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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082971
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/325 20060101AFI20240613BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240613BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240613BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240613BHJP
   B41J 17/32 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B41J3/36 Z
B41J29/00 E
B41J29/38 204
B41J29/00 C
B41J17/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197212
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】大石 禎利
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅一
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AS08
2C061AS14
2C061BB12
2C061CG01
2C061CG08
2C061CG15
2C061HK08
2C065AA01
2C065AF02
2C065DA22
2C065DA38
2C068AA02
2C068AA06
2C068AA15
2C068EE03
2C068EE21
2C068MM03
2C068MM17
(57)【要約】
【課題】リボンロール交換時の作業性を向上させることができる印刷装置を提供すること。
【解決手段】印刷装置は、シャフトと、アンテナと、配線と、保護スリーブと、軸受と、印刷部と、を有する。シャフトは、無線タグを備えたインクリボンのロールを回転可能に取り付ける。アンテナは、シャフトの外周面に設けられ、無線タグとデータ通信する。アンテナの配線は、シャフトの外周面にある。保護スリーブは、シャフトとロールの間で且つシャフトと同軸に配線の外側にある。ロールの軸受は、配線と非接触状態で保護スリーブの外側で保護スリーブに対して回転可能である。印刷部は、ロールから引き出したインクリボンを介して被印刷媒体に印刷する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを備えたインクリボンのロールを回転可能に取り付けるシャフトと、
前記シャフトの外周面に設けた、前記無線タグとデータ通信するためのアンテナと、
前記シャフトの外周面に設けた、前記アンテナの配線と、
前記シャフトと前記ロールの間で且つ前記シャフトと同軸に前記配線の外側に設けた保護スリーブと、
前記配線と非接触状態で前記保護スリーブの外側に該保護スリーブに対して回転可能に設けた前記ロールの軸受と、
前記ロールから引き出した前記インクリボンを介して被印刷媒体に印刷する印刷部と、
を有する印刷装置。
【請求項2】
前記シャフトの前記外周面に前記配線を配置する溝状の凹部を有する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記保護スリーブの内面に前記配線を通す溝状の凹部を有する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記インクリボンの前記ロールを着脱可能に固定する外周部を有し、前記軸受を固定し、前記アンテナ及び前記配線に非接触状態で前記シャフトに対して回転可能に設けた中間スリーブをさらに有する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
無線タグを備えたインクリボンのロールを回転可能に取り付ける中空のシャフトと、
前記シャフトの外周面に設けた、前記無線タグとデータ通信するためのアンテナと、
前記シャフトの中を通した前記アンテナの配線と、
前記ロールから引き出した前記インクリボンを介して被印刷媒体に印刷する印刷部と、
を有する印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクリボンを用いる印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ラベルプリンタは、長尺なラベル紙にインクリボンを重ねて搬送し、インクリボンのインクをサーマルヘッドによりラベル紙に転写して、ラベル紙の各ラベルにバーコードなどの各種情報を印刷する。
【0003】
ラベルプリンタは、使用するインクリボンの種類によって印刷スピードを変える。従来、インクリボンを巻回したリボンロールに無線タグを設けて、プリンタ本体と無線タグとの間でデータ通信する技術がある。この技術を用いると、プリンタ本体の印刷スピードを、プリンタ本体に新たに装着したリボンロールのインクリボンに合ったスピードに自動設定することができる。
【0004】
リボンロールの無線タグとデータ通信するため、プリンタ本体は、アンテナを備える。無線タグとの間で良好なデータ通信をするためには、プリンタ本体側のアンテナをリボンロールの無線タグに近付けて配置する必要がある。
【0005】
リボンロールは、インクリボンを使い切った後、新たなリボンロールに交換する。このため、上述した従来のラベルプリンタでは、リボンロール交換の際に、プリンタ本体のアンテナにリボンロールが干渉する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-322403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、リボンロール交換時の作業性を向上させることができる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の印刷装置は、シャフトと、アンテナと、配線と、保護スリーブと、軸受と、印刷部と、を有する。シャフトは、無線タグを備えたインクリボンのロールを回転可能に取り付ける。アンテナは、シャフトの外周面に設けられ、無線タグとデータ通信する。アンテナの配線は、シャフトの外周面にある。保護スリーブは、シャフトとロールの間で且つシャフトと同軸に配線の外側にある。ロールの軸受は、配線と非接触状態で保護スリーブの外側で保護スリーブに対して回転可能である。印刷部は、ロールから引き出したインクリボンを介して被印刷媒体に印刷する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係るラベルプリンタを示す概略図である。
図2図2は、図1のラベルプリンタの送出シャフトの要部を示す部分拡大斜視図である。
図3図3は、図2の送出シャフトの分解斜視図である。
図4図4は、図2の送出シャフトの要部断面図である。
図5図5は、図2の送出シャフトに取り付けるリボンロールの紙管を示す斜視図である。
図6図6は、図1のラベルプリンタの制御系のブロック図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る送出シャフトの要部断面図である。
図8図8は、第3の実施形態に係る送出シャフトの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながらいくつかの実施形態について説明する。各実施形態では、同一の構成要素に同一の参照符号を付して、重ねての説明を省略する場合がある。なお、以下の説明に用いる図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、図面は、説明を分かり易くするため、構成を簡略化もしくは省略して示す場合がある。
[第1の実施形態]
以下、図1図6を参照して、第1の実施形態に係るラベルプリンタ100について説明する。ラベルプリンタ100は、本願の特許請求の範囲に記載した印刷装置の一例である。
【0011】
図1に示すように、ラベルプリンタ100は、筐体2とカバー4を有する。カバー4は、2つのヒンジ3を介して筐体2に対して回動可能に接続している。カバー4は、筐体2の内部を開放する図1に示す開放位置と、筐体2の内部を覆う閉塞位置と、の間で回動可能である。カバー4と筐体2の間には、カバー4の開閉動作を緩やかにするためのダンパー1がある。カバー4を閉じた状態で、ラベルプリンタ100は、略矩形ブロック状の外形を有する。
【0012】
筐体2の前面には、操作部202、表示部204、及び電源スイッチ206がある。操作部202は、ラベル紙に関する情報、印刷枚数などを入力する。表示部204は、操作情報、操作メニューなどを表示する。
【0013】
ラベルプリンタ100は、ラベル紙ロールを取り付けるサプライシャフト6、使用前のインクリボンを紙管30(図5)に巻き付けたリボンロールを着脱可能に取り付ける送出シャフト10、使用後のインクリボンを巻き取るリボンロールを着脱可能に取り付ける巻取シャフト12、及び印刷ユニット20を有する。印刷ユニット20は、本願の特許請求の範囲に記載した印刷部の一例である。
【0014】
ラベル紙ロールは、長尺な帯状のラベル紙をロール状に巻いたものである。ラベル紙は、長尺な台紙の一面に複数枚のラベルを並べて貼り付けたものである。ラベルは、台紙側の面に粘着層を有し、台紙に対して着脱可能であり、台紙から剥がした後、他の物品に貼り付け可能である。ラベル紙ロールは、台紙のラベルを貼り付けた面が内側となる向きでラベル紙を芯材に巻き付けたものである。ラベル紙は、本願の特許請求の範囲に記載した被印刷媒体の一例である。被印刷媒体は、ラベル紙に限らず、例えば、帯状の感熱紙などであってもよい。
【0015】
リボンロールは、長尺なインクリボンをロール状に巻いたものである。インクリボンは、熱によりラベル紙に転写するインクを保持したものである。使用前のリボンロールは、インクを転写する前のインクリボンを紙管30に巻き付けたものであり、使用により径が小さくなるものである。使用後のリボンロールは、インクを転写した後のインクリボンを巻き取ったものであり、徐々に径が大きくなるものである。つまり、使用前のリボンロールから引き出したインクリボンを、印刷ユニット20の下流側で巻き取ったものが使用後のリボンロールである。使用前のリボンロールは、本願の特許請求の範囲に記載したロールの一例である。
【0016】
筐体2の側壁201は、サプライシャフト6、送出シャフト10、及び巻取シャフト12の一端を固定している。つまり、側壁201は、3本のシャフト6、10、12を片持ち梁状態で保持している。巻取シャフト12は、後述するアンテナ40(図2、3)を備えていない以外、送出シャフト10と略同じ構造を有する。よって、以下の説明では、巻取シャフト12の詳細な説明は省略する。
【0017】
サプライシャフト6は、長手方向の両端近くに、ラベル紙ロールの軸方向の両端面にそれぞれ当接する2つのホールド板701、702を備える。側壁201に近い奥側のホールド板701は、サプライシャフト6の長手方向に沿って移動可能である。ホールド板701は、ラベル紙ロールの軸方向の中心をラベルプリンタ100のセンターに合わせるように、ラベル紙ロールの軸方向の取付位置を決める。筐体2の側壁201から離れた側のサプライシャフト6の端部近くに取り付ける手前側のホールド板702は、固定具703によってサプライシャフト6に固定する。
【0018】
サプライシャフト6にラベル紙ロールを取り付ける場合、手前側のホールド板702をサプライシャフト6から取り外した状態で、サプライシャフト6にラベル紙ロールを取り付ける。その後、サプライシャフト6の手前側の端部に手前側のホールド板702を取り付ける。ラベル紙ロールのラベル紙は、搬送ローラ68(図6)によってラベル紙ロールから引き出され、印刷ユニット20を通ってラベルプリンタ100から出る。
【0019】
リボンロールの送出シャフト10と巻取シャフト12は、それぞれ、筐体2の側壁201の近くに、ストッパ板13、14を備える。ストッパ板13、14は、それぞれのシャフト10、12の長手方向に沿って移動可能である。ストッパ板13は、送出シャフト10に取り付けた使用前のリボンロールの軸方向の一端を突き当てて、このリボンロールの軸方向の中心をラベルプリンタ100のセンターに合わせる。ストッパ板14は、巻取シャフト12に取り付けた使用後のリボンロールの軸方向の一端を突き当てて、このリボンロールの軸方向の中心をラベルプリンタ100のセンターに合わせる。
【0020】
送出シャフト10と巻取シャフト12の側壁201から離れた手前側の端部に対向する位置には、リボンシャフト固定板15がある。リボンシャフト固定板15は、ヒンジ16を介して、筐体2の底壁205から上方に立設した支持板203に対して回動可能に接続している。リボンシャフト固定板15は、送出シャフト10の後述する固定シャフト41の先端411(以下、単に送出シャフト10の先端411と称する場合もある)を受け入れる受入孔151と、巻取シャフト12の先端121を受け入れる受入孔152を有する。リボンシャフト固定板15は、印刷ユニット20のヘッドレバー21を挿通する挿通孔153を有する。
【0021】
送出シャフト10にリボンロールを取り付ける場合、リボンシャフト固定板15を不図示の位置に開き、送出シャフト10にリボンロールを取り付ける。その後、リボンシャフト固定板15を図示の位置に回動して、受入孔151に送出シャフト10の先端411を挿通し、受入孔152に巻取シャフト12の先端121を挿通する。この状態で、リボンシャフト固定板15は、送出シャフト10の先端411と巻取シャフト12の先端121を固定する。
【0022】
送出シャフト10に取り付けたリボンロールから引き出したインクリボンは、印刷ユニット20を通って、巻取シャフト12によって巻き取られる。印刷ユニット20は、インクリボンを、ラベル紙の上に重ねて搬送し、ラベル紙と同じ速度で印刷ユニット20を通過させる。
【0023】
印刷ユニット20は、インクリボンのラベル紙と反対側に配置したサーマルヘッドを有する。印刷ユニット20は、インクリボンとラベル紙を間に挟んでサーマルヘッドに対向する位置に、プラテンローラを有する。印刷ユニット20は、サーマルヘッドによってインクリボンをラベル紙に押し付けて、インクリボンのインクをラベル紙に熱転写する。印刷ユニット20は、ラベル紙のラベルに二次元バーコードなどを印刷する。
【0024】
図2及び図3に示すように、送出シャフト10は、筐体2の側壁201に片持ち梁状態で固定した固定シャフト41、固定シャフト41の外側に同軸に配置した中間スリーブ42、及び固定シャフト41の外側に同軸に配置した軸受43を有する。固定シャフト41は、本願の特許請求の範囲に記載したシャフトの一例である。
【0025】
固定シャフト41は、例えば中実な金属製のシャフトであり、ボルトを用いて筐体2の側壁201に片持ち梁状態で固定する。固定シャフト41の先端411は、中間スリーブ42の手前側の端部から突出する。
【0026】
中間スリーブ42は、略円筒状のものであり、側壁201側の端部近くでその内部に軸受43を備える。軸受43は、中間スリーブ42の端部の内側に嵌合して中間スリーブ42に固定する。軸受43は、円筒状のものであり、樹脂や金属により形成することができる。中間スリーブ42の内径は、軸受43の外径と略同じである。
【0027】
中間スリーブ42は、軸受43により、固定シャフト41に対して回転可能である。中間スリーブ42は、側壁201側の端部近くの外側に、上述したストッパ板13を備える。ストッパ板13は、中間スリーブ42の長手方向に移動可能であり、長手方向の所望する位置に固定可能である。
【0028】
中間スリーブ42の外周面には、板バネ44を位置決めするための2つのボス部421と、板バネ44を中間スリーブ42の外周面に締結固定するためのネジ穴422がある。板バネ44は、側壁201側の一端にボス部421を挿通するスリット441を有し、その他端にネジ442を通すネジ孔を有する。板バネ44は、中間スリーブ42のボス部421をスリット441に挿通してネジ442をネジ穴422に螺合することで、中間スリーブ42の外周面に固定する。
【0029】
板バネ44は、金属製であり、中間スリーブ42の外側にリボンロールの紙管30を取り付けた状態で、紙管30の内面を外側に押圧し、紙管30を中間スリーブ42に対して固定する。板バネ44は、紙管30の中に中間スリーブ42を挿通可能な程度に、中間スリーブ42の外周面から突出している。板バネ44は、固定シャフト41の周方向に沿ったアンテナ40の幅より狭い周方向の幅を有する。
【0030】
固定シャフト41の外周面には、金属製のシート状のアンテナ40がある。固定シャフト41の外周面には、アンテナ40に電気的に接続して固定シャフト41の長手方向に延びた配線401がある。アンテナ40と配線401は、例えば連続した金属箔であり、フレキシブル基板の表面に金属箔をパターニングしたものであってもよい。
【0031】
固定シャフト41の外周面とアンテナ40の間には、磁性シート45がある。磁性シート45は、アンテナ40が形成する磁界が固定シャフト41を通らないように設けてある。このため、磁性シート45は、アンテナ40と固定シャフト41の間に存在するように、アンテナ40より一回り大きいサイズを有する。
【0032】
アンテナ40が磁性シート45の厚み分だけ固定シャフト41の外周面から離れるため、配線401のアンテナ40側の端部はアンテナ40に向けて固定シャフト41の外周面から離れる方向にわずかに傾斜している。中間スリーブ42と固定シャフト41の間に軸受43を設けたため、中間スリーブ42の内径は固定シャフト41の外径より十分に大きい。このため、中間スリーブ42の中に固定シャフト41を挿通するときや、中間スリーブ42の固定シャフト41に対する回転時に、アンテナ40及び配線401に中間スリーブ42の内面が摺接することはない。
【0033】
図2及び図4に示すように、固定シャフト41は、その長手方向に沿って外周面に設けた溝状の凹部412を有する。固定シャフト41の周方向に沿った凹部412の幅は、配線401の幅よりわずかに狭い。凹部412の深さは、配線401の厚みよりわずかに薄い。アンテナ40は、磁性シート45を固定シャフト41の外周面に接着して貼り付けた後、磁性シート45に重ねて貼り付ける。配線401は、凹部412の底面に接着して貼り付ける。図4では、配線401の図示を省略している。
【0034】
固定シャフト41の側壁201側の端部近くには、保護スリーブ50がある。保護スリーブ50は、内径が固定シャフト41の外径と略同じであり、外径が軸受43の内径よりわずかに小さい。つまり、中間スリーブ42と固定シャフト41の間には、保護スリーブ50の厚み分の隙間がある。保護スリーブ50は、配線401と軸受43の間に介在して、固定シャフト41の端部に嵌合して固定する。
【0035】
一端に軸受43を嵌合した中間スリーブ42の中に保護スリーブ50を固定した固定シャフト41を挿通して、中間スリーブ42を固定シャフト41に取り付けると、保護スリーブ50の外周面に軸受43の内周面が接触する。保護スリーブ50の外径より軸受43の内径がわずかに大きく、両者の間にわずかな隙間があるため、軸受43を備えた中間スリーブ42が保護スリーブ50を備えた固定シャフト41に対して回転可能となる。保護スリーブ50は、固定シャフト41に対して中間スリーブ42が回転する際に、固定シャフト41の凹部412内に収容配置した配線401に中間スリーブ42が摺接する不具合を防止する。
【0036】
図5に示すように、送出シャフト10に装着するリボンロールの紙管30は、無線により通信するICタグ32を有する。ICタグ32は、矩形シート状であり、紙管30の軸方向の略中央で、紙管30の外周面301に接着により貼り付ける。インクリボンは、ICタグ32の外側に重ねて紙管30の外周面に巻き付ける。ICタグ32は、紙管30に設ければよく、紙管30の内面や、紙管30の外周面と内面との間の中間部などに設けてもよい。ICタグは、本願の特許請求の範囲に記載した無線タグの一例である。
【0037】
図6に示すように、ラベルプリンタ100は、インクリボンの種類に応じて印刷スピードを設定する制御部60を有する。制御部60は、電源スイッチ206、操作部202、表示部204、メモリ62、リーダ・ライタ63、モータ64、65、及び通信部67を接続している。
【0038】
メモリ62は、制御プログラムを記憶しているとともに、インクリボンの種類に合った印刷スピードに関するデータを記憶している。リーダ・ライタ63は、アンテナ40を介してICタグ32と無線通信して、ICタグ32にデータを書き込むとともにICタグ32からデータを読み出す。モータ64は、ラベル紙をラベル紙ロールから引き出す搬送ローラ68を回転する。モータ65は、インクリボンを搬送する搬送ローラ69を回転する。通信部67は、ホストコンピュータなどの外部機器70との間で各種データを送受信する。
【0039】
制御部60は、送出シャフト10のリボンロールを交換した後、筐体2のカバー4を閉じて電源スイッチ206がONになると、リーダ・ライタ63を制御して、アンテナ40を介してICタグ32からデータを読み取る。ICタグ32は、紙管30に巻き付けてあるインクリボンに関するデータを記憶している。インクリボンに関するデータは、例えば、品名、タイプ(普通紙用、厚物用)、幅、長さ、製造年月日、シリアルナンバー(製造番号)、インクリボンの残量などを含む。
【0040】
この後、制御部60は、ICタグ32から読み取ったインクリボンの種類に合った印刷スピードをメモリ62から読み出し、この印刷スピードになるように、モータ64、65を制御する。制御部60は、インクリボンを使い切るまで、この印刷スピードで印刷するようにモータ64、65を制御する。
【0041】
また、制御部60は、各印刷タスクが終了するタイミングで、メモリ62に記録したインクリボンの残量を書き変える。制御部60は、インクリボンの残量を表示部204を介して表示することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態によると、リボンロールの紙管30に設けたICタグ32との間で無線によるデータ通信をするためのアンテナ40を送出シャフト10の固定シャフト41に設けたため、アンテナ40をリボンロールの外側に設けた場合と比較して、リボンロールを交換する際の作業性を向上させることができる。リボンロールは、中間スリーブ42に装着した後、この中間スリーブ42を固定シャフト41に取り付けることで、送出シャフト10に装着することができる。
【0043】
固定シャフト41が配線401を貼り付ける凹部412を有し、アンテナ40を貼り付けた固定シャフト41の外周面と中間スリーブ42の内面との間に十分な隙間があるため、リボンロールを交換する際に、中間スリーブ42がアンテナ40の配線401に接触する不具合を生じ難い。また、アンテナ40の配線401を取り付ける凹部412は、配線401の固定シャフト41への位置決めを容易にする。
[第2の実施形態]
図7に示すように、固定シャフト41の外周面に配線401を収容配置する凹部412を設ける代わりに、保護スリーブ50の内面に配線401を通すための溝状の凹部52を設けてもよい。固定シャフト41の外周面に凹部412を設ける場合、切削加工によって固定シャフト41の外周面に溝を掘るため、保護スリーブ50の内面に凹部52を設ける方が施工が容易であり、製造コストを安価に抑えることができる。
[第3の実施形態]
図8に示すように、固定シャフト41を中空にしてアンテナ40の配線401を通すようにしてもよい。この場合、固定シャフト41の外周面に貼り付けたアンテナ40に接続した配線401を通す孔を固定シャフト41の外周面と内面をつないで形成する必要がある。固定シャフト41を中空にすることで、配線401を収容する凹部を設ける必要がなく、配線401を保護する保護スリーブ50を設ける必要もない。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
2…筐体、201…側壁、6…サプライシャフト、10…送出シャフト、12…巻取シャフト、20…印刷ユニット、30…紙管、40…アンテナ、401…配線、41…固定シャフト、411…先端、412…凹部、42…中間スリーブ、43…軸受、44…板バネ、50…保護スリーブ、52…凹部、100…ラベルプリンタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8