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特開2024-82944船舶用汚水処理監視装置及び船舶用汚水処理監視方法
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  • 特開-船舶用汚水処理監視装置及び船舶用汚水処理監視方法 図1
  • 特開-船舶用汚水処理監視装置及び船舶用汚水処理監視方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082944
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】船舶用汚水処理監視装置及び船舶用汚水処理監視方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20230101AFI20240613BHJP
   B63J 4/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C02F3/12 A
C02F3/12 V
C02F3/12 P
B63J4/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197173
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】592187534
【氏名又は名称】株式会社 堀場アドバンスドテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】中岸 和也
(72)【発明者】
【氏名】羽島 雄大
【テーマコード(参考)】
4D028
【Fターム(参考)】
4D028AB00
4D028BB06
4D028BC18
4D028BC24
4D028BC28
4D028BD06
4D028BD12
4D028BD16
4D028BE00
4D028CA01
4D028CA11
4D028CB03
4D028CC04
4D028CC07
4D028CD01
4D028CE02
(57)【要約】
【課題】船舶における汚水処理の状況を監視することができる船舶用汚水処理監視装置を提供する。
【解決手段】船舶に積載されて、船舶で発生する汚水を微生物の活動によって処理する
汚水処理装置による汚水処理を監視するものであって、前記微生物によって処理される処理水の特性を検出することによって前記微生物の活動を検知する活動検知部を備える船舶用汚水処理監視装置。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に積載されて、船舶において発生する汚水を微生物の活動によって処理する汚水処理装置による汚水処理を監視するものであって、
前記微生物によって処理される処理水の特性を検出することによって前記微生物の活動を検知する活動検知部を備える船舶用汚水処理監視装置。
【請求項2】
前記活動検知部が、前記処理水の特性を連続的に検出するものである、請求項1に記載の船舶用汚水処理監視装置。
【請求項3】
汚水処理装置が微生物の活動によって汚水を処理する微生物処理槽と、前記微生物を沈殿物として除去する沈殿槽とを備えるものであり、
前記活動検知部が、処理中又は処理後の処理水に浸漬されて前記汚水又は前記処理水の特性を検出するセンサを備え、
前記センサが前記沈殿槽よりも後段を流れる処理水の特性を測定するものである、請求項1又は2に記載の船舶用汚水処理監視装置。
【請求項4】
前記センサによって特性を測定した後の処理水を微生物処理槽に戻す還流路を備えた前記汚水処理装置による汚水処理を監視する、請求項3に記載の船舶用汚水処理監視装置。
【請求項5】
前記センサが、DO計及び/又はORP計を備えるものである、請求項3又は4に記載の船舶用汚水処理監視装置。
【請求項6】
船舶で発生する汚水を船舶上で微生物の活動によって処理する汚水処理を監視する方法であって、前記微生物の活動を検知することを特徴とする船舶用汚水処理監視方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶用汚水処理監視装置及び船舶用汚水処理監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船舶の航行中には乗務員又は客員の排泄物を含むブラック水や、調理場や風呂場、洗濯場等からの排水を含むグレー水といった汚水が発生する。
そこで、例えば特許文献1に記載するように、限られたスペースで前述したような汚水を処理することができる船舶用の汚水処理装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-251383
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、たとえ船舶に前述したような汚水処理装置を積載したとしても、例えば外洋等の排水規制が比較的緩やかな水域においては、汚水処理装置を稼働させずに汚水をそのまま船外へ放出していてもこれを監視し規制する手段がないのが現状である。
そこで、船舶に積載される汚水処理装置を通過して船外に排出される処理水の水質を監視することができるような水質計を備えた装置の構築が求められており本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、船舶における汚水処理の状況を監視することができる船舶用汚水処理監視装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係る船舶用汚水処理監視装置は、船舶に積載されて、船舶で発生する汚水を微生物の活動によって処理する汚水処理装置から排出される処理水の水質を監視するものであって、前記微生物によって処理される処理水の特性を検出することによって前記微生物の活動を検知する活動検知部を備えることを特徴とする。
【0006】
このように構成した船舶用汚水処理装置によれば、汚水処理装置における微生物の活動を検知することができるので、船舶の航行中に常時汚水処理が適切に行われているかどうかを監視することができる。
【0007】
前記活動検知部が、前記処理水の特性を連続的に測定するものとすれば、一定期間毎に汚水や処理水を採取してセンサにより微生物の活動を検出する場合に比べて、微生物の経時的な活動をより詳しく知ることができる。
【0008】
船舶用汚水処理装置が微生物によって汚水を処理する微生物処理槽と、前記微生物を沈殿物として除去する沈殿槽とを備えるものであり、前記活動検知部が微生物による分解処理中又は分解処理後の処理水に浸漬されて前記汚水又は前記処理水の特性を検出するセンサを備え、前記センサが前記沈殿槽よりも後段を流れる処理水の特性を測定するものとすれば、微生物処理槽や沈殿槽にセンサを配置する場合よりも、汚れの付着や微生物による分解等の影響を抑えて前記センサの部品交換や掃除などのメンテナンスの回数を減らすことができる。
【0009】
前記センサによって特性を測定した後の処理水を微生物処理槽に戻す還流路を備えているものとすれば、汚水処理が適切に行われているかどうかを監視するだけでなく、適切に処理がされていないと判断された処理水を微生物処理槽に戻して再度汚水処理に供することができるので好ましい。
【0010】
具体的な実施態様としては、前記センサが、溶存酸素系(DO計)及び/又は酸化還元電位計(ORP計)であるものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、航行中の船舶において、汚水処理装置が適切な状態で稼働しているか、また船舶から排出される排水に問題がないものであるかどうかを監視することが可能である。
また、何らかの理由によって微生物の活動が低下している場合にユーザーに微生物の活動状況を知らせることによって、必要な時に適切なメンテンナンスを行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る船舶用汚水処理監視装置の全体模式図。
図2】本実施形態に係る船舶用汚水処理の監視方法についてのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
本実施形態に係る船舶用汚水処理監視装置100は、船舶に積載されて船舶において排出されるグレー水やブラック水等の汚水を、主に微生物の活動を利用することによって分解処理する船舶用汚水処理装置200から排出される処理水の水質を監視するものである。
そこで、以下ではまず船舶用汚水処理装置について説明する。
【0015】
<本実施形態に係る船舶用汚水処理装置の構成>
船舶用汚水処理装置200は、例えば図1及び図2に示すように、処理部1と、滅菌部2と、流通機構3とを備え、流通機構3により汚水を処理部1及び滅菌部2を経由させて汚水処理した後に船外へ排出するものである。
【0016】
処理部1は、例えば、微生物処理槽11とその下流に設けられた沈殿槽12とを備えるものである。
処理部1の入り口近傍には、微生物処理槽11に流れ込む前の汚水に含まれている野菜くずなどの比較的大きな混入物を漉しとる網目状のスクリーン1aが設けられていることが好ましい。なお、本実施形態においては、このスクリーンを通過した後の汚水については全て処理水と呼ぶこととする。
【0017】
微生物処理槽11は、微生物の活動によって汚水中の有機物を分解するいわゆる曝気槽である。本実施形態においては、微生物処理槽11中で好気性の微生物を活動させるために、微生物処理槽11の内部に生きた状態の好気性の微生物を配置し、さらに微生物処理槽11内に酸素をバブリングするバブリング装置11aを設けている。
微生物処理槽11の内部を仕切りによって上流側と下流側とで複数の区間に区切り、それぞれを上流側から順に第1曝気槽111、第2曝気槽112等とするものとしても良い。
微生物は微生物処理槽11に収容された処理水中に浮遊させておくものとしても良いし、支持体に付着させておくものとしても良い。
【0018】
沈殿槽12は、微生物処理槽11の下流に微生物処理槽11と連続して設けられる槽であり、微生物処理槽11から流れ込む処理水中の浮遊物質(Suspended Solids)を浮上又は沈殿させて除去する機能を担うものである。
汚水中の浮遊物質(SS)は懸濁物質とも呼ばれており、例えばJIS K0102工業排水試験方法においても「懸濁物質」として測定方法が定められているものである。SSは、水中に浮遊する粒径2mm以下の不溶解性物質の総称であり、沈降性の少ない粘土鉱物による微粒子、動植物プランクトンやその死骸・分解物・付着する微生物、下水、工場排水などに由来する有機物や金属固形物などを含むものである。
【0019】
滅菌部2は、沈殿槽12の下流に設けられて沈殿槽を通過した処理水中に残存している微生物を滅菌除去するものである。本実施形態においては、滅菌部2が、例えば、沈殿槽12の下流に沈殿槽12と連続して設けられた微生物除去槽21と、該微生物除去槽21中の処理水に対して微生物を死滅させる薬剤を添加したり微生物除去槽内の処理水の温度等を調節したりする滅菌手段22とを備えている。
【0020】
本実施形態においては、生きたままで処理水中とともに船外に排出される微生物をより確実に減らすために、滅菌部2が、前記微生物処理槽11の下流に配置されて処理水中の微生物を漉しとって除去するフィルター23と、処理水に対して紫外線を照射するUV照射器24と、をさらに備えるものとしている。
【0021】
流通機構3は、処理部に対して汚水を導入する導入流路31と、処理部1及び滅菌部2を経た処理水を船外に排出するための排出流路32と、これら導入流路31又は排出流路32における汚水又は処理水の流れを制御する流通制御部33とを備えるものである。
前記流通制御部33は、例えば、前述した導入流路31又は排出流路32上に設けられて汚水又は処理水の流れを作り出すポンプ331と該ポンプの動作を制御するポンプ制御部332とを備えるものである。
前記ポンプ制御部332は、例えば、CPU、メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、各種入出力機器等を備えるコンピュータCOMが、メモリに格納されているプログラムの実行により、ポンプ制御部332としての機能を発揮するように構成されている。
【0022】
<本実施形態に係る船舶用汚水処理監視装置の構成>
本実施形態に係る汚水処理監視装置100は、微生物の活動を検出する活動検知部4を備えるものである。
活動検知部4は、例えば、処理水に接触するように設けられて処理水の特性を検出するセンサ41と、該センサ41からの出力信号に基づいて微生物の活動に関連する値を算出する算出部42とを備えるものである。
【0023】
従来陸上で使用されている汚水処理装置においては、汚水処理装置から排出される所為水の性質を測定するセンサとして濁度計を用いることが一般的であるが、本実施形態においてはセンサ41として、例えば、処理水中の溶存酸素濃度を測定する溶存酸素計(DO計)を用いている。センサ41として、溶存酸素計の他に排出流路32を流れる処理水の流量を検出する流量センサを設けるようにしても良い。
センサ41として溶存酸素計を用いる場合には、算出部42が微生物処理槽11にバブリングされる酸素の量と処理水の流量から算出される推定溶存酸素濃度と、排出流路32に流れる処理水中の溶存酸素濃度の実測値との差を求めるものとしても良い。さらに、微生物が活動していない状態での微生物処理槽11と排出流路32中の処理水との溶存酸素濃度の相関関係式を予め求めておけば、前記差から微生物処理槽11における微生物の活動によって消費された酸素量を算出することが可能である。微生物の活動によって消費された酸素量が分かれば、微生物処理槽11における微生物の活動を検知することができる。
【0024】
微生物処理槽11に供給された酸素量と微生物の活動によって消費された酸素量が等しい場合や消費された酸素量の方が多い場合には、酸素供給量を増やすことによって微生物処理槽11における酸素が不足して微生物による有機物の分解処理が不十分となることをできるだけ回避することも可能である。
【0025】
センサ41としては、処理水の濁度を測定する濁度計やアンモニア濃度を測定するアンモニア計、硝酸計を用いることも可能である。なお、前記アンモニア計としては、アンモニウムイオンによる電位を測定するためのアンモニウムイオン電極だけでなく、アンモニウムイオンに対するカリウムイオンの干渉を補正するために用いられるカリウムイオンによる電位を測定するためのカリウムイオン電極と、基準電位を測定するための基準電極とを備えたものを使用することが好ましい。
また、本発明者が鋭意検討したところ、微生物処理槽11において微生物が有機物を分解すると酸化還元電位が高くなることが分かったので、前記センサ41として酸化還元電位を測定するORP計を用いることも可能である。OPR計は比較的安価であるので、センサとしてORP計を用いることによって船舶用汚水処理監視装置100の製造コストを抑えることができるので好ましい。
センサ41は前述したもののうちいずれか1つのみ設けるものとしても良いし、異なる種類又は同一種類のセンサを複数個併用するものとしても良い。
【0026】
前記センサは、例えば、前記排出流路32上に設けられた測定用貯留槽43内に貯留された処理水に浸漬可能な位置に設けられており、排出流路を流れる処理水の特性を連続的に測定することができるように構成してある。
これらセンサ41は、微生物の付着による汚れや微生物による分解等を抑えて各センサ41の寿命やメンテナンス期間をできるだけ長くするために、処理部1の沈殿槽12よりも下流において処理水と接触するように配置されていることが好ましい。センサ41は、具体的には、例えば、滅菌部2の微生物除去槽21中に配置されていても良いが、微生物を除くフィルター23又はUV照射器24よりもさらに下流に配置されていることがより好ましい。
【0027】
前記センサ41を複数種類備えるものとして、処理水の濁度などの光学的性質や、処理水のDO、ORP、アンモニア濃度等の電気化学的性質をより詳しく調べることによって、微生物の活動をより詳細に推定することができる。
例えば、前記センサ41として溶存酸素計とアンモニア計とを備え、これら各センサ41からの出力値と生物化学的酸素要求量(BOD)や化学的酸素要求量(COD)との相関関数を求めておくことによって、BODやCODを測定する精密機器を備えることなく、これらを算出部42において算出することも可能である。
【0028】
船舶用汚水処理監視装置100が、算出部が算出した微生物の活動に関連する値を表示する表示部6を備え、該表示部6にセンサによって検出され算出部によって算出された微生物の活動に関連する値を表示して微生物が十分に活動しているかどうかをユーザーが判断するものとすることができる。
【0029】
本実施形態においては、前記判断部5が微生物の活動が十分ではないと判断した場合や、微生物の活動が不十分となる可能性がある場合にユーザーに対してアラームを出力する報知部7をさらに備えるものとしている。このような構成とすることにより、前記判断部5が、微生物の活動が十分でないと判断した場合又は微生物の活動が不十分なものとなる可能性がある場合に、ユーザーが手動で流路を切り替えるなどによって、処理が不十分であると思われる処理水を船外に排出してしまうことを抑えることができる。
【0030】
なお、本実施形態においては、船舶用汚水処理装置200が備える流通機構3が、排出流路32上のセンサ41が配置されている部分よりも下流側の排出流路32から処理部1に処理水を還流させる還流路34を備えように構成している。
流通制御部33が排出流路32から還流路34に処理水の流れを切り替える切換え弁341と、この切換え弁341を制御する弁制御部342をさらに備えるように構成している。
【0031】
さらに、船舶用汚水処理監視装置100が、活動検知部4からの出力信号に基づいて、微生物が十分に活動しているかどうかを判断する判断部5を備え、該判断部5が、例えば、予め設定された閾値と活動検知部からの出力信号とを比較して微生物の活動が十分でないと判断した場合又は微生物の活動が不十分なものとなる可能性がある場合に、前述した流通機構3が備える流通制御部33に指令を出して、処理水が還流路34を経由して処理部1に戻るように排出流路32の接続先を切り替えるようにしている。前述した閾値は、例えば、コンピュータCOMが備える入力機器8を使用してユーザーが予め入力しておくものとすることもできるし、前記活動検知部4からの過去の出力信号に基づいて図示しない閾値設定部によりに設定や更新がされるものとしても良い。
なお、本実施形態において述べた算出部42や弁制御部342、判断部5についても、前述したポンプ制御と同様にコンピュータCOMがその機能を担うものとして構成されているが、船舶用汚水処理装置200と船舶用汚水処理監視装置100とがそれぞれ一台ずつ別々のコンピュータを備えているものとしても良い。
【0032】
<本実施形態の効果>
本発明に係る船舶用汚水処理監視装置100によれば、微生物の活動を検知する活動検知部4を備えているので、航行中に船舶用汚水処理装置200が適切な状態で稼働しているか、排出流路32から排出される排水に問題がないかどうかを監視することが可能である。
【0033】
船舶においては、陸上に比べて汚水処理装置200の周囲温度が高温となる場合がある。また、船舶においては汚水処理装置200の各槽や流路の洗浄に海水を用いる場合もある。このような環境においては、船舶用汚水処理装置200における微生物の活動が緩慢になってしまうことが懸念される。そのため、船舶においては、陸上における汚水処理に比べて微生物の活動状況を連続的に監視して、微生物の活動が低下する傾向がある場合には、早めに微生物の活動を活性化する対策を講じるなどの工夫が必要である。
【0034】
このような観点からも、本実施形態に係る船舶用汚水処理監視装置によれば、表示部や報知部を備えているので、何らかの理由によって微生物の活動が低下している場合にユーザーに微生物の活動状況や汚水処理の状況を知らせることによって、必要な時に適切なメンテンナンスを行うことも可能である。
【0035】
また、還流路34を設け、微生物の活動が不十分であると判断した場合に処理水を自動的に処理部1に還流するものとしているので、微生物によって十分に処理されたと判断された処理水のみを船舶から外部に排出することができる。
【0036】
<本発明に係るその他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
前記算出部によって算出された微生物の活動に関連する値に基づいて、例えば、前記判断部が前記微生物処理槽に酸素を供給するバブリング装置に指令を出して、バブリング装置が酸素のバブリング量を増減するようにしても良い。
【0037】
記録部を備えて、前記活動検知部によって検知した微生物の活動に関連する値を記録しておくようにしても良い。
【0038】
前述した実施形態においては、船舶用汚水処理装置が備える還流路及び処理水の流れる流路を該還流路に切り替えるためのバルブを、船舶用汚水処理監視装置が制御して処理水を還流させる場合について説明したが、汚水処理装置が前述したような還流路やバルブを備えない場合には、これらバルブや還流路を汚水処理監視装置が備えるものとしても良い。
【0039】
前記実施形態においては、センサが連続的に処理水の特性を測定するものについて説明したが、センサが一定期間毎に処理水の特性を測定するものとしても良い。
また、センサは、前記排出流路上に直接設けられていても良いし、前記排出流路から分岐するバイパス流路(不図示)を設けて、このバイパス流路上に設けられるものとしても良い。
【0040】
前述した実施形態においては、汚水処理装置が備える滅菌部について、滅菌処理槽と滅菌手段、フィルター及びUV照射器を備えるものを説明したが、これらを全て備える必要はなく、これらのうちの何れか1つ以上を備えるものとすればよい。
また、船舶用汚水処理監視装置は、少なくとも活動検知部を備えていればよく、表示部、報知部などその他の構成は必ずしも必要ではない。また、前述した表示部が報知部としての機能を兼ねるもの等として構成をできるだけ簡単にすることも可能である。
【0041】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
100・・・船舶用汚水処理監視装置
200・・・船舶用汚水処理装置
1 ・・・処理部
11 ・・・微生物処理槽
12 ・・・沈殿槽
2 ・・・微生物除去部
3 ・・・流通機構
31 ・・・導入流路
32 ・・・排出流路
33 ・・・流通制御部
34 ・・・還流路
4 ・・・活動検知部
41 ・・・センサ
42 ・・・算出部
5 ・・・判断部
6 ・・・表示部
7 ・・・報知部
8 ・・・入力機器

図1
図2