(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082949
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20240613BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20240613BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B65D5/50 A
B65D5/44 B
B65D81/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197181
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】石田 智佳
【テーマコード(参考)】
3E060
3E066
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB03
3E060BB05
3E060CC05
3E060CC18
3E060CC19
3E060CC42
3E060CC43
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CF05
3E060CG12
3E060DA30
3E060EA06
3E066AA71
3E066BA06
3E066CA03
3E066FA04
3E066HA03
3E066JA03
3E066MA09
(57)【要約】
【課題】収容空間に収容した収容物を収容空間に留め、収容物の収容作業をスムーズに行うことができる包装用箱を提供すること。
【解決手段】包装用箱1は、対向配置された側面板26および側面板28を備える筒体11と、筒体11内に配置され、側面板26と空隙を隔てて対向する仕切板22と、側面板26と仕切板22の間に形成された緩衝空間S1と、側面板28と仕切板22の間に形成され、収容物Qを収容する収容空間S0と、仕切板22の一端部に延設された緩衝片62と、緩衝片62の基端部に延設された誘導片82を有し、筒体11の一端側の開口が塞がれていない状態において誘導片82が筒体11から突出し、緩衝片62が収容空間S0内に立ち上がる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1側面板および第2側面板を備える筒体と、
前記筒体内に配置され、前記第1側面板と空隙を隔てて対向する第1仕切板と、
前記第1側面板と前記第1仕切板の間に形成された第1緩衝空間と、
前記第2側面板と前記第1仕切板の間に形成され、収容物を収容する収容空間と、
前記第1仕切板の一端部に延設された緩衝片と、
前記緩衝片の基端部に延設された誘導片を有し、
前記筒体の一端側の開口が塞がれていない状態において前記誘導片が前記筒体から突出し、前記緩衝片が前記収容空間内に立ち上がることを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記緩衝片を前記第1仕切板に対して前記第1収容空間側に折り曲げることで、前記誘導片が前記筒体から突出すると共に前記第1側面板側に傾倒し、前記緩衝片が前記収容空間内に立ち上がる請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記第1仕切板には開口が形成され、前記筒体を組み立てる前の状態において、前記開口内に前記誘導片が配置されている請求項1に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記第1側面板の前記誘導片と反対側の端部に形成された開封部を有し、
前記第1仕切板は、平面視で、前記開封部と重なっている請求項1に記載の包装用箱。
【請求項5】
前記筒体内に配置され、前記第2側面板と空隙を隔てて対向する第2仕切板と、
前記第2側面板と前記第2仕切板の間に形成された第2緩衝空間と、を有する請求項1に記載の包装用箱。
【請求項6】
前記第2側面板の前記誘導片と反対側の端部に形成された開封部を有し、
前記第2仕切板は、平面視で、前記開封部と重なっている請求項5に記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝機能付きの包装用箱として、特許文献1に記載の包装用箱が知られている。この包装用箱は、第1側壁、第2側壁、第3側壁および第4側壁を有する角筒状の箱本体と、箱本体内に配置され第4側壁と空隙を隔てて対向する仕切壁と、仕切壁の上端部に延設されたガイド片と、を有する。
【0003】
このような包装用箱では、第2側壁と仕切壁との間が収容物を収容する収容空間となり、第4側壁と仕切壁との間が衝撃を吸収・緩和する緩衝空間となる。そして、この緩衝空間によって衝撃等が吸収・緩和されることにより、収容空間内の収容物が保護される。また、収容物を収容空間に収容する際は、ガイド片を第4側壁側に傾倒させることで、ガイド片が収容空間に繋がるスロープとなり、収容空間への収容物の収容が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装用箱は、収容空間に収容した収容物をそのまま収容空間に留めておく機能を有さない。したがって、包装用箱の向き、収容物の押し戻し等によって、収容空間内の収容物が収容空間外に飛び出してしまうおそれがある。そのため、収容物の収容作業をスムーズに行うことができない。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、収容空間に収容した収容物を収容空間に留め、収容物の収容作業をスムーズに行うことができる包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、以下(1)~(6)の本発明により達成される。
【0008】
(1) 対向配置された第1側面板および第2側面板を備える筒体と、
前記筒体内に配置され、前記第1側面板と空隙を隔てて対向する第1仕切板と、
前記第1側面板と前記第1仕切板の間に形成された第1緩衝空間と、
前記第2側面板と前記第1仕切板の間に形成され、収容物を収容する収容空間と、
前記第1仕切板の一端部に延設された緩衝片と、
前記緩衝片の基端部に延設された誘導片を有し、
前記筒体の一端側の開口が塞がれていない状態において前記誘導片が前記筒体から突出し、前記緩衝片が前記収容空間内に立ち上がることを特徴とする包装用箱。
【0009】
(2) 前記緩衝片を前記第1仕切板に対して前記第1収容空間側に折り曲げることで、前記誘導片が前記筒体から突出すると共に前記第1側面板側に傾倒し、前記緩衝片が前記収容空間内に立ち上がる上記(1)に記載の包装用箱。
【0010】
(3) 前記第1仕切板には開口が形成され、前記筒体を組み立てる前の状態において、前記開口内に前記誘導片が配置されている上記(1)に記載の包装用箱。
【0011】
(4) 前記第1側面板の前記誘導片と反対側の端部に形成された開封部を有し、
前記第1仕切板は、平面視で、前記開封部と重なっている上記(1)に記載の包装用箱。
【0012】
(5) 前記筒体内に配置され、前記第2側面板と空隙を隔てて対向する第2仕切板と、
前記第2側面板と前記第2仕切板の間に形成された第2緩衝空間と、を有する上記(1)に記載の包装用箱。
【0013】
(6) 前記第2側面板の前記誘導片と反対側の端部に形成された開封部を有し、
前記第2仕切板は、平面視で、前記開封部と重なっている上記(5)に記載の包装用箱。
【発明の効果】
【0014】
このような発明によれば、誘導片を第1側面板側に傾倒させることで、誘導片が収容空間に繋がるスロープとなる。そのため、誘導片によって収容物を収容空間に誘導することができる。さらに、収容物を収容空間に挿入した後は、緩衝片によって収容物を収容空間内に留めることができる。したがって、収容物の収容作業をスムーズに行うことができる包装用箱となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る包装用箱形成片を表面側から見た展開図である。
【
図2】包装用箱形成片の組み立て方法を説明する平面図である。
【
図3】包装用箱形成片の組み立て方法を説明する平面図である。
【
図4】包装用箱形成片の組み立て方法を説明する平面図である。
【
図5】包装用箱形成片の組み立て方法を説明する平面図である。
【
図6】包装用箱形成片の組み立て方法を説明する平面図である。
【
図7】包装用箱形成片を組み立てて形成された包装用箱の斜視図である。
【
図8】包装用箱への収容物の収容方法を説明する断面図である。
【
図9】包装用箱への収容物の収容方法を説明する断面図である。
【
図10】包装用箱への収容物の収容方法を説明する断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る包装用箱形成片を表面側から見た展開図である。
【
図13】包装用箱形成片を組み立てて形成された包装用箱の斜視図である。
【
図15】第3実施形態に係る包装用箱形成片を表面側から見た展開図である。
【
図16】包装用箱形成片を組み立てて形成された包装用箱の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
本実施形態の包装用箱1は、紙製等の一枚のブランクシートを打ち抜いて一体的に形成された箱体形成片10を組み立てて形成される。以下では、説明の便宜上、箱体形成片10の表面が凸になる折り方を「正折り」とも言い、反対に、裏面が凸になる折り方を「逆折り」とも言う。また、
図1中の上側を「上」とし、下側を「下」とする。
【0017】
図1は、箱体形成片10を表面側から見た展開図である。同図に示すように、箱体形成片10は、紙面横方向である連接方向に沿って連接する糊代片21、仕切板22(第1仕切板)、内側面板23、仕切板24(第2仕切板)、内側面板25、側面板26(第1側面板)、側面板27、側面板28(第2側面板)および側面板29を有する。また、糊代片21、仕切板22、内側面板23、仕切板24、内側面板25、側面板26、側面板27、側面板28および側面板29は、それぞれ、縦方向に延びる折罫線31,32,33,34,35,36,37,38で区切られている。
【0018】
具体的には、糊代片21と仕切板22が折罫線31で区切られ、仕切板22と内側面板23が折罫線32で区切られ、内側面板23と仕切板24が折罫線33で区切られ、仕切板24と内側面板25が折罫線34で区切られ、内側面板25と側面板26が折罫線35で区切られ、側面板26と側面板27が折罫線36で区切られ、側面板27と側面板28が折罫線37で区切られ、側面板28と側面板29が折罫線38で区切られている。図示しないが、これらのうち折罫線31,32,33,34は、それぞれ、ミシン目入りの折罫線で構成されている。これにより、折罫線31,32,33,34を折り曲げ易くなる。ただし、折罫線31~38の構成は、それぞれ、特に限定されない。
【0019】
側面板26,28は、互いに同じ幅であり、側面板27,29は、互いに同じ幅である。また、側面板26,28の幅は、側面板27,29の幅よりも大きい。ただし、側面板26,28の幅と側面板27,29の幅の関係は、これに限定されない。また、内側面板25の幅は、側面板27,29の幅よりも小さく、内側面板23の幅は、内側面板25の幅よりも小さく、糊代片21の幅は、内側面板23の幅よりも小さい。
【0020】
また、側面板26,28の長さは、隣接する側面板27,29の長さとほぼ等しく、上端部および下端部においてブランクシートの厚さ程度の段差が形成されている。また、糊代片21、仕切板22、内側面板23および仕切板24の長さは、側面板26,28の長さよりも小さく、内側面板25の長さは、側面板26から仕切板24に向けて漸減している。
【0021】
また、側面板28の上端部には破断線281が形成されている。破断線281は、その両端が折罫線58上に延びるU字状をなしており、折罫線58と破断線281に囲まれた部分が開封部282となる。図示の構成では、開封部282が台形であるが、その形状は、特に限定されない。一方、側面板28の下端部には破断線283が形成されている。破断線283は、その両端が折罫線78上に延びるU字状をなしており、折罫線78と破断線283に囲まれた部分が開封部284となる。図示の構成では、開封部284が半円形であるが、その形状は、特に限定されない。なお、包装用箱1では、下端側に緩衝片62および誘導片82が位置する関係上、開封部282から包装用箱1を開封し、開封部284は、包装用箱1を分解する際に用いられる。したがって、開封部282,284の形状を異ならせることにより、これらを区別し易くなる。
【0022】
また、側面板28の上端部には外蓋片48が延設されている。側面板28と外蓋片48は、折罫線58で区切られている。また、側面板28の下端部には外蓋片68が延設されている。側面板28と外蓋片68は、折罫線78で区切られている。外蓋片48,68は、それぞれ、台形である。ただし、外蓋片48,68の外形は、特に限定されない。
【0023】
また、側面板26の上端部には内蓋片46が延設されている。側面板26と内蓋片46は、折罫線56で区切られている。また、側面板26の下端部には内蓋片66が延設されている。側面板26と内蓋片66は、折罫線76で区切られている。内蓋片46,66は、それぞれ、台形であり、外蓋片48,68よりも長さが短い。ただし、内蓋片46,66の外形は、特に限定されない。
【0024】
また、側面板27の上端部にはフラップ47が延設されている。側面板27とフラップ47は、折罫線57で区切られている。また、側面板27の下端部にはフラップ67が延設されている。側面板27とフラップ67は、折罫線77で区切られている。また、側面板29の上端部にはフラップ49が延設されている。側面板29とフラップ49は、折罫線59で区切られている。また、側面板29の下端部にはフラップ69が延設されている。側面板29とフラップ69は、折罫線79で区切られている。
【0025】
また、仕切板22の下端部には緩衝片62が延設されている。仕切板22と緩衝片62は、折罫線72で区切られている。緩衝片62は、台形である。ただし、緩衝片62の形状は、特に限定されない。また、仕切板22には下辺が折罫線72に沿う開口221が形成されている。また、開口221内には緩衝片62の根元(基端部)から延設された誘導片82が形成されている。誘導片82と緩衝片62は、折罫線92で区切られている。誘導片82は、台形である。ただし、誘導片82の形状は、特に限定されない。また、図示しないが、折罫線72,92は、それぞれ、ミシン目入りの折罫線で構成されている。これにより、折罫線72,92を折り曲げ易くなる。
【0026】
このように、開口221内に誘導片82を配置することにより、仕切板22から誘導片82が分離され、後述するように、折罫線72を正折りする際に、誘導片82が仕切板22に引っ掛かり難くなる。そのため、包装用箱1の組み立てが容易となる。ただし、これに限定されず、例えば、開口221を省略し、仕切板22から誘導片82を分離するための切込み線だけが形成されていてもよい。
【0027】
また、仕切板24の上端部には、切り欠き241が形成されている。切り欠き241は、円弧状である。ただし、切り欠き241の形状は、特に限定されない。
【0028】
以上、箱体形成片10の構成について説明した。次に、箱体形成片10を組み立てて包装用箱1を形成する方法を説明する。まず、
図2に示すように、箱体形成片10を裏返して折罫線72を正折りする。次に、
図3に示すように、折罫線32を180°に正折りし、糊代片21の表面に糊Bを塗布する。次に、
図4に示すように、折罫線34を180°に正折りし、糊代片21の表面を内側面板25の裏面に糊付けすると共に、内側面板23の表面に糊Bを塗布する。次に、
図5に示すように、折罫線36を180°に正折りし、内側面板23の表面を側面板27の裏面に糊付けすると共に、内側面板25の表面に糊Bを塗布する。次に、
図6に示すように、折罫線38を180°に正折りし、内側面板25の表面を側面板29の裏面に糊付けする。以上により、箱体形成片10が折り畳み状態となる。ただし、箱体形成片10を折り畳み状態とするまでの手順は、上記の手順に限定されない。
【0029】
次に、収容物を収容し包装する工場において折罫線31,32,33,34,35,36,37,38をそれぞれ90°に正折りして矩形の筒体11にする。次に、内蓋片46の表面に糊を塗布し、フラップ47,49を折罫線57,59で90°に正折りし、内蓋片46を折罫線56で90°に正折りし、外蓋片48を折罫線58で正折りし、外蓋片48の裏面を内蓋片46の表面に糊付けする。これにより、包装用箱1の上側の蓋体13が完成し、包装用箱1の上端側の開口が塞がれる。
【0030】
図7に示すように、この状態では、側面板26,28が互いに対向し、側面板27,29が互いに対向する。また、誘導片82が筒体11から突出する。また、仕切板22(第1仕切板)が側面板26(第1側面板)と空隙を隔てて平行に対向し、仕切板24(第2仕切板)が側面板28(第2側面板)と空隙を隔てて平行に対向する。そして、仕切板22,24の間の空間が収容物Qを収容する収容空間S0となり、仕切板22と側面板26の間が衝撃を吸収・緩和する緩衝空間S1(第1緩衝空間)となり、仕切板24と側面板28の間が衝撃を吸収・緩和する緩衝空間S2(第2緩衝空間)となる。
【0031】
次に、包装用箱1の下側の開口から収容物Qを収容空間S0内に収容する。具体的には、まず、
図8に示すように、包装用箱1を横に倒す。この状態では、折罫線72の復元力によって自然に誘導片82が内蓋片66側(側面板26側)に傾倒すると共に、緩衝片62が収容空間S0内に突出するように立ち上がる。なお、誘導片82の傾倒、緩衝片62の立ち上がりが不十分な時は、機械や作業者が補助してもよい。次に、収容物Qを誘導片82に沿ってスライドさせて収容空間S0内に挿入し、さらに、緩衝片62を超えてその奥まで挿入する。
【0032】
収容空間S0に収容物Qを挿入した後は、内蓋片66の表面に糊を塗布し、誘導片82を折罫線92で90°に正折りし、フラップ67,69を折罫線77,79で90°に正折りし、内蓋片66を折罫線76で90°に正折りし、外蓋片68を折罫線78で正折りし、外蓋片68の裏面を内蓋片66の表面に糊付けする。これにより、包装用箱1の下側の蓋体14が完成し、包装用箱1の下端側の開口が塞がれる。
【0033】
以上により、包装用箱1が組み立てられ、収容物Qの包装が完了する。包装用箱1が組み立てられた状態では、収容物Qが収容された収容空間S0の両側に緩衝空間S1、S2が位置する。そのため、緩衝空間S1、S2が包装用箱1に加わる外力を吸収・緩和することにより、収容空間S0内の収容物Qを保護することができる。
【0034】
このように、収容物Qの収容時に誘導片82を傾倒させることにより、誘導片82が収容空間S0に繋がるスロープとなる。そのため、収容物Qを収容空間S0内に挿入し易くなる。また、緩衝片62を収容空間S0内に突出させることにより、緩衝片62が「反し」として機能し、収容空間S0内に挿入された収容物Qを収容空間S0内に留めることができる。そのため、収容物Qの収容作業が容易となる。特に、本実施形態では、折罫線72を正折りすることで、誘導片82の傾倒と緩衝片62の立ち上げを1アクションで行うことができる。したがって、収容物Qの収容作業をスムーズに行うことができる。
【0035】
ここで、
図9に示すように、収容物Qを収容空間S0内に挿入した際に収容物Qが蓋体13にぶつかって開口側に跳ね返る「押し戻し(収容物Qが蓋体13にぶつかって跳ね返る力)」が生じた場合でも、収容物Qが緩衝片62に当たってそれ以上の押し戻しが阻止されるため、収容物Qを収容空間S0に留めることができる。特に、本実施形態では、緩衝片62と誘導片82の間にある折罫線92がミシン目入りの折り曲げ易い折罫線で構成されるため、押し戻された収容物Qとの接触により緩衝片62が容易に立ち上がり、収容物Qが緩衝片62を乗り越えるのをより確実に防止することができる。
【0036】
なお、緩衝片62の長さとしては、特に限定されないが、本実施形態では、緩衝片62の長さを収容空間S0の厚さ(=内側面板23の幅)よりも若干長くしている。これにより、緩衝片62の先端が仕切板24に接触することにより、それ以上の立ち上がりが抑制される。そのため、収容物Qを収容空間S0内により確実に留めることができる。
【0037】
また、
図8および
図9に示す例では、収容物Qが緩衝片62を乗り越えるが、
図10に示すように、収容物Qが長く、緩衝片62を乗り越えることができなくてもよい。この場合は、収容物Qを緩衝片62の復元力によって仕切板24に押さえ付けることにより収容空間S0内に留めることができる。
【0038】
包装用箱1から収容物Qを取り出す時は、側面板28の開封部282を指で押して破断線281を破断し、側面板28から開封部282を切り離す。そして、そのまま、指を蓋体13の内側に引っ掛けて蓋体13を引き起こすことにより包装用箱1を開封する。
【0039】
ここで、
図11に示すように、包装用箱1が組み立てられた状態では、平面視で、開封部282が仕切板24と重なっている。そのため、開封部282を指で押して破断線281を破断した際に指が仕切板24にぶつかり、収容物Qに直接ぶつからない。そのため、開封作業から収容物Qを保護することができる。特に、切り欠き241によって開封部282の先端部だけを仕切板24と重ね、指を蓋体13の内側に引っ掛ける際の指の通り道を確保している。そのため、開封作業からの収容物Qの保護と開封作業のし易さの両立を図ることができる。なお、万が一、開封部284側から開封された場合にも、開封部284が仕切板24と重なっているため、同様にして開封作業から収容物Qを保護することができる。
【0040】
包装用箱1を廃棄するために分解するときは、開封部284を指で押し込んで蓋体14を開封し、折り畳み状態と同じように包装用箱1を薄く折り畳む。これにより、コンパクトな形で廃棄することができる。
【0041】
<第2実施形態>
本実施形態に係る包装用箱1は、内側面板23および仕切板24が省略されていることと、開封部が側面板26に形成されていること以外は、前述した第1実施形態の包装用箱1と同様である。そのため、以下の説明では、本実施形態の包装用箱1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0042】
図12に示すように、本実施形態の箱体形成片10は、連接方向に沿って連接する糊代片21、仕切板22(第1仕切板)、内側面板25、側面板26(第1側面板)、側面板27、側面板28(第2側面板)および側面板29を有する。内側面板25の幅は、側面板27、29の幅のほぼ半分である。また、仕切板22の上端部には円弧状の切り欠き222が形成されている。この切り欠き222は、前述した第1実施形態の仕切板24に形成された切り欠き241と同様の機能を発揮する。
【0043】
また、開封部282、284が省略されている代わりに、側面板26の上端部に破断線261が形成されており、折罫線56と破断線261に囲まれた部分が開封部262となる。同様に、側面板26の下端部に破断線263が形成されており、折罫線76と破断線263に囲まれた部分が開封部264となる。なお、破断線261、263および開封部262、264は、それぞれ、破断線281、283および開封部282、284と同様の構成である。
【0044】
次に、箱体形成片10を組み立てて包装用箱1を形成する方法を説明する。まず、折罫線72を180°に逆折りする。次に、折罫線32を180°に正折りし、糊代片21の表面に糊を塗布する。次に、折罫線36を180°に正折りし、糊代片21の表面を側面板27の裏面に糊付けすると共に、内側面板25の表面に糊を塗布する。次に、折罫線38を180°に正折りし、内側面板25の表面を側面板29の裏面に糊付けする。以上により、箱体形成片10が折り畳み状態となる。ただし、箱体形成片10を折り畳み状態とするまでの手順は、上記の手順に限定されない。
【0045】
図13に示すように、折罫線31,32,35,36,37,38をそれぞれ90°に正折りして四角形の筒体11にすると、仕切板22(第1仕切板)は、側面板26と空隙を隔てて平行に対向する。そして、仕切板22と側面板28(第2側面板)の間の空間が収容物Qを収容する収容空間S0となり、仕切板22と側面板26(第1側面板)の間が衝撃を吸収・緩和する緩衝空間S1(第1緩衝空間)となる。このような構成によれば、内側面板23および仕切板24を省略した分、前述した第1実施形態と比較して包装用箱1の製造コストを削減することができる。
【0046】
特に、本実施形態では、前述したように、内側面板25の幅が側面板27、29の幅のほぼ半分であるため、仕切板22が包装用箱1のほぼ中央に位置し、収容空間S0と緩衝空間S1とがほぼ同じ大きさとなっている。そのため、緩衝空間S1が広く確保され、緩衝空間S1側の緩衝効果が高まる。
【0047】
また、
図14に示すように、開封部262は、平面視で、仕切板22と重なる。そのため、開封部262を指で押して破断線261を破断した際に、指が仕切板22にぶつかり、収容物Qに直接ぶつからない。そのため、開封作業から収容物Qを保護することができる。特に、仕切板22に切り欠き222を形成することにより開封部262の先端部だけを仕切板22と重ね、指を蓋体13の内側に引っ掛ける際の指の通り道を確保している。そのため、開封作業からの収容物Qの保護と開封作業のし易さの両立を図ることができる。
【0048】
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態では、仕切板22が包装用箱1のほぼ中央に位置しているが、これに限定されず、次の第3実施形態のように側面板26側に偏在していてもよいし、反対に、側面板28側に偏在していてもよい。仕切板22の位置は、例えば、収容物Qのサイズや求められる緩衝効果に基づいて適宜設定することができる。
【0049】
<第3実施形態>
本実施形態に係る包装用箱1は、側面板26,28の配置が逆になっていることと、内側面板25の幅が異なること以外は、前述した第2実施形態の包装用箱1と同様である。そのため、以下の説明では、本実施形態の包装用箱1に関し、前述した第1、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0050】
図15に示すように、本実施形態の箱体形成片10では、前述した第2実施形態に対して、側面板26,28の位置が逆になっている。つまり、箱体形成片10は、連接方向に沿って連接する糊代片21、仕切板22(第1仕切板)、内側面板25、側面板28(第2側面板)、側面板27、側面板26(第1側面板)および側面板29を有する。また、内側面板25の幅が前述した第2実施形態よりも大きい。つまり、内側面板25の幅は、側面板27、29の幅の半分よりも大きい。
【0051】
次に、箱体形成片10を組み立てて包装用箱1を形成する方法を説明する。まず、折罫線72を180°に正折りする。次に、折罫線32を180°に正折りし、糊代片21の表面に糊を塗布する。次に、折罫線36を180°に正折りし、糊代片21の表面を側面板27の裏面に糊付けすると共に、内側面板25の表面に糊を塗布する。次に、折罫線38を180°に正折りし、内側面板25の表面を側面板29の裏面に糊付けする。以上により、箱体形成片10が折り畳み状態となる。ただし、箱体形成片10を折り畳み状態とするまでの手順は、上記の手順に限定されない。
【0052】
図16に示すように、折罫線31,32,35,36,37,38をそれぞれ90°に正折りして四角形の筒体11にすると、仕切板22(第1仕切板)は、側面板26と空隙を隔てて平行に対向する。そして、仕切板22と側面板28(第2側面板)の間の空間が収容物Qを収容する収容空間S0となり、仕切板22と側面板26(第1側面板)の間が衝撃を吸収・緩和する緩衝空間S1(第1緩衝空間)となる。
【0053】
前述したように、本実施形態では、内側面板25の幅が側面板27、29の幅の半分よりも大きいため、仕切板22が側面板26側に偏在し、その分、前述した第2実施形態に比べて収容空間S0を大きくすることができる。
【0054】
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0055】
なお、この発明の包装用箱は、前記実施の形態に限定されるものではなく、箱体の大きさ、素材、各部材の形状等は適宜変更可能である。また、前述した各実施形態を適宜組み合わせることもできる。また、前述した実施形態では、各パーツの接合を糊付けにより行っているが、接合方法は、特に限定されない。また、包装用箱は、複数のブランクシートを貼り合わせて形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…包装用箱、10…箱体形成片、11…筒体、13…蓋体、14…蓋体、21…糊代片、22…仕切板、221…開口、222…切り欠き、23…内側面板、24…仕切板、241…切り欠き、25…内側面板、26…側面板、261…破断線、262…開封部、263…破断線、264…開封部、27…側面板、28…側面板、281…破断線、282…開封部、283…破断線、284…開封部、29…側面板、31…折罫線、32…折罫線、33…折罫線、34…折罫線、35…折罫線、36…折罫線、37…折罫線、38…折罫線、46…内蓋片、47…フラップ、48…外蓋片、49…フラップ、56…折罫線、57…折罫線、58…折罫線、59…折罫線、62…緩衝片、66…内蓋片、67…フラップ、68…外蓋片、69…フラップ、72…折罫線、76…折罫線、77…折罫線、78…折罫線、79…折罫線、82…誘導片、92…折罫線、B…糊、Q…収容物、S0…収容空間、S1…緩衝空間、S2…緩衝空間