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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082945
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/06 20060101AFI20240613BHJP
   F15B 15/14 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F15B15/06 E
F15B15/14 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197174
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 健
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム ソングァン
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA05
3H081AA33
3H081BB03
3H081CC23
3H081DD13
3H081HH04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シリンダ装置の全長を抑制する。
【解決手段】シリンダ装置10は、第1ピストン20を有する第1シリンダ室26と、第2ピストン22を有する第2シリンダ室28と、第1ピストン20に連結された第1ロッド46と、一部が第1ロッド46と径方向に重なり、ボディ12から突出する第2ロッド48と、第1ロッド46の軸方向の一部の変位を第2ロッド48の回転方向の変位に変換し、第1ロッド46の軸方向の他の一部の変位を第2ロッド48の軸方向の変位として伝達する変換機構23と、を備え、第2ピストン22は、第2ロッド48に連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ピストンを有する第1シリンダ室と、
第2ピストンを有する第2シリンダ室と、
前記第1ピストンに連結された第1ロッドと、
一部が前記第1ロッドと径方向に重なり、ボディから突出する第2ロッドと、
前記第1ロッドの軸方向の一部の変位を前記第2ロッドの回転方向の変位に変換し、前記第1ロッドの軸方向の他の一部の変位を前記第2ロッドの軸方向の変位として伝達する変換機構と、を備え、
前記第2ピストンは、前記第2ロッドに連結されている、シリンダ装置。
【請求項2】
請求項1記載のシリンダ装置であって、前記変換機構は、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に位置する、シリンダ装置。
【請求項3】
請求項1記載のシリンダ装置であって、前記第2シリンダ室の軸方向の長さは、前記第1シリンダ室の軸方向の長さよりも短い、シリンダ装置。
【請求項4】
請求項1記載のシリンダ装置であって、前記第2シリンダ室は、前記第2ピストンよりも大きな内径を有し、押出端位置の前記第2ピストンを前記第2シリンダ室の内周面から離間させる拡径部を有する、シリンダ装置。
【請求項5】
請求項4記載のシリンダ装置であって、前記拡径部は、前記押出端位置の前記第2ピストンの軸方向の両側の空室に連通する、シリンダ装置。
【請求項6】
請求項1記載のシリンダ装置であって、
前記第2シリンダ室の引込端位置に向かう第1方向の端部に開口する第1ポートと、
前記第2シリンダ室の押出端位置に向かう第2方向の端部に開口する第2ポートと、を有する、シリンダ装置。
【請求項7】
請求項6記載のシリンダ装置であって、前記第2ポートは、前記押出端位置の前記第2ピストンのパッキンよりも前記第1方向にずれた位置で前記第2シリンダ室に開口する、シリンダ装置。
【請求項8】
請求項6記載のシリンダ装置であって、前記第2シリンダ室は、内周面に前記第2ポートから供給された流体を前記第2ピストンよりも前記第1方向側に逃がすリーク流路を有する、シリンダ装置。
【請求項9】
請求項8記載のシリンダ装置であって、前記リーク流路は、前記第2シリンダ室の前記内周面に軸線方向に延びて形成された溝である、シリンダ装置。
【請求項10】
請求項6記載のシリンダ装置であって、
前記第1シリンダ室の前記第1方向側に開口する第1流体給排部と、
前記第1シリンダ室の前記第2方向側に開口する第2流体給排部と、を備え、
前記ボディは、前記第2流体給排部と前記第2ポートとを接続する接続流路を有する、シリンダ装置。
【請求項11】
請求項6記載のシリンダ装置であって、前記第2ピストンは前記第2ロッドに対して回転可能に連結されている、シリンダ装置。
【請求項12】
請求項10又は11記載のシリンダ装置であって、
前記第2ピストンの外周部に設けられ、前記第2ピストンの押出端位置において前記第2ポートよりも前記第1方向側に位置する第1パッキンと、
前記第2ピストンの前記外周部に設けられ、前記第2ピストンの前記押出端位置において前記第2ポートよりも前記第2方向側に位置する第2パッキンと、を有する、シリンダ装置。
【請求項13】
請求項10又は11記載のシリンダ装置であって、
前記第2ロッドが挿通するカバー孔を有するロッドカバーと、
前記カバー孔と前記第2ロッドとの隙間により形成され、前記第2ポートと前記第2シリンダ室とを流体的に接続するカバー流路と、
前記第2ロッドの前記第2方向のストロークエンドにおいて前記カバー流路を塞ぎ、前記第2ロッドが前記第1方向に移動すると前記カバー流路と前記第2シリンダ室とを開通させる封止パッキンと、を有するシリンダ装置。
【請求項14】
請求項10又は11記載のシリンダ装置であって、
前記第2ロッドが挿通するカバー孔を有するロッドカバーと、
前記カバー孔と前記第2ロッドとの隙間により形成され、前記第2ポートと前記第2シリンダ室とを流体的に接続するカバー流路と、
前記カバー流路に配置され、前記第2ロッドと共に回転し、前記第2ロッドが所定角度に位置した際に、前記カバー流路を開通させる回転バルブと、を有するシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドを軸方向と回転方向とに変位させるシリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の自動化ラインにおいて、対象物のクランプにクランプシリンダ(シリンダ装置)が用いられている。このようなシリンダ装置は、ロッドの押出端での旋回動作とロッドの引込端に向けた軸方向の直線動作とを利用して対象物をクランプする。
【0003】
クランプに用いられるシリンダ装置は、ピストンの軸方向の変位を、ロッドの直線変位と、回転方向の変位と、に変換する変換機構を備える(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-227223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリンダ装置において、対象物を押さえつけるクランプ力の増強が求められる場合がある。このような場合には、シリンダ装置に増力ピストンを追加して、2つのピストンでロッドを駆動する増力機構が用いられる。
【0006】
しかし、従来の増力機構では、2つのピストンが等しいストローク長さで駆動するため、シリンダ装置の全長が長くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の開示の一観点は、第1ピストンを有する第1シリンダ室と、第2ピストンを有する第2シリンダ室と、前記第1ピストンに連結された第1ロッドと、一部が前記第1ロッドと径方向に重なり、ボディから突出する第2ロッドと、前記第1ロッドの軸方向の一部の変位を前記第2ロッドの回転方向の変位に変換し、前記第1ロッドの軸方向の他の一部の変位を前記第2ロッドの軸方向の変位として伝達する変換機構と、を備え、前記第2ピストンは、前記第2ロッドに連結されている、シリンダ装置にある。
【発明の効果】
【0009】
上述の観点のシリンダ装置は、第2ピストンのストローク長さを第2ロッドのストローク範囲に抑制できるため、シリンダ装置の全長を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係るシリンダ装置の断面図である。
図2図2は、図1のシリンダ装置の分解状態の斜視図である。
図3図3Aは、図1のシリンダ装置の第1ロッドと第2ロッドと第1ピン溝と、第2ピン溝との配置関係を示す説明図であり、図3Bは、第2ロッドの変位切換溝と回転溝と、支持ピンと、リンクピンとの位置関係を平面に展開して示す模式図である。
図4図4Aは、図1のシリンダ装置のロッドが押出端に位置する状態(押出端位置)での断面図であり、図4Bは、図4Aの状態における支持ピンの変位切換溝での位置と、リンクピンの回転溝での位置とを示す模式図である。
図5図5Aは、図1のシリンダ装置のロッドの回転が終了した状態(回転終了位置)での断面図であり、図5Bは、図5Aの状態における支持ピンの変位切換溝での位置と、リンクピンの回転溝での位置とを示す模式図である。
図6図6Aは、図1のシリンダ装置のロッドが引込端に位置する状態(引込端位置)での断面図であり、図6Bは、図6Aの状態における支持ピンの変位切換溝での位置と、リンクピンの回転溝での位置とを示す模式図である。
図7図7Aは、第1実施形態の第1変形例に係るシリンダ装置の断面図であり、図7Bは、第1実施形態の第2変形例に係るシリンダ装置の断面図である。
図8図8は、第1実施形態の第3変形例に係るボディの斜視図である。
図9図9は、第2実施形態に係るシリンダ装置の断面図である。
図10図10は、第2実施形態の変形例に係るシリンダ装置の断面図である。
図11図11Aは、第3実施形態に係るシリンダ装置の断面図であり、図11Bは、図11Aのシリンダ装置の回転終了位置での断面図である。
図12図12Aは、第3実施形態の第1変形例に係るシリンダ装置の断面図であり、図12Bは、第3実施形態の第2変形例に係るシリンダ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1に示される、本実施形態に係るシリンダ装置10は、クランプシリンダである。シリンダ装置10は、例えば、自動化ラインにおいて加工対象となるワークを固定するために使用される。シリンダ装置10は、ボディ12から突出したロッド14を備える。ロッド14は、押出端(アンクランプ端)において旋回動作を行うと共に、旋回動作の後に引込端(クランプ端)に向けて直線的な変位を行う。なお、本明細書においてロッド14の延在方向は軸方向とも呼ばれる。また、軸方向において、引込端に向かう方向は第1方向とも呼ばれ、押出端に向かう方向は第2方向とも呼ばれる。
【0012】
図1及び図2に示されるように、シリンダ装置10は、ボディ12(シリンダチューブ)と、ロッド14と、ロッドカバー16と、隔壁部材18と、第1ピストン20と、第2ピストン22と、変換機構23と、を備える。
【0013】
ボディ12は、直方体状の外形形状を有する筒状の部材である。ボディ12は、内部に断面が円形のシリンダ室24を有する。シリンダ室24は、軸方向に延在する。シリンダ室24は、隔壁部材18によって、図1に示されるように、第1シリンダ室26と、第2シリンダ室28とに仕切られている。シリンダ室24の第1方向の端部はボディ12の端部壁30によって閉塞されている。ボディ12は、例えば、金属又は樹脂等の材料によって形成されている。
【0014】
図2に示されるようにボディ12は、第1方向寄りに位置する第1ボディ12aと、軸方向の第2方向寄りに位置する第2ボディ12bとを有する。第1ボディ12aと第2ボディ12bとは、締結ロッド31(タイロッド)によって軸方向に連結される。第1ボディ12aは、内部に第1シリンダ室26を有する。第1シリンダ室26の第1方向の端部は第1ボディ12aの端部壁30によって閉塞されている。
【0015】
第1ボディ12aは、第1シリンダ室26に流体を給排するべく、第1流体給排部32と第2流体給排部34とを有する。第1流体給排部32は、第1シリンダ室26の第1方向の端部又はその近くに開口する。第1流体給排部32は、外部配管を通じて第1シリンダ室26の第1方向側の空室26aに圧力流体を給排する。第2流体給排部34は、第1シリンダ室26の第2方向の端部又はその近くに開口する。第2流体給排部34は、外部配管を通じて第1シリンダ室26の第2方向側の空室26bに圧力流体を給排する。
【0016】
第2流体給排部34からは、第1接続流路36aが分岐して延び出ている。第1接続流路36aは、第1ボディ12aの内部に形成された流路であり、第2方向に向けて延在する。第1接続流路36aは、第1ボディ12aの第2方向の端部で、第2ボディ12bの第2接続流路36bに連通する。
【0017】
第2ボディ12bは、図2に示されるようにシリンダ室24の一部を構成する貫通孔24aを有する。図1に示されるように、貫通孔24aは、第1方向の端部が隔壁部材18で塞がれ、第2方向の端部がロッドカバー16で塞がれている。隔壁部材18とロッドカバー16との間に、第2シリンダ室28が形成される。さらに、第2ボディ12bは、第2シリンダ室28に連通する第1ポート38と第2ポート40と、第2接続流路36bとを有する。第1接続流路36a及び第2接続流路36bは、第2シリンダ室28に流体を給排する接続流路36を構成する。
【0018】
第2接続流路36bは、第2ボディ12bの内部を軸方向に延びる流路である。第2接続流路36bの第1方向の端部は、第1接続流路36aに接続されている。第2接続流路36bの第2方向の端部は、第2ポート40に接続される。
【0019】
第1ポート38は、第2シリンダ室28の第1方向の端部又はその近傍で開口する。本実施形態において、第1ポート38は、外部と連通した呼吸孔であり、第2ピストン22の第1方向側の空室28aを大気圧に保つ。第2ポート40は、接続流路36(第1接続流路36a及び第2接続流路36b)を通じて第2流体給排部34に連通する。第2ポート40は、第2シリンダ室28の第2方向の端部又はその近傍に開口する。第2ポート40は、第2流体給排部34を通じて第2ピストン22の第2方向側の空室28bに圧力流体を給排する。
【0020】
第2シリンダ室28は、第2方向の端部付近に、拡径部42を有する。拡径部42は、第2シリンダ室28の周方向に全周に亘って延在する溝形状を有する。拡径部42の内径は、第2ピストン22及びパッキン22aの外径よりも大きい。拡径部42は、第2ピストン22が第2方向のストローク端部(押出端位置)に位置する状態において、第2ピストン22の外周に位置する。拡径部42は、第2方向のストローク端部(押出端位置)の第2ピストン22から離間する。拡径部42と第2ピストン22との隙間は、第2ポート40の圧力流体を空室28a側に漏洩させるリーク流路44を形成する(図5A参照)。拡径部42は、第2ピストン22の押出端位置において、第2ピストン22の両側の空室28a及び空室28bに連通する。
【0021】
ロッドカバー16は、図1に示されるように断面がT字状の形状を有する。ロッドカバー16は、中心部にカバー孔16aを有する。カバー孔16aには、ロッド14(第2ロッド48)が挿通する。カバー孔16aは、第2ロッド48を軸方向及び回転方向に変位可能に支持する。ロッドカバー16は、さらに、ロッドブッシュ16bと、ロッドパッキン16cと、を有する。ロッドブッシュ16bは、カバー孔16aに配置される。ロッドブッシュ16bは、ロッド14の外周面と摺動して、ロッド14の軸方向に沿った変位を案内する。ロッドパッキン16cは、カバー孔16aに沿った流体の漏洩を阻止する。
【0022】
隔壁部材18は、図2に示されるように円筒状の部材であり、外周部にシリンダ室24に密着する外周面18aを有する。隔壁部材18は、図示しない止めネジによって、ボディ12に対して軸方向及び回転方向に変位不能に固定されている。
【0023】
図1に示されるように、隔壁部材18は、その中心に軸方向に貫通する貫通孔45を有する。貫通孔45は、隔壁孔45aと収容孔45bとを有する。隔壁孔45aは、第1方向側に位置し、第1ロッド46と同等又はわずかに大きな内径を有する。隔壁孔45aは、第1ロッド46を軸線方向に変位可能に挿通させる。隔壁孔45aには、パッキンが設けられており、第1ロッド46の外周面に沿った流体の漏洩を阻止する。収容孔45bは、隔壁孔45aの第2方向側に位置し、隔壁孔45aと繋がっている。収容孔45bは、隔壁孔45aよりも大きな内径を有する。収容孔45bは、第2ロッド48を軸方向に変位可能に収容できる内径を有する。収容孔45bの第2方向の端部は、第2シリンダ室28に向けて開口する。
【0024】
隔壁部材18は、隔壁部材18の第2方向の端部の近くに位置する保持孔18bを有する。保持孔18bは、隔壁部材18を径方向に貫通する孔であり、支持ピン56を保持する。支持ピン56は、軸方向と垂直な径方向に延びた円柱状の棒として形成される。隔壁部材18は、ボディ12に対して支持ピン56を回転方向及び軸方向に変位不能に保持する。
【0025】
第1ピストン20は、第1シリンダ室26に配置される。第1ピストン20は、外周部にパッキン20aを有し、第1シリンダ室26を第1方向側の空室26aと第2方向側の空室26bとに仕切る。第1ピストン20は、空室26aと空室26bとの圧力差によって第1シリンダ室26に沿って軸方向に変位する。
【0026】
第2ピストン22は、第2シリンダ室28に配置される。第2ピストン22は、外周部にパッキン22aを有する。第2ピストン22は、第2シリンダ室28に沿って軸方向に変位する。第1ピストン20及び第2ピストン22には、ロッド14が接続される。
【0027】
ロッド14は、第1ロッド46と、第2ロッド48とを有する。第1ロッド46は、ボディ12の中心軸に沿って配置され、第1方向の端部が第1ピストン20に連結される。第1ロッド46は、第1ピストン20と共に変位する。第1ロッド46は、第1ピストン20から第2方向に向けて延在する。第1ロッド46は、隔壁部材18の隔壁孔45aを挿通し、第2シリンダ室28に向けて延在する。第1ロッド46の一部は、第2ロッド48の円筒部48bの軸孔60に収容される。第1ロッド46は、第2ロッド48と径方向に重複する。第1ロッド46は、第2ロッド48の外周側から径方向に重複してもよい。第1ロッド46は、第2ロッド48との重複部分に、第1ピン溝52と、ピン孔54とを有する。
【0028】
第1ピン溝52は、図1及び図2に示されるように、軸方向と直交する径方向に第1ロッド46を貫通する。第1ピン溝52は、側方から見て軸方向にスリット状に延在する。第1ピン溝52の軸方向の長さは、第1ピストン20のストローク長さと同等又はそれ以上に設定される。図1に示されるように、第1ピン溝52には、隔壁部材18に支持された支持ピン56が挿通する。支持ピン56は、ボディ12に対して軸方向及び回転方向に固定されている。従って、第1ロッド46は、支持ピン56及び第1ピン溝52によって、回転方向の変位が規制され、軸方向にのみ変位可能である。
【0029】
ピン孔54は、第1ピン溝52の第1方向側に離れて位置する。ピン孔54は、第1ロッド46を径方向に貫通する。ピン孔54は、リンクピン58が挿通する。ピン孔54の貫通方向は、第1ピン溝52の貫通方向と周方向に90°ずれている。従って、ピン孔54は、リンクピン58を支持ピン56と直交する向きに挿通させる。
【0030】
第2ロッド48は、第1ロッド46の第2方向側に配置される。第2ロッド48は、ボディ12の軸方向に沿って配置され、第2シリンダ室28を軸方向に貫通する。第2ロッド48は、ボディ12から突出するロッド部48aと、ロッド部48aの第1方向側に位置する円筒部48bとを有する。ロッド部48aは、ロッドカバー16のカバー孔16aに挿通される。ロッド部48aは、ロッドカバー16から突出する。
【0031】
円筒部48bは、ロッド部48aの第1方向側に位置する。円筒部48bは、ロッド部48aよりも大きな直径を有する、円筒状の部分である。円筒部48bは、内部に断面が円形の軸孔60を有する。軸孔60は、軸方向に延び、第1方向の端部において開口する。軸孔60は、第1ロッド46を軸方向に変位可能に収容する。円筒部48bには、第2ピストン22が連結されている。本実施形態では、第2ピストン22と第2ロッド48とは一体的に繋がって形成されており、第2ピストン22は、第2ロッド48に対して回転方向に変位不能となっている。
【0032】
図3Aに示されるように、円筒部48bは、支持ピン56が挿通する変位切換溝62と、リンクピン58が挿通する回転溝64とを有する。変位切換溝62及び回転溝64は、円筒部48bの外周面から軸孔60までを径方向に貫通する。図3Bに示されるように、変位切換溝62は、周方向に180°間隔をあけて2つ設けられている。また、回転溝64も周方向に180°間隔をあけて2つ設けられている。
【0033】
変位切換溝62は、軸方向に延在する軸方向部62aと、軸方向部62aの第1方向の端部から周方向に向けて延びる周方向部62bとを有する。すなわち、変位切換溝62は、側面視でL字形状を有する。軸方向部62aの軸方向の長さL1は、例えば、第1ピストン20のストローク長さの1/2に設定される。周方向部62bは、第2ロッド48の旋回運動に求められる回転角度(例えば、90°)の角度範囲に延在する。
【0034】
回転溝64は、軸方向に対して所定角度で傾斜して延在する。回転溝64の軸方向の長さL2は、第1ピストン20のストローク長さの1/2に設定される。回転溝64の周方向の角度範囲は、第2ロッド48の旋回運動に求められる回転角度の角度範囲に延在する。すなわち、回転溝64の周方向の角度範囲は、変位切換溝62の周方向部62bの角度範囲と同じである。ただし、回転溝64は、周方向部62bに対して周方向に90°ずれた位置に配置される。また、回転溝64は、変位切換溝62に対して、第1方向に離間して配置される。
【0035】
変換機構23は、支持ピン56と、リンクピン58と、変位切換溝62と、回転溝64とにより構成される。支持ピン56は、ボディ12に対して軸方向及び回転方向に変位しない。支持ピン56は、変位切換溝62に挿入される。リンクピン58は、ボディ12に対して軸方向に変位可能である一方で、回転方向に変位しない。リンクピン58は、回転溝64に挿入されている。
【0036】
変位切換溝62及び回転溝64は、第2ロッド48と共に、ボディ12に対して軸線方向及び回転方向に変位する。変位切換溝62及び回転溝64は、リンクピン58の軸線方向の一部の変位を第2ロッド48の回転方向の変位に変換する。また、変位切換溝62及び回転溝64は、リンクピン58の軸線方向の他の一部の変位を第2ロッド48の軸線方向の変位に変換する。
【0037】
第1ピストン20が第1方向の端部に位置する状態(引込端位置)において、支持ピン56及びリンクピン58は、図3Bに示す位置に配置される。すなわち、支持ピン56は、軸方向部62aの第2方向の端部に位置し、リンクピン58は回転溝64の第1方向の端部に位置する。
【0038】
本実施形態のシリンダ装置10は以上のように構成され、以下その動作について説明する。
【0039】
シリンダ装置10は、図1に示す引込端位置から、図4Aに示される押出端位置への復帰動作を行う。復帰動作は、第1流体給排部32に圧力流体源66を接続し、第2流体給排部34を排気部68に接続して行われる。これにより、第1ピストン20が第2方向に向けて駆動され、第1ピストン20が第1シリンダ室26の第2方向の端部で停止する。第1ロッド46によって第2ロッド48が第2方向に駆動され、第2ピストン22が第2シリンダ室28の第2方向の端部(押出端位置)に配置される。
【0040】
押出端位置では、第2ロッド48が第2方向に突出し、かつ、図1の状態から周方向に90°回転した状態となる。図4Bに示されるように、支持ピン56は、変位切換溝62の周方向部62bの端部に位置する。また、リンクピン58は、回転溝64の第2方向の端部に位置する。また、第2ピストン22は、第2シリンダ室28の拡径部42に位置する。
【0041】
次に、シリンダ装置10の第2ロッド48のクランプ動作が行われる。クランプ動作は、押出端でのロッド14の旋回動作と、引込端に向けたロッド14の直線的な引込動作とを含む。図5Aに示されるように、クランプ動作は、動作切換弁70を通じて第1流体給排部32に排気部68を接続し、第2流体給排部34に圧力流体源66を接続して行われる。第2流体給排部34を通じて、第1シリンダ室26の空室26bに圧力流体が供給され、第1ピストン20が第1方向に変位する。第1ロッド46は、第1ピストン20と共に、第1方向に変位する。
【0042】
その結果、第1ピストン20は、図4Aの押出端位置から図5Aの状態(回転終了位置)に移行する。その間、第2ロッド48の回転変位(旋回動作)が行われる。図5Bに示されるように、第1ロッド46の第1方向への変位により、リンクピン58が第1方向に移動する。リンクピン58の周方向の位置は、一定なので、リンクピン58の第1方向への移動に伴って、回転溝64がリンクピン58に追従するように回転する。その結果、第2ロッド48の全体が周方向に-90°回転し、ロッド14の旋回動作が行われる。なお、第2ロッド48の軸線方向の変位は、周方向部62bに位置する支持ピン56によって阻止される。従って、支持ピン56が軸方向部62aに移動するまでの間、第2ロッド48及び第2ピストン22は第2方向の端部に位置したまま回転し続ける。
【0043】
第2ロッド48の回転に伴って、第2ピストン22が第2ロッド48と共に回転する。本実施形態では、第2ピストン22の回転は、拡径部42で行われる。拡径部42は、第2ピストン22及びそのパッキン22aとの回転動作時の摩擦抵抗を抑制する。従って、第2ロッド48はより小さな力で回転することができる。そのため、拡径部42は、回転運動を発生させる回転溝64とリンクピン58との摩耗を抑制する。
【0044】
また、拡径部42は、図5Aに示されるように、第2ピストン22の外周部との間に、第2ポート40の流体を空室28a側に逃がすリーク流路44を形成する。リーク流路44は、第2ピストン22が回転運動を行う間、第2ピストン22の駆動力の発生を防止する。このため、拡径部42は、第2ピストン22の回転運動中の増圧力の発生を防止することで、支持ピン56と周方向部62bとの摩耗を防止する。このような拡径部42を設けることにより、変換機構23の摩耗を防ぐことができ、シリンダ装置10の寿命を延ばすことができる。
【0045】
次に、シリンダ装置10のロッド14の直線的な引き込み動作が行われる。図6Aに示されるように、この動作では、第2ロッド48が、第1ロッド46と共に第1方向に変位する。図6Bに示されるように、第1ロッド46の第1方向への変位は、リンクピン58及び回転溝64を介して第2ロッド48に伝えられる。また、支持ピン56は、変位切換溝62の軸方向部62aに位置するため、第2ロッド48の軸方向への変位を妨げない。そのため、第2ロッド48は、第1方向に引き込まれるように変位を開始する。
【0046】
第2ロッド48が、第1方向に所定距離変位すると、第2ピストン22のパッキン22aが拡径部42を乗り越えて拡径部42の第1方向側に移動する。その結果、第2ピストン22が第2シリンダ室28を液密及び気密に仕切る。第2ポート40から流入する流体によって、空室28bの圧力が空室28aの圧力よりも増加し、第2ピストン22には、第1方向への駆動力が発生する。その結果、第2ロッド48は、第1ピストン20の駆動力と、第2ピストン22の駆動力とによって第1方向に引き込まれるように変位する。その際に、ロッド14は、より大きな駆動力を発生させる。
【0047】
以上のような本実施形態のシリンダ装置10は、第2ロッド48に第2ピストン22を連結するため、第2ピストン22のストローク範囲は、第2ロッド48のストローク範囲ですむ。従って、本実施形態は、第2ロッド48を収容する第2シリンダ室28の軸方向の長さが短くてすみ、第1ロッド46に第2ピストン22を連結する場合よりも、シリンダ装置10の全長を短くできる。
【0048】
(第1実施形態の第1変形例)
図7Aは、第1変形例に係るシリンダ装置10の押出端位置での第2シリンダ室28及び第2ピストン22を示している。本変形例では、押出端位置において、第2シリンダ室28の第2ポート40の開口の位置が図1図6Bに示す第2ポート40よりも第1方向側にずれて位置する。このような配置の第2ポート40は、ロッド14の回転変位の間、第2ピストン22に増力用の駆動力が発生するのを防止して、変位切換溝62の摩耗を防止できる。
【0049】
また、本変形例では、第2ピストン22のパッキン22aとしてVパッキンが好適に採用される。Vパッキンは、Vの字の先端部が第1方向を向くように配置される。Vパッキンは、第2方向側の空室28bに圧力が加わるまで、閉じた状態に維持されるため、拡径部42を設けなくても第2ピストン22の回転の際の摩擦抵抗を抑制できる。従って、本変形例において、第2シリンダ室28には拡径部42が設けられていなくてもよい。
【0050】
本変形例は、第2ピストン22のパッキン22aが第2ポート40よりも第1方向側に変位すると、第2ピストン22に第1方向に向けた駆動力を発生できる。本変形例のシリンダ装置10は、拡径部42が不要となるため、構造が簡素化される。
【0051】
(第1実施形態の第2変形例)
図7Bに示される本変形例は、第2ポート40の位置において、第1変形例(図7A)と異なる。本変形例では、第2ポート40は、パッキン22aの外周側の頂部よりもわずかに第1方向側に位置する。本変形例においても、パッキン22aと第2シリンダ室28との隙間がリーク流路44となるため、第2ピストン22の回転の際の増圧力の発生を防止できる。
【0052】
(第1実施形態の第3変形例)
本変形例のシリンダ装置10は、図8に示されるように、第2シリンダ室28の内周面に、拡径部42に連通する軸方向溝72を有する。軸方向溝72は、第2ピストン22が押出端位置に位置する状態で、第2ポート40の流体をリークさせるリーク流路44を構成する。本変形例のシリンダ装置10は、第2ピストン22の回転動作中の増圧力の発生を防止できる。なお、図示の例は拡径部42と軸方向溝72とを設けた例を示したが、本変形例はこれに限定されない。拡径部42が設けられず、軸方向溝72が第2ポート40と連通するように設けられてもよい。
【0053】
(第2実施形態)
図9に示す本実施形態のシリンダ装置10Aは、第2ロッド48に対して回転可能な第2ピストン22Aを備えている点で、図1のシリンダ装置10と異なる。なお、図9のシリンダ装置10Aにおいて、図1のシリンダ装置10と同様の構成には同一の符号を付してその詳細な説明は省略される。
【0054】
第2ピストン22Aは、中心部に、第2ロッド48が挿通可能な取付孔74を有する。取付孔74は、第2ピストン22Aを軸方向に貫通する。取付孔74は、その内周部に、パッキン装着溝76と、ストッパ取付溝78とを有する。パッキン装着溝76は、取付孔74の軸方向の中央付近に形成され、パッキン80を収容する。パッキン80は、第2ピストン22Aの内周部と円筒部48bとの隙間に沿った流体の漏洩を阻止する。
【0055】
ストッパ取付溝78は、第2ピストン22Aの第2方向の端部に位置する。ストッパ取付溝78は、リング状のストッパ82と、留め具84とを収容する。ストッパ82及び留め具84は、第2ロッド48の外周面に形成された係合溝86に係合する。ストッパ82及び留め具84は、第2ピストン22Aの第2ロッド48に対する軸方向の変位を阻止する。
【0056】
本実施形態の第2ピストン22Aは、第2ロッド48に対して回転可能であり、押出端位置において、第2ロッド48の回転変位に追従しない。そのため、第2シリンダ室28の内周面には拡径部42(図1参照)は不要となっている。本実施形態のシリンダ装置10Aは、拡径部42を設けなくてもリンクピン58と回転溝64との摩耗を防止でき、構造を簡素化できる。
【0057】
(第2実施形態の変形例)
図10に示されるように、本変形例は、図9に示す第2ピストン22Aを備える。本変形例の第2ピストン22Aは、外周部に、軸方向に離れて配置された第1パッキン88及び第2パッキン90を有する。図示のように、第2ピストン22Aが第2方向のストローク端部(押出端位置)に位置するときに、第1パッキン88は、第2ポート40と空室28aとの間に配置され、第2パッキン90は第2ポート40と空室28bとの間に配置される。
【0058】
第2ロッド48が回転変位を行う際に、第1パッキン88は、空室28aへの流体の漏洩を防止する。また、第2パッキン90は空室28bへの流体の漏洩を防止して、増力用の駆動力の発生を防止する。
【0059】
従って、本変形例のシリンダ装置10Aは、第2シリンダ室28を通じた流体の漏洩を防ぐことで流体の消費量を抑制でき、消費エネルギーを削減できる。
【0060】
(第3実施形態)
図11A及び図11Bに示される本実施形態のシリンダ装置10Bは、第2ポート40Bがロッドカバー16Bのカバー孔16aに開口している。なお、図11A及び図11Bのシリンダ装置10Bにおいて、図9のシリンダ装置10Aと同様の構成には同一の符号を付してその詳細な説明は省略される。
【0061】
図11Aに示されるように、シリンダ装置10Bは、ロッドカバー16Bと、回転バルブ92と、を有する。ロッドカバー16Bは、第2ポート40Bと、カバー流路94とを有する。カバー流路94は、カバー孔16aの内径を拡大した部分であり、カバー孔16aの第1方向側に位置する。カバー流路94の内径は、第2ロッド48の円筒部48bの外径よりも大きい。カバー流路94の第1方向側の端部は、第2シリンダ室28(空室28b)に向けて開口する。
【0062】
第2ポート40Bは、ロッドカバー16Bの内部に形成された径方向に延びる流路として形成されている。第2ポート40Bは、ボディ12の周方向の所定位置に配置される。第2ポート40Bの内周側の端部は、カバー流路94の内周面に開口する。ロッドカバー16Bは、外周部に周方向溝41を有する。周方向溝41は、接続流路36の一端と向かい合う位置に配置され、接続流路36と連通する。周方向溝41は、ロッドカバー16Bの周方向の全周に亘って延在する。第2ポート40Bは、周方向溝41を介して接続流路36に連通する。
【0063】
回転バルブ92は、第2ロッド48の円筒部48bに取り付けられた円筒状の部材である。回転バルブ92は、円筒部48bの第2方向の端部に位置し、円筒部48bの外周部に取り付けられている。回転バルブ92は、第2ロッド48と一体的に回転方向及び軸方向に変位する。第2ロッド48が押出端位置に位置する状態において、回転バルブ92はカバー流路94に収容される。回転バルブ92は、カバー流路94の内周面と密着して、第2ポート40Bと第2シリンダ室28との連通を阻止する。
【0064】
図11Bに示されるように、回転バルブ92は、周方向の所定位置に軸線方向に延びる連通溝96を有する。回転バルブ92の連通溝96は、第2ロッド48の回転終了位置において、第2ポート40Bと一致する周方向の位置に配置されている。ロッド14の押出端位置では、回転バルブ92は、図11Aに示すようにカバー流路94を封止する。ロッド14の旋回動作が終了すると、回転バルブ92は、図11Bに示される向きに回動する。図示されるように、回転終了位置では、連通溝96を通じて第2ポート40Bと第2シリンダ室28の空室28bとが連通する。
【0065】
従って、本実施形態のシリンダ装置10Bは、ロッド14の旋回動作において、第2ピストン22Aの増力発生を防止でき、変位切換溝62と支持ピン56との摩耗を防止できる。
【0066】
(第3実施形態の第1変形例)
図12Aに示されるように、本変形例のシリンダ装置10Bは、回転バルブ92に代えて、段部98を有する第2ロッド48と、第2ロッド48で閉塞されるカバー流路94を有するロッドカバー16Bと、を備える。なお、図11Aのシリンダ装置10Bと同様の構成についての説明は省略される。
【0067】
図12Aに示されるように、ロッドカバー16Bは、カバー流路94と、カバー流路94に開口する第2ポート40Bとを有する。カバー流路94には、第2ポート40Bの開口よりも第1方向側に、パッキン収容溝94aが形成されている。パッキン収容溝94aには、封止パッキン100が取り付けられている。
【0068】
第2ロッド48には、段部98が設けられている。段部98の第1方向側は大径部98aとなっており、大径部98aは円筒部48bに繋がっている。大径部98aは、カバー流路94よりもわずかに小さな直径を有する。ロッド14の押出端位置において、大径部98aは、カバー流路94に挿入される。大径部98aの外周面は封止パッキン100と密着して、第2ポート40Bと第2シリンダ室28との連通を阻止する。
【0069】
第2ロッド48は、段部98の第2方向側に小径部98bを有する。小径部98bは、封止パッキン100の内径よりも十分に小さな外径を有する。第2ロッド48が引き込まれて段部98がカバー流路94よりも第1方向側に移動すると、小径部98bは、カバー流路94との間に流体が流通可能な流路を形成する。
【0070】
図12Aに示されるロッド14の押出端位置では、第2ポート40Bの流体は、封止パッキン100及び大径部98aによって封止される。従って、ロッド14の旋回動作において、第2ピストン22Aは、増力用の駆動力を発生しない。このため、本変形例のシリンダ装置10Bは、変位切換溝62と支持ピン56との摩耗を防止できる。
【0071】
また、第2ロッド48の回転変位が終了し、第2ロッド48が第1方向に向けて変位すると、段部98がカバー流路94よりも第1方向側に移動する。その結果、第2ポート40Bと第2シリンダ室28の空室28bとが連通し、空室28bに流体が供給される。第2ピストン22Aに増力用の駆動力を発生させることができる。
【0072】
(第3実施形態の第2変形例)
本変形例のシリンダ装置10Bは、封止パッキン100を大径部98a側に配置した点で、図12Aのシリンダ装置10Bと異なる。その他の点は図12Aのシリンダ装置10Bと同様である。本変形例では、第2ロッド48の大径部98aがカバー流路94よりも第1方向側に移動すると、第2シリンダ室28に流体が供給され、第2ピストン22Aが増力用の駆動力を発生させる。
【0073】
本変形例のシリンダ装置10Bは、図12Aのシリンダ装置10Bと同様の効果を奏する。
【0074】
以上の開示は、以下のようにまとめられる。
【0075】
一観点は、第1ピストンを有する第1シリンダ室と、第2ピストンを有する第2シリンダ室と、前記第1ピストンに連結された第1ロッドと、一部が前記第1ロッドと径方向に重なり、ボディから突出する第2ロッドと、前記第1ロッドの軸方向の一部の変位を前記第2ロッドの回転方向の変位に変換し、前記第1ロッドの軸方向の他の一部の変位を前記第2ロッドの軸方向の変位として伝達する変換機構と、を備え、前記第2ピストンは、前記第2ロッドに連結されている、シリンダ装置にある。
【0076】
上述のシリンダ装置は、第2ピストンのストローク長さを短くできるため、第2シリンダ室の全長を削減でき、シリンダ装置の全長を短くできる。
【0077】
上述のシリンダ装置であって、前記変換機構は、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に位置してもよい。このシリンダ装置は、第2ピストンが第1ピストンのストロークの影響を受けない部位に配置されるため、第2ピストンのストローク長さを短くすることができる。
【0078】
上述のシリンダ装置であって、前記第2シリンダ室の軸方向の長さは、前記第1シリンダ室の軸方向の長さよりも短くてもよい。このシリンダ装置は、軸線方向の寸法を小さくできる。
【0079】
上述のシリンダ装置であって、前記第2シリンダ室は、前記第2ピストンよりも大きな内径を有し、押出端位置の前記第2ピストンを前記第2シリンダ室の内周面から離間させる拡径部を有してもよい。このシリンダ装置は、第2ピストンの回転変位の際の摺動抵抗を抑制することで、変換機構の摩耗を抑制できる。
【0080】
上述のシリンダ装置であって、前記拡径部は、前記押出端位置の前記第2ピストンの軸方向の両側の空室に連通してもよい。このシリンダ装置は、第2ピストンの回転変位の際に増力用の駆動力が第2ピストンに発生するのを防止でき、変換機構の摩耗を防止できる。
【0081】
上述のシリンダ装置は、前記第2シリンダ室の引込端位置に向かう第1方向の端部に開口する第1ポートと、前記第2シリンダ室の押出端位置に向かう第2方向の端部に開口する第2ポートと、を有してもよい。このシリンダ装置は、第1ポートと第2ポートとの間の流体の給排を通じて第2ピストンを駆動できる。
【0082】
上述のシリンダ装置であって、前記第2ポートは、前記押出端位置の前記第2ピストンのパッキンよりも前記第1方向にずれた位置で前記第2シリンダ室に開口してもよい。このシリンダ装置は、第2ピストンの回転変位の際に増力用の駆動力が第2ピストンに発生するのを防止でき、変換機構の摩耗を防止できる。
【0083】
上述のシリンダ装置であって、前記第2シリンダ室は、内周面に前記第2ポートから供給された流体を前記第2ピストンよりも前記第1方向側に逃がすリーク流路を有してもよい。このシリンダ装置は、第2ピストンの回転変位の際に増力用の駆動力が第2ピストンに発生するのを防止でき、変換機構の摩耗を防止できる。
【0084】
上述のシリンダ装置であって、前記リーク流路は、前記第2シリンダ室の前記内周面に軸線方向に延びて形成された溝であってもよい。このシリンダ装置は、第2ピストンの回転変位の際に増力用の駆動力が第2ピストンに発生するのを防止でき、変換機構の摩耗を防止できる。
【0085】
上述のシリンダ装置であって、前記第1シリンダ室の前記第1方向側に開口する第1流体給排部と、前記第1シリンダ室の前記第2方向側に開口する第2流体給排部と、を備え、前記ボディは、前記第2流体給排部と前記第2ポートとを接続する接続流路を有してもよい。このシリンダ装置は、第2ポートへの流体の給排を第2流体給排部を通じて行うことができるため、接続する配管数を減らすことができる。
【0086】
上述のシリンダ装置は、前記第2ピストンの外周部に設けられ、前記第2ピストンの押出端位置において前記第2ポートよりも前記第1方向側に位置する第1パッキンと、前記第2ピストンの前記外周部に設けられ、前記第2ピストンの前記押出端位置において前記第2ポートよりも前記第2方向側に位置する第2パッキンと、を有してもよい。このシリンダ装置は、押出端での流体の漏洩を防止でき、圧力流体の消費量を抑制できる。
【0087】
上述のシリンダ装置であって、前記第2ロッドが挿通するカバー孔を有するロッドカバーと、前記カバー孔と前記第2ロッドとの隙間により形成され、前記第2ポートと前記第2シリンダ室とを流体的に接続するカバー流路と、前記第2ロッドの前記第2方向のストロークエンドにおいて前記カバー流路を塞ぎ、前記第2ロッドが前記第1方向に移動すると前記カバー流路と前記第2シリンダ室とを開通させる封止パッキンと、を有してもよい。このシリンダ装置は、押出端での流体の漏洩を防止でき、圧力流体の消費量を抑制できる。
【0088】
上述のシリンダ装置であって、前記第2ロッドが挿通するカバー孔を有するロッドカバーと、前記カバー孔と前記第2ロッドとの隙間により形成され、前記第2ポートと前記第2シリンダ室とを流体的に接続するカバー流路と、前記カバー流路に配置され、前記第2ロッドと共に回転し、前記第2ロッドが所定角度に位置した際に、前記カバー流路を開通させる回転バルブと、を有してもよい。このシリンダ装置は、押出端での流体の漏洩を防止でき、圧力流体の消費量を抑制できる。
【0089】
上述のシリンダ装置であって、前記第2ピストンは前記第2ロッドに対して回転可能に連結されてもよい。このシリンダ装置は、第2ロッドの回転変位の摺動抵抗が少なくてすむため、変換機構の摩耗を効果的に防止できる。
【0090】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0091】
10、10A、10B…シリンダ装置 12…ボディ
14…ロッド 16、16B…ロッドカバー
20…第1ピストン 22、22A…第2ピストン
26…第1シリンダ室 28…第2シリンダ室
34…第2流体給排部 36…接続流路
38…第1ポート 40、40B…第2ポート
42…拡径部 46…第1ロッド
48…第2ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12