11bによって制御される第1駆動回路30bまたは異常であると判定された第1駆動回路30bを、複数のモータ2a,2bに対して電気的に分離できる。そして、他の第1制御部11aまたは複数の第2制御部21a,21bが、他の第1駆動回路30aまたは複数の第2駆動回路40a,40bの少なくとも一つの駆動を制御することにより、モータ2bに供給する電力を補うことができる。
【0111】
同様に、異常判定部25bによって第2制御部21bまたは第2駆動回路40bの異常が判定された場合に、異常であると判定された第2制御部21bによって制御される第2駆動回路40bまたは異常であると判定された第2駆動回路40bを、複数のモータ2a,2bに対して電気的に分離できる。そして、複数の第1制御部11a,11bまたは他の第2制御部21aが、他の第2駆動回路40aまたは複数の第1駆動回路30a,30bの少なくとも一つの駆動を制御することにより、複数のモータ2a,2bに供給する電力を補うことができる。
【0112】
したがって、モータ2a,2bの駆動回路または制御部に異常が生じた場合でも、モータ2a,2bを継続して駆動させることができる。したがって、モータ2a,2bを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【0113】
また、本実施形態では、異常判定部15bによって、複数のモータ2a,2bのうち一つのモータ2bの駆動を制御する第1制御部11bまたは第1駆動回路30bの動作の異常が判定され、且つ、異常判定部25bによって、一つのモータ2bの駆動を制御する第2制御部21bまたは第2駆動回路40bの動作の異常が判定された場合には、複数のモータ2a,2bのうち他のモータ2aの駆動を制御している第1制御部11a及び第2制御部21aのうち一つの制御部は、一つのモータ2bの駆動を制御するように、複数の第1駆動回路30a,30bまたは複数の第2駆動回路40a,40bのうち前記一つの制御部によって制御される駆動回路を、一つのモータ2bに対して電気的に接続する。
【0114】
これにより、異常判定部15bによって、複数のモータ2a,2bのうち一つのモータ2bの駆動を制御する第1制御部11bまたは第1駆動回路30bの動作の異常が判定され、且つ、異常判定部25bによって、一つのモータ2bの駆動を制御する第2制御部21bまたは第2駆動回路40bの動作の異常が判定された場合でも、複数のモータ2a,2bのうち他のモータ2aの駆動を制御している第1制御部11a及び第2制御部21aのうち一つの制御部によって、一つのモータ2bの駆動を制御することができる。
【0115】
よって、モータ2a,2bの駆動を制御する複数の制御部または駆動回路に異常が生じた場合でも、モータ2a,2bを継続して駆動させることができる。したがって、モータ2a,2bを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【0116】
第1制御部11a,11bは、第2演算部20の動作の異常を判定する異常判定部15a,15bを有する。第2制御部21a,21bは、第1演算部10の動作の異常を判定する異常判定部25a,25bを有する。第1制御部11a,11bは、異常判定部15a,15bによって第2演算部20の動作の異常が判定された場合に、第2演算部20における第2制御部21a,21bによって制御される第2駆動回路40a,40bを、複数のモータ2a,2bに対して電気的に分離する。第2制御部21a,21bは、異常判定部25a,25bによって第1演算部10の動作の異常が判定された場合に、第1演算部10における第1制御部11a,11bによって制御される第1駆動回路30a,30bを、複数のモータ2a,2bに対して電気的に分離する。
【0117】
これにより、第1演算部10または第2演算部20の一方の演算部の動作に異常が生じた場合でも、他方の演算部によって、複数のモータ2a,2bの駆動を制御することができる。
【0118】
よって、一方の演算部に異常が生じた場合でも、モータ2a,2bを継続して駆動させることができる。したがって、モータ2a,2bを多軸駆動制御する装置において、冗長性を確保することができる。
【0119】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0120】
前記実施形態では、多軸駆動制御装置1は、2つのモータ2a,2bの駆動を制御する。しかしながら、多軸駆動制御装置は、3つ以上のモータの駆動を制御してもよい。この場合には、第1演算部及び第2演算部は、それぞれ3つ以上の制御部を有する。また、この場合、多軸駆動制御装置は、第1演算部の3つ以上の制御部にそれぞれ電気的に接続された駆動回路を3つ以上有するとともに、各駆動回路に電気的に接続されたリレーを有する。
【0121】
前記実施形態では、多軸駆動制御装置1は、第1演算部10と、第2演算部20とを有する。しかしながら、多軸駆動制御装置は、1つの演算部を有していてもよい。この場合には、1つの演算部が、複数のモータをそれぞれ駆動可能な複数の制御部を、2組有していてもよい。
【0122】
前記実施形態では、第1制御部11a,11b及び第2制御部21a,21bは、速度制御部12a,12b,22a,22bと、電流指令演算部13a,13b,23a,23bと、電流制御部14a,14b,24a,24bと、異常判定部15a,15b,25a,25bと、異常時制御部16a,16b,26a,26bとを有する。しかしながら、第1制御部及び第2制御部は、それぞれ、モータを駆動制御可能であり且つ異常を判定して異常時にはモータの駆動を継続できるように制御可能な構成を有していれば、他の構成を有していてもよい。
【0123】
前記実施形態では、第1制御部11a,11b及び第2制御部21a,21bは、異常判定部15a,15b,25a,25bと、異常時制御部16a,16b,26a,26bとを有する。しかしながら、第1制御部及び第2制御部は、異常判定部及び異常時制御部を有していなくてもよい。
【0124】
前記実施形態では、多軸駆動制御装置1は、複数の第1リレー50a,50bと、複数の第2リレー60a,60bとを有する。しかしながら、多軸駆動制御装置は、第1リレー及び第2リレーを有していなくてもよい。
【0125】
前記実施形態では、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じた場合における各制御部の異常時制御について説明した。しかしながら、第2演算部20の第2制御部21aまたは第2駆動回路40aに異常が生じた場合でも、本実施形態の構成は適用可能である。この場合には、第2制御部21aの異常時制御は、前記実施形態における第2制御部21bの異常時制御と同じであり、第2制御部21bの異常時制御は、前記実施形態における第2制御部21aの異常時制御と同じである。また、第1制御部11aの異常時制御は、前記実施形態における第1制御部11bの異常時制御と同じであり、第1制御部11bの異常時制御は、前記実施形態における第1制御部11aの異常時制御と同じである。
【0126】
前記実施形態では、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じた状態で、さらに、第1演算部10の第1制御部11bまたは第1駆動回路30bに異常が生じた場合における各制御部の異常時制御について説明した。しかしながら、第2演算部20の第2制御部21bまたは第2駆動回路40bに異常が生じた状態で、さらに、第1演算部10の第1制御部11aまたは第1駆動回路30aに異常が生じた場合でも、本実施形態の構成は適用可能である。この場合には、第1演算部10の第1制御部11bによって、モータ2bが駆動制御され、第2演算部20の第2制御部21aによって、モータ2aが駆動制御される。
【0127】
前記実施形態では、第2演算部20に異常が生じた場合における各制御部の異常時制御について説明した。しかしながら、第1演算部10に異常が生じた場合でも、本実施形態の構成は適用可能である。この場合には、第2演算部20の第2制御部21a,21bの異常時制御は、前記実施形態における第1演算部10の第1制御部11a,11bの異常時制御と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、複数のモータを同期させて駆動させる多軸駆動制御装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 多軸駆動制御装置
2、2a、2b モータ
3a、3b センサ
5 コントローラ
10 第1演算部
11、11a、11b 第1制御部
12a、12b、22a、22b 速度制御部
13a、13b、23a、23b 電流指令演算部
14a、14b、24a、24b 電流制御部
15a、15b 異常判定部(第1異常判定部)
25a、25b 異常判定部(第2異常判定部)
16a、16b、26a、26b 異常時制御部
20 第2演算部
21、21a、21b 第2制御部
30、30a、30b 第1駆動回路
40、40a、40b 第2駆動回路
50、50a、50b 第1リレー(第1接続切替部)
60、60a、60b 第2リレー(第2接続切替部)
70 リレー
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