(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000830
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ガス絶縁開閉装置および受変電設備
(51)【国際特許分類】
H02B 13/035 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H02B13/035 311A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099772
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】劉 安宣
(72)【発明者】
【氏名】堀越 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉原 淳
(72)【発明者】
【氏名】砂川 寛
(72)【発明者】
【氏名】須田 義規
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017AA01
5G017BB20
5G017JJ01
(57)【要約】
【課題】変圧器をガス絶縁開閉装置と近接して配置する。
【解決手段】ガス絶縁開閉装置(101)は、受電側母線および変圧器側母線を有する母線室(2)と、母線室(2)の下に配置され、変圧器側母線と変圧器の一次側との間を開閉する変圧器ユニット(3)と、変圧器ユニット(3)の側方に配置され、変圧器ユニット(3)と変圧器とを接続する接続ユニット(4)と、母線室(2)の上と接続ユニット(4)の上方とに配置され、受電側母線と線路との間を開閉する受電ユニット(1)と、を備える。受電ユニット(1)は、接続ユニット(4)の上方における第1ユニット(11)の側面の変圧器と対向しない位置に配置された、線路を引き込む引き込み管(20c,20d)を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電側母線および変圧器側母線を有する母線室と、
前記母線室の下に配置され、前記変圧器側母線と変圧器の一次側との間を開閉する変圧器ユニットと、
前記変圧器ユニットの側方に配置され、前記変圧器ユニットと前記変圧器とを接続する接続ユニットと、
前記母線室の上と前記接続ユニットの上方とに配置され、前記受電側母線と線路との間を開閉する受電ユニットと、を備え、
前記受電ユニットは、前記線路を引き込む引き込み部を有し、
前記引き込み部は、前記接続ユニットの上方における前記受電ユニットの側面の前記変圧器と対向しない位置に配置されていることを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
前記引き込み部は、前記変圧器が前記受電ユニットに対して配置される方向と垂直な方向に向くように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
前記引き込み部は、前記線路がケーブルヘッドを介して引き込まれるケーブルである場合と、前記線路がブッシングを介して引き込まれる架空線である場合とで共用可能な構造を有していることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
前記母線室、前記受電ユニット、前記変圧器ユニットおよび前記接続ユニットは、それぞれの外郭を形成する容器を個別に有し、各容器の内部に絶縁性ガスが封入されており、
前記受電ユニットの外郭を形成する前記容器は複数の分割容器に分割されていることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項5】
前記分割容器は、第1容器および第2容器であり、
前記第1容器は、前記母線室の上に配置され、
前記第2容器は、前記接続ユニットの上方に配置され、
前記引き込み部は、前記第2容器の側面に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置と、
当該ガス絶縁開閉装置の前記変圧器ユニットに接続される前記変圧器と、
前記受電側母線および前記変圧器側母線に接続される電力需給用計器用変成器と、を備えていることを特徴とする受変電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁開閉装置および当該ガス絶縁開閉構成を備える受変電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、施設、ビルなどには、受変電設備が設けられている。このような受変電設備においては、小型で設置面積が小さいガス絶縁開閉装置が好適に用いられる。例えば、特許文献1には、下から変圧器ユニットと、母線室と、受電ユニットとを積み上げることにより小型化された構成のガス絶縁開閉装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のガス絶縁開閉装置では、受電ユニットを収納する受電ユニット容器に設けられた引き込み部が、変圧器ユニットに接続される変圧器が配置される側に配置されている。このため、受電ユニット容器と変圧器との間に、引き込み部に接続される受電ブッシングを配置するための空間を確保する必要がある。それゆえ、ガス絶縁開閉装置と変圧器との間隔を広く確保しなければならず、ガス絶縁開閉装置および変圧器を含む受変電設備の設置面積が大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、変圧器をガス絶縁開閉装置と近接して配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るガス絶縁開閉装置は、受電側母線および変圧器側母線を有する母線室と、前記母線室の下に配置され、前記変圧器側母線と変圧器の一次側との間を開閉する変圧器ユニットと、前記変圧器ユニットの側方に配置され、前記変圧器ユニットと前記変圧器とを接続する接続ユニットと、前記母線室の上と前記接続ユニットの上方とに配置され、前記受電側母線と線路との間を開閉する受電ユニットと、を備え、前記受電ユニットは、前記線路を引き込む引き込み部を有し、前記引き込み部は、前記接続ユニットの上方における前記受電ユニットの側面の前記変圧器と対向しない位置に配置されている。
【0007】
上記の構成によれば、ガス絶縁開閉装置への変圧器の接続に、引き込み部が障害となることがない。これにより、変圧器をガス絶縁開閉装置に近接して配置することができる。
【0008】
前記ガス絶縁開閉装置において、前記引き込み部は、前記変圧器が前記受電ユニットに対して配置される方向と垂直な方向に向くように配置されていてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、受電ユニットの側面において対向する位置に引き込み部を配置することができる。これにより、ガス絶縁開閉装置の使用状況に応じて、引き込み部を適宜選択して使用することができる。
【0010】
前記ガス絶縁開閉装置において、前記引き込み部は、前記線路がケーブルヘッドを介して引き込まれるケーブルである場合と、前記線路がブッシングを介して引き込まれる架空線である場合とで共用可能な構造を有していてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、線路の引き込み形態が相違しても、同じ構造を有する引き込み部を用いることができる。これにより、引き込み形態に応じて受電ユニットおよび変圧器ユニットの配置位置を異ならせる必要がない。それゆえ、ケーブル引き込みの場合とブッシング引き込みの場合とで、受電ユニットを構成する機器と変圧器ユニットを構成する機器とを共通化することができる。したがって、引き込み形態に関わらず、受電ユニット1および変圧器ユニット3を同じ位置に配置することができる。よって、引き込み形態が異なるガス絶縁開閉装置の設計、製造工程等を共通化することができる。
【0012】
前記ガス絶縁開閉装置において、前記母線室、前記受電ユニット、前記変圧器ユニットおよび前記接続ユニットは、それぞれの外郭を形成する容器を個別に有し、各容器の内部に絶縁性ガスが封入されており、前記受電ユニットの外郭を形成する前記容器は複数の分割容器に分割されていてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、受電ユニットを構成する機器を機能に応じて分割された容器に個別に配置することができる。これにより、機器間の絶縁距離を十分確保することができる。したがって、絶縁性能および環境負荷がともに低い絶縁性ガスを用いることができる。
【0014】
前記ガス絶縁開閉装置において、前記分割容器は、第1容器および第2容器であり、前記第1容器は、前記母線室の上に配置され、前記第2容器は、前記接続ユニットの上方に配置され、前記引き込み部は、前記第2容器の側面に配置されていてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、接続ユニットの上方の空間を引き込み部による線路の引き込みに利用することができる。これにより、ガス絶縁開閉装置が設置される限られた空間を有効に利用することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る受変電設備は、前記ガス絶縁開閉装置のいずれか1つと、当該ガス絶縁開閉装置の前記変圧器ユニットに接続される前記変圧器と、前記受電側母線および前記変圧器側母線に接続される電力需給用計器用変成器と、を備えている。
【0017】
上記の構成によれば、変圧器をガス絶縁開閉装置と近接して配置することができる。これにより、受変電設備の設置面積を縮小することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、変圧器をガス絶縁開閉装置と近接して配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1に係るガス絶縁開閉装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】上記ガス絶縁開閉装置の外観構成を示す側面図である。
【
図3】上記ガス絶縁開閉装置の回路構成を示す単線結線図である。
【
図4】上記ガス絶縁開閉装置を含む受変電設備の外観構成を示す側面図である。
【
図5】上記受変電設備の外観構成を示す平面図である。
【
図6】実施形態1の変形例に係る上記ガス絶縁開閉装置の外観構成を示す側面図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係るガス絶縁開閉装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図8】実施形態2の変形例に係るガス絶縁開閉装置の外観構成を示す側面図である。
【
図9】実施形態2のガス絶縁開閉装置の回路構成を示す単線結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0021】
図1は、実施形態1に係るガス絶縁開閉装置101の外観構成を示す斜視図である。
図2は、ガス絶縁開閉装置101の外観構成を示す側面図である。
図3は、ガス絶縁開閉装置101の回路構成を示す単線結線図である。
図4は、ガス絶縁開閉装置101を含む受変電設備300の外観構成を示す側面図である。
図5は、受変電設備300の外観構成を示す平面図である。
図6は、実施形態1の変形例に係るガス絶縁開閉装置101の外観構成を示す側面図である。
【0022】
図1~
図3に示すように、ガス絶縁開閉装置101は、変流器CTと、ケーブルヘッドCHDと、受電ユニット1と、母線室2と、変圧器ユニット3と、接続ユニット4とを、主要部として備えている。受電ユニット1は、第1ユニット11および第2ユニット12を有している。変流器CTは、線路Lに流れる電流を計測する。ケーブルヘッドCHDには、線路Lのケーブルの端部が接続される。
【0023】
第2ユニット12、母線室2および変圧器ユニット3は、上下方向に積み上げられるように配置されている。具体的には、変圧器ユニット3が母線室2の下(直下)に配置され、第2ユニット12が母線室2の上(直上)に配置されている。接続ユニット4は、変圧器ユニット3の側方に配置されている。第1ユニット11は、接続ユニット4の上方に配置されている。
【0024】
図1および
図2に示すように、ガス絶縁開閉装置101は、操作箱70と、ケーブル箱80(
図1では省略)と、支持枠90と、基台100(
図1では省略)とを備えている。
【0025】
操作箱70は、第2ユニット12、母線室2および変圧器ユニット3に配置された開閉器および断路器を操作するための操作器が収容されている。操作箱70は、当該操作器の操作を行うために、ガス絶縁開閉装置101の前面側に配置されており、前面に開閉可能な扉を有している。ケーブル箱80は、線路Lとともに、変流器CTおよびケーブルヘッドCHDを収容する箱であり、図示はしないが、前面に開閉可能な扉が設けられている。
【0026】
支持枠90は、受電ユニット1、母線室2、変圧器ユニット3、接続ユニット4および操作箱70を支持する枠体である。基台100は、変圧器200に接続されるガス絶縁開閉装置101の高さを調整するための台である。
【0027】
図4および
図5に示すように、受変電設備300は、一対のガス絶縁開閉装置101と、一対の変圧器200と、電力需給用計器用変成器(以降、「VCT」と称する)400とを備えている。一組のガス絶縁開閉装置101および変圧器200は、互いに接続されている。一方の組のガス絶縁開閉装置101および変圧器200は、常用の装置として設けられ、他方の組のガス絶縁開閉装置101および変圧器200は、予備用の装置として設けられている。
【0028】
受電ユニット1の第1ユニット11および第2ユニット12と、変圧器200とは、
図5において一点鎖線にて示す一直線上に並ぶように配置されている。また、変圧器200は、接続ユニット4を介してガス絶縁開閉装置101と接続されている。
【0029】
VCT400は、一対のガス絶縁開閉装置101における第2ユニット12の間に配置されている。また、VCT400は、一対の第2ユニット12と接続されている。
【0030】
続いて、受電ユニット1、母線室2、変圧器ユニット3および接続ユニット4について詳細に説明する。
【0031】
受電ユニット1は、受電側母線BUS1と線路Lとの間を開閉するユニットである。受電ユニット1は、第1ユニット11と、第2ユニット12とを有している。
【0032】
第1ユニット11は、避雷器LAと、電圧検出装置VDと、線路側接地開閉器ES1と、線路側断路器DS1とを有している。
【0033】
電圧検出装置VDは、ケーブルヘッドCHDに接続される導体の電圧を検出する。避雷器LAは、当該導体と接地との間に設けられている。線路側接地開閉器ES1は当該導体を接地する。線路側断路器DS1は、ケーブルヘッドCHDを介して線路Lに一端が接続されている。遮断器CB1は、その一端が線路側断路器DS1の他端に接続されている。
【0034】
また、第1ユニット11は、第1ユニット11の外郭を構成する第1ユニット容器20(容器,分割容器,第1容器)を有している。第1ユニット容器20は、本体部20aと、接続管20bと、引き込み管20c,20d(引き込み部)とを有している。
【0035】
本体部20aは、円筒形状をなしており、その中心軸が上下方向に向くように配置されている。本体部20aの内部には、避雷器LA、電圧検出装置VD、線路側接地開閉器ES1および線路側断路器DS1が収容されている。
【0036】
接続管20bは、後述する第2ユニット容器30との接続のために設けられている。接続管20bは、本体部20aの外周面における上部に、本体部20aの中心と直交する方向に伸びるように短く形成されている。
【0037】
引き込み管20c,20dは、線路Lを第1ユニット11の第1ユニット容器20に引き込むために設けられている。ケーブルヘッドCHDは、引き込み管20cに取り付けられているが、
図6に示すように、引き込み管20dに取り付けられていてもよい。
【0038】
図1および
図5に示すように、引き込み管20c,20dは、第1ユニット11の側面、すなわち本体部20aの外周面において、変圧器200と対向しない位置に配置されている。引き込み管20c,20dは、例えば、変圧器200が第1ユニット11に対して配置される方向(
図5における一点鎖線が伸びる方向)と垂直な方向A,Bにそれぞれ向くように配置されている。また、引き込み管20c,20dは、本体部20aの外周面において、互いに反対となる位置に配置されている。
【0039】
第2ユニット12は、遮断器CB1と、遮断器点検用接地開閉器ESO1,ESO2とを有している。遮断器点検用接地開閉器ESO2,ESO3は、遮断器CB1の点検時に閉じて遮断器CB1の両端を接地する。
【0040】
また、第2ユニット12は、第2ユニット12の外郭を構成する第2ユニット容器30(容器,分割容器,第2容器)を有している。第2ユニット容器30は、本体部30aと、接続管30bと、連絡管30cとを有している。
【0041】
本体部30aは、円筒形状をなしており、その中心軸が上下方向に向き、かつ第1ユニット容器20の本体部20aと水平方向に並ぶように近接して配置されている。本体部30aの内部には、遮断器CB1および遮断器点検用接地開閉器ESO1,ESO2が収容されている。
【0042】
接続管30bは、上述した第1ユニット容器20との接続のために設けられている。接続管30bは、本体部30aの外周面における上部に、本体部30aの中心と直交する方向に伸びるように短く形成されている。接続管20b,30bは、互いに接続されることにより、本体部20a,30aの内部を連通させる。連絡管30cは、本体部30aと操作箱70とを連通させるための管路である。
【0043】
母線室2は、受電側母線BUS1と、変圧器側母線BUS2と、母線側断路器DS2と、変圧器側断路器DS3とを有している。母線側断路器DS2は、受電側母線BUS1と、第2ユニット12における遮断器CB1との間に設けられている。変圧器側断路器DS3は、変圧器側母線BUS2と、変圧器ユニット3における後述する遮断器CB2との間に設けられている。受電側母線BUS1は、母線側断路器DS2の一端をVCT400の入力端に接続する母線である。変圧器側母線BUS2は、変圧器側断路器DS3の一端をVCT400の出力端に接続する母線である。
【0044】
また、母線室2は、母線室2の外郭を構成する母線容器40(容器)を有している。母線容器40は、本体部40aと、接続管40bと、連絡管40cとを有している。
【0045】
本体部40aは、円筒形状をなしており、その中心軸が上下方向に向き、かつ第2ユニット容器30の本体部30aの中心と一致するように配置されている。本体部40aの上端は、本体部30aの下端と接合とされている。本体部40aの内部には、受電側母線BUS1および変圧器側母線BUS2の一部と、母線側断路器DS2および変圧器側断路器DS3とが収容されている。
【0046】
接続管40bは、VCT400と接続されるために設けられている管路である。連絡管40cは、本体部40aと操作箱70とを連通させるための管路である。
【0047】
変圧器ユニット3は、変圧器側母線BUS2と変圧器200の一次側との間を開閉する。変圧器ユニット3は、遮断器CB2と、遮断器点検用接地開閉器ESO3,ESO4とを有している。
【0048】
遮断器CB2は、その一端が変圧器側断路器DS3の他端に接続されている。遮断器点検用接地開閉器ESO3,ESO4は、遮断器CB2の点検時に閉じて遮断器CB2の両端を接地する。
【0049】
また、変圧器ユニット3は、変圧器ユニット3の外郭を構成する変圧器ユニット容器50(容器)を有している。変圧器ユニット容器50は、本体部50aと、接続管50bと、連絡管50cとを有している。
【0050】
本体部50aは、円筒形状をなしており、その中心軸が上下方向に向き、かつ母線容器40の本体部40aの中心と一致するように配置されている。本体部50aの上端は、本体部40aの下端と接合とされている。本体部50aの内部には、遮断器CB2および遮断器点検用接地開閉器ESO3,ESO4が収容されている。
【0051】
接続管50bは、接続ユニット4と接続されるために設けられている管路である。連絡管50cは、本体部50aと操作箱70とを連通させるための管路である。
【0052】
接続ユニット4は、変圧器ユニット3を変圧器200に接続するために、ブッシングBSを有している。ブッシングBSは、遮断器CB2の一端と変圧器200との間に設けられている。
【0053】
また、接続ユニット4は、接続ユニット4の外郭を構成する接続ユニット容器60(容器)を有している。接続ユニット容器60は、円筒形状をなしており、その中心軸が第1ユニット11および第2ユニット12と変圧器200とが並ぶ方向(
図5参照)に向くように配置されている。接続ユニット容器60の一端は、変圧器ユニット容器50の接続管50bと接続されている。
図4に示すように、接続ユニット容器60の他端は、変圧器200の接続部201と接続されている。接続ユニット容器60の内部には、ブッシングBSが収容されている。
【0054】
第1ユニット容器20、第2ユニット容器30、母線容器40、変圧器ユニット容器50および接続ユニット容器60の内部には、絶縁性ガスが封入されている。また、第1ユニット容器20、第2ユニット容器30、母線容器40、変圧器ユニット容器50および接続ユニット容器60の間は、絶縁性ガスが流通しないように互いに隔絶されている。絶縁性ガスとしては、環境負荷が低く、かつ絶縁性能の低い絶縁性ガスが用いられる。具体的には、ドライエア、Gキューブ、窒素ガス等が絶縁性ガスとして用いられる。
【0055】
上記のように構成されるガス絶縁開閉装置101においては、受電ユニット1の第1ユニット11が、引き込み管20c,20dを有している。引き込み管20c,20dは、第1ユニット11の側面において変圧器200と対向しない位置に配置されている。
【0056】
上記の構成によれば、引き込み管20c,20dは、ガス絶縁開閉装置101において変圧器200が配置される側にともに突出しない。これにより、ガス絶縁開閉装置101への変圧器200の接続に、引き込み管20c,20dが障害となることがない。したがって、変圧器200をガス絶縁開閉装置101に近接して配置することができる。よって、受変電設備300の設置面積を縮小することができる。
【0057】
特に、引き込み管20c,20dは、変圧器200が第1ユニットに対して配置される方向と垂直な方向に向くように配置されている。
【0058】
上記の構成によれば、第1ユニット11の側面すなわち本体部20aの外周面において対向する位置に引き込み管20c,20dを配置することができる。これにより、ガス絶縁開閉装置101の使用状況に応じて、引き込み管20c,20dのいずれか一方を適宜選択して使用することができる。
【0059】
また、受電ユニット1の外郭を形成する容器は、2つ(複数)の第1ユニット容器20および第2ユニット容器30に分割されている。
【0060】
上述したように、受電ユニット1は、避雷器LA、電圧検出装置VD、線路側接地開閉器ES1、線路側断路器DS1、遮断器CB1、遮断器点検用接地開閉器ESO1,ESO2などの多数の機器を有している。このため、各機器の絶縁性を確保するために、従来のガス絶縁開閉装置では、絶縁性能が高いSF6ガスなどの絶縁性ガスが用いられていたが、このような絶縁性ガスは一般に温室効果ガスであって環境負荷が高い。これに対し、環境負荷の低い絶縁性ガスは絶縁性能が低いため、従来のガス絶縁開閉装置においてこのような絶縁性ガスを用いた場合、上記の各機器を近接して配置することが難しい。
【0061】
上記の構成によれば、受電ユニット1を構成する機器を、分割された第1ユニット容器20および第2ユニット容器30に、機能に応じて個別に配置することができる。これにより、機器間の絶縁距離を十分確保することができる。それゆえ、絶縁性能および環境負荷がともに低い絶縁性ガスを用いることができる。
【0062】
また、引き込み管20c,20dが第1ユニット容器20の側面すなわち本体部20aの外周面に配置されている。
【0063】
上記の構成によれば、接続ユニット4の上方の空間を引き込み管20c,20dによる線路Lの引き込みに利用することができる。これにより、ガス絶縁開閉装置101が設置される限られた空間を有効に利用することができる。
【0064】
受変電設備300は、上記のように構成されるガス絶縁開閉装置101を備えている。これにより、変圧器200をガス絶縁開閉装置101と近接して配置することができる。したがって、受変電設備300の設置面積を縮小することができる。
【0065】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0066】
図7は、実施形態2に係るガス絶縁開閉装置102の外観構成を示す斜視図である。
図8は、実施形態2の変形例に係るガス絶縁開閉装置102の外観構成を示す側面図である。
図9は、実施形態2のガス絶縁開閉装置102の回路構成を示す単線結線図である。
【0067】
図7~
図9に示すように、ガス絶縁開閉装置102は、上述したガス絶縁開閉装置101と同じく、受電ユニット1と、母線室2と、変圧器ユニット3と、接続ユニット4とを主要部として備える他、操作箱70と、支持枠90と、基台100とを備えている。また、ガス絶縁開閉装置102は、ガス絶縁開閉装置101が備える変流器CTおよびケーブルヘッドCHDに代えて受電ブッシング10を主要部の1つとして備えている。また、上述した受変電設備300(
図4および
図5参照)は、ガス絶縁開閉装置101に代えてガス絶縁開閉装置102を備える。
【0068】
受電ブッシング10は、第1ユニット容器20の上述した方向Aの側方に配置されている。受電ブッシング10は、ブッシングBUSHと、変流器CTと、主管部10aと、接続部10bとを有している。主管部10aは、上下方向に伸びるように形成されている。接続部10bは、主管部10aの下端部から主管部10aの中心に対して垂直な方向に伸びる短い管路である。接続部10bは、第1ユニット容器20の引き込み管20cと接続されている。
【0069】
なお、受電ブッシング10は、第1ユニット容器20の上述した方向Bの側方に配置されていてもよい。このような配置される受電ブッシング10において、
図8に示すように、接続部10bは引き込み管20dに接続されている。
【0070】
上記のように構成されるガス絶縁開閉装置102は、受電ブッシング10が引き込み管20c,20dのいずれか一方に接続される。これにより、受電ブッシング10が変圧器200の配置の障害となることがない。したがって、実施形態1のガス絶縁開閉装置101と同じく、変圧器200をガス絶縁開閉装置102に近接して配置することができる。よって、受変電設備300の設置面積を縮小することができる。
【0071】
しかも、引き込み管20c,20dは、実施形態1のガス絶縁開閉装置101のように、線路LがケーブルヘッドCHDを介して引き込まれるケーブルである場合(ケーブル引き込み)と、本実施形態のガス絶縁開閉装置102のように、線路LがブッシングBUSHを介して引き込まれる架空線である場合(ブッシング引き込み)とで共用可能な構造を有している。
【0072】
特許文献1に記載されたガス絶縁開閉装置では、ケーブル引き込みの場合、変圧器に接続部される変圧器接続部と引き込み部とが干渉しないように、引き込み部を有する受電ユニットが下側に配置され、変圧器接続部を有する変圧器ユニットが上側に配置されている。また、当該ガス絶縁開閉装置では、ブッシング引き込みの場合、引き込み部が架空線に近くなるように、受電ユニットが上側に配置され、変圧器ユニットが下側に配置されている。
【0073】
このように、当該ガス絶縁開閉装置では、ケーブル引き込みの場合とブッシング引き込みの場合とで、受電ユニットと変圧器ユニットとが逆の位置に配置される。このため、ケーブル引き込みの場合とブッシング引き込みの場合とで、受電ユニットを構成する機器と変圧器ユニットを構成する機器とを共用することができない。このために部品点数が増加するだけでなく、ガス絶縁開閉装置の構造が引き込み形態に応じて異なることで、設計、製造工程等も個別に必要になるという問題がある。
【0074】
これに対し、上記のように、引き込み管20c,20dが、ケーブル引き込みとブッシング引き込みとで共用可能な構造を有することにより、線路Lの引き込み形態が相違しても、同じ構造を有する引き込み管20c,20dを用いることができる。これにより、引き込み形態に応じて受電ユニットおよび変圧器ユニットの配置位置を異ならせる必要がない。それゆえ、ケーブル引き込みとブッシング引き込みとで、受電ユニットを構成する機器と変圧器ユニットを構成する機器とを共通化することができる。したがって、引き込み形態に関わらず、受電ユニット1および変圧器ユニット3を同じ位置に配置することができる。よって、引き込み形態が異なるガス絶縁開閉装置の設計、製造工程等を共通化することができる。
【0075】
また、受電ブッシング10を最短の経路でガス絶縁開閉装置102に接続することができる。これにより、受電ブッシング10の小型化を図ることができる。
【0076】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 受電ユニット
2 母線室
3 変圧器ユニット
4 接続ユニット
20 第1ユニット容器(容器,第1容器)
20a 本体部(側面)
30 第2ユニット容器(容器,第2容器)
40 母線容器(容器)
50 変圧器ユニット容器(容器)
60 接続ユニット容器(容器)
20c,20d 引き込み管(引き込み部)
101,102 ガス絶縁開閉装置
200 変圧器
300 受変電設備
BUSH ブッシング
CHD ケーブルヘッド
L 線路