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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082892
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
F25D29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197083
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小林 航也
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA02
3L045PA02
3L045PA04
3L045PA06
(57)【要約】
【課題】本実施形態は、基本基板の接続ポート数の制限を極力受けることなく冷蔵庫の多機能化を図ることができるようにした技術案を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る冷蔵庫は、基本基板と、複数の従属基板と、前記基本基板と複数の前記従属基板とを相互通信可能に接続する接続部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本基板と、
複数の従属基板と、
前記基本基板と複数の前記従属基板とを相互通信可能に接続する接続部と、
を備える冷蔵庫。
【請求項2】
前記接続部は、電力供給用の電源線および情報伝達用の通信線を含む請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記電源線は、前記通信線よりも太い請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記基本基板および複数の前記従属基板のうち、庫内に配置されている基板の消費電力は、庫外に配置されている基板の消費電力よりも小さい請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記基本基板は、接地電位に維持される接地電位部を備えている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記基本基板は、前記基本基板と複数の前記従属基板との間で相互通信を行う相互通信部を備え、
前記接地電位部は、前記相互通信部の周囲のうち少なくとも一部を囲んでいる請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記基本基板は、
前記基本基板と複数の前記従属基板との間で相互通信を行う相互通信部と、
前記基本基板と複数の前記従属基板との間における相互通信を阻害する信号を発生する阻害信号発生部と、
を備え、
前記接地電位部は、前記相互通信部と前記阻害信号発生部との間に設けられている請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記基本基板は、前記基本基板と複数の前記従属基板との間で相互通信を行う相互通信部を備え、
前記接地電位部は、前記相互通信部と、貯蔵室扉を回動可能に支持する支持部との間に設けられている請求項5に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には、複数種類の基板が備えられている。例えば特許文献1には、電源基板やスピーカユニット制御基板を備える冷蔵庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-138895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷蔵庫においては、例えば、使用者のタッチ操作に伴う静電容量の変化に基づき貯蔵室扉を自動的に開く自動開扉機能、外部の機器との無線通信を可能にする無線通信機能などといった各種の機能を備えることが考えられており、いわゆる冷蔵庫の多機能化が進められている。
【0005】
このような冷蔵庫の多機能化は、制御の中心を担う基本基板に、各種の機能を担う従属基板を接続して、基本基板と従属基板とを1対1の関係で相互通信させることにより実現されている。そのため、機能を増やすことに伴い基本基板に接続される従属基板の数が増加してしまい、基本基板の接続ポートが不足してしまうという問題がある。基本基板の接続ポートが不足してしまうと、それ以上、従属基板の接続数つまり機能の数を増加することができない。即ち、現状では、冷蔵庫の多機能化は、基本基板の接続ポート数の制限を受けてしまっている。
【0006】
そこで、本実施形態は、基本基板の接続ポート数の制限を極力受けることなく冷蔵庫の多機能化を図ることができるようにした技術案を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る冷蔵庫は、基本基板と、複数の従属基板と、前記基本基板と複数の前記従属基板とを相互通信可能に接続する接続部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示す正面図
図2】本実施形態に係る冷蔵庫にマスタ基板および複数のスレーブ基板が備えられていることを概念的に示す図
図3】本実施形態に係るマスタ基板および複数のスレーブ基板の接続形態の一例を概略的に示す図
図4】本実施形態に係るヒンジ部およびその周辺部分の構成例を概略的に示す斜視図
図5】本実施形態に係るマスタ基板にスペース的な余裕が生じることを概念的に示す図
図6】本実施形態に係るマスタ基板におけるグランドパターンの設置例を概略的に示す図
図7】本実施形態に係るマスタ基板の改良構成案の一例を概略的に示す図(その1)
図8】本実施形態に係るマスタ基板の改良構成案の一例を概略的に示す図(その2)
図9】本実施形態に係る冷蔵庫の改良構成案の一例を概略的に示す縦断側面図
図10】本実施形態に係るマスタ基板および複数のスレーブ基板の間における通信方式の一例を概略的に示す図
図11】本実施形態に係るマスタマイコンおよび複数のスレーブマイコンの間における通信方式の一例を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、冷蔵庫に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する冷蔵庫10は、その外郭を構成する矩形箱状の断熱箱体11の内部に複数の貯蔵室12,13,14,15,16を備えている。貯蔵室12,13,14,15,16の内部には、例えば食品類などといった各種の貯蔵物を貯蔵することが可能である。詳しい図示は省略するが、断熱箱体11は、内箱と外箱との間に断熱材を備えた構成である。断熱箱体11を構成する断熱材としては、例えば、真空断熱パネル、発泡ウレタン、断熱性材料を成形した断熱成形体など、種々の断熱材を適用することができる。
【0010】
貯蔵室12は、この場合、冷蔵温度帯に維持される冷蔵室である。以下、貯蔵室12を「冷蔵室12」と称する場合がある。貯蔵室13は、この場合、冷蔵温度帯に維持される野菜室である。以下、貯蔵室13を「野菜室13」と称する場合がある。貯蔵室14は、この場合、冷凍温度帯に維持される製氷室である。以下、貯蔵室14を「製氷室14」と称する場合がある。貯蔵室15は、この場合、冷凍温度帯に維持される小冷凍室である。以下、貯蔵室15を「小冷凍室15」と称する場合がある。貯蔵室16は、この場合、冷凍温度帯に維持される大冷凍室である。以下、貯蔵室16を「大冷凍室16」と称する場合がある。
【0011】
冷蔵室12は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も上部に設けられた貯蔵室となっている。そして、野菜室13は、この冷蔵室12の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11の上下方向における概ね中央部に位置して設けられている。そして、製氷室14と小冷凍室15は、この野菜室13の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11内において冷蔵庫10の横方向に沿って並んでいる。また、大冷凍室16は、断熱箱体11内において製氷室14および小冷凍室15の下側に設けられている。また、大冷凍室16は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も下部に設けられた貯蔵室となっている。
【0012】
冷蔵室12は、その前面に矩形状の開口部を有する。冷蔵室12の前面開口部は、左右方向に回動可能である貯蔵室扉、いわゆる観音開き式の2つの冷蔵室扉12D[L],12D[R]によって開閉されるようになっている。また、野菜室13は、その前面に矩形状の開口部を有する。野菜室13の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の野菜室扉13Dによって開閉されるようになっている。また、製氷室14は、その前面に矩形状の開口部を有する。製氷室14の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の製氷室扉14Dによって開閉されるようになっている。また、小冷凍室15は、その前面に矩形状の開口部を有する。小冷凍室15の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の小冷凍室扉15Dによって開閉されるようになっている。また、大冷凍室16は、その前面に開口部を有する。大冷凍室16の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の大冷凍室扉16Dによって開閉されるようになっている。冷蔵室扉12D[L],12D[R]、野菜室扉13D、製氷室扉14D、小冷凍室扉15D、大冷凍室扉16Dは、何れも、貯蔵室の開口部を開閉する貯蔵室扉の一例である。
【0013】
図2に例示するように、冷蔵庫10は、1つのマスタ基板100に対し複数のスレーブ基板200を備えている。マスタ基板100は、基本基板の一例であり、スレーブ基板200は、従属基板の一例である。図面においては、説明の便宜上、3つのスレーブ基板200A,200B,200Cを示しているが、スレーブ基板200の数は、1つであってもよいし、2つであってもよいし、4つ以上の複数であってもよい。また、冷蔵庫10は、1つのマスタ基板100および複数のスレーブ基板200からなる基板群を複数備える構成であってもよい。
【0014】
複数のスレーブ基板200A,200B,200Cは、1つの束線ケーブル300により同一のマスタ基板100に接続されている。束線ケーブル300は、マスタ基板100と複数のスレーブ基板200A,200B,200Cとを相互通信可能に接続する接続部の一例である。
【0015】
図3に例示するように、マスタ基板100は、マスタマイコン101、ドライバ回路102、インバータ回路103、AC-DCコンバータ104などを備えている。
【0016】
ドライバ回路102は、冷蔵庫10が備えている制御対象110の駆動を制御可能に構成されている。制御対象110は、例えば、冷蔵室扉12D[L],12D[R]を自動的に開放可能に構成されている自動開扉装置である。ドライバ回路102は、自動開扉装置のソレノイドの駆動を制御することにより、冷蔵室扉12D[L],12D[R]を自動的に開放することが可能である。なお、制御対象110は、自動開扉装置以外の駆動系の構成要素であってもよい。
【0017】
インバータ回路103は、例えば100ボルトの交流電力源である商用電源111から制御対象112への電力の供給を制御可能に構成されている。制御対象112は、例えば、圧縮機である。詳細な図示は省略するが、圧縮機は、放熱器、絞り器、冷蔵用冷却器、冷凍用冷却器などとともに周知の冷凍サイクルを構成している。この冷凍サイクルにおいて圧縮機が駆動されることにより冷媒が循環すると、冷蔵用冷却器および冷凍用冷却器において冷気が生成される。
【0018】
AC-DCコンバータ104は、商用電源111からの交流電力を直流電力に変換してマスタマイコン101およびドライバ回路102に供給可能に構成されている。
【0019】
スレーブ基板200A,200B,200Cは、それぞれ、スレーブマイコン201A,201B,201C、および、ドライバ回路202A,202B,202Cを備えている。上述したマスタ基板100のAC-DCコンバータ104は、スレーブマイコン201A,201B,201Cおよびドライバ回路202A,202B,202Cにも電力を供給可能に構成されている。ドライバ回路202A,202B,202Cは、それぞれ、冷蔵庫10が備えている制御対象210A,210B,210Cの駆動を制御可能に構成されている。
【0020】
制御対象210A,210B,210Cは、例えば、送風ファンである。ドライバ回路202A,202B,202Cは、それぞれ送風ファンのモータの駆動を制御することにより、冷凍サイクルの冷蔵用冷却器および冷凍用冷却器により生成された冷気を、それぞれ貯蔵室12,13,14,15,16内に適宜供給する。これにより、複数の貯蔵室12,13,14,15,16内の冷却が行われる。
【0021】
束線ケーブル300は、電源線301および通信線302を主体としており、この場合、電源線301および通信線302のみで構成されている。即ち、束線ケーブル300を構成する線の数は、極力少なくすることが好ましく、より好ましくは、電源線301および通信線302の2種類の線のみで構成するとよい。
【0022】
なお、束線ケーブル300は、例えば、2本の電源線301と2本の通信線302からなる合計4本の線群構成、あるいは、3本の電源線301と2本の通信線302からなる合計5本の線群構成とすることができる。但し、これらの線群構成は、あくまでも一例であり、電源線301の本数および通信線302の本数の組み合わせは、適宜変更して実施することができる。また、電源線301は、主として基板向けの例えば5ボルトの電力を供給する電源線であってもよいし、基板以外の構成要素である電装品向けの例えば12ボルトの電力を供給する電源線であってもよい。
【0023】
電源線301は、主として電力供給用の線であり、マスタ基板100のAC-DCコンバータ104と、スレーブ基板200A,200B,200Cのスレーブマイコン201A,201B,201Cおよびドライバ回路202A,202B,202Cと、の間を接続している。これにより、マスタ基板100は、複数のスレーブ基板200A,200B,200Cにも電力を供給可能に構成されている。
【0024】
通信線302は、主として情報伝達用の線であり、マスタ基板100のマスタマイコン101と、スレーブ基板200A,200B,200Cのスレーブマイコン201A,201B,201Cと、の間を接続している。これにより、マスタ基板100は、複数のスレーブ基板200A,200B,200Cとの間で相互通信可能に構成されている。
【0025】
束線ケーブル300を構成する線の数を極力少なくすることにより、束線ケーブル300全体としての径寸法を小さくすること、つまり、束線ケーブル300を細くすることができる。そのため、図4に例示するように、束線ケーブル300を、例えばヒンジ部400のパイプ401内に通しやすくすることができる。なお、ヒンジ部400は、冷蔵室扉12D[L]あるいは冷蔵室扉12D[R]を回動可能に支持する支持部の一例である。また、パイプ401の内径寸法は、例えば5ミリメートルから8ミリメートル程度である。この程度の大きさのパイプ401に対し、束線ケーブル300の径寸法は、例えばパイプ401の開口面積の60パーセント以下を占める程度の大きさとなるように設定するとよい。
【0026】
図5に例示するように、従来の構成では、冷蔵庫10が備えている多数の制御対象に対応するドライバ回路102Zを同一のマスタ基板100Zに搭載している。これに対して、本開示に係る構成例では、上述した通り、多数の制御対象に対応するドライバ回路102,202A,202B,202Cをマスタ基板100および複数のスレーブ基板200A,200B,200Cに分散して搭載している。そのため、このようなドライバ回路の分散化に伴い、マスタ基板100には、従来のマスタ基板100Zに比べ、スペースに余裕Sが生じる。
【0027】
そこで、本開示では、このようにマスタ基板100に形成されるスペースの余裕Sを活用して、例えば、マスタ基板100を接地電位に維持するためのグランドパターンを増設する構成例を提供する。次に、このようなグランドパターンの増設例について詳細に説明する。なお、図5においては、マスタ基板100にスペースの余裕Sが生じることを概念的に例示している。つまり、スペースの余裕Sは、図5において符号Sで示す位置のみに生じるものではなく、マスタ基板100内の適宜の位置に集中あるいは分散して生じるものである。
【0028】
図6に例示する構成例によれば、マスタ基板100は、さらに通信回路105およびコネクタ106を備えている。通信回路105は、相互通信部の一例であり、マスタ基板100と複数のスレーブ基板200A,200B,200Cとの間における相互通信を実行可能に構成されている。コネクタ106には、束線ケーブル300の末端部が接続される。つまり、複数のスレーブ基板200A,200B,200Cは、束線ケーブル300を介して、このコネクタ106に接続される。そして、マスタ基板100には、グランドパターン107が設けられている。グランドパターン107は、接地電位部の一例であり、マスタ基板100を接地電位に維持可能に構成されている。グランドパターン107は、例えば、マスタ基板100上に印刷された銅箔などにより構成することができる。
【0029】
この場合、グランドパターン107は、通信回路105およびコネクタ106の周囲を囲むようにして、一部が切り欠かれた概ね矩形枠状に形成されている。即ち、グランドパターン107は、通信回路105およびコネクタ106の周囲の大部分を囲んでいるが、マスタマイコン101と通信回路105との接続部分Qには形成されていない。つまり、グランドパターン107は、通信回路105およびコネクタ106の周囲のうち少なくとも一部を囲んだ構成となっている。なお、グランドパターン107は、少なくとも通信回路105の周囲を囲んでいればよく、通信回路105以外の構成要素、例えばコネクタ106を囲まないように形成してもよい。
【0030】
また、グランドパターン107の一部は、通信回路105およびコネクタ106とドライバ回路102との間に設けられている。この場合、ドライバ回路102は、その駆動に伴いノイズ、つまり、マスタ基板100と複数のスレーブ基板100A,200B,200Cとの間における相互通信を阻害する可能性がある無用な信号を発生し得る阻害信号発生部の一例として存在している。なお、グランドパターン107は、少なくとも通信回路105とドライバ回路102との間に設けられていればよく、通信回路105以外の構成要素、例えばコネクタ106とドライバ回路102との間には形成されていなくてもよい。また、グランドパターン107は、通信回路105とドライバ回路102との間以外の部分には形成されていなくてもよい。
【0031】
また、グランドパターン107の一部は、通信回路105およびコネクタ106とヒンジ部400との間に設けられている。なお、グランドパターン107は、少なくとも通信回路105とヒンジ部400との間に設けられていればよく、通信回路105以外の構成要素、例えばコネクタ106とヒンジ部400との間には形成されていなくてもよい。また、グランドパターン107は、通信回路105とヒンジ部400との間以外の部分には形成されていなくてもよい。
【0032】
また、本開示によれば、次のような改良も可能である。即ち、図7に例示するように、従来のマスタ基板100Zにおいては、概ね矩形状のマスタマイコン101Zは、その各辺部に、それぞれ所定数、この場合、25個のピンつまり接続ポートを備えている。
【0033】
これに対して、本開示によれば、上述した通り、1つの束線ケーブル300により複数のスレーブ基板200A,200B,200Cをマスタ基板100に接続可能に構成しているため、マスタマイコン101に接続する束線ケーブル300の数も削減することができる。そのため、図7において改良構成案Aとして例示するように、マスタマイコン101に設ける接続ポートの数を従来構成よりも削減することができ、さらには、マスタマイコン101自体の大きさも従来構成よりも小型化することができる。これにより、マスタ基板100のスペースに余裕Sが生じる。そのため、このようなスペースSを活用してグランドパターン107を無理なく増設することができる。
【0034】
また、本開示によれば、上述した通り、1つの束線ケーブル300により複数のスレーブ基板200A,200B,200Cをマスタ基板100に接続可能に構成しているため、マスタマイコン101に接続する束線ケーブル300の数も削減することができる。そのため、図8において改良構成案Bとして例示するように、マスタマイコン101には、束線ケーブル300が接続されない余剰接続ポートPyが生じる。そのため、グランドパターン107は、このような余剰接続ポートPyから連続するように形成してもよい。即ち、余剰接続ポートPyは、グランドパターン107に転用あるいは流用することが可能である。また、このような余剰接続ポートPyには、さらに別のスレーブ基板200を接続することも可能である。つまり、このような余剰接続ポートPyが発生することにより、さらに別の機能を冷蔵庫10に追加することも可能である。
【0035】
なお、図7および図8において符号Gaで示す構成要素は、マスタ基板100に予め設けられている既存のグランドパターンである。上述したグランドパターン107は、このような既存のグランドパターンGaに対し、新設あるいは増設されたグランドパターンとして定義することができる。また、図7および図8において符号Pgで示す構成要素は、マスタマイコン101を接地電位に維持するために使用されるグランドピンあるいはグランド用接続ポートである。
【0036】
また、本開示によれば、次のような改良も可能である。即ち、図9に例示するように、従来の構成では、冷蔵庫10Zが備えている多数の制御対象を、共通の束線ケーブル300Zを介して、庫外に設けられているマスタ基板100Zに接続している。そのため、束線ケーブル300Zの径寸法が大きくなり、つまり、束線ケーブル300Zが太くなり、このような太い束線ケーブル300Zが断熱箱体11Zの断熱壁内に配置されることで、断熱材の量が減少し断熱性能の低下を招いている。
【0037】
これに対して、本開示によれば、上述した通り、多数の制御対象に対応するドライバ回路102,202A,202B,202Cをマスタ基板100および複数のスレーブ基板200A,200B,200Cに分散して設けている。そのため、図9において改良構成案Cとして例示するように、例えば、マスタ基板100が庫外に配置され、一方、スレーブ基板200が庫内に配置され、これらマスタ基板100および複数のスレーブ基板200が従来構成よりも細い束線ケーブル300により接続された構成を実現することができる。
【0038】
これにより、断熱箱体11の断熱壁内に配置される束線ケーブル300を極力少なくすることができるので、束線ケーブル300の存在による断熱材の減少を回避することができ、従って、断熱箱体11の断熱性能の低下を抑制することができる。また、庫内に配置されているスレーブ基板200の消費電力は、庫外に配置されているマスタ基板100の消費電力よりも小さい。このような基板特性を考慮して、消費電力が比較的小さい基板つまり発熱量が少ないスレーブ基板200を庫内に配置することにより、スレーブ基板200からの発熱による庫内の温度上昇を抑制することができる。また、消費電力が比較的大きい基板つまり発熱量が多いマスタ基板100を庫外に配置することにより、マスタ基板100からの発熱による庫内の温度上昇を抑制することができる。
【0039】
なお、従来の束線ケーブル300Zを構成する線の数は、例えば30本といった2桁あるいはそれ以上の本数となっている。これに対して、本開示に係る束線ケーブル300を構成する線の数は、例えば2本から4本,5本といった1桁の本数とすることができる。
【0040】
以上に例示した冷蔵庫10の構成例によれば、1つのマスタ基板100に対し複数のスレーブ基板200A,200B,200Cが1つの束線ケーブル300により接続され、これにより、1対多の関係で相互通信可能な構成が実現されている。即ち、冷蔵庫10によれば、複数のスレーブ基板200A,200B,200Cが1つの束線ケーブル300によりマスタ基板100の1つの接続ポートに接続されている。この構成例によれば、冷蔵庫10に複数のスレーブ基板200A,200B,200Cつまり複数の機能を備えながらも、マスタ基板100に接続される束線ケーブル300の数を削減することができ、マスタ基板100の接続ポートが不足してしまうことを回避することができる。これにより、マスタ基板100に余剰接続ポートPyを発生させやすくすることができ、マスタ基板100の接続ポート数の制限を極力受けることなくスレーブ基板200の増設つまり冷蔵庫10の多機能化を図ることができる。
【0041】
冷蔵庫10によれば、電源線301は、通信線302よりも太くするとよい。この構成例によれば、例えば電源線301のインピーダンスを低下させることができ、当該電源線301からのノイズの発生を低減することができる。また、一般的に、電源線を流れる電流は、例えば2アンペア程度といった大きさであり比較的大きい。これに対して、通信線を流れる電流は、例えば10ミリアンペアといった大きさであり比較的小さい。そのため、電源線301を通信線302よりも太くした構成であっても、電源線301においては比較的大きい電流を十分に流すことができ、一方、通信線302においては比較的小さい電流を十分に流すことができる。従って、電源線301および通信線302の何れにおいても、電流の流れが悪化してしまうことを回避できる。
【0042】
冷蔵庫10によれば、上述した改良構成案Cのように構成することにより、束線ケーブル300が断熱箱体11の断熱壁を通過することに伴う断熱性能の低下を抑制することができ、また、マスタ基板100やスレーブ基板200からの発熱による庫内の温度上昇を抑制することができる。
【0043】
冷蔵庫10によれば、マスタ基板100に生じたスペース的な余裕Sを活用して、例えばグランドパターン107を設けることができる。これにより、マスタ基板100を接地電位に維持することができ、制御の安定化を図ることができる。また、このようなグランドパターン107を無理なくマスタ基板100に設けることができる。なお、マスタ基板100に生じたスペース的な余裕Sには、グランドパターン107以外の構成要素、例えば、放熱部や他の回路などを設けることも可能である。
【0044】
冷蔵庫10によれば、グランドパターン107は、少なくとも通信回路105の周囲を囲むように設けるとよい。この構成例によれば、少なくとも通信回路105に対する外部からのノイズの影響をグランドパターン107により抑制することができる。これにより、マスタ基板100と複数のスレーブ基板200A,200B,200Cとの間における相互通信を一層安定化させることができる。
【0045】
冷蔵庫10によれば、グランドパターン107は、少なくとも通信回路105とドライバ回路102との間に設けるとよい。この構成例によれば、少なくとも通信回路105に対するドライバ回路102からのノイズの影響をグランドパターン107により抑制することができる。これにより、マスタ基板100と複数のスレーブ基板200A,200B,200Cとの間における相互通信を一層安定化させることができる。
【0046】
例えば使用者のタッチ操作に伴う静電容量の変化に基づき操作を入力する静電容量式のタッチ操作部や、例えば温度センサや湿度センサなどといったセンサ類を冷蔵室扉12D[L],12D[R]に備える構成においては、これらタッチ操作部やセンサ類に接続される通信線などといった線状部材が、冷蔵室扉12D[L],12D[R]を回動可能に支持するヒンジ部400に通される場合がある。そして、このような線状部材からはノイズが発生し得る。
【0047】
そのため、冷蔵庫10によれば、グランドパターン107は、少なくとも通信回路105とヒンジ部400との間に設けるとよい。この構成例によれば、少なくとも通信回路105に対するヒンジ部400内の線状部材からのノイズの影響をグランドパターン107により抑制することができる。これにより、マスタ基板100と複数のスレーブ基板200A,200B,200Cとの間における相互通信を一層安定化させることができる。
【0048】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形や拡張を行うことができる。
【0049】
束線ケーブル300は、例えば、図10に例示するRS-485通信規格に基づく2線式マルチドロップ方式や、図11に例示するI2C通信規格に基づく方式などといった1対多の関係で相互通信を可能とする方式であれば種々の方式を採用することができる。
【0050】
図10に例示するような2線式マルチドロップ方式によれば、マスタ基板100および複数のスレーブ基板200A,200B,200Cの接続ポートRX,TXは、何れも、送信も受信も可能な接続ポートである。そして、マスタ基板100および複数のスレーブ基板200A,200B,200Cの接続ポートRX,TXは、送信および受信を兼用する兼用線L1,L2の2線により相互に接続され、これにより、マスタ基板100および複数のスレーブ基板200A,200B,200Cの間において相互通信可能な構成が実現されている。
【0051】
図11に例示するようなI2C通信規格に基づく接続方式によれば、マスタマイコン101および複数のスレーブマイコン201A,201B,201Cは、例えば、データ信号の送信および受信が可能である兼用線SDA、および、クロック信号の送信および受信が可能である兼用線SCLの2線により相互に接続され、これにより、マスタマイコン101および複数のスレーブマイコン201A,201B,201Cの間において相互通信可能な構成が実現されている。
【0052】
束線ケーブル300は、その本体部分となる線状の導体の周囲が絶縁体により覆われたケーブル、いわゆるシールドケーブルにより構成するとよい。これにより、束線ケーブル300からノイズが放出されることを絶縁体により抑制することができる。また、束線ケーブル300は、パラレル通信用ではなくシリアル通信用のケーブルを用いることが好ましい。但し、束線ケーブル300は、パラレル通信用のケーブルであってもよい。
【0053】
マスタ基板100は、冷蔵庫10が備えている全てのスレーブ基板200と相互通信可能に接続されていてもよいし、冷蔵庫10が備えている複数のスレーブ基板200のうち少なくとも何れか1つのスレーブ基板200と相互通信可能に接続されていてもよい。
【0054】
以上、本発明に係る一実施形態を説明したが、この実施形態は、あくまでも一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
図面において、10は冷蔵庫、100はマスタ基板(基本基板、消費電力が大きい基板)、102はドライバ回路(阻害信号発生部)、105は通信回路(相互通信部)、107はグランドパターン(接地電位部)、200(200A,200B,200C)はスレーブ基板(従属基板、消費電力が小さい基板)、300は束線ケーブル(接続部)、301は電源線、302は通信線、400はヒンジ部(支持部)を示す。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11