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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082915
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】バルサルタンの中間体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 253/30 20060101AFI20240613BHJP
   C07C 255/56 20060101ALI20240613BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240613BHJP
【FI】
C07C253/30
C07C255/56
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197121
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】521518574
【氏名又は名称】株式会社altFlow
(71)【出願人】
【識別番号】521540793
【氏名又は名称】株式会社中化学日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】永木 愛一郎
(72)【発明者】
【氏名】芦刈 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】前川 圭
(72)【発明者】
【氏名】井上 朋也
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC24
4H006BA25
4H006BA53
4H006BC10
4H006BC18
4H006BC33
4H006BD81
4H006BD84
4H006QN30
4H039CA41
4H039CD20
(57)【要約】
【課題】効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】o-ブロモベンゾニトリルと、nBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、前記工程2で得られた化合物と、メタノール水溶液と、を第3のマイクロミキサーに導入する工程3と、前記工程3で得られた化合物と、4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒と、を第4のマイクロミキサーに導入する工程4と、を含み、前記メタノール水溶液における、水とメタノールの比率(水/メタノール)が、86/14(v/v)以上98/2(v/v)以下であることを特徴とするバルサルタンの中間体の製造方法である。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
o-ブロモベンゾニトリルと、nBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、
前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、
前記工程2で得られた化合物と、メタノール水溶液と、を第3のマイクロミキサーに導入する工程3と、
前記工程3で得られた化合物と、4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒と、を第4のマイクロミキサーに導入する工程4と、を含み、
前記メタノール水溶液における、水とメタノールの比率(水/メタノール)が、86/14(v/v)以上98/2(v/v)以下であることを特徴とするバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項2】
前記工程1及び前記工程2が-20℃以上で行われる、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項3】
前記工程3及び前記工程4が50℃以下で行われる、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項4】
前記工程1において、前記o-ブロモベンゾニトリルの導入速度が5mL/分以上である、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項5】
前記工程1において、前記nBuLiの導入速度が1mL/分以上である、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項6】
前記工程2において、前記ボロン酸エステル化合物の導入速度が1mL/分以上である、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項7】
前記工程3において、前記メタノール水溶液の導入速度が1mL/分以上である、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項8】
前記工程4において、前記4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒の導入速度が2mL/分以上である、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項9】
前記第1のマイクロミキサーの平均内径及び前記第2のマイクロミキサーの平均内径が250μm以上である、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項10】
前記第3のマイクロミキサーの平均内径及び前記第4のマイクロミキサーの平均内径が500μm以上である、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項11】
前記工程4の後に、長さ500cm以上のチューブリアクターを経由する、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【請求項12】
前記バルサルタンの中間体の収率が90%以上である、請求項1から11のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルサルタンの中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フローマイクロリアクターシステムを用いて、有機リチウム反応によりボロン酸エステルを調製し、さらに、鈴木-宮浦クロスカップリングにより、バルサルタンの中間体などの、ビアリール化合物が得られることが報告されている(非特許文献1)。
しかしながら、この方法での、バルサルタンの中間体の収率は、60%程度であり、効率的な方法であるとはいえない。
【0003】
したがって、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する方法は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chem. Commun. 2012 48:11211-11213
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、o-ブロモベンゾニトリルと、nBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、前記工程2で得られた化合物と、メタノール水溶液と、を第3のマイクロミキサーに導入する工程3と、前記工程3で得られた化合物と、4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒と、を第4のマイクロミキサーに導入する工程4と、を含み、前記メタノール水溶液における、水とメタノールの比率(水/メタノール)が、86/14(v/v)以上98/2(v/v)以下であることを特徴とするバルサルタンの中間体の製造方法により、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する方法が提供できることを知見した。
【0007】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下のとおりである。即ち、
<1> o-ブロモベンゾニトリルと、nBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、前記工程2で得られた化合物と、メタノール水溶液と、を第3のマイクロミキサーに導入する工程3と、前記工程3で得られた化合物と、4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒と、を第4のマイクロミキサーに導入する工程4と、を含み、前記メタノール水溶液における、水とメタノールの比率(水/メタノール)が、86/14(v/v)以上98/2(v/v)以下であることを特徴とするバルサルタンの中間体の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の製造方法の一例に用いるフローマイクロリアクターの概略図である。
図2図2は、製造例1で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図3図3は、製造例2で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図4図4は、製造例3で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図5図5は、製造例4で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図6図6は、製造例5で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図7図7は、製造例6で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図8図8は、製造例7で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図9図9は、比較例1で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
図10図10は、実施例1で使用したマイクロリアクターシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(バルサルタンの中間体の製造方法)
前記バルサルタンの中間体の製造方法は、工程1と、工程2と、工程3と、工程4と、を含み、さらに、その他の工程を含むことができる。
【0011】
前記バルサルタンは、アンジオテンシンII受容体拮抗薬の1つであり、降圧剤として使用される。
【0012】
<工程1>
前記工程1は、o-ブロモベンゾニトリルと、nBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程である。
【0013】
-o-ブロモベンゾニトリル-
前記o-ブロモベンゾニトリルは、2-ブロモベンゾニトリル、又は2BBNとも表記する。
【0014】
前記o-ブロモベンゾニトリルの濃度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.01M以上が好ましく、0.05M以上がより好ましく、0.1M以上がさらに好ましい。
【0015】
前記o-ブロモベンゾニトリルの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、5M以下が好ましく、3M以下がより好ましく、1M以下がさらに好ましく、0.5M以下が特に好ましく、0.2M以下が最も好ましい。
【0016】
前記o-ブロモベンゾニトリルの溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、テトラヒドロフラン(THF)が好ましい。
【0017】
-nBuLi-
前記nBuLiは、n-ブチルリチウム、n-BuLi、又はノルマルブチルリチウムとも表記する。
【0018】
前記nBuLiの濃度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.01M以上が好ましく、0.1M以上がより好ましく、0.2M以上がさらに好ましく、0.3M以上が特に好ましく、0.4M以上が最も好ましい。
前記nBuLiの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、5M以下が好ましく、3M以下がより好ましく、1M以下がさらに好ましく、0.5M以下が特に好ましい。
【0019】
前記nBuLiの溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヘキサンが好ましい。
【0020】
-第1のマイクロミキサー-
前記第1のマイクロミキサーとしては、マイクロリアクター(以下、「フローマイクロリアクター」又は「フロー反応器」と称することがある)におけるマイクロミキサー(以下、「混合手段」と称することがある)である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、下記のマイクロリアクターにおける、基板型のマイクロミキサー、又は管継手型のマイクロミキサーであってもよい。
【0021】
-マイクロリアクター-
前記マイクロリアクターとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混合手段と、流通路とを備え、更に必要に応じてその他の手段を備えるマイクロリアクターなどが挙げられる。
前記混合手段と前記流通路とは、一体型であってもよいし、別体型であってもよい。
【0022】
前記混合手段は、2種以上の液体を混合可能な手段である。
前記流通路は、液体を流通可能な管である。前記流通路は、少なくとも1つの前記混合手段と接続される。
【0023】
前記フローマイクロリアクターを用いることで、安定性の低い化合物について、生成から次の反応までの滞留時間を短時間にし、副反応を抑制することができる。
また、前記フローマイクロリアクターは、冷却効率が優れるため、発熱反応における発熱による副反応を抑制することができる。
【0024】
--一体型のフローマイクロリアクター--
前記一体型のフローマイクロリアクターの前記混合手段及び前記流通路としては、基板型のマイクロミキサーなどが挙げられる。
【0025】
前記基板型のマイクロミキサーは、内部又は表面に通路が形成された基板からなり、マイクロチャンネルと称される場合がある。
前記基板型のマイクロミキサーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、国際公開第96/30113号パンフレットに記載される混合のための微細な流路を有するミキサー;文献「“マイクロリアクターズ”三章、W.Ehrfeld、V.Hessel、H.Lowe著、Wiley-VCH社刊」に記載されるミキサーなどが挙げられる。
【0026】
前記基板型のマイクロミキサーは、前記混合手段及び前記流通路が、複数の液体を混合可能な微小な流路により構成されている。
【0027】
前記基板型のマイクロミキサーには、前記流路以外に、前記流路に連通し、前記流路に複数の液体を導入する導入路が形成されていることが好ましい。即ち、前記導入路の数に応じて、前記流路の上流側が分岐した構成が好ましい。
【0028】
前記導入路の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、混合を所望する複数の液体を別々の導入路から導入し、流路で合流させて混合することが好ましい。なお、1つの液体を予め流路に仕込んでおき、それ以外の液体を導入路により導入する構成としてもよい。
【0029】
--別体型のフローマイクロリアクター--
前記別体型のフローマイクロリアクターは、混合手段と、流通路とが接続してなる。
【0030】
前記混合手段としては、2種以上の液体を混合可能な限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、管継手型のマイクロミキサーなどが挙げられる。
【0031】
前記管継手型のマイクロミキサーは、内部に形成された流路を備え、必要に応じて前記内部に形成された流路と、前記流通路とを接続する接続部材を備える。前記接続部材における接続方式としては、特に制限はなく、公知の接続方式の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ねじ込み式、ユニオン式、突合わせ溶接式、差込み溶接式、ソケット溶接式、フランジ式、食込み式、フレア式、メカニカル式などが挙げられる。
【0032】
前記管継手型のマイクロミキサーの内部には、前記流路以外に、前記流路に連通し、前記流路に複数の液体を導入する導入路が形成されていることが好ましい。即ち、前記導入路の数に応じて、前記流路の上流側が分岐された構成が好ましい。前記導入路の数が2つである場合には、前記管継手型のマイクロミキサーとして、例えば、T字型やY字型を用いることができ、前記導入路の数が3つである場合には、例えば、十字型を用いることができる。なお、1つの液体を予め流路に仕込んでおき、それ以外の液体を導入路により導入する構成としてもよい。
【0033】
前記管継手型のマイクロミキサーの材質としては、特に制限はなく、耐熱性、耐圧性、耐溶剤性、及び加工容易性などの要求に応じて、適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、及びテフロン(登録商標)、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)などのフッ素樹脂、TFAA(トリフルオロアセトアミド)などが挙げられる。
【0034】
前記管継手型のマイクロミキサーとしては、市販品を利用することができ、例えば、アズビル株式会社製YM-1型ミキサー、YM-2型ミキサー;島津GLC社製ミキシングティー及びティー(T字コネクタ);東レエンジニアリング開発品マイクロ・ハイ・ミキサー;スウェージロック社製ユニオンティー、株式会社三幸精機工業製T字型マイクロミキサーなどが挙げられる。
【0035】
前記混合手段内での2以上の原料物質の混合方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層流による混合、乱流による混合などが挙げられる。中でも、より効率的に反応制御や除熱を行える点で、層流による混合(静的混合)が好ましい。
【0036】
なお、前記混合手段内の流路は微小であるため、混合手段に導入された複数の液体同士はおのずと層流支配の流れとなりやすく、流れに直交する方向に拡散して混合される。層流による混合において、さらに、流路内に分岐点及び合流点を設けることで、流れる液体の層流断面を分割するような構成とし、混合速度を高める構成としてもよい。
また、前記混合手段の流路において、乱流による混合(動的混合)を行う場合には、流量や流路の形状(接液部分の3次元形状や流路の屈曲などの形状、壁面の粗さ、など)を調整することによって、層流から乱流へと変化させることができる。前記乱流による混合は、前記層流による混合と比べて、混合効率がよく混合速度が速いという利点を有する。
【0037】
ここで、前記混合手段内の前記流路の内径が小さい方が、分子の拡散距離を短くできるので、混合に要する時間を短縮させて混合効率を向上させることができる。さらに、前記流路の内径が小さい方が、体積に対する表面積の比が大きくなり、例えば、反応熱の除熱などの、液体の温度制御を容易に行うことができる。
一方で、前記流路の内径が小さ過ぎると、液体を流す時の圧力損失が増加するとともに、送液に使用するポンプとして特別な高耐圧のものが必要となるため、製造コストが高くなることがある。また、送液流量が制限されることにより、前記マイクロミキサーの構造も制限されることがある。
【0038】
前記流路の断面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100μm以上16mm以下が好ましく、1,000μm以上4.0mm以下がより好ましく、10,000μm以上2.1mm以下がさらに好ましく、190,000μm以上1mm以下が特に好ましい。
【0039】
前記流路の断面形状としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、矩形、半円形、三角形などが挙げられる。
【0040】
前記流通路は、少なくとも1つの前記混合手段と接続され、液体を流通可能な管であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その内径、外径、長さ、材質などの構成は、所望する反応に応じて適宜選択することができる。
【0041】
前記流通路は、例えば、原料物質を混合手段に供給する際に使用される。
また、前記流通路は、例えば、前記混合手段によって混合された2種以上の物質の反応生成物を、次の混合手段に供給する際に使用される。なお、この際、前記流通路内では反応が継続して起きていてもよい。
【0042】
前記流通路としては、市販品を利用することができ、例えば、ジーエルサイエンス株式会社製のステンレスチューブ(外径1/16インチ(1.58mm)、内径250μm、500μm及び1,000μmから選択可能、チューブ長さは使用者により調整可能)などが挙げられる。
【0043】
前記流通路の材質としては、特に制限はなく、前記混合手段の材質として例示したものを、好適に利用することができる。
【0044】
前記混合手段の上流に連結される前記流通路の平均内径(チューブ予冷ユニット:クーリングラインの平均内径)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、送液時の圧力損失を低減する点から、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上がさらに好ましく、500μm以上が特に好ましく、1000μm以上が最も好ましい。
【0045】
前記混合手段の上流に連結される前記流通路の平均内径(チューブ予冷ユニット:クーリングラインの平均内径)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0046】
前記混合手段の下流に連結される前記流通路の平均内径(マイクロチューブリアクターの平均内径)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、送液時の圧力損失を低減する点から、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上がさらに好ましく、500μm以上が特に好ましく、1000μm以上が最も好ましい。
【0047】
前記混合手段の下流に連結される前記流通路の平均内径(マイクロチューブリアクターの平均内径)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0048】
--その他の手段--
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、送液手段、温度調節手段などが挙げられる。
【0049】
前記送液手段としては、各種原料物質を、前記フローマイクロリアクターの前記流通路に供給できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポンプなどが挙げられる。
【0050】
前記ポンプとしては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、送液時に脈動を生じないものが好ましく、例えば、シリンジポンプ、プランジャーポンプ、ギアーポンプ、ロータリーポンプ、ダイアフラムポンプなどが挙げられる。
【0051】
前記温度調節手段としては、前記フローマイクロリアクターの前記混合手段、及び前記流路の温度を調節できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
前記第1のマイクロミキサーの平均内径(前記混合手段内の前記流路の平均内径)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、より迅速に混合でき、より効率的に反応熱を除熱でき、送液時の圧力損失を低減する点から、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上がさらに好ましく、500μm以上が特に好ましい。
【0053】
前記第1のマイクロミキサーの平均内径(前記混合手段内の前記流路の平均内径)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0054】
前記第1のマイクロミキサーの平均内径が50μm未満であると、圧力損失が増大することがある。前記平均内径が4mmを超えると、単位体積当たりの表面積が小さくなり、その結果、迅速な混合や反応熱の除熱が困難になることがある。
【0055】
原材料(o-ブロモベンゾニトリル)を供給する前記流通路(前記第1のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、1mL/分以上が好ましく、2.5mL/分以上がより好ましく、5mL/分以上がさらに好ましく、6mL/分以上が特に好ましい。
【0056】
原材料(o-ブロモベンゾニトリル)を供給する前記流通路(前記第1のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300mL/分以下が好ましく、100mL/分以下がより好ましく、50mL/分以下がさらに好ましく、10mL/分以下が特に好ましい。
【0057】
原材料(nBuLi)を供給する前記流通路(前記第1のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.5mL/分以上が好ましく、1mL/分以上がより好ましく、1.5mL/分以上がさらに好ましい。
【0058】
原材料(nBuLi)を供給する前記流通路(前記第1のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、75mL/分以下が好ましく、50mL/分以下がより好ましく、10mL/分以下がさらに好ましく、5mL/分以下が特に好ましく、2mL/分以下が最も好ましい。
【0059】
反応液が流通する流通路(前記第1のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路)における前記反応液の滞留時間の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、転化率を高くする点から、0.01秒間以上が好ましく、0.1秒間以上がより好ましく、1秒間以上がさらに好ましく、3秒間以上が特に好ましい。
【0060】
反応液が流通する流通路(前記第1のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路)における前記反応液の滞留時間の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制し、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、10秒間以下が好ましく、5秒間以下がより好ましい。
【0061】
前記滞留時間は、前記マイクロチューブリアクターの長さと平均内径を調節することにより、上記範囲とすることができる。
【0062】
前記第1のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40cm以上が好ましく、60cm以上がより好ましく、80cm以上がさらに好ましく、100cm以上が特に好ましい。
【0063】
前記第1のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300cm以下が好ましく、280cm以下がより好ましく、250cm以下がさらに好ましく、230cm以下が特に好ましい。
【0064】
前記第1のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路(前記工程1の後に、経由するチューブリアクター)の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5cm以上が好ましく、10cm以上がより好ましく、15cm以上がさらに好ましく、20cm以上が特に好ましく、50cm以上が最も好ましい。
【0065】
前記第1のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路(前記工程1の後に、経由するチューブリアクター)の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300cm以下が好ましく、280cm以下がより好ましく、250cm以下がさらに好ましく、230cm以下が特に好ましい。
【0066】
前記工程1の反応温度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、冷却負荷を軽減する点から、-70℃以上が好ましく、-40℃以上がより好ましく、-20℃以上がさらに好ましい。
【0067】
前記工程1の反応温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましく、5℃以下が特に好ましい。
【0068】
前記o-ブロモベンゾニトリルに対する、前記nBuLiの量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.7モル当量以上が好ましく、0.8モル当量以上がより好ましく、0.9モル当量以上がさらに好ましく、1モル当量以上が特に好ましい。
【0069】
前記o-ブロモベンゾニトリルに対する、前記nBuLiの量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、試薬を節減する点から、3モル当量以下が好ましい。
【0070】
<工程2>
前記工程2は、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程である。
【0071】
-工程1で得られた化合物-
前記工程1で得られた化合物とは、前記o-ブロモベンゾニトリルと、前記nBuLiと、を前記第1のマイクロミキサーで混合して得られた化合物である。
前記o-ブロモベンゾニトリルと、前記nBuLiと、を前記第1のマイクロミキサーで混合して得られた化合物としては、o-シアノフェニルリチウムなどが挙げられる。
【0072】
-ボロン酸エステル化合物-
前記ボロン酸エステル化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、イソプロポキシボロン酸ピナコールエステル、又はホウ酸トリイソプロピルが好ましく、ホウ酸トリイソプロピルがより好ましい。
【0073】
前記ボロン酸エステル化合物の濃度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.1M以上が好ましく、0.2M以上がより好ましく、0.3M以上がさらに好ましく、0.4M以上が特に好ましい。
前記ボロン酸エステル化合物の濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、10M以下が好ましく、5M以下がより好ましく、1M以下がさらに好ましく、0.5M以下が特に好ましい。
【0074】
前記ボロン酸エステル化合物の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、テトラヒドロフラン(THF)が好ましい。
【0075】
-第2のマイクロミキサー-
前記第2のマイクロミキサーとしては、マイクロリアクター(以下、「フローマイクロリアクター」又は「フロー反応器」と称することがある)における混合手段である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、下記のマイクロリアクターにおける、基板型のマイクロミキサー、又は管継手型のマイクロミキサーであってもよい。
前記マイクロリアクターは、前述の第1のマイクロミキサーにおいて記載したとおりである。
【0076】
前記第2のマイクロミキサーの平均内径(前記混合手段内の前記流路の平均内径)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、より迅速に混合でき、より効率的に反応熱を除熱でき、送液時の圧力損失を低減する点から、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上がさらに好ましく、500μm以上が特に好ましい。
【0077】
前記第2のマイクロミキサーの平均内径(前記混合手段内の前記流路の平均内径)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0078】
前記第2のマイクロミキサーの平均内径が50μm未満であると、圧力損失が増大することがある。前記平均内径が4mmを超えると、単位体積当たりの表面積が小さくなり、その結果、迅速な混合や反応熱の除熱が困難になることがある。
【0079】
原材料(ボロン酸エステル化合物)を供給する前記流通路(前記第2のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.5mL/分以上が好ましく、1mL/分以上がより好ましく、1.5mL/分以上がさらに好ましい。
【0080】
原材料(ボロン酸エステル化合物)を供給する前記流通路(前記第2のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、75mL/分以下が好ましく、50mL/分以下がより好ましく、10mL/分以下がさらに好ましく、5mL/分以下が特に好ましく、2mL/分以下が最も好ましい。
【0081】
反応液が流通する流通路(前記第2のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路)における前記反応液の滞留時間の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、転化率を高くする点から、0.01秒間以上が好ましく、0.1秒間以上がより好ましく、1秒間以上がさらに好ましく、3秒間以上が特に好ましく、5秒間以上が最も好ましい。
【0082】
反応液が流通する流通路(前記第2のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路)における前記反応液の滞留時間の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制し、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、20秒間以下が好ましく、10秒間以下がより好ましく、7.5秒間以下がさらに好ましい。
【0083】
前記滞留時間は、前記マイクロチューブリアクターの長さと平均内径を調節することにより、上記範囲とすることができる。
【0084】
前記第2のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40cm以上が好ましく、60cm以上がより好ましく、80cm以上がさらに好ましく、100cm以上が特に好ましい。
【0085】
前記第2のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300cm以下が好ましく、280cm以下がより好ましく、250cm以下がさらに好ましく、230cm以下が特に好ましい。
【0086】
前記第2のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路(前記工程2の後に、経由するチューブリアクター)の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5cm以上が好ましく、10cm以上がより好ましく、15cm以上がさらに好ましく、20cm以上がよりさらに好ましく、50cm以上が特に好ましく、100cm以上が最も好ましい。
【0087】
前記第2のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路(前記工程2の後に、経由するチューブリアクター)の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300cm以下が好ましく、280cm以下がより好ましく、250cm以下がさらに好ましく、230cm以下が特に好ましい。
【0088】
前記工程2の反応温度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、冷却負荷を軽減する点から、-70℃以上が好ましく、-40℃以上がより好ましく、-20℃以上がさらに好ましい。
【0089】
前記工程2の反応温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましく、5℃以下が特に好ましい。
【0090】
前記o-ブロモベンゾニトリルに対する、前記ボロン酸エステル化合物の量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.9モル当量以上が好ましく、1.0モル当量以上がより好ましく、1.1モル当量以上がさらに好ましく、1.2モル当量以上が特に好ましい。
【0091】
前記o-ブロモベンゾニトリルに対する、前記ボロン酸エステル化合物の量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、試薬を節減する点から、3モル当量以下が好ましい。
【0092】
<工程3>
前記工程3は、前記工程2で得られた化合物と、メタノール水溶液と、を第3のマイクロミキサーに導入する工程である。
【0093】
-工程2で得られた化合物-
前記工程2で得られた化合物とは、前記工程1で得られた化合物と、前記ボロン酸エステル化合物と、を前記第2のマイクロミキサーで混合して得られた化合物である。
前記工程1で得られた化合物と、前記ボロン酸エステル化合物と、を前記第2のマイクロミキサーで混合して得られた化合物としては、o-シアノフェニルボラートなどが挙げられる。具体的には、下記の構造式1で表される化合物などが挙げられる。
【化1】
【0094】
-メタノール水溶液-
前記メタノール水溶液としては、水とメタノールを含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記メタノール水溶液における、水とメタノールの比率(水/メタノール)としては、86/14(v/v)以上98/2(v/v)以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、86/14(v/v)以上94/6(v/v)以下が好ましく、86/14(v/v)以上93/7(v/v)以下がより好ましく、86/14(v/v)以上92/8(v/v)以下がさらに好ましく、87/13(v/v)以上91/9(v/v)以下が特に好ましい。
前記メタノール水溶液は、添加剤として使用することができる。
【0095】
前記メタノール水溶液の、前記フローマイクロリアクターシステム系内における濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、5%(v/v)以上20%(v/v)以下が好ましく、5%(v/v)以上15%(v/v)以下がより好ましく、7.5%(v/v)以上12.5%(v/v)以下がさらに好ましい。
【0096】
-第3のマイクロミキサー-
前記第3のマイクロミキサーとしては、マイクロリアクター(以下、「フローマイクロリアクター」又は「フロー反応器」と称することがある)における混合手段である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、下記のマイクロリアクターにおける、基板型のマイクロミキサー、又は管継手型のマイクロミキサーであってもよい。
前記マイクロリアクターは、前述の第1のマイクロミキサーにおいて記載したとおりである。
【0097】
前記第3のマイクロミキサーの平均内径(前記混合手段内の前記流路の平均内径)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、より迅速に混合でき、より効率的に反応熱を除熱でき、送液時の圧力損失を低減する点から、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上がさらに好ましく、500μm以上がよりさらに好ましく、750μm以上が特に好ましく、1000μm以上が最も好ましい。
【0098】
前記第3のマイクロミキサーの平均内径(前記混合手段内の前記流路の平均内径)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0099】
前記第3のマイクロミキサーの平均内径が50μm未満であると、圧力損失が増大することがある。前記平均内径が4mmを超えると、単位体積当たりの表面積が小さくなり、その結果、迅速な混合が困難になることがある。
【0100】
原材料(メタノール水溶液)を供給する前記流通路(前記第3のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.5mL/分以上が好ましく、1mL/分以上がより好ましく、1.25mL/分以上がさらに好ましい。
【0101】
原材料(メタノール水溶液)を供給する前記流通路(前記第3のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、75mL/分以下が好ましく、50mL/分以下がより好ましく、10mL/分以下がさらに好ましく、5mL/分以下が特に好ましく、2mL/分以下が最も好ましい。
【0102】
反応液が流通する流通路(前記第3のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路)における前記反応液の滞留時間の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、転化率を高くする点から、0.01秒間以上が好ましく、0.1秒間以上がより好ましく、0.15秒間以上がさらに好ましい。
【0103】
反応液が流通する流通路(前記第3のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路)における前記反応液の滞留時間の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制し、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、20秒間以下が好ましく、10秒間以下がより好ましく、5秒間以下がさらに好ましく、1秒間以下が特に好ましく、0.5秒間以下が最も好ましい。
【0104】
前記滞留時間は、前記マイクロチューブリアクターの長さと平均内径を調節することにより、上記範囲とすることができる。
【0105】
前記第3のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40cm以上が好ましく、60cm以上がより好ましく、80cm以上がさらに好ましく、100cm以上が特に好ましい。
【0106】
前記第3のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300cm以下が好ましく、280cm以下がより好ましく、250cm以下がさらに好ましく、230cm以下が特に好ましい。
【0107】
前記第3のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路(前記工程3の後に、経由するチューブリアクター)の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1cm以上が好ましく、2cm以上がより好ましく、3cm以上がさらに好ましい。
【0108】
前記第3のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路(前記工程3の後に、経由するチューブリアクター)の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300cm以下が好ましく、100cm以下がより好ましく、50cm以下がさらに好ましく、10cm以下が特に好ましく、5cm以下が最も好ましい。
【0109】
前記工程3の反応温度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましく、50℃以上が特に好ましい。
【0110】
前記工程3の反応温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。
【0111】
<工程4>
前記工程4は、前記工程3で得られた化合物と、4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒と、を第4のマイクロミキサーに導入する工程である。
【0112】
-工程3で得られた化合物-
前記工程3で得られた化合物とは、前記工程2で得られた化合物と、前記メタノール水溶液と、を前記第3のマイクロミキサーで混合して得られた化合物である。
前記工程2で得られた化合物と、前記メタノール水溶液と、を前記第3のマイクロミキサーで混合して得られた化合物としては、o-シアノフェニルボラートなどが挙げられる。
【0113】
-4-ブロモベンズアルデヒド-
前記4-ブロモベンズアルデヒドの濃度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.01M以上が好ましく、0.05M以上がより好ましく、0.1M以上がさらに好ましい。
前記4-ブロモベンズアルデヒドの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制する点から、10M以下が好ましく、5M以下がより好ましく、1M以下がさらに好ましく、0.5M以下が特に好ましく、0.2M以下が最も好ましい。
【0114】
前記4-ブロモベンズアルデヒドの溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、テトラヒドロフラン(THF)が好ましい。
【0115】
-触媒-
前記触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、パラジウム触媒が好ましく、ビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)がより好ましい。
【0116】
前記触媒の、前記4-ブロモベンズアルデヒドに対する濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、1モル%以上20モル%以下が好ましく、5モル%以上15モル%以下がより好ましく、7.5モル%以上12.5モル%以下がさらに好ましい。
【0117】
-第4のマイクロミキサー-
前記第4のマイクロミキサーとしては、マイクロリアクター(以下、「フローマイクロリアクター」又は「フロー反応器」と称することがある)における混合手段である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、下記のマイクロリアクターにおける、基板型のマイクロミキサー、又は管継手型のマイクロミキサーであってもよい。
前記マイクロリアクターは、前述の第1のマイクロミキサーにおいて記載したとおりである。
【0118】
前記第4のマイクロミキサーの平均内径(前記混合手段内の前記流路の平均内径)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、より迅速に混合でき、より効率的に反応熱を除熱でき、送液時の圧力損失を低減する点から、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上がさらに好ましく、500μm以上がよりさらに好ましく、750μm以上が特に好ましく、1000μm以上が最も好ましい。
【0119】
前記第4のマイクロミキサーの平均内径(前記混合手段内の前記流路の平均内径)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0120】
前記第4のマイクロミキサーの平均内径が50μm未満であると、圧力損失が増大することがある。前記平均内径が4mmを超えると、単位体積当たりの表面積が小さくなり、その結果、迅速な混合や反応熱の除熱が困難になることがある。
【0121】
原材料(4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒)を供給する前記流通路(前記第4のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.5mL/分以上が好ましく、1mL/分以上がより好ましく、2mL/分以上がさらに好ましく、3mL/分以上が特に好ましい。
【0122】
原材料(4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒)を供給する前記流通路(前記第4のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路)における液の流量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、75mL/分以下が好ましく、50mL/分以下がより好ましく、10mL/分以下がさらに好ましく、5mL/分以下が特に好ましい。
【0123】
反応液が流通する流通路(前記第4のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路)における前記反応液の滞留時間の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、転化率を高くする点から、0.1秒間以上が好ましく、1秒間以上がより好ましく、10秒間以上がさらに好ましく、50秒間以上がよりさらに好ましく、100秒間以上が特に好ましく、130秒間以上が最も好ましい。
【0124】
反応液が流通する流通路(前記第4のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路)における前記反応液の滞留時間の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副反応を抑制し、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、500秒間以下が好ましく、200秒間以下がより好ましく、150秒間以下がさらに好ましい。
【0125】
前記滞留時間は、前記マイクロチューブリアクターの長さと平均内径を調節することにより、上記範囲とすることができる。
【0126】
前記第4のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1cm以上が好ましく、3cm以上がより好ましく、5cm以上がさらに好ましく、10cm以上が特に好ましく、12.5cm以上が最も好ましい。
【0127】
前記第4のマイクロミキサーの上流に連結される前記流通路の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200cm以下が好ましく、100cm以下がより好ましく、50cm以下がさらに好ましく、30cm以下が特に好ましく、20cm以下が最も好ましい。
【0128】
前記第4のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路(前記工程4の後に、経由するチューブリアクター)の長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、10cm以上が好ましく、100cm以上がより好ましく、300cm以上がさらに好ましく、500cm以上がよりさらに好ましく、750cm以上が特に好ましく、800cm以上が最も好ましい。
【0129】
前記第4のマイクロミキサーの下流に連結される前記流通路(前記工程4の後に、経由するチューブリアクター)の長さの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3000cm以下が好ましく、2000cm以下がより好ましく、1500cm以下がさらに好ましく、1000cm以下が特に好ましく、900cm以下が最も好ましい。
【0130】
前記工程4の反応温度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましく、50℃以上が特に好ましい。
【0131】
前記工程4の反応温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。
【0132】
前記o-ブロモベンゾニトリルに対する、前記4-ブロモベンズアルデヒドの量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率よく簡易に、バルサルタンの中間体を製造する点から、0.2モル当量以上が好ましく、0.3モル当量以上がより好ましく、0.4モル当量以上がさらに好ましい。
【0133】
前記o-ブロモベンゾニトリルに対する、前記4-ブロモベンズアルデヒドの量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、試薬を節減する点から、5モル当量以下が好ましく、2モル当量以下がより好ましく、1.2モル当量以下がさらに好ましく、0.6モル当量以下が特に好ましい。
【0134】
前記バルサルタンの中間体の製造方法における、バルサルタンの中間体の収率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上がよりさらに好ましく、85%以上が特に好ましく、90%以上が最も好ましい。
前記収率は、以下のとおり、GC分析により決定する。
【0135】
(GC分析)
Restek Rtx-200カラムを搭載したSHIMAZU GC-2014を使用して実施し、化合物はFIDによって検出する。
収率については、内部標準溶液を分析して作成した検量線を用いて定量後、下記の式1で算出する。
【数1】
【0136】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、工程4の後のクエンチ工程などが挙げられる。
【0137】
-工程4の後のクエンチ工程-
前記工程4の後のクエンチ工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸又は飽和塩化アンモニウムを添加する方法などが挙げられる。これらの中でも、飽和塩化アンモニウムが好ましい。
【0138】
(バルサルタンの中間体)
前記バルサルタンの中間体は、上述のバルサルタンの中間体の製造方法により製造される。
【0139】
前記バルサルタンの中間体の構造式としては、下記の構造式2で表される化合物などが挙げられる。
【化2】
【0140】
ここで、前記バルサルタンの中間体の製造方法に好適に使用されるフローマイクロリアクター及びそれを用いたバルサルタンの中間体の製造方法の一例を図を用いて説明する。
【0141】
図1は、フローマイクロリアクターの一例を示す模式図である。
図1に示すフローマイクロリアクターは、4つの混合手段と、9つの流通路とを備える。
流通路P1は、混合手段M1に接続されている。
流通路P2は、混合手段M1に接続されている。
流通路P3は、混合手段M2に接続されている。
流通路P4は、混合手段M3に接続されている。
流通路P5は、混合手段M4に接続されている。
流通路R1は、混合手段M1、及び混合手段M2に接続されている。流通路R1は、反応部でもある。
流通路R2は、混合手段M2、及び混合手段M3に接続されている。流通路R2は、反応部でもある。
流通路R3は、混合手段M3、及び混合手段M4に接続されている。流通路R3は、反応部でもある。
流通路R4は、混合手段M4に接続されている。流通路R4は、反応部でもある。
【0142】
流通路P1から混合手段M1に、前記o-ブロモベンゾニトリル(ホウ酸エステル(ボラート)の前駆体)が供給される。流通路P2から混合手段M1に、nBuLi(有機リチウム試薬)が供給される。そうすると、混合手段M1において、前記o-ブロモベンゾニトリルと、前記nBuLiとが混合され、得られた液中では、o-ブロモベンゾニトリルがリチオ化され、o-シアノフェニルリチウムを生成する。
流通路R1を流れる、前記o-シアノフェニルリチウムを含有する液は、混合手段M2に導入される。混合手段M2において、前記液は、流通路P3から供給されたボロン酸エステル化合物(ホウ素化剤)と混合され、得られた液中では、ボラートを生成する。
流通路R2を流れる、前記ボラートを含有する液は、混合手段M3に導入される。混合手段M3において、前記液は、流通路P4から供給されたメタノール水溶液(添加剤)と混合される。
流通路R3を流れる、前記ボラートを含有する液は、混合手段M4に導入される。混合手段M4において、前記液は、流通路P5から供給された4-ブロモベンズアルデヒド(カップリングパートナー)及び触媒と混合され、バルサルタンの中間体を生成する。
【実施例0143】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0144】
<フローリアクターの構築>
送液にはハーバード社製のシリンジポンプとGLサイエンス社製のガスタイトシリンジを用いた。ガスタイトシリンジをテフロン(登録商標)チューブ(50cm)に接続し、これをチューブ予冷ユニット(プレクーリングユニット)に接続した。T字型マイクロミキサーをチューブ予冷ユニット又はマイクロチューブリアクター(ステンレスチューブ)と接続し、フローリアクターを構築した。チューブ予冷ユニット、マイクロミキサー、及びマイクロチューブリアクターを冷却ユニットに浸し、温度を調節した。
【0145】
(合成例1:ボラート合成)
図2に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2(内径500μm)株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1(内径1000μm、長さ50cm)、R2(内径1000μm、長さ100cm)GL Sciences社)、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1、P2及びP3(内径1000μm、長さ100cm)GL Sciences社)からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0146】
前記フローマイクロリアクターシステムを-20℃の冷却槽に置き、2-ブロモベンゾニトリル溶液(0.10M、THF溶液、流速:6.0mL/分 東京化成工業株式会社)及びn-ブチルリチウム溶液(0.42M、ヘキサン溶液、流速:1.5mL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、テフロン(登録商標)チューブ及びチューブ予冷ユニットを経由してM1に導入した。
【0147】
得られた溶液をR1(滞留時間3.1秒間)に通し、M2において、ホウ酸トリイソプロピル溶液(0.48M、THF溶液、流速:1.5mL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(滞留時間5.2秒間)に通して、ボラートへと変換した。
定常状態に達した後、R2から排出される反応液を11分間採取しメタノール(1mL 富士フィルム和光純薬株式会社)でクエンチした。得られたボラートのTHF-ヘキサン溶液は、生成物収率100%(濃度0.067M)として以下の合成例にて使用した。
【0148】
(合成例2:鈴木カップリング1:添加剤の検討)
図3に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2(内径1000μm)株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1(内径1000μm、長さ3.5cm)、R2(内径2200μm、長さ300cm)GL Sciences社)、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1、P2及びP3(内径1000μm、長さ100cm)GL Sciences社)からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0149】
前記フローマイクロリアクターシステムを室温下に設置し、R2は50℃の恒温槽に浸した。
合成例1で製造したボラート溶液(0.067M、THF-ヘキサン溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)及び添加剤(MeOH又は水、20%、流速:VmL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、テフロン(登録商標)チューブ及びチューブ予冷ユニットを経由してM1に導入した。
【0150】
得られた溶液をR1(滞留時間0.4秒間)に通し、M2において、触媒としてビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)を10モル%含有する4-ブロモベンズアルデヒド溶液(0.10M、THF溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(滞留時間137秒間)に通して、ビフェニル化合物(カップリング体)へと変換した。
送液開始後、リアクター内が完全に置換された後、R2から排出される反応液を2分間採取し飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL 富士フィルム和光株式会社)でクエンチした。酢酸エチル5mLと飽和食塩水2mLを加えて1分間振とう後、上層を採取して内部標準物質(トリデカン)を用いたGC分析により生成物の収率を決定した。内部標準物質は予め4-ブロモベンズアルデヒドのTHF溶液に約1%相当量を加えておいた。
生成物の収率を表1に示した。
【0151】
-GC分析-
Restek Rtx-200カラムを搭載したSHIMAZU GC-2014を使用して実施し、化合物はFIDによって検出した。
収率については、内部標準としてトリデカンを含むバルサルタンの中間体(4’-ホルミル-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボニトリル)の標準溶液(3検体:バルサルタンの中間体を約5mg、約20mg、約40mgを別々に測り取り、各々にトリデカン約15mgを加えた後、酢酸エチルに溶解)を分析して作成した検量線を用いて、バルサルタンの中間体を定量後、下記の式1で算出した。
【数2】
【0152】
【表1】
【0153】
表1の結果より、ボラート溶液を用いて鈴木カップリング反応を行う場合は、添加剤として、メタノールを用いたときと比較して、水を用いたときに、反応促進され、選択性も高いことが分かった。
【0154】
(合成例3:鈴木カップリング2:滞留時間の検討)
図4に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2(内径1000μm)株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1(内径1000μm、長さ3.5cm)、R2(内径2200μm、長さLcm)GL Sciences社)、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1、P2及びP3(内径1000μm、長さ100cm)GL Sciences社)からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0155】
前記フローマイクロリアクターシステムを室温下に設置し、R2は50℃の恒温槽に浸した。
合成例1で製造したボラート溶液(0.067M、THF-ヘキサン溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)及び添加剤(水、20%、流速:VmL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、テフロン(登録商標)チューブ及びチューブ予冷ユニットを経由してM1に導入した。
【0156】
得られた溶液をR1(滞留時間0.4-1.1秒間)に通し、M2において、触媒としてビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)を10モル%含有する4-ブロモベンズアルデヒド溶液(0.10M、THF溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(滞留時間tR2秒間)に通して、ビフェニル化合物へと変換した。
送液開始後、リアクター内が完全に置換された後、R2から排出される反応液を2分間採取し飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL 富士フィルム和光株式会社)でクエンチした。合成例2と同様にして、酢酸エチル5mLと飽和食塩水2mLを加えて1分間振とう後、上層を採取して内部標準物質(トリデカン)を用いたGC分析により生成物の収率を決定した。内部標準物質は予め4-ブロモベンズアルデヒドのTHF溶液に約1%相当量を加えておいた。
生成物の収率を表2に示した。
【0157】
【表2】
【0158】
表2の結果より、ボラート溶液を用いて鈴木カップリング反応を行い、添加剤として水を用いた場合は、総流量を下げると収率が大幅に低下する(90から44%)ことが分かった。
【0159】
(合成例4:鈴木カップリング3:混合条件の検討)
図5に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2(内径500μm又は1000μm)株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1(内径1000μm、長さ3.5cm)、R2(内径2200μm、長さLcm)GL Sciences社)、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1、P2及びP3(内径1000μm、長さ100cm)GL Sciences社)からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0160】
前記フローマイクロリアクターシステムを室温下に設置し、R2は50℃の恒温槽に浸した。
合成例1で製造したボラート溶液(0.067M、THF-ヘキサン溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)及び添加剤(水、20%、流速:VmL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、テフロン(登録商標)チューブ及びチューブ予冷ユニットを経由してM1に導入した。
【0161】
得られた溶液をR1(滞留時間0.2-0.4秒間)に通し、M2において、触媒としてビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)を10モル%含有する4-ブロモベンズアルデヒド溶液(0.10M、THF溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(滞留時間137秒間)に通して、ビフェニル化合物へと変換した。
送液開始後、リアクター内が完全に置換された後、R2から排出される反応液を2分間採取し飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL 富士フィルム和光株式会社)でクエンチした。合成例2と同様にして、酢酸エチル5mLと飽和食塩水2mLを加えて1分間振とう後、上層を採取して内部標準物質(トリデカン)を用いたGC分析により生成物の収率を決定した。内部標準物質は予め4-ブロモベンズアルデヒドのTHF溶液に約1%相当量を加えておいた。
生成物の収率を表3に示した。
【0162】
【表3】
【0163】
表3の結果より、ボラート溶液を用いて鈴木カップリング反応を行い、添加剤として水を用いた場合は、混合性を良化させると、収率が向上することが分かった。
【0164】
(合成例5:鈴木カップリング4:添加剤の濃度の検討)
図6に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2(1000μm)株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1(内径1000μm、長さ3.5cm)、R2(内径2200μm、長さ300cm)GL Sciences社)、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1、P2及びP3(内径1000μm、長さ100cm)GL Sciences社)からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0165】
前記フローマイクロリアクターシステムを室温下に設置し、R2は50℃の恒温槽に浸した。
合成例1で製造したボラート溶液(0.067M、THF-ヘキサン溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)及び添加剤(水、20%、15%、10%、又は5%、流速:VmL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、テフロン(登録商標)チューブ及びチューブ予冷ユニットを経由してM1に導入した。
【0166】
得られた溶液をR1(滞留時間0.4秒間)に通し、M2において、触媒としてビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)を10モル%含有する4-ブロモベンズアルデヒド溶液(0.10M、THF溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(滞留時間137秒間)に通して、ビフェニル化合物へと変換した。
送液開始後、リアクター内が完全に置換された後、R2から排出される反応液を2分間採取し飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL 富士フィルム和光株式会社)でクエンチした。合成例2と同様にして、酢酸エチル5mLと飽和食塩水2mLを加えて1分間振とう後、上層を採取して内部標準物質(トリデカン)を用いたGC分析により生成物の収率を決定した。内部標準物質は予め4-ブロモベンズアルデヒドのTHF溶液に約1%相当量を加えておいた。
生成物の収率を表4に示した。
【0167】
【表4】
【0168】
表4の結果より、ボラート溶液を用いて鈴木カップリング反応を行い、添加剤として水を用いた場合は、フローマイクロリアクターシステム系内の添加剤の濃度を20%から10%に下げると、濃度依存的に収率が向上し、さらに、フローマイクロリアクターシステム系内の添加剤の濃度を5%まで下げると、収率が大幅に低下することが分かった。
【0169】
(合成例6:鈴木カップリング5:添加剤の混合条件の検討)
図7に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2(1000μm)株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1(内径1000μm、長さLcm)、R2(内径2200μm、長さ800cm)GL Sciences社)、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1、P2及びP3(内径1000μm、長さ100cm)GL Sciences社)からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0170】
前記フローマイクロリアクターシステムを室温下に設置、又は50℃の恒温槽に浸し、R2は50℃の恒温槽に浸した。
合成例1で製造したボラート溶液(0.067M、THF-ヘキサン溶液、流速:8.0mL/分 東京化成工業株式会社)及び添加剤(水、20%、流速:2.67mL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、テフロン(登録商標)チューブ及びチューブ予冷ユニットを経由してM1に導入した。
【0171】
得られた溶液をR1(滞留時間tR1秒間)に通し、M2において、触媒としてビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)を10モル%含有する4-ブロモベンズアルデヒド溶液(0.10M、THF溶液、流速:2.67mL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(滞留時間137秒間)に通して、ビフェニル化合物へと変換した。
送液開始後、リアクター内が完全に置換された後、R2から排出される反応液を30秒間採取し飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL 富士フィルム和光株式会社)でクエンチした。合成例2と同様にして、酢酸エチル5mLと飽和食塩水2mLを加えて1分間振とう後、上層を採取して内部標準物質(トリデカン)を用いたGC分析により生成物の収率を決定した。内部標準物質は予め4-ブロモベンズアルデヒドのTHF溶液に約1%相当量を加えておいた。
生成物の収率を表5に示した。
【0172】
【表5】
【0173】
表5の結果より、ボラート溶液を用いて鈴木カップリング反応を行い、添加剤として水を用いた場合は、マイクロチューブリアクター(R1)を50℃の恒温槽に浸し、反応温度を向上させることにより、収率が向上することが分かった。
【0174】
(合成例7:鈴木カップリング6:集積化想定条件における添加剤の濃度の検討)
図8に示した、2つのT字マイクロミキサー(M1及びM2(1000μm)株式会社三幸精機工業)、2つのマイクロチューブリアクター(R1(内径1000μm、長さ3.5cm)、R2(内径2200μm、長さ800cm)GL Sciences社)、並びに3つのチューブ予冷ユニット(P1、P2及びP3(内径1000μm、長さ100cm)GL Sciences社)からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0175】
前記フローマイクロリアクターシステムを50℃の恒温槽に浸した。
合成例1で製造したボラート溶液(0.067M、THF-ヘキサン溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)及び添加剤(水、20%、15%又は10%、流速:VmL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、テフロン(登録商標)チューブ及びチューブ予冷ユニットを経由してM1に導入した。
【0176】
得られた溶液をR1(滞留時間0.2秒間)に通し、M2において、触媒としてビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)を10モル%含有する4-ブロモベンズアルデヒド溶液(0.10M、THF溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(滞留時間137秒間)に通して、ビフェニル化合物へと変換した。
送液開始後、リアクター内が完全に置換された後、R2から排出される反応液を30秒間採取し飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL 富士フィルム和光株式会社)でクエンチした。合成例2と同様にして、酢酸エチル5mLと飽和食塩水2mLを加えて1分間振とう後、上層を採取して内部標準物質(トリデカン)を用いたGC分析により生成物の収率を決定した。内部標準物質は予め4-ブロモベンズアルデヒドのTHF溶液に約1%相当量を加えておいた。
生成物の収率を表6に示した。
【0177】
【表6】
【0178】
表6の結果より、ボラート溶液を用いて鈴木カップリング反応を行い、添加剤として水を用いた場合は、集積化想定条件において、フローマイクロリアクターシステム系内の添加剤の濃度が10%から20%の範囲で、高い収率が得られることが分かった。
【0179】
(比較例1)
図9に示した、4つのT字マイクロミキサー(M1及びM2(500μm)、M3及びM4(1000μm)株式会社三幸精機工業)、4つのマイクロチューブリアクター(R1(内径1000μm、長さ50cm)、R2(内径1000μm、長さ100cm)、R3(内径1000μm、長さ3.5cm)R4(内径2200μm、長さ800cm)GL Sciences社)、並びに5つのチューブ予冷ユニット(P1、P2、P3及びP4(内径1000μm、長さ100cm)、P5(内径1000μm、長さ12.5cm)GL Sciences社)からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0180】
前記R1及びR2は-20℃の冷却槽に浸し、前記R3及びR4は50℃の恒温槽に浸した。
2-ブロモベンゾニトリル溶液(0.10M、THF溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)及びn-ブチルリチウム溶液(0.42M、ヘキサン溶液、流速:VmL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、テフロン(登録商標)チューブ及びチューブ予冷ユニットを経由してM1に導入した。
【0181】
得られた溶液をR1(滞留時間3.1-3.5秒間)に通し、M2において、ホウ酸トリイソプロピル溶液(0.48M、THF溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(滞留時間5.2-5.9秒間)に通して、ボラート(リチウム塩)へと変換し、M3において、添加剤(水、20%、15%又は10%、流速:VmL/分 関東化学株式会社)と混合した。
【0182】
得られた溶液をR3(滞留時間0.2秒間)に通し、M4において、触媒としてビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)を10モル%含有する4-ブロモベンズアルデヒド溶液(0.10M、THF溶液、流速:VmL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR4(滞留時間137秒間)に通して、ビフェニル化合物へと変換した。
送液開始後、リアクター内が完全に置換された後、R4から排出される反応液を30秒間採取し飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL 富士フィルム和光株式会社)でクエンチした。合成例2と同様にして、酢酸エチル5mLと飽和食塩水2mLを加えて1分間振とう後、上層を採取して内部標準物質(トリデカン)を用いたGC分析により生成物の収率を決定した。内部標準物質は予め4-ブロモベンズアルデヒドのTHF溶液に約1%相当量を加えておいた。
生成物の収率を表7に示した。
【0183】
【表7】
【0184】
表7の結果より、添加剤として水を用いた場合において、集積化条件(空間的集積化)で反応させたときは、ボラート溶液を用いて鈴木カップリング反応を行ったときと比較して、収率が低下することが分かった。
【0185】
(実施例1)
図10に示した、4つのT字マイクロミキサー(M1及びM2(500μm)、M3及びM4(1000μm)株式会社三幸精機工業)、4つのマイクロチューブリアクター(R1(内径1000μm、長さ50cm)、R2(内径1000μm、長さ100cm)、R3(内径1000μm、長さ3.5cm)R4(内径2200μm、長さ800cm)GL Sciences社)、並びに5つのチューブ予冷ユニット(P1、P2、P3及びP4(内径1000μm、長さ100cm)、P5(内径1000μm、長さ12.5cm)GL Sciences社)からなるフローマイクロリアクターシステムを使用した。
【0186】
前記R1及びR2は-20℃の冷却槽に浸し、前記R3及びR4は50℃の恒温槽に浸した。
2-ブロモベンゾニトリル溶液(0.10M、THF溶液、流速:6.0mL/分 東京化成工業株式会社)及びn-ブチルリチウム溶液(0.42M、ヘキサン溶液、流速:1.5mL/分 関東化学株式会社)を、シリンジポンプにより、テフロン(登録商標)チューブ及びチューブ予冷ユニットを経由してM1に導入した。
【0187】
得られた溶液をR1(滞留時間3.1秒間)に通し、M2において、ホウ酸トリイソプロピル溶液(0.48M、THF溶液、流速:1.5mL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR2(滞留時間5.2秒間)に通して、ボラート(リチウム塩)へと変換し、M3において、添加剤(水、10%、流速:1.33mL/分 関東化学株式会社)と混合した。
【0188】
得られた溶液をR3(滞留時間0.2秒間)に通し、M4において、触媒としてビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)を10モル%含有する4-ブロモベンズアルデヒド溶液(0.10M、THF溶液、流速:3.0mL/分 東京化成工業株式会社)と混合した。得られた溶液をR4(滞留時間137秒間)に通して、ビフェニル化合物へと変換した。
送液開始後、リアクター内が完全に置換された後、R4から排出される反応液を30秒間採取し飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL 富士フィルム和光株式会社)でクエンチした。合成例2と同様にして、酢酸エチル5mLと飽和食塩水2mLを加えて1分間振とう後、上層を採取して内部標準物質(トリデカン)を用いたGC分析により生成物の収率を決定した。内部標準物質は予め4-ブロモベンズアルデヒドのTHF溶液に約1%相当量を加えておいた。
生成物の収率を表8に示した。
【0189】
【表8】
【0190】
表8の結果より、添加剤としてメタノール水溶液を、水とメタノールの比率(水/メタノール)が、86/14(v/v)から98/2(v/v)で用いた場合は、集積化条件(空間的集積化)で反応させたときに、高い収率が得られることが分かった。
【0191】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> o-ブロモベンゾニトリルと、nBuLiと、を第1のマイクロミキサーに導入する工程1と、前記工程1で得られた化合物と、ボロン酸エステル化合物と、を第2のマイクロミキサーに導入する工程2と、前記工程2で得られた化合物と、メタノール水溶液と、を第3のマイクロミキサーに導入する工程3と、前記工程3で得られた化合物と、4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒と、を第4のマイクロミキサーに導入する工程4と、を含み、前記メタノール水溶液における、水とメタノールの比率(水/メタノール)が、86/14(v/v)以上98/2(v/v)以下であることを特徴とするバルサルタンの中間体の製造方法である。
<2> 前記工程1及び前記工程2が-20℃以上で行われる、請求項1に記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
<3> 前記工程3及び前記工程4が50℃以下で行われる、前記<1>又は<2>に記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
<4> 前記工程1において、前記o-ブロモベンゾニトリルの導入速度が5mL/分以上である、前記<1>から<3>のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法。
<5> 前記工程1において、前記nBuLiの導入速度が1mL/分以上である、前記<1>から<4>のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
<6> 前記工程2において、前記ボロン酸エステル化合物の導入速度が1mL/分以上である、前記<1>から<5>のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
<7> 前記工程3において、前記メタノール水溶液の導入速度が1mL/分以上である、前記<1>から<6>のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
<8> 前記工程4において、前記4-ブロモベンズアルデヒド及び触媒の導入速度が2mL/分以上である、前記<1>から<7>のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
<9> 前記第1のマイクロミキサーの平均内径及び前記第2のマイクロミキサーの平均内径が250μm以上である、前記<1>から<8>のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
<10> 前記第3のマイクロミキサーの平均内径及び前記第4のマイクロミキサーの平均内径が500μm以上である、前記<1>から<9>のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
<11> 前記工程4の後に、長さ500cm以上のチューブリアクターを経由する、前記<1>から<10>のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
<12> 前記バルサルタンの中間体の収率が90%以上である、前記<1>から<11>のいずれかに記載のバルサルタンの中間体の製造方法である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10