(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082997
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】通知制御装置、通知制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240613BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240613BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240613BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/16 E
B60W60/00
B60W50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197268
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA57
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5H181AA01
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5H181LL15
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】ゲート通過後の道路区間において他車両と接触する可能性を低減可能な車両制御装置、車両制御方法を提供する。
【解決手段】自動運転ECUが備えるプロセッサは、地図データ等に基づいて、ゲートが存在する区間であるゲート領域に自車両が進入したか否かを判定する。プロセッサ31は、自動運転制御にてゲート領域に進入したことに基づいて、アイズオン要求画像を表示する。アイズオン要求画像は、ドライバに対して周辺の交通状況を監視することを依頼する画像である。ただし、プロセッサ31は、自車周辺に他車両が存在しない場合には、アイズオン要求画像の表示を省略しても良い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転制御を実施可能に構成された車両で使用される通知制御装置であって、
前記車両が前記自動運転制御で走行中か否かを示すデータを取得することと、
有料道路において複数のゲートが設けられている地点であるゲート地点についての情報を取得することと、
前記車両が前記ゲート地点を基準として定まるゲート領域に進入したか否かを判定することと、
前記自動運転制御にて前記車両が前記ゲート領域に進入したことに基づいて、ドライバに対し、周辺の交通状況を確認するように促す通知を行うことと、を実行する通知制御装置。
【請求項2】
前記通知を、前記ゲートを通過するまで継続するとともに、前記ゲートを通過したことに基づいて終了する、請求項1に記載の通知制御装置。
【請求項3】
前記通知を、前記ゲート領域を退出するまで継続する、請求項1に記載の通知制御装置。
【請求項4】
前記車両の周辺に存在する他車両のデータを取得し、
前記車両の周辺に前記他車両が存在しない場合には前記通知を中止する、請求項1に記載の通知制御装置。
【請求項5】
前記車両の周辺に存在する他車両のデータを取得し、
前記車両の周辺に前記他車両が存在しない場合には、前記車両の周辺に前記他車両が存在する場合に比べて、前記通知の強度を弱める、請求項1に記載の通知制御装置。
【請求項6】
前記車両が通過するゲートである目標ゲートの精算方式を示すデータを取得し、
前記目標ゲートが手動精算可能なゲートである場合には前記通知を実行する一方、前記目標ゲートが手動精算不能なゲートである場合には前記通知を省略する、請求項1に記載の通知制御装置。
【請求項7】
ドライバがステアリングホイールを保持する義務がある前記自動運転制御を実施するハンズオフ禁止モードと、ドライバが前記ステアリングホイールを保持する義務がない前記自動運転制御を行うハンズオフ可能モードを選択的に実施可能に構成された前記車両で使用される、請求項1に記載の通知制御装置であって、
前記ハンズオフ禁止モードで前記ゲート領域を走行する場合と、前記ハンズオフ可能モードで前記ゲート領域を走行する場合とで、前記通知の態様を変更する通知制御装置。
【請求項8】
前記ハンズオフ可能モードで前記ゲート領域を走行する場合は、前記ハンズオフ禁止モードで前記ゲート領域を走行する場合よりも、前記通知の強度を強める請求項7に記載の通知制御装置。
【請求項9】
前記ハンズオフ可能モードで前記ゲート領域を走行する場合には、前記ゲートに付随する区画線を認識できていることを示すゲート認識状態通知画像を表示する一方、
前記ハンズオフ禁止モードで前記ゲート領域を走行する場合には、前記ゲート認識状態通知画像は表示しない請求項7に記載の通知制御装置。
【請求項10】
前記ゲートを通過後に進路変更を実施する予定があるか否かを示すデータを取得し、
前記ゲートを通過後に進路変更を実施することが予定されている場合に、前記通知を実施する一方、
前記ゲートを通過後に進路変更を実施することが予定されていない場合には、前記通知を省略するか、又は、前記ゲートを通過後に進路変更を実施することが予定されている場合に比べて前記通知の強度を弱める、請求項1に記載の通知制御装置。
【請求項11】
先行車に追従しているか否かを示すデータを取得することと、
前記ゲート領域において前記先行車に追従していない場合には、前記ゲート領域の画像に前記車両の軌道を示す画像要素を重畳させた画像をディスプレイに表示することと、前記ゲート領域において前記先行車に追従していない場合には、前記車両の軌道を示す画像要素を含まない前記ゲート領域の画像をディスプレイに表示することと、を実施する請求項1に記載の通知制御装置。
【請求項12】
前記ゲートを通過するまでの前記車両の軌道を示す軌道画像をディスプレイに表示する、請求項1に記載の通知制御装置であって、
前記ゲートと重なる位置には前記軌道画像は表示しない、通知制御装置。
【請求項13】
前記ゲート地点を通過する前と前記ゲート地点を通過した後とで前記通知の態様を変える請求項3に記載の通知制御装置。
【請求項14】
自動運転制御を実施可能に構成された車両が備えるプロセッサで実行される通知制御方法であって、
前記車両が前記自動運転制御で走行中か否かを示すデータを取得することと、
有料道路において複数のゲートが設けられている地点であるゲート地点についての情報を取得することと、
前記車両が前記ゲート地点を基準として定まるゲート領域に進入したか否かを判定することと、
前記自動運転制御にて前記車両が前記ゲート領域に進入したことに基づいて、ドライバに対し、周辺の交通状況を確認するように促す通知を行うことと、を含む通知制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動運転で有料道路のゲートを通過する際のドライバへの通知を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有料道路のゲートを自動運転にて通過する車両制御装置が開示されている。当該車両制御装置は、通行料金の支払いのためのカードが車両に装着されているか否かに応じて通過予定のゲートを変更しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲート周辺では、車両同士の軌道が交差しやすく、直線道路走行中に比べて接触のリスクが高まりうる。
【0005】
本開示は、上記の検討又は着眼点に基づいて成されたものであり、その目的の1つは、自動運転にてゲート付近を走行する際に他車両と接触する可能性を低減可能な通知制御装置、通知制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される通知制御装置は、自動運転制御を実施可能に構成された車両で使用される通知制御装置であって、車両が自動運転制御で走行中か否かを示すデータを取得することと、有料道路において複数のゲートが設けられている地点であるゲート地点についての情報を取得することと、車両がゲート地点を基準として定まるゲート領域に進入したか否かを判定することと、自動運転制御にて車両がゲート領域に進入したことに基づいて、ドライバに対し、周辺の交通状況を確認するように促す通知を行うことと、を実行する。
【0007】
また、本開示の通知制御方法は、自動運転制御を実施可能に構成された車両が備えるプロセッサで実行される通知制御方法であって、車両が自動運転制御で走行中か否かを示すデータを取得することと、有料道路において複数のゲートが設けられている地点であるゲート地点についての情報を取得することと、車両がゲート地点を基準として定まるゲート領域に進入したか否かを判定することと、自動運転制御にて車両がゲート領域に進入したことに基づいて、ドライバに対し、周辺の交通状況を確認するように促す通知を行うことと、を含む。
【0008】
上記装置/方法によれば、ゲート付近では、自動運転システムだけでなく、ドライバもまた周辺の交通状況を確認しうる。故に、もし自車両に向けて過剰に接近している他車両があったとしても、ドライバによって適正に車両が操作される可能性を高めることができる。またその結果として、他車両との接触が生じるおそれを低減できる。なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】目標ゲートの設定処理を説明するための図である。
【
図4】ゲートの通過にかかる自動運転ECUの作動を示すフローチャートである。
【
図5】アイズオン要求として表示するアイコン画像の一例を示す図である。
【
図8】周辺車両の有無に応じた通知制御部の作動例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】周辺車両の有無に応じた通知制御部の他の作動例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】目標ゲートの精算方式に応じた通知制御部の作動例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】ゲート領域進入時における自動運転ECUの動作モードに応じた通知制御部の作動例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】ゲート領域で進路変更を実施するか否かに応じた通知制御部の作動例を説明するためのフローチャートである。
【
図13】ゲート領域進入時における自動運転ECUの動作モードに応じてゲート案内画像の表示内容を変更する場合について説明するための図である。
【
図14】ゲート通過アイコンの一例を示す図である。
【
図15】ゲート領域進入時において先行車を追従しているか否かに応じてゲート案内画像の表示内容を変更する場合について説明するための図である。
【
図16】軌道なしゲート画像の一例を示す図である。
【
図17】動作モードの制御例の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<前置き>
以下、図面を参照しながら本開示の1つの実施形態について説明する。本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。以下に述べる種々の補足や変形例などは、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分についてはそれよりも前の説明を適用することができる。
【0011】
図1は、本開示に係る自動運転システムSysの概略的な構成の一例を示す図である。以降では自動運転システムSysが搭載されている車両を自車両とも記載する。また、本開示における自車レーンとの記載は、道路が備える複数のレーンのうち、自車両が走行しているレーンを指す。自車レーンは、エゴレーンと呼ぶこともできる。隣接レーンとは、自車レーンに隣接するレーンである。
【0012】
本開示における先行車とは、自車両の前方に存在する車両の中で、自車両と同一のレーンを走行し、且つ、自車両から最も近い車両を指す。後続車は、自車レーンにおいて自車両の後方を走行している他車両を指す。前方車両には、自車レーンにおいて自車前方を走行している車両に限らず、1つ以上隣のレーンにおいて自車前方を走行する他車両も含まれる。後方車両も同様に、後続車だけでなく、自車両の斜め後ろを走行する車両も含まれる。
【0013】
本開示におけるドライバとは、実際に運転しているか否かに関わらず、運転席に着座している人物、つまり運転席乗員を指す。例えば本開示におけるドライバとは、自動運転終了時に自動運転システムSysから運転操作の権限及び責務を受け取るべき人物を指しうる。本開示におけるドライバとの記載は、運転席乗員と置き換えることができる。自車両は、車両外部に存在するオペレータによって遠隔操作される遠隔操作車両であってもよい。自動運転システムSysから運転操作を引き継ぐ人物は、車両外部に存在するオペレータであってもよい。ここでのオペレータとは、車両の外部から遠隔操作によって車両を制御する権限を有する人物を指す。オペレータもまた、ドライバの概念に含まれる。
【0014】
自動運転システムSysは、自車両を所定の経路に沿って自律的に走行させる、いわゆる自動運転機能を提供する。運転操作の自動化の度合い(以下、自動化レベル)は、米国自動車技術会(SAE International)が定義しているように、複数のレベルが存在し得る。自動化レベルは、例えば以下のレベル0~5の6段階に区分されうる。
【0015】
レベル0は、システムは何も制御しない、完全手動運転に相当するレベルである。レベル1は、操舵と加減速との何れかをシステムがサポートするレベルである。レベル1には、アダプティブクルーズコントロール(Adaptive Cruise Control:ACC)のみが実行されるケースが含まれる。レベル2は、アクセルとブレーキ操作による速度調整と、ステアリングホイール操作による左右の制御(つまり操舵)の両方をシステムが実施するレベルを指す。レベル2では、ドライバによる周辺監視(いわゆるアイズオン)は必要であるものの、システムが実質的に車両を自律的に走行させる。本開示では、レベル2相当の制御を、周辺監視義務のある自動運転制御、レベル2自動運転制御、又は準自動運転制御とも称する。
【0016】
レベル3は、運行設計領域(ODD:Operational Design Domain)内においてシステムが全ての運転タスクを実行する一方、緊急時にはシステムからドライバに操作権限が移譲されるレベルを指す。ODDは、自動運転を実行可能な条件規定するものである。レベル4は、対応不可能な所定の道路、極限環境等の特定状況下を除き、システムが全ての運転タスクを実施するレベルである。レベル5は、あらゆる環境下でシステムが全ての運転タスクを実施するレベルである。
【0017】
自動化レベル3~5がドライバによる周辺監視が不要となる自動化レベル、換言すれば自動運転に対応するレベルである。故に本開示では、レベル3以上に相当する車両制御を周辺監視義務のない自動運転制御とも称する。
【0018】
以下の自動運転システムSysは、使用される地域の法規及び慣習、搭載車両の特性/搭載設備等に適合するように適宜変更して実施可能である。以下におけるシステムとは、特段の断りが無い限り、自動運転システムSysを指す。
【0019】
<自動運転システムSysの全体構成について>
自動運転システムSysは一例として
図1に示す種々の構成を備える。すなわち、自動運転システムSysは、周辺監視センサ11、車両状態センサ12、ロケータ13、地図記憶部14、無線通信機15、乗員状態センサ16、ボディECU17、対外表示装置18、及び走行アクチュエータ19を備える。また、自動運転システムSysは、車載HMI20、及び自動運転ECU30を備える。なお、ECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。HMIは、ヒューマンマシンインターフェース(Human Machine Interface)の略である。
【0020】
自動運転ECU30は、周辺監視センサ11などといった上記装置/センサのそれぞれと車両内ネットワークIvNを介して相互通信可能に接続されている。車両内ネットワークIvNは、車両内に構築されている通信ネットワークである。車両内ネットワークIvNの規格としては、Controller Area Network(以降、CAN:登録商標)や、Ethernet(登録商標)など、多様な規格を採用可能である。また、一部の装置/センサは自動運転ECU30と専用の信号線によって直接的に接続されていてもよい。装置同士の接続形態は適宜変更可能である。
【0021】
周辺監視センサ11は、検出範囲に存在する物体を検出するセンサである。周辺監視センサ11は、自車両の周辺環境をセンシングする自律センサと解する事ができる。周辺監視センサは物体検出センサと言い換え可能である。自動運転システムSysは、複数の周辺監視センサ11を備えうる。自動運転システムSysは例えば周辺監視センサ11として、カメラ111及びミリ波レーダ112を備える。
【0022】
カメラ111は、例えば車両前方を所定の画角で撮像するように配置された、いわゆる前方カメラである。カメラ111は、フロントガラスの車室内側の上端部や、フロントグリル、ルーフトップ等に配置されている。カメラ111は、画像フレームを生成するカメラ本体部に加えてカメラECUを含みうる。カメラ本体部は、少なくともイメージセンサとレンズとを含む。カメラECUは、プロセッサとメモリを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)などである。カメラECUは、画像フレームに対して認識処理を施す事により、所定の検出対象物を検出するECUである。カメラECUは、例えばディープラーニングを適用した識別器を用いて検出対象として登録されている物体を検出及び識別する。また、カメラECUは、画像フレーム内における検出物の位置情報(例えば画素座標)から、自車両に対する検出物の相対位置座標を算出する。
【0023】
カメラ111の検出対象物には、例えば、歩行者や、他車両などの移動体が含まれる。カメラ111の検出対象物には、道路端や、路面標示、道路沿いに設置される構造物といった地物も含まれる。路面標示には、レーンの境界を示す車線区画線、横断歩道、停止線、導流帯、安全地帯、及び規制矢印が含まれる。道路沿いに設置される構造物とは、道路標識、ガードレール、縁石、電柱、信号機などである。カメラ111は、その他、前方車両のハザードランプや方向指示器(いわゆるウィンカー)といった灯火装置の点灯状態も検出しうる。
【0024】
自動運転システムSysは複数のカメラ111を備えていてもよい。例えば自動運転システムSysは、カメラ111として、前方カメラの他に、車両側方を撮像する側方カメラや、車両後方を撮像する後方カメラを備えていても良い。なお、カメラ画像を解析することで検出対象物体を検出する機能は、例えば自動運転ECU30など、他のECUが備えていても良い。自動運転システムSys内における機能配置は適宜変更可能である。カメラ111は、検出物にかかるデータを車両内ネットワークIvNに出力する。車両内ネットワークIvNに流れるデータは適宜自動運転ECU30によって参照される。
【0025】
ミリ波レーダ112は、所定方向に向けてミリ波又は準ミリ波といった探査波を送信するとともに、当該送信波が物体で反射されて返ってきた反射波の受信データを解析することにより、自車両に対する物体の相対位置や相対速度を検出するデバイスである。自動運転システムSysは、複数のミリ波レーダ112を備えうる。複数のミリ波レーダ112には、前方ミリ波レーダ及び後方ミリ波レーダが含まれる。前方ミリ波レーダは、車両前方に向けて探査波を送信するミリ波レーダ112であって、例えば、フロントグリルや、フロントバンパに設置されている。後方ミリ波レーダは、車両後方に向けて探査波を送信するミリ波レーダ112であって、例えば、リアバンパに設置されている。各ミリ波レーダ112は、検出物の相対位置及び相対速度を示すデータを生成し、検出結果として自動運転ECU30等に出力する。ミリ波レーダ112の検出対象物には、他車両や、歩行者などの他、マンホール(鉄板)、ランドマークとしての立体構造物などが含まれうる。
【0026】
周辺監視センサ11は、カメラ111及びミリ波レーダ112の他、LiDAR、ソナー等などであってよい。LiDARは、Light Detection and Ranging、又は、Laser Imaging Detection and Rangingの略である。LiDARは、レーザ光を照射することによって、検出方向ごとの反射点の位置を示す3次元点群データを生成するデバイスである。LiDARはレーザレーダとも称される。LiDARやソナーに関しても、自動運転システムSysはそれぞれ複数個備えていても良い。自動運転システムSysが備える周辺監視センサ11の組み合わせは適宜変更可能である。各周辺監視センサ11の検出結果は自動運転ECU30に入力される。
【0027】
車両状態センサ12は、自車両の状態に関する情報を検出するセンサである。車両状態センサ12には、車速センサ、操舵角センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、アクセルペダルセンサ等が含まれる。車速センサは、自車の走行速度を検出するセンサである。操舵角センサは、操舵角を検出するセンサである。加速度センサは、自車両の前後方向に作用する加速度、左右方向に作用する横加速度等を検出するセンサである。ヨーレートセンサは、自車の角速度を検出するセンサである。アクセルペダルセンサは、アクセルペダルの踏込量/踏込力を検出するセンサである。ブレーキペダルセンサは、ブレーキペダルの踏込量/踏込力を検出するセンサである。車両状態センサ12は、検出対象とする物理状態量の現在の値(つまり検出結果)を示すデータを車両内ネットワークIvNに出力する。車両状態センサ12として自動運転システムSysが使用するセンサの種類は適宜設計されればよい。
【0028】
ロケータ13は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する測位衛星から送信される航法信号を用いて自車両の位置座標を算出及び出力するデバイスである。ロケータ13は、GNSS受信機及び慣性センサ等を含む。ロケータ13は、GNSS受信機で受信する航法信号、慣性センサの計測結果、及び車両内ネットワークIvNに流れる車速情報等を組み合わせ、自車両の自車位置及び進行方向等を逐次算出する。本開示ではロケータ13が算出した自車両の位置座標を示すデータを自車位置データと称する。ロケータ13は、自車位置データを自動運転ECU30に向けて出力する。
【0029】
地図記憶部14は、地図データが保存されている記憶装置である。地図記憶部14が保持する地図データは、いわゆるHD(High Definition)マップデータであってよい。地図記憶部14に保存されている地図データは、道路の3次元形状や、レーン区画線などの路面標示の設置位置、交通標識の設置位置等が、自動運転等に必要な精度で含んでいる。当該地図データは、ゲート地点毎のゲート地点データを含む。ゲート地点とは、有料道路において料金徴収のためのゲートが設置されている地点である。本開示におけるゲート地点/ゲートとの表現は、料金所と読み替えることができる。
【0030】
ゲート地点データは、ゲート地点の構造等を示すデータである。1つのゲート地点において、複数のゲートが道路幅方向に並んで設置されうる。ゲート地点データは、代表位置座標と、ゲートの設置数と、各ゲートの詳細位置と、ゲート毎の精算方式などに関するデータを含む。ゲートの設置数はレーン数と言い換え可能である。各ゲートが1つのレーン(通路)を提供する。代表位置座標は、ゲート地点の位置を概略的に示す位置座標である。代表位置座標は、例えば横に並ぶ複数のゲートのうち、真ん中、或いは右端、或いは左端に位置するゲート(以降、代表ゲート)の位置座標であってよい。
【0031】
本開示では、代表位置座標にて表されるゲート地点から前後所定距離以内となる道路区間を、ゲート領域とも称する。ゲート領域は、ゲートの前後に存在する、車線区画線が設けられていない区間(以降、無車線区間)であってもよい。ゲート領域は、接続道路に対して道路幅が拡張されている区間であってもよい。ゲート領域は、ゲート前領域とゲート後領域に区分可能である。ゲート前領域とは、ゲート領域のうち、ゲートの入口側(換言すれば前方)に位置する領域を指す。ゲート後領域は、ゲート領域のうち、ゲートの退出側(換言すれば後方)に位置する領域である。ゲート後方に分岐点が存在する場合、プロセッサ31は、分岐点までをゲート後領域とみなしても良い。
【0032】
ゲートの詳細位置のデータは、緯度及び経度などの座標データであってよい。ゲート詳細位置は、右端又は左端のゲートを1番として定まる番号で表現されても良い。精算方式のデータは、道路の通考料金の精算(決済)方式を示す。精算方式は、手動精算方式と自動精算方式とに区分可能である。手動精算方式は、ドライバが現金又はクレジットカードを、ゲートのスタッフに手渡すか、又は、ゲートに設置されている精算機に投入することで通行料を支払う方式である。自動精算方式は、車両に搭載されている無線通信機(いわゆる車載器)と、ゲートに設置されている無線通信設備(いわゆる路側機)とが無線通信を行うことで、車種や通行区間に応じた決済を行う方式である。なお、日本においては、手動精算方式は「一般」、自動精算方式は「ETC(登録商標)」などと呼ばれうる。ETCは、Electronic Toll Collectionの略である。
【0033】
地図記憶部14に保存される地図データは、無線通信機15が地図サーバなどから受信したデータによって更新されてもよい。地図記憶部14は、無線通信機15が地図サーバから受信した地図データを、データの有効期限が切れるまで一時的に保持するための記憶装置であっても良い。地図記憶部14が保持する地図データは、ゲート地点データを含む限り、ナビゲーション用の地図データであるナビ地図データであっても良い。
【0034】
無線通信機15は、自車両が外部装置と無線通信を実施するための装置である。外部装置には、サーバ、交通情報センタ、路側機、及び他車両の一部又は全部が含まれてよい。無線通信機15は、セルラー通信を実施可能に構成されている。セルラー通信とは、LTE(Long Term Evolution)や4G、5Gなどに準拠した無線通信を指す。なお、無線通信機15は、セルラーV2X(PC5/SideLink/Uu)を実施するように構成されていても良い。
【0035】
また、無線通信機15は、狭域通信を実施可能に構成されている。本開示における狭域通信とは、通信可能距離が数百m以内に限定される無線通信を指す。使用される狭域通信の方式は、IEEE802.11pに対応するDSRC(Dedicated Short Range Communications)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標) Low Energyであってよい。狭域通信方式は、前述のセルラーV2Xであってもよい。無線通信機15は、ゲート通過時において、ゲートに設置された路側機と通行料決済にかかるデータ通信を実施可能に構成されていても良い。例えば無線通信機15は、ETC2.0に対応する車載器であってもよい。
【0036】
無線通信機15は、外部装置からゲート地点についての情報を受信しても良い。例えば、無線通信機15は、サーバ又はセンタから、ゲート地点の位置情報や、通行可能なゲート、封鎖されているゲートの情報などを受信してもよい。無線通信機15は、車車間通信により周辺車両から車両情報を受信してもよい。車両情報には、速度や、現在位置、方向指示器の作動状態、加速度、移動軌跡などが含まれうる。ここでの周辺車両とは、車車間通信可能な範囲に存在する車両を指す。
【0037】
乗員状態センサ16は、ドライバの状態を検出するセンサである。乗員状態センサ16は、例えば、ドライバステータスモニタ(以降、DSM:Driver Status Monitor)であってよい。DSMは、ドライバの顔画像に基づいてドライバの顔の向きや視線方向、瞼の開き度合い等を検出するセンサである。乗員状態センサ16としてのDSMは、ドライバの顔を撮影可能なように、例えば運転席のヘッドレスト部に光軸を向けた姿勢にて、インストゥルメントパネルや、フロントガラスの上端部等に配置されている。乗員状態センサ16としてのDSMは、ドライバの顔の向きや、視線方向、瞼の開き度合い等を示すドライバ状態データを自動運転ECU30に送信する。乗員状態センサ16は、脈拍センサやサーモカメラなどであってもよい。
【0038】
ボディECU17は、車両に搭載されたボディ系の車載機器を統合的に制御するECUである。ボディ系の車載機器には、灯火装置、ホーン、ドアロックモータなどが含まれる。灯火装置には、ヘッドライト、ハザードランプ、方向指示灯、バックライト、ウェルカムランプなどが含まれる。ボディ系の車載機器には、対外表示装置18が含まれていても良い。
【0039】
対外表示装置18は、リアウィンドウに画像を投影するプロジェクタである。対外表示装置18は、自動運転ECU30からの入力信号に基づいて、他車両のドライバと意思疎通を図るための画像を表示しうる。例えば対外表示装置18は、自車両の移動方向を示す画像や、隣接レーンを走行する後方車両に向けて通行権の譲渡(換言すれば割込の許可)を依頼する画像を表示する。対外表示装置18は、照射光がリアウィンドウに当たる姿勢で、例えば車室内の天井部(例えば窓枠部の上端付近)に設けられている。
【0040】
対外表示装置18は、サイドウィンドウ又は自車周辺の路面に投影するものであってもよい。対外表示装置18は、車両近傍の路面に画像を投影するようにサイドミラーに設けられていても良い。ヘッドライトやバックライトが対外表示装置18として動作するように構成されていてもよい。対外表示装置18は、表示面を車両側方又は後方に向けて配置された液晶ディスプレイなどであってもよい。
【0041】
車載HMI20は、乗員と自動運転システムSysとが情報をやり取りするためのインターフェース群である。車載HMI20は、ドライバへ向けて情報を通知するためのデバイスである報知デバイスとして、ディスプレイ21、及びスピーカ22を備える。また、車載HMI20は、乗員からの操作を受け付ける入力インターフェースとしての入力装置23を含む。
【0042】
自動運転システムSysは、ディスプレイ21として、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)、メータディスプレイ、及びセンターディスプレイのうちの1つ又は複数を備える。HUDは、フロントガラスの所定領域に画像光を投影することにより、ドライバによって知覚されうる虚像を映し出す装置である。メータディスプレイはインストゥルメントパネルにおいて運転席の正面に位置する領域に配置されたディスプレイである。センターディスプレイはインストゥルメントパネルの車幅方向中央部に設けられたディスプレイである。メータディスプレイ及びセンターディスプレイは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを用いて実現されうる。ディスプレイ21は自動運転ECU30から入力される信号に応じた画像を表示する。スピーカ22は、自動運転ECU30から入力される信号に対応する音を出力する装置である。本開示における音との表現には、通知音、音声、音楽などが含まれる。
【0043】
自動運転システムSysは、上記以外の報知デバイスとして、バイブレータやアンビエントライトなどを備えても良い。アンビエントライトは、複数のLED(light emitting diode)によって実現される、発光色や発光強度を調停可能な照明装置である。アンビエントライトは、インストゥルメントパネル及びステアリングホイール、Aピラー等に設けられている。Aピラーはウィンドシールドの横に存在するピラーである。Aピラーはフロントピラーとも呼ばれうる。
【0044】
入力装置23は、自動運転システムSysに対するドライバの指示操作を受け付けるための装置である。入力装置23としては、ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアリングスイッチや、ステアリングコラム部に設けられた操作レバー、センターディスプレイに積層されたタッチパネルなどを採用可能である。自動運転システムSysは、複数種類のデバイスを入力装置23として備えていても良い。
【0045】
入力装置23は、ドライバの操作に対応する電気信号である操作信号を自動運転ECU30に出力する。操作信号は、ドライバの操作内容を示す情報を含む。自動運転システムSysは、入力装置23を介して動作モードの変更にかかる指示を受け付ける。動作モードの変更にかかる指示には、自動運転の開始及び終了にかかる指示も含まれる。自動運転システムSysは、ドライバの各種指示を、音声認識によって取得可能に構成されていても良い。マイクなどの音声入力にかかるデバイスも入力装置23に含めることができる。なお、車載HMI20と自動運転ECU30との間には、例えばHCU(HMI Control Unit)が介在していても良い。HCUは、ドライバへの情報出力(換言すれば通知)を統合的に制御する装置である。
【0046】
自動運転ECU30は、周辺監視センサ11の検出結果などをもとに走行アクチュエータ19を制御することにより、運転操作の一部又は全部をドライバの代わりに実行するECUである。自動運転ECU30は自動運行装置とも称される。走行アクチュエータ19には例えばブレーキアクチュエータ、電子スロットル、及び操舵アクチュエータなどが含まれる。操舵アクチュエータには、EPS(Electric Power Steering)モータが含まれる。なお、自動運転ECU30と走行アクチュエータ19との間には、操舵制御を行う操舵ECUや、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU、及びブレーキECU等、他のECUが介在していてもよい。
【0047】
自動運転ECU30は、プロセッサ31、メモリ32、ストレージ33、通信インターフェース34、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを用いて実現されている。メモリ32は書き換え可能な揮発性の記憶媒体である。メモリ32は、例えばRAM(Random Access Memory)である。ストレージ33は、例えばフラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性である。ストレージ33には、プロセッサ31によって実行されるプログラムである車両制御プログラムが格納されている。車両制御プログラムには、ゲート通過にかかるドライバへの通知を制御するための通知制御プログラムも含まれる。プロセッサ31が通知制御プログラムを実行することは、通知制御方法が実行されることに相当する。
【0048】
自動運転ECU30は、自動化レベルが異なる複数の動作モードを備える。各動作モードは、ドライバが担当する運転タスクの範囲、換言すればシステムが介入する運転タスクの範囲が異なる。動作モードは、運転モードと言い換え可能である。ここでは一例として自動運転ECU30は、完全手動モードと、レベル2モードと、レベル3モードと、を少なくとも含む複数の動作モードを切り替え可能に構成されている。
【0049】
完全手動モードは、ドライバがすべての運転タスクを実行する動作モードである。完全手動モードは、自動運転ECU30が実質的な車両制御を実行しないモードに相当する。完全手動モードは、自動運転ECU30が動作を停止するモード(いわゆる停止モード)であっても良い。完全手動モードにおいて自動運転ECU30は、レベル2又はレベル3モードに移るための準備処理として、走行環境の認識処理をバックグラウンドで(換言すれば潜在的に)実施し続けてもよい。
【0050】
レベル2モードは、周辺監視義務のある自動運転制御、換言すれば、自動化レベル2相当の車両制御を行う動作モードである。レベル2モードは、準自動運転モード、或いは、アイズオン自動運転モードと呼ぶことができる。レベル2モードは、ハンズオンレベル2モードと、ハンズオフレベル2モードとに細分化されていてもよい。本実施形態の自動運転ECU30は、ハンズオンレベル2モードは、ドライバよるステアリングホイールの把持が必要なモードである。ハンズオフレベル2モードは、ドライバよるステアリングホイールの把持が不要な動作モード、換言すればハンズオフが許容される動作モードである。なお、本開示におけるハンズオンは、ステアリングを保持することを指す。ハンズオフとはステアリングから手を離す行為を指す。アイズオンとは自車両の移動方向に関連する車外領域(主として前方)を監視することを指す。アイズオフとは、自車両の移動方向に関連する車外領域から以上目を離す行為を指す。
【0051】
レベル3モードは、周辺監視義務のない自動運転制御、すなわち自動化レベル3相当の車両制御を実行する動作モードである。自動運転ECU30は、レベル4以上に相当する自動運転制御を実施可能であってもよい。レベル3モードは、自動運転モード又はアイズオフ自動運転モードとよぶことができる。自動運転ECU30は複数のプロセッサ31を備えていてよい。レベル3以上の自動運転制御を実行するプロセッサは、レベル2以下の車両制御を実行するプロセッサとは別に設けられていても良い。
【0052】
自動運転ECU30は、自動運転モードである間、ドライバによって設定された目的地へ向かう走行予定経路に沿って自車両が走行するように、車両の操舵、加速、減速(換言すれば制動)等を自動で実施する。自動運転ECU30は、目的地が設定されていない場合であっても、ODDを充足する範囲を走行/周遊し続けるようにルートを選択し、自律的な走行を継続してもよい。
【0053】
ODDは、例えば(a)走行路が高速道路又は中央分離帯とガードレール等が整った自動車専用道路であること、(b)降雨量が所定の閾値以下であること、(c)渋滞状態であること等を含みうる。ここでの自動車専用道路とは、歩行者や自転車の進入が禁止されている道路であって、例えば高速道路などの有料道路などを含む。また、渋滞状態とは例えば、走行速度が渋滞判定値(例えば、30km/h程度)以下であり、かつ、自車両の前方及び後方の所定距離(例えば20m)以内に他車両が存在する状態を指す。その他、(d)全て/所定数以上の周辺監視センサ11が正常に動作していること、(e)路上駐車車両が存在しないことなどもODDに含めることができる。自動運転可能/不可と判定する条件、換言すればODDを定義する詳細条件は、適宜変更可能である。
【0054】
また、自動運転ECU30は、レベル2モードである間も、実質的に車両を自律的に走行させるための制御を実施する。すなわち、走行環境の認識、走行軌道の計画、及び制御への反映/フィードバックを実施する。制御への反映には、加速及び減速による速度調整や、操舵制御などが含まれる。以下における自動運転との記載は、特段の注釈が無い限り、レベル2相当の準自動運転に置き換え可能である。
【0055】
なお、自動運転ECU30は、自動運転モードでは、ドライバのセカンドタスクが許容される。レベル3自動運転で許容されるセカンドタスクとは、読書やスマートフォンの操作といった、すぐに運転操作に復帰可能なものに限定されうる。自動運転モードは、ドライバによるステアリング/ペダル操作(いわゆるオーバーライド)の他、システム限界や、ODDの退出等に起因して終了される。
【0056】
<自動運転ECUの構成について>
自動運転ECU30は、自動運転プログラムを実行することによって実現される機能部として
図2に示す機能部を備える。すなわち自動運転ECU30は、情報取得部F1、環境認識部F2、モード制御部F3、計画部F4、車両制御部F5、及び通知制御部F6を有する。
【0057】
情報取得部F1は、自動運転及び運転支援といった車両制御を実施するための多様な情報を取得する構成である。情報取得部F1は、カメラ111を含む種々の周辺監視センサ11からセンシングデータ(つまり検出結果)を取得する。センシングデータには、移動体、地物、及び障害物といった、自車周辺に存在する物体についてのデータが含まれる。各検出物のデータは、検出物の位置、移動速度、及びその種別又は大きさを含みうる。
【0058】
地物にかかるセンシングデータは、車線区画線及び、道路端の検出結果にかかるデータを含みうる。車線区画線のデータは、位置データだけでなく線種データを含んでいてもよい。線種は、連続線(実線)か破線かで表現されうる。センシングデータは、車線区画線を認識できているか否かといった車線区画線の認識状況、及び、道路端を認識できているか否かといった道路端の認識状況を示すデータも含まれうる。
【0059】
また、情報取得部F1は、車両状態センサ12から、自車両の走行速度や加速度、ヨーレート、外部照度など、車両の状態を示すデータを取得する。さらに、情報取得部F1は、ロケータ13から自車位置データを取得する。情報取得部F1は、地図記憶部14を参照することにより周辺地図情報を取得する。
【0060】
情報取得部F1は、無線通信機15との協働により、外部装置から送信されたデータを取得する。例えば情報取得部F1は、前方車両から車車間通信にて送信されてきた車両情報を取得しうる。また、情報取得部F1は、無線通信機15との協働により、自車両が所定時間以内に通過予定の道路区間についての動的地図データを取得する。ここでの動的地図データは、渋滞情報や、合流車情報などが含まれる。
【0061】
情報取得部F1は、入力装置23からの信号に基づき、自動運転システムSysに対するドライバの操作なども取得する。例えば情報取得部F1は、自動運転の開始及び終了にかかる指示信号を入力装置23から取得する。また情報取得部F1は、自動運転システムSysの作動状態に関するデータも、種々の装置/ソフトウェアモジュールから取得する。例えば情報取得部F1は、ACC機能の作動状態(オン/オフ)、及び、先行車を認識しているか否かといったデータも取得する。また、情報取得部F1は、周辺監視センサ11が正常に動作しているか否かといった、種々のコンポーネントの作動状態も管理する。情報取得部F1は、乗員状態センサ16から、目の開度や視線方向を示すドライバ状態データを取得する。
【0062】
情報取得部F1が逐次取得する種々のデータは、例えばメモリ32等の一時記憶媒体に保存され、環境認識部F2やモード制御部F3などによって利用される。なお、各種情報は、種別ごとに区分されてメモリ32に保存されうる。また、各種情報は、例えば最新のデータが先頭となるようにソートされて保存されうる。取得から一定時間が経過したデータは破棄されうる。本開示における「取得」には、自動運転ECU30自身が他の装置/センサから入力されたデータなどを元に演算することによって生成/検出/判定することも含まれる。システム内の機能配置は適宜変更可能であるためである。
【0063】
環境認識部F2は、情報取得部F1が取得した種々のデータに基づいて、自車両の走行環境を認識する。環境認識部F2は、カメラ111とミリ波レーダ112など、複数の周辺監視センサ11の検出結果を、所定の重みで統合するセンサフュージョン処理により、自車両の走行環境を認識してもよい。
【0064】
走行環境には、道路の曲率や、車線数、自車レーン番号、天候、路面状態、交通量、ゲート地点までの残り距離などが含まれる。自車レーン番号は、道路における自車レーンの位置を示す番号であって、左の道路端を基準として定まる。自車レーン番号は、自車レーンの左に存在するレーンの数を直接的に又は間接的に表す。もちろん、自車レーン番号は右側の道路端を基準として表現されても良い。自車レーン番号は、道路端から自車両までの距離、左右で検出されている車線区画線の数、及び地図データの一部又は全部を用いて特定されてよい。自車レーン番号は、地図データと自車位置データとから特定されても良い。自車レーン番号の特定は、カメラ111又はロケータ13にて実施されてもよい。天候や路面状態は、カメラ111の認識結果と、情報取得部F1が取得した天候情報とを組み合わせることにより特定可能である。道路構造に関してはカメラ111の認識結果の他、地図データ又は前方車両の軌跡情報を用いて特定されても良い。
【0065】
環境認識部F2は、自車両の前方所定距離以内に存在する道路の構造に係る情報を、周辺監視センサ11の出力信号、外部装置からの受信信号、及び地図データの少なくとも何れか1つに基づいて取得する。道路構造には、ゲート地点の位置、分岐路の位置、車線区画線の数、道路幅などが含まれる。環境認識部F2は、ゲート地点に関する詳細情報として、ゲート地点までの残り距離を取得する。ゲート地点までの残り距離は、地図データに基づいて取得してもよいし、カメラ111で検出された案内標識のデータをもとに特定されても良い。環境認識部F2は、ゲート地点までの残り距離は、前方車両から受信する挙動データ又はセンシングデータをもとに特定しても良い。環境認識部F2は、地図データや前方車両の走行軌跡から、ゲートの数、及びゲートごとの精算方式を取得してもよい。環境認識部F2は、通過に停止を伴っているゲートは手動精算方式のゲートと見なし、前方車両が停車せずに通過しているゲートは自動精算方式のゲートと見なしても良い。環境認識部F2においてゲート地点にかかる情報を取得する機能部がゲート認識部F21に相当する。
【0066】
走行環境には、自車両の周辺に存在する物体の位置や、種別、移動速度なども含まれる。環境認識部F2は、情報取得部F1が取得した多様なデータに基づき、周辺車両の位置及び挙動を認識する。周辺車両を認識する処理を担当するソフトウェア/ハードウェアモジュールが周辺車両認識部F22に相当する。周辺車両認識部F22としての環境認識部F2は、検出されている他車両ごとに衝突リスクを算出しうる。衝突リスクは例えばTTC(Time-To-Collision)あるいは衝突余裕度(MTC: Margin-To-Collision)などであってよい。例えば環境認識部F2は、他車両ごとにTTCを算出する。TTC及びMTCは値が小さいほど衝突リスクが大きいことを意味するパラメータである。その他、環境認識部F2は、ODDに関連する車外環境情報や、ドライバ状態データを取得する。
【0067】
モード制御部F3は、情報取得部F1が取得した種々の情報に基づき、自動運転ECU30の動作モードを制御する。動作モードの切り替えは、入力装置23から入力される操作信号に基づいて実行される。例えばモード制御部F3は走行環境がODDを充足している状態において、入力装置23から自動運転の開始指示信号が入力された場合には、動作モードを完全手動モードまたはレベル2モードから自動運転モードへ切り替える。また、モード制御部F3は、自動運転モード中において、環境認識部F2が認識している走行環境がODDを充足しなくなることが予見された場合には、完全手動モードに移行することを決定し、その旨を計画部F4に通知してもよい。
【0068】
その他、モード制御部F3は、自動運転モード又はレベル2モード中において、ドライバによるオーバーライド操作が検知された場合には、完全手動モードに切り替える。オーバーライド操作とは、ステアリングホイール及びブレーキペダル、アクセルペダルといった運転用の操作部材に対する乗員の操作を指す。自動運転ECU30はドライバによるオーバーライド操作が行われたことを検出した場合には、速やかに運転権限をドライバに移譲するとともに、手動運転に切り替わったことを音声出力等にて報知する。なお、自動運転モード終了時に遷移する動作モードは、レベル2モードであってもよい。
【0069】
計画部F4は、レベル2以上の自動運転として実行する制御内容を計画する構成である。計画部F4は、動作モードがレベル3又はレベル2モードである場合に有効化されうる。計画部F4は、レベル3又はレベル2モードである間、環境認識部F2による走行環境の認識結果に基づき、自律的に走行させるための走行計画を生成する。走行計画は制御計画と呼ぶこともできる。計画部F4は、車両の走行計画を作成する構成に相当する。走行計画には、時刻ごとの走行位置や目標速度、操舵角などが含まれる。すなわち、走行計画には、算出した経路における速度調整のための加減速のスケジュール情報や、操舵量のスケジュール情報を含みうる。
【0070】
例えば計画部F4は、中長期の走行計画として、経路探索処理を行い、自車位置から目的地までの走行予定経路を決定する。なお、目的地が設定されていない場合、計画部F4は、自動運転を継続可能なルートを走行予定経路として選択してもよい。走行予定経路は、これから所定時間(例えば10分)以内に通行する道路についてのデータを含む。
【0071】
計画部F4は、中長期の走行計画に沿った走行を行うための短期の制御計画として、車線変更の走行計画、レーン中心を走行する走行計画、先行車に追従する走行計画、及び障害物回避の走行計画等が生成する。例えば計画部F4は、短期の制御計画として、認識している自車レーンの中央を走行する経路を走行計画として生成したり、認識している先行車の挙動又は走行軌跡に沿う経路を走行計画として生成したりする。計画部F4が作成した制御計画は車両制御部F5に入力される。
【0072】
当該計画部F4は、ゲート地点の通過にかかる構成として、ゲート通過計画処理を実施する。ゲート通過計画処理は、目標ゲートの設定、目標ゲートまでの走行軌道の生成、ゲート通過後の軌道生成などを含む。目標ゲートは、ゲート地点に設けられている複数のゲートのうち、自車両が通過するゲートである。目標ゲートの設定方法に関しては別途後述する。
【0073】
計画部F4は、車両の走行に直接的に関係する制御計画の他に、ディスプレイ21などの報知デバイスを用いた乗員への通知処理に係る計画も策定する。例えば計画部F4は、挙動予告、モード変更通知、アイズオン要求、ハンズオン要求、TOR(Take Over Request)予告といった、ドライバへの予告/要求を実施するタイミングを計画する。挙動予告とは、車線変更や追い越し、減速などといった予定されている車両挙動を予告する処理である。モード変更通知は、動作モードを変更すること、或いは、動作モードを変更予定であることをドライバに通知する処理である。
【0074】
アイズオン要求は、レベル3モード中において、念のためにドライバに周囲の監視をするように要求する処理である。ハンズオン要求は、レベル3モード中又はハンズオフレベル2モード中において、ドライバにステアリングホイールを軽く把持するように依頼する処理である。TOR予告は、TORの可能性が高まっていることを通知する処理である。TORは、ドライバに運転操作の引き継ぎを要求すること、換言すれば自動運転を終了することである。
【0075】
予告及び要求を含む各種の通知は、その内容に応じたアイコン画像を、ディスプレイ21に表示することを含む。各種通知は、重要性や緊急度に応じて、通知音の出力、音声メッセージの出力、アンビエントライトの点滅、及びバイブレータの振動の一部又は全部を伴っていても良い。計画部F4は、通知の内容と通知を行うタイミングとを示す通知計画データを作成し、通知制御部F6に送信する。
【0076】
車両制御部F5は、計画部F4で策定された制御計画に基づく制御指令を生成し、走行アクチュエータ19へ向けて逐次出力する。また、車両制御部F5は、計画部F4の計画や外部環境に基づき、方向指示器やヘッドライト、ハザードランプ等の点灯状態も、走行計画や外部環境に応じて制御する。
【0077】
車両制御部F5は、先行車追従制御を実行するためのサブシステムとしてACCシステムF51を備える。ACCシステムF51は、計画部F4の作成した計画に基づき、先行車追従制御を実行する。すなわち、ACCシステムF51は、先行車を認識できている場合には、設定車速の範囲内で先行車との車間距離/車間時間を一定とするように車速を制御する。またACCシステムF51は、先行車を認識していない場合や、先行車の速度が設定車速を超過している場合には、設定車速を維持するよう、速度調整を行う。ACCシステムF51は、先行車の認識状態、先行車追従制御の実施状態を示すデータを通知制御部F6に提供する。ACCシステムF51は先行車追従制御部と言い換えることもできる。
【0078】
モード制御部F3、計画部F4、及び車両制御部F5を含むソフトウェア/ハードウェアモジュールが自動運転部Fnに相当する。もちろん、情報取得部F1や環境認識部F2も自動運転部Fnに含めることができる。
【0079】
通知制御部F6は、ディスプレイ21やスピーカ22といった報知デバイスを用いたドライバへの通知/提案を行うためのサブシステムである。種々の通知/提案は、ディスプレイ21への画像表示や、スピーカ22からの音声メッセージ出力によって実現されうる。通知制御部F6は、計画部F4の計画に基づき、各種通知を実行する。
【0080】
また通知制御部F6は、環境認識部F2の認識結果として、ゲート地点に自車両の相対位置にかかるデータを取得する。例えば通知制御部F6は、ゲート領域に自車両が入ったか否か、目標ゲートまでの残り距離、目標ゲートを通過したか否か、ゲート領域を退出したか否かなどを取得する。また、通知制御部F6は、周辺車両の位置や、先行車追従制御の作動状態、先行車の認識状態、現在の動作モードなども取得する。通知制御部F6としてのプロセッサ31は、ゲート通過に際してゲート接近応答処理を実施する。ゲート接近応答処理については別途後述する。
【0081】
本実施形態の通知制御部F6は、アイズオン要求等の通知態様として、目立つ態様と控えめな態様の2段階で通知態様を選択的に採用可能に構成されている。控えめな態様とは、目立つ態様に比べて、光や音などの刺激を弱めた態様を指す。控えめな態様は、乗員に煩わしさを与えないことを狙った通知態様を指す。控えめな態様での通知とは、画像表示が主体となる態様での通知であって、ドライバに振動を印加せず、かつ、通知音の出力音量を所定値以下とする態様を指す。出力音量を所定値以下とすることには、音を出力しないことを含む。控えめな態様とは、目立たない態様と言い換えることもできる。
【0082】
目立つ態様での通知とは、通知内容をドライバにしっかりと認識させることを意図した態様での通知を指す。目立つ態様での通知とは、所定値以上での音量での音声メッセージ/効果音の出力を伴っていても良い。目立つ態様での通知は、ドライバへの振動の印加を伴っていてもよい。目立つ態様とは、ドライバの興味を引くために必要十分な強度の刺激を出力することに相当する。
【0083】
<目標ゲートの設定>
ここでは目標ゲートの設定方法について、
図3を用いて説明する。
図3に示す道路は、1つのゲート地点に4つのゲートが設けられており、且つ、ゲート地点の後方において第1道路Rt1と第2道路Rt2に分岐する構造を有している。
【0084】
図3に示すようにゲート地点に複数のゲートが設置されている場合、計画部F4としてのプロセッサ31は、複数のゲートのうち、ゲート後道路に対応するゲートを目標ゲートに設定する。ゲート後道路は、ゲート地点通過後に自車両が走行する予定の道路である。ゲート後道路に対応するゲートとは、ゲート後道路の正面に位置するゲート、換言すれば、ゲート通過後まっすぐ走行すればゲート後道路に進入可能なゲートを指す。ゲート後道路に対応するゲートとは、ゲート後道路へと続くゲートと解することができる。逆の観点に依れば、或るゲートに対応する道路とは、ゲートの正面に位置する道路、当該ゲートから最も近い道路、又はゲートから最寄りの道路端に沿って連なる道路と解することができる。
【0085】
図3に示す例では第1ゲートGt1と第2ゲートGt2は、第1道路Rt1に対応するゲートである。また、第3ゲートGt3と第4ゲートGt4が第2道路Rt2に対応するゲートに相当する。
【0086】
プロセッサ31は、ゲート後道路に対応するゲートが複数存在する場合には、現在の自車レーンの延長線から最も近いゲートを目標ゲートに設定してもよい。例えば第2道路Rt2が自車両にとってのゲート後道路であり、かつ現在の自車レーンが第1レーンである場合、プロセッサ31は第3ゲートGt3を目標ゲートに設定する。第4ゲートGt4よりも第3ゲートGt3のほうが、自車レーンに近いためである。なお、
図3の「Hv」は自車両を指し示す符号である。プロセッサ31は、なるべくゲート通過後における横方向への移動量が小さくなるように目標ゲートを設定する。
【0087】
もちろん第3ゲートGt3が特定の不使用条件が充足している場合、プロセッサ31は第3ゲートGt3ではなく第4ゲートGt4を目標ゲートに設定しても良い。不使用条件が充足する場合とは、例えば、ゲートが封鎖されている場合、精算方式が手動精算方式である場合、第4ゲートGt4に比べて第3ゲートGt3が混んでいる場合などである。目標ゲートの選択アルゴリズムは、適宜変更されても良い。
【0088】
プロセッサ31は、自動精算方式が可能なゲートの中から目標ゲートを選択してよい。また、自車両が自動精算処理を実施不能な場合、プロセッサ31は手動精算方式が可能なゲートの中から目標ゲートを選択してよい。自動精算処理を実施不能な場合とは、自動精算用のカードが所定の車載器に挿入されていない場合などを指す。精算方式等の観点から自車両が通行可能なゲートが1つしかない場合、プロセッサ31は当該ゲートを目標ゲートに設定して良い。
【0089】
封鎖等により利用可能なゲートが1つしかない場合もまたプロセッサ31は当該ゲートを目標ゲートに設定して良い。その他、目的地が設定されていない場合、プロセッサ31は自車レーンの延長線上にあるゲートを目標ゲートに設定してもよい。また、プロセッサ31は目的地が設定されていない場合、レベル3モードを維持可能な道路をゲート後道路に設定した上で目標ゲートに設定してもよい。なお、自動運転を維持したまま通行可能なゲートが存在しない場合、通知制御部F6はTORを実施しても良い。
【0090】
目標ゲートの設定が完了すると、プロセッサ31は、目標ゲートの位置と、現在の自車位置と、ゲート後道路の走行予定レーンの位置と、に基づいて、ゲート前軌道とゲート後軌道を作成する。ゲート前軌道は、目標ゲートに進入するまでの軌道である。ゲート後軌道は、目標ゲートを退出してからゲート後道路に進入するまでの軌道である。ゲート前軌道には、目標ゲートに向けた進路変更(例えば車線変更)が含まれうる。
図3における「Tr1」で指し示す破線はゲート前軌道を、「Tr2」で指し示す破線はゲート後軌道をそれぞれ概念的に示している。
【0091】
自車両がゲートの手前側(入口側)に存在する状況においては、ゲートによってゲートの後方に存在する物体は検出しにくい。仮にゲート通過後の横移動量がゲート通過前の横移動量よりも大きくなるように目標ゲートを設定してしまうと、ゲート通過後の制御難易度が高まってしまう。ゲート通過前には検出されていなかった障害物が存在する可能性があるためである。換言すれば、ゲート通過前のほうがゲート通過後よりも、周辺車両を見落としている可能性は小さい。上記のようにゲート通過前の横移動量がゲート通過後の横移動量以上となるように目標ゲートを設定することにより、安全性を高めることができる。当該構成は、ゲート通過後の横移動量がなるべく小さくなるように目標ゲートを設定する構成に相当する。
【0092】
上記のように計画部F4としてのプロセッサ31が設定した目標ゲート及びゲート付近での軌道データは、車両制御部F5だけでなく、通知制御部F6によって参照されうる。
【0093】
<ゲート接近応答処理>
ここでは通知制御部F6が実施するゲート接近応答処理について
図4に示すフローチャートを用いて説明する。
図4に示すフローチャートは、レベル3モードである間、定期的に実行されうる。
図4に示すフローチャートは一例として、ステップS101~S110を含む。
【0094】
ステップS101は通知制御部F6が、ゲート地点に対する自車両の相対位置を示すデータを取得するステップである。ステップS101の処理は、ステップS103以降においても定期的に実行される。なお、ステップS101は、自動運転ECU30の現在の動作モードを取得する工程や、計画部F4が作成した走行予定の軌道を示すデータを取得する工程を含んでいても良い。ステップS101は通知制御部F6が種々の通知を実施する上で必要なデータを取得するステップと解することができる。
【0095】
ステップS102は、自車両がゲート領域に入ったか否かを判定するステップである。前述の通り、ゲート領域は、ゲート地点から一定距離以内となる道路区間であってよい。ゲート領域とみなす距離は、100mや250m、400mなどであってよい。ゲート地点から一定距離以内となる区間をゲート領域と定義されている構成においては、ステップS102は、ゲート地点までの残り距離が所定値以下となったか否かを判定するステップと解する事ができる。ゲート地点までの残り距離の判断材料としては、前述の通り、周辺監視センサ11の出力や、外部装置からの受信データ、地図データなどを採用可能である。また、ゲート領域は、他の態様として、無車線区間であっても良い。ゲート付近の無車線区間をゲート領域とみなす構成においては、カメラ111で車線区画線が検出されなくなったことに基づいて通知制御部F6はゲート領域に自車両が進入したと判定可能である。また、ゲート領域はゲート地点付近において道路幅が拡張されている領域であっても良い。ゲート領域に入ったか否かは、地図上における自車位置を用いて判定されてもよい。ゲート領域への進入判定は多様な方法にて実施されてもよい。
【0096】
自車両がゲート領域に入った場合(S102 YES)、プロセッサ31はステップS103以降のシーケンスを実行する。一方、自車両がゲート領域に入っていない場合には(S102 NO)、本フローを終了する。本フローを終了した場合、終了時点から所定の休止時間が経過した場合には本フローを再実行しうる。休止時間は例えば500ミリ秒や、1秒、2秒などに設定されうる。
【0097】
ステップS103は、アイズオン要求を実行するステップである。ステップS103は、ゲート領域に入ったことに基づいてシステムがドライバに対して周辺状況の確認を依頼するステップに相当する。アイズオン要求を実施することにより、ドライバが運転操作を引き継ぎやすくなる。アイズオン要求は、
図5に例示するアイズオンアイコンIm1をディスプレイ21の所定位置に表示することを含む。アイズオンアイコンIm1は、ドライバが前方を見ていることを模擬的に示すアイコン画像/ピクトグラムである。アイズオン要求は、所定の通知音の出力、或いは、アンビエントライトの点灯などを伴っていても良い。
【0098】
本実施形態の通知制御部F6は、ゲート前領域においては、アイズオン要求を控えめの態様で実施する。控えめなアイズオン要求は、例えば緑色或いは黄色でアイズオンアイコンIm1を表示することであってよい。控えめなアイズオン要求は、アイズオンアイコンIm1を所定サイズでディスプレイ21の隅部に表示することであってもよい。アイズオンを要求するアイズオンアイコンIm1の表示は、目標ゲートの正面に到達するまでは継続されてよい。
【0099】
ステップS103を実行すると、通知制御部F6はステップS104として、ゲート案内画像Im2をディスプレイ21に表示する。ゲート案内画像Im2は、ゲート付近の道路構造を表す画像である。ゲート案内画像は、ゲート付近の地図画像と解することもできる。ゲート案内画像は、ゲート付近での自車両の軌道を示す画像を含んでいても良い。
【0100】
例えばゲート案内画像Im2は、
図6に示すように画像要素として、自車両画像E1と、ゲート前軌道画像E21と、ゲート後軌道画像E22と、ゲート画像E3と、を含む。自車両画像E1は、自車両の位置を表す画像要素である。ゲート前軌道画像E21は、現在位置から目標ゲートまでの軌道を表す画像要素である。ゲート後軌道画像E22は目標ゲートを通過後の自車両の軌道を表す画像要素である。ゲート画像E3は、目標ゲートの位置を示す画像である。ゲート画像E3は、目標ゲートの画像だけでなく、その他のゲートの画像を含みうる。ゲート画像E3は、ゲート地点に設置されている複数のゲートの画像であってよい。ゲート画像E3において、目標ゲートはその他のゲートとは異なる態様で表示されていて良い。たとえば目標ゲート以外のゲートはグレーアウトされてもよい。目標ゲートは点滅などのエフェクト又は装飾が付与されていても良い。当該構成によれば目標ゲートの位置をドライバが認識しやすくなる。
【0101】
ゲート前軌道画像E21とゲート後軌道画像E22は、矢印などで表現される。ゲート前軌道画像E21とゲート後軌道画像E22は、軌道を表す帯/ベルト/ラインであってよい。ゲート前軌道画像E21とゲート後軌道画像E22はつながっていても良い。ゲート前軌道画像E21とゲート後軌道画像E22をまとめて軌道画像E2とも称する。なお、ゲート画像E3に軌道画像E2が重なっていると、目標ゲートの視認性が劣化しうる。よって、軌道画像E2は、ゲート画像E3と重ならないよう、ゲートの手前で途切れていることが好ましい。
図6に例示するゲート案内画像Im2のように、軌道画像E2をゲート前軌道画像E21とゲート後軌道画像E22に分けて表示することにより、ドライバは目標ゲートを確認しやすくなる。
【0102】
また、ゲート案内画像Im2がゲート前軌道画像E21とゲート後軌道画像E22の両方を含む構成によれば、ドライバはゲートの通過にかかる自車両の挙動の全体像を認識しやすくなる。ゲート領域は、直線道路に比べて制御の難易度が高い領域である。ゲート領域における自動運転ECU30の挙動計画が可視化されることにより、当該計画の妥当性や実現可能性をドライバが判断可能となる。仮に自動運転ECU30の計画が無謀であるようにドライバが判断した場合には、システムからの要請を待たずにドライバがオーバーライドを行うことも可能となる。
【0103】
なお、ゲート案内画像Im2においてゲート後軌道画像E22は任意の要素である。ゲート案内画像Im2は、
図7に示すように、ゲートに進入する前までの挙動を示す画像であってもよい。ただし、
図6に例示するようにゲート後道路の道路形状或いはゲート後軌道も付加的に表示する構成によれば、ゲート通過後の自車両の動きをドライバに予告できる。ゲート通過後の軌道、例えばまっすぐ、斜め右、及び斜め左の何れの方向に進むのかによってドライバが注意すべき方向/対象物が異なりうる。ゲート後軌道画像E22を含むゲート案内画像Im2を表示する構成によれば、ドライバが適切な方向に注意を払いやすくなる。
【0104】
ゲート案内画像Im2は道路を上方から見下ろした画像(いわゆる俯瞰画像)である必要はない。ゲート案内画像Im2は、ドライバ視点の立体画像であっても良い。また、ゲート案内画像Im2は、車両の上方に配置された仮想視点から目標ゲートを見た画像であってもよい。さらに、ゲート案内画像Im2は、現実の車両前方の景色と重なるようにヘッドアップディスプレイに表示されてもよい。通知制御部F6は、ゲート案内画像Im2としてゲート前軌道画像E21及び目標ゲートを示す画像を前方景色に重畳表示しても良い。ゲート案内画像Im2の表示は、ゲートを通過するか、ゲート領域を退出するまで継続されてよい。
【0105】
ステップS105は、ゲートを通過したか否かを判定するステップである。ゲートを通過したか否かは、地図上における自車位置データや、周辺監視センサ11での認識結果、外部装置との通信状況に基づいて判定されてよい。通知制御部F6は、自車両がゲートを通過した場合(S105 YES)、ステップS106として、アイズオンアイコンIm1の表示態様を、目立つ態様へと変更する。例えば通知制御部F6は、アイズオンアイコンIm1の色を赤色やオレンジといった強調色に変更する。アイズオンアイコンIm1の強調は、点滅や、表示サイズの増大、及び表示位置の変更の何れかであってもよい。
【0106】
このようなステップS106はアイズオン要求を再通知するステップに相当する。また、ステップS106はゲート通過前に比べて目立つ態様でアイズオン要求を実施するステップと解することもできる。ゲート通過後は、ゲート通過前に比べて車両同士の軌道が交差しやすい。それに伴い他車両が自車両に対して過剰に接近してくる可能性が高まる。ゲート通過後にアイズオン要求を再出力することで、ドライバが周辺監視を行う可能性を高めることができる。ひいてはゲート後領域における他車両との接触の可能性をより一層低減できる。
【0107】
なお、目立つ態様でのアイズオン要求は、通知音の出力、アイズオンを要求するテキストメッセージの表示、又は、振動の発生を伴っていても良い。アイズオンアイコンIm1の表示は、ゲート退出まで継続されてよい。通知制御部F6は、目立つ態様でのアイズオン要求を実行/開始すると、ステップS107を実行する。
【0108】
ステップS107は、自車両がゲート領域を退出したか否かを判定するステップである。当該判定も、ステップS102と同様に、多様なデータをもとに実施可能である。通知制御部F6は、自車両がゲート領域を退出した場合には(S107 YES)、アイズオン要求を終了する(S108)。アイズオン要求の終了は、例えばアイズオンアイコンIm1の表示を解除に相当する。
【0109】
なお、以上では、ゲート前領域を走行中もアイズオン要求を実施する態様について述べたがこれに限らない。ゲート前領域におけるアイズオン要求は省略されてもよい。逆に、通知制御部F6は、ゲート前領域ではアイズオン要求を実施する一方、ゲート通過後はアイズオン要求を省略してもよい。通知制御部F6は、ゲートを通過したタイミング又はゲートに進入したタイミングで、アイズオン要求を終了してもよい。
【0110】
また、ゲート通過前とゲート通過後とで、アイズオン要求の強度を変更することも任意の制御である。通知制御部F6は、ゲート通過後もゲート通過前と同様の態様でアイズオン要求を実施しても良い。
【0111】
なお、自動運転ECU30がレベル3モード(つまり自動運転モード)である限り、ドライバのアイズオンは任意の要素であって必須ではない。自動運転中も念のための任意要素として上記通知制御部F6がドライバのアイズオンを要求することにより、安全性が一層高まることが期待できる。また、レベル3モード中においてもゲート接近に伴ってアイズオン要求を実施しておくことにより、レベル3モードからハンズオンレベル2モードへ移行する必要が生じた場合にも、運転操作の引き継ぎがスムーズとなりうる。
【0112】
<アイズオン要求の実施条件の補足>
通知制御部F6は、自車両がゲート領域を自動運転で走行中、
図8に示すように周辺車両がいるか否かに応じてアイズオン要求を実施するか否かを変更しても良い。
図8に示すステップS201は周辺車両が存在するか否かを判定するステップである。ここでの周辺車両は、自車両から所定距離(例えば100m)以内に存在する他車両である。また、周辺車両は、環境認識部F2等で算出されているTTCが所定値(例えば5秒)未満である他車両に限定されても良い。周辺車両の有無は、環境認識部F2の認識結果、ひいては周辺監視センサ11の検出結果又は外部装置からの受信データに基づいて判断可能である。
【0113】
通知制御部F6は、周辺車両が存在する場合(S201 YES)、ステップS202においてアイズオン要求を実施する。一方、通知制御部F6は、周辺車両が存在しない場合(S201 NO)、アイズオン要求を省略/延期することを決定する(S203)。なお
図8に示すフローチャートは、ゲート領域をレベル3モードで走行中、アイズオン要求を実行するまで定期的に実行されて良い。
【0114】
また、通知制御部F6は、
図9に示すように周辺車両がいるか否かに応じてアイズオン要求の通知態様(強度)を変更しても良い。例えば通知制御部F6は、周辺車両が存在する場合には(S211 YES)、目立つ態様にてアイズオン要求を実施する(S212)。一方、通知制御部F6は、周辺車両が存在しない場合には(S211 NO)、控えめな態様にてアイズオン要求を実施する(S213)。
【0115】
図8、
図9に示す制御例によればドライバに煩わしさを与える恐れを低減しつつ、安全性を高めることができる。
【0116】
なお、ステップS201の判定処理は、衝突リスクが所定値以上の他車両が存在するか否かの判定処理に置き換えられても良い。通知制御部F6は、ゲート領域を走行中において、衝突リスクが所定値以上である他車両が存在する場合にアイズオン要求を実施する一方、衝突リスクが所定値以上である他車両が存在しない場合にはアイズオン要求を省略するように構成されていても良い。ステップS201の判定処理は、先行車が存在するか否かの判定処理に置き換えられても良い。ステップS201の判定処理は、自車両の斜め前方に他車両が存在するか否か、換言すれば、自車両の前に割り込んでくる可能性がある他車両が存在するか否かの判定処理に置き換えられても良い。
【0117】
ステップS211の判定処理も、衝突リスクが所定値以上の他車両が存在するか否か、先行車が存在するか否か、又は、自車両の斜め前方に他車両が存在するか否かの判定処理に置き換えられても良い。アイズオン要求を実施する条件であるアイズオン要求条件は、ゲート領域を走行中であることに加えて、上記のサブ条件を含んでいても良い。上記のサブ条件とは、周辺車両が存在すること、衝突リスクが所定値以上の他車両が存在すること、先行車が存在すること、自車両の前に割り込んでくる可能性がある他車両が存在することなどを指す。
【0118】
アイズオン要求を目立つ態様で実施する条件である強め要求条件も同様に、ゲート領域を走行中であることに加えて、上記サブ条件の何れかを含んでいても良い。逆に、通知制御部F6は、アイズオン要求を控えめな態様で実施する条件である控えめ要求条件が充足している場合には、通常時よりも控えめな態様でアイズオン要求を実施するように構成されていても良い。控えめ要求条件は、周辺車両が存在しないこと、衝突リスクが所定値以上の他車両が存在しないこと、先行車が存在しないこと、及び、自車両の前に割り込んでくる可能性がある他車両が存在しないことの何れかであってよい。
【0119】
また、通知制御部F6は、
図10に示すように目標ゲートの精算方式に応じて、アイズオン要求を実施するか否かを変更しても良い。
図10に示すステップS301は、目標ゲートが手動精算方式に対応しているか否かを判定するステップである。目標ゲートが対応している精算方式は、地図データ、又は前方車両の挙動、又は路側機からの受信データに基づいて特定可能である。通知制御部F6は、目標ゲートが手動精算方式に対応している場合にはアイズオン要求を実施する(S302)。一方、通知制御部F6は、目標ゲートが手動精算方式に対応していない場合、換言すれば目標ゲートは自動精算方式のみ実施可能なゲートである場合にはアイズオン要求を省略する(S303)。
【0120】
手動精算方式に対応しているゲートでは、先行車がゲート手前で急減速/急停止する可能性がある。そのような可能性に対し、自車両が手動精算方式に対応しているゲートを通過予定である場合にはアイズオン要求を実施しておくことにより、先行車の挙動に応じてドライバの判断によってブレーキ等の回避操作が実行されやすくなる。
【0121】
もちろんステップS302~S303の内容は、ステップS212~S213に置き換え可能である。すなわち、通知制御部F6は、目標ゲートが手動精算方式に対応していない場合には、手動精算方式に対応している場合に比べて、控えめな態様でアイズオン要求を実施するよう構成されていても良い。
【0122】
通知制御部F6は、ゲート領域を走行する際の動作モードがハンズオフ可能モードであるか否かに応じてアイズオン要求を実施するか否かを切り替えても良い。ハンズオフ可能モードは、車両が実質的に自動で走行する動作モードのうち、ドライバのハンズオフが許容されるモードである。ハンズオフ可能モードには、レベル3モード及びハンズオフレベル2モードが含まれる。
【0123】
図11は当該技術的思想に基づく通知制御部F6の作動の一例を表したものである。すなわち、通知制御部F6は、ステップS401として、ゲート領域を走行中、現在の動作モード(以降、現行モード)が、ハンズオフ可能モードであるか否かを判定する。当該ステップS401はゲート領域を走行中、定期的に実行されても良い。ステップS401はゲート領域に進入したときや、ゲートを通過した時、周辺車両を検出した時、など所定のイベント時にのみ実行されても良い。
【0124】
通知制御部F6は、ゲート領域を走行中、現行モードがハンズオフ可能モードである場合(S401 YES)、アイズオン要求を実施する(S402)。一方、通知制御部F6は、ゲート領域を走行中、現行モードがハンズオフ可能モードではない場合(S401 NO)、アイズオン要求を省略する。ハンズオフ可能モードではない動作モードは、ハンズオフ禁止モード、或いはハンズオン必要モードと言い換え可能である。ハンズオンレベル2モードがハンズオフ禁止モードに相当する。
【0125】
ハンズオフ禁止モードは、もともとドライバがアイズオンしていることが前提の動作モードであるため、現行モードがハンズオフ禁止モードである場合、アイズオン要求は、ドライバにとって不要な通知に相当する。現行モードがハンズオフ禁止モードである場合には、アイズオン要求を省略することによりドライバに煩わしさを与える恐れを低減できる。
【0126】
なお、ハンズオフレベル2モードのときも、原則、ドライバはアイズオンしているはずである。しかしながら、ハンズオフレベル2モード時にはハンズオンレベル2モード時に比べて運転操作に対するドライバの関わり度合いが低い。そのため、ハンズオフレベル2モード時にはハンズオンレベル2モード時に比べてドライバの注意が散漫となっている可能性がある。ハンズオフレベル2モード時には、アイズオン要求を改めて実施することにより、ドライバの注意を促す効果が期待できる。
【0127】
なお、ステップS402~S403は、ステップS212~S213に置き換え可能である。すなわち、通知制御部F6は、現行モードがハンズオフ禁止のモードである場合には、ハンズオフ可能モードである場合に比べて、控えめな態様でアイズオン要求を実施するよう構成されていても良い。
【0128】
通知制御部F6は、
図12に示すようにゲート通過後に進路変更を予定しているか否かに応じてアイズオン要求をするか否かを切り替えても良い。通知制御部F6は、ゲート通過後に進路変更を予定している場合(S501 YES)、アイズオン要求を実施する(S502)。一方、通知制御部F6は、ゲート通過後に進路変更を実施する計画が作成されていない場合には(S501 NO)、アイズオン要求を省略する。
【0129】
ここでの進路変更とは、横方向への移動である。進路変更には、車線変更の他、無車線区間において道路延伸方向に対して斜めに走行することも含まれる。ゲート通過後の車線変更には、ゲート後領域における車線変更が含まれる。
【0130】
ゲート後領域は、前述の通り、ゲート前領域に比べて車両の軌道が交差しやすいため、周辺監視の必要性が高まる。一方で、ゲート通過後において進路変更が計画されていない場合には、周辺監視の必要性は低下しうる。上記構成に依ればドライバに煩わしさを与える恐れを低減しつつ、安全性を高めることが可能となる。
【0131】
なお、ステップS502~S503もまた、ステップS212~S213に置き換え可能である。すなわち、通知制御部F6は、ゲート通過後の進路変更が予定されていない場合には、ゲート通過後の進路変更が予定されている場合に比べて、控えめな態様でアイズオン要求を実施するよう構成されていても良い。また、通知制御部F6は、ゲート前領域で進路変更を予定しているか否かに応じてアイズオン要求をするか否かを切り替えてもよい。ステップS501は、ゲート前領域で進路変更を予定しているか否かを判定するステップであってもよい。
【0132】
通知制御部F6は、ゲート後方に分岐路があるか否かに応じてアイズオン要求をするか否かを切り替えても良い。通知制御部F6は、ゲート後方に分岐路がある場合、アイズオン要求を実施する一方、ゲート後方に分岐路がない場合にはアイズオン要求の実施を省略してもよい。ゲート後方に分岐路がある場合とは、ゲートの後方所定距離(例えば100m)以内に分岐点がある場合である。ゲート付近に分岐路がない場合には、ゲート付近に分岐路がある場合に比べて車両同士の軌道は交差しにくい。上記構成に依れば不要なアイズオン要求を低減できる。
【0133】
通知制御部F6は、ゲート後方において道路幅が縮小するか否かに応じてアイズオン要求をするか否かを切り替えても良い。通知制御部F6は、ゲート後方において道路幅が縮小する場合、アイズオン要求を実施する一方、ゲート後方において道路幅が縮小しない場合には、アイズオン要求の実施を省略してもよい。ゲート後方において道路幅が縮小する場合とは、ゲートの数よりもゲート後方にある道路の車線数が少ない場合に相当する。ゲート通過後に車線数が減少する場合には合流/割り込みが発生しやすく、他車両の挙動がより複雑となりうる。上記構成によれば、ゲート通過直後における他車両との異常接近/接触のリスクを低減しつつ、不必要なアイズオン要求を低減できる。なお、分岐路の有無や道路幅の現象といった、ゲート後方における道路構造は地図データや前方車両の軌道データに基づいて特定可能である。
【0134】
<ゲート案内画像の表示制御について>
通知制御部F6は、ゲート領域進入時の動作モードが、ハンズオフ可能モードであるか否かに応じて、ゲート案内画像Im2の表示態様を変更しても良い。例えば通知制御部F6は、
図13に示すように、ゲート領域進入時の動作モードがハンズオフ可能モードである場合(S601 YES)、目標ゲートの部分が強調されたゲート案内画像Im2を表示する(S602)。一方、通知制御部F6は、ゲート領域進入時の動作モードがハンズオフ可能モードではない場合(S601 NO)、通常のゲート案内画像Im2を表示する。
【0135】
目標ゲートの部分が強調されたゲート案内画像Im2とは、例えば、画像において目標ゲートの部分を点滅させたり、枠で囲ったりした画像である。通常のゲート案内画像Im2とは、ハンズオフ可能モード時に適用する装飾/加工が施されていないゲート案内画像Im2である。
【0136】
ハンズオフ可能モード時には操舵をシステムに任せているため、ハンズオンが必要な動作モード適用時に比べてドライバは自車両が通過しようとしているゲートに関心が薄まりうる。ハンズオフ可能モード時には、ドライバにとって最適と思われるゲートとは異なるゲートをシステムが目標ゲートに設定していても、ドライバはそのことに気が付きにくい。その結果として、ハンズオフ可能モード時にはゲート直前でのオーバーライド等が生じる可能性が生じうる。そのような課題に対し、上記の構成によればハンズオフ可能な動作モードにおいてもドライバは目標ゲート位置を認識しやすくなる。
【0137】
なお、通知制御部F6は、ゲート領域進入時においてハンズオフ可能モードが採用されている場合には、ゲート案内画像Im2の代わりに、又は、ゲート案内画像Im2とともに、ゲート通過アイコンIm3をディスプレイ21に表示しても良い。
図14はゲート通過アイコンIm3の一例である。
【0138】
ゲート通過アイコンIm3は、例えば、自車両画像E4と、区画線画像E5と、ゲート画像E6と、を含む。自車両画像E4は自車両を表す画像要素である。区画線画像E5は、区画線を示す画像要素である。ゲート画像E6は、ゲートを表す画像要素である。ゲート画像E6は任意の要素であって省略されても良い。
【0139】
通知制御部F6は、ゲート前方に在る区画線またはゲートの端部をカメラ111等で認識できている場合には、区画線画像E5を緑色又は白色等で表したゲート通過アイコンIm3をディスプレイ21に表示する。当該構成によれば、ドライバはゲート通過アイコンIm3の表示状態に基づいて、ゲート内を自車両が通過できること、または、システムが正常にゲート内の通路位置を認識できていることを知ることができる。
【0140】
一方、通知制御部F6は、ゲート前方に在る区画線またはゲートの端部をカメラ111等で認識できていない場合には、区画線画像E5を灰色又は破線で表したゲート通過アイコンIm3をディスプレイ21に表示してよい。通知制御部F6は、ゲート前方に在る区画線またはゲートの端部をカメラ111等で認識できていない場合には、区画線画像E5の近くにクエスチョンマークを付加したゲート通過アイコンIm3を表示しても良い。これらの構成によれば、ドライバは、ゲート通過アイコンIm3の表示状態に基づいて、システムがまだゲート内の通路位置を認識できていないことを知ることができる。このようにゲート通過アイコンIm3は、ゲートに付随する区画線を認識できているか否かを示す画像である。ゲート通過アイコンIm3が通過画像に相当する。
【0141】
なお、通知制御部F6は、目標ゲートの正面に自車両が位置していることに基づいて、区画線画像E5を強調表示/明示するように構成されていても良い。通知制御部F6は、目標ゲートの正面に自車両が位置していない場合には区画線画像E5をグレーアウトするように構成されていても良い。
【0142】
また、通知制御部F6は、ゲート領域進入時に先行車に追従しているか否かに応じて、ゲート案内画像Im2の表示態様を変更しても良い。例えば通知制御部F6は、
図15に示すように、ゲート領域進入時に先行車に追従している場合(S701 YES)、軌道なしゲート案内画像Im2aを表示する(S702)。一方、通知制御部F6は、ゲート領域進入時に先行車に追従していない場合(S701 NO)、通常のゲート案内画像Im2を表示する(S703)。
【0143】
軌道なしゲート案内画像Im2aは、
図16に示すように軌道画像E2を含まないゲート案内画像である。通常のゲート案内画像Im2は
図6、
図7に例示するように自車両の軌道を示す画像要素を含む画像である。通常のゲート案内画像Im2は軌道ありゲート案内画像あるいは軌道案内画像と言い換えることができる。
【0144】
ここでの先行車に追従している状態とは、先行車追従制御の機能が有効化されてあって且つ実際に先行車を認識している状態を意図している。先行車を追従している場合には、先行車を追従していない場合に比べて自車両の軌道をドライバに通知する必要性が小さい。ドライバにとって有用性が低い情報の提示を省略することにより、ドライバに煩わしさを与える恐れを低減できる。また、逆に先行車を追従していない場合には、自車両の走行予定軌道を表示することにより、ドライバに安心感を与えることができる。
【0145】
なお、上記におけるゲート領域進入時との記載は、ゲート地点までの残り距離が所定値未満となったタイミングと解されても良い。また、ゲート領域に進入してから所定距離走行したタイミングなど、ゲート前領域を走行しているシーンをゲート領域進入時に含めることができる。
【0146】
<地図を用いたゲート領域への進入判定>
地図データは、ノードデータとリンクデータを備えうる。ノードデータは、複数の道路上の特徴点(ノード)についてのデータである。例えば、道路が交差、合流、分岐する地点、車線が増減する地点、ゲート地点などがノードに設定される。リンクデータは、ノード間を結ぶ道路区間(リンク)についてのデータである。リンクデータは、リンクを特定する固有番号であるリンクID、リンクの長さを示すリンク長、リンク方向、リンクの形状情報、リンクの始端と終端とのノード座標又はノード番号、及び道路属性などについてのデータを含む。ノードデータは、ノード毎に固有の番号であるノードID、ノードの位置座標、名称、種別、ノードに接続するリンクのリンクID等のデータを含む。
【0147】
このようなノードデータは、当該ノードに関連する領域の道路形状を示すノード内地図データを含んでいても良い。ノード内地図データは、ノードを基準とする一定範囲内の部分地図データに相当する。
【0148】
地図記憶部14に保存されている地図データが、上記のようにノード内地図データを有する場合、プロセッサ31は、ゲート地点に紐づくノード内地図データが示す範囲内に自車両が入ったことに基づいて、ステップS103以降の種々の処理を実施しても良い。換言すれば、ゲート領域に自車両が進入した場合は、ゲート地点に紐づくノード内地図データが示す範囲内に自車両が入った場合も含まれる。ゲート領域は、ゲート地点に紐づくノード内地図データが示す範囲であってもよい。また、ノードごとに範囲を示すデータが付与されている場合には、当該範囲がゲート領域に相当しうる。
【0149】
<動作モードの制御例>
プロセッサ31は
図17に示すように、ゲート通過する際もレベル3モードを維持し続けてよい。その場合、プロセッサ31は、レベル3モードを維持しつつも、状況に応じてドライバに向けてアイズオンを依頼してもよい。また、プロセッサ31は周辺車両がいるか否かなどの交通状況及び道路構造の複雑さに応じて、TOR予告を実施しても良い。当該構成によれば、ドライバがシステムにとっての運転操作のパートナー/助手として振る舞い、より安全性が高まりうる。また、事前にアイズオン等をドライバに依頼しておくことにより、実際にシステムからドライバへの運転交代が必要となった場合においてもスムーズにドライバが運転操作を引き継ぎ可能となるといった利点も有する。なお、プロセッサ31は、ゲート領域を走行中、周辺車両がいるか否かなどの交通状況に応じてレベル3モードからハンズオンレベル2モード又はハンズオフレベル2モードに移行しても良い。
【0150】
また、プロセッサ31は、ゲート領域に進入後、
図18に示すように所定のタイミングで一時的にレベル3モードからレベル2モードに移行するように構成されていても良い。プロセッサ31はゲート地点に対する自車両の位置に応じて、動作モードを自動的に変更しても良い。
図18では、プロセッサ31がゲート前領域に進入した時点ではレベル3モードを維持する一方、ゲート地点までの残り距離が所定値(例えば100m)未満となる区間ではハンズオンレベル2モードに移行するパターンを例示している。また
図17では、ゲートを通過するタイミングでハンズオフレベル2モードに移行し、さらに、ゲート領域を退出するタイミングでレベル3モードに移行するパターンを示している。通常領域は、ゲート前領域でもゲート後領域でもない領域を指す。
【0151】
ゲート前領域内でハンズオンレベル2モードに移るタイミングは、アイズオン要求を実施してから所定秒(例えば5秒)経過したタイミングであっても良い。ゲート直前の領域もまた、目標ゲートに向けて車両同士の横移動(進路変更)が活発となりうる。ゲート前領域をハンズオンレベル2モードに移行することにより、目標ゲートに向けた進路変更をドライバ責任で実施可能となる。また、ゲート前領域をハンズオンレベル2モードに移行することにより、ドライバが任意のゲートを目標ゲートとして選択しやすくなる。
【0152】
なお、ゲート前領域内でハンズオンレベル2モードに移行するようプログラムされている場合、通知制御部F6はゲート領域に入ったことに基づいて強めの態様でアイズオン要求を実施することが好ましい。当該構成によれば、ドライバの状態をハンズオンレベル2モードに適した状態へとより強く導くことができる。また、レベル3モードからハンズオンレベル2モードへ移行する際に、ハンズオンとアイズオンを同時に実施するのではなく、ハンズオンよりも先にアイズオンを依頼する事によって、動作モードの移行にかかるドライバの負荷を低減する効果も期待できる。
【0153】
もちろん、ゲート通過にかかる動作モードの制御例はこれに限らない。
図19に示すようにプロセッサ31は、ゲート地点までの残り距離が所定値未満となったタイミングでハンズオフレベル2モードに移行し、さらに、ゲートを通過するタイミングでハンズオンレベル2モードに移行してもよい。ゲート通過後は、分岐路や道路幅縮小に伴って、車両同士の進路が交差しやすい。ゲート後領域をドライバのハンズオンが必要な動作モードとすることで、他車両の強引な割り込みや異常接近に対して柔軟に対処可能となりうる。
【0154】
<通知内容の変形例>
上記のアイズオン要求は、TOR予告に置き換えて実施されても良い。すなわち、通知制御部F6は、自車両がゲート領域に入ったことに基づいて、TOR予告を実施しても良い。TOR予告もまた、実質的に、ドライバに周辺状況の確認を促す作用を有するためだえる。換言すればTOR予告は、アイズオン要求の一種と解することができる。
【0155】
<その他の変形例>
通知制御部F6は、ゲート領域に進入したことに基づいて、警戒対象画像をディスプレイ21に表示しても良い。警戒対象画像は、衝突リスクが所定値以上である他車両である警戒対象を示す画像である。警戒対象画像は、警戒対象が存在する方向を表す画像であってよい。警戒対象画像は、警戒対象の特徴、例えば色や大きさ、車種についての情報を含んでいても良い。警戒対象画像は、例えば自車両に存在する他車両を表した俯瞰画像において、警戒対象を他の車両とは異なる色で表した画像であってよい。
【0156】
警戒対象画像を表示することにより、ドライバはシステムがゲート付近において注意を払っている車両を認識可能となる。警戒対象画像と合わせてアイズオン要求を実施することにより、システムの判断とドライバの感覚とをすり合わせることが可能となる。その結果、ドライバがシステムを信頼しやすくなるといった効果が期待できる。通知制御部F6は、警戒対象以外に危険な他車両がないか(つまり見落としがないか)の確認をドライバに依頼するメッセージを出力しても良い。
【0157】
上記の技術的思想は、本来はアイズオンが不要な状況において、ドライバにアイズオンを要求しておくことにより、いざという時に備えるものである。このような思想は、自動化レベルが1段階低いハンズオフレベル2モードにも援用可能である。本来はハンズオンが不要な動作モードが適用されている状況において、ドライバに控えめにハンズオンの実行又はハンズオンのスタンバイを要求してもよい。通知制御部F6は、ハンズオフレベル2モードでゲート領域に進入したことに基づいて、ハンズオン要求を出力しても良い。通知制御部F6は、ハンズオフレベル2モード時においては、上記のアイズオン要求のハンズオン要求に置き換えて上記の種々の制御を実施してよい。
【0158】
<システム構成について>
通知制御部F6は、自動運転ECU30の外部に配置されていても良い。例えば通知制御部F6は、HCUなどの他のコンピュータが備えていても良い。
【0159】
<本開示が適用可能な車両について>
上記の実施形態は、道路上を走行する多様な車両に適用可能である。本開示は、四輪自動車のほか、二輪自動車、三輪自動車等、道路上を走行可能な多様な車両に搭載可能である。原動機付き自転車も二輪自動車に含めることができる。自車両は電動車でもよいし、エンジン車であってもよい。電動車には、電気自動車のみならず、プラグインハイブリッド車や、ハイブリッド車、燃料電池車を含めることができる。本開示のシステム/装置/方法等が適用される車両は、個人によって所有されるオーナーカーであってもよいし、サービスカーであってもよい。サービスカーとは、例えば、カーシェアリングサービスや車両貸し出しサービスに供される車両を指す。サービスカーには、タクシーや路線バス、乗り合いバスなどが含まれる。
【0160】
<付言(1)>
この明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。また、以下に列挙する技術的思想に対応する車両制御方法及びコンピュータプログラムも本開示の範囲に含まれる。
【0161】
[技術的思想1]
自動運転制御を実施可能に構成された車両で使用される通知制御装置であって、
前記車両が前記自動運転制御で走行中か否かを示すデータを取得することと、
有料道路において複数のゲートが設けられている地点であるゲート地点についての情報を取得することと、
前記車両が前記ゲート地点を基準として定まるゲート領域に進入したか否かを判定することと、
前記自動運転制御にて前記車両が前記ゲート領域に進入したことに基づいて、ドライバに対し、周辺の交通状況を確認するように促す通知を行うことと、を実行する通知制御装置。
【0162】
[技術的思想2]
前記通知を、前記ゲートを通過するまで継続するとともに、前記ゲートを通過したことに基づいて終了する、技術的思想1に記載の通知制御装置。
【0163】
[技術的思想3]
前記通知を、前記ゲート領域を退出するまで継続する、技術的思想1又は2に記載の通知制御装置。
【0164】
[技術的思想4]
前記車両の周辺に存在する他車両のデータを取得し、
前記車両の周辺に前記他車両が存在しない場合には前記通知を中止する、技術的思想1から3の何れか1つに記載の通知制御装置。
【0165】
[技術的思想5]
前記車両の周辺に存在する他車両のデータを取得し、
前記車両の周辺に前記他車両が存在しない場合には、前記車両の周辺に前記他車両が存在する場合に比べて、前記通知の強度を弱める、技術的思想1から3の何れか1つに記載の通知制御装置。
【0166】
[技術的思想6]
前記車両が通過するゲートである目標ゲートの精算方式を示すデータを取得し、
前記目標ゲートが手動精算可能なゲートである場合には前記通知を実行する一方、前記目標ゲートが手動精算不能なゲートである場合には前記通知を省略する、技術的思想1から5の何れか1つに記載の通知制御装置。
【0167】
[技術的思想7]
ドライバがステアリングホイールを保持する義務がある前記自動運転制御を実施するハンズオフ禁止モードと、ドライバが前記ステアリングホイールを保持する義務がない前記自動運転制御を行うハンズオフ可能モードを選択的に実施可能に構成された前記車両で使用される、技術的思想1から6の何れか1つに記載の通知制御装置であって、
前記ハンズオフ禁止モードで前記ゲート領域を走行する場合と、前記ハンズオフ可能モードで前記ゲート領域を走行する場合とで、前記通知の態様を変更する通知制御装置。
【0168】
[技術的思想8]
前記ハンズオフ可能モードで前記ゲート領域を走行する場合は、前記ハンズオフ禁止モードで前記ゲート領域を走行する場合よりも、前記通知の強度を強める技術的思想7に記載の通知制御装置。
【0169】
[技術的思想9]
前記ハンズオフ可能モードで前記ゲート領域を走行する場合には、前記ゲートに付随する区画線を認識できていることを示すゲート認識状態通知画像を表示する一方、
前記ハンズオフ禁止モードで前記ゲート領域を走行する場合には、前記ゲート認識状態通知画像は表示しない技術的思想7又は8に記載の通知制御装置。
【0170】
[技術的思想10]
前記ゲートを通過後に進路変更を実施するか否かを示すデータを取得し、
前記ゲートを通過後に進路変更を実施することが予定されている場合に、前記通知を実施する一方、
前記ゲートを通過後に進路変更を実施することが予定されていない場合には、前記通知を省略するか、又は、前記ゲートを通過後に進路変更を実施することが予定されている場合に比べて前記通知の強度を弱める、技術的思想1から9の何れか1つに記載の通知制御装置。
【0171】
[技術的思想11]
先行車に追従しているか否かを示すデータを取得することと、
前記ゲート領域において前記先行車に追従していない場合には、前記ゲート領域の画像に前記車両の軌道を示す画像要素を重畳させた画像をディスプレイに表示することと、前記ゲート領域において前記先行車に追従していない場合には、前記車両の軌道を示す画像要素を含まない前記ゲート領域の画像をディスプレイに表示することと、を実施する技術的思想1から10の何れか1つに記載の通知制御装置。
【0172】
[技術的思想12]
前記ゲートを通過するまでの前記車両の軌道を示す軌道画像をディスプレイに表示する、技術的思想1から11の何れか1つに記載の通知制御装置であって、
前記ゲートと重なる位置には前記軌道画像は表示しない、通知制御装置。
【0173】
[技術的思想13]
前記ゲート地点を通過する前と前記ゲート地点を通過した後とで前記通知の態様を変える技術的思想3に記載の通知制御装置。
【0174】
なお、上記の通知制御装置は、車両が自動運転制御で走行中か否かを示すデータに関しては、自動運転制御を実施するための構成である自動運転部(Fn)から取得してよい。また、当該通知制御装置は、有料道路において複数のゲートが設けられている地点であるゲート地点についての情報に関しては、周辺監視センサの出力信号、外部装置から受信した無線信号、又は地図データから取得してよい。車両がゲート地点を基準として定まるゲート領域に進入したか否かの判定も、周辺監視センサの出力信号、外部装置から受信した無線信号、又は地図データに基づいて実施されて良い。
【0175】
<付言(2)>
本開示に示す種々のフローチャートは何れも一例であって、フローチャートを構成するステップの数や、処理の実行順は適宜変更可能である。本開示に示す種々の処理フローは、他の処理と並列的に、又は、組み合わせて、又は部分的に置き換えて実施されてよい。なお、本開示におけるゲート地点までの残り距離が所定値未満となった場合に相当する表現は、ゲート領域に自車両が進入した場合、と置き換えられてもよい。例えばステップS102は、ゲート領域に自車両が進入したか否かを判定するステップであっても良い。
【0176】
また、本開示に記載の装置、システム、並びにそれらの手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。例えばプロセッサ31が備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。プロセッサ(演算コア)としては、CPUや、MPU、GPU、DFP(Data Flow Processor)などを採用可能である。プロセッサ31が備える機能の一部又は全部は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)、IC(Integrated Circuit)、及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)の何れかを用いて実現されていてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に記憶されていればよい。プログラムの記録媒体としては、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を採用可能である。コンピュータをプロセッサ31として機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体等の形態も本開示の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0177】
11 周辺監視センサ、14 地図記憶部、15 無線通信機、18 対外表示装置、21 ディスプレイ、22 スピーカ、30 自動運転ECU、31 プロセッサ、32 メモリ、F1 情報取得部、F2 環境認識部、F21 ゲート認識部、F22 周辺車両認識部、F3 モード制御部、F4 計画部、F5 車両制御部、F51 ACCシステム、F6 通知制御部、Fn 自動運転部、Sys 自動運転システム