(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082958
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】パイロットキャップユニット
(51)【国際特許分類】
F16K 27/04 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
F16K27/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197196
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 恒輝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 説与
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA03
3H051BB10
3H051CC12
3H051FF07
(57)【要約】
【課題】未使用の制御弁の誤動作を防止する。
【解決手段】制御弁10に取り付けられるパイロットキャップユニット100は、スプール孔31の一端に面するようにバルブハウジング30に取り付けられ、バルブハウジング30との間でパイロット室11を区画する第一,第二パイロットキャップ40,60を備え、第一,第二パイロットキャップ40,60は、パイロット室11と第一,第二パイロットキャップ40,60の外面40a,60aとに開口し直線状に延びる連通路(連通路47,通路62,検出通路63)と、連通路における第一,第二パイロットキャップ40,60の外面40a,60aの開口を封止する第一,第二プラグ50,65と、連通路に挿入されスプール25及び第一,第二プラグ50,65に当接してパイロット室11が収縮する方向へのスプール25の移動を規制する第一,第二スペーサ58,66と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプールが摺動自在に収容されるスプール孔が貫通して形成されたバルブハウジングを有する制御弁に取り付けられるパイロットキャップユニットであって、
前記スプール孔の一端に面するように前記バルブハウジングに取り付けられ、前記バルブハウジングとの間でパイロット室を区画するパイロットキャップと、を備え、
前記パイロットキャップは、
前記パイロット室と前記パイロットキャップの外面とに開口し直線状に延びる連通路と、
前記連通路における前記パイロットキャップの前記外面の開口を封止する封止部材と、
前記連通路に挿入され前記スプール及び前記封止部材に当接して前記パイロット室が収縮する方向への前記スプールの移動を規制する棒状の規制部材と、を有することを特徴とするパイロットキャップユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のパイロットキャップユニットであって、
前記パイロットキャップに取り付けられ、前記パイロット室へ供給されるパイロット流体の圧力を制御する電磁弁をさらに備え、
前記連通路は、前記電磁弁と前記パイロット室とを連通することを特徴とするパイロットキャップユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のパイロットキャップユニットであって、
前記連通路は、前記パイロット室の圧力を検出する圧力センサと前記パイロット室とを連通可能な検出通路であり、
前記検出通路の前記開口には、前記圧力センサに代えて前記封止部材が取り付けられることを特徴とするパイロットキャップユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のパイロットキャップユニットであって、
前記バルブハウジングとの間で前記パイロット室としての第一パイロット室を区画する前記パイロットキャップとしての第一パイロットキャップと、
前記スプール孔の他端に面するように前記バルブハウジングに取り付けられ、前記バルブハウジングとの間で第二パイロット室を区画する第二パイロットキャップをさらに備え、
前記バルブハウジングは、前記スプール孔に開口し前記第一パイロット室に隣接して設けられるとともに大気に連通する第一ポートと、前記スプール孔に開口し前記第二パイロット室に隣接して設けられるとともに前記第一ポートよりも圧力が高い第二ポートと、を有し、
少なくとも前記第一パイロットキャップには、前記規制部材が設けられることを特徴とするパイロットキャップユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイロットキャップユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャップを備える制御弁が開示されている。キャップは、スプールが組み込まれたバルブハウジングに取り付けられバルブハウジングとでパイロット室を画成するパイロットキャップと、パイロットキャップに取り付けられパイロット室へ供給する作動流体の圧力を制御する電磁比例弁と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の制御弁では、使用者の使用方法により、一部の制御弁を未使用とすることがある。特許文献1に記載の制御弁では、ポンプから吐出される作動流体が、未使用のスプールが摺動する摺動穴の内周面と未使用のスプールの外周面の間を通じて、未使用のパイロット室に漏れ出すおそれがある。この場合には、未使用のスプールが移動してしまい、未使用の制御弁が誤動作してしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、未使用の制御弁の誤動作を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スプールが摺動自在に収容されるスプール孔が貫通して形成されたバルブハウジングを有する制御弁に取り付けられるパイロットキャップユニットであって、スプール孔の一端に面するようにバルブハウジングに取り付けられ、バルブハウジングとの間でパイロット室を区画するパイロットキャップと、を備え、パイロットキャップは、パイロット室とパイロットキャップの外面とに開口し直線状に延びる連通路と、連通路におけるパイロットキャップの外面の開口を封止する封止部材と、連通路に挿入されスプール及び封止部材に当接してパイロット室が収縮する方向へのスプールの移動を規制する棒状の規制部材と、を有することを特徴とする。
【0007】
この発明では、規制部材が連通路に設けられ、パイロット室が収縮する方向へのスプールの移動が規制される。よって、未使用の制御弁のパイロット室に作動流体が漏れ出しても、漏れ出した作動流体の圧力によるスプールの移動が規制部材によって防止される。よって、未使用の制御弁の誤動作が防止される。
【0008】
また、本発明は、パイロットキャップに取り付けられ、パイロット室へ供給されるパイロット流体の圧力を制御する電磁弁をさらに備え、連通路は、電磁弁とパイロット室とを連通することを特徴とする。
【0009】
この発明では、規制部材を設けるスペースとして、電磁弁からのパイロット流体をパイロット室に導く連通路を利用するため、規制部材を設けるための専用の通路を設ける必要がない。
【0010】
また、本発明は、連通路は、パイロット室の圧力を検出する圧力センサとパイロット室とを連通可能な検出通路であり、検出通路の開口には、圧力センサに代えて封止部材が取り付けられることを特徴とする。
【0011】
この発明では、規制部材を設けるスペースとして、圧力センサとパイロット室とを連通する検出通路を利用するため、規制部材を設けるための専用の通路を設ける必要がない。よって、封止部材を圧力センサと取り換え、検出通路に規制部材を設けることのみで、漏れ出した作動流体の圧力によるスプールの移動を防止することができる。
【0012】
また、本発明は、バルブハウジングとの間でパイロット室としての第一パイロット室を区画するパイロットキャップとしての第一パイロットキャップと、スプール孔の他端に面するようにバルブハウジングに取り付けられ、バルブハウジングとの間で第二パイロット室を区画する第二パイロットキャップをさらに備え、バルブハウジングは、スプール孔に開口し第一パイロット室に隣接して設けられるとともに大気に連通する第一ポートと、スプール孔に開口し第二パイロット室に隣接して設けられるとともに第一ポートよりも圧力が高い第二ポートと、を有し、少なくとも第一パイロットキャップには、規制部材が設けられることを特徴とする。
【0013】
この発明では、第一パイロット室には大気に連通する第一ポートが隣接し、第二パイロット室には第一ポートよりも圧力が高い第二ポートが隣接する。第一ポートは大気に連通するため第一パイロット室には圧力がこもりにくいものの、第二ポートは第一ポートよりも圧力が高いため第二パイロット室には第一パイロット室よりも圧力がこもりやすい。そのため、スプール孔の内周面とスプールの外周面の間を通じて作動流体が漏れ出した場合には、第一パイロット室よりも第二パイロット室内に圧力がこもりやすい。しかしながら、第二パイロット室の圧力によるスプールの移動を規制部材によって防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、未使用の制御弁の誤動作が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】制御弁を含む流体圧制御装置の流体圧回路図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るパイロットキャップユニットの第一パイロットキャップの平面図である。
【
図3】
図2のIII方向から見た第一パイロットキャップの側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るパイロットキャップユニット及び制御弁を示す断面図である。
【
図5】本発明の変形例1に係るパイロットキャップユニットを示す拡大断面図である。
【
図6】本発明の変形例2に係るパイロットキャップユニットを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る第一パイロットキャップユニット100a及び第二パイロットキャップユニット100bについて説明する。以下では、第一パイロットキャップユニット100a及び第二パイロットキャップユニット100bを総称して、単に「パイロットキャップユニット100」と称する。
【0017】
パイロットキャップユニット100及びそれを備える制御弁10は、流体圧制御装置1に設けられる。流体圧制御装置1は、ポンプから吐出される作動流体によって駆動されるアクチュエータを制御する装置であり、例えば、建設機械、農業機械、産業機械等の作業機械に搭載される。以下では、流体圧制御装置1が、油圧ショベルに搭載され、走行用の油圧モータや、ブーム、アーム、バケット等の駆動用の油圧シリンダといったアクチュエータの作動の制御に用いられる場合について説明する。なお、油圧ショベルのアクチュエータの駆動には、作動流体として作動油を用いる例について説明するが、作動流体には作動水等の他の流体を用いてもよい。
【0018】
まず、
図1を参照して、流体圧制御装置1の油圧回路について説明する。流体圧制御装置1は、油圧ポンプ3と、油圧ポンプ3から吐出される作動油によって駆動されるアクチュエータとしての油圧シリンダ6と、油圧ポンプ3から吐出される作動油を供給する供給通路20と、供給通路20に設けられ油圧シリンダ6に給排される作動油の流れを制御する制御弁10と、を備える。油圧シリンダ6及び制御弁10は複数設けられ、
図1では一つの油圧シリンダ6と二つの制御弁10を代表して示している。
【0019】
油圧ポンプ3は、油圧ショベルに搭載されるエンジンにより駆動される。油圧ポンプ3は、これに限らず電動モータにより駆動されてもよい。油圧ポンプ3から吐出される作動油は、供給通路20により制御弁10に導かれる。油圧シリンダ6のロッド側室6a及びボトム側室6bには、一対のアクチュエータ通路21を通じて作動油が給排される。一対のアクチュエータ通路21は、制御弁10のポジションに応じて、一方が供給通路20に接続され、他方がタンク4に連通するタンク通路22に接続される。
【0020】
制御弁10は、4ポート3ポジションのスプール弁であり、本実施形態では同様の構成の制御弁10が各油圧シリンダ6に対応して複数設けられる。制御弁10は、作業者による操作レバー9の操作方向及び操作量に応じて、パイロット通路16を通じて一対のパイロット室11にパイロット圧が導かれて、ポジションが切り換わる。制御弁10は、一対のパイロット室11に供給されるパイロット圧の大きさに応じて、中立ポジション10A、伸長ポジション10B、及び収縮ポジション10Cの間でポジションが切り換わる。
【0021】
具体的には、パイロット通路16には、パイロットポンプ5の吐出圧を減圧してパイロット圧を生成する電磁弁としての電磁比例減圧弁7が設けられる。電磁比例減圧弁7は、コントローラ8と電気的に接続され、コントローラ8からの信号に応じてパイロット圧を生成する。コントローラ8は、操作レバー9の操作方向及び操作量に応じた制御信号を電磁比例減圧弁7に送信し、電磁比例減圧弁7を制御する。これにより、制御弁10が中立ポジション10A、伸長ポジション10B、及び収縮ポジション10Cに切り換えられ、油圧シリンダ6のロッド側室6a及びボトム側室6bに作動油が給排される。
【0022】
次に、パイロットキャップユニット100及び制御弁10の構成について詳しく説明する。
図2は第一パイロットキャップユニット100aの第一パイロットキャップ40の平面図であり、
図3は
図2のIII方向から見た第一パイロットキャップ40の側面図であり、
図4は制御弁10の断面図である。
図2及び
図3において、パイロットキャップユニット100が取り付けられるバルブハウジング30及びスプール25については、二点鎖線で示す。
【0023】
パイロットキャップユニット100は、制御弁10のバルブハウジング30に取り付けられる。本実施形態では、複数の制御弁10は共通のバルブハウジング30を有する。第一パイロットキャップユニット100a及び第二パイロットキャップユニット100bは、それぞれバルブハウジング30に取り付けられ、複数の制御弁10にわたって設けられる。複数の制御弁10はそれぞれ同様の構成であるため、以下では、一つの制御弁10の構成を代表して説明する。
【0024】
図2から
図4に示すように、第一パイロットキャップユニット100aは、スプール孔31の一端に面するようにバルブハウジング30に取り付けられる第一パイロットキャップ40と、第一パイロットキャップ40に取り付けられ、第一パイロット室11aへ供給されるパイロット流体としてのパイロット圧油の圧力を制御する第一電磁比例減圧弁7aと、を備える。第一パイロットキャップユニット100aがバルブハウジング30に取り付けられることで、第一パイロット室11aが形成される。また、第二パイロットキャップユニット100bは、スプール孔31の他端に面するようにバルブハウジング30に取り付けられる第二パイロットキャップ60(
図4参照)と、第二パイロットキャップ60に取り付けられ、第二パイロット室11bへ供給されるパイロット圧油の圧力を制御する第二電磁比例減圧弁7b(
図4参照)と、を備える。第二パイロットキャップユニット100bがバルブハウジング30に取り付けられることで、第二パイロット室11bが形成される。
【0025】
図3、
図4に示すように、制御弁10は、直方体形状のバルブハウジング30と、バルブハウジング30に摺動自在に組み込まれるスプール25と、を有する。バルブハウジング30には、スプール25が摺動自在に収容されるスプール孔31が貫通して形成される。スプール25は、スプール孔31に収容される本体部25aと、スプール25の一端に結合され第一パイロット室11a内に延在するスプールエンド25bと、を有する。第一パイロット室11a内にはスプールエンド25bの外周に沿って摺動可能な一対のばね受け部材52が収容され、一対のばね受け部材52の間には付勢部材としてのスプリング51が介装される。
【0026】
図4に示すように、バルブハウジング30は、供給通路20に連通する供給ポート32と、アクチュエータ通路21に連通するアクチュエータポート33と、供給ポート32に連通し供給ポート32から供給された作動油をアクチュエータポート33に導く導出通路34と、導出通路34に連通する導出ポート35と、タンク通路22に連通する第二ポートとしてのタンクポート36と、タンク4に連通するドレン通路(図示省略)と、ドレン通路に連通する第一ポートとしてのドレンポート37と、中立通路(図示省略)に連通し作動流体を下流側の制御弁10に導く中立ポート38と、を有する。
【0027】
アクチュエータポート33、導出ポート35、タンクポート36、ドレンポート37、及び中立ポート38は、スプール孔31に開口する。アクチュエータポート33、導出ポート35、及びタンクポート36は、左右対称に二つ設けられる。中立ポート38は、スプール孔31の軸方向の中心付近に三つ設けられる。以下では、アクチュエータポート33、導出ポート35、及びタンクポート36については、
図4において中立ポート38の右側に設けられる各ポートの符号に「a」を付し、中立ポート38の左側に設けられる各ポートの符号に「b」を付して説明する。また、三つの中立ポート38については、
図4において中央に設けられるものを中立ポート38a、右側に設けられるものを中立ポート38b、左側に設けられるものを中立ポート38cとも称する。
【0028】
スプール孔31には、
図4における右側から、ドレンポート37、タンクポート36a、アクチュエータポート33a、導出ポート35a、中立ポート38b、中立ポート38a、中立ポート38c、導出ポート35b、アクチュエータポート33b、タンクポート36bがこの順で開口する。ドレンポート37は、第一パイロット室11aに隣接して設けられる。ここで、「ドレンポート37が第一パイロット室11aに隣接する」とは、ドレンポート37と第一パイロット室11aの間に他のポートが設けられないことを意味する。タンクポート36bは、第二パイロット室11bに隣接して設けられる。つまり、タンクポート36bと第二パイロット室11bの間には他のポートが設けられない。導出通路34には、サブスプール39が設けられる。
【0029】
図4に示す状態のように、何れのパイロット室11にもパイロット圧が導かれていない状態では、スプリング51の付勢力によりスプール25は中立位置となり、スプール25により、導出ポート35aとアクチュエータポート33a、アクチュエータポート33aとタンクポート36a、導出ポート35bとアクチュエータポート33b、及びアクチュエータポート33bとタンクポート36bの連通が全て遮断されている。また、中立ポート38aは中立ポート38b及び中立ポート38cに連通し、上流側の制御弁10から中立ポート38aに導かれる作動油は、中立ポート38b、中立ポート38cを通じて下流側の制御弁10に導かれる。
【0030】
第一パイロット室11aにパイロット圧が導かれ、スプール25が
図4に示す状態から左側に移動すると、導出ポート35bとアクチュエータポート33bが連通し、導出通路34と
図4における左側のアクチュエータ通路21bが連通する。また、供給ポート32から導出通路34に導かれる作動油の圧力により、サブスプール39が開弁し、供給ポート32からの作動油が、導出通路34及びアクチュエータ通路21bを通じてアクチュエータに供給される。一方で、アクチュエータポート33aとタンクポート36aが連通し、
図4における右側のアクチュエータ通路21aとタンク通路22が連通する。これにより、アクチュエータ通路21a及びタンク通路22を通じて作動油がアクチュエータからタンク4へと排出される。また、中立ポート38aと中立ポート38b、及び中立ポート38aと中立ポート38cの連通が遮断され、中立通路を通じた下流側の制御弁10への作動油の流れが遮断される。
【0031】
また、第二パイロット室11bにパイロット圧が導かれ、スプール25が
図4に示す状態から右側に移動すると、導出ポート35aとアクチュエータポート33aが連通し、導出通路34とアクチュエータ通路21aが連通する。また、供給ポート32から導出通路34に導かれる作動油の圧力により、サブスプール39が開弁し、供給ポート32からの作動油が、導出通路34及びアクチュエータ通路21aを通じてアクチュエータに供給される。一方で、アクチュエータポート33bとタンクポート36bが連通し、アクチュエータ通路21bとタンク通路22が連通する。これにより、アクチュエータ通路21b及びタンク通路22を通じて作動油がアクチュエータからタンク4へと排出される。また、中立ポート38aと中立ポート38b、及び中立ポート38aと中立ポート38cの連通が遮断され、中立通路を通じた下流側の制御弁10への作動油の流れが遮断される。
【0032】
なお、以下では、スプール25の軸方向をZ方向とも記す。また、複数のスプール25及び複数のパイロット室11は、スプール25の軸方向に直交する方向に配列される。このため、スプール25及びパイロット室11の配列方向をX方向とも記す。さらに、スプール25の軸方向(Z方向)及びスプール25の配列方向(X方向)のそれぞれに直交する方向をY方向とも記す。
【0033】
図2から
図4に示すように、第一パイロットキャップユニット100aの第一パイロットキャップ40は、スプール25と同軸に設けられる円筒状の筒部41と、スプール25を付勢するスプリング51を収容しバルブハウジング30との間で第一パイロット室11aを区画する収容穴としてのスプリング収容穴42(
図3,4参照)と、筒部41からスプール25の軸方向(Z方向)に沿って、バルブハウジング30とは反対側に突出する突出端部43と、を有する。突出端部43は、複数の筒部41を連結するように設けられる(
図2参照)。第一パイロットキャップ40は、ボルト等の締結部材により、バルブハウジング30の側面31aに取り付けられる。
【0034】
図3、
図4に示すように、第一パイロットキャップ40がバルブハウジング30に取り付けられることにより、スプール25の一端が臨む第一パイロット室11aが画成される。第一パイロット室11a内には、スプリング51、ばね受け部材52、及びスプールエンド25bが収容される。同様に、第二パイロットキャップユニット100bの第二パイロットキャップ60がバルブハウジング30に取り付けられることにより、スプール25の他端が臨む第二パイロット室11bが画成される。
【0035】
図3及び
図4に示すように、第一パイロットキャップ40は、パイロットポンプ5に接続されパイロットポンプ5からパイロット圧油が供給されるキャップ側供給ポート45と、タンク4にパイロット圧油を排出するキャップ側排出ポート46と、キャップ側供給ポート45から電磁比例減圧弁7aにパイロット圧油を導く導出通路48と、第一パイロット室11a(スプリング収容穴42)と第一パイロットキャップ40の外面40aとに開口し直線状に延びる連通路47と、連通路47における第一パイロットキャップ40の外面40aの開口40bを封止する封止部材としての第一プラグ50と、電磁比例減圧弁7aから排出されるパイロット圧油をキャップ側排出ポート46に導くキャップ側ドレン通路49と、を有する。
【0036】
キャップ側供給ポート45及びキャップ側排出ポート46は、第一パイロットキャップ40の突出端部43に設けられる。本実施形態では、第一パイロットキャップ40の長手方向(X方向)の一端面に、キャップ側供給ポート45とキャップ側排出ポート46とが並んで設けられる。キャップ側供給ポート45及びキャップ側排出ポート46は、X方向に延びて設けられる。
【0037】
図3及び
図4に示すように、電磁比例減圧弁7aは、弁体収容穴55に収容される弁体(図示省略)と、弁体に推力を与えるソレノイド56と、弁体にソレノイド56の推力に対抗する方向の付勢力を与えるスプリング(図示省略)と、を有する。電磁比例減圧弁7aは、ソレノイド56に供給される制御電流に応じて、第一パイロット室11aへ供給されるパイロット圧を制御する。本実施形態では、電磁比例減圧弁7aは、ソレノイド56に供給される電流が高くなるほど、パイロット圧を上昇させる正比例型の減圧弁である。
【0038】
導出通路48は、キャップ側供給ポート45及び弁体収容穴55に連通し、弁体収容穴55と第一パイロットキャップ40の外面40aとにわたって直線状に形成される。導出通路48における第一パイロットキャップ40の外面40aの開口は、プラグ53により封止される。連通路47は、弁体収容穴55を通り、第一パイロット室11aと第一パイロットキャップ40の外面40aとにわたって直線状に形成される。導出通路48及び連通路47は、各電磁比例減圧弁7aに対応して複数設けられる。複数の連通路47は、それぞれキャップ側供給ポート45に連通する。キャップ側供給ポート45から導出通路48を通じて弁体収容穴55に導かれたパイロット圧油は、電磁比例減圧弁7aにより減圧され、連通路47を通じて第一パイロット室11aに導かれる。このように、連通路47は、電磁比例減圧弁7aと第一パイロット室11aとを連通し、パイロット通路の一部を構成する。
【0039】
キャップ側ドレン通路49は、各電磁比例減圧弁7aに対応して複数設けられる。キャップ側ドレン通路49は、キャップ側排出ポート46と弁体収容穴55を連通する。
【0040】
図4に示すように、第一パイロットキャップ40は、連通路47内に挿入されて設けられる規制部材としての第一スペーサ58を有する。なお、
図4では、連通路47及び弁体収容穴55を通る断面図を示している。第一スペーサ58は、棒状に形成され、連通路47、弁体収容穴55、及び第一パイロット室11aにわたって設けられる。第一スペーサ58は、第一プラグ50とは別体に形成され、両端部がそれぞれスプール25のスプールエンド25b及び第一プラグ50に当接する。よって、第一スペーサ58により、第一パイロット室11aが収縮する方向(
図4における右方向)へのスプール25の移動が物理的に規制される。
【0041】
図4に示すように、第二パイロットキャップユニット100bの第二パイロットキャップ60は、スプール25と同軸に設けられる円筒状の筒部61を有し、筒部61によりバルブハウジング30との間で第二パイロット室11bが区画される。第二パイロット室11bには、電磁比例減圧弁7bにより減圧されたパイロット圧が通路62を通じて導かれる。パイロットポンプ5から電磁比例減圧弁7bを通じて第二パイロット室11bにパイロット圧が導かれる油路の構成については、例えば第一パイロットキャップ40と同様のものを適用できるため、詳細な説明を省略する。
【0042】
ここで、制御弁10では、使用者の使用方法により、一部の制御弁10を未使用とすることがある。例えば、制御弁10が搭載される建設機械によっては、一部の制御弁10のアクチュエータ通路21に油圧シリンダ6が取り付けられず、スプール25が未使用となることがある。そのような制御弁10において、油圧ポンプ3から吐出される作動油が、スプール孔31の内周面とスプール25の外周面の間を通じて、パイロット室11に漏れ出すおそれがある。未使用のスプール25がパイロット室11の圧力により移動してしまうと、未使用の制御弁10が誤動作してしまう。また、未使用のスプール25がパイロット室11の圧力により移動してしまうと、未使用の制御弁10において作動油の流れが生じてしまうため、使用中の制御弁10に供給される作動油の圧力が低下し、使用中の制御弁10の動作に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0043】
これに対して、本実施形態の第一パイロットキャップユニット100aでは、第一スペーサ58が連通路47内に設けられ、第一パイロット室11aが収縮する方向へのスプール25の移動が規制される。よって、未使用の制御弁10のパイロット室11(具体的には、第二パイロット室11b)に作動油が漏れ出しても、漏れ出した作動油の圧力によるスプール25の移動が第一スペーサ58によって防止される。よって、未使用の制御弁10の誤動作が防止される。
【0044】
ここで、第一パイロット室11aにはドレンポート37が隣接し、第二パイロット室11bにはタンクポート36が隣接する。ドレンポート37は、大気に連通するため低圧(大気圧)である一方、タンクポート36は、圧力がこもり易いタンク4に連通するため、ドレンポート37よりも僅かに圧力が高い。そのため、スプール孔31の内周面とスプール25の外周面の間を通じて第二パイロット室11b内に作動油が漏れ出した場合には、第二パイロット室11b内に圧力がこもりやすい。しかしながら、第二パイロット室11bの圧力によるスプール25の移動は第一スペーサ58によって防止される。一方で、ドレンポート37はタンクポート36とは異なり大気圧である。そのため、スプール孔31の内周面とスプール25の外周面の間を通じて第一パイロット室11aに作動油が漏れ出した場合でも、ドレンポート37に排出されやすくなるため、第一パイロット室11a内には圧力がこもりにくい。そのため、圧力がこもりやすい第二パイロット室11bの作動油の圧力によるスプール25の移動を第一スペーサ58により規制し、スプール25の軸方向の一方側への移動を規制することのみで、未使用の制御弁10の誤動作を防止することができる。
【0045】
また、第一パイロットキャップユニット100aでは、第一プラグ50と第一スペーサ58が別体に形成される。よって、第一プラグ50と第一スペーサ58を一体に形成した専用のプラグを用意する場合と比較して第一パイロットキャップ40の製造コストを削減できる。また、未使用の制御弁10を使用することになった場合には、第一スペーサ58を取り外すだけでよいため、容易に未使用の制御弁10を使用することができる。そのため、制御弁10の使用状態によらず、第一パイロットキャップ40を共通化することができる。
【0046】
また、第一パイロットキャップユニット100aでは、第一スペーサ58を設けるスペースとして、電磁比例減圧弁7aから第一パイロット室11aにパイロット圧油を導く連通路47を利用するため、第一スペーサ58を設けるための専用の通路を設ける必要がない。よって、第一パイロットキャップ40の製造コストが削減される。
【0047】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0048】
第一パイロットキャップユニット100aでは、第一スペーサ58が連通路47に設けられ、第一パイロット室11aが収縮する方向へのスプール25の移動が規制される。よって、未使用の制御弁10のパイロット室11(具体的には、第二パイロット室11b)に作動油が漏れ出しても、漏れ出した作動油の圧力によるスプール25の移動が第一スペーサ58によって防止される。よって、未使用の制御弁10の誤動作が防止される。また、第一プラグ50と第一スペーサ58が別体に形成されるため、第一パイロットキャップ40の製造コストを削減できるとともに、第一スペーサ58を取り外すだけで容易に未使用の制御弁10を使用することができる。
【0049】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0050】
<変形例1>
上記実施形態では、第一パイロットキャップユニット100aの第一パイロットキャップ40のみが、スプール25の移動を規制する第一スペーサ58を有する。これに限らず、
図5に示すように、第二パイロットキャップユニット100bの第二パイロットキャップ60が、第二パイロット室11bが収縮する方向へのスプール25の移動を規制する第二スペーサ66を有する構成であってもよい。
【0051】
具体的には、第二パイロットキャップ60は、第二パイロット室11bの圧力を検出する圧力センサ(図示省略)と第二パイロット室11bとを連通可能な検出通路63と、検出通路63における第二パイロットキャップ60の外面60aの開口60bを封止する封止部材としての第二プラグ65と、検出通路63内に設けられる規制部材としての第二スペーサ66と、を有する。検出通路63は、第二パイロット室11bと第二パイロットキャップ60の外面60aとに開口し直線状に延びて形成される。第二プラグ65は、圧力センサに代えて検出通路63の開口60bに取り付けられる。第二スペーサ66は、棒状に形成され、検出通路63及び第二パイロット室11bにわたって設けられる。第二スペーサ66は、第二プラグ65とは別体に形成されてスプール25及び第二プラグ65に当接する。よって、第二スペーサ66により、第二パイロット室11bが収縮する方向(
図5における左方向)へのスプール25の移動が物理的に規制される。これにより、第一スペーサ58及び第二スペーサ66によりスプール25の軸方向の両側への移動が規制されるため、未使用のスプール25の移動がより確実に防止される。また、第二スペーサ66を設けるスペースとして、検出通路63を利用するため、第二スペーサ66を設けるための専用の通路を設ける必要がないため、第二パイロットキャップ60の製造コストが削減される。また、第二プラグ65を圧力センサと取り換え、検出通路63に第二スペーサ66を設けることのみで、漏れ出した作動流体の圧力によるスプール25の移動を防止することができる。
【0052】
また、検出通路63が第一パイロットキャップユニット100aに設けられてもよい。この場合では、第一パイロットキャップ40の検出通路63が、連通路として第一パイロット室11aと第一パイロットキャップ40の外面40aとに開口し直線状に延びて形成され、第一パイロット室11aの圧力を検出する圧力センサと第一パイロット室11aとを連通して圧力センサに作動流体を導く。また、第一パイロットキャップ40に検出通路63が形成される場合は、封止部材としての第一プラグ50が、検出通路63における第一パイロットキャップ40の外面40aの開口40bを封止し、規制部材としての第一スペーサ58が、検出通路63に設けられて第一パイロット室11aが収縮する方向へのスプール25の移動を規制する。
【0053】
<変形例2>
上記実施形態では、第一スペーサ58は、電磁比例減圧弁7aから第一パイロット室11aにパイロット圧油を導く連通路47に設けられる。これに限らず、
図6に示すように、第一スペーサ58は、連通路47とは別に形成される専用の通路59内に設けられてもよい。この構成では、通路59における第一パイロットキャップ40の外面40aの開口40bが第一プラグ50により封止され、第一スペーサ58の両端部がそれぞれスプール25のスプールエンド25b及び第一プラグ50に当接する。これにより、第一パイロット室11aが収縮する方向へのスプール25の移動が物理的に規制される。この構成であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
また、同様に、上記変形例1の第二スペーサ66が、検出通路63とは別に設けられる専用の通路(図示省略)内に設けられてもよい。当該通路は、第二パイロット室11bと第二パイロットキャップ60の外面60aとに開口し直線状に延びて形成される。また、第二スペーサ66が、電磁比例減圧弁7bと第二パイロット室11bとを連通する通路62内に設けられてもよい。この構成であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0055】
<変形例3>
上記実施形態では、第一スペーサ58は、第一プラグ50と別体に形成される。これに限らず、第一スペーサ58は、第一プラグ50と一体に形成されて連通路47に設けられてもよい。また、上記変形例1の第二スペーサ66が、第二プラグ65と一体に形成されて検出通路63に設けられてもよい。この場合には、電磁比例減圧弁7bが、第一パイロットキャップ40の電磁比例減圧弁7aのように配置され、通路62における第二パイロットキャップ60の外面60aの開口は図示しないプラグによって封止される。この構成であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0056】
<変形例4>
上記実施形態では、第一パイロットキャップ40に複数の第一パイロット室11a及び複数の電磁比例減圧弁7aが設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第一パイロットキャップ40に単一の第一パイロット室11a及び単一の電磁比例減圧弁7aが設けられる場合にも本発明を適用することができる。
【0057】
<変形例5>
上記実施形態では、電磁比例減圧弁7が、ソレノイド56に供給される電流が高くなるほど、パイロット圧を上昇させる正比例型の減圧弁である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。電磁比例減圧弁7は、ソレノイド56に供給される電流が高くなるほど、パイロット圧を低下させる逆比例型の減圧弁であってもよい。
【0058】
<変形例6>
上記実施形態では、第一パイロットキャップ40及び第二パイロットキャップ60に電磁比例減圧弁7a,7bがそれぞれ設けられる。これに限らず、第一パイロットキャップ40及び第二パイロットキャップ60には電磁比例減圧弁7a,7bが設けられず、外部で生成されたパイロット圧の作動油が第一パイロットキャップ40及び第二パイロットキャップ60に導かれる構成であってもよい。
【0059】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0060】
スプール25が摺動自在に収容されるスプール孔31が貫通して形成されたバルブハウジング30を有する制御弁10に取り付けられるパイロットキャップユニット100は、スプール孔31の一端に面するようにバルブハウジング30に取り付けられ、バルブハウジング30との間でパイロット室11を区画するパイロットキャップ(第一,第二パイロットキャップ40,60)と、を備え、パイロットキャップ(第一,第二パイロットキャップ40,60)は、パイロット室11とパイロットキャップ(第一,第二パイロットキャップ40,60)の外面40a,60aとに開口し直線状に延びる連通路(連通路47,通路62,検出通路63)と、連通路(連通路47,通路62,検出通路63)におけるパイロットキャップ(第一,第二パイロットキャップ40,60)の外面40a,60aの開口40b,60bを封止する封止部材(第一,第二プラグ50,65)と、連通路(連通路47,通路62,検出通路63)に挿入されスプール25及び封止部材(第一,第二プラグ50,65)に当接してパイロット室11が収縮する方向へのスプール25の移動を規制する棒状の規制部材(第一,第二スペーサ58,66)と、を有する。
【0061】
この構成では、規制部材(第一,第二スペーサ58,66)が連通路(連通路47,通路62,検出通路63)に設けられ、パイロット室11が収縮する方向へのスプール25の移動が規制される。よって、未使用の制御弁10のパイロット室11に作動流体が漏れ出しても、漏れ出した作動流体の圧力によるスプール25の移動が規制部材(第一,第二スペーサ58,66)によって防止される。よって、未使用の制御弁10の誤動作が防止される。
【0062】
また、パイロットキャップユニット100は、パイロットキャップ(第一,第二パイロットキャップ40,60)に取り付けられ、パイロット室11へ供給されるパイロット流体の圧力を制御する電磁弁としての電磁比例減圧弁7をさらに備え、連通路(連通路47,通路62)は、電磁比例減圧弁7とパイロット室11とを連通する。
【0063】
この構成では、規制部材(第一,第二スペーサ58,66)を設けるスペースとして、電磁比例減圧弁7からのパイロット流体をパイロット室11に導く連通路(連通路47,通路62)を利用するため、規制部材(第一,第二スペーサ58,66)を設けるための専用の通路を設ける必要がない。
【0064】
また、パイロットキャップユニット100では、連通路は、パイロット室11の圧力を検出する圧力センサとパイロット室11とを連通可能な検出通路63であり、検出通路63の開口60bには、圧力センサに代えて封止部材(第一,第二プラグ50,65)が取り付けられる。
【0065】
この構成では、規制部材(第一,第二スペーサ58,66)を設けるスペースとして、圧力センサとパイロット室11とを連通する検出通路63を利用するため、規制部材(第一,第二スペーサ58,66)を設けるための専用の通路を設ける必要がない。よって、封止部材(第一,第二プラグ50,65)を圧力センサと取り換え、検出通路63に規制部材(第一,第二スペーサ58,66)を設けることのみで、漏れ出した作動流体の圧力によるスプール25の移動を防止することができる。
【0066】
また、パイロットキャップユニット100は、バルブハウジング30との間で第一パイロット室11aを区画する第一パイロットキャップ40と、スプール孔31の他端に面するようにバルブハウジング30に取り付けられ、バルブハウジング30との間で第二パイロット室11bを区画する第二パイロットキャップ60をさらに備え、バルブハウジング30は、スプール孔31に開口し第一パイロット室11aに隣接して設けられるとともに大気に連通する第一ポートとしてのドレンポート37と、スプール孔31に開口し第二パイロット室11bに隣接して設けられるとともにドレンポート37よりも圧力が高い第二ポートとしてのタンクポート36と、を有し、少なくとも第一パイロットキャップ40には、第一スペーサ58が設けられる。
【0067】
この構成では、第一パイロット室11aには大気に連通するドレンポート37が隣接し、第二パイロット室11bにはドレンポート37よりも圧力が高いタンクポート36が隣接する。ドレンポート37は大気に連通するため第一パイロット室11aには圧力がこもりにくいものの、タンクポート36はドレンポート37よりも圧力が高いため第二パイロット室11bには第一パイロット室11aよりも圧力がこもりやすい。そのため、スプール孔31の内周面とスプール25の外周面の間を通じて作動流体が漏れ出した場合には、第一パイロット室11aよりも第二パイロット室11b内に圧力がこもりやすい。しかしながら、第二パイロット室11bの圧力によるスプール25の移動を第一スペーサ58によって防止することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0069】
7a,7b…電磁比例減圧弁(電磁弁)、10…制御弁、11a…第一パイロット室、11b…第二パイロット室、30…バルブハウジング、31…スプール孔、32…スプール、36…タンクポート(第二ポート)、37…ドレンポート(第一ポート)、40…第一パイロットキャップ(パイロットキャップ)、40a…外面、40b…開口、42…スプリング収容穴(収容穴)、47…連通路、50…第一プラグ(封止部材)、58…第一スペーサ(規制部材)、60…第二パイロットキャップ(パイロットキャップ)、60a…外面、60b…開口、63・・・検出通路(連通路)、65…第二プラグ(封止部材)、66…第二スペーサ(規制部材)、100a,100b…パイロットキャップユニット