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特開2024-82980スピクリスポール酸および抗菌物質による微生物抑制
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082980
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】スピクリスポール酸および抗菌物質による微生物抑制
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240613BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20240613BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20240613BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20240613BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240613BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/34
A61K8/365
A61K8/36
A61K8/40
A61Q17/00
C11D3/48
C11D3/20
C11D3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197230
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】591062331
【氏名又は名称】磐田化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】関口 喜則
(72)【発明者】
【氏名】望月 誉志幸
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC481
4C083AC482
4C083AC811
4C083AC812
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC851
4C083AC852
4C083BB48
4C083CC50
4C083EE10
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB09
4H003EB21
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質を使用した微生物抑制を提供すること。
【解決手段】1つの局面において、本開示は、スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質の少なくとも一方を含む、スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質を組み合わせて微生物を抑制するための微生物抑制剤を提供する。1つの局面において、本開示は、スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質を対象に適用する工程を含む、微生物を抑制する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質の少なくとも1つを含む、前記スピクリスポール酸関連物質および前記抗菌物質の組み合わせにより微生物を抑制するための微生物抑制剤。
【請求項2】
前記抗菌物質が、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質、界面活性剤系抗菌物質、第四級アンモニウム系抗菌物質、フルオロキノロン系抗菌物質、ニトリル系抗菌物質、キノリン系抗菌物質およびイソチアゾロン系抗菌物質から選択される抗菌物質を含む、請求項1に記載の微生物抑制剤。
【請求項3】
前記抗菌物質が、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質および界面活性剤系抗菌物質から選択される抗菌物質を含む、請求項1に記載の微生物抑制剤。
【請求項4】
前記スピクリスポール酸関連物質が、以下の式I
【化7】
(式中、
は、-OR、-SR、または-N(Rであり、
は、-O-、-S-または-NR-であり、
は、=Oまたは=Sであり、
は、=Oまたは=Sであり、
破線は、追加の結合が有る(二重結合)または無い(単結合)ことを表し、追加の結合が無い(単結合)場合、破線の両端の炭素原子は、それぞれ独立に、F、ClおよびBrからなる群から選択されるハロゲン原子で置換されていてもよく、
ここで、Rは、水素であるか、あるいは1~2個のカルボキシル基で必要に応じて置換されていてもよい炭素数1~21の飽和又は不飽和である分岐または直鎖炭化水素基である)
で表されるD酸またはその誘導体あるいはその塩を含む、請求項1に記載の微生物抑制剤。
【請求項5】
前記スピクリスポール酸関連物質が、
【化8】
の構造を有するD酸またはその塩を含む、請求項1に記載の微生物抑制剤。
【請求項6】
前記微生物が真菌を含む、請求項1に記載の微生物抑制剤。
【請求項7】
前記微生物が、Aspergillus属、Penicillium属、Candida属、Malassezia属、Cladosporium属、Stapylococcus属およびRhodotorula属から選択される微生物を含む、請求項1に記載の微生物抑制剤。
【請求項8】
前記スピクリスポール酸関連物質が、D酸またはその塩を含み、前記抗菌物質が、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質、界面活性剤系抗菌物質、第四級アンモニウム系抗菌物質、フルオロキノロン系抗菌物質、ニトリル系抗菌物質、キノリン系抗菌物質およびイソチアゾロン系抗菌物質から選択される抗菌物質を含む、前記微生物が、Aspergillus属、Penicillium属、Candida属、Malassezia属、Cladosporium属、Stapylococcus属およびRhodotorula属から選択される微生物を含む、請求項1に記載の微生物抑制剤。
【請求項9】
前記スピクリスポール酸関連物質および前記抗菌物質を含む組成物である、請求項1に記載の微生物抑制剤。
【請求項10】
前記スピクリスポール酸関連物質を、前記抗菌物質に対して約50~200%の重量比で含む、請求項9に記載の微生物抑制剤。
【請求項11】
化粧品である、請求項1~10のいずれか一項に記載の微生物抑制剤。
【請求項12】
洗剤、防カビ剤または除菌剤である、請求項1~10のいずれか一項に記載の微生物抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質を使用した微生物抑制剤およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物抑制剤は、食品の消毒、洗剤、水回りの掃除、各種日用品の表面の清潔性の維持などにおいて幅広く使用されている。微生物抑制剤は、ヒトなどの動物の肌や粘膜に接触する機会が多いことから安全性が高い天然由来のものが求められている。しかし、天然物由来の微生物抑制剤は、種類が少なく、生産性に乏しい場合も多い(特許文献1)。また、親水性などの物理化学的性質、安定性、分解性などの特性が微生物抑制剤毎に異なり得るので、新たな特性(または特性の組み合わせ)を有する微生物抑制剤を提供することが有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-132515号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、スピクリスポール酸関連物質を抗菌物質と組み合わせると優れた微生物抑制効果が発揮されることを予想外に見出した。この知見に基づき、本開示は、スピクリスポール酸および抗菌物質による微生物抑制を提供する。
【0005】
したがって、本発明は以下を提供する。
(項目1)
スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質の少なくとも1つを含む、前記スピクリスポール酸関連物質および前記抗菌物質の組み合わせにより微生物を抑制するための微生物抑制剤。
(項目2)
前記抗菌物質が、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質、界面活性剤系抗菌物質、第四級アンモニウム系抗菌物質、フルオロキノロン系抗菌物質、ニトリル系抗菌物質、キノリン系抗菌物質およびイソチアゾロン系抗菌物質から選択される抗菌物質を含む、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目3)
前記抗菌物質が、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質および界面活性剤系抗菌物質から選択される抗菌物質を含む、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目4)
前記スピクリスポール酸関連物質が、以下の式I
【化1】
(式中、
は、-OR、-SR、または-N(Rであり、
は、-O-、-S-または-NR-であり、
は、=Oまたは=Sであり、
は、=Oまたは=Sであり、
破線は、追加の結合が有る(二重結合)または無い(単結合)ことを表し、追加の結合が無い(単結合)場合、破線の両端の炭素原子は、それぞれ独立に、F、ClおよびBrからなる群から選択されるハロゲン原子で置換されていてもよく、
ここで、Rは、水素であるか、あるいは1~2個のカルボキシル基で必要に応じて置換されていてもよい炭素数1~21の飽和又は不飽和である分岐または直鎖炭化水素基である)
で表されるD酸またはその誘導体あるいはその塩を含む、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目5)
前記スピクリスポール酸関連物質が、
【化2】
の構造を有するD酸またはその塩を含む、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目6)
前記微生物が真菌を含む、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目7)
前記微生物が、Aspergillus属、Penicillium属、Candida属、Malassezia属、Cladosporium属、Stapylococcus属およびRhodotorula属から選択される微生物を含む、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目8)
前記スピクリスポール酸関連物質が、D酸またはその塩を含み、前記抗菌物質が、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質、界面活性剤系抗菌物質、第四級アンモニウム系抗菌物質、フルオロキノロン系抗菌物質、ニトリル系抗菌物質、キノリン系抗菌物質およびイソチアゾロン系抗菌物質から選択される抗菌物質を含む、前記微生物が、Aspergillus属、Penicillium属、Candida属、Malassezia属、Cladosporium属、Stapylococcus属およびRhodotorula属から選択される微生物を含む、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目9)
前記スピクリスポール酸関連物質および前記抗菌物質を含む組成物である、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目10)
前記スピクリスポール酸関連物質を、前記抗菌物質に対して約50~200%の重量比で含む、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目11)
化粧品である、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
(項目12)
洗剤、防カビ剤または除菌剤である、上記項目のいずれかの微生物抑制剤。
【0006】
本発明において、上記の1つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、スピクリスポール酸および抗菌物質の組み合わせを提供することで、優れた微生物抑制効果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0009】
(定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
【0010】
本明細書において、「スピクリスポール酸関連物質」とは、スピクリスポール酸もしくはその誘導体またはその塩あるいはそれらの混合物を指す。
【0011】
スピクリスポール酸(本明細書において「S酸」とも呼ぶ)は、以下の構造
【化3】
(3S,4S)-3-ヒドロキシ-1,3,4-テトラデカントリカルボン酸1,3-ラクトン(S酸)
を有する天然の両親媒性化合物であり、糸状菌(Penisillium spiculisporum Lehman 10-1)から生産することができ、ヒトへの刺激が少なく、生分解性に優れているなどの特徴を有する。本明細書において、(3S,4S)-3-ヒドロキシ-1,3,4-テトラデカントリカルボン酸1,3-ラクトンおよびその塩を総称して、スピクリスポール酸またはS酸と呼び得る。スピクリスポール酸は微生物由来の酵素反応によって生産でき、分子内に少なくとも二つのキラル炭素を含み、複数の官能基を有する。スピクリスポール酸は二価の酸であり、pKaは4.51であり、pKaは6.88である。1分子のスピクリスポール酸は、1分子の塩基または2分子の塩基とともに塩を形成し得る。代表的なスピクリスポール酸の誘導体として、
【化4】
が挙げられる。
【0012】
本明細書において、「抗菌物質」とは、単独で微生物(例えば、真菌、細菌など)を抑制することができる物質を指す。例えば、1×10細胞/mLの対象の微生物を含む培地に1g/Lのある物質を添加して25℃、150rpmで30日間培養した場合に微生物の育成が抑えられた場合、その物質は、その微生物に対する抗菌物質であり得る。
【0013】
本明細書において、微生物(例えば、真菌、細菌など)の「抑制」とは、微生物の減少および/または死滅、ならびに/あるいは微生物の増殖速度の低下を意味し、微生物の生育や増殖を低下させること、微生物を殺傷することなども含まれる。
【0014】
本明細書における「動物」とは、任意のヒトまたは非ヒト動物を意味する。非ヒト動物としては、例えば、イヌ、ネコ、ネズミ、ウサギ、ウマ、ブタ、サル、チンパンジーなどが挙げられ、一つの実施形態では、非ヒト動物は、ペット動物または鑑賞用動物であり得る。
【0015】
本明細書において、「化粧品」とは、動物(例えば、ヒト)の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、着用され、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることを目的とする任意の製品を指す。本明細書において、「化粧品」とは、いわゆる医薬品医療機器等法(旧薬事法)上の「化粧品」に限定されず、例えば、医薬部外品、医薬品、雑貨のいずれであってもよい。本明細書において、「医薬部外品」とは、日本の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に定められた、医薬品と化粧品の中間的な分類で、人体に対する作用の緩やかなものを含み、人体に対する作用の緩やかな機械器具も含む。医薬部外品の例としては、薬用化粧品(薬用石鹸、薬用歯磨きなどを含む)、入浴剤、防除用医薬部外品(殺虫剤など)および指定医薬部外品(ドリンク剤、うがい薬、一部胃腸薬など)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において、「医薬品」とは、ヒトや動物の疾病の診断・治療・予防を行うために与える薬品を指し、日本薬局方に収められている物、人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具、歯科材料、医療用品および衛生用品でないもの(医薬部外品を除く)、および人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって機械器具、歯科材料、医療用品および衛生用品でないもの(医薬部外品および化粧品を除く)が含まれる
【0016】
本明細書において、任意の化合物および成分は、特段記載しなくとも、塩の形態で提供されてもよい。特に、任意の化合物および成分は、一般的な塩基または酸、例えば、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、塩酸、硫酸、炭酸、アルドン酸、ウロン酸、アルダン酸、アルギン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルカン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、ケイ皮酸、ヒドロキシ酸、シクロヘキシルカルボン酸、タンニン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、アジピン酸、ヒドロキシクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クロロゲン酸、サリチル酸、クレアチン、塩酸グルコサミン、グルコノ-δ-ラクトン、カフェ酸、胆汁酸、酢酸、アスコルビン酸、アルギン酸、エリソルビン酸、ポリグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、プロリン、トレオニン、テアニン、システイン、シスチン、アラニン、バリン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、リシン、ヒスチジン、オルニチン、メチオニン、カルニチン、アミノ酪酸、グルタミン、ヒドロキシプロリン、タウリン、ノルバリン、グルタチオン、サルコシン、ポリ-L-アスパラギン酸、アンモニア、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、グアニジン、グルコサミン、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、またはポリ-L-アルギニンと共に形成される塩の形態で提供され得る。本明細書において、酸および塩基で「形成される塩」とは、実際にその塩がその酸および塩基を反応させることで形成されていることを要するものではなく、単に最終的な物質の形態を説明するために使用される表現である。
【0017】
用語「約」は、示された値プラスまたはマイナス10%を指す。「約」が、温度について使用される場合、示された温度プラスまたはマイナス5℃を指す。
【0018】
(好ましい実施形態)
一つの局面において、本開示は、スピクリスポール酸関連物質と抗菌物質との組み合わせによる微生物抑制を提供する。これを達成するための任意の手段が本開示の範囲であると企図される。例えば、明示的な記載がなくとも、ある成分を使用する方法の記載は、同成分を含む組成物、同成分の使用および同方法に使用するための同成分など、他の手段を反映した実施形態も同時に企図するものである。本明細書では、主に組成物の実施形態において本開示を説明するが、ある成分を含むある使用のための組成物についての記載は、同成分の同使用のための方法、および同成分の同使用など、他の手段を反映した実施形態も同時に企図するものである。
【0019】
1つの局面において、本開示は、微生物抑制のためのスピクリスポール酸関連物質および抗菌物質を含む組み合わせを提供する。1つの局面において、本開示は、スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質の少なくとも一方を含む、スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質を組み合わせて微生物を抑制するための微生物抑制剤を提供する。特に断らない限り、本明細書において、「微生物抑制剤」は、スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質の両方を含む組成物、ならびに一方のみを含む組成物のいずれをも指す。1つの局面において、本開示は、スピクリスポール酸関連物質および抗菌物質を対象に適用する工程を含む、微生物を抑制する方法を提供する。
【0020】
(スピクリスポール酸関連物質)
本開示の微生物抑制において使用されるスピクリスポール酸関連物質は、スピクリスポール酸もしくはその誘導体またはその塩あるいはそれらの混合物のいずれであってもよい。実施例に示されるように、発明者らは、スピクリスポール酸関連物質を抗菌物質と組み合わせて使用すると、種々の真菌や細菌に対して単独使用時を超える抑制効果を示すことを見出した。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、(抗菌物質と組み合わせた)スピクリスポール酸関連物質の微生物抑制活性は、スピクリスポール酸の(1)カルボキシル基、(2)2つのキラル炭素、および/または(3)長鎖炭素鎖部分と親水性部分との組み合わせ(界面活性能力、および微生物の膜への親和性に関連し得る)によって付与されると考えられる。
【0021】
1つの実施形態において、本開示の微生物抑制において使用されるスピクリスポール酸関連物質は、以下の式I
【化5】
(式中、
は、-OR、-SR、または-N(Rであり、
は、-O-、-S-または-NR-であり、
は、=Oまたは=Sであり、
は、=Oまたは=Sであり、
破線は、追加の結合が有る(二重結合)または無い(単結合)ことを表し、追加の結合が無い(単結合)場合、破線の両端の炭素原子は、それぞれ独立に、F、ClおよびBrからなる群から選択されるハロゲン原子で置換されていてもよく、
ここで、Rは、水素であるか、あるいは1~2個のカルボキシル基で必要に応じて置換されていてもよい炭素数1~21の飽和又は不飽和である分岐または直鎖炭化水素基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、アリル、オクチル、4-オクテニル、2-オクテニル、2-エチルヘキシル、オレイル、パルミチル、ヘキシル、2-ヘキセニル、11-ヘキサデセニル、ヘキサデシル、シクロヘキシル、ステアリル、またはゲラニルなど)である)
で表されるD酸またはその誘導体あるいはその塩である。具体的な実施形態において、本開示のスピクリスポール酸関連物質は、
【化6】
の構造を有するD酸またはその塩である。
【0022】
1つの実施形態において、塩であるスピクリスポール酸関連物質は、スピクリスポール酸またはその誘導体と、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グアニジン、アルギニン、リシンおよびそれらの組み合わせから選択される塩基との組み合わせで形成される塩であり得る。スピクリスポール酸関連物質は、塩の形態で組成物に添加した場合であっても、組成物中において平衡化して遊離化合物の形態を生じ得、逆もまた同様であることが当業者には理解される。
【0023】
(抗菌物質)
本開示の微生物抑制において使用される抗菌物質は、スピクリスポール酸関連物質とは異なる任意の公知の抗菌物質であり得る。抗菌物質の種類によってスピクリスポール酸関連物質と組み合わせた場合の微生物抑制効果は変化し得る。抗菌物質としては、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質、界面活性剤系抗菌物質、第四級アンモニウム系抗菌物質、フルオロキノロン系抗菌物質、ニトリル系抗菌物質、キノリン系抗菌物質、イソチアゾロン系抗菌物質、ピリジン系抗菌物質、イソチオシアネート系抗菌物質、アルデヒド系抗菌物質、イミダゾール系抗菌物質、チオカーバメイト系抗菌物質、エーテル系抗菌物質、ハロゲン系抗菌物質、トリアジン系抗菌物質、チアゾール系抗菌物質、アニリド系抗菌物質、ビグアナイド系抗菌物質、ジスルフィド系抗菌物質、および感光素系抗菌物質が挙げられる。
【0024】
エステル系抗菌物質として、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンが挙げられる。カルボン酸系抗菌物質として、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸、サリチル酸およびサリチル酸ナトリウムが挙げられる。フェノール系抗菌物質として、o-フェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、メチルプロピルフェノール、p-クロロ-m-クレゾール、p-クロロ-m-キシレノール、パラクロロフェノールおよび2-フェキシエタノールが挙げられる。アルコール系抗菌物質として、ヘキサンジオール、クロロブタノール、ペンタンジオール、オクタンジオール、エチルヘキシルグリセリン、シクロヘキシルグリセリンおよびヘキシルグリセリンが挙げられる。界面活性剤系抗菌物質として、アルキルポリアミノエチルグリシンおよびアルキルジアミノエチルグリシンが挙げられる。
【0025】
第四級アンモニウム系抗菌物質として、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムおよびジデシルジメチルアンモニウムが挙げられる。フルオロキノロン系抗菌物質として、オフロキサシンおよびシプロフロキサシンが挙げられる。ニトリル系抗菌物質として、2,3,5,6-テトラクロロイソフタロニトリルおよび5-クロロ-2,4,6-トリフルオロイソフタロニトリルが挙げられる。キノリン系抗菌物質として、8-オキシキノリンおよび臭化アルキルイソキノリニウムが挙げられる。
【0026】
イソチアゾロン系抗菌物質として、1,2-チアゾール-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリノン、1,2-ベンズイソチアゾリノン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノンが挙げられる。ピリジン系抗菌物質として、ジンクピリチオン、2-ピリジンチオール-1-オキシドNa塩および2-ピリジンチオール-1-オキシドZn塩が挙げられる。イソチオシアネート系抗菌物質として、アリルイソチオシアネートが挙げられる。アルデヒド系抗菌物質として、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドおよびα-ブロムシンナムアルデヒドが挙げられる。イミダゾール抗菌物質として、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、2-ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルおよびN,N’’-メチレンビス[N’-(3-ヒドロキシメチル-2,5-ジオキソ-4-イミダゾジニル)ウレア]が挙げられる。
【0027】
エーテル系抗菌物質として、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシルジフェニルエーテルおよびフェノキシエタノールが挙げられる。ハロゲン系抗菌物質として、p-クロロフェニル-3-ヨードプロパギルフォルマール、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオールおよび1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタンが挙げられる。トリアジン系抗菌物質として、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリエチル-S-トリアジンおよびヘキサヒドロ-1,3,5-トリス-(2-ヒドロキシエチル)-S-トリアジンが挙げられる。チアゾール系抗菌物質として、2-(4-チオシアノメチルチオ)ベンズチアゾールおよびヨウ化パラジメチルアミノスチリルヘプチルメチルチアゾリウムが挙げられる。アニリド系抗菌物質として、3,4,4’-トリクロロカルバニリド、3-トリフルオロメチル-4,4’-ジクロロカルバニリドおよびブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルが挙げられる。ビグアナイド系として、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、クロルヘキサジン塩酸塩およびポリアミノプロピルビグアナイドが挙げられる。ジスルフィド系抗菌物質として、ビス(ジメチルチオカーバモイル)ジスルフィドおよびチアントール(ジトルエンジスルフィド)が挙げられる。感光素系として、感光素101、感光素201、感光素301、感光素401およびヨウ化パラジメチルアミノスチリルへプチルメチルチアゾリウムが挙げられる。
【0028】
その他の抗菌物質として、ピロクトンオラミン、ピリチオン亜鉛、ヒノキチオールおよびハロカルバン(3-トリフルオロメチル-4,4’-ジクロロ-N,N’-ジフェニル尿素)が挙げられる。
【0029】
特定の実施形態では、D酸またはその誘導体またはその塩であるスピクリスポール酸関連物質と組み合わせて好適に使用される抗菌物質としては、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質、界面活性剤系抗菌物質、第四級アンモニウム系抗菌物質、フルオロキノロン系抗菌物質、ニトリル系抗菌物質、キノリン系抗菌物質およびイソチアゾロン系抗菌物質が挙げられる。特に、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質、および界面活性剤系抗菌物質については、D酸と組み合わせて優れた微生物抑制効果が観察された。
【0030】
(スピクリスポール酸関連物質と抗菌物質との組み合わせ)
1つの実施形態において、スピクリスポール酸関連物質と抗菌物質とは特定の比率で使用され得る。例えば、エステル系抗菌物質は肌に対して好ましくない影響を及ぼすことがあり得るので、一部の実施形態では、抗菌物質の一部をスピクリスポール酸関連物質により代替することで抗菌物質の含有量を低減することが有用であり得る。また、特に微生物抑制効果が高いスピクリスポール酸関連物質と抗菌物質との混合比も存在し得るので、高い効果が発揮される比率で使用することも有用であり得る。1つの実施形態において、スピクリスポール酸関連物質は、抗菌物質に対して重量基準で、約1~1000%、例えば、約2~1000%、約5~1000%、約7~1000%、約10~1000%、約15~1000%、約20~1000%、約50~1000%、約70~1000%、約100~1000%、約200~1000%、約1~700%、約2~700%、約5~700%、約7~700%、約10~700%、約15~700%、約20~700%、約50~700%、約70~700%、約100~700%、約200~700%、約1~500%、約2~500%、約5~500%、約7~500%、約10~500%、約15~500%、約20~500%、約50~500%、約70~500%、約100~500%、約1~200%、約2~200%、約5~200%、約7~200%、約10~200%、約15~200%、約20~200%、約50~200%、約70~200%、約1~150%、約2~150%、約5~150%、約7~150%、約10~150%、約15~150%、約20~150%、約50~150%、約1~100%、約2~100%、約5~100%、約7~100%、約10~100%、約15~100%、約20~100%、約1~70%、約2~70%、約5~70%、約7~70%、約10~70%、約15~70%、約20~70%、約1~50%、約2~50%、約5~50%、約7~50%、約10~50%の比率で使用され得、例えば、この混合比率で組成物に添加される。
【0031】
1つの実施形態において、本開示のスピクリスポール酸関連物質と抗菌物質との組み合わせは、1×10細胞/mLの対象の微生物を含む培地に種々の濃度のスピクリスポール酸関連物質および抗菌物質を添加して25℃、150rpmで30日間培養した場合の微生物の育成の抑制に基づいてFICI値を算出した場合に、1未満、0.9未満、0.8未満、0.7未満、0.6未満または0.5未満である最小FICI値を与える種類のスピクリスポール酸関連物質と抗菌物質との組み合わせである。
【0032】
(対象微生物)
1つの実施形態において、本開示の微生物抑制の対象微生物は、真菌を含み得る。1つの実施形態において、本開示の微生物抑制の対象微生物は、細菌を含み得る。1つの実施形態において、本開示の微生物抑制の対象微生物は、Aspergillus属、Penicillium属、Candida属、Malassezia属、Escherichia属、Staphylococcus属、Cladosporium属、およびRhodotorula属から選択される微生物を含み得る。
【0033】
Aspergillus属の微生物として、A.aculeatus、A.awamori、A.caesiellus、A.candidus、A.carneus、A.clavatus、A.deflectus、A.fischerianus、A.flavus、A.fumigatus、A.glaucus、A.nidulans、A.niger、A.ochraceus、A.oryzae、A.parasiticus、A.penicilloides、A.restrictus、A.sojae、A.sydowii、A.tamarii、A.terreus、A.ustusおよびA.versicolorが挙げられる。
【0034】
Penicillium属の微生物として、P.albocoremium、P.aurantiogriseum、P.bilaiae、P.camemberti、P.candidum、P.chrysogenum、P.claviforme、P.commune、P.crustosum、P.digitatum、P.echinulatum、P.expansum、P.funiculosum、P.glabrum、P.glaucum、P.imranianum、P.italicum、P.lacussarmientei、P.purpurogenum、P.roqueforti、P.stoloniferum、P.ulaiense、P.verrucosumおよびP.viridicatumが挙げられる。
【0035】
Candida属の微生物として、C.albicans、C.ascalaphidarum、C.amphixiae、C.antarctica、C.argentea、C.atlantica、C.atmosphaerica、C.auris、C.blankii、C.blattae、C.bracarensis、C.bromeliacearum、C.carpophila、C.carvajalis、C.catenulata、C.cerambycidarum、C.chauliodes、C.corydali、C.crusei、C.dosseyi、C.dubliniensis、C.ergatensis、C.fructus、C.glabrata、C.fermentati、C.guilliermondii、C.haemulonii、C.humilis、C.insectamens、C.insectorum、C.intermedia、C.jeffresii、C.kefyr、C.keroseneae、C.krusei、C.lusitaniae、C.lyxosophila、C.maltosa、C.marina、C.membranifaciens、C.mogii、C.oleophila、C.oregonensis、C.parapsilosis、C.quercitrusa、C.rhizophoriensis、C.rugosa、C.sake、C.sharkiensis、C.shehatea、C.temnochilaeおよびC.tenuisが挙げられる。
【0036】
Malassezia属の微生物として、M.arunalokei、M.brasiliensis、M.caprae、M.cuniculi、M.dermatis、M.equi、M.equina、M.furfur、M.globosa、M.japonica、M.muris、M.nana、M.obtusa、M.ochoterenai、M.pachydermatis、M.psittaci、M.restricta、M.slooffiae、M.sympodialis、M.tropica、M.vespertilionisおよびM.yamatoensisが挙げられる。
【0037】
Escherichia属の微生物として、E.albertii、E.coli、E.fergusonii、E.hermannii、E.marmotae、E.vulnerisおよびE.marmotaeが挙げられる。
【0038】
Staphylococcus属の微生物として、S.argenteus、S.arlettae、S.agnetis、S.aureus、S.auricularis、S.caeli、S.capitis、S.caprae、S.carnosus、S.caseolyticus、S.chromogenes、S.cohnii、S.cornubiensis、S.condimenti、S.debuckii、S.delphini、S.devriesei、S.edaphicus、S.epidermidis、S.equorum、S.felis、S.fleurettii、S.gallinarum、S.haemolyticus、S.hominis、S.hyicus、S.intermedius、S.jettensis、S.kloosii、S.leei、S.lentus、S.lugdunensis、S.lutrae、S.lyticans、S.massiliensis、S.microti、S.muscae、S.nepalensis、S.pasteuri、S.petrasii、S.pettenkoferi、S.piscifermentans、S.pseudintermedius、S.pseudolugdunensis、S.pulvereri、S.rostri、S.saccharolyticus、S.saprophyticus、S.schleiferi、S.schweitzeri、S.sciuri、S.simiae、S.simulans、S.stepanovicii、S.succinus、S.vitulinus、S.warneriおよびS.xylosusが挙げられる。
【0039】
Cladosporium属の微生物として、C.cladosporioides、C.cucumerinum、C.herbarum、C.oxysporumおよびC.sphaerospermumが挙げられる。
【0040】
Rhodotorula属の微生物として、R.acheniorum、R.acuta、R.araucariae、R.armeniaca、R.aurantiaca、R.auriculariae、R.bacarum、R.benthica、R.biourgei、R.bogoriensis、R.bronchialis、R.buffonii、R.calyptogenae、R.cladiensis、R.cresolica、R.crocea、R.cycloclastica、R.dairenensis、R.evergladiensis、R.ferulica、R.foliorum、R.fragaria、R.fujisanensis、R.futronensis、R.gelatinosa、R.glacialis、R.glutinis、R.gracilis、R.graminis、R.grinbergsii、R.himalayensis、R.hinnulea、R.histolytica、R.hylophila、R.incarnata、R.ingeniosa、R.javanica、R.koishikawensis、R.lactosa、R.lamellibrachiae、R.laryngis、R.lignophila、R.lini、R.longissima、R.ludwigii、R.lysinophila、R.marina、R.matritensis、R.meli、R.minuta、R.mucilaginosa、R.nitens、R.nothofagi、R.oryzae、R.pacifica、R.pallida、R.philyla、R.pilimanae、R.pinicola、R.psychrophenolica、R.psychrophila、R.pustula、R.retinophila、R.rosulata、R.rubra、R.rubrorugosa、R.silvestris、R.sinensis、R.slooffiae、R.sonckii、R.straminea、R.subericola、R.terpenoidalis、R.terrea、R.tokyoensis、R.ulzamae、R.vanillica、R.vuilleminii、R.yarrowii、R.yunnanensis、およびR.zsoltiiが挙げられる。
【0041】
1つの実施形態において、本開示の微生物抑制の対象微生物は、Aspergillus niger、Penicilium chrysogenum、Candida albicans、Malassezia furfur、Staphylococcus aureus、Cladosporium sphaerospermum、Rhodotorula mucilaginosaおよびEscherichia coliから選択される微生物を含み得る。
【0042】
真菌に対して有効な抗菌物質は種類が限られているため、本開示の微生物抑制は、特に真菌を対象とし得る。本開示のスピクリスポール酸関連物質および抗菌物質の組み合わせは、細菌よりも真菌に対して効果的な微生物抑制効果を発揮する独特な抗菌スペクトルを示し得る。
【0043】
(微生物抑制剤)
1つの実施形態において、本開示の微生物抑制剤は、任意の好適な割合の本開示のスピクリスポール酸関連物質を含んでよく、例えば、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.005重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約5重量%、約10重量%、約20重量%、約50重量%、約70重量%、約80重量%または約90重量%、あるいはこれらの任意の2つの値の組合せで表される範囲の割合で含み得る。
【0044】
1つの実施形態において、本開示の微生物抑制剤は、任意の好適な割合の本開示の抗菌物質を含んでよく、例えば、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.005重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約5重量%、約10重量%、約20重量%、約50重量%、約70重量%、約80重量%または約90重量%、あるいはこれらの任意の2つの値の組合せで表される範囲の割合で含み得る。
【0045】
本開示の微生物抑制剤は、任意の形態であってよいが、例えば、水中油(O/W)型、油中水(W/O)型、W/O/W型、O/W/O型などの懸濁物、固形、液状、粉末、ゼリー状、ペースト状、シート状などが挙げられる。具体的な実施形態では、本開示の微生物抑制剤は、溶液状またはペースト状であり、スプレー、散布または塗布によって対象に適用される。
【0046】
本開示の微生物抑制剤は、任意の追加成分または添加剤が添加されていてもよく、例えば、油性基剤、保湿剤、界面活性剤、増粘剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、粉体類、無機塩類、紫外線吸収剤、ビタミン類、抗炎症剤、血行促進剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス類、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素類、核酸類、香料、色素・着色剤・染料・顔料などが添加されていてもよい。
【0047】
スピクリスポール酸関連物質の中でもD酸およびその誘導体が特に有用であり得るので、D酸またはその誘導体またはその塩を含む本開示の微生物抑制剤は、D酸が他のスピクリスポール酸関連物質に変換されない環境を提供することが好ましい。例えば、D酸が他のスピクリスポール酸関連物質に変換される要因としてpHが挙げられるので、微生物抑制剤は、4.5~7.0のpH、より好ましくは5.0~6.5のpHを有するように調製され得る。
【0048】
組成物の用途毎に好適に添加され得る追加成分または添加剤が存在することが理解される。例えば、化粧品として使用される本開示の微生物抑制剤は、典型的には、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤および保湿剤から選択される1つまたは複数の追加成分または添加剤を含み得る。特に、皮膚用化粧品は、さらに、粉末成分、天然の水溶性高分子、水溶性高分子のような水溶性高分子類、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖のような糖類、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、油溶性ゲル化剤、制汗剤と、紫外線吸収剤、香料、塩類等の化粧品に通常使用され得る1つまたは複数の追加成分または添加剤を含み得る。美肌用化粧品のための成分としては、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等も挙げられる。その他の配合可能成分としては、例えば、;消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0049】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0050】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0051】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POE(ポリオキシエチレン、以下同様)ラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0052】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0053】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0054】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0055】
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0056】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0057】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等があげられる。
【0058】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0059】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0060】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル;POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック(登録商標)類(例えば、プルロニック(登録商標)等);POE・POP(ポリオキシプロピレン、以下同様)-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0061】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0062】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0063】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン、ジェランガム等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0064】
水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等);ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0065】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0066】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0067】
多価アルコールとしては、例えば、3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0068】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0069】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0070】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアーガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0071】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0072】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0073】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0074】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0075】
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸ナトリウム、L-アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンH、ビタミンP、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン等がある。
【0076】
酸化防止剤としては、トコフェロール、p-t-ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等、pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl-リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等、清涼剤としては、L-メントール、カンフル等、抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びグリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0077】
油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸、α,γ-ジ-n-ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2-エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等から選ばれるゲル化剤が挙げられる。
【0078】
制汗剤としては、アルミニウムクロロハイドレート、塩化アルミニウム、アルミニウムセスキクロロハイドレート、ジルコニルヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等から選ばれる制汗剤が挙げられる。
【0079】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリメチルシクロヘキシル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤、4-t-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、フェニルベンズイミダゾールスルフォン酸、トリアジン誘導体等が挙げられ、紫外線吸収散乱剤としては微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びそれらの複合体等、紫外線を吸収散乱する粉体が挙げられ、これらの紫外線を吸収散乱する粉体をあらかじめ油剤に分散させた分散物を用いることもできる。
【0080】
香料としては、天然香料及び合成香料が挙げられる。天然香料としては花、葉、材、果皮等から分離した植物性香料;ムスク、シベット等の動物性香料が挙げられる。合成香料としてはモノテルペン等の炭化水素類;脂肪族アルコール、芳香族アルコール等のアルコール類;テルペンアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類;脂環式ケトン等のケトン類;テルペン系エステル等のエステル類;ラクトン類;フェノール類;オキサイド類;含チッソ化合物類;アセタール類等が挙げられる。
【0081】
塩類としては無機塩、有機酸塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。無機塩としては、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等;有機酸塩としては、例えば酢酸、デヒドロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸、ステアリン酸等の有機酸類の塩;アミン塩及びアミノ酸塩としては、例えば、トリエタノールアミン等のアミン類の塩、グルタミン酸等のアミノ酸類の塩等がある。また、その他、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の塩、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等や、更には、化粧品処方の中で使用される酸-アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0082】
例えば、洗剤として使用される本開示の微生物抑制剤は、典型的には、界面活性剤、ビルダー、再汚染防止剤、柔軟化剤、蛍光増白剤、抑泡剤、酵素、酵素安定化剤、着色剤、香料、および水から選択される1つまたは複数の追加成分または添加剤を含み得る。
【0083】
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤が挙げられる。陰イオン界面活性剤としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、脂肪酸石ケン、アルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。陽イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型化合物、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。界面活性剤は、これらのうちの1種のみを含んでいても、2種以上を組み合わせて含んでいても、どちらでもよい。
【0084】
ビルダーとしては、無機ビルダー及び有機ビルダーが挙げられる。無機ビルダーとしては、例えば、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、結晶性アルミノ珪酸塩、非晶質アルミノ珪酸塩等の水溶性無機塩類が挙げられる。有機ビルダーとしては、例えば、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩等の水溶性有機酸塩類が挙げられる。
【0085】
再汚染防止剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。柔軟化剤としては、例えば、シリコーン類、粘土鉱物等が挙げられる。蛍光増白剤としては、例えば、ジモルホリノ型蛍光増白剤、ヒドロキシエチルアミノ型蛍光増白剤等が挙げられる。抑泡剤としては、例えば、石鹸、シリコーン等が挙げられる。
【0086】
酵素としては、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。酵素安定化剤としては、例えば、ホウ素化合物、カルシウムイオン供給化合物等が挙げられる。着色剤としては、例えば、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。香料としては、例えば、メントール、ワニリン等が挙げられる。
【0087】
例えば、防カビ剤として使用される本開示の微生物抑制剤は、典型的には、溶媒、界面活性剤等の追加成分または添加剤を含み得る。
【0088】
溶媒は水性でも油性でもよく、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、2-ブタノール等の炭素数が1~4、好ましくは炭素数2~3のアルコール系溶媒、ヘキサン、キシレン、トルエン、ケロシン、石油ベンジン、ノルマルパラフィン、及びイソパラフィン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、炭素数3~10のグリコールエーテル系溶媒、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ベンジルグリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール系溶媒、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノキシエタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール等のグリコールエーテル系溶媒等、トリアセチン、クエン酸トリエチルを用いても良い他に、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸エステル、イソ酪酸エステル、ギ酸エステル等のエステル系溶媒を用いてもよく、このようなエステル系溶媒としては、炭素数の総数が16~20のものが好ましく、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル等を好ましく挙げることが出来るが、これらに限定されない。上記溶媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。
【0089】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル)、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等の非イオン系界面活性剤や、ラウリルアミンオキサイド、ステアリルアミンオキサイド、ラウリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド等の高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
他の溶剤は、たとえば防カビ剤等の有効成分を均一に配合するために好適に含有される。一例を挙げるとエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、エチレングリコール等の多価アルコール、直鎖、分岐鎖または環状のパラフィン類、灯油等の石油類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、水等である。
【0091】
例えば、除菌剤として使用される本開示の微生物抑制剤は、典型的には、ノニオン界面活性剤等の追加成分または添加剤を含み得る。除菌剤として使用される本開示の微生物抑制剤は、両性界面活性剤を含んでもよい。除菌剤として使用される本開示の微生物抑制剤は、pH調整剤、分散剤、金属腐食抑制剤、キレート剤、溶剤、他の除菌剤、香料、色素、増粘剤、酵素、天然抽出物等の1つまたは複数の追加成分または添加剤を含み得る。
【0092】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい。)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸-N-メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、アルキルジメチルアミンオキサイド、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル等から選択される1種以上が挙げられる。
【0093】
両性界面活性剤の例としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミノエチルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、グリシンn-(3-アミノプロピル)C10~16誘導体、アルキルポリアミノエチルグリシン、アルキルβアラニン、アルキルアミノプロピオン酸及び又はそれらの塩、及びアルキルアミドジメチルハイドロキシプロピルスルホベタイン等から選択される1種以上が挙げられる。
【0094】
pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-t-ブチルエタノールアミン、N-t-ブチルジエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)イソプロパノールアミン、N,N-ジエチルイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン、2-メチルピペラジン、トランス2,5-ジメチルピペラジン、シス-2,6-ジメチルピペラジン等のアルカリ類、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の酸類等が挙げられる。
【0095】
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、イミノジコハク酸、ニトリロ三酢酸、トリポリリン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸又はそれらの塩等が挙げられる。
【0096】
溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、変性エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
【0097】
分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸型共重合体、マレイン酸型共重合体、メタクリル酸型共重合体、アクリル酸-スルホン酸型モノマー共重合体、アクリル酸-マレイン酸型共重合体等の高分子分散剤が挙げられる。
【0098】
金属腐食抑制剤としては、例えば、短鎖のジカルボン酸もしくはトリカルボン酸などのポリカルボン酸、リン酸エステル、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールもしくはメルカプトベンゾチアゾールなどのトリアゾール、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸などのようなホスホン酸、アジピン酸、グルタル酸、又はコハク酸等が挙げられる。
【0099】
香料としては、例えば、天然香料、合成香料、又はそれらの調合香料等が挙げられる。色素としては、例えば、天然色素、合成色素、又はそれらの混合物が挙げられる。増粘剤としては、例えば、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ガッチガム、カラヤガム、ペクチン等が挙げられる。酵素としては、リパーゼ、アルカリアミラーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、又はプルラナーゼ等が挙げられる。
【0100】
天然抽出物としては、例えば、アサ科植物、アカネ科植物、アブラナ科植物、イネ科植物、カキノキ科植物、キク科植物、シソ科植物、ショウガ科植物、ツバキ科植物、ナス科植物、ヒノキ科植物、フトモモ科植物、ブドウ科植物、マメ科植物、ミカン科植物、ユリ科植物等の植物由来の天然抽出物や、リゾチーム、しらこ蛋白抽出物等の動物由来の天然抽出物等が挙げられる。
【0101】
(用途)
本開示の微生物抑制剤は種々の用途に使用することができる。スピクリスポール酸関連物質は、ヒトなどの動物に対して低刺激性であり得るので、ヒトなどの動物の皮膚や粘膜が接触する物品にも好適に使用することができる。また、スピクリスポール酸関連物質は、高い表面結合力を有し得るので、金属表面、プラスチック表面など種々の材質の表面に塗布して効果を発揮し得、天然物質であるため安全性が高く残留による環境負荷が低いと考えられる。例えば、本開示の微生物抑制剤は、化粧品、洗剤、防カビ剤、除菌用品(例えば、除菌ワイプ)、抗菌用品(例えば、抗菌クリーム)、衛生品(例えば、マスク、ガーゼ、包帯、絆創膏)、水回り用品(例えば、浴槽、洗面器、桶、盥、浴室備品、トイレ備品、タオル)、制汗剤、医薬品、医薬部外品として有益に使用され得る。また、本開示の微生物抑制剤は、水虫、湿疹、皮膚炎、乾皮症、蕁麻疹、アトピー、ニキビ、ワキガ、フケ発生など皮膚の細菌が関連し得る症状を呈するまたは呈する可能性のある対象に適用することでその症状を改善または予防し得る。本明細書に記載のスピクリスポール酸関連物質および抗菌物質の組み合わせは、抗菌物質を置き換えるように使用することもできるので、本開示の微生物抑制剤は抗菌物質を含む任意の物品として使用でき、ここで、抗菌物質はより少ない量で物品に添加され得る。
【0102】
一つの実施形態では、本開示の微生物抑制剤であり得る化粧品、医薬品または医薬部外品として、例えば、基礎化粧品(スキンケア化粧品)、仕上げ化粧品(メイクアップ化粧品)、入浴剤、香水、ヘアケア製品(ヘアトニック、シャンプー、リンス、コンディショナー、染髪剤など)、歯磨き粉、皮脂抑制剤、石鹸、オーデコロン、デオドラント、ベビーパウダー、防除剤(殺虫剤など)などが挙げられるが、これらに限定されない。基礎化粧品としては、化粧水、乳液、洗顔料、美容液、クリーム(例えば、ハンドクリーム、リップクリーム、日焼け止めクリーム)、アフターシェーブローション、シェービングソープ、シェービング・オイル、ケミカルピーリング、パックなどが挙げられるが、これらに限定されない。仕上げ化粧品としては、ファンデーション、アイブロー、マスカラ、アイシャドー、アイライン、口紅、グロス、チーク、白粉、マニキュア、ペディキュア、コンシーラー、ドーラン、ノーズシャドー、アイプチ、つけまつげ、口紅、リップグロス、リップライナーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
本開示の微生物抑制剤は、真菌も抑制し得るので、高湿度環境に曝される物品(例えば、タイル、パッキンなど風呂場の建材、およびマスク、靴、靴下、下着、手袋などの衣類)などに使用することもできる。
【0104】
一つの実施形態では、本開示の微生物抑制剤は、Aspergillus属、Penicillium属、Candida属、Malassezia属、Escherichia属、Staphylococcus属、Cladosporium属、およびRhodotorula属のうちの少なくとも1種の微生物を抑制する能力を有し得るため、これらの微生物を抑制することが有利であり得る物品において好適に使用され得る。
【0105】
一つの実施形態では、本開示の微生物抑制剤は、Escherichia coli、Staphylococcus aureusなどの食品に付着して感染症を引き起こし得る微生物を抑制し得るので、食品に接する物品(例えば、包丁、まな板、麺棒、コルク、アルミホイル、ラップ、とっくり、コップ、食器、トング、トレー、パウチ、タッパー、クッキングシート、弁当箱、箸入れ)および食卓製品(例えば、テーブルクロス、食卓、布巾、パウチ、タッパー、クッキングシート、弁当箱、箸入れ)において好ましく使用され得る。
【0106】
(方法)
1つの局面において、本開示は、本明細書に記載のスピクリスポール酸関連物質および抗菌物質の組み合わせを対象に適用する工程を含む、微生物を抑制する方法を提供する。適用する対象は、ヒトなどの動物であってもよいし、ヒトなどの動物と接触し得る物品(例えば、上記の物品)であってもよい。適用は、噴霧、混合、塗り伸ばしなど任意の方法であってよい。
【0107】
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
【0108】
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
【0109】
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0110】
以下に実施例を記載する。
【0111】
(実施例1)
スピクリスポール酸関連物質と公知の抗菌物質との併用による微生物抑制効果を試験した。
【0112】
(試験方法)
併用による効果は、チェッカーボード法を用いて評価した。この方法は、評価する2つの物質について単独使用時および併用時の抗菌効果に基づき併用の有効性を評価する。具体的には、以下の手順で実験を行った。
(1)液体培地を調製する。
(2)調製した培地にスピクリスポール酸関連物質を添加して、種々の濃度でスピクリスポール酸関連物質を含む培地を調製する(培地A)。
(3)別途、調製した培地に併用する抗菌物質を添加して、種々の濃度で抗菌物質を含む培地を調製する(培地B)。
(4)培地Aと培地Bを1:1で混合して、スピクリスポール酸関連物質と抗菌物質を含む試験培地を調製する。異なる濃度で成分を含む培地Aと培地Bを掛け合わせて、複数の試験培地を調製する。
(5)試験する微生物を培養し、培養液中の菌濃度を血球計算盤で測定する。
(6)菌体量が1×10細胞/mLになるように各試験培地に培養液を添加する。
(7)25℃、150rpmで30日間液体振盪培養する。
(8)菌の生育が抑えられたかどうかを肉眼観察および血球計算盤で決定する。具体的には、肉眼観察で混濁または直径1mm以上の沈殿物が認められた場合または血球計算盤を用いて顕微鏡観察を行い計測した菌数が植菌時よりも増えていた場合に、菌は生育したと判断し、肉眼観察で混濁または沈殿物が認められない場合、または血球計算盤を用いて顕微鏡観察を行い計測した菌数が植菌時と変わらないもしくは減少していた場合に、菌の生育が抑えられたと判断する。
【0113】
(試験結果の解析法)
(1)スピクリスポール酸関連物質と抗菌物質、それぞれのMIC(最小発育阻害濃度:菌の生育を阻害するのに最低必要な濃度)をもとめる。
*スピクリスポール酸関連物質を単独で含む試験培地および抗菌物質を単独で含む試験培地の結果から、菌の生育を抑えることができた最小濃度を各成分のMICとする。
(2)スピクリスポール酸関連物質と抗菌物質を混合した試験培地の中で菌の生育を抑えることができ、最も濃度が低い組合せの試験培地を選択する。
(3)(2)で選択した試験培地について、以下の式によりFICI(fractional inhibitory concentration index)を求める。
FICI=(スピクリスポール酸関連物質の濃度[g/L])/(スピクリスポール酸関連物質のMIC[g/L])+(抗菌物質の濃度[g/L])/(抗菌物質のMIC[g/L])
FICI≦0.5は相乗効果ありを示し、
0.5<FICI≦1.0は相加効果ありを示し、
1.0<FICI≦2は不関を示し、
FICI>2は拮抗作用を示し、
FICI≦1.0で併用効果があると判断でき、小さいほどその効果は大きいと判断できる。
【0114】
例えば、以下の表に示す結果において、FICI=0.7(0.2/0.4+0.2/1.0)と計算される。
【表1】
+:菌が生育した。
ー:菌の生育が抑えられた。
*1:MICを与える試験培地
*2:選択した試験培地
【0115】
上記手順にしたがって、種々のスピクリスポール酸関連物質、抗菌物質および微生物の組み合わせについて試験を行った。以下の表に代表的な組み合わせを示す。
【表2-1】
【表2-2】
・D1Na・・・D酸ナトリウム
・S2Na・・・スピクリスポール酸2ナトリウム
・O3Na・・・オープンリング酸3ナトリウム
・メチルパラベン・4-ヒドロキシ安息香酸メチル(東京化成工業株式会社)
・o-フェニルフェノール(関東化学株式会社)
・安息香酸ナトリウム(関東化学株式会社)
・ヘキサンジオール(関東化学株式会社)
・アリルイソチオシアシネート(関東化学株式会社)
・2,3,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル(関東化学株式会社)
・塩酸アルキルジアミノエチルグリシン(関東化学株式会社)
・Difco(商標)Potato Dextrose Broth(ベクトン・ディッキンソン)
・グルコース(シグマアルドリッチ)
・ペプトン(和光純薬株式会社)
・酵母エキス(関東化学株式会社)
・麦芽エキス(関東化学株式会社)
・ハイポリペプトン(和光純薬株式会社)
・酵母エキス(関東化学株式会社)
・硫酸マグネシウム(和光純薬株式会社)
【0116】
(結果)
試験したスピクリスポール酸関連物質、抗菌物質および試験微生物の組み合わせおよび試験結果を以下の表に示す。
【表3】
【表4】
上記表の代表的な組み合わせについての結果を以下の表に示す。
【表5-1】
【表5-2】
【0117】
以下に具体的な結果を例示する。表中、「+」は菌が生育したことを示し、「ー」は菌の生育が抑えられたことを示し、「※」はFICIの計算に使用した菌の生育が抑えられた中で最も濃度が低い試験培地を示す。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【0118】
上記結果に示されるように、スピクリスポール酸関連物質の中でも特にD酸が抗菌物質との組み合わせにおいて優れた微生物抑制効果を示した。組み合わせによる微生物抑制効果は、特に真菌に対して顕著であった。真菌に対して有効な抗菌物質は種類が限られているため、本開示のスピクリスポール酸関連物質および抗菌物質の組み合わせは、独特な抗菌スペクトルを提供でき有用であることが示唆される。また、組み合わせる抗菌物質の種類としては、エステル系抗菌物質、カルボン酸系抗菌物質、フェノール系抗菌物質、アルコール系抗菌物質、界面活性剤系抗菌物質、第四級アンモニウム系抗菌物質、フルオロキノロン系抗菌物質、ニトリル系抗菌物質、キノリン系抗菌物質などが特に好ましいと考えられ、これらと組み合わせた場合の微生物抑制効果は、ピリジン系抗菌物質、イソチオシアネート系抗菌物質、アルデヒド系抗菌物質などと組み合わせた場合と比較して強力であり得る。
【0119】
(注記)
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本開示は、種々の日用品、化粧品などに適用することができ、衛生環境の向上を提供し得る。