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特開2024-82861ゲーミングマシン、ゲーミング方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082861
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ゲーミングマシン、ゲーミング方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/80 20140101AFI20240613BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A63F13/80 H
A63F5/04 540
A63F5/04 651
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197026
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】501405122
【氏名又は名称】コナミゲーミング インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 龍
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大瞬
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518DA01
2C518EA01
2C518EC24
(57)【要約】
【課題】プレイヤーを継続的に種々の態様で刺激する新味のあるゲームを提供することができる技術を提供する。
【解決手段】ゲーミングマシンは、操作部と、グリッド状に構成されたセルにシンボルを表示し、セルの一部からなるペイラインが複数設定されたシンボル表示領域と、ペイラインテーブルを表示するペイライン表示領域とを有する表示部と、操作部をプレイヤーが操作したことに応じてシンボル表示領域に表示されたシンボルを変動および停止させ、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与する制御部とを備え、制御部は、ペイラインテーブルの一部のペイラインを包含するように、特典を増額する特典ブースターの設定されたチャンス領域を設定し、チャンス領域に包含されるペイラインについて、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与する特典を、チャンス領域に設定された特典ブースターにより増額する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、
グリッド状に構成されたセルにシンボルを表示し、前記セルの一部からなるペイラインが複数設定されたシンボル表示領域と、前記ペイラインの一部または全部を示すペイラインテーブルを表示するペイライン表示領域とを有する表示部と、
前記操作部および前記表示部と接続され、前記操作部をプレイヤーが操作したことに応じて前記シンボル表示領域に表示されたシンボルを変動および停止させ、前記ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記ペイラインテーブルの一部のペイラインを包含するように、特典を増額する特典ブースターの設定されたチャンス領域を設定し、
前記チャンス領域に包含されるペイラインについて、前記ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与する特典を、前記チャンス領域に設定された特典ブースターにより増額する、
ゲーミングマシン。
【請求項2】
前記制御部は、シンボルを変動させることで開始され、シンボルを停止させて前記ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与することで終了するゲームごとに前記チャンス領域を設定する、請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項3】
前記制御部は、シンボルを変動させることで開始され、シンボルを停止させて前記ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与することで終了するゲームが所定の回数実行される度に前記チャンス領域を設定する、請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項4】
前記制御部は、前記ペイラインテーブルについて、複数のチャンス領域を設定する、請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項5】
前記制御部は、シンボルの変動を開始した後に、前記チャンス領域の位置および特典ブースターの内容を、前記ペイライン表示領域に表示させる、請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項6】
前記制御部は、前記チャンス領域を前記ペイラインテーブルの固定された位置に設定する、請求項1~5の何れか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項7】
前記制御部は、前記チャンス領域を前記ペイラインテーブルのランダムに決定された位置に設定する、請求項1~5の何れか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項8】
前記制御部は、前記特典ブースターにより、前記ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与する特典に倍率を適用する、請求項1~5の何れか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項9】
前記制御部は、前記特典ブースターが適用する倍率をランダムに決定された値に設定する、請求項8に記載のゲーミングマシン。
【請求項10】
ゲーミングマシンを用いてゲームを提供するゲーミング方法であって、前記ゲーミングマシンは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、グリッド状に構成されたセルにシンボルを表示し、前記セルの一部からなるペイラインが複数設定されたシンボル表示領域と、前記ペイラインの一部または全部を示すペイラインテーブルを表示するペイライン表示領域とを有する表示部と、前記操作部および前記表示部と接続され、前記操作部をプレイヤーが操作したことに応じて前記シンボル表示領域に表示されたシンボルを変動および停止させ、前記ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与する制御部とを備え、
前記ゲーミング方法は、前記制御部によって実行される、
前記ペイラインテーブルの一部のペイラインを包含するように、特典を増額する特典ブースターの設定されたチャンス領域を設定するステップと、
前記チャンス領域に包含されるペイラインについて、前記ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与する特典を、前記チャンス領域に設定された特典ブースターにより増額するステップと
を含むゲーミング方法。
【請求項11】
ゲームをプレイヤーに提供するゲーミングマシン用のプログラムであって、前記ゲーミングマシンは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、グリッド状に構成されたセルにシンボルを表示し、前記セルの一部からなるペイラインが複数設定されたシンボル表示領域と、前記ペイラインの一部または全部を示すペイラインテーブルを表示するペイライン表示領域とを有する表示部と、前記操作部および前記表示部と接続され、前記操作部をプレイヤーが操作したことに応じて前記シンボル表示領域に表示されたシンボルを変動および停止させ、前記ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与する制御部とを備え、前記プログラムは、前記制御部が各ステップを実行するように前記制御部を機能させ、前記各ステップは、
前記ペイラインテーブルの一部のペイラインを包含するように、特典を増額する特典ブースターの設定されたチャンス領域を設定するステップと、
前記チャンス領域に包含されるペイラインについて、前記ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与する特典を、前記チャンス領域に設定された特典ブースターにより増額するステップと
を含むプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲーミングマシン、ゲーミング方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スロットゲームを提供するゲーミングマシンを開示する。このゲーミングマシンは、リールをスピンおよび停止させ、ゲーム結果として表示されたシンボル組み合わせが入賞組み合わせを有する場合に特典を付与する。表示されるシンボルはクレジット値が付与されたシンボルを含む。ゲーミングマシンは、クレジット値が付与されたシンボルが入賞組み合わせを構成する場合には、当該クレジット値に係る額を特典として付与する。ゲーミングマシンは、第1リールおよび第2リールにワイルドシンボルが停止表示された場合、続いて停止させる第3リール、第4リールおよび第5リールの表示領域を拡張する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】豪州特許出願公開2018236797号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のゲーミングマシンにおいては、第1リールおよび第2リールにワイルドシンボルが停止表示された状態で、第3リール、第4リール及び第5リールに高額のクレジット値のクレジットシンボルが停止するという直接的に理解しやすい態様で高額当選を発生させることができる。また、このようなゲーミングマシンにおいて、所定数(例えば30ライン,40ライン,50ライン等)のペイラインを設定し、停止して表示された個々のシンボルが同時に複数のペイラインにおいて入賞組み合わせをなし得る構成とすること等も行われているが、より魅力的なゲームをプレイヤーに提供するという観点からは改善の余地がある。
【0005】
本開示は、プレイヤーを継続的に種々の態様で刺激する新味のあるゲームを提供することができるゲーミングマシン、ゲーミング方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るゲーミングマシンは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、グリッド状に構成されたセルにシンボルを表示し、セルの一部からなるペイラインが複数設定されたシンボル表示領域と、ペイラインの一部または全部を示すペイラインテーブルを表示するペイライン表示領域とを有する表示部と、操作部および表示部と接続され、操作部をプレイヤーが操作したことに応じてシンボル表示領域に表示されたシンボルを変動および停止させ、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与する制御部とを備え、制御部は、ペイラインテーブルの一部のペイラインを包含するように、特典を増額する特典ブースターの設定されたチャンス領域を設定し、チャンス領域に包含されるペイラインについて、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与する特典を、チャンス領域に設定された特典ブースターにより増額する。
【0007】
また、本開示の他の側面に係るゲーミング方法は、ゲーミングマシンを用いてゲームを提供するゲーミング方法であって、ゲーミングマシンは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、グリッド状に構成されたセルにシンボルを表示し、セルの一部からなるペイラインが複数設定されたシンボル表示領域と、ペイラインの一部または全部を示すペイラインテーブルを表示するペイライン表示領域とを有する表示部と、操作部および表示部と接続され、操作部をプレイヤーが操作したことに応じてシンボル表示領域に表示されたシンボルを変動および停止させ、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与する制御部とを備え、ゲーミング方法は、制御部によって実行される、ペイラインテーブルの一部のペイラインを包含するように、特典を増額する特典ブースターの設定されたチャンス領域を設定するステップと、チャンス領域に包含されるペイラインについて、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与する特典を、チャンス領域に設定された特典ブースターにより増額するステップとを含む。
【0008】
また、本開示のさらに他の側面に係るプログラムは、ゲームをプレイヤーに提供するゲーミングマシン用のプログラムであって、ゲーミングマシンは、プレイヤーの操作を受け付ける操作部と、グリッド状に構成されたセルにシンボルを表示し、セルの一部からなるペイラインが複数設定されたシンボル表示領域と、ペイラインの一部または全部を示すペイラインテーブルを表示するペイライン表示領域とを有する表示部と、操作部および表示部と接続され、操作部をプレイヤーが操作したことに応じてシンボル表示領域に表示されたシンボルを変動および停止させ、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与する制御部とを備え、プログラムは、制御部が各ステップを実行するように制御部を機能させ、各ステップは、ペイラインテーブルの一部のペイラインを包含するように、特典を増額する特典ブースターの設定されたチャンス領域を設定するステップと、チャンス領域に包含されるペイラインについて、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与する特典を、チャンス領域に設定された特典ブースターにより増額するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、プレイヤーの興味を持続ないしは向上させる新味のあるゲームを提供することができるゲーミングマシン、ゲーミング方法およびプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るゲーミングマシンの一例を示す斜視図である。
図2図1のゲーミングマシンの構成の一例を示すブロック図である。
図3図1のゲーミングマシンの表示領域の概略図である。
図4】仮想リールセットの一例を示す図である。
図5】シンボルの一例を示す図である。
図6図3の表示領域で設定されるペイラインの一例を示す図である。
図7】ゲーム開始前のシンボル表示領域およびペイライン表示領域の一例を示す図である。
図8】ゲーム提供中におけるシンボル表示領域およびペイライン表示領域の一例を示す図である。
図9】ゲーム提供中におけるシンボル表示領域およびペイライン表示領域の一例を示す図である。
図10】ゲーム提供中におけるシンボル表示領域およびペイライン表示領域の一例を示す図である。
図11】ゲーム提供中におけるシンボル表示領域およびペイライン表示領域の一例を示す図である。
図12】ゲーム提供中におけるシンボル表示領域およびペイライン表示領域の一例を示す図である。
図13】ゲーム提供中におけるシンボル表示領域およびペイライン表示領域の一例を示す図である。
図14】ゲーム提供中におけるシンボル表示領域およびペイライン表示領域の一例を示す図である。
図15図2のメモリに格納されるプログラムおよびデータを示すディレクトリ構成図およびブロック図である。
図16】ゲーミングマシンにかかるシステムのブロック図である。
図17図16のゲームアプリケーションプログラムのブロック図である。
図18図16のシステムアプリケーションプログラムのブロック図である。
図19】ゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態にかかるゲーミングマシンについて説明する。なお、各図において同一または相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係るゲーミングマシンの一例を示す斜視図である。ここでゲーミングマシンとは、プレイヤーから賭金、メダル、トークン等の賭けに供するものを受け付けてゲームを開始し、ランダムに決定されたゲーム結果に応じて賞金、特典、配当をプレイヤーに支払う機器である。このようなゲーミングマシンは、地区の規定に従って設計および製造され、機器として認可機関による認可を得た上でカジノ等のライセンスを受けた施設に設置される。図1に示されるゲーミングマシン10は、所定のゲーム価値をプレイヤーから受け付け、ゲーム結果を生成し、ゲーム結果およびペイテーブルに応じてプレイヤーに配当を提供し得る。ゲーミングマシン10は、一例としてビデオスロットゲームを提供する。ビデオスロットゲームは、例えば、通常ゲーム、フリーゲームおよびフィーチャーゲームを含む。通常ゲーム、フリーゲームおよびフィーチャーゲームは、所定の条件が満たされたときに提供される。通常ゲーム、フリーゲームおよびフィーチャーゲームにおいては、表示領域に表示されるシンボルが、ゲーム結果であるシンボルの組み合わせを構成し、その組合せで入賞が判定される。フィーチャーゲームにおいては、ゲームのルールに関わる特別な条件(以下、フィーチャー機能という)が提供され、フィーチャー機能を発揮した状態でゲームが提供される。別の表現によれば、本実施形態においては、通常ゲームまたはフリーゲームの提供中に、後述するようにフィーチャー機能が発動することによって、提供中のゲームがフィーチャーゲームとなる。
【0013】
図1に示されるように、ゲーミングマシン10は、ディスプレイ16(表示部の一例)およびキャビネット12を備える。キャビネット12は、ゲーミングマシン10の構成要素を制御する制御部22(図2参照)も収容する。
【0014】
ディスプレイ16は、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置などの平面パネルディスプレイ装置である。ディスプレイ16は、制御部22を介して制御されることによって、ゲーム画面をプレイヤーへ提供する。ディスプレイ16の周囲には、装飾的な照明を提供するイルミネーション36が設けられてもよい。
【0015】
キャビネット12は、ディスプレイ16の下側に配置される。キャビネット12には、その前面に前方へ張り出すようにしてコントロールパネル18が設けられる。コントロールパネル18には、プレイヤートラッキングユニット20、スピーカ26、紙幣/チケット識別ユニット28、プリンタユニット30、および、操作部32が設けられる。
【0016】
プレイヤートラッキングユニット20は、プレイヤー識別カードを認識するカードリーダー、データをプレイヤーに提示するディスプレイ、およびプレイヤーによる入力を受け付けるキーパッドを含む。プレイヤートラッキングユニット20は、制御部22または外部システムと共に協調動作することによって、プレイヤーによってカードリーダーに挿入されたプレイヤー識別カードに記録された情報を読み取り、その情報および/または外部システムと通信することによって取得された情報をディスプレイ上に表示する。さらに、プレイヤーからの入力がキーパッドによって受け付けられ、ディスプレイがその入力に従って変更され、必要に応じて外部システムとの通信が実行される。
【0017】
スピーカ26は、コントロールパネル18の左右に設けられる。スピーカ26は、制御部22を介して制御されることによってサウンドをプレイヤーに提供する。
【0018】
紙幣/チケット識別ユニット28は、紙幣/チケットが挿入される挿入開口部を露出させた状態でキャビネット12に収容され得る。挿入口の内側には各種センサで紙幣/チケットを識別する識別部が設けられる。識別部の出力口側には紙幣/チケット貯留部が設けられる。紙幣/チケット識別ユニット28は、ゲーム価値である紙幣/チケット(バウチャーおよびクーポンを含む)を受け付けて、ゲーム価値として識別し、制御部22に通知する。
【0019】
プリンタユニット30は、チケットが出力されるチケット出力口を露出させた状態でキャビネット12に収容され得る。チケット出力口の内側には所定情報を印刷用紙に印刷する印刷部が設けられ、印刷部の用紙入口側には印刷用紙を収容する収容部が設けられる。プリンタユニット30は、制御部22の制御下で、情報を用紙に印刷し、クレジット払い出し処理に従ってゲーミングマシン10からチケットを出力する。出力されたチケットは、別のゲーミングマシンの紙幣/チケット識別ユニット28に挿入されることによって、払い出されたクレジットをゲームプレイに利用することも可能であり、または、カジノ内のキオスク端末またはカジノケージで換金され得る。
【0020】
操作部32は、プレイヤーの操作を受け付ける。操作部32は、ゲーミングマシン10のプレイヤーから種々の指示を受け付けるボタンのグループを含む。例えば、操作部32は、スピンボタンおよび設定ボタンのグループを含んでもよい。スピンボタンは、ゲームのインスタンスを開始する(リールの回転を開始する)ための指示を受け付ける。設定ボタンのグループは、ライン設定ボタンのグループ、ベットボタンのグループおよびキャッシュアウトボタンなどを含む。ベットボタンのグループは、プレイヤーからのベットのクレジット額(ベット額)に関する指示操作を受け付ける。キャッシュアウトボタンは、ゲーミングマシン10に蓄積されたクレジットの払い出しを指示する指示操作を受け付ける。
【0021】
図2は、ゲーミングマシンの構成の一例を示すブロック図である。ゲーミングマシン10は、制御部22を含む。制御部22は、制御部22を構成するプロセッサを含むCPU(Central Processing Unit)38、インターフェイスユニット40、メモリ42、およびストレージ44などを備える。制御部22は、制御ボードとしてキャビネット12の内部に収容され得る。制御部22は、インターフェイスユニット40を介して各部と通信可能に構成され、CPU38のメモリ42またはストレージ44に記録されたプログラムを実行することによって各部の動作を制御し、ゲームをプレイヤーに提供する。
【0022】
インターフェイスユニット40は、CPU38に接続されたメモリバス、各種拡張バス、シリアルインターフェイス、USB(Universal Serial Bus)インターフェイス、イーサネット(登録商標)インターフェイスなどのCPU38の通信機能を提供するチップセットを含む。
【0023】
メモリ42は、揮発性の記憶媒体であるRAM(Random Access Memory)、不揮発性の記憶媒体であるROM(ReadOnly Memory)、および書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であるEEPROM(ElectricallyErasable Programmable Read-Only Memory)を含む構成とすることができる。ストレージ44は、外部記憶装置としての機能を制御部22に提供し、取り外し可能な記憶媒体であるメモリカードおよび光磁気ディスクなどの読み取り装置を使用することができ、ハードディスクを利用することも可能である。
【0024】
インターフェイスユニット40には、紙幣/チケット識別ユニット28、プリンタユニット30、プレイヤートラッキングユニット20、グラフィックコントローラ(GPU:Graphics Processing Unit)50、入力コントローラ52、サウンドコントローラ53、およびイルミネーションコントローラ54が接続される。グラフィックコントローラ50、入力コントローラ52、サウンドコントローラ53、およびイルミネーションコントローラ54は、制御ボードとしてキャビネット12の内部に収容され得る。
【0025】
制御部22は、グラフィックコントローラ50を介してディスプレイ16に接続される。制御部22は、入力コントローラ52を介して操作部32に接続される。制御部22は、イルミネーションコントローラ54を介してイルミネーション36に接続される。
【0026】
制御部22は、メモリ42およびストレージ44に格納されたプログラムを実行することによって各部を制御し、ゲームをプレイヤーに提供する。ここで、例えば、制御部22の基本機能を提供するオペレーティングシステムおよびサブシステムのプログラムおよびデータをメモリ42のEEPROMに格納し、ゲームを提供するアプリケーションのプログラムおよびデータをストレージ44に格納するように構成されてもよい。そのような構成によれば、ストレージ44を交換することによってゲームを簡単に変更または更新することができる。さらに、制御部22は、複数のCPUを含むマルチプロセッサ構成としてもよい。
【0027】
以下、制御部22に接続された各ブロックについて説明する。紙幣/チケット識別ユニット28は、挿入口で紙幣/チケットを受け付け、紙幣種別またはクレジットの払い出し処理に対応する識別情報を制御部22に通知する。制御部22は通知された内容に応じてゲーム内で使用可能なクレジット額を増加させる。プリンタユニット30は、操作部32に含まれるキャッシュアウトボタンの操作を受け付ける制御部22の制御下で、ゲーミングマシン10からのクレジット払い出し処理に対応した情報を、チケットに印刷されて出力される。
【0028】
プレイヤートラッキングユニット20は、制御部22と協調動作し、プレイヤーの情報などをカジノ管理システムとの間で送受信する。グラフィックコントローラ50は、制御部22の制御下でディスプレイ16を制御し、各種グラフィックスデータを含むディスプレイイメージを表示する。サウンドコントローラ53は、制御部22の制御下でスピーカ26を駆動し、アナウンス、効果音、BGMなどの各種サウンドを提供する。イルミネーションコントローラ54は、制御部22の制御下でイルミネーション36の点灯制御を行う。
【0029】
インターフェイスユニット40は、ゲーミングマシン10の外部と通信するための各種通信インターフェイスを含む。インターフェイスユニット40は、一例として、イーサネット55,58,60、およびシリアルインターフェイス62によって外部ネットワークと通信することができる。図2においては、他のゲーミングマシン10、公知のサーバサイドのゲーミングネットワーク(サーバベースゲーミング)、G2Sネットワーク(ゲーム-システム間)、およびスロット情報システム(スロットデータシステム)とそれぞれ通信を行う場合の一例が示される。制御部22は、I/Oボードを介さずにイーサネット55を介して他のゲーミングマシン10の制御部22と通信することにより、他のゲーミングマシン10とゲームに関する情報を共有することができる。
【0030】
図3は、図1のゲーミングマシンの表示領域の概略図である。図3に示されるように、所定のプログラムを実行している制御部22によって、ディスプレイ16には、スロットゲームを表示するシンボル表示領域64およびフィーチャーゲームに関する画面を表示するペイライン表示領域65を有するゲーム画面が表示される。シンボル表示領域64は、一例としてゲーム画面の下方の領域に表示される。ペイライン表示領域65は、シンボル表示領域64に並設され、一例としてゲーム画面の上方の領域に表示される。
【0031】
シンボル表示領域64は、シンボルを表示可能なグリッド68を含んでいる。このような表示領域を使用することによって、ゲーミングマシン10は、シンボル表示領域64のグリッド68に表示されるシンボルの組合せに従って入賞判定を行い、配当を支払うスロットマシンとして動作する。
【0032】
ディスプレイ16は、複数のシンボルをグリッド68に表示する。グリッド68は、複数の行および列を含む。グリッド68は、シンボルの停止位置である複数のセル70によって構成される。図3は5×3のグリッド状に配置された複数のセルを含むゲーム画面を示す。グリッドの列数や行数は、特に限定されず、5×4、3-4-4-4-3、6×3、6×4、3-3-3-5-5等の他の構成であってもよく、ゲーム展開および/またはベット額に応じて増減する構成としてもよい。シンボル表示領域64の複数のセル70のそれぞれには、1つのシンボルが停止して表示される。
【0033】
複数のセル70のそれぞれに配置されるシンボルは、例えば、仮想リール66を表示するための仮想リールストリップを用いて決定される。図4は、仮想リールセットを示す図である。仮想リールセットは、複数の仮想リールストリップを含み、仮想リールストリップは、表示領域に表示されるシンボルの序列を示すシンボル配列を含む。図4に示されるように、グリッド68の各セル70には、仮想リールセット82をなす仮想リールストリップ72、74、76、78、および80を含む仮想リール66のシンボル配列に基づいてシンボルが表示される。つまり、グリッド68のセル70は、列ごとに仮想リールストリップ72~80が対応付けられており、各仮想リールストリップ72~80の所定部分に配置されたシンボルが表示される。さらに、仮想リールストリップ72~80のシンボル配列に基づいて列ごとに各シンボルを移動(スクロールまたはスピン)することによってグリッド68のセル70に表示されるシンボルが変動し、列ごとに移動(スクロールまたはスピン)を停止することによってシンボルが停止される。ここで、仮想リールストリップ72~80はデータであり、制御部22は、メモリ42またはストレージ44に含まれるプログラム、およびセル列ごとに調整されるシンボル配列(すなわち各リールストリップ上のシンボルの並び順)を表示するデータを使用する。仮想リールセット82は、このような仮想リールストリップ72~80の総称である。
【0034】
図4に示した仮想リールストリップ72~80は、各シンボル位置86にあるシンボル84で構成されており、これらのシンボルはリールごとに定義された順に並ぶ。仮想リールストリップ72~80をなすシンボルの数はこれに限定されず、所望の数とすることができる。また、仮想リールストリップ72~80をなすシンボルの数は同一であってもよいし、互いに相違しても構わない。
【0035】
図5は、図4に示されたシンボル84の詳細である。各仮想リールストリップ72~80は、図5に示された種々のシンボル84のシンボルセット88から選択されたシンボルを含む。シンボルセット88は、標準シンボルとしてトランプを模したカードシンボル(「9」、「10」、「J」、「Q」、「K」および「A」)、ならびにパターンを示す絵柄シンボル(「Pic-A」、「Pic-B」、「Pic-C」、「Pic-D」および「Pic-E」)を含む。
【0036】
シンボルセット88は、入賞組み合わせが判定されたときに別のシンボルとして代用されるワイルドシンボル(「Wild」)、入賞組み合わせが判定されたときに所定数の出現に応じてフリーゲームをトリガーするスキャッタシンボル(「Scatter」)、入賞時に所定のクレジット値が付与されるクレジットシンボル(「Credit」)、及び特別シンボル85(「SP」)を含む。
【0037】
クレジットシンボルは、獲得できるクレジットの直接的な理解、高額クレジットが付与されたクレジットシンボルの出現によるチャンスの直接的な理解をプレイヤーに促すため、プレイヤーの興味を持続ないしは向上させることができる。クレジットシンボルは、例えば、コイン等の所定の絵柄の上に付与されるクレジット額を表示した態様とすることができる。また、シンボルを変動させている間はクレジットシンボルにクレジット額を表示せず、シンボル停止後にクレジット額が表示される態様としてもよく、シンボル停止後に入賞が発生した場合にクレジット額が表示される態様としてもよい。
【0038】
特別シンボル85は、フィーチャーゲームの開始条件、つまりフィーチャー機能の発動条件に用いられる。フィーチャー機能の発動条件は、一例として、仮想リールストリップ72および仮想リールストリップ74によって、シンボル表示領域64の第1リールおよび第2リールのそれぞれに、ワイルドシンボルまたは特別シンボル85が表示されたときに満たされる。
【0039】
仮想リールセットは、ゲーム内容に応じて複数用意されてもよい。例えば、通常ゲームで使用される仮想リールセットと、フリーゲームまたはフィーチャーゲームで用いられる仮想リールセットとを別にしてもよい。フリーゲーム時の仮想リールセットは通常ゲーム時の仮想リールセットと比較して、絵柄シンボル、ワイルドシンボルまたはスキャッタシンボルを多く含む構成としてもよい。このようにすることで、フリーゲーム時の入賞確率またはトリガー確率を増加させることができ、プレイヤーに価値の高いフリーゲームを提供することができる。また、フィーチャーゲーム時の仮想リールセットは通常ゲーム時の仮想リールセットと比較して、特別シンボル85又はクレジットシンボルを多く含む構成としてもよい。このようにすることでフィーチャーゲームにおけるボーナス入賞の確率を増加させることができる。なお、ここで「フィーチャーゲーム/フリーゲームのトリガー」とは「フィーチャーゲーム/フリーゲームを獲得する契機」を意味し、「トリガーシンボル」とは「フィーチャーゲーム/フリーゲームを獲得する契機をなすシンボル」を意味する。また、乱数に基づいて使用する仮想リールセットを切り替えてもよい。
【0040】
さらに、図4では仮想リール66をなす仮想リールストリップ72~80の各シンボル位置86に、いずれかのシンボルが固定的に配置されている場合を示したが、シンボル位置86に配置されるシンボルは動的に決定されてもよい。例えば、一部のシンボル位置86に配置されるシンボルを乱数によってランダムに決定する構成としてもよく、この場合には複数のシンボル位置86にランダムに決定された所定種類の同一シンボルを配置することもできる。さらに、同一シンボルが配置されるシンボル位置86を複数群設けて、群ごとにランダムに決定したシンボルを配置してもよいし、全てのシンボル位置86について動的にシンボルを配置しても構わない。
【0041】
制御部22は、ゲームを開始し、各仮想リールストリップ72~80の停止位置をランダムに決定する。ディスプレイ16に表示される仮想リールストリップ72~80は、現在の位置から移動(スクロールまたはスピン)し、停止位置に基づいて停止して、ゲームの結果を表す。このため、ディスプレイ16またはグリッド68においては、仮想リールストリップ72~80に含まれるシンボルは、シンボル表示領域64の垂直方向に仮想リールストリップ72~80が連続的に移動(スクロールまたはスピン)することに応じて変動し、仮想リールストリップ72~80に規定されたシンボルの順序に従って1つのセル70に1つのシンボルが停止するように表示される。
【0042】
制御部22は、操作部32によって受け付けられたプレイヤーの操作に従って、前述の方法によりディスプレイ16に表示される複数のシンボルを変動させ、所定の順で停止させ、シンボル表示領域64内で停止させたシンボルに従って配当を支払う構成とすることができる。
【0043】
シンボル表示領域64にはペイラインが設定される。ペイラインは、セルの一部からなり、シンボル表示領域64に複数設定される。ペイラインは、例えば、左端の列のセルから右端の列のセルに向けて、シンボル表示領域64を横切るように設定される。一例としてのペイラインは、左端の列のいずれかのセル、左から2番目の列のいずれかのセル、左から3番目の列のいずれかのセル、および、左から4番目の列のいずれかのセルおよび左から5番目の列(右端の列)のいずれかのセルで構成することができる。5×3のマトリックスでは、243種類(3の5乗)のペイラインを設定可能であるが、このうちの40種類または50種類のペイラインを設定してもよい。制御部22は、シンボルの組み合わせであるゲームの結果に関して、ペイライン上で同一または同種のシンボルが所定数を超えて揃った場合に入賞と判定し、シンボルのタイプおよび個数に従って配当をプレイヤーに支払う。また、ペイラインは上端の行のセルから下端の行のセルに向けて、シンボル表示領域64を横切るように設定されてもよいし、三角形、矩形等の所定形状、文字・記号形状に並んだセルでペイラインを構成してもよい。
【0044】
図6は、図3のシンボル表示領域64で設定されるペイラインの一例を示す図である。図6に示されるように、ゲーミングマシン10においては、シンボル表示領域64内の3行および5列のセルに、所定数のペイライン(50パターンのライン)が予め設定される。入賞を判定するためのシステムは、ペイライン上で左端の列のセルから所定数の同一シンボルが揃ったときに入賞を決定してもよいし、ペイライン上で右端の列のセルから所定数の同一シンボルが揃ったときに入賞を判定してもよいし、左端または右端から揃うことに関わらず、所定のペイライン上の連続した列で所定数の同一シンボルが揃ったときに入賞を判定するものであっても構わない。加えて、所定数よりも多いスキャッタシンボルは、ペイラインに関わらず、入賞組み合わせまたはトリガー条件を形成する。
【0045】
制御部22は、図6に示されるペイラインの一部または全部を示すペイラインテーブルをペイライン表示領域65に表示させる。これにより、プレイヤーは、ペイラインを確認しながらゲームを進行することができる。制御部22は、シンボル表示領域64において複数のシンボルのうちの一部のシンボルを停止させ、残余のシンボルを変動させているときに、停止済みのシンボルによって当選し得るペイラインをペイライン表示領域65に表示させてもよい。例えば、制御部22は、第1リールから第5リールまでをそれぞれスピンさせ、第1リールおよび第2リールを停止させ、第3リールから第5リールまでがスピン中であるときに、第1リールおよび第2リールのシンボルによって当選し得るペイラインを表示させてもよい。例えば、制御部22は、第1リールから第5リールまでをそれぞれスピンさせ、第1リール、第2リールおよび第3リールを停止させ、第4リールおよび第5リールがスピン中であるときに、第1リール、第2リールおよび第3リールのシンボルによって当選したペイラインを表示させてもよい。このような当選したペイラインの表示は、例えばペイラインテーブルにおいて当該ペイラインの明滅・大型化、別イメージの付加、アニメーション処理等の強調表示により行ってもよい。
【0046】
本実施形態のゲーミングマシン10は、所定の条件を満たしていない場合に提供される通常ゲーム(メインゲーム、ベースゲーム、プライマリゲームとも称される。)と、所定の条件を満たした場合に提供される第1の特別ゲームおよび第2の特別ゲームとの三種類のゲームを提供する。第1の特別ゲームは、フリーゲームであり、所定のトリガー条件を満たしたときに、遊技価値を消費しない所定回数のフリーゲームが提供される。第2の特別ゲームはフィーチャーゲームである。通常ゲームまたは第1の特別ゲームの提供中に所定のトリガー条件を満たしたときに、後述のフィーチャー機能が発動して通常ゲームまたは第1の特別ゲームは第2の特別ゲームへ移行する。
【0047】
上述した通常ゲーム、第1の特別ゲームおよび第2の特別ゲームにおいては、ゲーム結果であるシンボル配列のうちシンボル表示領域64に表示されたシンボルが入賞判定の対象となる。すなわち、ゲームを開始した制御部22は、図4に示した仮想リールストリップ72~80のそれぞれについてランダムに停止位置を決定し、仮想リールストリップ72~80が現在位置から移動して、停止位置で停止する動作を、ディスプレイ16を用いて表現する。これにより、シンボル表示領域64には、仮想リールストリップ72~80に配置されたシンボルが縦方向に連続的に移動(スクロール)し、連続性を維持したまま一つのセル70に一つのシンボルが表示されるように停止する。
【0048】
ただし、本実施形態では、フィーチャーゲームのときに、以下において説明するフィーチャー機能が適用され、その結果、ペイラインテーブルにおいて一部のペイラインを包含するように1つまたは複数のチャンス領域が設定される。チャンス領域それぞれには、特典を増額する特典ブースターが設定される。特典ブースターは、対応するチャンス領域に包含されるペイラインについて、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与される特典を増額させる。より具体的には、例えば、特典ブースターは付与される特典の額にボーナス額を追加し、あるいは、特典ブースターは付与される特典の額にマルチプライヤ(倍率)を適用し、または、特典ブースターは当選内容をより高額な当選内容(例えば、ジャックポット当選)に変化させる。以下、フィーチャーゲームのときに適用されるシンボル表示領域64およびペイライン表示領域65について、図7図14を参照しつつ説明する。
【0049】
図7は、ゲーム開始前のシンボル表示領域およびペイライン表示領域の一例を示す図である。図7に示されるように、ディスプレイ16には、シンボル表示領域64およびペイライン表示領域65が設定される。制御部22は、ペイライン表示領域65に上述したペイラインテーブル650を表示する。図に示すように、ペイラインテーブル650は、シンボル表示領域64に設定されたペイラインをマトリックス状に並べて表示したものである。ペイラインテーブル650には全てのペイラインが表示されていてもよいし、一部のペイラインだけが表示されていてもよい。ただし、後者の場合はペイラインテーブル650に表示されていないペイラインについては、別途設定するかチャンス領域を拡張しない限り、特典ブースターの利益が得られなくなる。ペイラインテーブル650におけるペイラインの配置に制限はない。制御部22は、ペイラインテーブル650に第1チャンス領域651および第2チャンス領域652を設定する。チャンス領域の個数は任意である。第1チャンス領域651および第2チャンス領域652は、それぞれ所定形状を有する半透明のグラフィカルオブジェクトとして、ディスプレイ16においてペイラインテーブル650上に重畳表示される。
【0050】
チャンス領域は、1または複数のペイラインを包含する。例えば、図7の例においては、第1チャンス領域651は9つのペイラインを包含する大きさを有し、第2チャンス領域652は6つのペイラインを包含する大きさを有する。また、チャンス領域には、ペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与される特典に適用する倍率が設定されてもよい。例えば、図7の例においては、第1チャンス領域651には特典ブースターとしてマルチプライヤ(3倍)が設定され、第2チャンス領域652には特典ブースターとしてマルチプライヤ(4倍)が設定されている。これにより、例えば、第1チャンス領域651に包含される9つのペイラインについては増額される。例えば、これらのペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与される特典に倍率3倍が適用される。同様に、第2チャンス領域652に包含される6つのペイラインについて、これらのペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与される特典に倍率4倍が適用される。なお、特典ブースターのマルチプライヤの値は、予め定められた値でもよいし、所定の範囲の数値からランダムに決定された値であってもよい。ゲーム開始前においては、制御部22は、第1チャンス領域651および第2チャンス領域652をペイラインテーブル650上に停止させず、特典ブースターが適用されるペイラインが定まっていない状態を示すように、ペイラインテーブル650上でゆっくりと移動させる。この際、チャンス領域の大きさ、特典ブースターの内容(例えば、マルチプライヤの倍率)等を順次変化させつつ移動させてもよい。
【0051】
図8に示されるように、ゲームが開始されると、制御部22は、シンボル表示領域64において、仮想リールストリップ72~80に配置されたシンボルが縦方向に連続的に移動(スクロール)させる。このとき、制御部22は、ペイライン表示領域65において、第1チャンス領域651および第2チャンス領域652をペイラインテーブル650上に停止させずに移動を継続させる。
【0052】
続いて、図9は、第1リールおよび第2リールを停止させ、第3リールから第5リールまでがスピン継続中であるときに、第1リールおよび第2リールのそれぞれに「SP」で示される特別シンボル85が表示された状態を示している。この場合、本ゲームはフィーチャーゲームとなり、フィーチャー機能が発動する。フィーチャーゲームにおいては、特別シンボル85およびクレジットシンボルからなるシンボル配列に対して、クレジットシンボルに付与されたクレジット値に応じた額が特典として付与される。例えば、左から順に「SP」「SP」「100」「100」「100」と並ぶ場合には、入賞額は合計値となり「300」となる。さらに、フィーチャーゲームにおいては、シンボル配列による入賞額が上述した特典ブースターによって増額され得る。制御部22は、フィーチャーゲームで利用されるチャンス領域の大きさ、配置位置、および、対応する特典ブースターを設定する。そして、フィーチャーゲームがトリガーされたときに、制御部22は、設定されたチャンス領域をペイライン表示領域65上に固定的に表示する。例えば、図9に示されるように、第1チャンス領域651は、12個のペイラインを包含する大きさであり、ペイラインテーブル650の左上部分に設定され、5倍の倍率が設定される。同様に、第2チャンス領域652は、8個のペイラインを包含する大きさであり、ペイラインテーブル650の右部分に設定され、2倍の倍率が設定される。このように、シンボルの変動を開始した後に、チャンス領域の位置および特典ブースターの内容がペイライン表示領域65に表示される。なお、制御部22は、チャンス領域をペイラインテーブル650の固定された位置に設定してもよいし、チャンス領域をペイラインテーブル650のランダムに決定された位置に設定してもよい。
【0053】
続いて、図10に示されるように、第3リールを停止させたとき、制御部22は、第1リール、第2リールおよび第3リールのシンボルによって当選したペイラインを、ペイライン表示領域65において強調表示させる。制御部22は、例えば、当選したペイラインを表示枠653で囲むことで強調する。図10においては、5つのペイラインそれぞれが表示枠653で囲まれる例が示されている。これにより、プレイヤーは当選中のペイラインを目視で確認できる。また、図10に示す例においては、第1チャンス領域651に包含される1つのペイラインが強調表示され、第2チャンス領域652に包含される1つのペイラインが強調表示されている。これにより、プレイヤーは当選中のペイラインがさらに増額する可能性があることを容易に理解することができる。さらに、プレイヤーは、第1チャンス領域651に包含されるペイラインで当選した場合には倍率5倍が適用され、第2チャンス領域652に包含されるペイラインで当選した場合には倍率2倍が適用されることを容易に理解することができる。このため、どのペイラインが有利な状態にあるのかが視認容易となる。なお、制御部22は、表示の色の彩度、明度などを変更することによって当選したペイラインを強調表示してもよい。
【0054】
続いて、図11に示されるように全てのリールが停止する。その後、制御部22は、総入賞額を表示させる。制御部22は、当選したペイラインごとに入賞額を算出して表示してもよい。図12に示されるように、制御部22は、当選したペイラインの入賞額を表示枠653内に表示させる。図12に示される中段のセルのペイラインにおいては、「SP」「SP」「100」「200」「500」というシンボル配列であるため、入賞額は「800」となる。さらに、図12に示される中段のセルのペイラインは、第1チャンス領域651に包含されているため、第1チャンス領域651に対応する特典ブースターによって倍率5倍が適用されて入賞額「4000」となり、入賞額「4000」が表示枠653内に表示される。制御部22は、計算されたペイラインの入賞額を総入賞額に加算して表示させる。これにより、総入賞額「4000」が表示される。
【0055】
制御部22は、図13に示されるように、当選した他のペイラインについて入賞額を算出する。図13に示されるペイラインにおいては、「SP」「SP」「100」「Pic-E」「500」というシンボル配列であるため、入賞額は「100」となる。図13に示されるペイラインは、第1チャンス領域651および第2チャンス領域652のいずれにも包含されていないため、特典ブースターによる増額はなく、入賞額「100」となり、入賞額「100」が表示枠653内に表示される。そして、総入賞額「4100」が表示される。
【0056】
制御部22は、上述した処理を当選した全てのペイラインに関して行う。これにより、図14に示されるように、当選した全てのペイラインごとの入賞額と、総入賞額とが表示される。
【0057】
なお、制御部22は、シンボルを変動させることで開始され、シンボルを停止させてペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて特典を付与することで終了するゲームごとにチャンス領域を設定してもよいし、当該ゲームが所定の回数実行される度にチャンス領域を設定してもよい。すなわち、チャンス領域の設定は毎ゲーム更新してもよいし、所定回数ごとに更新してもよい。
【0058】
図15および図16は、図2のメモリに格納されるプログラムおよびデータを示すディレクトリ構成図およびブロック図である。図17は、図16のゲームアプリケーションプログラムのブロック図である。図18は、図16のシステムアプリケーションプログラムのブロック図である。図15図18に示された実施形態においては、メモリ42がコンピュータ実行可能命令を含むゲームアプリケーションプログラム92を格納し、これらのコンピュータ実行可能命令をCPU38で実行することによりゲームの処理が行われ、ゲーミングマシン10のディスプレイ16にゲーム画面が表示される。また、一実施形態においては、ゲームアプリケーションプログラム92は、図19に示されたアルゴリズムを使用してゲームを実装するためのコンピュータ実行可能命令を含むプログラムコード94およびプログラムオブジェクトデータ96を含む。
【0059】
例示的な実施形態においては、メモリ42はコンピュータ実行可能命令を含むゲームアプリケーションプログラム92およびシステムアプリケーションプログラム98を格納し、これらのコンピュータ実行可能命令をCPU38で実行することによりゲームの処理が行われ、ゲーミングマシン10のディスプレイ16にゲーム画面が表示される。ゲームアプリケーションプログラム92はCPUで実行することによりゲーム固有のフロントエンド機能を提供し、システムアプリケーションプログラム98は汎用的なバックエンド機能を提供する。図示した実施例においては、ゲームアプリケーションプログラム92およびシステムアプリケーションプログラム98は、同一のオペレーティングシステム上に実装されている。ただし、これらのプログラムは互いに相違するオペレーティングシステム上に実装してもよいし、互いに相違するプロセッサ上に実装しても構わない。
【0060】
一実施形態においては、ゲームアプリケーションプログラム92は、ベット/ペイラインボタンリスナーモジュール100と、スタートボタンリスナーモジュール102と、クレジット残高マネージャモジュール104と、サンプリングマネージャ106と、ランダムナンバージェネレータ(RNG)108と、比較マネージャ110と、ゲーム結果ジェネレータ112と、入賞評価モジュール114と、ゲームプレゼンテータ116と、ゲームグラフィックスプレゼンテータ118と、ゲームサウンドプレゼンテータ120と、入賞インジケータ122と、特典プロバイダ124と、アプリケーションマネージャ126と、外部コミュニケータ128とを含む複数のソフトウェアモジュールを含む。ゲームアプリケーションプログラム92は、配当表130(ペイテーブル)、リールストリップデータ132、および停止位置テーブル134を含むことができる。
【0061】
ベット/ペイラインボタンリスナーモジュール100は、操作部32のベットボタン34またはライン設定ボタン33から信号を受け付けるためのソフトウェアモジュールであり、この信号は、プレイヤーがボタンを操作してベット額または有効化するペイライン数を選択するときにボタンによって生成される。信号の受信に応じて、ベット/ペイラインボタンリスナーモジュール100は、ゲームのベットまたは有効化するペイラインの構成を変更するために、信号の発生をアプリケーションマネージャ126に伝達する。
【0062】
スタートボタンリスナーモジュール102は、信号をスタートボタンから受け付けるためのソフトウェアモジュールであり、この信号は、プレイヤーがこのボタンを操作してゲームを開始するときに生成される。信号の受信に応じて、スタートボタンリスナーモジュール102は、ゲームを開始するために、信号の発生をアプリケーションマネージャ126に伝達する。
【0063】
スタートボタンリスナーモジュール102からの信号の受信に応じて、アプリケーションマネージャ126はサンプリングマネージャ106に対して、必要な数の乱数をランダムナンバージェネレータ108から取得することを要求する。
【0064】
ランダムナンバージェネレータ108は、所定の乱数生成計算アルゴリズムに基づいて乱数を生成するソフトウェアモジュールである。ランダムナンバージェネレータ108は、疑似乱数を生成する態様としてもよい。ランダムナンバージェネレータ108は、サンプリングマネージャ106からの要求に応じて乱数を返す。ランダムナンバージェネレータ108は、その一部または全部を集積回路またはワイヤードロジックとして実装してもよい。
【0065】
比較マネージャ110は、ゲームの現在の状態および/または各乱数をリールストリップデータ132および停止位置テーブル134と比較し、各乱数に基づいて対応するリールストリップの停止位置を指定する。
【0066】
リールストリップデータ132は、通常ゲーム、フリーゲームおよび特別ゲームのための仮想リールストリップを有する。上述した比較マネージャ110は、アプリケーションマネージャ126に問い合わせてゲームの現在の状態を識別し、仮想リールストリップを選択する。
【0067】
停止位置テーブル134は、仮想リールストリップの各停止位置に関連付けられた乱数の範囲を含む。比較マネージャ110は、対応する乱数および停止位置テーブル134に基づいて各リールの停止位置を決定する。
【0068】
ゲーム結果ジェネレータ112は、選択されたリールレイアウト、各リールの停止位置、内部シンボルの停止位置、および付加する属性に基づいてゲーム結果を生成する。一実施形態においては、ゲーム結果ジェネレータ112は、所定の条件が満たされたときに、ゲーム結果に対して変更を適用してもよい。
【0069】
入賞評価モジュール114は、配当表130を参照してゲーム結果を評価する。具体的には、シンボル表示領域64においてペイライン上に、配当表130で入賞組み合わせとして定義されているシンボルが停止しているかに基づいて入賞評価を行う。
【0070】
ゲームプレゼンテータ116は、所定のゲーム結果を最終的に形成するために、ゲームグラフィックスプレゼンテータ118およびゲームサウンドプレゼンテータ120を利用して、映像およびサウンドからなるゲームプレゼンテーションプロセスを提供する。
【0071】
ゲームサウンドプレゼンテータ120は、サウンドコントローラ53およびスピーカ26を使用することによってサウンドプレゼンテーションプロセスを提供する。入賞インジケータ122は、ゲーム結果において形成された入賞シンボルの入賞組み合わせおよび支払い条件を示す。特典プロバイダ124は、入賞評価に基づいて特典クレジットを入賞メータに提供する。
【0072】
アプリケーションマネージャ126は、各ソフトウェアモジュールの動作および状態を管理する。加えて、アプリケーションマネージャ126は、ゲームアプリケーションプログラム92の構成、進行、および状態を管理する。アプリケーションマネージャ126は、ゲーム状態記憶部127を参照し、記憶されたゲーム状態に基づいてシンボル表示領域64の大きさを決定し、ゲームを提供する。外部コミュニケータ128は、システムアプリケーションプログラム98との間で命令およびデータをやりとりする。
【0073】
クレジット残高マネージャモジュール104は、ベット額に応じてクレジット残高をデクリメントするとともに、入賞メータに表示された入賞総数に基づいてクレジット残高のインクリメントを行うためのプロセスを実行する。配当表130は、各入賞組み合わせに関連付けられた配当額または特典額を含む。
【0074】
例示的な実施形態においては、システムアプリケーションプログラム98は、バックグラウンド処理およびゲーム固有の機能以外の機能を提供する。システムアプリケーションプログラム98は、システムマネージャ142と、セキュリティマネージャ144と、スロット管理モジュール146と、デノミネーションマネージャ148と、データロガー150と、通信マネージャ152と、紙幣アクセプタマネージャ154と、メータ管理モジュール156と、キャッシュアウトマネージャ158とを含む複数のソフトウェアモジュールを含む。
【0075】
システムアプリケーションプログラム98は、ゲームリコールファイル160、会計ログ162、およびメータ164を含んでもよい。システムマネージャ142は、システムアプリケーションプログラム98によって実行されるバックグラウンド処理およびゲーム固有の機能以外の機能を全て管理するためのソフトウェアモジュールである。
【0076】
セキュリティマネージャ144は、ゲームの検証の管理、ドアのセキュリティ、およびセキュリティセンサの監視のためのソフトウェアモジュールである。スロット管理モジュール146は、データの蓄積を管理し、外部スロット情報システムと通信するためのソフトウェアモジュールである。
【0077】
デノミネーションマネージャ148は、ゲーミングマシン10のデノミネーション設定を設定するためのソフトウェアモジュールである。デノミネーション設定は、1セント、2セント、5セント、25セント、1ドル、5ドルなどを含むことができる。データロガー150は、各ゲームの結果をゲームリコールに記録するためのソフトウェアモジュールである。加えて、データロガー150は、エラーイベント、紙幣ログ、キャッシュアウトログ、チケットログなどを会計ログに格納する。
【0078】
ゲームリコールファイル160は、各ゲームの結果を含む蓄積データである。ゲームリコールファイル160は、不揮発性メモリに格納される。会計ログ162は、エラーイベント、紙幣ログ、キャッシュアウトログ、チケットログなどを含んでいる蓄積データである。会計ログ162は、不揮発性メモリに格納される。
【0079】
通信マネージャ152は、ゲームアプリケーションプログラム92とシステムアプリケーションプログラム98との間の通信を管理するソフトウェアモジュールである。通信マネージャ152は、システムアプリケーションプログラム98と、他のゲーミングマシン10、外部ネットワーク(スロット管理システムネットワーク、G2Sネットワーク、サーバベースゲーミングネットワーク用のゲーミングサーバ、またはVLTシステムネットワークなど)との間のネットワーク通信をも管理する。
【0080】
紙幣アクセプタマネージャ154は、紙幣アクセプタを管理するためのソフトウェアモジュールであり、紙幣アクセプタに挿入された紙幣の情報を受け付ける。紙幣アクセプタからの情報の受信に応答して、紙幣アクセプタマネージャ154は、挿入された紙幣に基づいてクレジット残高をインクリメントするために、メータ管理モジュールと通信する。
【0081】
メータ管理モジュール156は、通信マネージャ152、紙幣アクセプタマネージャ154、またはキャッシュアウトマネージャ158を介したゲームアプリケーションプログラム92との通信に応答してメータ164の値を調整するためのソフトウェアモジュールである。メータ164は、ゲーミングマシンの現在のクレジット残高を示すためのクレジットメータ、および現在のゲームセッションの入賞総数を示すための入賞メータを含む。メータは、コインイン、コインアウト、トータルドロップ、接客係が支払うジャックポット、および/または紙幣の投入などの、バックグラウンドメータをさらに含む。これらのメータは、不揮発性メモリ上のデータとしてまたはハードウェアメータとして実装されてもよい。
【0082】
キャッシュアウトマネージャ158は、キャッシュアウト手順を管理するためのソフトウェアモジュールである。キャッシュアウトボタンでのプレイヤーの操作に応答して、キャッシュアウトマネージャ158が作動され、ゲーミングマシンが、クレジットメータの総数を現金またはバウチャーの形で支払う。
【0083】
図19は、ゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートである。ゲーミングマシンの動作のアルゴリズム(ゲーミング方法)は、ゲームアプリケーションプログラム92に実装されており、CPU38がゲームアプリケーションプログラム92を実行することにより具現化される。ゲーミングマシンの動作は複数のステップを含む。各ステップは、独立して実行されてもよく、他のステップと組み合わせて実行されてもよい。
【0084】
ステップS10において、制御部22は、プレイヤーによるゲーム開始操作を受け付け、プレイヤーからスピンボタンの操作を受け付けると、設定された総ベット額をクレジットから減額するとともに、ゲームの提供に必要とされる所定数の乱数を取得する。乱数は、制御部22のランダムナンバージェネレータ108で内部的に生成される。制御部22は、制御部22とは別に設けられたランダムナンバージェネレータから乱数を取得するようにしてもよく、ゲーミングマシン10外に設けられたサーバ等の装置から乱数を取得する構成としてもよい。
【0085】
制御部22は、ステップS12として、複数のリールのスピンを開始させる。これにより、シンボル表示領域64に複数のシンボルが表示され、表示されているシンボルが変動する。
【0086】
制御部22は、ステップS14として、乱数に基づいてチャンス領域の大きさを決定する。例えば、数値範囲ごとにチャンス領域の縦の長さおよび横の長さを割り当てておくことにより、制御部22は、乱数に基づいてチャンス領域の大きさを決定できる。
【0087】
制御部22は、ステップS16として、乱数に基づいてチャンス領域の位置を決定する。例えば、数値範囲ごとにチャンス領域の位置座標を割り当てておくことにより、制御部22は、乱数に基づいてチャンス領域の位置を決定できる。
【0088】
制御部22は、ステップS18として、乱数に基づいてチャンス領域に関連付けられる倍率を決定する。例えば、数値範囲ごとにチャンス領域の倍率を割り当てておくことにより、制御部22は、乱数に基づいてチャンス領域に関連付けられる倍率を決定できる。なお、ステップS14~ステップS18の実行順は任意に変更可能である。
【0089】
制御部22は、ステップS20として、ステップS14~ステップS18で決定された大きさ、位置、および倍率が設定されたチャンス領域をペイラインテーブル650に表示する。
【0090】
続いて、制御部22は、ステップS22として、複数のリールのスピンを停止させる。これにより、シンボル表示領域64にシンボル組み合わせがゲーム結果として表示される。なお、制御部22は、ステップS22の停止の途中(例えば第1リールおよび第2リールが停止したタイミング)において、ステップS20を実行してもよい。
【0091】
制御部22は、ステップS24として、シンボル表示領域64にゲーム結果として表示されたシンボル組み合わせが入賞組み合わせを有するか判定する。制御部22は、一例として、シンボル表示領域64に表示されたシンボル組み合わせと、入賞組み合わせと、設定されているペイラインとに基づいて入賞を決定する。入賞したと判定された場合(ステップS24:YES)、制御部22は、ステップS26として、入賞したペイラインに倍率を適用するか否かを判定する。制御部22は、入賞したペイラインがチャンス領域に包含されている場合には、入賞したペイラインに倍率を適用すると判定し、入賞したペイラインがチャンス領域に包含されていない場合には、入賞したペイラインに倍率を適用しないと判定する。
【0092】
入賞したペイラインに倍率を適用すると判定された場合(ステップS26:YES)、制御部22は、ステップS28として、入賞したペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて付与する特典に倍率を適用する。そして、制御部22は、ステップS30として、特典を付与する。入賞したペイラインに倍率を適用しないと判定された場合(ステップS26:YES)、制御部22は、ステップS30として、入賞したペイラインをなすセルに停止したシンボルに基づいて決定された特典を、倍率を適用することなく付与する。入賞していないと判定された場合(ステップS24:NO)、および特典の付与が終了した場合、図19に示されるフローチャートは終了する。
【0093】
以上、ゲーミングマシン10においては、チャンス領域によって複数のペイラインに一度にマルチプライヤ(倍率)が付与されることもあり、マルチプライヤが適用される複数のペイラインと適用されないペイラインとを混在する構成として、多様性の高いゲームを提供することができる。これにより、ゲーミングマシン10は、プレイヤーを継続的に種々の態様で刺激する新味のあるゲームを提供することができる。
【0094】
当選した特典に所定倍率のマルチプライヤを付与することは従来行われているが、その設定は当選したペイラインに関わらず一律に倍率を付与するものであり、固定的で単調なものであった。これに対して本実施形態では、ディスプレイ16に表示されたペイラインテーブル650上にチャンス領域(第1チャンス領域651および第2チャンス領域652)を設定し、チャンス領域に包含されるペイラインのみに特典ブースター(所定倍率のマルチプライヤ)を適用する。これにより、本実施形態ではマルチプライヤが適用される複数のペイラインと適用されないペイラインとを混在させ、同一当選種であっても当選の発生するペイラインによって最終的に得られる特典額を変化させることができる。このように特定のペイライン入賞に対する期待感を高めることと、当該ペイライン入賞の成否とを経験させることで、プレイヤーに適切な刺激を与えて満足感を与えることができる。さらに、本実施形態では、チャンス領域の設定を変化させるので、プレイヤーに単調でないゲームと刺激を提供することができる。さらにまた、チャンス領域をディスプレイ16に表示されたペイラインテーブル650上に設定し、ペイラインテーブル650上に重畳表示しているので、プレイヤーは特典ブースターが適用されるペイラインを容易に認識し、具体的な期待感による刺激を受けることができ、当該ペイラインにおける入賞の成否による刺激を受けることができる。さらにまた、本実施形態では第1チャンス領域651および第2チャンス領域652という複数のチャンス領域を設けているので、より多様で複雑なゲームの展開および結果を提供することができる。
【0095】
ゲーミングマシン10は、クライアントコンピューティングデバイスであってもよく、この場合、ゲームは、ネットワークサーバコンピュータシステムから、通信ネットワークを経由して、1つまたは複数のクライアントコンピューティングデバイスに配信される。クライアントコンピューティングデバイスのプロセッサは、ゲーミングマシン10の制御部22として機能するようにプログラムすることができる。
【0096】
ゲーミングマシン10をクライアントコンピューティングデバイスとする場合には、1)ゲーム実行に伴う大部分の処理をクライアント側で行いサーバに結果を送信するリッチクライアント方式としてもよいし、2)最低限の処理のみをクライアント側で行い、サーバ側で主要な処理を行うシンクライアント方式とすることもでき、3)データの記憶や処理の大部分をサーバ側で行い、クライアントは入出力に特化するゼロクライアント方式とすることも可能である。この場合には、実施例に示したソフトウェア構成をクライアントとサーバとに分散して実装することになる。
【0097】
上述した実施形態では、グリッド68のセルの列ごとに仮想リールストリップ72~80が対応付けられている場合を示したが、セルのそれぞれに独立したリールを対応付けることも可能である。
【0098】
上述した実施形態において、制御部22は、複数のチャンス領域が重なるように設定してもよい。チャンス領域の重なり合う部分においては、チャンス領域それぞれに設定された特典ブースターが加算または乗算されて、シンボル配列による特典に対して適用されるようにしてもよい。これにより、ゲーミングマシン10は、ゲームのボラタリティをさらに高くすることができ、重なり合いの態様を変化させることでゲームのボラタリティを変動させることも可能である。
【0099】
上述した実施形態において、クレジットシンボルには、クレジット額に替えてジャックポット区分が付与されてもよい。ジャックポット区分は、MINI、MAJOR、MAXI、MEGAなど、入賞特典の大きさに応じた区分である。
【0100】
また、特典ブースターは、チャンス領域内のペイラインにおいてクレジットシンボルによる当選が生じた場合に、当該当選をジャックポット当選に昇格させることで付与される特典額を増やしてもよい。当選するジャックポット区分が複数ある場合には、当選するジャックポット区分を乱数により決定してもよく、その決定のプロセスをリール、ホイール、ルーレットにより表現してもよい。
【0101】
上述したゲーミングマシン10の制御部22の機能は、コンピュータによりプログラムが実行されることでも実現され得る。すなわち、1または複数のコンピュータを、上述した制御部22と同様に機能させるプログラムが作成可能である。プログラムは、例えば、ROMまたは半導体メモリ等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録されて、提供され得る。そのようなプログラムは複数のモジュールに分割されていてもよい。
【0102】
また、各実施形態における動作についても種々変形が可能であり、例えば予め必要な数の乱数を取得してリール停止位置を決定し、特別ゲーム当選および入賞有無の判定を済ませてから、それらの内容をディスプレイ上に順次表示する態様であっても構わない。さらに、例えば、制御部22は、ゲーム開始時に、必要な数の乱数を一括で取得し、それぞれの乱数を電源異常時にも消去されないメモリ42またはストレージ44の記憶領域に記憶してもよい。このようにした場合、ゲーム中に電源異常などが発生しても、制御部22は、電源復旧後にゲームを再開する際に、電源異常発生前のゲーム開始時に取得された乱数をメモリ42またはストレージ44から取得することで、ゲームの進行を再現することができる。例えば、高い配当が得られるゲーム結果が形成される直前に電源異常が発生した場合において、電源復旧後に同様のゲームの進行がなされなければ問題となり得る。しかし、上述のようにゲーム開始時に全ての乱数を一括で取得し、これらの乱数をメモリ42またはストレージ44に退避させておくことで、電源復旧後に電源異常発生前と同様のゲームの進行を再現することができるため、このような問題を回避することができる。
【0103】
また、上記実施形態では、遊技価値として紙幣またはチケットを示し、これらを紙幣/チケット識別装置で受け付けて、プリンタユニットでチケットを出力する態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。遊技価値は、硬貨、紙幣、コイン、メダル、チケットなどの有体物、またはこれらと同等の価値を有する仮想クレジットや仮想通貨等の電子データを含む概念である。例えば、コインアクセプターでコインを受け付けて、コインホッパーからコインを支払う態様であっても構わない。プレイヤーを識別してサーバ上のアカウントに蓄積されたクレジットを使用し、アカウントへクレジットを払い出す態様であってもよく、磁気カード、ICカード等の記憶媒体に記録されたクレジットの情報を読み取って使用し、記憶媒体へ書き込むことでクレジットを払い出す態様であってもよい。さらに、スマートフォンやウエアラブルデバイスとの間で電子的にクレジットを移動させる態様としてもよい。
【符号の説明】
【0104】
10…ゲーミングマシン、16…ディスプレイ(表示部の一例)、22…制御部、64…シンボル表示領域、65…ペイライン表示領域、650…ペイラインテーブル、651…第1チャンス領域(チャンス領域の一例)、652…第2チャンス領域(チャンス領域の一例)。

図1
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図5
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