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特開2024-82948商品収納ラック、および、その商品収納ラックを備えた自動販売機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082948
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】商品収納ラック、および、その商品収納ラックを備えた自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/58 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
G07F11/58 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197180
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】高山 信幸
(72)【発明者】
【氏名】仲田 純
【テーマコード(参考)】
3E046
【Fターム(参考)】
3E046BA01
3E046BA03
3E046BB01
3E046BB02
3E046BB03
3E046CB08
3E046CD06
3E046DA01
3E046EA12
3E046EB01
3E046FA01
3E046HA06
(57)【要約】
【課題】無端チェーンにより、商品が載置される複数の商品棚を順次下降させながら、商品を商品棚から落下搬出させる商品収納ラックにおいて、棚板間ピッチを変更する作業を容易に行える商品収納ラックを提供する。
【解決手段】上下にわたって掛け渡された搬送用無端チェーン33の周方向に互いに間隔をあけて複数取り付けられる商品棚16と、搬送用無端チェーンを駆動させる駆動モータ34と、商品棚16が所定の販売待機位置Fに到達したことを検知する商品棚検知スイッチ35と、駆動モータ34を制御する制御部50と、を含み、制御部50は、搬送用無端チェーン33を駆動するための駆動指令が入力された場合、駆動モータ34を動作させ、動作開始から予め設定された一定時間Tが経過し、且つ、その後、商品棚検知スイッチ35が商品棚16を検知すると駆動モータ34を停止させる商品収納ラック8である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対の回転体間に掛け渡された無端環状体と、
上面に商品が載置される複数の商品棚であって、前記無端環状体の周方向に互いに間隔をあけて前記無端環状体に取り外し可能に取り付けられた複数の商品棚と、
前記無端環状体を駆動して前記複数の商品棚を上下方向に移動させる駆動部と、
下方に移動する前記商品棚が、前記無端環状体の下端よりも上方の販売待機位置に到達したことを検知する検知部と、
入力された指令に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
商品搬出指令が入力された場合、前記販売待機位置にある前記商品棚が前記無端環状体の下端近傍まで移動して、上面に載置された商品を落下搬出されると共に当該商品棚に後続する商品棚が前記販売待機位置まで移動して停止するように前記駆動部を動作させ、
商品の落下搬出とは無関係に前記無端環状体を駆動するための駆動指令が入力された場合、前記駆動部を動作させ、動作開始から予め設定された一定時間Tが経過し、且つ、その後、前記商品棚が前記販売待機位置に到達したことを前記検知部が検知すると前記駆動部を停止させる、
ように構成されている、
商品収納ラック。
【請求項2】
前記一定時間Tは、前記無端環状体が一周移動するのに要する時間をTfとした場合、
1/5×Tf≦T≦1/2×Tfであることを特徴とする請求項1に記載の商品収納ラック。
【請求項3】
前記制御部は、前記駆動部の動作開始から前記一定時間Tが経過し、且つ、その後、前記商品棚が前記販売待機位置に到達したことを前記検知部が検知する最初の信号で前記駆動部を停止させることを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載の商品収納ラック。
【請求項4】
作業者が操作する商品棚調整スイッチを有し、
前記商品棚調整スイッチのONによって、商品の落下搬出とは無関係に前記無端環状体を駆動するための前記駆動指令が前記制御部に入力されることを特徴とする請求項1または2に記載の商品収納ラック。
【請求項5】
本体の前面に配置された商品取出口と、
前記本体の内部に設けられた収納庫と、
前記収納庫内に配置される請求項1または2に記載の前記商品収納ラックと、を有し、
前記本体の前面には、ユーザが商品を購入するための入力装置が配置されており、
前記商品棚調整スイッチの操作は、前記入力装置の操作によって行われることを特徴とする自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端チェーンなどの無端環状体により、商品が載置された複数の商品棚を順次下降させて下端近傍の商品棚から商品を落下搬出させる商品収納ラック、および、その商品収納ラックを備えた自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の商品収納ラックの一例として特許文献1に記載された自動販売機のチェーンエレベータ式ラック機構が知られている。このチェーンエレベータ式ラック機構は、上下一対のスプロケット間に張られた無端チェーンと、無端チェーンに定ピッチで連結された複数の棚板とを有し、駆動モータで無端チェーンを駆動することにより、商品が載置された棚板を下降させ及び無端チェーンの下部側の折り返し点近傍で反転させて商品を落下搬出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-50574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなチェーンエレベータ式ラック機構を含む自動販売機では、商品の入れ替え時に、商品のサイズに合わせるため棚板間ピッチの変更が必要になる場合がある。この場合、作業者は、通常、次のようにして棚板間ピッチの変更を行う。まず、作業者は、無端チェーンの手前側にある複数の棚板の棚板間ピッチを変更する。次に、作業者は、駆動モータを動作させて無端チェーンの奥側にある複数の棚板を無端チェーンの手前側に移動させる。そして、作業者は、手前側に移動してきた(奥側にあった)複数の棚板間ピッチを変更する。
【0005】
しかし、棚板間ピッチが変更された後の棚板の停止位置は、必ずしも一定ではなく、棚板間ピッチの変更後に棚板を販売待機位置などの適切な停止位置に位置合わせする必要があった。そのため、棚板間ピッチの変更作業が煩雑であり、改善が求められていた。
【0006】
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、無端チェーンにより、商品が載置される複数の商品棚を順次下降させて下端近傍の商品棚から商品を落下搬出させる商品収納ラックにおいて、棚板間ピッチを変更する作業を容易に行えることができる商品収納ラック、および、その商品収納ラックを備えた自動販売機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上下一対の回転体間に掛け渡された無端環状体と、上面に商品が載置される複数の商品棚であって、無端環状体の周方向に互いに間隔をあけて無端環状体に取り外し可能に取り付けられた複数の商品棚と、無端環状体を駆動して複数の商品棚を上下方向に移動させる駆動部と、下方に移動する商品棚が、無端環状体の下端よりも上方の販売待機位置に到達したことを検知する検知部と、入力された指令に基づいて駆動部を制御する制御部と、を含み、制御部は、商品搬出指令が入力された場合、販売待機位置にある商品棚が無端環状体の下端近傍まで移動して、上面に載置された商品を落下搬出されると共に当該商品棚に後続する商品棚が販売待機位置まで移動して停止するように駆動部を動作させ、商品の落下搬出とは無関係に無端環状体を駆動するための駆動指令が入力された場合、駆動部を動作させ、動作開始から予め設定された一定時間Tが経過し、且つ、その後、商品棚が販売待機位置に到達したことを検知部が検知すると駆動部を停止させる、ように構成されている、商品収納ラック、および、その商品収納ラックを備えた自動販売機である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、その目的は、無端チェーンにより、商品が載置される複数の商品棚を順次下降させて下端近傍の商品棚から商品を落下搬出させる商品収納ラックにおいて、棚板間ピッチを変更する作業を容易に行えることができる商品収納ラック、および、その商品収納ラックを備えた自動販売機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態による自動販売機を正面側から視た斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態による自動販売機の自動販売機の側面断面図である。
図3】本発明の第一実施形態による自動販売機の商品ラックユニットを正面側から視た斜視図である。
図4】本発明の第一実施形態による自動販売機の商品ラック機構を示す概略図である。
図5】本発明の第一実施形態による自動販売機の商品ラック機構に組み込んだ商品棚検知スイッチの動作を示す図であり、(a)は商品棚が下降途中にある状態を示す図であり、(b)は商品棚が販売待機位置に配置された状態を示す図である。
図6】本発明の第一実施形態による自動販売機の制御ブロック図である。
図7】本発明の第一実施形態による自動販売機の隣り合う商品収納ラックを示す正面図であり、(a)は仕切板が設けられて、単独コラム販売モードにおける商品棚の配置状態を示す図であり、(b)は仕切板が外されて、ペアコラム販売モードにおける商品棚の配置状態を示す図である。
図8】本発明の第一実施形態による自動販売機において、移動指令が入力され場合の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の実施形態による商品収納ラックは自動販売機に備えられる。以下、本発明に係る商品収納ラックについて、その商品収納ラックを備える自動販売機と共に説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態による自動販売機100の外扉2を開いた状態を示す斜視図であり、本図の左側の面が自動販売機100の前面、右側の面が右面を示す。図2は、本発明の第1実施形態による自動販売機100の横断面を示す断面図であり、本図の右側が自動販売機100の前面、左側が後面(背面)を示す。自動販売機100は、紙箱飲料、缶飲料などの飲料、箱入りや袋入りなどの食品を商品Pとして販売する自動販売機である。自動販売機100は、前面が開口した本体1と、本体1の前面を開閉する外扉2とを備えている。
【0012】
本体1は、商品Pを収納するための収納庫1aと、収納庫1aの下方に配置されて各種機器を収容する機械室1bとに区分されている。収納庫1aは、前面に開口が形成され、残りの壁面が断熱壁1c(図2参照)によって囲まれた断熱構造を有して形成されている。収納庫1aの前面に形成された開口には、断熱構造の内扉3が開閉自在に取り付けられている。内扉3の下部には商品搬出口3aが開設され、商品搬出口3aには断熱層を内部に備えた内側フラップ3a1(図2参照)が開閉可能に取り付けられている。収納庫1aには、複数の商品ラックユニット7が左右方向に収納されており(本実施形態では4つ)、各商品ラックユニット7は前後方向に出し入れ可能である。各商品ラックユニット7には前後方向に複数の商品収納ラック8が配設されており、複数の商品収納ラック8に商品Pが収納される。
【0013】
図2に示すように、機械室1bは、前面に開口が形成されている。機械室1b内には、収納庫1aの内部を冷却するための冷却装置を構成する圧縮機4、庫外熱交換器5、図示されない膨張機構、庫外送風ファン6が配置されている。具体的には、圧縮機4は機械室1bの背面側に寄せて配置され、庫外熱交換器5及び庫外送風ファン6は、圧縮機4と機械室1bの前面との間に配置されている。庫外送風ファン6は、機械室1b内の空気を前面側から背面側に向って送風可能に構成されている。圧縮機4は冷媒を圧縮し、圧縮された冷媒は庫外熱交換器5で庫外送風ファン6によって導入される外気と熱交換して凝縮する。凝縮された冷媒は膨張機構で減圧される。
【0014】
本体1の前面を開閉する外扉2は、前面に商品サンプルSを配置するための商品サンプル室2a、利用者等が商品を選択するための商品選択ボタンなどが配置された入力装置2b、利用者等により投入される金銭(硬貨や紙幣)及び/又は使用される電子マネーを処理する図示されない金銭処理部、商品受部2c、商品受部2cに開口する商品取出口2d、機械室1b内に外気を導入するための外気導入口2eを備え、その幅方向一端側が本体1に開閉自在に支持されている。商品取出口2dには、外側フラップ2d1が開閉可能に取り付けられている。商品受部2cは、後述する商品搬送装置10から搬送されて商品搬出口3aから搬出される商品Pを受け入れる。商品受部2cに搬出された商品Pは商品取出口2dを通して購入者によって取り出される。
【0015】
収納庫1aの内部には、左右方向に複数の商品ラックユニット7が配列されている(本実施形態では4つ。図1参照)。各商品ラックユニット7には前後方向に複数の(本実施形態では5つ)の商品収納ラック8が配設されている。商品収納ラック8は、商品Pを上下方向に並べて収納すると共に最下部に位置する商品Pから順次下方に向けて搬出するように構成されている。複数の商品収納ラック8の下方には、商品搬送装置10が設けられている。商品搬送装置10は、商品収納ラック8から下方に搬出された商品Pを受け止めて、受け止めた商品Pを内扉3の商品搬出口3aに向けて搬送する。図2に示すように、商品搬出口3aは、収納庫1aと外扉2に設けられた商品受部2cとを連通させている。そのため、商品収納ラック8から下方に搬出された商品Pは商品搬送装置10によって商品取出口2d側に向けて搬送される。商品搬送装置10は商品収納ラック8から搬出される商品Pを受止めて商品取出口2d側に案内する搬送ガイド板21と、搬送ガイド板21の上面に搬出される商品Pを商品取出口2d側に向かって押し出すための押出し部材37とを有している。また、搬送ガイド板21は多数の図示されない通気孔が形成されている。
【0016】
収納庫1aの下部であって、商品搬送装置10の下方には、冷却装置を構成する庫内熱交換器11と、庫内送風ファン12が配置されている。庫内熱交換器11は蒸発器として機能し、機械室1bに配置された図示しない膨張機構によって減圧された冷媒を蒸発させる。庫内送風ファン12は収納庫1aの庫内空気を循環させる。
【0017】
また、収納庫1a内の背面側には背面ダクト13が設けられている。背面ダクト13は上部および下部に開口部が形成され、上部の開口部は商品収納ラック8の上部側と連通し、下部の開口部は庫内熱交換器11と庫内送風ファン12が配置された空間と連通している。
【0018】
機械室1bに配置された圧縮機4、庫外熱交換器5、膨張機構、および、収納庫1aに配置された庫内熱交換器11は、冷媒を循環させる図示されない冷媒配管によって接続され冷凍回路を構成している。圧縮機4で高温高圧に圧縮された冷媒は、凝縮器として機能する庫外熱交換器5で外気と熱交換して凝縮される。凝縮された冷媒は図示されない膨張機構によって減圧され低温低圧の冷媒となり、蒸発器として機能する庫内熱交換器11へ送られる。低温低圧の冷媒は庫内熱交換器11を通過する際に収納庫1a内部の庫内空気と熱交換し蒸発する。庫内熱交換器11で冷媒が蒸発することにより庫内熱交換器11の周囲を通過する庫内空気は熱を奪われ冷却される。
【0019】
庫内熱交換器11によって冷却された庫内空気は、商品搬送装置10の搬送ガイド板21に形成された通気孔を通過して商品収納ラック8内を上方に向けて流れる。商品収納ラック8内を流れる庫内空気は商品収納ラック8に収納された商品Pを冷却した後、上部側から背面ダクト13へ流れ、背面ダクト13を下方に向けて流れる庫内空気は下部側で、庫内熱交換器11が配置された空間へ流れ、再び、庫内熱交換器11によって冷却される。
【0020】
尚、本実施形態では、庫外熱交換器5は凝縮器として機能し、庫内熱交換器11は蒸発器として機能して、収納庫1a内部の庫内空気を冷却したが、図示されない四方弁などにより、庫内熱交換器11を凝縮器として機能させ、庫外熱交換器5を蒸発器として機能させることで、収納庫1a内部の庫内空気を加温することも可能である。
【0021】
次に、図3を参照して本実施形態に係る商品ラックユニット7について説明する。図3は、商品ラックユニット7の前面を右側から視た斜視図である。図3で示す矢印は方向を示し、紙面の左側に見える面が前面(前方)、前面の反対側の面が背面(後方)、紙面の右側に見える面が右面(右方)、右面の反対側の面が左面(左方)、紙面の上側に見える面が上面(上方)、上面の反対側が底面(下方)となる。
【0022】
商品ラックユニット7は、ラックケース14、ラックケース14内を前後方向に仕切る複数の仕切板15を有し、仕切板15はラックケース14に対して取り外し可能に取り付けられている。ラックケース14内を前後方向に仕切る複数の仕切板15によって、商品ラックユニット7の内部に複数の商品収納ラック8が前後方向に配置される(本実施形態では、5つ)。ラックケース14は右面および底面に開口を有する。ラックケース14の右面の開口は開閉扉17により開閉される。各商品収納ラック8は商品ラック機構9を備える。商品ラック機構9は、商品Pが載置される複数の商品棚16を有し、複数の商品棚16は上下方向に所定間隔を置いて配置されている。商品ラックユニット7は、図示されないレール機構を介して収納庫1aの前後方向に出し入れ可能である。尚、本実施形態では、右面が開口するラックケース14について説明したが、例えば、図1に示す自動販売機100の右面側に建物の壁などがある場合には、4基の商品ラックユニット7のうちの右端にある商品ラックユニット7については、商品補充ができるように、ラックケース14の左側が開口している場合がある。
【0023】
次に、図4を参照して商品ラック機構9について説明する。本図において、右側が自動販売機100の右方、左側が左方を示す。図4は、商品ラックユニット7に配置された商品収納ラック8を前方側から視た内部の状態であり、商品ラック機構9が仕切板15で仕切られたラックケース14内に配置され、商品収納ラック8が商品ラック機構9を備えた状態を示す。商品ラックユニット7のラックケース14の右面は開口を有し、この開口は開閉可能な開閉扉17によって覆われている。商品ラック機構9は、上下対となった駆動スプロケット31および従動スプロケット32と、駆動スプロケット31と従動スプロケット32との間にわたって掛け渡される搬送用無端チェーン33と、駆動スプロケット31を駆動する駆動モータ34と、を有する。駆動スプロケット31は商品収納ラック8の上部側に配置され、従動スプロケット32は商品収納ラック8の下部側に配置され、搬送用無端チェーン33は上下方向に沿って配置される。本実施形態では上下方向が鉛直方向となる。駆動モータ34の動作により駆動スプロケット31が駆動すると、搬送用無端チェーン33が駆動して周回する。上下方向に沿って配置された搬送用無端チェーン33の一方側は右方側(手前側)に位置し、他方側は左方側(奥側)に位置し、駆動モータ34の動作によって搬送用無端チェーン33が駆動すると、手前側に位置する搬送用無端チェーン33は下方に向かって移動(下降)し、奥側に位置する搬送用無端チェーン33は上方に向かって移動(上昇)する。尚、駆動スプロケット31と従動スプロケット32は本発明における回転体であり、搬送用無端チェーン33は本発明における無端環状体であり、駆動モータ34は本発明における駆動部である。商品ラック機構9は後述する制御部が制御する。より具体的には、制御部50は駆動モータ34の動作を制御する。
【0024】
商品ラック機構9は、搬送用無端チェーン33の周方向に互いに所定間隔Lをあけて搬送用無端チェーン33に取り外し可能に取り付けられる複数の商品棚16と、商品棚16の移動を案内する案内レール18とを有する。各商品棚16に商品Pが載置される。商品ラック機構9がラックケース14に配置された状態で複数の商品棚16は上下方向に所定間隔Lを置いて配置される。搬送用無端チェーン33が周回することで、手前側の搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16を下方に向けて移動させる。案内レール18は上下方向に伸び、手前側の搬送用無端チェーン33に取り付けられ下方に向けて移動する商品棚16を案内する。各商品棚16は、搬送用無端チェーン33の移動方向に対して垂直となる状態と搬送用無端チェーン33の移動方向に対して平行となる状態となるように、搬送用無端チェーン33に対して揺動可能である。手前側の搬送用無端チェーン33に取り付けられて商品Pが載置された商品棚16は、搬送用無端チェーン33の移動方向に対して垂直な状態、すなわち、水平状態となる。搬送用無端チェーン33の駆動によって、手前側の搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16が、搬送用無端チェーン33の下端近傍まで下降すると、商品棚16の先端が下方に向かって向きを変える。商品棚16の先端が下方に向かって向きを変えると商品Pが商品棚16から落下する。すなわち、商品棚16が下端近傍まで移動すると、商品棚16は水平の状態から鉛直の状態へと向きを変え、商品棚16に載置された商品Pは商品棚16から落下搬出される。
【0025】
手前側の搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16は、下端まで下降して商品Pを落下搬出させた後、搬送用無端チェーン33とともに奥側に位置するように移動する。搬送用無端チェーン33とともに奥側に位置するように移動した商品棚16は、商品棚16自身の自重によって、商品棚16の先端が下方に向いて搬送用無端チェーン33の移動方向に対して平行状態となりながら、上方へ向かって移動する。
【0026】
商品ラック機構9には商品棚検知スイッチ35が設けられている。商品棚検知スイッチ35は、上下方向に沿って配置された搬送用無端チェーン33の下端側に配置され、案内レール18に取り付けられている。商品棚検知スイッチ35は、手前側の搬送用無端チェーン33に取り付けられて下方に移動中の商品棚16が搬送用無端チェーン33の下端側に位置する販売待機位置Fに到達したことを検知する。販売待機位置Fは、搬送用無端チェーン33の下端よりも上方であって、手前側に位置する搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16が水平状態を維持できる最も低い位置としている。すなわち、販売待機位置Fは、手前側に位置する搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16が水平状態で販売待機する最も低い位置となる。ただし、販売待機位置Fは、商品棚16が水平状態を維持できる最も低い位置である必要はなく、商品棚16が水平状態を維持できる最も低い位置よりも高い位置であっても構わない。商品棚検知スイッチ35が、下方に移動中の商品棚16を検知すると、制御部50が駆動モータ34の動作を停止する。
【0027】
尚、図4において、搬送用無端チェーン33の下端近傍まで下降して商品Pを落下搬出させている状態の商品棚16を商品棚16Aとし、商品棚16Aの移動方向において後続する商品棚16であって、商品棚16Aの直前に位置する商品棚16を商品棚16Bとする。以下、商品棚16Bの移動方向において後続する商品棚16であって、商品棚16Bの直前に位置する商品棚16を商品棚16C、商品棚16Cの移動方向において後続する商品棚16であって、商品棚16Cの直前に位置する商品棚16を商品棚16Dとする。商品棚検知スイッチ35の検知によって商品棚16Bが停止する位置は販売待機位置Fとなっている。商品棚16Bが販売待機位置Fに到達して停止することにより、商品棚16Cが停止する位置を標準停止位置F、商品棚16Dが停止する位置を標準停止位置Fとする。販売待機位置Fと標準停止位置Fとの間隔は距離Lであり、標準停止位置Fと標準停止位置Fとの間隔は所定間隔Lと同じ距離Lであり、以下、同様に、各商品棚16の標準停止位置の間隔は距離Lである。以降、商品棚16Bとは、販売待機位置Fに位置する商品棚16として説明する。
【0028】
次に、図4を参照して、商品ラック機構9の動作について説明する。利用者が自動販売機100から商品を購入するために入力装置2bから商品購入の操作をすると、入力装置2bから制御部50へ商品搬出指令が送られる。制御部50に商品搬出指令が入力されると、制御部50は、利用者が購入する商品Pに対応する商品ラック機構9の駆動モータ34を動作させ、搬送用無端チェーン33が駆動する。搬送用無端チェーン33の駆動により、商品棚16Aが下端近傍まで移動して商品Pを落下搬出させる。商品棚16Aが商品Pを落下搬出させた後に、商品棚16Aの移動方向に後続し直前に位置する商品棚16Bが販売待機位置Fに到達にする。商品棚16Bが販売待機位置Fに到達にすると、商品棚16Bが販売待機位置Fに到達したことを商品棚検知スイッチ35が検知する。商品棚16Bが販売待機位置Fに到達したことを商品棚検知スイッチ35が検知すると、検知した信号を制御部50が受信する。その信号を受信した制御部50は駆動モータ34に対して駆動停止指令をだし、駆動モータ34は停止する。駆動モータ34の停止により、商品棚16Bは販売待機位置Fで停止し、商品棚16Cは販売待機位置Fから所定間隔Lだけ上側に離れた標準停止位置Fで停止し、商品棚16Dは標準停止位置Fから所定間隔Lだけ上側に離れた標準停止位置Fで停止する。商品棚16Dよりも移動方向の後側に配置された他の商品棚16も同様に所定の標準停止位置Fで停止する。商品棚16Bが販売待機位置Fで停止し、商品棚16Bに後続する各商品棚16がそれぞれの標準停止位置Fで停止することにより商品ラック機構9が販売待機状態となる。制御部50に次の商品搬出指令が入力されるまで、商品ラック機構9は、販売待機状態を維持する。商品棚16Aから落下搬出した商品Pは、商品搬送装置10(図2参照)によって商品受部2cまで搬送され、商品取出口2dから利用者によって取り出される。
【0029】
次に、図5を用いて、商品棚16が販売待機位置Fに到達したことを、商品棚検知スイッチ35が検知する構造について説明する。図5(a)は、図4で説明した商品棚16Bが販売待機位置Fに到達する直前であって下降中の状態を示し、図5(b)は、商品棚16Bが販売待機位置Fに到達した状態を示す。搬送用無端チェーン33の下端側であって、案内レール18の商品棚16Bが配置されている側(手前側)の反対側(背面側)に、商品棚検知スイッチ35および商品棚検知スイッチ35を押圧する検知レバー36が配置されている。図5(a)に示すように、商品棚16Bが販売待機位置Fに到達していない状態では、検知レバー36は、案内レール18の手前側に突出するようにバイアスばね等によって付勢され、商品棚検知スイッチ35を押圧している。この状態で、商品棚検知スイッチ35は商品棚16Bが販売待機位置Fに到達していないと検知する。商品棚16Bが下降して販売待機位置Fに到達すると、図5(b)に示すように、商品棚16が案内レール18の手前側に突出していた検知レバー36を押し込むことで、検知レバー36は商品棚検知スイッチ35から離れる。この状態で、商品棚検知スイッチ35は商品棚16Bが販売待機位置Fに到達したと検知する。尚、商品棚検知スイッチ35が本発明における検知部である。本実施形態では、商品棚検知スイッチ35によって販売待機位置Fに到達した商品棚16Bを直接検知し、商品棚16Bを販売待機位置Fで停止させたが、必ずしもこれに限定されない。例えば、商品棚16Cが標準停止位置Fに到達したことを商品棚検知スイッチ35が検知するように商品棚検知スイッチ35を配置し、それにより、商品棚16Bが販売待機位置Fに到達したことを間接的に検知するようにしても構わない。また、駆動モータ34、駆動スプロケット31、従動スプロケット32などにエンコーダを設けて、商品棚16Bが販売待機位置Fに到達したことを間接的に検知するようにしても構わない。
【0030】
次に、図6を参照して、本実施形態による自動販売機100の制御ブロックを説明する。本実施形態では、自動販売機100は4つの商品ラックユニット7を有するが、図6の制御ブロック図においては、1つの商品ラックユニット7に関する5基の商品ラック機構9a~9eが有する5つの駆動モータ34a~34eおよび5つの商品棚検知スイッチ35a~35eについて説明する。尚、特別な場合を除き、商品ラック機構9a~9eについては、商品ラック機構9として説明し、駆動モータ34a~34eおよび5つの商品棚検知スイッチ35a~35eについては、駆動モータ34および商品棚検知スイッチ35として説明する。尚、商品ラック機構9が有する各部品(商品棚16、搬送用無端チェーン33、駆動モータ34、商品棚検知レバー35など)を以降において説明する場合、「商品ラック機構9」の部品、または、「商品収納ラック8」の部品として説明する場合がある。
【0031】
自動販売機100は、1つの商品ラックユニット7について、5つの商品ラック機構9a~9eを制御する制御部50を有する。より具体的には、制御部50は、5つの駆動モータ34a~34eの動作を制御する。制御部50は、図示されないCPU、メモリ、I/Oなどで構成されている。制御部50には、1つの商品ラックユニット7について、5つの駆動モータ34a~34e、5つの商品棚検知スイッチ35a~35eおよび入力装置2bが接続する。また、図示されない金銭処理部も接続されている。入力装置2bは、商品棚調整スイッチ65を有し、商品棚調整スイッチ65は、作業者が商品棚16同士間の所定の間隔L(商品棚16の棚板間ピッチ)を変更する場合に用いられるスイッチである。制御部50は、単独コラム販売モード60、ペアコラム販売モード61、商品棚調整モード64、タイマー53、記憶部54を有する。
【0032】
単独コラム販売モード60は、詳細は後述するが、単独の商品収納ラック8の商品ラック機構9だけを動作させる販売モードである。ペアコラム販売モード61は、詳細は後述するが、隣り合う2基の商品収納ラック8の商品ラック機構9(隣り合う2基の商品ラック機構9)の駆動モータ34を連係動作させることで搬送用無端チェーン33を連係駆動させ、隣り合う2基の商品収納ラック8の商品ラック機構9を動作させる販売モードである。尚、図6において、商品ラック機構9a、9bが、隣り合う2基の商品ラック機構9として、ペアコラム販売モード61において使用される商品ラック機構9である。
【0033】
商品棚調整モード64は、作業者が商品Pを入れ替える際に、販売する商品Pのサイズに合わせるため商品棚16の棚板間ピッチを変更する場合に用いられる運転モードである。詳細は後述するが、商品棚調整モード64では、駆動指令によって駆動モータ34を動作させて一定時間Tが経過した後に商品棚検知スイッチ35によって商品棚16が検知されると駆動モータ34を停止させる。尚、本実施形態では、駆動モータ34はPWM制御により制御され、駆動モータ34への通電率を変化させることにより駆動モータ34の回転速度を変化させることができる。
【0034】
入力装置2bからの信号(商品搬出指令)が制御部50に入力されると、制御部50は、駆動モータ34に駆動指令をだし、商品棚検知スイッチ35からの信号を受信すると駆動モータ34に駆動停止指令をだす。入力装置2bは利用者が購入する商品Pを選択するための入力手段である。タイマー53は、商品収納ラック8の駆動モータ34の動作開始からの経過時間を計測する。記憶部54には、商品棚調整モード64において、搬送用無端チェーン33を所定の距離だけ搬送させるために駆動モータ34を動作させる時間として予め設定された一定時間Tが記憶されている。
【0035】
次に、単独コラム販売モード60、ペアコラム販売モード61について説明する。本実施形態の自動販売機100は、単独コラム販売モード60、ペアコラム販売モード61を有している。図7(a)は、単独コラム販売モード60の場合の商品収納ラック8を示し、図7(b)は、ペアコラム販売モード61の場合の商品収納ラック8を示す。図7(a)、(b)において、隣り合う2基の商品収納ラック8の左側を商品収納ラック8a、右側を商品収納ラック8bとし、商品収納ラック8a、8bはそれぞれ商品ラック機構9a、9bを有している。商品収納ラック8aが有する商品ラック機構9aの商品棚を16a、商品収納ラック8bが有する商品ラック機構9bの商品棚を16bとし、図7(a)、(b)には示されていないが、商品収納ラック8aが有する商品ラック機構9aの駆動モータ34を34a、商品収納ラック8bが有する商品ラック機構9bの駆動モータ34を34b、商品収納ラック8aが有する商品ラック機構9aの商品棚検知スイッチ35を35a、商品収納ラック8bが有する商品ラック機構9bの商品棚検知スイッチ35を35bとして説明する。
【0036】
単独コラム販売モード60は、単独の商品ラック機構9の商品棚16に商品Pを載置して、商品ラック機構9の駆動モータ34を動作させることにより搬送用無端チェーン33を駆動させて商品棚16を下方へ移動させ、商品棚16に載置された商品Pを搬送用無端チェーン33の下端近傍で落下搬出させると共に、商品棚16に後続する商品棚16を販売待機位置Fで停止させる販売モードである。
【0037】
ペアコラム販売モード61は、作業者が隣り合う2基の商品収納ラック8a、8bの間に配置された仕切板15を取り外すことで、隣り合う2基の商品ラック機構9a、9bの相互の商品棚16a、16bに商品Pをまたがって載置する販売モードである。より具体的には、ペアコラム販売モード61では、隣り合う2基の商品ラック機構9a、9bの一方の商品ラック機構9aの商品棚16aと他方の商品ラック機構9bの商品棚16bとの相互の商品棚16a、16bにまたがって商品Pが載置される。そして、当該2基の商品ラック機構9a、9bの駆動モータ34a、34bを連係動作させることにより搬送用無端チェーン33を連係駆動させて当該相互の商品棚16a、16bを下方へ移動させ、当該相互の商品棚16a、16bにまたがって載置された商品Pを搬送用無端チェーン33の下端近傍で落下搬出させる。また、当該相互の商品棚16a、16bに後続する商品棚16a、16bを販売待機位置Fで停止させる。単独コラム販売モード60およびペアコラム販売モード61は、作業者が商品の入れ替え作業を行う場合に、入力装置2bから設定する。
【0038】
図7(a)に示す単独コラム販売モード60においては、隣り合う2基の商品収納ラック8aと商品収納ラック8bとの間には仕切板15が配置され、商品棚16aと商品棚16bとは独立して動作する。また、単独コラム販売モード60においては、1つの商品棚16aに1つの商品Pが載置され、1つの商品棚16bには1つの商品Pが載置される。
【0039】
図7(b)に示すペアコラム販売モード61は、商品Pが大型であるため、1つの商品棚16a、16bに商品Pを載置できない場合に行われる販売モードである。ペアコラム販売モード61においては、隣り合う2基の商品収納ラック8aと商品収納ラック8bとの間に配置される仕切板15は取り外される。そして、隣り合う2基の商品ラック機構9aの商品棚16aと商品ラック機構9bの商品棚16bとの間をまたがって大型の商品Pを載置する。すなわち、ペアコラム販売モード61では、2つの商品棚16aおよび商品棚16bで、1つの商品Pを支持する。そして、利用者がペアコラム販売モード61で販売されている大型の商品Pを購入するため、入力装置2bを操作すると、制御部50は、商品棚16aおよび商品棚16bが互いに同じ高さで降下するように、駆動モータ34aと駆動モータ34bとを連係動作させる制御を行う。尚、ペアコラム販売モード61では、駆動モータ34aと駆動モータ34bとが連係動作する以外は、上記した制御と同じ制御で、駆動モータ34aおよび駆動モータ34bの連係動作が開始し、商品棚16a、16bが販売待機位置Fに到達すると、駆動モータ34aおよび駆動モータ34bの動作が停止する。
【0040】
次に、商品棚調整モード64について説明する。商品棚調整モード64は、作業者が商品Pを入れ替える際に、販売する商品Pのサイズに合わせるために商品棚16の棚板間ピッチを変更する場合に用いられる運転モードである。商品棚調整モード64について説明する前に、商品棚16の棚板間ピッチを変更する作業について説明する。商品棚16の棚板間ピッチの変更は、次の手順で行われる。
(1)手前側に位置する搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16の棚板間ピッチを変更する。棚板間ピッチの変更は、商品棚16を搬送用無端チェーン33から一旦取り外し、棚板間ピッチを変更するように商品棚16を搬送用無端チェーン33に取り付ける。
(2)駆動モータ34の動作により搬送用無端チェーン33を所定距離だけ搬送させて、奥側に位置する搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16を手前側に移動させる。
(3)手前側に移動してきた商品棚16の棚板間ピッチの変更を行う。
【0041】
上記(2)の駆動モータ34の動作により搬送用無端チェーン33を駆動させて、奥側に位置する搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16を手前側に位置するように移動させる場合、従来は、駆動モータ34を所定時間だけ動作させ、所定時間の経過後に駆動モータ34を停止させていた。この場合、駆動モータ34を所定時間だけ動作させてから停止させていたので、必ずしも、商品棚16は商品棚検知スイッチ35が配置された位置、すなわち、販売待機位置Fで停止するとは限らなかった。また、棚板間ピッチが変更された後の商品棚16の停止位置は、必ずしも一定ではない。そのため、商品棚16の棚板間ピッチの変更をした後に、作業者が、改めて、商品棚16を販売待機位置Fに位置合わせする必要があった。
【0042】
本実施形態の商品棚調整モード64では、上記した問題を解決している。図8の制御フロー図を参照して、商品棚調整モード64の動作フローについて説明する。商品棚調整モード64においては、記憶部54に記憶された、駆動モータ34を動作させる時間として予め設定された一定時間Tを使用する。商品棚調整モード64は、作業者が商品棚調整スイッチ65をONすることにより実行される(S1、S2)。商品棚調整スイッチ65をONすることにより、商品Pの落下搬出とは無関係に搬送用無端チェーン33を駆動するための駆動指令が制御部50に入力される。この駆動指令が制御部50に入力されると、制御部50は、駆動モータ34の動作を開始させる(S3)。駆動モータ34が動作した後、一定時間Tが経過したかを判定する(S4)。一定時間Tが経過してない場合(S4のNO)は、引き続き駆動モータ34の動作を続行する。一定時間Tが経過した場合(S4のYES)は、一定時間Tの経過後に商品棚検知スイッチ35が商品棚16を検知したかを判定する(S5)。一定時間Tの経過後に商品棚検知スイッチ35が商品棚16を検知した場合(S5のYES)は、制御部50は駆動モータ34の動作を停止させる(S6)。一定時間Tの経過後に商品棚検知スイッチ35が商品棚16を検知しない場合(S5のNO)は、引き続き駆動モータ34の動作を続行する。尚、S5において、一定時間Tの経過後に商品棚検知スイッチ35が商品棚16を検知して駆動モータ34を停止させる場合の信号は、一定時間Tの経過後に商品棚検知スイッチ35が検知する最初の信号に基づいて、駆動モータ34を停止させる。ただし、これに限定されず、一定時間Tの経過後に商品棚検知スイッチ35が2回目、もしくは、3回目に検知した信号に基づいて、駆動モータ34を停止しても構わない。尚、商品ラック機構9が駆動し続けないように保護するために、一定時間Tから所定時間tを経過してもS5において、商品棚16を検知できない場合には、駆動モータ34を停止させ、エラーを通報する。
【0043】
一定時間Tは、搬送用無端チェーン33が駆動モータ34の動作によって一周するのに要する時間Tfの1/4である(T=1/4×Tf)。ただし、T=1/4×Tfでなくても構わない。1/5×Tf≦T≦1/2×Tfであればよい。例えば、T=1/3×Tf、T=1/2×Tfであっても構わない。一定時間Tが、搬送用無端チェーン33が駆動モータ34の動作によって一周するのに要する時間Tfの1/4の場合、商品棚調整スイッチ65を3回ONすることにより、搬送用無端チェーン33の全周の商品棚16の棚板間ピッチを変更することができる。すなわち、上記の(2)、(3)の手順を3回行うことにより、搬送用無端チェーン33の全周の商品棚16の棚板間ピッチを変更することができる。一定時間Tが、搬送用無端チェーン33が駆動モータ34の動作によって一周するのに要する時間の1/3の場合、商品棚調整スイッチ65を2回ONすることにより、搬送用無端チェーン33全周の商品棚16の棚板間ピッチを変更することができる。すなわち、上記の(2)、(3)の手順を2回行うことにより、搬送用無端チェーン33の全周の商品棚16の棚板間ピッチを変更することができる。一定時間Tが、搬送用無端チェーン33が駆動モータ34の動作によって一周するのに要する時間の1/2の場合、商品棚調整スイッチ65を1回ONすることにより、搬送用無端チェーン33の全周の商品棚16の棚板間ピッチを変更することができる。すなわち、上記の(2)、(3)の手順を1回行うことにより、搬送用無端チェーン33の全周の商品棚16の棚板間ピッチを変更することができる。
【0044】
本実施形態の商品棚調整モード64では、駆動モータ34の動作開始から一定時間Tが経過し、且つ、その後、商品棚検知スイッチ35が商品棚16を検知した場合に、駆動モータ34の駆動を停止させる。そのため、搬送用無端チェーン33を一定時間Tに相当する所定の距離とほぼ同じ距離を移動させて、かつ、商品棚16の停止位置を販売待機位置Fと一致させることができる。従って、棚板間ピッチの変更をした後に、商品棚16を販売待機位置Fで停止させるための動作を改めて行う必要がないので、棚板間ピッチを変更する作業が容易となる。
【0045】
目標時間T=1/3×Tf、もしくは、1/4×Tfの場合、手前側の搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16の棚板間ピッチを全部変更した後、搬送用無端チェーン33を1/3周、もしくは、1/4周だけ搬送させるので、棚板間ピッチを変更した後の商品棚16と棚板間ピッチを変更する前の商品棚16との境を確認することができる。そのため、棚板間ピッチを変更する作業を二重にしてしまう、または、棚板間ピッチの変更しない部分を残したまま作業を終了する、といった不具合を回避できる。
【0046】
目標時間T=1/2×Tfの場合、手前側の搬送用無端チェーン33に取り付けられた商品棚16の棚板間ピッチを全部変更した後、搬送用無端チェーン33を1/2周だけ搬送させるので、棚板間ピッチを変更した後の商品棚16と棚板間ピッチを変更する前の商品棚16との境を確認できない場合がある。そのため、棚板間ピッチを変更する作業を二重にしてしまう、または、棚板間ピッチの変更しない部分を残したまま作業を終了する、といった不具合が出る可能性がある。そのため、予め、複数の商品棚16のうちの1個をピッチ棚板間ピッチ変更用の基準の商品棚16として、他の商品棚16と見分けるための識別用マーキングを設けても構わない。目標時間T=1/3×Tf、1/4×Tfの場合においても、1個の商品棚16に識別用マーキングを設けても構わない。
【0047】
本実施形態では、ペアコラム販売モード61において、商品棚調整モード64を実行することができる。ペアコラム販売モード61において、商品棚調整モード64を実行することにより、隣り合う2基の商品収納ラック8aの商品棚16aの棚板間ピッチと、商品収納ラック8bの商品棚16bとの棚板間ピッチとを揃えることができる。そのため、ペアコラム販売モード61で商品Pを販売する場合に、商品棚16aと商品棚16bとの間をまたがって載置された商品Pが、商品棚16aの棚板間ピッチと商品棚16bとの棚板間ピッチとの相違により、斜めに商品Pが載置されてしまうことを防止できる。
【0048】
上記した実施形態では、商品棚調整モード64は、商品棚調整スイッチ65のONにより実行されるが、これに限定されない。商品棚調整モード64は他の操作ボタンによって実行されても構わない。
【0049】
上記した実施形態では、作業者が商品棚調整スイッチ65をONすることにより商品棚調整モード64が実行され、商品Pの落下搬出とは無関係に搬送用無端チェーン33を駆動するための駆動指令が制御部50に入力されたが、必ずしもこれに限定されない。商品棚調整モード64の有無に関係なく、所定の操作で、商品棚調整モード64が実行する場合と同じ制御で駆動モータ34の動作開始と停止を行っても構わない。
【0050】
上記した実施形態では、駆動モータ34は、PWM制御により制御されているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、ON-OFF制御、電圧制御、電流制御により、駆動モータ34を制御しても構わない。
【0051】
上記した実施形態では、商品棚調整スイッチ65が、外扉2の前面に配置された入力装置2bに配置されているが、商品棚調整スイッチ65が、外扉2の前面に配置された入力装置2bに配置せず、例えば、外扉2の内側面などのように、自動販売機100の内部に設けても構わない。
【0052】
上記した実施形態では、商品収納ラック8は自動販売機100に備えられるが、必ずしもこれに限定されない。他の機器に備えられる商品収納ラック8でも構わない。
【0053】
以上、本発明のいくつかの実施形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内においてさらに各種の変形および変更が可能であることを付言する。
【符号の説明】
【0054】
1 本体
1a 収納庫
1b 機械室
1c 断熱壁
2 外扉
2a 商品サンプル室
2b 入力装置
2c 商品受部
2d 商品取出口
2d1 外側フラップ
2e 外気導入口
3 内扉
3a 商品搬出口
3a1 内側フラップ
S 商品サンプル
P 商品
4 圧縮機
5 庫外熱交換器
6 庫外送風ファン
7 商品ラックユニット
8 商品収納ラック
9 商品ラック機構
10 商品搬送装置
11 庫内熱交換器
12 庫内送風ファン
13 背面ダクト
14 ラックケース
15 仕切板
16 商品棚
17 開閉扉
18 案内レール
21 搬送ガイド板
31 駆動スプロケット
32 従動スプロケット
33 搬送用無端チェーン
34 駆動モータ
35 商品棚検知スイッチ
36 検知レバー
37 押出し部材
50 制御部
53 タイマー
54 記憶部
60 単独コラム販売モード
61 ペアコラム販売モード
64 商品棚調整モード
65 商品棚調整スイッチ
100 自動販売機

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8