(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082855
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】特性測定チップおよび測定システム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/02 20060101AFI20240613BHJP
C12M 1/42 20060101ALI20240613BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G01N27/02 D
C12M1/42
C12M1/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197018
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】浦川 哲
【テーマコード(参考)】
2G060
4B029
【Fターム(参考)】
2G060AA07
2G060AA15
2G060AD06
2G060AF03
2G060AF06
2G060AF07
2G060AG04
2G060FA11
2G060FA15
2G060KA05
4B029AA07
4B029BB11
4B029CC01
4B029FA03
4B029FA05
(57)【要約】
【課題】1つの測定装置によって複数箇所における液の電気的特性を測定することが可能な特性測定チップおよび測定システムを提供する。
【解決手段】特性測定チップ1は、複数の導入部110と、測定電極120とを備える。複数の導入部110には、電気的特性が測定される対象液が導入される。測定電極120は、導入部110毎に配置される。複数の測定電極120は、直列に接続される。測定電極120のうち導入部110に対向する部分の面積は、測定電極120が直列に接続された順に大きくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的特性が測定される対象液が導入される複数の導入部と、
前記導入部毎に配置される測定電極と
を備え、
複数の前記測定電極は、直列に接続され、
前記測定電極のうち前記導入部に対向する部分の面積は、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなる、特性測定チップ。
【請求項2】
前記複数の導入部は、互いに異なる大きさの前記電気的特性を有する前記対象液が導入され、
前記対象液の前記電気的特性は、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなる、請求項1に記載の特性測定チップ。
【請求項3】
前記各測定電極は、第1電極および第2電極を含み、
直列に接続された前記測定電極間において、一方の前記測定電極の前記第2電極は、他方の前記測定電極の前記第1電極に電気的に接続される、請求項1または請求項2に記載の特性測定チップ。
【請求項4】
前記複数の測定電極は、直列接続の一端に配置される一端測定電極と、前記直列接続の他端に配置される他端測定電極とを含み、
前記複数の導入部は、前記他端測定電極を除く前記測定電極が配置される第1導入部と、前記他端測定電極が配置される第2導入部とを含み、
少なくとも前記第1導入部に配置された前記測定電極は、前記第1電極と前記第2電極とを接続する抵抗配線をさらに含む、請求項3に記載の特性測定チップ。
【請求項5】
前記測定電極は、前記抵抗配線を含む測定電極を複数含み、
前記抵抗配線の抵抗は、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなる、請求項4に記載の特性測定チップ。
【請求項6】
前記電気的特性は、前記対象液のインピーダンス、リアクタンス、インダクタンスおよびレジスタンスの少なくとも1つを含む、請求項1または請求項2に記載の特性測定チップ。
【請求項7】
前記複数の導入部を接続する接続部をさらに備え、
前記複数の導入部と前記接続部とは、前記対象液が流れる流路を構成する、請求項1または請求項2に記載の特性測定チップ。
【請求項8】
電気的特性が測定される対象液が導入される複数の導入部と、
前記導入部毎に配置される測定電極と
を備え、
複数の前記測定電極は、直列に接続され、
前記各測定電極は、第1電極および第2電極を含み、
前記測定電極の前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗は、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなる、特性測定チップ。
【請求項9】
電気的特性が測定される対象液が導入される複数の導入部と、
前記導入部毎に配置される測定電極と
を備え、
複数の前記測定電極は、直列に接続され、
前記各測定電極は、第1電極および第2電極を含み、
前記測定電極の前記第1電極と前記第2電極との間における、測定可能なインピーダンスは、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなる、特性測定チップ。
【請求項10】
請求項1、請求項8および請求項9のいずれか1項に記載の特性測定チップと、
前記特性測定チップの前記複数の測定電極に交流電圧を印加して、前記対象液の電気的特性を測定する測定装置と
を備え、
前記測定装置は、前記測定電極に印加する交流電圧の周波数を変更することによって、前記導入部毎の前記対象液の前記電気的特性を測定する、測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特性測定チップおよび測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液から特定の細胞を分離する分離装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、血液から所定サイズ以上の細胞を抽出する置換部と、置換部を通過した複数種類の細胞から誘電泳動力によってがん細胞を分離する分離部とを備えた分離装置が記載されている。置換部は、血液とDEP液とが導入される主流路と、主流路から分岐する複数の分岐流路とを備える。特許文献1では、置換部は、血液が流通する通路と、DEP液が流通する流路と、血液およびDEP液が流通する流路とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような分離装置では、例えば、血液から所定サイズ以上の細胞を適切に抽出したり、複数種類の細胞からがん細胞を適切に分離したりするために、流路を通過する液の特性を測定する場合がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1の分離装置のように、複数種類の液がそれぞれ流通する複数の流路が形成されている場合、複数の流路における液の特性を測定しようとすると、複数の流路の各々に対して、特性測定用の電極と測定装置とを設ける必要があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、1つの測定装置によって複数箇所における液の電気的特性を測定することが可能な特性測定チップおよび測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1局面による特性測定チップは、複数の導入部と、測定電極とを備える。前記複数の導入部には、電気的特性が測定される対象液が導入される。前記測定電極は、前記導入部毎に配置される。複数の前記測定電極は、直列に接続される。前記測定電極のうち前記導入部に対向する部分の面積は、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなる。
【0008】
本発明の一態様において、前記複数の導入部は、互いに異なる大きさの前記電気的特性を有する前記対象液が導入されてもよい。前記対象液の前記電気的特性は、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなってもよい。
【0009】
本発明の一態様において、前記各測定電極は、第1電極および第2電極を含んでもよい直列に接続された前記測定電極間において、一方の前記測定電極の前記第2電極は、他方の前記測定電極の前記第1電極に電気的に接続されてもよい。
【0010】
本発明の一態様において、前記複数の測定電極は、直列接続の一端に配置される一端測定電極と、前記直列接続の他端に配置される他端測定電極とを含んでもよい。前記複数の導入部は、前記他端測定電極を除く前記測定電極が配置される第1導入部と、前記他端測定電極が配置される第2導入部とを含んでもよい。少なくとも前記第1導入部に配置された前記測定電極は、前記第1電極と前記第2電極とを接続する抵抗配線をさらに含んでもよい。
【0011】
本発明の一態様において、前記測定電極は、前記抵抗配線を含む測定電極を複数含んでもよい。前記抵抗配線の抵抗は、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなってもよい。
【0012】
本発明の一態様において、前記電気的特性は、前記対象液のインピーダンス、リアクタンス、インダクタンスおよびレジスタンスの少なくとも1つを含んでもよい。
【0013】
本発明の一態様において、前記特性測定チップは、前記複数の導入部を接続する接続部をさらに備えてもよい。前記複数の導入部と前記接続部とは、前記対象液が流れる流路を構成してもよい。
【0014】
本発明の第2局面による特性測定チップは、複数の導入部と、測定電極とを備える。前記複数の導入部には、電気的特性が測定される対象液が導入される。前記測定電極は、前記導入部毎に配置される。複数の前記測定電極は、直列に接続される。前記各測定電極は、第1電極および第2電極を含む。前記測定電極の前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗は、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなる。
【0015】
本発明の第3局面による特性測定チップは、複数の導入部と、測定電極とを備える。前記複数の導入部には、電気的特性が測定される対象液が導入される。前記測定電極は、前記導入部毎に配置される。複数の前記測定電極は、直列に接続される。前記各測定電極は、第1電極および第2電極を含む。前記測定電極の前記第1電極と前記第2電極との間における、測定可能なインピーダンスは、前記測定電極が直列に接続された順に大きくなる。
【0016】
本発明の第4局面による測定システムは、上記の構成の特性測定チップと、測定装置とを備える。前記測定装置は、前記特性測定チップの前記複数の測定電極に交流電圧を印加して、前記対象液の電気的特性を測定する。前記測定装置は、前記測定電極に印加する交流電圧の周波数を変更することによって、前記導入部毎の前記対象液の前記電気的特性を測定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、1つの測定装置によって複数箇所における液の電気的特性を測定することが可能な特性測定チップおよび測定システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態による特性測定チップを備えた測定システムの構造を模式的に示す平面図である。
【
図2】導入部の各々に対象液を導入した状態で、測定装置を用いて測定電極のインピーダンスを測定した結果、および、対象液の抵抗(レジスタンス)の算出結果の一例を示す図である。
【
図3】特性測定チップの構造の一例を概略的に示す断面図である。
【
図4】特性測定チップの構造の他の一例を概略的に示す断面図である。
【
図5】特性測定チップの測定電極周辺の構造を模式的に示す図である。
【
図7】対象液の抵抗値と、測定電極のリアクタンスと、抵抗配線の抵抗値と、合成抵抗との関係を説明するための図である。
【
図8】本発明の第2実施形態による特性測定チップの測定電極周辺の構造を模式的に示す平面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態による特性測定チップの測定電極周辺の構造を模式的に示す平面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態による特性測定チップの測定電極周辺の構造を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0020】
(第1実施形態)
図1~
図7を参照して、本発明の第1実施形態による特性測定チップ100を備えた測定システム1について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による特性測定チップ100を備えた測定システム1の構造を模式的に示す平面図である。
【0021】
図1に示すように、第1実施形態の測定システム1は、特性測定チップ100と、測定装置500とを備える。測定システム1は、複数種類の対象液の電気的特性を測定する。対象液は、特に限定されるものではないが、例えば、血液、海水、生理食塩水、純水または薬品である。また、対象液は、例えば、粒子を含有する液、または、粒子を含有しない液である。粒子は、特に限定されるものではないが、例えば、誘電体粒子または非誘電体粒子である。誘電体粒子は、例えば、細胞、タンパク質、核酸または微生物である。また、測定システム1が測定する対象液の電気的特性は、例えば、対象液のインピーダンス、リアクタンス、インダクタンスおよびレジスタンスの少なくとも1つを含む。
【0022】
特性測定チップ100には、複数種類の対象液が導入される。特性測定チップ100は、1つの測定装置500によって複数種類の対象液を一度に測定可能となるように構成されている。測定装置500は、特性測定チップ100に交流電圧を印加して、対象液の電気的特性を測定する。以下、詳細に説明する。
【0023】
特性測定チップ100は、基板101と、複数の導入部110と、複数の測定電極120とを備える。なお、
図1では、理解を容易にするために、導入部110を破線で描いている。複数の導入部110には、電気的特性が測定される対象液がそれぞれ導入される。複数の導入部110には、互いに異なる大きさの電気的特性を有する複数の対象液がそれぞれ導入される。
【0024】
導入部110は、対象液が通過する流路の一部であってもよいし、対象液が溜められる収容部であってもよい。つまり、対象液は、流路を通過することによって導入部110に導入され、導入部110内を通過しながら電気的特性が測定されてもよい。または、対象液は、例えば、収容部(導入部110)に滴下されることによって導入部110に導入され、導入部110内で静止した状態で電気的特性が測定されてもよい。
【0025】
導入部110の数は、特に限定されるものではないが、例えば、3つである。第1実施形態では、複数の導入部110は、導入部111、導入部112および導入部113を含む。
【0026】
複数の測定電極120は、それぞれ複数の導入部110に配置される。つまり、測定電極120は、導入部110毎に配置される。複数の測定電極120は、直列に接続される。具体的には、複数の測定電極120は、測定電極121、測定電極122および測定電極123を含む。測定電極121、測定電極122および測定電極123は、導入部111、導入部112および導入部113にそれぞれ配置される。また、測定電極121、測定電極122および測定電極123は、この順に直列に接続される。以下、複数の導入部110を導入部111~113と記載し、複数の測定電極120を測定電極121~123と記載することがある。
【0027】
第1実施形態では、測定電極121~123のうち、導入部111~113に対向する部分の面積は、測定電極121~123が直列に接続された順(
図1において右側から左側)に大きくなる。なお、本実施形態において、測定電極のうち導入部に対向する部分の面積とは、平面視で測定電極と導入部とが重なる面積のことである。
【0028】
具体的には、測定電極122のうち導入部112に対向する部分の面積は、測定電極121のうち導入部111に対向する部分の面積よりも大きい。また、測定電極123のうち導入部113に対向する部分の面積は、測定電極122のうち導入部112に対向する部分の面積よりも大きい。以下、測定電極121のうち導入部111に対向する部分の面積を、測定電極121の対向面積と記載することがある。また、測定電極122のうち導入部112に対向する部分の面積を、測定電極122の対向面積と記載することがある。また、測定電極123のうち導入部113に対向する部分の面積を、測定電極123の対向面積と記載することがある。
【0029】
測定電極122の対向面積は、測定電極121の対向面積に対して、例えば、2倍以上、1000倍以下である。測定電極122の対向面積は、測定電極121の対向面積に対して、10倍以上、500倍以下であることが好ましく、50倍以上、300倍以下であることがより好ましい。同様に、測定電極123の対向面積は、測定電極122の対向面積に対して、例えば、2倍以上、1000倍以下である。測定電極123の対向面積は、測定電極122の対向面積に対して、10倍以上、500倍以下であることが好ましく、50倍以上、300倍以下であることがより好ましい。なお、
図1では、図面簡略化のため、測定電極121~123の対向面積の差が数倍以下になるように描いている。
【0030】
導入部111~113に導入される対象液の電気的特性は、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。具体的には、導入部112に導入される対象液の電気的特性は、導入部111に導入される対象液の電気的特性よりも大きい。また、導入部113に導入される対象液の電気的特性は、導入部112に導入される対象液の電気的特性よりも大きい。
【0031】
測定電極121~123の各々は、第1電極および第2電極を含む。具体的には、測定電極121は、第1電極1211および第2電極1212を含む。測定電極122は、第1電極1221および第2電極1222を含む。測定電極123は、第1電極1231および第2電極1232を含む。第1電極1221および第2電極1222は、例えば、互いに対向する櫛歯状の電極である。また、第1電極1231および第2電極1232は、例えば、互いに対向する櫛歯状の電極である。なお、測定電極121~123の第1電極および第2電極は、櫛歯状であってもよいし、櫛歯状でなくてもよい。
【0032】
測定電極121の第2電極1212は、測定電極122の第1電極1221に電気的に接続される。測定電極122の第2電極1222は、測定電極123の第1電極1231に電気的に接続される。具体的には、特性測定チップ100は、接続電極124および接続電極125を備える。測定電極121の第2電極1212は、接続電極124を介して、測定電極122の第1電極1221に電気的に接続される。測定電極122の第2電極1222は、接続電極125を介して、測定電極123の第1電極1231に電気的に接続される。つまり、直列に接続された測定電極120間において、一方の測定電極120の第2電極(例えば、第2電極1212)は、他方の測定電極120の第1電極(例えば、第1電極1221)に電気的に接続される。
【0033】
測定電極121~123の第1電極と第2電極との間の抵抗は、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。具体的には、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間の抵抗は、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間の抵抗よりも大きい。また、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間の抵抗は、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間の抵抗よりも大きい。以下、具体的に説明する。
【0034】
測定電極121は、測定電極121~123の直列接続の一端に配置される。測定電極123は、直列接続の他端に配置される。以下、測定電極121を一端測定電極121と記載することがある。また、測定電極123を他端測定電極123と記載することがある。なお、測定電極121は、本発明の「一端測定電極」の一例である。また、測定電極123は、本発明の「他端測定電極」の一例である。
【0035】
導入部111~113は、第1導入部と、第2導入部とを含む。第1導入部には、他端測定電極123を除く測定電極120である測定電極121および122が配置される。第2導入部には、他端測定電極123が配置される。具体的には、導入部111および導入部112には、測定電極121および122(他端測定電極123を除く測定電極120)が配置される。導入部113には、他端測定電極123が配置される。以下、導入部111および導入部112をそれぞれ第1導入部111および第1導入部112と記載することがある。また、導入部113を第2導入部113と記載することがある。なお、導入部111および導入部112の各々は、本発明の「第1導入部」の一例である。導入部113は、本発明の「第2導入部」の一例である。
【0036】
少なくとも第1導入部111および112に配置された測定電極121および122は、第1電極と第2電極とを接続する抵抗配線をさらに含む。第1実施形態では、第1導入部111、112および第2導入部113に配置された測定電極121、122および123は、第1電極と第2電極とを接続する抵抗配線をさらに含む。具体的には、測定電極121は、抵抗配線1213をさらに含む。抵抗配線1213は、第1電極1211と第2電極1212とを接続する。測定電極122は、抵抗配線1223をさらに含む。抵抗配線1223は、第1電極1221と第2電極1222とを接続する。測定電極123は、抵抗配線1233をさらに含む。抵抗配線1233は、第1電極1231と第2電極1232とを接続する。
【0037】
抵抗配線1213~1233の抵抗は、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。具体的には、抵抗配線1223の抵抗は、抵抗配線1213の抵抗よりも大きい。抵抗配線1233の抵抗は、抵抗配線1223の抵抗よりも大きい。このように、測定電極121~123の第1電極と第2電極との間の抵抗は、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。
【0038】
抵抗配線1223の抵抗は、抵抗配線1213の抵抗に対して、例えば、2倍以上、1000倍以下である。抵抗配線1223の抵抗は、抵抗配線1213の抵抗に対して、5倍以上、500倍以下であることが好ましく、10倍以上、100倍以下であることがより好ましい。第1実施形態では、抵抗配線1223の抵抗は、抵抗配線1213の抵抗の約10倍の大きさである。同様に、抵抗配線1233の抵抗は、抵抗配線1223の抵抗に対して、例えば、2倍以上、1000倍以下である。抵抗配線1233の抵抗は、抵抗配線1223の抵抗に対して、5倍以上、500倍以下であることが好ましく、10倍以上、100倍以下であることがより好ましい。第1実施形態では、抵抗配線1233の抵抗は、抵抗配線1223の抵抗の約10倍の大きさである。
【0039】
例えば、抵抗配線1223の抵抗を抵抗配線1213の抵抗に比べて大きくするために、抵抗配線1223の長さを抵抗配線1213の長さよりも長くしてもよいし、抵抗配線1223の幅または厚みを抵抗配線1213の幅または厚みよりも小さくしてもよい。第1実施形態では、抵抗配線1223は、抵抗配線1213の長さよりも長い。同様に、抵抗配線1233の抵抗を抵抗配線1223の抵抗に比べて大きくするために、抵抗配線1233の長さを抵抗配線1223の長さよりも長くしてもよいし、抵抗配線1233の幅または厚みを抵抗配線1223の幅または厚みよりも小さくしてもよい。第1実施形態では、抵抗配線1233は、抵抗配線1223の長さよりも長い。なお、
図1では、図面簡略化のため、抵抗配線1213~1233の長さの差が数倍以下になるように描いている。
【0040】
第1実施形態では、測定電極123が抵抗配線1233を含む例について示したが、測定電極123は、抵抗配線1233を含まなくてもよい。この場合、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232とは、電気的に接続されないため、第1電極1231と第2電極1232との間の抵抗は、非常に高くなる。よって、測定電極123が抵抗配線1233を含まない場合であっても、上述したように、測定電極121~123の第1電極と第2電極との間の抵抗は、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。
【0041】
また、測定電極121~123の第1電極と第2電極との間における、測定可能なインピーダンスは、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。具体的には、導入部111~113の各々に対象液を導入することによって、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間のインピーダンス、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間のインピーダンス、および、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間のインピーダンスが測定可能となる。そして、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間の測定可能なインピーダンスは、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間の測定可能なインピーダンスよりも大きい。また、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間の測定可能なインピーダンスは、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間の測定可能なインピーダンスよりも大きい。
【0042】
なお、本実施形態において、測定可能なインピーダンス(または、電気的特性)とは、一定以上の精度で測定できるインピーダンス(または、電気的特性)を意味する。一定以上の精度とは、例えば、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間のインピーダンス(または電気的特性)を測定する際に、導入部112または導入部113に導入される対象液のインピーダンス(または、電気的特性)に略影響されることなく、目的のインピーダンス(または電気的特性)を測定できることを意味する。言い換えると、例えば、導入部112または導入部113に導入される対象液のインピーダンス(または、電気的特性)が変化した場合であっても、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間のインピーダンス(または電気的特性)が変化しないことを意味する。
【0043】
図2は、導入部111~113の各々に対象液を導入した状態で、測定装置500を用いて測定電極121~123のインピーダンスを測定した結果、および、対象液の抵抗(レジスタンス)の算出結果の一例を示す図である。
図2に示すように、第1実施形態の測定システム1では、1×10
6Hz~1×10
8Hz程度の周波数の交流電圧を印加することによって、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間のインピーダンスが測定できる。そして、この測定結果に基づいて、導入部111に導入された対象液の抵抗が算出される。
【0044】
同様に、1×102Hz~1×104Hz程度の周波数の交流電圧を印加することによって、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間のインピーダンスが測定できる。そして、この測定結果に基づいて、導入部112に導入された対象液の抵抗が算出される。また、1×10-1Hz~1×10Hz程度の周波数の交流電圧を印加することによって、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間のインピーダンスが測定できる。そして、この測定結果に基づいて、導入部113に導入された対象液の抵抗が算出される。
【0045】
図1に示すように、特性測定チップ100は、パッド電極1261およびパッド電極1262を備える。パッド電極1261およびパッド電極1262は、導入部111~113の外側に配置される。パッド電極1261およびパッド電極1262は、後述するカバー104によって覆われていない。従って、パッド電極1261およびパッド電極1262を、測定装置500に電気的に容易に接続できる。
【0046】
パッド電極1261は、測定電極121の第1電極1211に電気的に接続される。パッド電極1262は、測定電極123の第2電極1232に電気的に接続される。具体的には、第1実施形態では、特性測定チップ100は、接続電極1271および接続電極1272と、接続配線1281および接続配線1282とを備える。
【0047】
パッド電極1261は、接続配線1281および接続電極1271を介して、測定電極121の第1電極1211に接続される。接続配線1281は、パッド電極1261と接続電極1271とを接続する。接続電極1271は、測定電極121の第1電極1211に接続される。また、パッド電極1262は、接続配線1282および接続電極1272を介して、測定電極123の第2電極1232に接続される。接続配線1282は、パッド電極1262と接続電極1272とを接続する。接続電極1272は、測定電極123の第2電極1232に接続される。
【0048】
測定装置500は、パッド電極1261およびパッド電極1262を介して、測定電極121~123に交流電圧を印加し、各対象液の電気的特性を測定する。例えば、測定装置500は、対象液を介して、測定電極121~123の各々の第1電極と第2電極との間のインピーダンスを測定することができる。測定装置500は、測定電極121~123に対して印加する交流電圧の周波数を変化させながら、周波数毎にインピーダンスを測定する。
【0049】
引き続き
図1を参照して、測定装置500について説明する。測定装置500は、電源部510と、制御部520と、測定部530とを含む。
【0050】
制御部520は、電源部510及び測定部530を制御する。制御部520は、例えば、プロセッサと、記憶装置とを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)である。記憶装置は、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶装置は、半導体メモリのような主記憶装置と、半導体メモリ、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶装置は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶装置は、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体の一例に相当する。
【0051】
電源部510は、測定電極121~123または対象液に応じた制御電圧または測定用電圧を生成する。そして、電源部510は、パッド電極1261および1262を介して、測定電極121~123に対して制御電圧または測定用電圧を印加する。電源部510は、例えば、ファンクションジェネレータ等の信号発生器である。
【0052】
電源部510によって測定電極121~123に測定用電圧が印加された状態において、測定部530は、対象液を介して、測定電極121~123の第1電極と第2電極との間のインピーダンスを測定する。後述するように、測定電極121に対応する周波数の交流電圧を印加することによって、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間のインピーダンスを測定することができる。また、測定電極122に対応する周波数の交流電圧を印加することによって、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間のインピーダンスを測定することができる。また、測定電極123に対応する周波数の交流電圧を印加することによって、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間のインピーダンスを測定することができる。
【0053】
例えば、測定部530は、電源部510によって測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間に測定用電圧を印加した状態で、第1電極1211と第2電極1212との間に流れる電流を測定する。測定部530は、測定用電圧と第1電極1211および第2電極1212を介して測定した電流値とから、第1電極1211と第2電極1212との間のインピーダンスを算出する。測定部530は、例えば、オシロスコープ等の測定器である。
【0054】
測定装置500は、例えば、ソース・メジャー・ユニットによって構成されていてもよい。
【0055】
以上、
図1を参照して説明したように、第1実施形態では、測定電極121~123は、直列に接続され、測定電極121~123のうち、導入部111~113に対向する部分の面積は、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。従って、測定電極121~123に交流電圧を印加し、印加する交流電圧の周波数を変化させることによって、測定電極121~123毎の、第1電極と第2電極との間の電気的特性を測定することができる。よって、導入部111~113毎の対象液の電気的特性を測定することができる。その結果、1つの測定装置500によって複数箇所(ここでは、3箇所)における液の電気的特性を測定することができる。
【0056】
具体的には、測定電極121~123に印加する交流電圧の周波数を例えば高周波から低周波に変化させることによって、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間の電気的特性、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間の電気的特性、および、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間の電気的特性を、この順で測定することができる。よって、導入部111に導入される対象液の電気的特性、導入部112に導入される対象液の電気的特性、および、導入部113に導入される対象液の電気的特性を、この順で測定することができる。
【0057】
また、上記のように、対象液の電気的特性は、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。従って、測定電極121~123に印加する交流電圧の周波数を、例えば高周波から低周波に変化させることによって、導入部111~113に導入される対象液の電気的特性を、容易に測定することができる。
【0058】
また、上記のように、少なくとも第1導入部111および112に配置された測定電極121および122は、抵抗配線1213および1223を含む。従って、後で詳細に説明するように、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間における測定可能な電気的特性の値と、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間における測定可能な電気的特性の値と、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間における測定可能な電気的特性の値とを、容易に異ならせることができる。
【0059】
具体的には、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間における測定可能な電気的特性の値と、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間における測定可能な電気的特性の値とは、抵抗配線1213によって区分される。また、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間における測定可能な電気的特性の値と、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間における測定可能な電気的特性の値とは、抵抗配線1223によって区分される。
【0060】
また、上記のように、抵抗配線1213および1223の抵抗は、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。従って、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間における測定可能な電気的特性の値と、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間における測定可能な電気的特性の値と、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間における測定可能な電気的特性の値とを、この順で容易に大きくすることができる。
【0061】
また、上記のように、対象液の電気的特性は、インピーダンス、リアクタンス、インダクタンスおよびレジスタンスの少なくとも1つを含む。従って、測定電極121~123に交流電圧を印加することによって、対象液の電気的特性を容易に測定することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、測定電極121~123の第1電極と第2電極との間の抵抗は、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。従って、測定電極121~123に交流電圧を印加し、印加する交流電圧の周波数を変化させることによって、測定電極121~123毎の、第1電極と第2電極との間の電気的特性を測定することができる。よって、導入部111~113毎の対象液の電気的特性を測定することができる。その結果、1つの測定装置500によって複数箇所(ここでは、3箇所)における液の電気的特性を測定することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、測定電極121~123の第1電極と第2電極との間における、測定可能なインピーダンスは、測定電極121~123が直列に接続された順に大きくなる。従って、測定電極121~123に交流電圧を印加し、印加する交流電圧の周波数を変化させることによって、測定電極121~123毎の、第1電極と第2電極との間のインピーダンスを測定することができる。よって、導入部111~113毎の対象液の電気的特性を測定することができる。その結果、1つの測定装置500によって複数箇所(ここでは、3箇所)における液の電気的特性を測定することができる。
【0064】
次に、
図3および
図4を参照して、特性測定チップ100の断面構造について説明する。
図3は、特性測定チップ100の構造の一例を概略的に示す断面図である。
図4は、特性測定チップ100の構造の他の一例を概略的に示す断面図である。
【0065】
図3に示すように、特性測定チップ100は、基板101に加え、電極層102と、保護膜103とカバー104とを備える。基板101の材質は、例えば、石英ガラスである。ただし、基板101の材質は、石英ガラスに限定されない。基板101は、例えば、略矩形の平板形状を有する。ただし、基板101の形状は、平板形状に限定されない。
【0066】
電極層102は、基板101の一方面101a上に配置される。電極層102の材質は、例えば、銅などの金属である。ただし、電極層102の材質は、銅以外の金属であってもよいし、金属以外であってもよい。電極層102は、平面視において所定のパターン形状を有する。上述した測定電極121~123、接続電極124、125、パッド電極1261、1262、接続電極1271、1272、接続配線1281および1282は、電極層102によって形成されている。
【0067】
保護膜103は、電極層102を覆う。保護膜103は、基板101の一方面101aのうち電極層102が配置されていない部分と、電極層102とを覆う。保護膜103の材質は、例えば、シリコン酸化膜などの酸化膜、シリコン窒化膜などの窒化膜、または、樹脂である。保護膜103は、絶縁性を有する。保護膜103は、電極層102と対象液との間で電気化学的な反応が生じることを抑制する。また、保護膜103は、電極層102が経時的に劣化したり、摩耗したりすることを抑制する。なお、
図4に示すように、保護膜103は、設けられていなくてもよい。
【0068】
カバー104は、例えば、保護膜103の一方面103a上に配置される。カバー104は、導入部111~113を構成する。具体的には、カバー104は、側壁104aおよび天井104bを含む。側壁104aおよび天井104bによって、対象液が導入される導入部111~113が構成される。カバー104の材質は、例えば、PDMS(ジメチルポリシロキサン)等のシリコーンである。
【0069】
なお、
図4に示すように、保護膜103が設けられていない構成では、カバー104は、基板101または電極層102上に配置される。また、
図3および
図4では、カバー104が天井104bを含む例について記載しているが、カバー104は、天井104bを含んでいなくてもよい。つまり、導入部111~113は、側壁104aによって構成されてもよい。
図3および
図4に示すように、カバー104が天井104bを含む場合、例えば、導入部111~113は、対象液が通過する流路の一部である。その一方、カバー104が天井104bを含んでいない場合、例えば、導入部111~113は、対象液が溜められる収容部である。
【0070】
次に、
図5~
図7を参照して、特性測定チップ100の測定電極121~123についてさらに詳細に説明する。
図5は、特性測定チップ100の測定電極121~123周辺の構造を模式的に示す図である。
図6は、
図5の等価回路を模式的に示す図である。
【0071】
図5および
図6に示すように、接続電極124、125、パッド電極1261、1262(
図1参照)、接続電極1271、1272、接続配線1281および1282の抵抗値の合計をR0とする。導入部111~113に導入される対象液の抵抗値をそれぞれR11、R21およびR31とする。測定電極121~123のリアクタンスをそれぞれX1、X2およびX3とする。リアクタンスは、電気二重層および保護膜103等によって決まる値である。例えば、測定電極121のリアクタンスは、測定電極121の面積、保護膜103の絶縁性能、界面性能、導入部111の内容積、および、第1電極1211と第2電極1212との間の対象液の液容量等によって決まる。また、抵抗配線1213~1233の抵抗値をそれぞれR12、R22およびR32とする。このとき、
図5の等価回路は、
図6に示すようになる。
【0072】
また、抵抗値R11、リアクタンスX1、抵抗値R12および抵抗値R0の合成抵抗をRS1とすると、合成抵抗RS1は、以下の式(1)で表される。
【0073】
RS1=(R11×R12×X1)/(R11×R12+R11×X1+R12×X1)+R0 ・・・(1)
【0074】
また、抵抗値R21、リアクタンスX2、抵抗値R22およびRS1の合成抵抗をRS2とすると、合成抵抗RS2は、以下の式(2)で表される。
【0075】
RS2=(R21×R22×X2)/(R21×R22+R21×X2+R22×X2)+RS1 ・・・(2)
【0076】
また、抵抗値R31、リアクタンスX3、抵抗値R32およびRS2の合成抵抗をRS3とすると、合成抵抗RS3は、以下の式(3)で表される。
【0077】
RS3=(R31×R32×X3)/(R31×R32+R31×X3+R32×X3)+RS2 ・・・(3)
【0078】
ここで、抵抗値R11、R21およびR31は、R31>R21>R11を満たすことが好ましい。また、リアクタンスX1、X2およびX3は、X3<X2<X1を満たすことが好ましい。また、抵抗値R12、R22およびR32は、R32>R22>R12を満たすことが好ましい。また、合成抵抗RS1、RS2およびRS3は、RS3>RS2>RS1を満たす。抵抗値R11、R21およびR31と、リアクタンスX1、X2およびX3と、抵抗値R12、R22およびR32と、合成抵抗RS1、RS2およびRS3とが、上記の範囲を満たすことによって、各対象液の電気的特性を精度良く測定することが可能である。以下、さらに詳細に説明する。
【0079】
図7は、対象液の抵抗値R11、R21およびR31と、測定電極121~123のリアクタンスX1、X2およびX3と、抵抗配線1213~1233の抵抗値R12、R22およびR32と、合成抵抗RS1、RS2およびRS3との関係を説明するための図である。第1実施形態の特性測定チップ100の抵抗値R0と、リアクタンスX1、X2およびX3と、抵抗値R12、R22およびR32とを、
図2に重ね合わせると、例えば、
図7に示すようになる。
【0080】
図7に示すように、抵抗値R0、R12、R22およびR32を示す線をそれぞれ線1001、線1002、線1003および線1004とする。また、リアクタンスX1、X2およびX3を示す線をそれぞれ線1011、線1012および線1013とする。線1001、線1002、線1011および線1012で囲まれた領域1021は、測定電極121で測定可能な電気的特性の領域を示している。線1002、線1003、線1012および線1013で囲まれた領域1022は、測定電極122で測定可能な電気的特性の領域を示している。線1003および線1004で挟まれ、かつ、線1013よりも低周波側(
図7の左側)の領域1023は、測定電極123で測定可能な電気的特性の領域を示している。なお、
図7では、理解を容易にするために、領域1021、領域1022および領域1023にハッチングを施している。
【0081】
領域1021、領域1022および領域1023は、周波数(
図7の横軸)に関して、異なる範囲を有するように設定される。領域1022の周波数範囲の上限は、領域1021の周波数範囲の下限よりも小さい。領域1023の周波数範囲の上限は、領域1022の周波数範囲の下限よりも小さい。
【0082】
また、領域1021、領域1022および領域1023は、インピーダンス(
図7の縦軸)に関して、異なる範囲を有するように設定される。領域1022のインピーダンス範囲の下限は、領域1021のインピーダンス範囲の上限よりも大きい。領域1023のインピーダンス範囲の下限は、領域1022のインピーダンス範囲の上限よりも大きい。
【0083】
ここで、例えば領域1022に着目すると、測定電極122では、対象液の抵抗値R21が抵抗値R12よりも大きく、抵抗値R22よりも小さい場合に、対象液の抵抗を精度良く測定することが可能である。具体的には、仮に、対象液の抵抗値R21が抵抗値R12よりも小さい場合、対象液の抵抗値R21が、導入部111内の対象液の抵抗値R11よりも小さくなる可能性が生じる。そして、合成抵抗RS1が合成抵抗RS2の半分以上を占める場合がある。この場合、導入部112内の対象液の抵抗値R21の測定精度が低下してしまう。
【0084】
一方、仮に、対象液の抵抗値R21が抵抗値R22よりも大きくなると、
図5に示す測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間において、対象液を介して流れる電流に比べて、抵抗配線1223を介して流れる電流の方が大きくなる。この場合、導入部112内の対象液の抵抗値R21の測定精度が低下してしまう。
【0085】
従って、測定電極122では、対象液の抵抗値R21が抵抗値R12よりも大きく、抵抗値R22よりも小さい場合に、導入部112内の対象液の抵抗を精度良く測定することができる。
【0086】
また、各対象液の電気的特性を精度良く測定するためには、領域1021、領域1022および領域1023の各々の面積(
図7における面積)を大きくすることが望ましい。具体的には、
図7において、線1001と線1002との間の距離、線1002と線1003との間の距離、および、線1003と線1004との間の距離を大きくすることが好ましい。また、
図7において、線1011と線1012との間の距離、および、線1012と線1013との間の距離を大きくすることが好ましい。
【0087】
図7において線1001と線1002との間の距離、線1002と線1003との間の距離、および、線1003と線1004との間の距離を設定する場合、以下のようにすることが好ましい。例えば、抵抗値R12を抵抗値R0の10倍以上にし、抵抗値R22を抵抗値R12の10倍以上にし、抵抗値R32を抵抗値R22の10倍以上にすることが好ましい。例えば、抵抗配線1213、1223および1233の長さを所望の値にすることによって、抵抗値R12、R22およびR32を上記比率に設定することができる。
【0088】
また、
図7において、線1011と線1012との間の距離、および、線1012と線1013との間の距離を設定する場合、以下のようにすることが好ましい。例えば、リアクタンスX2をリアクタンスX1の1/10以下にし、リアクタンスX3をリアクタンスX2の1/10以下にすることが好ましい。
【0089】
具体的には、例えば、線1011で示すリアクタンスX1は、測定電極121の対向面積(測定電極121のうち導入部111に対向する部分の面積)に大きく影響される。測定電極121の対向面積を小さくすると、線1011は
図7の右側にシフトする。その一方、測定電極121の対向面積を大きくすると、線1011は
図7の左側にシフトする。また、線1012で示すリアクタンスX2は、測定電極122の対向面積に大きく影響される。測定電極122の対向面積を小さくすると、線1012は
図7の右側にシフトする。その一方、測定電極122の対向面積を大きくすると、線1012は
図7の左側にシフトする。また、線1013で示すリアクタンスX3は、測定電極123の対向面積に大きく影響される。測定電極123の対向面積を小さくすると、線1013は
図7の右側にシフトする。その一方、測定電極123の対向面積を大きくすると、線1013は
図7の左側にシフトする。従って、例えば、測定電極121~123の対向面積を所望の値にすることによって、リアクタンスX1、X2およびX3を上記比率に設定することができる。
【0090】
第1実施形態の測定システム1では、対象液の電気的特性を測定する場合、測定装置500により測定電極121~123に交流電圧を印加する。このとき、例えば、測定電極121~123に印加する交流電圧の周波数を高周波側から低周波側に変化させると、測定電極121~123におけるインピーダンスを順に測定することができる。具体的には、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間のインピーダンス、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間のインピーダンス、および、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間のインピーダンスを順に測定することができる。なお、測定電極121~123に印加する交流電圧の周波数は、連続的に変化させてもよいし、特定の周波数になるように段階的に変化させてもよい。
【0091】
制御部520は、例えば、測定したインピーダンス、上記式(1)~(3)等に基づいて、各対象液の抵抗値(レジスタンス)を算出する。例えば、導入部111~113が流路の一部である場合、測定装置500による測定は、繰り返し行われる。これにより、対象液の抵抗値の変化を検出できる。また、例えば、導入部111~113が、対象液が溜められる収容部である場合、測定装置500による測定は、新しい対象液が導入される毎に行われる。
【0092】
(第2実施形態)
次に、
図8を参照して、本発明の第2実施形態による特性測定チップ100を備えた測定システム1について説明する。第2実施形態では、導入部111~113が流路の一部である例について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態による特性測定チップ100の測定電極121~123周辺の構造を模式的に示す平面図である。
【0093】
図8に示すように、特性測定チップ100は、第1流路210と、第2流路220と、第3流路230と、接続部240とを備える。第2実施形態では、導入部111は、第1流路210の一部を構成する。導入部112は、第2流路220の一部を構成する。導入部113は、第3流路230の一部を構成する。接続部240は、導入部111~113を接続する。そして、導入部111~113と接続部240とは、対象液が流れる流路を構成する。
【0094】
具体的には、第1流路210は、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間を通過するように配置される。第2流路220は、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間を通過するように配置される。第3流路230は、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間を通過するように配置される。言い換えると、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212とは、第1流路210を跨ぐように配置される。測定電極122の第1電極1221と第2電極1222とは、第2流路220を跨ぐように配置される。測定電極123の第1電極1231と第2電極1232とは、第3流路230を跨ぐように配置される。第1流路210と第3流路230とは、接続部240で合流し、第2流路220に繋がる。
【0095】
第2実施形態では、第1流路210には、例えば、生理食塩水が流通される。第3流路230には、例えば、純水が流通される。このため、第2流路220には、生理食塩水と純水との混合液が流通する。つまり、導入部111には、生理食塩水が導入され、導入部113には、純水が導入され、導入部112には、生理食塩水と純水との混合液が導入される。ここで、対象液の抵抗値は、生理食塩水、生理食塩水と純水との混合液、純水の順に大きくなる。よって、導入部112に導入される対象液(生理食塩水と純水との混合液)の抵抗値は、導入部111に導入される対象液(生理食塩水)の抵抗値よりも大きい。また、導入部113に導入される対象液(純水)の抵抗値は、導入部112に導入される対象液(生理食塩水と純水との混合液)の抵抗値よりも大きい。
【0096】
また、第2実施形態の構成では、抵抗配線1213~1233は、第1流路210、第2流路220および第3流路230をそれぞれ横切る。このため、測定装置500による測定精度が低下するおそれがある。
【0097】
そこで、第2実施形態では、例えば、抵抗配線1213と第1流路210とが重なる面積を小さくしている。これにより、測定装置500による測定精度が低下することを抑制できる。具体的には、抵抗配線1213は、第1流路210と重なる部分12131と、それ以外の部分12132とを有する。部分12131は、第1流路210に対して略直交するように配置される。部分12132は、第1流路210の外側に配置される。部分12132の抵抗値は、抵抗配線1213の抵抗値の大部分を占める。
【0098】
抵抗配線1223は、抵抗配線1213と同様、部分12231と、それ以外の部分12232とを有する。抵抗配線1233は、抵抗配線1213と同様、部分12331と、それ以外の部分12332とを有する。
【0099】
第2実施形態では、第1実施形態と同様にして、導入部111~113に導入された対象液の抵抗値を測定することができる。
【0100】
第2実施形態では、上記のように、導入部111~113と接続部240とは、対象液が流れる流路を構成する。従って、例えば、導入部111に導入された対象液(生理食塩水)の抵抗値、または、導入部113に導入された対象液(純水)の抵抗値が変化した場合、生理食塩水または純水とは異なる液が導入された可能性があることがわかる。また、例えば、導入部112に導入された対象液(生理食塩水と純水との混合液)の抵抗値が変化した場合、生理食塩水または純水の流量が変化し、生理食塩水と純水との混合比が変化した可能性があることがわかる。また、例えば、導入部111または導入部113に流通する対象液の流量を変化させることによって、導入部112を流通する対象液の抵抗値を所定値にすることができる。
【0101】
第2実施形態のその他の構成、測定方法および効果は、第1実施形態と同様である。
【0102】
(第3実施形態)
次に、
図9を参照して、本発明の第3実施形態による特性測定チップ100を備えた測定システム1について説明する。第3実施形態では、第2実施形態とは異なり、第1流路210を流通する対象液が第2流路220を流通しない例について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態による特性測定チップ100の測定電極121~123周辺の構造を模式的に示す平面図である。
【0103】
図9に示すように、第1流路210は、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間を通過する。第1流路210は、接続部240で第3流路230に接した後、第2流路220とは異なる方向に延びる。
【0104】
第3実施形態では、第2実施形態と同様、第1流路210には、例えば、生理食塩水が流通され、第3流路230には、例えば、純水が流通される。なお、第3実施形態では、生理食塩水および純水は、層流になるように流通される。
【0105】
第1流路210に流通された生理食塩水は、第3流路230に流通された純水に接触した後、第1流路210の出口211に向かって流れる。その一方、第3流路230に流通された純水は、第1流路210に流通された生理食塩水に接触した後、第2流路220を流通する。このとき、生理食塩水と純水との界面では、生理食塩水に含まれるイオンの一部が純水内に移動する(
図9の破線矢印参照)。従って、第2流路220には、生理食塩水と純水との混合液が流通する。
【0106】
第3実施形態では、第2実施形態と同様にして、導入部111~113に導入された対象液の抵抗値を測定することができる。
【0107】
第3実施形態のその他の構成、測定方法および効果は、第2実施形態と同様である。
【0108】
(第4実施形態)
次に、
図10を参照して、本発明の第4実施形態による特性測定チップ100を備えた測定システム1について説明する。
図10は、本発明の第4実施形態による特性測定チップ100の測定電極121~123周辺の構造を模式的に示す平面図である。なお、
図10では、図面簡略化のため、測定電極121~123同士を接続する配線、および、測定電極121および123と測定装置500とを接続する配線等を省略している。第4実施形態では、特性測定チップ100が、例えば、HDF(Hydrodynamic filtration)チップである場合について説明する。なお、HDFチップは、流体力学的フィルタとしての機能を有する。例えば、HDFチップは、微粒子の分離・濃縮を目的としたマイクロ流路チップである。
【0109】
特性測定チップ100は、第1流路310と、第2流路320と、第3流路330と、接続部340とを備える。第3実施形態では、導入部111は、第1流路310の一部を構成する。導入部112は、第2流路320の一部を構成する。導入部113は、第3流路330の一部を構成する。接続部340は、導入部111~113を接続する。そして、導入部111~113と接続部340とは、対象液が流れる流路を構成する。
【0110】
具体的には、第1流路310は、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212との間を通過するように配置される。第2流路320は、測定電極122の第1電極1221と第2電極1222との間を通過するように配置される。第3流路330は、測定電極123の第1電極1231と第2電極1232との間を通過するように配置される。言い換えると、測定電極121の第1電極1211と第2電極1212とは、第1流路310を跨ぐように配置される。測定電極122の第1電極1221と第2電極1222とは、第2流路320を跨ぐように配置される。測定電極123の第1電極1231と第2電極1232とは、第3流路330を跨ぐように配置される。第4実施形態では、第1流路310と第3流路330とは、接続部340で合流し、第2流路320に繋がる。
【0111】
第4実施形態では、第1流路310には、例えば、試料液が流通される。試料液は、微粒子を含有した液である。試料液は、特に限定されるものではないが、例えば、血液である。第3流路330には、例えば、輸送液が流通される。輸送液は、微粒子を含有しない液である。輸送液は、特に限定されるものではないが、例えば、液状の培地である。
【0112】
第4実施形態では、特性測定チップ100は、HDF400をさらに備える。HDF400は、接続部340に対して下流側に配置される。具体的には、HDF4は、第2流路320から分岐する複数の副流路401を有する。複数の副流路401と、第2流路320の一部とによって、HDF400が構成される。複数の副流路401は、例えば、第2流路320に対して垂直に延びるように配置される。また、複数の副流路401は、例えば、第2流路320の延びる方向に沿って略等ピッチで配置される。
【0113】
複数の副流路401には、第2流路320を流通する液が流れ込む。また、複数の副流路401には、第2流路320を流通する液に含有される粒子の一部が流れ込む。粒径の小さな粒子ほど副流路401に流れ込みやすく、粒径の大きな粒子ほど副流路401に流れ込みにくい。つまり、HDF400は、第2流路320を流通する液から比較的大きな粒子(例えば、がん細胞および白血球)を分離する。
【0114】
また、第4実施形態では、特性測定チップ100は、誘電泳動電極450をさらに備える。第4実施形態では、誘電泳動電極450は、測定電極122に対して下流側に配置される。誘電泳動電極450は、例えば、第2流路320を流通する複数種類の粒子が誘電体粒子を含む場合、複数種類の粒子から特定の誘電体粒子を分離することが可能である。例えば、がん細胞および白血球は、誘電体粒子である。
【0115】
誘電泳動電極450は、電極451および電極452を含む。電極451および電極452は、互いに対向する櫛歯状の電極である。電極451は、例えば、交流電源460に電気的に接続される。電極452は、例えば、接地される。なお、交流電源460を設けず、測定装置500によって電極451および電極452に交流電圧を印加してもよい。
【0116】
誘電泳動電極450は、第2流路320を流通する液に含有される誘電体粒子に誘電泳動力を作用させることで、誘電体粒子を他の成分から分離する。具体的には、電極451と電極452との間に印加する交流電圧の周波数を調節することによって、第2流路320を流通する複数種類の粒子から所望の粒子を分離することが可能である。例えば、第2流路320を流通する複数種類の粒子が、がん細胞と、がん細胞以外の粒子とを含む場合、がん細胞に誘電泳動力が作用しやすくなるように、特定の周波数の交流電圧を電極451と電極452との間に印加する。これにより、がん細胞を電極451および電極452に沿って移動させることが可能である。よって、がん細胞のみを誘電泳動により、第2流路320の幅方向の一方側(ここでは、
図10の上側)に誘導することが可能である。
【0117】
第4実施形態では、第1流路310に試料液(ここでは、血液)を流通し、第3流路330に輸送液(ここでは、培地)を流通すると、試料液と輸送液とが接続部340で合流する。試料液と輸送液とが第2流路320を流れる際に、試料液のうち所定サイズ以上の粒子(例えば、がん細胞および白血球等)は、HDF400を通過する。その一方、試料液のうちの、液体成分と所定サイズよりも小さい粒子とは、第2流路320から副流路401に流れる。
【0118】
その後、HDF400を通過した液(がん細胞および白血球等を含有する輸送液)は、測定電極122を通過して誘電泳動電極450に到達する。そして、誘電泳動電極450の作用によって、がん細胞が白血球等から分離される。
【0119】
第4実施形態では、第2実施形態と同様にして、導入部111~113に導入された対象液の抵抗値を測定することができる。例えば、導入部111に導入された対象液(試料液)の抵抗値、または、導入部113に導入された対象液(輸送液)の抵抗値が変化した場合、試料液または輸送液とは異なる液が導入されたり、試料液または輸送液の成分が変化したりした可能性があることがわかる。また、例えば、導入部112に導入された対象液(がん細胞および白血球等を含有する輸送液)の抵抗値が変化した場合、HDF400による分離が正常に行われなかった可能性があることがわかる。この場合、例えば、試料液または輸送液の流量が変化した可能性があることがわかる。以上のように、第4実施形態では、特性測定チップ100の異常を随時把握することができる。
【0120】
第4実施形態のその他の構成、測定方法および効果は、第2実施形態と同様である。
【0121】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0122】
例えば、第1実施形態~第4実施形態では、特性測定チップ100が3つの導入部111~113を備える例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、特性測定チップ100は、2つ、または、4つ以上の導入部を備えてもよい。
【0123】
また、導入部が2つの場合、抵抗配線は、2つあってもよいし、1つだけあってもよい。また、導入部が4つ以上の場合、抵抗配線は、導入部と同じ数あってもよいし、導入部の数よりも1つ小さい数あってもよい。
【0124】
また、第1実施形態では、導入部111~113が例えば収容部である例について説明し、第2実施形態~第4実施形態では、導入部111~113が流路の一部である例にてついて説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、1つの特性測定チップ100が、流路の一部である導入部と、収容部である導入部とを備えてもよい。
【0125】
また、第4実施形態では、誘電泳動電極450が測定電極122に対して下流側に配置される例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、誘電泳動電極450は、測定電極122に対して上流側に配置されてもよい。このとき、例えば、誘電泳動電極450は、測定電極122と接続部340との間に配置されてもよい。
【0126】
また、第1実施形態~第4実施形態では、測定電極121~123、接続電極124、125、パッド電極1261、1262、接続電極1271、1272、接続配線1281および1282が、電極層102によって形成される例について説明したが、本発明はこれに限らない。これらの電極および配線は、異なる層によって形成されてもよい。言い換えると、これらの電極および配線は、異なる材質であってもよい。
【0127】
また、第1実施形態~第4実施形態では、測定装置500によって対象液の抵抗を測定する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、測定装置500によって、対象液の電流特性、電圧特性、または、電気容量を測定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、特性測定チップおよび測定システムの分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 :測定システム
100 :特性測定チップ
110 :導入部
111 :導入部、第1導入部
112 :導入部、第1導入部
113 :導入部、第2導入部
120 :測定電極
121 :測定電極、一端測定電極
122 :測定電極
123 :測定電極、他端測定電極
500 :測定装置
1211、1221、1231 :第1電極
1212、1222、1232 :第2電極
1213、1223、1233 :抵抗配線