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特開2024-82875文書評価装置、文書評価プログラム、および文書評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082875
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】文書評価装置、文書評価プログラム、および文書評価方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/103 20200101AFI20240613BHJP
【FI】
G06F40/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197049
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】安河内 治
【テーマコード(参考)】
5B109
【Fターム(参考)】
5B109NF02
(57)【要約】
【課題】適切に可読性を向上させる。
【解決手段】検査対象文字に行間の調整が必要な文字が使用されているか否かを判定する文字判定部12と、文字判定部12で前記行間の調整が必要な文字が使用されていた場合、所定の第1行間閾値を調整した第2行間閾値を用い、前記第2行間閾値に基づいて行間が適切であるかを判定する行間判定部18と、前記行間判定部18において行間が適切でない場合に報知する報知部14と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象文字に行間の調整が必要な文字が使用されているか否かを判定する文字判定部と、
前記文字判定部で前記行間の調整が必要な文字が使用されていた場合、所定の第1行間閾値を調整した第2行間閾値を用い、前記第2行間閾値に基づいて行間が適切であるかを判定する行間判定部と、
前記行間判定部において行間が適切でない場合に報知する報知部と、
を備えることを特徴とする文書評価装置。
【請求項2】
前記文字判定部は、検査対象文字か、前記検査対象文字ではない非検査対象文字かを判定し、
前記文字判定部により前記検査対象文字と判定された文字の1行あたりの文字数をカウントするカウント部を、さらに備え、
前記報知部は、前記カウント部によりカウントされた文字数が所定の範囲から外れる場合に、文字数が範囲外であることを報知する
ことを特徴とする請求項1記載の文書評価装置。
【請求項3】
前記第1行間閾値は和文書体用の閾値であり、
前記行間の調整が必要な文字とは欧文書体であり、
前記第2行間閾値は和文書体よりも小さな値になるように調整する
ことを特徴とする請求項1記載の文書評価装置。
【請求項4】
前記非検査対象文字とは句読点や記号やスペース文字を含む読みやすさに影響しない文字の種類であることを特徴とする請求項2記載の文書評価装置。
【請求項5】
検査対象文字に行間の調整が必要な文字が使用されているか否かを判定する文字判定ステップと、
前記文字判定ステップで前記行間の調整が必要な文字が使用されていた場合、所定の第1行間閾値を調整した第2行間閾値を用い、前記第2行間閾値に基づいて行間が適切であるかを判定する行間判定ステップと、
前記行間判定ステップにおいて行間が適切でない場合に報知する報知ステップと、
をコンピュータに実行させる文書評価プログラム。
【請求項6】
前記文字判定ステップは、検査対象文字か、前記検査対象文字ではない非検査対象文字かを判定し、
前記文字判定ステップにより前記検査対象文字と判定された文字の1行あたりの文字数をカウントするカウントステップを、さらに前記コンピュータに実行させ、
前記報知ステップは、前記カウントステップによりカウントされた文字数が所定の範囲から外れる場合に、文字数が範囲外であることを報知する
ことを特徴とする請求項5記載の文書評価プログラム。
【請求項7】
検査対象文字に行間の調整が必要な文字が使用されているか否かを判定する文字判定ステップと、
前記文字判定ステップで前記行間の調整が必要な文字が使用されていた場合、所定の第1行間閾値を調整した第2行間閾値を用い、前記第2行間閾値に基づいて行間が適切であるかを判定する行間判定ステップと、
前記行間判定ステップにおいて行間が適切でない場合に報知する報知ステップと、
を有することを特徴とする文書評価方法。
【請求項8】
前記文字判定ステップは、検査対象文字か、前記検査対象文字ではない非検査対象文字かを判定し、
前記文字判定ステップにより前記検査対象文字と判定された文字の1行あたりの文字数をカウントするカウントステップを、さらに有し、
前記報知ステップは、前記カウントステップによりカウントされた文字数が所定の範囲から外れる場合に、文字数が範囲外であることを報知する
ことを特徴とする請求項7記載の文書評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切に可読性を向上させる文書評価装置、文書評価プログラム、および文書評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文章の可読性因子である文字高、文字幅、文字間距離、行間距離、1行の文字数、文字色等が推奨範囲に収まっているかを判定し、結果を出力する可読性評価方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、プリンタが受信したテキストデータの文字サイズ、行間、及び文字間の関係が一意である条件において、印刷する用紙サイズのページ内に文書を収めるために、文字サイズ、行間、及び文字間の値を算出すプリンタコントローラが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-230652号公報
【特許文献2】特開2005-335257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文字の読みやすさ(可読性)に影響を与える要素として、「文字列の行間(行送り)」や「1行の文字数」がある。
【0006】
特許文献1や特許文献2の技術では、モニターやモバイル端末の画面や、用紙などの出力範囲に合わせて、1行の文字数や単語数を調整するが、これらの方法は人間にとっての読みやすさは優先されない。
【0007】
例えば、人間が読みやすい行間や1行の文字数を確保する事例として、一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)によると、「横書きを使用する際には行間を1.5行以上確保して、1行45文字以内で組むこと」という基準がある。
【0008】
ここで、書体には和文書体や欧文書体などの様々な種類がある。和文書体では、全角半角にかかわらず、上下方向において、下基準ラインから上基準ラインの間に収まるように文字が配置されるが、欧文書体では、例えば、「g」や「j」のように、下基準ラインをはみ出す文字も存在する。
【0009】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の技術では、文字の種類にかかわらず、行間を設定しているため、可読性が低下するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、適切に可読性を向上させる文書評価装置、文書評価プログラム、および文書評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る文書評価装置の特徴は、
検査対象文字に行間の調整が必要な文字が使用されているか否かを判定する文字判定部と、
前記文字判定部で前記行間の調整が必要な文字が使用されていた場合、所定の第1行間閾値を調整した第2行間閾値を用い、前記第2行間閾値に基づいて行間が適切であるかを判定する行間判定部と、
前記行間判定部において行間が適切でない場合に報知する報知部と、
を備えることにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る文書評価装置、文書評価プログラム、および文書評価方法の特徴によれば、適切に可読性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態における文書評価装置が適用されたユーザ端末を示す構成図である。
図2】(a)は、和文書体の一例を示した図であり、(b)は、欧文書体の一例を示した図である。
図3】(a)は、本発明の一実施の形態における文書評価装置が備える表示部に表示された表示画面の一例であり、(b)は、本発明の一実施の形態における文書評価装置が備える表示部に表示された設定画面の一例である。
図4】本発明の一実施の形態におけるユーザ端末における処理内容を示したフローチャートである。
図5】文字の高さと行間とを説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0015】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
<ユーザ端末の構成>
図1は、本発明の一実施の形態における文書評価装置が適用されたユーザ端末1を示す構成図である。
【0017】
図1に示すように、ユーザ端末1は、制御部10と、記憶部20と、入力部30と、表示部40と、インターフェース部50とを備える。ユーザ端末1は、文書評価装置の一例である。ユーザ端末1は、例えば、デスクトップ型コンピュータ等の設置型端末であるか、或いは、タブレット端末、スマートフォン、ノートパソコンなどの携帯型端末である。
【0018】
記憶部20は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリや、ハードディスク装置を有する。例えば、ユーザが入力部30から入力操作に基づいて被検査対象文字を記憶している。
【0019】
入力部30は、例えば、キーボード装置、マウス装置、タッチパネルなどであり、ユーザによる各種の操作情報の入力を受け付ける。例えば、入力部30は、ユーザによる被検査対象文字を指定する操作を受け付ける。
【0020】
表示部40は、各種情報を表示するディスプレイである。後述するように、表示部40は、例えば、文字の見やすさを表示する表示画面や、被検査対象文字を指定するための設定画面を表示したりする。なお、タッチパネルを有するディスプレイは、入力部30及び表示部40として機能することができる。
【0021】
インターフェース部50は、他の装置との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部50は、ユーザ端末1において作成された文書データに対応する印刷ジョブを、無線又は有線で接続された画像形成装置に送信する。
【0022】
制御部10は、例えば、ユーザ端末1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有する。このプロセッサは、記憶部20又は記録媒体から所定のプログラムを読み出して実行することにより、取得部11と、文字判定部12と、カウント部13と、報知部14と、書体判定部16と、行判定部17と、行間判定部18とを備える。
【0023】
取得部11は、文書の文字列における文字の高さの情報、文字列の1行の文字数の情報、文字列の行間の情報、および欧文書体の行間調整の情報を取得する。例えば、取得部11は、記憶部20が記憶するテキストファイルや、記憶部20が記憶するPDFファイルなどの画像データから抽出されたテキストデータや、文書作成途中の文書作成アプリや、画像形成装置に送信される印刷ジョブ(印刷ジョブに含まれるテキストデータ)などから情報を取得する。
【0024】
また、行間は、文字の高さと各行の隙間との和の各行の配列間隔であり、文字の高さを基準に1.5行(150%)以上と表されたり、文字の高さを基準に2.0行(200%)以上と表されたりする。
【0025】
文字判定部12は、文書データに含まれる文字が、検査対象文字または非検査対象文字のいずれに該当するかを判定する。検査対象文字とは、人が意味を認識する必要のある文字であり、和文書体(ひらがな、カタカナ、漢字)や、欧文書体(英文、仏文、独文など)の半角文字および全角文字のいずれもが含まれる。非検査対象文字は、句読点(「、」、「。」、「,」、「.」)や、記号(「/」、「@」、「\」)や、スペースなど、ユーザが入力部30から入力した文字を被検査対象文字として設定される。
【0026】
カウント部13は、文字判定部12により検査対象文字と判定された文字の1行あたりの文字数をカウントする。また、後述の文字のカウント方法に従い、文字の種類により文字数のカウント方法を変更することができる。
【0027】
報知部14は、カウント部13によりカウントされた文字数が所定の範囲を外れた場合に、文字数が適切でないことを報知する。
【0028】
また、報知部14は、後述する行間判定部18により取得された行間が所定の第1行間閾値Th1以上であると判定された場合、または行間判定部18により取得された行間が第2行間閾値Th2以上と判定された場合に、行間が狭いことを報知する。
【0029】
例えば、報知部14は、表示部40の表示制御によってユーザへの報知を行う。但し、報知部14は、ユーザ端末1以外の他の装置の表示部の表示制御や、図示しない音声出力部による音声出力などによって、ユーザへの報知を行ってもよい。
【0030】
書体判定部16は、文字判定部12により検査対象文字であると判定された文字に対して、欧文書体か否かを判定する。なお、書体の判定は文字コードにより和文か欧文かを判定しても良いが、使用されているフォントの種類により判定しても良い。
【0031】
行判定部17は、文書データに含まれる各々の行に対して、書体判定部16により欧文書体と判定された検査対象文字が含まれる行か否かを判定する。
【0032】
図2(a)は、和文書体の一例を示した図であり、図2(b)は、欧文書体の一例を示した図である。
【0033】
図2(a)に示すように、和文書体では、全角半角にかかわらず、上下方向において、下基準ラインL1から上基準ラインL2の間に収まるように文字が配置される。
【0034】
一方、図2(b)に示すように、下基準ラインL1および上基準ラインL2の他に、文字の下へ伸びた最下点の位置を示すディセンダラインL3と、小文字の頭を通る線をミーンラインL4とが設けられている。このように、ディセンダラインL3が設けられているので、例えば、「g」や「j」のように、下基準ラインL1をはみ出し、下基準ラインL1より下方であるディセンダラインL3まで描かれる文字もある。欧文があったとしても行間は和文に合わせることが望ましく、そのため、和文と欧文が混在する文章では、文字の高さが高くなり、各行の隙間が小さくなるため、文字の高さを基準とした行間は小さな値となる。
【0035】
そこで、行間判定部18は、行判定部17により欧文書体が含まれないと判定された行に対して取得部11により取得された行間が所定の第1行間閾値Th1以上か否かを判定する。また、行間判定部18は、行判定部17により欧文書体が含まれると判定された行に対して取得部11により取得された行間が第1行間閾値Th1より小さい第2行間閾値Th2以上か否かを判定する。このように、第2行間閾値Th2を第1行間閾値Th1より小さい値とすることにより、和文と欧文が混在する文章において、文章全体で次行との行間を同じ値にしつつ、和文書体が含まれる行の可読性を向上させる行間を取ることができる。
【0036】
図3(a)は、本発明の一実施の形態における文書評価装置1が備える表示部40に表示された表示画面の一例であり、図3(b)は、本発明の一実施の形態における文書評価装置1が備える表示部40に表示された設定画面の一例である。
【0037】
図3(a)に示すように、表示画面の判定状態表示領域D101には、文字上に囲い枠や下線、二重線などの指摘画像が重畳されて表示されている。
【0038】
また、表示画面には、D101に表示した指摘画像に対応する説明が表示され、例えば、行間が狭いことを報知するためのアラームD103と、文字数が多いことを報知するためのアラームD105とが設けられている。
【0039】
報知部14は、カウント部13によりカウントされた文字数が所定の閾値より大きい場合に、アラームD105に、文字数が多い行数を表示する。また、報知部14は、後述する行間判定部18により取得された行間が所定の第1行間閾値以上であると判定された場合、または行間判定部18により取得された行間が第2行間閾値以上と判定された場合に、アラームD103に、行間が狭い行数を報知する。
【0040】
さらに、表示画面には、設定画面に遷移するための設定ボタンD107が設けられている。ユーザは、設定ボタンD107を押下操作することにより、図3(b)に示す設定画面に遷移する。
【0041】
図3(b)は制御部10が動作する条件を設定する画面である。
【0042】
図3(b)に示すように、設定画面には、欧文書体の行間調整を入力する入力領域D202が設けられている。ユーザが欧文書体の行間調整を入力し保存操作をすることにより、入力された行間調整データは記憶部20に記憶される。
【0043】
また、設定画面には、カウント対象文字(検査対象文字)を設定するチェックボックスD201が設けられている。チェックボックスD201は、句読点、記号、スペースなどのそれぞれ選択可能に項目が設けられており、ユーザが入力部30から選択操作を行うことにより、選択された項目に対応する文字が検査対象文字として設定され、選択されなかった項目に対応する文字が非検査対象文字として設定される。
【0044】
また、設定画面には、文字のカウント方法を設定するラジオボタンD203が設けられている。ラジオボタンD203は、全角文字と半角文字とをそれぞれ何文字とカウントするかの設定であり、カウント部13はこの設定に基づいて文字数をカウントする。
【0045】
図4は、本発明の一実施の形態におけるユーザ端末1における処理内容を示したフローチャートである。
【0046】
図4に示すように、ステップS101において、取得部11は、設定値として、記憶部20に記憶された文書の文字列における文字列の1行の文字数の情報、及び文字列の行間の情報、欧文書体の行間調整の情報を取得する。図3(b)のように設定された場合、1行の文字数の情報は1~45文字、文字列の行間G=1.5、欧文書体の行間調整Gadj=10となる。
【0047】
ステップS103において、文字判定部12は、文字列に非検査対象文字を含むか否かを判定する。
【0048】
文字列に非検査対象文字を含むと判定された場合(ステップS103;YES)、ステップS105において、カウント部13は、非検査対象文字を除外して、検査対象文字と判定された文字の1行あたりの文字数をカウントする。
【0049】
一方、文字列に非検査対象文字を含まないと判定された場合(ステップS103;NO)、ステップS107において、カウント部13は、文字列の1行あたりの文字数をカウントする。
【0050】
ステップS109において、報知部14は、カウント部13によりカウントされた文字数が所定の範囲内であるか否かを判定する。所定の範囲内とは、記憶部20に記憶された文書の文字列における文字列の1行の文字数の情報である。
【0051】
ステップS109において、カウントされた文字数が所定の範囲外であると判定された場合(ステップS109;範囲外)、ステップS111において、報知部14は、文字数が適切でないことを報知する。
【0052】
ステップS113において、行判定部17は、文字判定部12により検査対象文字であると判定された文字であって、さらに欧文書体である文字が含まれる行であるか否かを判定する。
【0053】
欧文書体が含まれないと判定された場合(ステップS113;NO)、すなわち、和文書体のみである場合、ステップS121において、取得部11は、和文書体における次の行との行間GJと文字の高さMJとを取得する。
【0054】
ステップS123において、報知部14は、取得部11により取得された行間GJを文字の高さMJで除算した値GJ/MJが、所定の第1行間閾値Th1(ここでは、Th1=行間G=“1.5”)以上であるか否かを判定する。
【0055】
第1行間閾値Th1以上でないと判定された場合(ステップS123;NO)、ステップS125において、報知部14は、行間が狭いことを報知する。
【0056】
一方、欧文書体が含まれると判定された場合(ステップS113;YES)、すなわち、和文書体と欧文書体が混在しているか、または欧文書体のみである場合、ステップS115において、取得部11は、欧文書体における次の行との行間GEと文字の高さMEとを取得する。
【0057】
図5は、文字の高さと行間とを説明した図である。
【0058】
図5に示すように、和文書体における次の行との行間GJと文字の高さMJと、欧文書体における次の行との行間GEと文字の高さMEとは原稿から取得されるが、和文書体と欧文書体が混じっていても行間GJと行間GEとは同じである。しかしながら、和文書体における文字の高さMJと欧文書体における文字の高さMEとは異なる値となる。
【0059】
1.5行という行間は和文書体に対する基準であるため、欧文書体の場合は文字の高さが高い分、各行の隙間は和文よりも小さくても良い。つまり、欧文書体の場合は、行間調整で基準の1.5から少し緩和(減算)する必要がある。
【0060】
例えば、フォントサイズが8(pt)の場合、和文書体の文字高さMJは8(pt)となる。欧文書体は若干高さが増えて、例えば欧文書体の文字高さMEは8.5(pt)となる。
【0061】
これに対し、行間は8(pt)の1.5倍である12(pt)であるため、和文書体は12pt/8pt=1.5となり、欧文書体では12(pt)/8.5(pt)≒1.41となる。そのため、欧文書体に対して行間調整をしない1.5では行間が狭いと判定されてしまうため、行間調整10%を考慮して欧文書体が行間の許容範囲内となるようにする。
【0062】
そこで、このような行間調整を行うために、報知部14は、図4におけるステップS123において、取得部11により取得された行間GEを文字の高さMEで除算した値GE/MEが、所定の第2行間閾値Th2(ここでは、“Th2=行間G×(100-行間調整Gadj)×0.01”)以上であるか否かを判定する。ここで行間調整Gadjは、上述したように、図3(b)に示した設定画面から、ユーザが欧文書体の行間調整Gadjを入力し、記憶部20に記憶された値である。
【0063】
所定の第2行間閾値Th2以上でないと判定された場合(ステップS117;NO)、ステップS119において、報知部14は、行間が狭いことを報知する。
【0064】
このように、第2行間閾値Th2は第1行間閾値Th1より小さい値となるので、和文と欧文が混在する文章において、和文書体に基づいた行間の判定を行うことができる。
【0065】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0066】
(付記1)
検査対象文字に行間の調整が必要な文字が使用されているか否かを判定する文字判定部と、
前記文字判定部で前記行間の調整が必要な文字が使用されていた場合、所定の第1行間閾値を調整した第2行間閾値を用い、前記第2行間閾値に基づいて行間が適切であるかを判定する行間判定部と、
前記行間判定部において行間が適切でない場合に報知する報知部と、
を備えることを特徴とする文書評価装置。
【0067】
これにより、「g」や「j」のような和文書体の下端よりも下側にはみ出す文字が混在している場合であっても、可読性の判定を適切に行うことができる。
【0068】
(付記2)
前記文字判定部は、検査対象文字か、前記検査対象文字ではない非検査対象文字かを判定し、
前記文字判定部により前記検査対象文字と判定された文字の1行あたりの文字数をカウントするカウント部を、さらに備え、
前記報知部は、前記カウント部によりカウントされた文字数が所定の範囲から外れる場合に、文字数が範囲外であることを報知する
ことを特徴とする付記1記載の文書評価装置。
【0069】
これにより、句読点(「、」、「。」、「,」、「.」)や、記号(「/」、「@」、「\」)や、スペースなど、人間が読むことを前提としない文字(非検査対象文字)を、1行あたりの文字数としてカウントしないので、これらの文字は可読性の評価対象とならず、適切に可読性を判定することができる。
【0070】
(付記3)
前記第1行間閾値は和文書体用の閾値であり、
前記行間の調整が必要な文字とは欧文書体であり、
前記第2行間閾値は和文書体よりも小さな値になるように調整する
ことを特徴とする付記1記載の文書評価装置。
【0071】
これにより、和文書体と欧文書体が混在した文章においても、適切に行間の閾値を設定することができるので、適切に可読性を判定することができる。
【0072】
(付記4)
前記非検査対象文字とは句読点や記号やスペース文字を含む読みやすさに影響しない文字の種類であることを特徴とする付記2記載の文書評価装置。
【0073】
これにより、句読点(「、」、「。」、「,」、「.」)や、記号(「/」、「@」、「\」)や、スペースを含む人間が読むことを前提としない文字を検査の非対称とすることができるので、人間が読むことを前提とする検査対象文字を基準として適切に行間を設定することができるので、適切に可読性を判定することができる。
【0074】
(付記5)
検査対象文字に行間の調整が必要な文字が使用されているか否かを判定する文字判定ステップと、
前記文字判定ステップで前記行間の調整が必要な文字が使用されていた場合、所定の第1行間閾値を調整した第2行間閾値を用い、前記第2行間閾値に基づいて行間が適切であるかを判定する行間判定ステップと、
前記行間判定ステップにおいて行間が適切でない場合に報知する報知ステップと、
をコンピュータに実行させる文書評価プログラム。
【0075】
これにより、「g」や「j」のような和文書体の下端よりも下側にはみ出す文字が混在している場合であっても、可読性の判定を適切に行うことができる。
【0076】
(付記6)
前記文字判定ステップは、検査対象文字か、前記検査対象文字ではない非検査対象文字かを判定し、
前記文字判定ステップにより前記検査対象文字と判定された文字の1行あたりの文字数をカウントするカウントステップを、さらに前記コンピュータに実行させ、
前記報知ステップは、前記カウントステップによりカウントされた文字数が所定の範囲から外れる場合に、文字数が範囲外であることを報知する
ことを特徴とする付記5記載の文書評価プログラム。
【0077】
これにより、句読点(「、」、「。」、「,」、「.」)や、記号(「/」、「@」、「\」)や、スペースなど、人間が読むことを前提としない文字(非検査対象文字)を、1行あたりの文字数としてカウントしないので、これらの文字は可読性の評価対象とならず、適切に可読性を判定することができる。
【0078】
(付記7)
検査対象文字に行間の調整が必要な文字が使用されているか否かを判定する文字判定ステップと、
前記文字判定ステップで前記行間の調整が必要な文字が使用されていた場合、所定の第1行間閾値を調整した第2行間閾値を用い、前記第2行間閾値に基づいて行間が適切であるかを判定する行間判定ステップと、
前記行間判定ステップにおいて行間が適切でない場合に報知する報知ステップと、
を有することを特徴とする文書評価方法。
【0079】
これにより、「g」や「j」のような和文書体の下端よりも下側にはみ出す文字が混在している場合であっても、可読性の判定を適切に行うことができる。
【0080】
(付記8)
前記文字判定ステップは、検査対象文字か、前記検査対象文字ではない非検査対象文字かを判定し、
前記文字判定ステップにより前記検査対象文字と判定された文字の1行あたりの文字数をカウントするカウントステップを、さらに有し、
前記報知ステップは、前記カウントステップによりカウントされた文字数が所定の範囲から外れる場合に、文字数が範囲外であることを報知する
ことを特徴とする付記7記載の文書評価方法。
【0081】
これにより、句読点(「、」、「。」、「,」、「.」)や、記号(「/」、「@」、「\」)や、スペースなど、人間が読むことを前提としない文字(非検査対象文字)を、1行あたりの文字数としてカウントしないので、これらの文字は可読性の評価対象とならず、適切に可読性を判定することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 ユーザ端末(文書評価装置)
10 制御部
11 取得部
12 文字判定部
13 カウント部
14 報知部
16 書体判定部
17 行判定部
18 行間判定部
20 記憶部
30 入力部
40 表示部
50 インターフェース部
図1
図2
図3
図4
図5