IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083002
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置用マザー基板
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/84 20230101AFI20240613BHJP
   H10K 50/81 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 50/82 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 59/173 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 50/88 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20240613BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240613BHJP
   H10K 102/20 20230101ALN20240613BHJP
【FI】
H10K50/84
H10K50/81
H10K50/82
H10K77/10
H10K59/122
H10K59/173
H10K50/88
H10K59/10
H10K85/10
G09F9/30 365
G09F9/30 348A
H10K102:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197273
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 昌
(72)【発明者】
【氏名】高崎 良太
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 直哉
(72)【発明者】
【氏名】田畠 弘志
(72)【発明者】
【氏名】原田 和幸
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107DD19
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD38
3K107DD44Z
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD95
3K107DD96
3K107FF15
3K107GG52
3K107GG54
5C094AA31
5C094BA27
5C094DA14
5C094DA15
5C094DB04
5C094FB01
5C094FB02
5C094FB12
5C094FB15
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置は、表示領域及び周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、無機絶縁材料で形成され、前記下電極の周縁部に重なるリブと、前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記有機層を覆い、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、前記周辺領域に配置された端子電極と、を備え、前記有機絶縁層は、前記端子電極を露出する第1開口を有し、前記リブは、前記周辺領域に延出し、前記端子電極を露出する第2開口を有し、平面視において、前記第2開口のサイズは、前記第1開口のサイズよりも大きく、前記第1開口と前記第2開口との間で前記リブから露出する前記有機絶縁層の形状は、枠状である。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、
前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
無機絶縁材料で形成され、前記下電極の周縁部に重なるリブと、
前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、
前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
前記有機層を覆い、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、
前記周辺領域に配置された端子電極と、を備え、
前記有機絶縁層は、前記端子電極を露出する第1開口を有し、
前記リブは、前記周辺領域に延出し、前記端子電極を露出する第2開口を有し、
平面視において、前記第2開口のサイズは、前記第1開口のサイズよりも大きく、
前記第1開口と前記第2開口との間で前記リブから露出する前記有機絶縁層の形状は、枠状である、表示装置。
【請求項2】
平面視において、前記端子電極のエッジは、前記第1開口の外側に位置し、前記第2開口の内側に位置している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記有機絶縁層は、ポリイミドで形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記リブは、シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物のいずれかで形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記端子電極は、互いに異なる金属材料で形成された複数の薄膜を有する多層体である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記有機絶縁層は、凹部を有し、
前記リブは、前記第2開口に沿った周縁部を有し、
前記周縁部は、前記凹部に重畳し、前記有機絶縁層から離間している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
基板と、
前記基板の上方に配置された複数のパネル部と、
前記基板の上方において、前記パネル部よりも外側に配置されたアライメントマークと、を備え、
前記パネル部の各々は、
画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、
前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、
無機絶縁材料で形成され、前記下電極の周縁部に重なるリブと、
前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、
前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
前記有機層を覆い、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、
前記周辺領域に配置された端子電極と、を備え、
前記アライメントマークが配置されるマーク領域は、前記有機絶縁層とは異なる材料で形成された最上層を備えている、表示装置用マザー基板。
【請求項8】
前記最上層は、シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物のいずれかで形成された無機絶縁層である、請求項7に記載の表示装置用マザー基板。
【請求項9】
前記無機絶縁層は、前記リブと同一材料で形成されている、請求項8に記載の表示装置用マザー基板。
【請求項10】
前記最上層は、前記端子電極と同一材料で形成された導電層である、請求項7に記載の表示装置用マザー基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示装置用マザー基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
このような表示素子を製造する過程において、信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置及び表示装置用マザー基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方において、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、無機絶縁材料で形成され、前記下電極の周縁部に重なるリブと、前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記有機層を覆い、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、前記周辺領域に配置された端子電極と、を備え、前記有機絶縁層は、前記端子電極を露出する第1開口を有し、前記リブは、前記周辺領域に延出し、前記端子電極を露出する第2開口を有し、平面視において、前記第2開口のサイズは、前記第1開口のサイズよりも大きく、前記第1開口と前記第2開口との間で前記リブから露出する前記有機絶縁層の形状は、枠状である。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置用マザー基板は、
基板と、前記基板の上方に配置された複数のパネル部と、前記基板の上方において、前記パネル部よりも外側に配置されたアライメントマークと、を備え、前記パネル部の各々は、画像を表示する表示領域及び前記表示領域よりも外側の周辺領域に亘って配置された有機絶縁層と、前記表示領域において、前記有機絶縁層の上に配置された下電極と、無機絶縁材料で形成され、前記下電極の周縁部に重なるリブと、前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記有機層を覆い、前記隔壁の前記下部に接触する上電極と、前記周辺領域に配置された端子電極と、を備え、前記アライメントマークが配置されるマーク領域は、前記有機絶縁層とは異なる材料で形成された最上層を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
図2図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図4図4は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図5図5は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図6図6は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図7図7は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図8図8は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図9図9は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図10図10は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図11図11は、パッドPDの一構成例を示す平面図である。
図12図12は、図11中のa-b線に沿うパッドPDの断面図である。
図13図13は、図12に示したパッドPDに蒸着膜DFが形成された様子を説明するための断面図である。
図14図14は、比較例のパッドPDに蒸着膜DFが形成された様子を説明するための断面図である。
図15図15は、図11中のa-b線に沿うパッドPDの他の構成例を示す断面図である。
図16図16は、図15に示したパッドPDに蒸着膜DFが形成された様子を説明するための断面図である。
図17図17は、表示装置用マザー基板100の一例を示す平面図である。
図18図18は、図17に示したアライメントマークAMの一例を示す平面図である。
図19図19は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの一構成例を示す断面図である。
図20図20は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図21図21は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図22図22は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図23図23は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図24図24は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図25図25は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面で構成要素を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAよりも外側の周辺領域SAと、を有する表示パネルPNLを備えている。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。
【0016】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0017】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0018】
周辺領域SAは、ICチップやフレキシブルプリント回路基板を接続するための端子領域TAを有している。端子領域TAは、複数のパッド(端子)PDを備えている。複数のパッドPDは、ICチップの端子やフレキシブルプリント回路基板の端子と接続される。
【0019】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。副画素SP1及び副画素SP2が第1方向Xに並び、副画素SP1及び副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。
【0020】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0021】
なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0022】
表示領域DAには、リブ5及び隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ開口AP1,AP2,AP3を有している。
隔壁6は、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状に形成されている。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0023】
副画素SP1,SP2,SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201,202,203を備えている。
副画素SP1の表示素子201は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1、及び、有機層OR1を備えている。有機層OR1は、例えば青波長域の光を放つ発光層を含む。
副画素SP2の表示素子202は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2を備えている。有機層OR2は、例えば緑波長域の光を放つ発光層を含む。
副画素SP3の表示素子203は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3を備えている。有機層OR3は、例えば赤波長域の光を放つ発光層を含む。
【0024】
図2の例においては、下電極LE1、LE2、LE3の外形は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、UE2、UE3の外形は一点鎖線で示している。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0025】
下電極LE1、LE2、LE3のそれぞれの周縁部、有機層OR1、OR2、OR3のそれぞれの周縁部、及び、上電極UE1、UE2、UE3のそれぞれの周縁部は、平面視においてリブ5に重なっている。
【0026】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当する。
【0027】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0028】
図2の例においては、開口AP1の面積、開口AP2の面積、及び、開口AP3の面積は、互いに異なる。すなわち、開口AP1の面積が開口AP2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大きい。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出した下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積よりも大きい。
【0029】
図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
回路層11は、基板10の上に配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1などの各種回路と、走査線GL、信号線SL、電源線PLなどの各種配線と、を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する有機絶縁層である。
【0030】
下電極LE1,LE2,LE3は、絶縁層12の上に配置され、互いに離間している。リブ5は、絶縁層12及び下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。リブ5の開口AP1は下電極LE1に重なり、開口AP2は下電極LE2に重なり、開口AP3は下電極LE3に重なっている。下電極LE1,LE2,LE3の周縁部は、リブ5で覆われている。下電極LE1,LE2,LE3のうち、互いに隣接する下電極の間では、絶縁層12がリブ5により覆われている。下電極LE1,LE2,LE3は、絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じて副画素SP1,SP2,SP3のそれぞれの画素回路1に接続されている。
【0031】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部(茎)61と、下部61の上に配置された上部(笠)62と、を含む。図の右側に示した隔壁6の下部61は、開口AP1と開口AP2との間に位置している。図の左側に示した隔壁6の下部61は、開口AP2と開口AP3との間に位置している。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0032】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、開口AP1から露出した下電極LE1を覆うとともに、その周縁部がリブ5の上に位置している。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
【0033】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、開口AP2から露出した下電極LE2を覆うとともに、その周縁部がリブ5の上に位置している。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下部61に接触している。
【0034】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、開口AP3から露出した下電極LE3を覆うとともに、その周縁部がリブ5の上に位置している。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下部61に接触している。
【0035】
図3の例においては、副画素SP1はキャップ層CP1及び封止層SE1を有し、副画素SP2はキャップ層CP2及び封止層SE2を有し、副画素SP3はキャップ層CP3及び封止層SE3を有している。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3から放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。
【0036】
キャップ層CP1は、上電極UE1の上に配置されている。
キャップ層CP2は、上電極UE2の上に配置されている。
キャップ層CP3は、上電極UE3の上に配置されている。
【0037】
封止層SE1は、キャップ層CP1の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE3は、キャップ層CP3の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
【0038】
図3の例においては、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の一部は、副画素SP1の周囲の隔壁6の上に位置している。これらの部分は、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のうち開口AP1に位置する部分(表示素子201を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2の一部は、副画素SP2の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のうち開口AP2に位置する部分(表示素子202を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3の一部は、副画素SP3の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のうち開口AP3に位置する部分(表示素子203を構成する部分)から離間している。
【0039】
封止層SE1,SE2,SE3の端部は、隔壁6の上に位置している。図3の例においては、副画素SP1,SP2間の隔壁6の上に位置する封止層SE1,SE2の端部同士が離間し、副画素SP2,SP3間の隔壁6の上に位置する封止層SE2,SE3の端部同士が離間している。
【0040】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14によって覆われている。封止層14は、樹脂層15によって覆われている。
【0041】
リブ5、封止層SE1,SE2,SE3、及び、封止層14は、例えばシリコン窒化物(SiNx)などの無機絶縁材料で形成されている。なお、リブ5、封止層SE1,SE2,SE3、及び、封止層14は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)または酸化アルミニウム(Al)などの他の無機絶縁材料で形成されてもよい。
【0042】
隔壁6の下部61は、導電材料によって形成され、上電極UE1,UE2,UE3と電気的に接続されている。隔壁6の下部61及び上部62がいずれも導電材料によって形成されてもよい。
【0043】
下電極LE1,LE2,LE3は、後に詳述するが、透明電極及び金属電極を有する多層体である。
【0044】
有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM1、発光層EM2、及び、発光層EM3は、互いに異なる材料で形成されている。一例では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。
また、有機層OR1,OR2,OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。
上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。
【0045】
キャップ層CP1、CP2、CP3は、複数の薄膜の多層体である。複数の薄膜は、いずれも透明であり、しかも、互いに異なる屈折率を有している。
【0046】
なお、図3に示した回路層11、絶縁層12、及び、リブ5は、表示領域DA及び周辺領域SAに亘って配置されている。
【0047】
次に、図4乃至図10を参照して、表示装置DSPの製造方法について説明する。なお、図4乃至図10においては、絶縁層12よりも下方の図示を省略している。
【0048】
まず、図4に示すように、絶縁層12の上に、下電極LE1、LE2、LE3を形成した後に、開口AP1、AP2、AP3を有するリブ5と、下部61及び上部62を有する隔壁6と、を形成する。開口AP1は副画素SP1の下電極LE1に重なり、開口AP2は副画素SP2の下電極LE2に重なり、開口AP3は副画素SP3の下電極LE3に重なる。
なお、開口AP1、AP2、AP3を有するリブ5が形成された後に、下部61及び上部62を有する隔壁6が形成されてもよいし、隔壁6が形成された後に、開口AP1、AP2、AP3が形成されてもよい。
【0049】
続いて、表示素子201を形成する。
まず、図5に示すように、下電極LE1の上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層(EM1)、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの各層を形成するための材料を順次蒸着して、有機層OR1を形成する。
その後、有機層OR1の上に、マグネシウム及び銀の混合物を蒸着して、上電極UE1を形成する。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
その後、上電極UE1の上に、高屈折率材料及び低屈折率材料を蒸着して、キャップ層CP1を形成する。
その後、キャップ層CP1及び隔壁6を連続的に覆うように、封止層SE1を形成する。
【0050】
有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1は、少なくとも表示領域DAの全体に形成され、副画素SP1だけでなく副画素SP2,SP3にも配置されている。有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。
【0051】
有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際に、蒸着源から放たれた材料は、上部62によって遮られる。このため、上部62の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部62の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、下電極LE1の直上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1から離間している。
【0052】
続いて、図6に示すように、封止層SE1の上に、所定の形状のレジストR3を形成する。レジストR3は、副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0053】
続いて、図7に示すように、レジストR3をマスクとしたエッチングにより、レジストR3から露出した封止層SE1、キャップ層CP1、上電極UE1、及び、有機層OR1を順次除去する。これにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0054】
続いて、図8に示すように、レジストR3を除去する。これにより、副画素SP1に表示素子201が形成される。
【0055】
続いて、図9に示すように、表示素子202を形成する。表示素子202を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2を順に形成する。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極UE2、及び、有機層OR2が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子202が形成され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0056】
続いて、図10に示すように、表示素子203を形成する。表示素子203を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3を順に形成する。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極UE3、及び、有機層OR3が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子203が形成される。
【0057】
その後、図3に示した樹脂層13、封止層14、及び、樹脂層15を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0058】
なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子201が形成され、次に表示素子202が形成され、最後に表示素子203が形成される場合を想定したが、表示素子201,202,203の形成順はこの例に限られない。
【0059】
次に、周辺領域SAのパッドPDについて説明する。
【0060】
図11は、パッドPDの一構成例を示す平面図である。
パッドPDは、端子電極TNを備えている。
絶縁層12及びリブ5は、表示領域DAのみならず、周辺領域SAにも配置されている。絶縁層12は、端子電極TNを露出する開口OP12を有している。また、リブ5は、端子電極TNを露出する開口OP5を有している。平面視において、開口OP5のサイズは、開口OP12のサイズよりも大きい。しかも、開口OP12を規定するエッジの全周は、開口OP5の内側に位置している。このため、絶縁層12の一部は、リブ5から露出している。開口OP12と開口OP5との間でリブ5から露出する絶縁層12の形状は、図中に斜線で示したように、枠状である。
端子電極TNの周縁部は、絶縁層12で覆われており、リブ5には重畳していない。つまり、平面視において、端子電極TNのエッジTNEは、開口OP12の外側に位置し、開口OP5の内側に位置している。
【0061】
本実施形態において、例えば、開口OP12は第1開口に相当し、開口OP5は第2開口に相当する。
【0062】
図12は、図11中のa-b線に沿うパッドPDの断面図である。
絶縁層111、絶縁層112、及び、絶縁層113は、図3に示した回路層11に含まれる絶縁層であり、金属層ML及び端子電極TNは、図3に示した回路層11に含まれる導電層である。
【0063】
リブ5、絶縁層111及び絶縁層112は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物などで形成された無機絶縁層である。
絶縁層113及び絶縁層12は、ポリイミドで形成された有機絶縁層である。
【0064】
金属層MLは、絶縁層111の上に配置されている。金属層MLは、互いに異なる金属材料で形成された複数の薄膜を有する多層体である。一例では、金属層MLは、チタン系の薄膜L1と、薄膜L1の上に位置するアルミニウム系の薄膜L2と、薄膜L2の上に位置するチタン系の薄膜L3と、を備えている。なお、薄膜L1及びL3は、モリブデン系の薄膜であってもよい。
【0065】
絶縁層112は、絶縁層111の上に配置され、金属層MLの周縁部を覆っている。絶縁層113は、絶縁層112の上に配置されている。
【0066】
端子電極TNは、絶縁層112から露出した金属層MLを覆っている。端子電極TNの周縁部は、絶縁層112及び絶縁層113の上に位置している。
端子電極TNは、互いに異なる金属材料で形成された複数の薄膜を有する多層体である。一例では、端子電極TNは、チタン系の薄膜L11と、薄膜L11の上に位置するアルミニウム系の薄膜L12と、薄膜L12の上に位置するチタン系の薄膜L13と、を備えている。なお、薄膜L11及びL13は、モリブデン系の薄膜であってもよい。薄膜L11は、金属層MLの薄膜L3に接触している。
【0067】
絶縁層12は、絶縁層113の上に配置され、端子電極TNの周縁部を覆っている。絶縁層12の開口OP12においては、端子電極TN(あるいは薄膜L3)が露出している。リブ5は、絶縁層12の上に配置されている。リブ5の開口OP5においては、端子電極TNが露出している。開口OP5と開口OP12との間においては、絶縁層12がリブ5から露出している。
【0068】
図13は、図12に示したパッドPDに蒸着膜DFが形成された様子を説明するための断面図である。
ここでの蒸着膜DFとは、図5を参照して説明した表示素子201を形成するための有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1の少なくとも一部である。蒸着膜DFは、リブ5、絶縁層12、及び、端子電極TNの上に形成される。
【0069】
このような構成例によれば、パッドPDを構成する導電層同士の界面、導電層と絶縁層との界面、あるいは、絶縁層同士の界面において、局所的な応力の集中を抑制することができる。このため、図7を参照して説明したように、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1がそれぞれエッチングによって除去されるまでの間に、パッドPDからの蒸着膜DFの離脱を抑制することができる。
【0070】
なお、蒸着膜DFが表示素子202を形成するための有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2の少なくとも一部である場合であっても、同様の効果が得られる。
また、蒸着膜DFが表示素子203を形成するための有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3の少なくとも一部である場合であっても、同様の効果が得られる。
【0071】
次に、比較例について説明する。
【0072】
図14は、比較例のパッドPDに蒸着膜DFが形成された様子を説明するための断面図である。
図14に示す比較例は、上記の構成例と比較して、リブ5の開口OP5のサイズが絶縁層12の開口OP12のサイズよりも小さい点で相違している。つまり、リブ5は、絶縁層12を覆い、端子電極TNに接触している。
発明者が検討したところ、図14に示す比較例においては、絶縁層12、リブ5、及び端子電極TNが互いに接触する部分CXにおいて、応力が集中することが確認された。
【0073】
このような比較例のパッドPDに蒸着膜DFが形成された場合、応力が集中する部分CXを起点として、蒸着膜DFがリブ5から浮き上がりやすい。リブ5から離脱した蒸着膜DFは、異物となって製造装置内を浮遊し、汚染源となり得る。また、浮遊した異物が処理基板に付着すると、種々の欠陥を引き起こす原因となり得る。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば、パッドPDからの蒸着膜DFの離脱を抑制することができる。これにより、製造装置の汚染や、不所望な異物の生成が抑制される。したがって、信頼性の低下が抑制される。
【0075】
図15は、図11中のa-b線に沿うパッドPDの他の構成例を示す断面図である。
図15に示す構成例は、図12に示した構成例と比較して、絶縁層12がリブ5と接触する上面に凹部12Cを有する点で相違している。
リブ5は、開口OP5に沿った周縁部5Eを有している。周縁部5Eは、凹部12Cに重畳し、絶縁層12から離間している。つまり、リブ5は、オーバーハング状に形成されている。
【0076】
図16は、図15に示したパッドPDに蒸着膜DFが形成された様子を説明するための断面図である。
蒸着膜DFは、リブ5の上に形成されるとともに、絶縁層12及び端子電極TNの上にも形成される。但し、リブ5の上に形成された蒸着膜DFは、絶縁層12の上に形成された蒸着膜DFから離間している。つまり、蒸着膜DFは、オーバーハング状のリブ5で分断されている。このため、蒸着膜DFは、パッドPDにおいて細分化される。これにより、蒸着膜DFに生ずる応力が低減される。
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。加えて、蒸着膜DFが細分化されることにより、蒸着膜DFに生ずる応力が低減され、さらに、パッドPDからの蒸着膜DFの離脱が抑制される。
【0077】
次に、複数の表示装置DSPを一括して製造するための表示装置用マザー基板100について説明する。
【0078】
図17は、表示装置用マザー基板100の一例を示す平面図である。
表示装置用マザー基板100は、大型の基板10の上に、複数のパネル部PPと、アライメントマークAMと、を備えている。アライメントマークAMは、パネル部PPよりも外側に配置されている。
【0079】
表示装置用マザー基板100をカットラインに沿って割断することで取り出されるパネル部PPの各々は、図1に示した表示パネルPNLに相当する。つまり、パネル部PPの各々は、図1に示したように、表示領域DA及び周辺領域SAを有している。また、パネル部PPの各々は、図3に示したように、回路層11、絶縁層12、リブ5、隔壁6、下電極LE1、LE2、LE3、有機層OR1、OR2、OR3、上電極UE1、UE2、UE3、キャップ層CP1、CP2、CP3、封止層SE1、SE2、SE3などを備えている。また、パネル部PPの各々は、図11等に示したように、周辺領域SAにおいて、パッドPDを備えている。各パネル部PPにおいて、回路層11、絶縁層12、及び、リブ5は、表示領域DA及び周辺領域SAに亘って配置されている。
【0080】
図18は、図17に示したアライメントマークAMの一例を示す平面図である。
アライメントマークAMは、4つのマークMKを有している。マークMKの各々は、L字状に形成されている。これらの4つのマークMKは、互いに離間し、十字状のスペースを形成している。
以下に、アライメントマークAMが配置されるマーク領域MKAについて説明する。
【0081】
図19は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの一構成例を示す断面図である。
マーク領域MKAは、最上層として、無機絶縁層130を備えている。
【0082】
図19に示す例では、絶縁層122が絶縁層121の上に配置され、絶縁層123が絶縁層122の上に配置され、無機絶縁層130が絶縁層123の上に配置されている。
絶縁層121は、図12に示した絶縁層112が延出することによって形成された絶縁層である。
絶縁層122は、図12に示した絶縁層113が延出することによって形成された絶縁層である。
絶縁層123は、図12に示した絶縁層12が延出することによって形成された絶縁層である。
無機絶縁層130は、図17に示したパネル部PPのリブ5が延出することによって形成された絶縁層である。つまり、マーク領域MKAの最上層は、絶縁層122及び絶縁層123といった有機絶縁層とは異なる材料で形成されている。
【0083】
無機絶縁層130は、リブ5と同一材料で形成されており、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物などで形成されている。
【0084】
このようなマーク領域MKAに一点鎖線で示す蒸着膜DFが形成された場合、最上層が有機絶縁層である場合と比較して、蒸着膜DFが無機絶縁層130に密着する。このため、蒸着膜DFがエッチングによって除去されるまでの間に、マーク領域MKAからの蒸着膜DFの離脱を抑制することができる。
したがって、信頼性の低下が抑制される。
【0085】
図20は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図20に示す構成例は、図19に示した構成例と比較して、絶縁層123が省略され、無機絶縁層130が絶縁層122の上に配置された点で相違している。マーク領域MKAにおいて、最上層が無機絶縁層130である点については、上記の構成例と同一である。
このような構成例においても、図19に示した構成例と同様の効果が得られる。
【0086】
図21は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図21に示す構成例は、図19に示した構成例と比較して、絶縁層122が省略され、絶縁層123が絶縁層121の上に配置された点で相違している。マーク領域MKAにおいて、最上層が無機絶縁層130である点については、上記の構成例と同一である。
このような構成例においても、図19に示した構成例と同様の効果が得られる。
【0087】
図22は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図22に示す構成例は、図19に示した構成例と比較して、絶縁層122及び絶縁層123が省略され、無機絶縁層130が絶縁層121の上に配置された点で相違している。マーク領域MKAにおいて、最上層が無機絶縁層130である点については、上記の構成例と同一である。
このような構成例においても、図19に示した構成例と同様の効果が得られる。
【0088】
図23は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図23に示す構成例は、図19に示した構成例と比較して、絶縁層122及び絶縁層123が省略され、無機絶縁層130と絶縁層121との間に導電層CLが配置された点で相違している。導電層CLは、図12に示した端子電極TNと同一材料によって形成されている。マーク領域MKAにおいて、最上層が無機絶縁層130である点については、上記の構成例と同一である。
このような構成例においても、図19に示した構成例と同様の効果が得られる。
【0089】
図24は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図24に示す構成例は、図19に示した構成例と比較して、絶縁層122、絶縁層123、及び、無機絶縁層130が省略され、導電層CLが絶縁層121の上に配置された点で相違している。つまり、マーク領域MKAにおける最上層は、導電層CLである。導電層CLは、図12に示した端子電極TNと同一材料によって形成されている。
このようなマーク領域MKAに一点鎖線で示す蒸着膜DFが形成された場合、最上層が有機絶縁層である場合と比較して、蒸着膜DFが導電層CLに密着する。このため、蒸着膜DFがエッチングによって除去されるまでの間に、マーク領域MKAからの蒸着膜DFの離脱を抑制することができる。
したがって、信頼性の低下が抑制される。
【0090】
図25は、図18中のC-D線に沿うマーク領域MKAの他の構成例を示す断面図である。
図25に示す構成例は、図19に示した構成例と比較して、絶縁層122、絶縁層123、及び、無機絶縁層130が省略された点で相違している。つまり、マーク領域MKAにおける最上層は、絶縁層121である。
このような構成例においても、図19に示した構成例と同様の効果が得られる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置及び表示装置用マザー基板を提供することができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及び表示装置用マザー基板を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及び表示装置用マザー基板も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0093】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0094】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0095】
DSP…表示装置
10…基板
12…絶縁層(有機絶縁層) OP12…開口(第1開口) 12C…凹部
5…リブ AP1,AP2,AP3…開口 OP5…開口(第2開口)
6…隔壁 61…下部 62…上部
SP1,SP2,SP3…副画素
201,202,203…表示素子(有機EL素子)
LE1,LE2,LE3…下電極
UE1,UE2,UE3…上電極
OR1,OR2,OR3…有機層
DA…表示領域 SA…周辺領域
PD…パッド TN…端子電極
100…表示装置用マザー基板 PP…パネル部
AM…アライメントマーク MKA…マーク領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25