(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082857
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ゴム部材の製造装置及びゴム部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/25 20190101AFI20240613BHJP
B29D 30/08 20060101ALI20240613BHJP
B29C 48/355 20190101ALI20240613BHJP
B29C 48/88 20190101ALI20240613BHJP
B29C 48/07 20190101ALI20240613BHJP
B29C 48/305 20190101ALI20240613BHJP
B29K 9/00 20060101ALN20240613BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20240613BHJP
【FI】
B29C48/25
B29D30/08
B29C48/355
B29C48/88
B29C48/07
B29C48/305
B29K9:00
B29L7:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197022
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇揮
【テーマコード(参考)】
4F207
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F207AA45
4F207AG02
4F207AH20
4F207AJ08
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK55
4F207KL84
4F207KM16
4F207KM30
4F215AH20
4F215VA15
4F215VD03
4F215VD09
4F215VD12
4F215VL28
4F215VP28
4F215VP42
4F501TC03
4F501TC09
4F501TC11
4F501TE23
4F501TL27
4F501TL40
4F501TV13
4F501TV23
(57)【要約】
【課題】 ゴム部材の冷却効果を高めることが可能なゴム部材の製造装置及びゴム部材の製造方法を提供する。
【解決手段】 ゴム部材の製造装置は、押出装置から連続して押し出されるゴム部材を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送される前記ゴム部材を冷却する冷却装置と、前記冷却装置による冷却前又は冷却中の前記ゴム部材に穴を開ける穴開け装置と、を備える。ゴム部材の製造方法は、押出装置から連続して押し出されるゴム部材を搬送する搬送工程と、前記搬送工程で搬送されるゴム部材を冷却する冷却工程と、前記冷却工程による冷却前又は冷却中に前記ゴム部材に穴を開ける穴開け工程と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出装置から連続して押し出されるゴム部材を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される前記ゴム部材を冷却する冷却装置と、
前記冷却装置による冷却前又は冷却中の前記ゴム部材に穴を開ける穴開け装置と、を備える、ゴム部材の製造装置。
【請求項2】
前記穴開け装置は、多数の穴開け針を備える、請求項1に記載のゴム部材の製造装置。
【請求項3】
前記穴開け装置は、前記多数の穴開け針のうち少なくとも一部が固定されたローラを備える、請求項2に記載のゴム部材の製造装置。
【請求項4】
前記穴開け装置は、前記搬送装置で搬送される前記ゴム部材の上側に設けられている、請求項2に記載のゴム部材の製造装置。
【請求項5】
前記穴開け装置は、前記ゴム部材に非貫通の穴を開ける、請求項1~4の何れか1項に記載のゴム部材の製造装置。
【請求項6】
押出装置から連続して押し出されるゴム部材を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程で搬送される前記ゴム部材を冷却する冷却工程と、
前記冷却工程による冷却前又は冷却中に前記ゴム部材に穴を開ける穴開け工程と、を含む、ゴム部材の製造方法。
【請求項7】
前記穴開け工程では、多数の穴開け針で前記ゴム部材に穴を開ける、請求項6に記載のゴム部材の製造方法。
【請求項8】
前記穴開け工程では、前記多数の穴開け針のうち少なくとも一部が固定されたローラが用いられる、請求項7に記載のゴム部材の製造方法。
【請求項9】
前記穴開け工程では、前記ゴム部材の上部から前記ゴム部材に穴を開ける、請求項7に記載のゴム部材の製造方法。
【請求項10】
前記穴開け工程では、前記ゴム部材に非貫通の穴を開ける、請求項6~9の何れか1項に記載のゴム部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴム部材の製造装置及びゴム部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ゴム部材を冷却する水槽と、水槽内でゴム部材を搬送する水槽内コンベヤと、を備える冷却装置が開示されている。上記水槽内コンベヤは、上昇部と下降部とが交互に配置されて上下方向に蛇行する搬送路を有するベルトコンベヤである。これにより、水槽の長さを長くすることなく、冷却装置の冷却効果を高めている。
【0003】
しかしながら、搬送されるゴム部材の厚みなどによっては、ゴム部材の冷却が不足する恐れがある。このため、ゴム部材の冷却装置や製造装置において、更なるゴム部材の冷却効果の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、ゴム部材の冷却効果を高めることが可能なゴム部材の製造装置及びゴム部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のゴム部材の製造装置は、押出装置から連続して押し出されるゴム部材を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送される前記ゴム部材を冷却する冷却装置と、前記冷却装置による冷却前又は冷却中の前記ゴム部材に穴を開ける穴開け装置と、を備える。
【0007】
本開示のゴム部材の製造方法は、押出装置から連続して押し出されるゴム部材を搬送する搬送工程と、前記搬送工程で搬送されるゴム部材を冷却する冷却工程と、前記冷却工程による冷却前又は冷却中に前記ゴム部材に穴を開ける穴開け工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のゴム部材の製造装置の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[ゴム部材の製造装置]
まずは、ゴム部材の製造装置1の一例について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、ゴム部材の製造装置1の一例を示す概略図である。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
ゴム部材の製造装置1は、ゴム部材Gを連続して押し出す押出装置2と、押出装置2によって押し出されたゴム部材Gを搬送する搬送装置3と、搬送装置3によって搬送されるゴム部材Gを冷却する冷却装置4と、を備えている。ゴム部材の製造装置1は、ゴム部材Gを所定の長さでカットするカット装置と、カット装置によってカットされたゴム部材Gを巻き取る巻取装置と、を備えていてもよい。また、ゴム部材の製造装置1は、カット装置によってカットされたゴム部材Gを一時的に保管する保管部を備えていてもよい。
【0011】
押出装置2は、ゴム材料が投入される不図示のホッパーと、ゴム材料に熱を与えながら押し出す不図示のスクリューと、ゴム部材Gが押し出される開口を有する口金21と、を備える。押出装置2によるゴム部材Gの押出量は、スクリューの回転速度によって制御される。口金21の開口は、例えば、断面台形状に形成されている。ゴム部材Gは、長尺状(帯状)に押し出されている。ゴム部材Gとしては、例えば、タイヤの成形に用いられるトレッドゴム、サイドウォールゴムやビードフィラーゴムなどが挙げられる。
【0012】
搬送装置3は、ゴム部材Gを搬送する複数の搬送部31と、ゴム部材Gの搬送をガイドするガイドローラ32と、を備えている。
図1においては、搬送部31がベルトコンベヤである例を示しているが、これに限られない。例えば、搬送部31は、ローラコンベヤや複数種のコンベヤを組み合わせたものであってもよい。搬送装置3において、上流側は押出装置2側を示し、下流側は押出装置2と反対側を示す。
【0013】
本実施形態において、冷却装置4は、水冷式の冷却装置であるが、これに限られない。冷却装置4は、ゴム部材Gとゴム部材Gを冷却する冷却水とが一時的に収容される水槽41と、冷却水を(水槽41に)供給する供給部42と、供給部42から供給される冷却水(供給水ともいう)の供給量を調整可能なバルブ43と、を備えている。なお、冷却装置4は、水槽41を備えないという構成であってもよい。斯かる構成における冷却装置4は、供給部42から供給される冷却水をゴム部材Gに直接かけることによってゴム部材を冷却する。
【0014】
水槽41は、搬送装置3の搬送方向に沿って設けられている。水槽41は、長手方向に長い箱状に形成されている。
図1においては、水槽41が1つ設けられた例を示しているが、これに限られない。例えば、水槽41は、上下方向に複数設けられていてもよい。水槽41に貯留された冷却水を貯留水ともいう。ゴム部材Gは、入水位置P1で貯留水に入水され、退水位置P2で貯留水から退水される。
【0015】
複数の搬送部31のうち一部は、水槽41に収容されていることが好ましい。搬送部31のうち、ゴム部材Gを貯留水に入水させる搬送部31を第1搬送部31aとし、貯留水に入水させたゴム部材Gを搬送する搬送部31を第2搬送部31bとし、貯留水中のゴム部材Gを退水させる搬送部31を第3搬送部31cとする。搬送方向の上流側から第1搬送部31a、第2搬送部31b、第3搬送部31cの順に配置されている。
【0016】
第1搬送部31aは、搬送方向の下流側に向かって下方向に傾斜して設けられている。本実施形態においては、第1搬送部31aの下流側部が水槽41に収容されている。即ち、第1搬送部31aの下流側部が貯留水に浸かっているが、これに限られない。なお、第1搬送部31aをガイドローラ32に置き換えてもよい。
【0017】
第2搬送部31bは、水槽41に収容されている。第2搬送部31bは、貯留水に沈設されている。第2搬送部31bは、ゴム部材Gの上面が貯留水に浸からない位置に設けられていることが好ましい。これにより、ゴム部材Gの上面に供給水を吹きかける(垂らす)ことによって、ゴム部材Gの上面と接触した供給水の一部が気化し、気化熱によってゴム部材Gが冷却される。その結果、例えば、貯留水にゴム部材Gを完全に浸けた場合よりもゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。
【0018】
第2搬送部31bは、複数設けられている。本実施形態において、複数の第2搬送部31bは、1列に設けられているが、これに限られない。例えば、複数の第2搬送部31bは、上下方向に複数段となるように設けられていてもよい。
【0019】
第3搬送部31cは、搬送方向の下流側に向かって上方向に傾斜して設けられている。本実施形態においては、第3搬送部31cの上流側部が水槽41に収容されている。即ち、第3搬送部31cの上流側部が貯留水に浸かっているが、これに限られない。
【0020】
供給部42は、ゴム部材Gの搬送方向に沿って複数設けられていることが好ましい。
図1においては、供給部42が4つ設けられた例を示しているが、これに限られない。例えば、供給部42は、1つであってもよい。供給部42は、搬送方向に沿って1列又は複数列設けられている。
【0021】
供給部42は、入水したゴム部材G(第2搬送部31b)の上方に設けられていることが好ましい。これにより、上面が貯留水に浸からないようにゴム部材Gが搬送されている場合、上述したように気化熱でゴム部材Gを冷却できる。
【0022】
供給部42は、供給水が貯留される不図示の供給槽と、供給水を水槽41に供給する供給ノズル421と、供給槽と供給ノズル421とを接続する供給管422と、を備えている。供給管422は、他の供給部42の供給管422と接続されていてもよく、非接続であってもよい。
【0023】
供給ノズル421は、供給水を噴射する噴射ノズルであることが好ましい。これにより、1つの供給ノズル421でゴム部材Gの広範囲に供給水を吹きかけることができる。噴射ノズルは、圧縮空気や油圧により供給水を噴射する周知の構造である。なお、供給ノズル421は、供給水を垂らす構造であってもよい。
【0024】
供給ノズル421は、複数設けられていることが好ましい。
図1においては、1つの供給部42に対して供給ノズル421が3つ設けられた例を示しているが、これに限られない。例えば、供給ノズル421は、1つの供給部42に対して1つであってもよい。供給ノズル421は、搬送方向に沿って1列又は複数列設けられている。
【0025】
バルブ43は、供給管422に設けられている。バルブ43は、複数設けられていることが好ましい。複数のバルブ43の開口度は、それぞれ同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。例えば、上流側のバルブ43の開口度を、下流側のバルブ43の開口度よりも大きくしてもよい。
【0026】
バルブ43は、各供給部42のそれぞれの供給管422に設けられていることが好ましい。これにより、各バルブ43を開閉することによって、供給水を供給する供給部42の数を変更することができ、水槽41に供給される供給水の供給量を調整することができる。
図1に示す供給部42を上流側から順に、第1供給部42a、第2供給部42b、第3供給部42c、第4供給部42dとし、各供給部42a~42dに設けられたバルブ43をそれぞれ第1バルブ43a、第2バルブ43b、第3バルブ43c、第4バルブ43dとする。例えば、第1バルブ43a~第3バルブ43cを開状態とし、第4バルブ43dを閉状態とすることによって、供給水の供給量が減少する。
【0027】
ゴム部材の製造装置1は、冷却装置4による冷却前又は冷却中のゴム部材Gに穴を開ける穴開け装置5を備えている。斯かる構成によれば、冷却装置4による冷却前又は冷却中のゴム部材Gに穴を開けることによって、ゴム部材Gの冷却面積を増やすことができる。これにより、冷却装置4によるゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。また、水槽41の長さやゴム部材Gの製造時間を増加させることなく、ゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。
【0028】
ゴム部材Gの冷却効果を高めることにより、ゴム部材Gの退水後の収縮を抑制できる。これにより、カット後におけるゴム部材Gの収縮を抑制し、ゴム部材Gの均一性の悪化を抑制できる。カット後にゴム部材Gが収縮すると、そのゴム部材Gの長手方向の中央部と端部とで収縮量に差が生じ、ゴム部材Gの厚みが不均一になるためである。ゴム部材Gがタイヤのトレッドゴムである場合、タイヤのユニフォミティバランス、特にRFV(ラジアルフォースバリエーション)の悪化を抑制できる。
【0029】
穴開け装置5は、冷却装置4よりも上流側又は冷却装置4内に設けられている。穴開け装置5は、退水位置P2よりも上流側に設けられている。穴開け装置5は、入水位置P1と退水位置P2との中間点よりも上流側に設けられていることが好ましい。
【0030】
穴開け装置5は、入水位置P1と近接した位置(例えば、入水位置P1から1m以内)に設けられていることがより好ましい。穴開け装置5が冷却装置4よりも上流側に設けられた場合、ゴム部材Gの穴開け後で且つ水槽41への入水前に穴が自重などによって塞がることを抑制するためである。穴開け装置5が冷却装置4内に設けられた場合、ゴム部材Gに穴を開けた状態での冷却時間を増やすためである。
【0031】
穴開け装置5は、第4供給部42d(最下流側の供給部42)よりも上流側に設けられている。穴開け装置5は、第3供給部42cよりも上流側に設けられていることが好ましく、第2供給部42bよりも上流側に設けられていることがより好ましく、第1供給部42a(最上流側の供給部42)よりも上流側に設けられていることがさらに好ましい。本実施形態において、穴開け装置5は、第1搬送部31a上に設けられているが、これに限られない。例えば、穴開け装置5は、第2搬送部31b上に設けられていてもよい。
【0032】
図2は、
図1のII-II線断面図である。
図2に示すように、穴開け装置5は、多数の穴開け針51を備えていることが好ましい。これにより、ゴム部材Gに多数の穴を開けることができる。その結果、ゴム部材Gの冷却効果をさらに高めることができる。なお、穴開け装置5は、上記に限られず、ウォータージェットでゴム部材Gに穴を開ける構成であってもよい。
【0033】
穴開け針51の径D1は、1mm以上であることが好ましい。これにより、ゴム部材Gの穴に冷却水が入りやすくなり、ゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。穴開け針51の径D1は、2mm以下であることが好ましい。これにより、穴開けによってゴム部材Gの形状が変わることを抑制できる。
【0034】
穴開け針51の配置間隔S1は、3mm以上であることが好ましい。これにより、穴開けによってゴム部材Gの形状が変わることを抑制できる。穴開け針51の配置間隔S1は、4mm以下であることが好ましい。これにより、ゴム部材Gに多数の穴を設けることができ、ゴム部材Gの冷却効率を高めることができる。穴開け針51の配置間隔S1は、穴開け針51の径D1の2倍以上であることが好ましい。
【0035】
本実施形態において、穴開け針51の配置間隔S1は、実質的に一定であるが、これに限られない。例えば、穴開け針51の配置間隔S1をゴム部材Gの厚みによって変えてもよい。具体的には、ゴム部材Gの厚みが大きい部分に穴を開ける穴開け針51の配置間隔S1を小さくし、ゴム部材Gの厚みが小さい部分に穴を開ける穴開け針51の配置間隔S1を大きくしてもよい。
【0036】
穴開け針51の配置領域の幅W1は、ゴム部材Gの幅W2と同じか、それよりも大きいことが好ましい。穴開け針51の配置領域は、上下方向視においてゴム部材Gの幅方向の全部と重なっていることが好ましい。これにより、多数の穴開け針51によってゴム部材Gの幅方向の全部に穴を開けることが可能となる。幅W1の中央は、幅W2の中央と一致していることが好ましい。なお、幅W1は、幅W2よりも小さくてもよく、穴開け針51の配置領域は、上下方向視においてゴム部材Gの幅方向の一部(例えば、ゴム部材Gの厚みが大きい部分)とのみ重なっていてもよい。
【0037】
穴開け装置5は、多数の穴開け針51のうち少なくとも一部が固定されたローラ52を備えていることが好ましい。これにより、ローラ52が回転することによってゴム部材Gに容易に穴を開けることができる。その結果、簡易な構成でゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。穴開け針51の長手方向は、ローラ52の径方向に沿っている。ローラ52の外周面は、円筒状に形成されているが、これに限られない。例えば、ローラ52の外周面は、ゴム部材Gに沿った形状に形成されていてもよい。
【0038】
本実施形態において、ローラ52は、搬送されるゴム部材Gとの接触により従動的に回転する従動ローラである。具体的には、ローラ52は、ローラ52に固定された穴開け針51が搬送されるゴム部材Gに押されることによって回転する。なお、穴開け装置5は、ローラ52を回転させる不図示の駆動部を備えていてもよい。駆動部は、ローラ52の外周面又は穴開け針51の任意の位置(例えば、先端)の周速度がゴム部材Gの搬送速度と実質的に同じになるようにローラ52を回転させることが好ましい。これにより、ゴム部材Gの搬送速度を変えることなく、ゴム部材Gに穴を開けることができる。駆動部は、搬送部31のベルトやローラを回転させる駆動部と兼用されていてもよい。
【0039】
本実施形態においては、穴開け針51が固定されたローラ52は、1つであるが、これに限られない。例えば、穴開け針51が固定されたローラ52は、複数設けられていてもよい。なお、穴開け装置5は、上記に限られず、例えば、多数の穴開け針51が固定された平板をゴム部材Gに押印するように動作させる構成であってもよい。
【0040】
穴開け装置5は、搬送装置3で搬送されるゴム部材Gの上側に設けられていることが好ましい。これにより、穴開け針51と搬送装置3との隙間を調整することにより、ゴム部材Gの厚みが所定の厚みよりも大きい部分にのみ穴を開けることができる。その結果、その部分の冷却効果を高めることができ、ゴム部材Gの厚みが所定の厚みよりも大きい部分と小さい部分との冷却後の温度差を小さくできる。また、カットされたゴム部材Gを搬送時から反転させて保管部(プレート)の上に載置する場合において、カットされたゴム部材Gの穴に水が溜まっていたとしても、穴の開口が反転後に下向きとなることによってその溜まった水を抜くことができる。
【0041】
ゴム部材の製造装置1は、ゴム部材Gの穴開け時に穴開け装置5と反対側からゴム部材Gを支持する支持部6を備えていることが好ましい。支持部6は、ゴム部材Gを挟んで穴開け装置5(のローラ52)と対向する位置に設けられている。これにより、支持部6によって支持された状態でゴム部材Gに穴を開けることができる。その結果、ゴム部材Gを不支持の状態で穴を開けた場合よりも穴開けによるゴム部材Gの変形を抑制できる。本実施形態において、支持部6は、ゴム部材Gの下側に設けられており、第1搬送部31aが支持部6を兼用しているが、これに限られない。
【0042】
穴開け装置5は、支持部6によって支持されたゴム部材Gに非貫通の穴を開けることが好ましい。これにより、ゴム部材Gに刺す穴開け針51の深さを小さくできる。その結果、穴開け針51でゴム部材Gに貫通穴を開けた場合よりも穴開けによるゴム部材Gの変形を抑制できる。なお、穴開け装置5は、上記に限られず、ゴム部材Gに貫通穴を開けてもよい。
【0043】
本実施形態において、穴開け装置5は、ゴム部材Gが貯留水に入水した状態において、穴底が貯留水の水面Wsよりも下側となるように穴を開けているが、これに限られない。
【0044】
[ゴム部材の製造方法]
次に、ゴム部材の製造方法について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0045】
図1に示すように、まずは、押出装置2によって口金21からゴム部材Gを長尺状に押し出す(押出工程)。そして、押出工程によって連続して押し出されるゴム部材Gを搬送する(搬送工程)。次に、搬送工程で搬送中のゴム部材Gに穴を開ける(穴開け工程)。そして、穴開け工程で穴を開けた搬送中のゴム部材Gを冷却装置4で冷却する(冷却工程)。穴開け工程は、冷却工程と同時に行ってもよい。
【0046】
その後、冷却工程で冷却した搬送中のゴム部材Gを所定の長さにカットし(カット工程)、カット工程でカットしたゴム部材Gをドラムに巻き付け(巻き付け工程)、環状のゴム部材を製造する。なお、巻き付け工程の前にカットしたゴム部材Gを反転させて保管部(プレート)の上で一時的に保管してもよい。
【0047】
穴開け工程は、冷却工程による冷却前又は冷却中に行われる。穴開け工程は、遅くとも冷却工程の前半に行われることが好ましい。穴開け工程は、冷却工程による冷却開始と同時、冷却開始の直前又は冷却開始の直後に行われることがより好ましい。
図2に示すように、穴開け工程でのゴム部材Gの穴開けは、穴開け装置5を用いて自動で行ってもよく、穴開け針51などを有する穴開け具を用いて手動で行ってもよい。
【0048】
穴開け工程では、多数の穴開け針51でゴム部材Gに穴を開けることが好ましい。穴開け工程では、多数の穴開け針51のうち少なくとも一部が固定されたローラ52が用いられることが好ましい。穴開け工程では、ゴム部材Gの上部からゴム部材Gに穴を開けることが好ましい。穴開け工程では、ゴム部材Gに非貫通の穴を開けることが好ましい。穴開け工程では、ゴム部材Gを穴開け方向と反対側から支持した状態でゴム部材Gに穴を開けることが好ましい。
【0049】
[1]
以上、本開示のゴム部材の製造装置1は、押出装置2から連続して押し出されるゴム部材Gを搬送する搬送装置3と、搬送装置3によって搬送されるゴム部材Gを冷却する冷却装置4と、冷却装置4による冷却前又は冷却中のゴム部材Gに穴を開ける穴開け装置5と、を備える。
【0050】
斯かる構成によれば、冷却装置4による冷却前又は冷却中のゴム部材Gに穴を開けることによって、ゴム部材Gの冷却面積を増やすことができる。これにより、冷却装置4によるゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。
【0051】
[2]
上記[1]のゴム部材の製造装置1において、穴開け装置5は、多数の穴開け針51を備える、という構成が好ましい。
【0052】
斯かる構成によれば、ゴム部材Gに多数の穴を開けることができる。これにより、ゴム部材Gの冷却効果をさらに高めることができる。
【0053】
[3]
上記[2]のゴム部材の製造装置1において、穴開け装置5は、多数の穴開け針51のうち少なくとも一部が固定されたローラ52を備える、という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、ローラ52が回転することによってゴム部材Gに容易に穴を開けることができる。これにより、簡易な構成でゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。
【0055】
[4]
上記[2]又は[3]のゴム部材の製造装置1において、穴開け装置5は、搬送装置3で搬送されるゴム部材Gの上側に設けられている、という構成が好ましい。
【0056】
斯かる構成によれば、穴開け針51と搬送装置3との隙間を調整することにより、ゴム部材Gの厚みが所定の厚みよりも大きい部分にのみ穴を開けることができる。これにより、その部分の冷却効果を高めることができ、ゴム部材Gの厚みが所定の厚みよりも大きい部分と小さい部分との冷却後の温度差を小さくできる。
【0057】
[5]
上記[1]~[4]の何れか1つのゴム部材の製造装置1において、穴開け装置5は、ゴム部材Gに非貫通の穴を開ける、という構成が好ましい。
【0058】
斯かる構成によれば、ゴム部材Gに刺す穴開け針51などの深さを小さくできる。これにより、穴開け針51でゴム部材Gに貫通穴を開けた場合よりも穴開けによるゴム部材Gの変形を抑制できる。
【0059】
[6]
本開示のゴム部材の製造方法は、押出装置2から連続して押し出されるゴム部材Gを搬送する搬送工程と、搬送工程で搬送されるゴム部材Gを冷却する冷却工程と、冷却工程による冷却前又は冷却中にゴム部材Gに穴を開ける穴開け工程と、を含む。
【0060】
斯かる方法によれば、冷却工程による冷却前又は冷却中のゴム部材Gに穴を開けることによって、ゴム部材Gの冷却面積を増やすことができる。これにより、冷却工程でのゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。
【0061】
[7]
上記[6]のゴム部材の製造方法における穴開け工程では、多数の穴開け針51でゴム部材Gに穴を開ける、という方法が好ましい。
【0062】
斯かる方法によれば、ゴム部材Gに多数の穴を開けることができる。これにより、ゴム部材Gの冷却効果をさらに高めることができる。
【0063】
[8]
上記[7]のゴム部材の製造方法における穴開け工程では、多数の穴開け針51のうち少なくとも一部が固定されたローラ52が用いられる、という方法が好ましい。
【0064】
斯かる方法によれば、ローラ52が回転することによってゴム部材Gに容易に穴を開けることができる。これにより、ローラ52を用いることで容易にゴム部材Gの冷却効果を高めることができる。
【0065】
[9]
上記[7]又は[8]のゴム部材の製造方法における穴開け工程では、ゴム部材Gの上部からゴム部材Gに穴を開ける、という方法が好ましい。
【0066】
斯かる方法によれば、穴開け時の穴開け針51の位置を調整することにより、ゴム部材Gの厚みが所定の厚みよりも大きい部分にのみ穴を開けることができる。これにより、その部分の冷却効果を高めることができ、ゴム部材Gの厚みが所定の厚みよりも大きい部分と小さい部分との冷却後の温度差を小さくできる。
【0067】
[10]
上記[6]~[9]の何れか1つのゴム部材の製造方法における穴開け工程では、ゴム部材Gに非貫通の穴を開ける、という方法が好ましい。
【0068】
斯かる方法によれば、ゴム部材Gに刺す穴開け針51などの深さを小さくできる。これにより、穴開け針51でゴム部材Gに貫通穴を開けた場合よりも穴開けによるゴム部材Gの変形を抑制できる。
【0069】
なお、ゴム部材の製造装置1及びゴム部材の製造方法は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ゴム部材の製造装置1及びゴム部材の製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0070】
(A)本実施形態において、穴開け装置5は、搬送装置3によって搬送されるゴム部材Gの上側に設けられているが、これに限られない。例えば、
図3に示すように、穴開け装置5は、搬送装置3によって搬送されるゴム部材Gの下側に設けられていてもよい。この場合、穴開け装置5は、穴開け針51が固定されたローラ52を備えていることが好ましい。これにより、ローラ52が搬送装置3としての機能を有すると共にゴム部材Gの自重によってゴム部材Gに穴を開けることができる。
【0071】
(B)上記(A)のゴム部材の製造装置1は、ゴム部材Gの上側に支持部6を備えていることが好ましい。ゴム部材Gは、支持部6と穴開け装置5とに挟まれている。これにより、穴開け時にゴム部材Gが支持部6に支持され、ゴム部材Gがローラ52に対して浮くことを抑制し、ゴム部材Gの穴開けが不十分となることを抑制できる。支持部6は、ローラであることが好ましい。
【符号の説明】
【0072】
1…製造装置、2…押出装置、21…口金、3…搬送装置、31…搬送部、31a…第1搬送部、31b…第2搬送部、31c…第3搬送部、32…ガイドローラ、4…冷却装置、41…水槽、42…供給部、42a…第1供給部、42b…第2供給部、42c…第3供給部、42d…第4供給部、421…供給ノズル、422…供給管、43…バルブ、43a…第1バルブ、43b…第2バルブ、43c…第3バルブ、43d…第4バルブ、5…穴開け装置、51…穴開け針、52…ローラ、6…支持部、G…ゴム部材、P1…入水位置、P2…退水位置