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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082937
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/24 20060101AFI20240613BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01Q3/24
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197166
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000232287
【氏名又は名称】日本電業工作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】萩原 弘樹
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA08
5J021AA09
5J021AB03
5J021AB06
5J021DB04
5J021FA31
5J021FA32
5J021GA01
5J021GA08
5J021HA08
(57)【要約】
【課題】複数の異なるビームを簡易に形成することを図る。
【解決手段】複数の異なるビームを形成するための複数のアンテナ素子を備えるアンテナ部と、一のビームを形成するためのアンテナ部のアンテナ素子を給電端子に接続する第1スイッチ接続状態と、当該一のビームとは異なる他のビームを形成するためのアンテナ部のアンテナ素子を給電端子に接続する第2スイッチ接続状態とを切り替えるスイッチ回路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なるビームを形成するための複数のアンテナ素子を備えるアンテナ部と、
一のビームを形成するための前記アンテナ部のアンテナ素子を給電端子に接続する第1スイッチ接続状態と、前記一のビームとは異なる他のビームを形成するための前記アンテナ部のアンテナ素子を給電端子に接続する第2スイッチ接続状態とを切り替えるスイッチ回路と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1スイッチ接続状態は、前記アンテナ部の一部のアンテナ素子を給電端子に接続し、
前記第2スイッチ接続状態は、前記アンテナ部の全てのアンテナ素子を給電端子に接続する、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1スイッチ接続状態は、一のビームを形成するための前記アンテナ部の一又は複数のアンテナ素子から構成される第1アンテナ素子グループを給電端子に接続し、
前記第2スイッチ接続状態は、前記アンテナ部のうち前記第1アンテナ素子グループと前記第1アンテナ素子グループ以外のアンテナ素子とから構成される第2アンテナ素子グループを給電端子に接続する、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
ビーム幅が最大のビームを形成するための前記第1アンテナ素子グループと、
ビーム幅が最小のビームを形成するための前記第2アンテナ素子グループと、
が形成された、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2アンテナ素子グループを前記第1アンテナ素子グループにした新たな前記第2アンテナ素子グループが形成された、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
ビーム幅が最大の広ビームを形成するための前記第1アンテナ素子グループと、
ビーム幅が前記広ビームよりも狭い中ビームを形成するための前記第2アンテナ素子グループと、
ビーム幅が最小の狭ビームを形成するための前記新たな前記第2アンテナ素子グループと、
が形成された、
請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ部は、複数のアンテナ素子が格子状又は複数の同心円の円形状に配列され、
前記第1アンテナ素子グループは、格子状又は円形状の中心部分であり、
前記第2アンテナ素子グループは、前記第1アンテナ素子グループと前記第1アンテナ素子グループを取り囲む部分とから構成される、
請求項3から6のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記スイッチ回路は、給電端子に接続される各アンテナ素子に対して給電端子から給電される電力を等分配するように、前記第1アンテナ素子グループと前記第2アンテナ素子グループのうち前記第1アンテナ素子グループ以外の部分とに対して給電端子から給電される電力を不等分配する不等電力分配器を備える、
請求項3から6のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
アンテナ素子はパッチアンテナである、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
アンテナ素子はダイポールアンテナである、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波を受信する受信部を備える飛行体において、当該受信部が指向性アンテナ及び当該指向性アンテナを回転させる回転部を備え、当該指向性アンテナを回転させて当該指向性アンテナのビームの方向を変更することにより、上空において電波の到来方向を特定し易くする技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-115880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の技術では、ビーム特性(例えばビーム幅等)を柔軟に変えることが難しいという問題があった。特に飛行体は、搭載物のサイズや重量の制限が大きいために、複数の異なるビームをそれぞれ形成する複数の指向性アンテナを同時に搭載することが難しい。このため、飛行体に搭載する指向性アンテナを、所望のビームを形成する指向性アンテナに交換する作業が発生していた。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、複数の異なるビームを簡易に形成することができるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数の異なるビームを形成するための複数のアンテナ素子を備えるアンテナ部と、一のビームを形成するための前記アンテナ部のアンテナ素子を給電端子に接続する第1スイッチ接続状態と、前記一のビームとは異なる他のビームを形成するための前記アンテナ部のアンテナ素子を給電端子に接続する第2スイッチ接続状態とを切り替えるスイッチ回路と、
を備えるアンテナ装置。
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記第1スイッチ接続状態は、前記アンテナ部の一部のアンテナ素子を給電端子に接続し、前記第2スイッチ接続状態は、前記アンテナ部の全てのアンテナ素子を給電端子に接続する、アンテナ装置である。
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記第1スイッチ接続状態は、一のビームを形成するための前記アンテナ部の一又は複数のアンテナ素子から構成される第1アンテナ素子グループを給電端子に接続し、前記第2スイッチ接続状態は、前記アンテナ部のうち前記第1アンテナ素子グループと前記第1アンテナ素子グループ以外のアンテナ素子とから構成される第2アンテナ素子グループを給電端子に接続する、アンテナ装置である。
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、ビーム幅が最大のビームを形成するための前記第1アンテナ素子グループと、ビーム幅が最小のビームを形成するための前記第2アンテナ素子グループと、が形成された、アンテナ装置である。
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記第2アンテナ素子グループを前記第1アンテナ素子グループにした新たな前記第2アンテナ素子グループが形成された、アンテナ装置である。
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、ビーム幅が最大の広ビームを形成するための前記第1アンテナ素子グループと、ビーム幅が前記広ビームよりも狭い中ビームを形成するための前記第2アンテナ素子グループと、ビーム幅が最小の狭ビームを形成するための前記新たな前記第2アンテナ素子グループと、が形成された、アンテナ装置である。
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記アンテナ部は、複数のアンテナ素子が格子状又は複数の同心円の円形状に配列され、前記第1アンテナ素子グループは、格子状又は円形状の中心部分であり、前記第2アンテナ素子グループは、前記第1アンテナ素子グループと前記第1アンテナ素子グループを取り囲む部分とから構成される、アンテナ装置である。
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記スイッチ回路は、給電端子に接続される各アンテナ素子に対して給電端子から給電される電力を等分配するように、前記第1アンテナ素子グループと前記第2アンテナ素子グループのうち前記第1アンテナ素子グループ以外の部分とに対して給電端子から給電される電力を不等分配する不等電力分配器を備える、アンテナ装置である。
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、アンテナ素子はパッチアンテナである、アンテナ装置である。
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、アンテナ素子はダイポールアンテナである、アンテナ装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の異なるビームを簡易に形成することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係るアンテナ部の構成例を示すアンテナ素子配列図である。
図3】一実施形態に係るアンテナ装置の実施例1のブロック構成図である。
図4】一実施形態に係るアンテナ部の実施例1のアンテナ素子配列図である。
図5】一実施形態に係るアンテナ装置の実施例2のブロック構成図である。
図6】一実施形態に係るアンテナ部の実施例2のアンテナ素子配列図である。
図7】一実施形態に係るアンテナ装置の実施例3のブロック構成図である。
図8】一実施形態に係るアンテナ部の実施例3のアンテナ素子配列図である。
図9】一実施形態に係るアンテナ装置の実施例3に係る電波放射パターンを示す図である。
図10】一実施形態に係るアンテナ装置の実施例3に係る電波放射パターンを示す図である。
図11】一実施形態に係るアンテナ装置の実施例3に係る電波放射パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係るアンテナ装置1の構成例を示すブロック図である。図1において、アンテナ装置1は、アンテナ部ANTと、スイッチ回路10とを備える。
【0010】
図2は、本実施形態に係るアンテナ部ANTの構成例を示すアンテナ素子配列図である。図2の例では、アンテナ部ANTは、図2(1)に示されるように、「N×N」個のアンテナ素子ANが格子状に配列されている。図2(1)に示されるアンテナ部ANTのうち格子状の中心部分の「L×L」個のアンテナ素子AN(図2(2))は、アンテナ素子グループANT1を構成する。図2(1)に示されるアンテナ部ANTのうちアンテナ素子グループANT1以外の残りの「(N×N)-(L×L)」個のアンテナ素子ANは、アンテナ素子グループANT2(図1参照)を構成する。図2の例では、アンテナ部ANTにおいて、格子状の中心部分の「L×L」個のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ素子グループANT1と、アンテナ素子グループANT1を取り囲む「(N×N)-(L×L)」個のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ素子グループANT2とが、形成される。
【0011】
本実施形態に係るアンテナ素子ANの一例は、パッチアンテナである。本実施形態に係るアンテナ素子ANの他の例として、ダイポールアンテナやスロットアンテナであってもよい。
【0012】
なお、図2の例では、複数のアンテナ素子ANが格子状に配列されたが、アンテナ素子ANの配列方法は格子状に限定されない。アンテナ素子ANの配列方法は、例えば直線状や円形状等であってもよい。例えば、複数のアンテナ素子ANが複数の同心円の円形状に配列されてもよい。また、複数のアンテナ素子ANが格子状に配列される場合のサイズは、「N×N」個であってもよく、又は「N×M、N≠M」個であってもよい。
【0013】
図1に示されるように、アンテナ素子グループANT1の各アンテナ素子ANは、スイッチ回路10の第1端子Taに接続される。また、アンテナ素子グループANT2の各アンテナ素子ANは、スイッチ回路10の第2端子Tbに接続される。
【0014】
スイッチ回路10は、第1端子Taと、第2端子Tbと、給電端子Tcと、接地端子Gと、不等電力分配器12とを備える。接地端子Gは接地線(図示せず)に接続される。給電端子Tcは、無線機30の給電回路に接続される。本実施形態では、給電回路はアンテナ装置1とは別個に設けられる。なお、アンテナ装置1が給電回路を含むように構成してもよい。
【0015】
スイッチ回路10は、第1スイッチ接続状態SW1と、第2スイッチ接続状態SW2とを切り替える。
【0016】
第1スイッチ接続状態SW1は、第1端子Taを給電端子Tcに接続し、且つ第2端子Tbを接地端子Gに接続する。これにより、第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1が給電端子Tcに接続され、且つアンテナ素子グループANT2が接地端子Gに接続される。したがって、第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1は無線機30の給電回路に接続されるが、アンテナ素子グループANT2は接地される。この第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1を使用して一のビームが形成される。
【0017】
第2スイッチ接続状態SW2は、第1端子Ta及び第2端子Tbの両方を給電端子Tcに接続する。これにより、第2スイッチ接続状態SW2では、アンテナ素子グループANT1とアンテナ素子グループANT2とが給電端子Tcに接続される。この第2スイッチ接続状態SW2では、アンテナ素子グループANT1とアンテナ素子グループANT2とを使用して、上記した第1スイッチ接続状態SW1での一のビームとは異なる他のビームが形成される。
【0018】
上述したように、スイッチ回路10において、第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替えることによって、アンテナ素子グループANT1を使用して形成される一のビームと、アンテナ素子グループANT1とアンテナ素子グループANT2とを使用して形成される当該一のビームとは異なる他のビームとを切り替えることができる。当該アンテナ素子グループANT1は、第1アンテナ素子グループに対応する。当該アンテナ素子グループANT1と当該アンテナ素子グループANT2とは、第2アンテナ素子グループに対応する。
【0019】
なお、図1において第2スイッチ接続状態SW2では、第1端子Taには「L×L」個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT1)が接続され、且つ第2端子Tbには「(N×N)-(L×L)」個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT2)が接続される。ここで、「L×L」と「(N×N)-(L×L)」とが等しくない場合、給電端子Tcに接続される各アンテナ素子ANに対して給電端子Tcから給電される電力を等分配するように、不等電力分配器12によって、アンテナ素子グループANT1(第1アンテナ素子グループ)とアンテナ素子グループANT2(第2アンテナ素子グループのうち第1アンテナ素子グループ以外の部分)とに対して給電端子Tcから給電される電力を不等分配する。
【0020】
また、スイッチ回路10の第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替える操作は、例えば、第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替える操作スイッチをアンテナ装置1に設け、操作者が当該操作スイッチを直接操作して第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替えてもよい。又は、当該操作スイッチを遠隔操作するための無線通信部をアンテナ装置1にさらに設け、操作者が当該操作スイッチを遠隔操作して第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替えてもよい。
【0021】
次に本実施形態に係るいくつかの実施例を説明する。
【0022】
[実施例1]
図3は、本実施形態に係るアンテナ装置1の実施例1のブロック構成図である。図4は、本実施形態に係るアンテナ部ANTの実施例1のアンテナ素子配列図である。
【0023】
図4の例では、アンテナ部ANTは、図4(1)に示されるように、「9(N=3)」個のアンテナ素子ANが格子状に配列されている。図4(1)に示されるアンテナ部ANTのうち格子状の中心部分の「1(L=1)」個のアンテナ素子AN(図4(2))は、アンテナ素子グループANT1を構成する。図4(1)に示されるアンテナ部ANTのうちアンテナ素子グループANT1以外の残りの「9-1=8」個のアンテナ素子ANは、アンテナ素子グループANT2(図3参照)を構成する。図4の例では、アンテナ部ANTにおいて、格子状の中心部分の「1」個のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ素子グループANT1と、アンテナ素子グループANT1を取り囲む「8」個のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ素子グループANT2とが、形成される。
【0024】
図3に示されるように、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANは、スイッチ回路10の第1端子Taに接続される。また、アンテナ素子グループANT2の8個のアンテナ素子ANは、スイッチ回路10の第2端子Tbに接続される。
【0025】
スイッチ回路10において、第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1が給電端子Tcに接続され、且つアンテナ素子グループANT2が接地端子Gに接続される。この第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANを使用して一のビームが形成される。当該1個のアンテナ素子AN(図4(2)、第1アンテナ素子グループ)を使用して形成されるビームは、実施例1においてビーム幅が最大のビーム(説明の便宜上、広ビームと称する)である。
【0026】
スイッチ回路10において、第2スイッチ接続状態SW2では、アンテナ素子グループANT1とアンテナ素子グループANT2とが給電端子Tcに接続される。この第2スイッチ接続状態SW2では、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の8個のアンテナ素子ANとの合計9個のアンテナ素子ANを使用して、上記した第1スイッチ接続状態SW1での広ビームとは異なる他のビームが形成される。当該9個のアンテナ素子AN(図4(1)、第2アンテナ素子グループ)を使用して形成されるビームは、実施例1においてビーム幅が最小のビーム(説明の便宜上、中ビームと称する)である。
【0027】
上述したように、実施例1では、スイッチ回路10において、第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替えることによって、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子AN(図4(2)、第1アンテナ素子グループ)を使用して形成される広ビームと、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の8個のアンテナ素子ANとの合計9個のアンテナ素子AN(図4(1)、第2アンテナ素子グループ)を使用して形成される中ビームとを切り替えることができる。
【0028】
なお、図3において第2スイッチ接続状態SW2では、第1端子Taには1個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT1)が接続され、且つ第2端子Tbには8個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT2)が接続される。このため、給電端子Tcに接続される9個のアンテナ素子ANに対して給電端子Tcから給電される電力を等分配するように、不等電力分配器12によって、アンテナ素子グループANT1(第1アンテナ素子グループ)とアンテナ素子グループANT2(第2アンテナ素子グループのうち第1アンテナ素子グループ以外の部分)とに対して給電端子Tcから給電される電力を不等分配する。具体的には、不等電力分配器12は、第2スイッチ接続状態SW2において、給電端子Tcから給電される電力のうち、1/9をアンテナ素子グループANT1(第1端子Ta)へ分配し、且つ8/9をアンテナ素子グループANT2(第2端子Tb)へ分配する。
【0029】
また、スイッチ回路10の第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替えるための操作スイッチは、広ビーム(第1スイッチ接続状態SW1)と中ビーム(第2スイッチ接続状態SW2)とを切り替える操作スイッチとして設ける。当該操作スイッチは、操作者が、直接操作するものであってもよく、又は遠隔操作するものであってもよい。
【0030】
[実施例2]
図5は、本実施形態に係るアンテナ装置1の実施例2のブロック構成図である。図6は、本実施形態に係るアンテナ部ANTの実施例2のアンテナ素子配列図である。
【0031】
図6の例では、アンテナ部ANTは、図6(1)に示されるように、「25(N=5)」個のアンテナ素子ANが格子状に配列されている。図6(1)に示されるアンテナ部ANTのうち格子状の中心部分の「1(L=1)」個のアンテナ素子AN(図6(2))は、アンテナ素子グループANT1を構成する。図6(1)に示されるアンテナ部ANTのうちアンテナ素子グループANT1以外の残りの「25-1=24」個のアンテナ素子ANは、アンテナ素子グループANT2(図5参照)を構成する。図6の例では、アンテナ部ANTにおいて、格子状の中心部分の「1」個のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ素子グループANT1と、アンテナ素子グループANT1を取り囲む「24」個のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ素子グループANT2とが、形成される。
【0032】
図5に示されるように、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANは、スイッチ回路10の第1端子Taに接続される。また、アンテナ素子グループANT2の24個のアンテナ素子ANは、スイッチ回路10の第2端子Tbに接続される。
【0033】
スイッチ回路10において、第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1が給電端子Tcに接続され、且つアンテナ素子グループANT2が接地端子Gに接続される。この第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANを使用して一のビームが形成される。当該1個のアンテナ素子AN(図6(2)、第1アンテナ素子グループ)を使用して形成されるビームは、実施例2においてビーム幅が最大のビーム(説明の便宜上、広ビームと称する)である。
【0034】
スイッチ回路10において、第2スイッチ接続状態SW2では、アンテナ素子グループANT1とアンテナ素子グループANT2とが給電端子Tcに接続される。この第2スイッチ接続状態SW2では、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の24個のアンテナ素子ANとの合計25個のアンテナ素子ANを使用して、上記した第1スイッチ接続状態SW1での広ビームとは異なる他のビームが形成される。当該25個のアンテナ素子AN(図6(1)、第2アンテナ素子グループ)を使用して形成されるビームは、実施例2においてビーム幅が最小のビーム(説明の便宜上、狭ビームと称する)である。
【0035】
上述したように、実施例2では、スイッチ回路10において、第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替えることによって、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子AN(図6(2)、第1アンテナ素子グループ)を使用して形成される広ビームと、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の24個のアンテナ素子ANとの合計25個のアンテナ素子AN(図6(1)、第2アンテナ素子グループ)を使用して形成される狭ビームとを切り替えることができる。
【0036】
なお、図5において第2スイッチ接続状態SW2では、第1端子Taには1個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT1)が接続され、且つ第2端子Tbには24個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT2)が接続される。このため、給電端子Tcに接続される25個のアンテナ素子ANに対して給電端子Tcから給電される電力を等分配するように、不等電力分配器12によって、アンテナ素子グループANT1(第1アンテナ素子グループ)とアンテナ素子グループANT2(第2アンテナ素子グループのうち第1アンテナ素子グループ以外の部分)とに対して給電端子Tcから給電される電力を不等分配する。具体的には、不等電力分配器12は、第2スイッチ接続状態SW2において、給電端子Tcから給電される電力のうち、1/25をアンテナ素子グループANT1(第1端子Ta)へ分配し、且つ24/25をアンテナ素子グループANT2(第2端子Tb)へ分配する。
【0037】
また、スイッチ回路10の第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替えるための操作スイッチは、広ビーム(第1スイッチ接続状態SW1)と狭ビーム(第2スイッチ接続状態SW2)とを切り替える操作スイッチとして設ける。当該操作スイッチは、操作者が、直接操作するものであってもよく、又は遠隔操作するものであってもよい。
【0038】
[実施例3]
図7は、本実施形態に係るアンテナ装置1の実施例3のブロック構成図である。図8は、本実施形態に係るアンテナ部ANTの実施例3のアンテナ素子配列図である。
【0039】
図8の例では、アンテナ部ANTは、図8(1)に示されるように、「25(N=5)」個のアンテナ素子ANが格子状に配列されている。図8(1)に示されるアンテナ部ANTのうち格子状の最も中心部分の「1(L=1)」個のアンテナ素子AN(図6(3))は、アンテナ素子グループANT1を構成する。図6(1)に示されるアンテナ部ANTのうちアンテナ素子グループANT1を取り囲む「8」個のアンテナ素子AN(図8(2))は、アンテナ素子グループANT2を構成する。図6(1)に示されるアンテナ部ANTのうちアンテナ素子グループANT2を取り囲む「16」個のアンテナ素子ANは、アンテナ素子グループANT3(図7参照)を構成する。図8の例では、アンテナ部ANTにおいて、格子状の最も中心部分の「1」個のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ素子グループANT1と、アンテナ素子グループANT1を取り囲む「8」個のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ素子グループANT2と、アンテナ素子グループANT2を取り囲む「16」個のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ素子グループANT3とが、形成される。
【0040】
図7に示されるスイッチ回路10は、第1端子Taと、第2端子Tbと、第3端子Tdと、給電端子Tcと、接地端子Gと、不等電力分配器12-1,12-2とを備える。
【0041】
スイッチ回路10は、第1スイッチ接続状態SW1と、第2スイッチ接続状態SW2と、第3スイッチ接続状態SW3とを切り替える。
【0042】
第1スイッチ接続状態SW1は、第1端子Taを給電端子Tcに接続し、且つ第2端子Tb及び第3端子Tdを接地端子Gに接続する。これにより、第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1が給電端子Tcに接続され、且つアンテナ素子グループANT2及びアンテナ素子グループANT3が接地端子Gに接続される。したがって、第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1は無線機30の給電回路に接続されるが、アンテナ素子グループANT2及びアンテナ素子グループANT3は接地される。この第1スイッチ接続状態SW1では、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANを使用して一のビームが形成される。当該1個のアンテナ素子AN(図8(3)、第1アンテナ素子グループ)を使用して形成されるビームは、実施例3においてビーム幅が最大のビーム(説明の便宜上、広ビームと称する)である。
【0043】
第2スイッチ接続状態SW2は、第1端子Ta及び第2端子Tbの両方を給電端子Tcに接続し、且つ第3端子Tdを接地端子Gに接続する。これにより、第2スイッチ接続状態SW2では、アンテナ素子グループANT1及びアンテナ素子グループANT2が給電端子Tcに接続され、且つアンテナ素子グループANT3が接地端子Gに接続される。この第2スイッチ接続状態SW2では、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の8個のアンテナ素子ANとの合計9個のアンテナ素子ANを使用して、上記した第1スイッチ接続状態SW1での広ビームとは異なる他のビームが形成される。当該9個のアンテナ素子AN(図8(2)、第2アンテナ素子グループ)を使用して形成されるビームは、実施例3においてビーム幅が中くらいのビーム(説明の便宜上、中ビームと称する)である。
【0044】
第3スイッチ接続状態SW3は、第1端子Ta、第2端子Tb及び第3端子Tdを給電端子Tcに接続する。これにより、第3スイッチ接続状態SW3では、アンテナ素子グループANT1、アンテナ素子グループANT2及びアンテナ素子グループANT3が給電端子Tcに接続される。この第3スイッチ接続状態SW3では、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の8個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT3の16個のアンテナ素子ANとの合計25個のアンテナ素子ANを使用して、上記した第1スイッチ接続状態SW1での広ビーム及び第2スイッチ接続状態SW2での中ビームとは異なる他のビームが形成される。当該25個のアンテナ素子AN(図8(1)、新たな第2アンテナ素子グループ)を使用して形成されるビームは、実施例3においてビーム幅が最小のビーム(説明の便宜上、狭ビームと称する)である。
【0045】
第3スイッチ接続状態SW3においては、上記した第2スイッチ接続状態SW2での第2アンテナ素子グループ(図8(2)の9個のアンテナ素子AN)を第1アンテナ素子グループにした新たな第2アンテナ素子グループ(図8(1)の25個のアンテナ素子AN)が形成されている。
【0046】
上述したように、実施例3では、スイッチ回路10において、第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2と第3スイッチ接続状態SW3とを切り替えることによって、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子AN(図8(3)、第1アンテナ素子グループ)を使用して形成される広ビームと、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の8個のアンテナ素子ANとの合計9個のアンテナ素子AN(図8(2)、第2アンテナ素子グループ)を使用して形成される中ビームと、アンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の8個のアンテナ素子ANとの合計9個のアンテナ素子AN(図8(2)、第1アンテナ素子グループ)とアンテナ素子グループANT3の16個のアンテナ素子ANとの総合計25個のアンテナ素子AN(図8(1)、新たな第2アンテナ素子グループ)を使用して形成される狭ビームと、を切り替えることができる。
【0047】
なお、図7において第2スイッチ接続状態SW2では、第1端子Taには1個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT1)が接続され、且つ第2端子Tbには8個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT2)が接続される。このため、給電端子Tcに接続される9個のアンテナ素子ANに対して給電端子Tcから給電される電力を等分配するように、不等電力分配器12-1によって、アンテナ素子グループANT1(第1アンテナ素子グループ)とアンテナ素子グループANT2(第2アンテナ素子グループのうち第1アンテナ素子グループ以外の部分)とに対して給電端子Tcから給電される電力を不等分配する。具体的には、不等電力分配器12は、第2スイッチ接続状態SW2において、給電端子Tcから給電される電力のうち、1/9をアンテナ素子グループANT1(第1端子Ta)へ分配し、且つ8/9をアンテナ素子グループANT2(第2端子Tb)へ分配する。
【0048】
また、図7において第3スイッチ接続状態SW3では、第1端子Taには1個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT1)が接続され、第2端子Tbには8個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT2)が接続され、且つ第3端子Tdには16個のアンテナ素子AN(アンテナ素子グループANT3)が接続される。このため、給電端子Tcに接続される25個のアンテナ素子ANに対して給電端子Tcから給電される電力を等分配するように、不等電力分配器12-2によって、アンテナ素子グループANT1及びアンテナ素子グループANT2(第1アンテナ素子グループ)とアンテナ素子グループANT3(新たな第2アンテナ素子グループのうち第1アンテナ素子グループ以外の部分)とに対して給電端子Tcから給電される電力を不等分配する。具体的には、不等電力分配器12は、第3スイッチ接続状態SW3において、給電端子Tcから給電される電力のうち、1/25をアンテナ素子グループANT1(第1端子Ta)へ分配し、8/25をアンテナ素子グループANT2(第2端子Tb)へ分配し、且つ16/25をアンテナ素子グループANT3(第3端子Td)へ分配する。
【0049】
また、スイッチ回路10の第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2と第3スイッチ接続状態SW3とを切り替えるための操作スイッチは、広ビーム(第1スイッチ接続状態SW1)と中ビーム(第2スイッチ接続状態SW2)と狭ビーム(第3スイッチ接続状態SW3)とを切り替える操作スイッチとして設ける。当該操作スイッチは、操作者が、直接操作するものであってもよく、又は遠隔操作するものであってもよい。
【0050】
図9図11は、上述した実施例3に係るアンテナ装置1の電波放射パターンを示す図である。図9図11の電波放射パターンのシミュレーションに使用するアンテナ素子ANは、円形状のパッチアンテナである。図9図11の電波放射パターンのシミュレーションに使用する使用周波数帯は、2GHz帯である。
【0051】
図9には、第1スイッチ接続状態SW1においてアンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子AN(図8(3))を使用して形成される広ビームの電波放射パターンが示される。図10には、第2スイッチ接続状態SW2においてアンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の8個のアンテナ素子ANとの合計9個のアンテナ素子AN(図8(2))を使用して形成される中ビームの電波放射パターンが示される。図11には、第3スイッチ接続状態SW3においてアンテナ素子グループANT1の1個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT2の8個のアンテナ素子ANとアンテナ素子グループANT3の16個のアンテナ素子ANとの合計25個のアンテナ素子AN(図8(1))を使用して形成される狭ビームの電波放射パターンが示される。
【0052】
図9図11に示される各電波放射パターンにおいて、図9の広ビームの電波放射パターンは最大のビーム幅を有し、図10の中ビームの電波放射パターンは当該広ビームよりも狭いビーム幅を有し、図11の狭ビームの電波放射パターンは最小のビーム幅を有する。このように実施例3によれば、アンテナ装置1のスイッチ回路10において、第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2と第3スイッチ接続状態SW3とを切り替えることによって、複数の異なるビーム(広ビーム、中ビーム、狭ビーム)を切り替えることができる。
【0053】
なお、本実施形態に係るアンテナ装置1において切り替えることができる複数の異なるビームは、例えばビーム幅等のビーム特性が異なるものである。ビーム特性としてビーム幅以外の他のビーム特性が異なってもよい。
【0054】
上述したように本実施形態によれば、複数の異なるビームを形成するための複数のアンテナ素子ANを備えるアンテナ部ANTと、一のビームを形成するためのアンテナ部ANTのアンテナ素子ANを給電端子Tcに接続する第1スイッチ接続状態SW1と、当該一のビームとは異なる他のビームを形成するためのアンテナ部ANTのアンテナ素子ANを給電端子Tcに接続する第2スイッチ接続状態SW2とを切り替えるスイッチ回路10と、を備えることにより、スイッチ回路10において、第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2とを切り替えることによって、複数の異なるビームを簡易に切り替えて形成することができる。
【0055】
さらには、スイッチ回路10に対して、当該一のビーム及び当該他のビームとは異なる更なる他のビームを形成するためのアンテナ部ANTのアンテナ素子ANを給電端子Tcに接続する第3スイッチ接続状態SW3を設けることによって、スイッチ回路10において、第1スイッチ接続状態SW1と第2スイッチ接続状態SW2と第3スイッチ接続状態SW3とを切り替えることによって、さらに複数の異なるビームを簡易に切り替えて形成することができる。
【0056】
また、スイッチ回路10は、安価なアナログ部品で実現することができるので、デジタル回路によって複数の異なるビームを切り替えて形成する場合に比してコストを低減することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態の変形例として、垂直偏波のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ部ANT-1と、水平偏波のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ部ANT-2と、アンテナ部ANT-1に対応するスイッチ回路10-1と、アンテナ部ANT-2に対応するスイッチ回路10-2とを設けてもよい。これにより、各スイッチ回路10-1,10-2のスイッチ接続状態を切り替えることによって、垂直偏波の複数の異なるビームと水平偏波の複数の異なるビームとをそれぞれ簡易に切り替えて形成することができる。
【0058】
また、他の変形例として、「+45度」偏波のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ部ANT-1と、「-45度」偏波のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ部ANT-2と、アンテナ部ANT-1に対応するスイッチ回路10-1と、アンテナ部ANT-2に対応するスイッチ回路10-2とを設けてもよい。これにより、各スイッチ回路10-1,10-2のスイッチ接続状態を切り替えることによって、「+45度」偏波の複数の異なるビームと「-45度」偏波の複数の異なるビームとをそれぞれ簡易に切り替えて形成することができる。
【0059】
また、他の変形例として、右旋円偏波のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ部ANT-1と、左旋円偏波のアンテナ素子ANから構成されるアンテナ部ANT-2と、アンテナ部ANT-1に対応するスイッチ回路10-1と、アンテナ部ANT-2に対応するスイッチ回路10-2とを設けてもよい。これにより、各スイッチ回路10-1,10-2のスイッチ接続状態を切り替えることによって、右旋円偏波の複数の異なるビームと左旋円偏波の複数の異なるビームとをそれぞれ簡易に切り替えて形成することができる。
【0060】
なお、無線機30の給電回路において、ビームのサイドローブがより低くなるチェビシェフ指向性を用いてもよい。
【0061】
また、本実施形態に係るアンテナ装置1は、例えば飛行体に搭載されてもよい。本実施形態に係るアンテナ装置1が飛行体に搭載される場合、飛行体に搭載されたアンテナ装置1のスイッチ回路10のスイッチ接続状態を切り替える操作スイッチを直接又は遠隔で操作することによって、飛行体が用いるビームをアンテナ装置1の複数の異なるビームの中から任意に選択することができる。これにより、飛行体に搭載する指向性アンテナを、所望のビームを形成する指向性アンテナに交換する作業が不要になる。
【0062】
なお、これにより、例えば飛行体を用いた無線通信システムにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1…アンテナ装置、ANT…アンテナ部、AN…アンテナ素子、10…スイッチ回路、12…不等電力分配器、30…無線機(給電回路)
図1
図2
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