IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧

特開2024-82863保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ
<>
  • 特開-保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ 図1
  • 特開-保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ 図2
  • 特開-保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ 図3
  • 特開-保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ 図4
  • 特開-保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ 図5
  • 特開-保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ 図6
  • 特開-保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ 図7
  • 特開-保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ 図8
  • 特開-保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082863
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/684 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
G01F1/684 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197030
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】湯山 まゆみ
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035EA05
2F035EA08
(57)【要約】
【課題】品質及び生産性の良い保護膜を得る。
【解決手段】被測定流体の流量を測定するセンサが備える測温抵抗体13を覆って測温抵抗体23を被測定流体から保護する保護膜23を形成する。この保護膜23の形成方法は、測温抵抗体13を覆う第1絶縁層23Aを保護膜23の最下層として原子層堆積法により形成する第1ステップと、第1絶縁層23A上に第2絶縁層23Bを保護膜23の中間層として化学気相成長法又は物理気相成長法により形成する第2ステップと、第2絶縁層23B上に第3絶縁層23Cを保護膜23の最上層として原子層堆積法により形成する第3ステップと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体の物理量を測定するセンサが備える導体を覆って当該導体を前記被測定流体から保護する保護膜の形成方法であって、
前記導体を覆う第1絶縁層を前記保護膜の最下層として原子層堆積法により形成する第1ステップと、
前記第1絶縁層上に第2絶縁層を前記保護膜の中間層として化学気相成長法又は物理気相成長法により形成する第2ステップと、
前記第2絶縁層上に第3絶縁層を前記保護膜の最上層として原子層堆積法により形成する第3ステップと、
を備える、保護膜の形成方法。
【請求項2】
前記導体は、測温抵抗体であり、
前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び、前記第3絶縁層は、同じ材料により形成されている、
請求項1に記載の保護膜の形成方法。
【請求項3】
前記同じ材料は、SiN又はSiOである、
請求項2に記載の保護膜の形成方法。
【請求項4】
前記センサは、前記被測定流体を加熱するヒータと前記測温抵抗体とにより、前記被測定流体の前記物理量としての流量を計測する熱式流量センサであり、
前記導体は、前記測温抵抗体と前記ヒータとを含み、
前記保護膜は、厚み方向に直交する方向に連続して前記測温抵抗体と前記ヒータとを覆うように形成される、
請求項2に記載の保護膜の形成方法。
【請求項5】
前記被測定流体は、導電性流体である、
請求項1に記載の保護膜の形成方法。
【請求項6】
前記導体は、ベース上に形成され、当該ベースと段差部分を形成しており、
前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び、前記第3絶縁層は、前記段差部分を覆うように形成される、
請求項1に記載の保護膜の形成方法。
【請求項7】
被測定流体の物理量を測定するセンサが備える導体を覆って前記導体を前記被測定流体から保護する保護膜であって、
原子層堆積法により形成され前記導体を覆う第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に化学気相成長法又は物理気相成長法により形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に原子層堆積法により形成された第3絶縁層と、
を備える保護膜。
【請求項8】
請求項7に記載の保護膜と、
前記保護膜によって保護される前記導体と、
を備えるセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護膜の形成方法、保護膜、及び、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象の流体である被測定流体の物理量を測定するセンサには、被測定流体の流路に、測温抵抗体などの導体が設けられる。特許文献1が開示するように、導体は、保護膜(特許文献1では、絶縁体22)により覆われ被測定流体から保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-16754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の保護膜を、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、及び、原子層堆積法(ALD)のいずれかで形成することが考えられる。CVD及びPVDは成膜レートが良いため、その生産性は良い。しかしながら、膜の品質には難がある。ALDは、品質の良い膜を形成できるが、ALDは成膜レートが悪く、ALDのみで保護膜を形成する場合、保護膜として必要な厚みを得るのに時間を要する。つまり、ALDの生産性は良くない。
【0005】
本発明は、品質及び生産性の良い保護膜を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る保護膜の形成方法は、被測定流体の物理量を測定するセンサが備える導体を覆って当該導体を前記被測定流体から保護する保護膜の形成方法であって、前記導体を覆う第1絶縁層を前記保護膜の最下層として原子層堆積法により形成する第1ステップと、前記第1絶縁層上に第2絶縁層を前記保護膜の中間層として化学気相成長法又は物理気相成長法により形成する第2ステップと、前記第2絶縁層上に第3絶縁層を前記保護膜の最上層として原子層堆積法により形成する第3ステップと、を備える。
【0007】
一例として、前記導体は、測温抵抗体であり、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び、前記第3絶縁層は、同じ材料により形成されてもよい。
【0008】
一例として、前記同じ材料は、SiN又はSiOであってもよい。
【0009】
一例として、前記センサは、前記被測定流体を加熱するヒータと前記測温抵抗体とにより、前記被測定流体の前記物理量としての流量を計測する熱式流量センサであり、前記導体は、前記測温抵抗体と前記ヒータとを含み、前記保護膜は、厚み方向に直交する方向に連続して前記測温抵抗体と前記ヒータとを覆うように形成されてもよい。
【0010】
一例として、前記被測定流体は、導電性流体であってもよい。
【0011】
一例として、前記導体は、ベース上に形成され、当該ベースと段差部分を形成しており、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び、前記第3絶縁層は、前記段差部分を覆うように形成されてもよい。
【0012】
本発明に係る保護膜は、被測定流体の物理量を測定するセンサが備える導体を覆って前記導体を前記被測定流体から保護する保護膜であって、原子層堆積法により形成され前記導体を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に化学気相成長法又は物理気相成長法により形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に原子層堆積法により形成された第3絶縁層と、を備える。
【0013】
本発明に係るセンサは、上記保護膜と、前記保護膜によって保護される前記導体と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、品質及び生産性の良い保護膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係るセンサを概略平面図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、センサの形成方法を説明するための図である。
図4図4は、センサの形成方法を説明するための図である。
図5図5は、センサの形成方法を説明するための図である。
図6図6は、センサの形成方法を説明するための図である。
図7図7は、センサの形成方法を説明するための図である。
図8図8は、センサの形成方法を説明するための図である。
図9図9は、変形例に係る保護膜の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態及びその変形例について、図面を参照して説明する。以下の説明では、センサ10の厚み方向を上下方向とするが、当該上下方向は、便宜上のものである。
【0017】
(実施形態)
図1及び図2に示す本実施形態に係るセンサ10は、被測定流体の流路に配置され使用される熱式の流量センサとして構成されている。センサ10は、ヒータ11と、ヒータ11の上流及び下流にそれぞれ配置された測温抵抗体12及び13と、を備える。センサ10は、発熱抵抗体からなるヒータ11で被測定流体を加熱し、加熱した被測定流体の熱分布を測温抵抗体12及び13で捉えることで、被測定流体の流量を検出する。測温抵抗体は、下流にのみ配置されてもよい。センサ10は、温度補償のため周囲温度を測定するための測温抵抗体などの他の要素を備えてもよい。
【0018】
ヒータ11と、測温抵抗体12及び13とは、例えば白金(Pt)により形成されている。ヒータ11と、測温抵抗体12及び13との各材料は、異なってもよい。ヒータ11と、測温抵抗体12及び13とは、図1では模式的に描かれており、実際には導電路の長さを稼ぐため蛇行した線状に形成される。ヒータ11と、測温抵抗体12及び13とを、まとめて要素11~13ともいう。
【0019】
センサ10は、要素11~13に加え、基板21と、絶縁層22と、保護膜23と、導電パターン24A~24Fと、電極パッド25A~25Fと、絶縁膜26及び27と、を備える。センサ10は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術などにより形成される。
【0020】
基板21は、シリコン製の半導体基板である。絶縁層22は、基板21上に積層されている。絶縁層22上には、要素11~13が形成されている。絶縁層22は、要素11~13と基板21とを電気的に絶縁するとともに、ヒータ11の発熱時の熱が基板21に伝わり難くする、要素11~13のベースとして構成されている。一例として、絶縁層22は、基板21上に設けられたガラス層と、当該ガラス層を覆う窒化シリコン(SiN)製の絶縁層と、を含んで構成されている。他の例として、絶縁層22は、ガラス層のみから形成されてもよい。
【0021】
絶縁層22の上には、要素11~13の他、要素11~13を覆う保護膜23が形成されている。保護膜23は、第1~第3絶縁層23A~23Cからなる三層構造を有する(詳細は後述する)。保護膜23は、要素11~13が被測定流体と接触しないように、要素11~13を上から覆って保護する。要素11~13は、ある程度の厚さを有して形成されているので、ベースとしての絶縁層22とで段差部分を形成している。保護膜23は、要素11~13と絶縁層22との段差部分を含めて要素11~13を覆う。また、保護膜23は、その厚み方向である上下方向に直交する方向に連続する一枚の膜として形成され、要素11~13を覆っている。前記「直交する方向に連続する」とは、膜全体をみたときに当該膜が途切れなく前記直交する方向に延びた態様であればよく、前記段差部分を覆う部分のような前記直交する方向とは異なる方向に延びた部分がある態様を含む。保護膜23(特に、要素11~13を覆っている領域)は、被測定流体の流路壁を形成し、被測定流体は、保護膜23に接触する。
【0022】
保護膜23の上には、導電パターン24A~24Fと、電極パッド25A~25Fと、が設けられている。導電パターン24A及び電極パッド25Aは、一体的に形成され、互いに接続されている。同様に、導電パターン24B~24Fと、電極パッド25B~25Fとは、それぞれ、一体的に形成されかつ互いに接続されている。
【0023】
導電パターン24A~24Fのうち導電パターン24E及び24Fは、保護膜23の測温抵抗体13の両端の直上部分に設けられた貫通孔HE及びHFを介して、測温抵抗体13の両端とそれぞれ接続されている。導電パターン24E及び24Fは、貫通孔HE及びHFをそれぞれ塞いでいる。これにより、被測定流体が貫通孔HE又はHFに侵入して測温抵抗体13に接触することが防止される。
【0024】
導電パターン24E及び24Fと同様に、導電パターン24A及び24Bも、保護膜23のヒータ11の両端の直上部分に設けられた各貫通孔HA及びHB(図7及び図8参照。図1及び図2では不図示)を介して、ヒータ11の両端とそれぞれ接続されている。導電パターン24C及び24Dも、保護膜23の測温抵抗体12の両端の直上部分に設けられた各貫通孔HC及びHD(図7及び図8参照。図1及び図2では不図示)を介して、測温抵抗体12の両端とそれぞれ接続されている。
【0025】
電極パッド25A~25Fは、不図示のボンディングワイヤなどを介して不図示の制御回路に接続される。制御回路は、電極パッド25A及び25Bを介してヒータ11に電流を流してヒータ11を発熱させる。制御回路は、電極パッド25C及び25Dを介して測温抵抗体12の抵抗値を取り出す。制御回路は、電極パッド25E及び25Fを介して測温抵抗体13の抵抗値を取り出す。これら抵抗値は、測温抵抗体12及び13の温度により変化する。つまり、これら抵抗値は、被測定流体の温度分布ないし流量を示す。制御回路は、取り出した各抵抗値に基づいて被測定流体の流量(流速を含む)を導出して、外部に出力する。
【0026】
絶縁膜26は、保護膜23の上に、導電パターン24A、24C、及び、24Eの少なくとも一部を覆った状態で形成される。絶縁膜26は、特に、導電パターン24Aのヒータ11との接続部分、導電パターン24Cの測温抵抗体12との接続部分、及び、導電パターン24Eの測温抵抗体13との接続部分を覆うように構成される。これにより、導電パターン24Aなどを被測定流体から絶縁保護するとともに、保護膜23の貫通孔HEなどへの被測定流体の侵入を防止する。
【0027】
絶縁膜26と同様に、絶縁膜27も、保護膜23の上に、導電パターン24B、24D、及び、24Fの少なくとも一部を覆った状態で形成される。絶縁膜27の他の説明は、絶縁膜26に準じる。
【0028】
被測定流体の流路は、導電パターン24A~24Fの絶縁膜26及び27からの露出部分と、電極パッド25A~25Fとが、被測定流体と接触しないように当該流路の外側の位置となる構造に形成されてもよい。また、これらが、樹脂によりモールディングされ、被測定流体と絶縁されてもよい。
【0029】
ここで、保護膜23の3層構造について説明する。保護膜23は、上述のように、第1絶縁層23A、第2絶縁層23B、及び、第3絶縁層23Cを備える。第1絶縁層23Aは、保護膜23の最下層であり、絶縁層22上に積層され、要素11~13つまりヒータ11と測温抵抗体12及び13とを覆う。第2絶縁層23Bは、中間層であり、第1絶縁層23A上に積層され、当該層23Aを覆う。第3絶縁層23は、最上層であり、第2絶縁層23B上に積層され、当該層23Bを覆う。
【0030】
第1絶縁層23A及び第3絶縁層23Cは、原子層堆積法(ALD)により形成される。第2絶縁層23Bは、化学気相成長法(CVD)又は物理気相成長法(PVD)により形成される。
【0031】
保護膜23を単層構造とする場合、その形成方法は、ALD、CVD、及び、PVDのいずれかが考えられる。CVD又はPVDで保護膜を形成する場合、成膜レートの高さから、短時間で所望の厚さ、例えば電流のスパークを防止できる耐電圧が得られる厚さ、及び、被測定流体に含まれる異物によって破損しない厚さの保護膜を形成できる。しかしながら、この保護膜は、膜の品質、より具体的には被覆性及び緻密性に難がある。被覆性に難があることで、要素11~13のそれぞれと、この要素11~13が形成されたベース(つまり、絶縁層22)との段差部分に対してカバレージ不足が生じる。また、緻密性に難があることで、膜にピンホールが発生する。カバレージ不足及びピンホールは、被測定流体が保護膜内に侵入して要素11~13のいずれかに達する不都合を生じさせる。このような不都合の発生により、被測定流体に含まれる異物が測温抵抗体12又は13に接触して抵抗値を異常値とさせるおそれがある。また、場合によっては被測定流体又は異物が要素11~13を腐食又は損傷させるおそれがある。また、被測定流体が導電性を有する場合、測温抵抗体12又は13が被測定流体と導通し、これらの抵抗値が異常値となってしまう。また、ヒータ11と被測定流体加熱が導通して所望の発熱が得られないことも考えられる。保護膜をALDにより形成する場合、品質の良い保護膜23が得られるが、成膜レートが低いため、所望の厚さの保護膜を短時間で形成することができず、従って、生産性が悪い。
【0032】
この実施の形態の保護膜23は、CVD又はPVDにより形成される第2絶縁層23Bを、CVD又はPVDよりも成膜レートは低いが膜の品質の良いALDにより形成される第1及び第3絶縁層23A及び23Cで上下から挟む構造を有する。このような構造によれば、第2絶縁層23Bを第1及び第3絶縁層23A及び23Cよりも厚くして必要な膜厚をかせぎ、第1絶縁層23Aにより上記段差部分との密着性を確保してカバレージ不足を解消し、かつ、絶縁層23A及び23Cにより第2絶縁層23Bのピンホールを上下から覆うことができる。従って、生産性が良く、品質の良い保護膜23が得られる。
【0033】
さらに、保護膜23は、その厚み方向に直交する方向に連続する一枚の膜として形成され、要素11~13を覆うので、要素11~13をそれぞれ覆う3つの保護膜を設けるよりも保護膜23の形成プロセスが容易となる。保護膜23を構成する層23A~23Cの形状は、この実施の形態では、上下方向から見て同形状に形成されているが、これらを異なる形状としてもよい。層23A~23Cのそれぞれは、上記実施形態のように、その厚み方向に直交する方向に連続する一枚の層として形成され、要素11~13を覆うとよい。
【0034】
第1絶縁層23A~第3絶縁層23Cの材料は特に限定されないが、一例としてこれらは同じ材料により形成される。これにより、ヒータ11から伝達される熱の分布を、測温抵抗体12及び13も覆う保護膜23内で均一にすることができ、センサ10の測定精度が良くなる。各層23A~23Cの材料としては、前記熱の分布が理想的なものに近づくように熱伝導性の比較的悪い材料、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)があげられる。各層23A~23Cの材料は、他の窒化物又は酸化物などの絶縁材であってもよい。
【0035】
ここで、センサ10の形成方法を説明する。なお、以下で言及していない成膜方法は、公知の任意の方法により行われればよい。
【0036】
センサ10の形成方法では、まず、基板21を用意し、用意した基板21上に絶縁層22を形成する(図3)。その後、絶縁層22上に、ヒータ11と、測温抵抗体12及び13とを形成する(図4)。
【0037】
その後、絶縁層22上に、第1絶縁層23AをALDにより形成する(図5)。その後、第1絶縁層23上に第2絶縁層23BをCVD又はPVDにより形成し、次いで、第2絶縁層23B上に第3絶縁層23CをALDにより形成する(図6)。絶縁層23A~23Cの形成により、保護膜23が完成する。
【0038】
その後、保護膜23の、要素11~13のそれぞれの両端の直上位置(6つの直上位置)に、貫通孔HA~HFをそれぞれ形成する(図7)。
【0039】
その後、保護膜23上に、導電パターン24A~24F及び電極パッド25A~25Fをパターニングし、次いで、絶縁膜26及び27を形成する(図8)。パターニングにより、導電パターン24A~24Fが、貫通孔HA~HFを介して要素11~13のそれぞれの両端にそれぞれ接続される。
【0040】
(変形例)
上記三層構造は、被測定流体の物理量を測定するセンサが備える導体の保護膜一般に適用可能である。被測定流体は、導電性の液体とする他、非導電性の液体、又は、導電性又は非導電性の気体であってもよい。センサの構造は、被測定流体の種類により適宜変更される。例えば、被測定流体が気体である場合、要素11~13の下方には被測定流体が流入するキャビティが設けられる。この場合、要素11~13は、図9に示すように、保護膜23により上下両側から覆われて保護されてもよい。センサは、流量センサではなく、温度センサなどであってもよい。上記三層構造は、温度センサの測温抵抗体の保護膜に適用できる。この場合でも、保護膜の温度分布を均一にするため、保護膜の各層は同じ材料に形成されるとよい。上記三層構造は、導電パターン24A~24Fなどの各種導電パターンを保護する絶縁膜26又は27などに適用されてもよい。上記三層構造によれば、CVD又はPVDで形成される中間層により、保護膜の生産性を確保し、中間層を挟むALDの2つの層により、保護膜の品が向上する。
【0041】
(本発明の範囲)
以上、実施形態及び変形例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、本発明には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る、上記実施形態及び変形例に対する様々な変更が含まれる。上記実施形態及び変形例に挙げた各構成は、矛盾の無い範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0042】
10…センサ、11…ヒータ、12,13…測温抵抗体、21…基板、22…絶縁層、23…保護膜、23A…第1絶縁層、23B…第2絶縁層、23C…第3絶縁層、HA~HF…貫通孔、24A~24F…導電パターン、25A~25F…電極パッド、26,27…絶縁膜。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9