(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083018
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】缶飲料サーバ
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20240613BHJP
G07F 13/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B67D1/08 A
G07F13/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197290
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優樹
(72)【発明者】
【氏名】白木 丈博
(72)【発明者】
【氏名】末藤 和孝
【テーマコード(参考)】
3E047
3E082
【Fターム(参考)】
3E047BA02
3E047DA02
3E047FA04
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC01
3E082EE01
3E082EE02
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】飲料缶の内部の液体の冷却速度又は加熱速度を速くすることができる缶飲料サーバを提供する。
【解決手段】飲料缶C内の液体を冷却又は加熱可能な缶飲料サーバ12であって、飲料缶Cを内部に収容可能に構成され、内部の温度調整可能な冷却加熱水槽26と、冷却加熱水槽26の内部の下方側に回転可能に固定され、飲料缶Cを配置可能に構成された自転テーブル32、34、を有する液体冷却加熱装置10を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料缶内の液体を冷却又は加熱可能な缶飲料サーバであって、
前記飲料缶を内部に収容可能に構成され、内部の温度調整可能な冷却加熱水槽と、前記冷却加熱水槽の内部の下方側に回転可能に固定され、前記飲料缶を配置可能に構成された自転テーブルと、を有する液体冷却加熱装置を備える、缶飲料サーバ。
【請求項2】
前記液体冷却加熱装置は、下端が前記自転テーブルに固定され、内部が前記飲料缶を収容可能に形成された伝熱容器を有し、
前記自転テーブルは、速度変動しながら回転することを特徴とする請求項1に記載の缶飲料サーバ。
【請求項3】
駆動ギアと従動ギアとを組み合わせた一対の偏心ギアを備え、
前記駆動ギアは、駆動機構の回転駆動軸に偏心して連結され、
前記従動ギアは、前記自転テーブルの回転軸に偏心して連結されていることを特徴とする請求項2に記載の缶飲料サーバ。
【請求項4】
駆動ギアと従動ギアとを組み合わせた一対の偏心ギアを備え、
前記駆動ギアは、駆動機構の回転駆動軸に偏心して連結され、
前記従動ギアは、親回転ギアを回転させるための親回転軸に偏心して連結され、
前記親回転ギアは、前記自転テーブルと一体で形成された子ギアと噛合うことを特徴とする請求項2に記載の缶飲料サーバ。
【請求項5】
前記親回転ギアと噛合う前記子ギアが形成された複数の前記自転テーブルを備えることを特徴とする請求項4に記載の缶飲料サーバ。
【請求項6】
前記自転テーブルの回転軸は、回転可能な円形の公転ベースに回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の缶飲料サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、缶飲料サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の冷却セルが飲料容器を保持するように構成され、熱伝導性材料を含むカップホルダーと、カップホルダーの外側表面に固定されると共に、外側表面と熱伝導的に接触している冷却デバイスと、を備える冷却エンジン及び冷却エンジンを制御するように構成されたプロセッサを備える装置が開示されている。これによって、缶又は瓶などの飲料容器を迅速に、又は、オンデマンドで冷却することができる。
【0003】
しかしながら、伝熱容器等を介して缶入りの飲料(液体)を外部から冷却又は加熱する場合、飲料容器は伝熱容器等の内部において静止した状態で冷却又は加熱され、飲料容器内の液体は自然対流で循環する。このため、自然対流で循環する液体とこれに接する飲料容器の内部の側面及び底面(内壁)との相対速度は小さく、飲料容器と飲料との間の熱伝達率は低くなる。よって、液体が全体的に冷却又は加熱されるまでの冷却速度又は加熱速度は、飲料容器が冷却又は加熱される速度に比べて遅くなる。この結果、冷却時間又は加熱時間が長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような課題を考慮して、飲料缶の内部の液体の冷却速度又は加熱速度を速くすることができる缶飲料サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、飲料缶内の液体を冷却又は加熱可能な缶飲料サーバであって、飲料缶を内部に収容可能に構成され、内部の温度調整可能な冷却加熱水槽と、冷却加熱水槽の内部の下方側に回転可能に固定され、飲料缶を配置可能に構成された自転テーブルと、を有する液体冷却加熱装置を備える。
【0007】
さらに、本開示の他の態様として、液体冷却加熱装置は、下端が自転テーブルに固定され、内部が飲料缶を収容可能に形成された伝熱容器を有し、自転テーブルは、速度変動しながら回転することを特徴としてもよい。
【0008】
また、本開示の他の態様として、駆動ギアと従動ギアとを組み合わせた一対の偏心ギアを備え、駆動ギアは、駆動機構の回転駆動軸に偏心して連結され、従動ギアは、自転テーブルの回転軸に偏心して連結されてもよい。
【0009】
さらに、本開示の他の態様として、駆動ギアと従動ギアとを組み合わせた一対の偏心ギアを備え、駆動ギアは、駆動機構の回転駆動軸に偏心して連結され、従動ギアは、親回転ギアを回転させるための親回転軸に偏心して連結され、親回転ギアは、自転テーブルと一体で形成された子ギアと噛合わせてもよい。
【0010】
また、本開示の他の態様として、親回転ギアと噛合う子ギアが形成された複数の自転テーブルを備えてもよい。
【0011】
さらに、本開示の他の態様として、自転テーブルの回転軸は、回転可能な円形の公転ベースに回転可能に取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様に係る缶飲料サーバによれば、缶飲料サーバは、飲料缶を内部に収容可能に構成され、内部の温度調整可能な冷却加熱水槽と、冷却加熱水槽の内部の下方側に回転可能に固定され、飲料缶を配置可能に構成された自転テーブルと、を有する液体冷却加熱装置を備える。このため、冷却加熱水槽内において飲料缶が配置された自転テーブルが回転することによって、飲料缶内の液体の撹拌がさらに促進される。このため、飲料缶と内部の液体との間の熱交換が促進され、熱伝達率が上昇する。これによって、飲料缶内部の液体の冷却速度又は加熱速度を速めることができる。さらに、複数の飲料缶を冷却加熱水槽内に単純に配置するような場合に比べて、飲料缶の冷却加熱水槽内における配置位置によるばらつきをなくし、均質に飲料缶を冷却又は加熱することができる。
【0013】
さらに、本開示の一態様に係る缶飲料サーバによれば、自転テーブルは速度変動しながら回転する。このため、伝熱容器の内部に収容された飲料缶も速度変動しながら回転させることができる。このとき、飲料缶内の液体は速度変動に完全に追従できないため、飲料缶の内壁と液体との間には相対滑りが発生し、液体の撹拌がさらに促進される。このため、飲料缶と液体との間の熱交換が促進され、熱伝達率が上昇する。これによって、飲料缶内部の液体の冷却速度又は加熱速度を速めることができる。
【0014】
また、本開示の一態様に係る缶飲料サーバによれば、駆動機構の回転駆動軸に偏心して連結された駆動ギアと自転テーブルの回転軸に偏心して連結された従動ギアとが組み合わされて一対の偏心ギアを構成する。このため、従動ギアは、駆動ギアが駆動されると、駆動ギアと組み合わされている位置を変動させて回転する。従動ギアは、駆動ギアと組み合わされている位置を変動させて回転するため、組み合わされている位置が自転テーブルの回転軸の回転軸に近い位置にあるときには、従動ギアの回転速度が速くなり、遠い位置にあるときには、回転速度が遅くなる。これによって、速い回転速度と遅い回転速度とを交互に繰り返して従動ギア及び自動テーブルを回転させることができ、飲料缶内部の液体の冷却速度又は加熱速度を速めることができる。
【0015】
また、本開示の一態様に係る缶飲料サーバによれば、駆動機構の回転駆動軸に偏心して連結された駆動ギアと自転テーブルの回転軸に偏心して連結された従動ギアとが組み合わされて一対の偏心ギアを構成する。このため、速い回転速度と遅い回転速度とを交互に繰り返して従動ギア及び親回転ギアを回転させることができ、親回転ギアと噛合わされた子ギアが形成された自転テーブルの回転速度を変動させることができる。これによって、飲料缶内部の液体の冷却速度又は加熱速度を速めることができる。
【0016】
さらに、本開示の一態様に係る缶飲料サーバによれば、親回転ギアと噛合う子ギアが形成された複数の自転テーブルを備える。このため、駆動ギアを駆動することによって、複数の自動テーブルを速度変動しながら同時に回転させることができる。これによって、複数の伝熱容器に収容された複数の飲料缶を効率的に冷却又は加熱することができる。
【0017】
また、本開示の一態様に係る缶飲料サーバによれば、自転テーブルの回転軸は、回転可能な円形の公転ベースに回転可能に取り付けられている。このため、複数の自動テーブルを安定して回転させることができる。また、公転ベースを回転させることによって自転テーブルの回転速度に公転ベースによる回転速度を重畳させることができるため、液体の撹拌が促進される。これによって、飲料缶と液体との間の熱交換が促進され、熱伝達率が上昇するため、飲料缶内部の液体の冷却速度又は加熱速度を速めることができる。さらに、例えば、複数の自転テーブルに固定された伝熱容器に収容されている飲料缶の中から取り出したい飲料缶を所定の位置まで回転移動させることができる。これによって、缶飲料サーバを使用するユーザが所望する飲料缶を簡便に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る缶飲料サーバを使用した缶飲料サーバの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る液体冷却加熱装置を上方側から見た斜視図を示す。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る液体冷却加熱装置を下方側から見た斜視図を示す。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る自転テーブルの配置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る缶飲料サーバを説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺を変更して説明する場合がある。
【0020】
図1には、一例として、液体冷却加熱装置10を備えた缶飲料サーバ12の斜視図を示す。缶飲料サーバ12は、液体冷却加熱装置10を取り付けるための保持部(タワー)14を備える。保持部14は、下方側に飲料を注ぎ入れるグラスGLを載置すると共に、こぼれた飲料を落下させないように収容可能に形成されたグラス受け16を有する。また、保持部14は、上方側に、上下又は左右に傾倒可能な切替コック18及び飲料注ぎ出しノズル20を有する。このため、切替コック18を傾倒することによって液体冷却加熱装置10に配置された飲料缶Cに接続された飲料流通管(図示省略)を開閉し、飲料缶Cに注入(封入)されている飲料を飲料注ぎ出しノズル20を通じてグラスGLへ注ぎ入れることができる。
【0021】
液体冷却加熱装置10は、上方側に、回転させながら収容した飲料缶Cを冷却又は加熱可能に構成された可動部22を備え、下方側に、可動部22を駆動するための駆動装置(ベース回転モータ48及びテーブル回転モータ50)が配置された駆動部24を備える。
【0022】
液体冷却加熱装置10は、飲料が注入された飲料缶Cを収容し、飲料缶C及び内部の飲料を冷却又は加熱することができるため、缶飲料サーバ12の保持部14側に冷却又は加熱のための機構を設ける必要が無い。このため、保持部14及び缶飲料サーバ12を既存の飲料サーバと比較して小型化することができる。
【0023】
液体冷却加熱装置10は、可動部22に複数の飲料缶Cを配置するだけの構成であるため、飲料を注ぎ出して空になった飲料缶Cを取出し、新しい飲料缶Cを配置することを簡便に行うことができる。このため、例えば、飲料缶Cに比べて大きくかつ高重量のビール樽のような飲料缶を飲料サーバの内部又は外部に別個に配置する必要がない。このため、飲料缶の取付け及び取り外しを簡易に行うことができる。
【0024】
図2及び
図3には、液体冷却加熱装置10の内部を上方側及び下方側から見た斜視図を示す。液体冷却加熱装置10の可動部22の内部には、飲料缶Cを冷却するための円筒形状の冷却加熱水槽26が配置されている。冷却加熱水槽26の中には低温に冷却された冷媒が注入されている。また、冷却加熱水槽26には、図示しないヒートポンプが連結されており、冷却加熱水槽26の中の冷媒を循環して冷却可能に構成されている。なお、ここでは、冷却加熱水槽26の中には冷媒が注入され、ヒートポンプが連結されているとして説明するが、これに限らず、例えば、冷却加熱水槽に水冷式のクーラーを接続し冷却水を循環させてもよく、又は、冷却加熱水槽は、例えば、上蓋を取り外し可能にすることによって開閉可能とし、低温の冷媒又は水及び氷をそこから交換可能に構成されてもよい。
【0025】
冷却加熱水槽26の内部には、複数の伝熱容器28が冷却加熱水槽26の周方向に沿って等間隔で配置されている。本実施形態では、6個の伝熱容器28が、冷却加熱水槽26の周方向に沿って60度間隔で配置されている。伝熱容器28は、上方側に開口部28aを有する円筒状に形成され、開口部28aを冷却加熱水槽26の上蓋26aから開放させて冷却加熱水槽26に配置されている。このため、
図1に示されるように、その内部に外形円柱状の飲料缶Cを収容することができる。また、伝熱容器28は、冷却加熱水槽26の上蓋26aに対して回転可能に取り付けられている。
【0026】
伝熱容器28は、例えば、鉄等の熱伝導率の高い材料で構成されており、その外側部に接する冷却加熱水槽26内部の冷媒等を用いて冷却することができる。このため、伝熱容器28の内部に収容された飲料缶Cを冷却することができる。
【0027】
なお、ここでは可動部22の内部には、冷却加熱水槽26が配置されているとして説明するが、これに限らず、可動部の内部には、飲料缶を加熱するための加熱水槽が配置されてもよい。
【0028】
図2及び
図3に示されるように、冷却加熱水槽26の底部側には、円板状の公転ベース30と、公転ベース30の上面側に回転可能に取り付けられた複数の円板状の自転テーブル32、34とが配置されている。本実施形態では、自転テーブルとして、冷却加熱水槽26の中心部に親テーブル32が配置され、親テーブル32の外周側には、冷却加熱水槽26の周方向に沿って60度ごとの等間隔で6個の子テーブル34が配置されている。6個の子テーブル34には、それぞれ伝熱容器28の底部が固定されている。
【0029】
図4には、本実施形態に係る公転ベース30上に配置された親テーブル32及び子テーブル34を上方側から見た斜視図を示す。親テーブル32は、下面側の中心部に親回転軸としての親回転軸32aを有する。また、複数の子テーブル34は、それぞれの下面側の中心部に子回転軸34aを有し、これらは公転ベース30に回転可能に取り付けられている。親テーブル32は、その外側部に沿って図示しない歯が形成された親回転ギアとしての親ギア部36を有しており、子テーブル34は、その外側部に沿って親ギア部36と噛合うように歯が形成された子ギアとしての子ギア部38を有する。このため、親テーブル32が回転すると、親ギア部36及び子ギア部38を介して子テーブル34が回転するように構成されている。
【0030】
公転ベース30は、下面側の中心部にベース回転軸30aを有しており、ベース回転軸30aの下端は、外側部に沿って歯が形成された円板状の公転ギア40の中心部と連結されている。公転ギア40は、ベース回転モータ48の回転軸に取り付けられ、外側部に沿って歯が形成された回転軸ギア42と噛合わされている。このため、ベース回転モータ48によって、公転ギア40と回転軸ギア42とを介して公転ベース30を回転させることができる。
【0031】
親テーブル32の親回転軸32aは、公転ベース30及び公転ギア40を貫通し、公転ギア40の下面側まで延伸する。親回転軸32aの下端には、外側部に沿って歯が形成された楕円板状の従動ギア44がその中心に対して偏心して連結されている。
【0032】
従動ギア44は、外側部に沿って歯が形成された楕円板状の駆動ギア46と組み合わされている(噛合わされている)。駆動ギア46は、駆動機構としてのテーブル回転モータ50の回転駆動軸としてのモータ回転軸50aに偏心して取り付けられている。このように、従動ギア44と駆動ギア46とが噛合わされて、一対の偏心ギアが構成されている。このため、テーブル回転モータ50を回転することによって、従動ギア44と駆動ギア46とを介して親テーブル32を回転させることができる。なお、ここでは、従動ギア44及び駆動ギア46は、楕円板状であるとして説明するが、これに限らず、従動ギア及び駆動ギアは、円板状であってもよい。
【0033】
ここで、駆動ギア46はモータ回転軸50aに偏心して連結され、従動ギア44は親回転軸32aに偏心して連結されているため、駆動ギア46が駆動されると、従動ギア44は、駆動ギア46と噛合わされている位置を変動させて回転する。具体的には、従動ギア44は、駆動ギア46と組み合わされている位置を変動させて回転するため、組み合わされている位置が親回転軸32aの回転軸に近い位置にあるときには、従動ギア44の回転速度が速くなり、遠い位置にあるときには、回転速度が遅くなる。これによって、速い回転速度と遅い回転速度とを交互に繰り返して従動ギア44に連結された親テーブル32を回転させることができる。
【0034】
なお、ここでは、従動ギア44と駆動ギア46とを組み合わせた一対の偏心ギアによって、親テーブル32を速度変動して回転させるとして説明するが、これに限らず、例えば、制御装置を用いてテーブル回転モータの回転数を直接制御することによって、親テーブルの回転速度を変動してもよい。
【0035】
続いて、本実施形態に係る缶飲料サーバ12の作用及び効果について、以下に説明する。
【0036】
本実施形態に係る缶飲料サーバ12によれば、伝熱容器28の下端には子テーブル34が固定されており、子テーブル34は速度変動しながら回転する。このため、伝熱容器28の内部に収容された飲料缶Cも速度変動しながら回転させることができる。このとき、飲料缶C内の液体(飲料)は速度変動に完全に追従できないため、飲料缶Cの内壁と飲料との間には相対滑りが発生し、飲料の撹拌が促進される。このため、飲料缶Cと飲料との間の熱交換が促進され、熱伝達率が上昇する。これによって、飲料缶C内部の飲料の冷却速度を速めることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る缶飲料サーバ12によれば、テーブル回転モータ50のモータ回転軸50aに偏心して連結された駆動ギア46と親テーブル32の親回転軸32aに偏心して連結された従動ギア44とが組み合わされて一対の偏心ギアを構成する。このため、従動ギア44は、駆動ギア46が駆動されると、駆動ギア46と組み合わされている位置を変動させて回転する。従動ギア44は、駆動ギア46と組み合わされている位置を変動させて回転するため、組み合わされている位置が親回転軸32aの回転軸に近い位置にあるときには、従動ギア44の回転速度が速くなり、遠い位置にあるときには、回転速度が遅くなる。これによって、速い回転速度と遅い回転速度とを交互に繰り返して従動ギア44を回転させることができる。
【0038】
さらに、従動ギア44が回転することによって親回転軸32aを回転軸とする親テーブル32が回転速度を変動させて回転する。親テーブル32が回転すると、親ギア部36と噛合わされた子ギア部38を介して子テーブル34も回転速度を変動させて回転する。これによって、子テーブル34に固定された伝熱容器28に収容されている飲料缶C内部の飲料の冷却速度を速めることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る缶飲料サーバ12によれば、親テーブル32とギア同士が噛合う複数の子テーブル34を備える。このため、駆動ギア46を駆動することによって、複数の子テーブル34を速度変動しながら同時に回転させることができる。これによって、複数の伝熱容器28に収容された複数の飲料缶Cを効率的に冷却することができる。
【0040】
さらに、本実施形態に係る缶飲料サーバ12によれば、子テーブル34の子回転軸34aは、公転ベース30に回転可能に取り付けられている。このため、複数の子テーブル34を安定して回転させることができる。また、公転ベース30を回転させることによって子テーブル34の回転速度に公転ベース30の回転による回転速度を重畳させることができるため、飲料の撹拌が促進される。これによって、飲料缶Cと飲料との間の熱交換が促進され、熱伝達率が上昇するため、飲料缶C内部の飲料の冷却速度を速めることができる。
【0041】
また、公転ベース30を所定の位置まで回転移動させることができるため、複数の子テーブル34に固定された伝熱容器28に収容されている複数の飲料缶Cの中から液体冷却加熱装置10を使用するユーザが所望する飲料缶Cを簡便に取り出すことができる。
【0042】
さらに、本実施形態に係る缶飲料サーバ12によれば、自転テーブル32、34において同心円上に配置された複数の飲料缶Cを回転して冷却することによって、複数の飲料缶Cを冷却加熱水槽26内に単純に配置するような場合に比べて、冷却加熱水槽26内の配置位置によるばらつきをなくし、均質に飲料缶Cを冷却することができる。
【0043】
以上の説明のとおり、本実施形態に係る缶飲料サーバ12によって、飲料缶Cの内部の飲料の冷却速度を速くすることができる。
【0044】
以上、缶飲料サーバ12の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解できると考えられる。
【0045】
なお、ここでは、飲料缶Cは、伝熱容器28に収容されているとして説明したが、これに限らず、例えば、伝熱容器を設けずに、飲料缶は、自転テーブルに設けられた外形円筒状のフレーム等を介して自転テーブルに配置され、冷却加熱水槽内の冷却又は加熱された液体に直接接触するように構成されてもよい。
【0046】
さらに、ここでは、缶飲料サーバ12は、飲料缶C内部の飲料を冷却する装置として説明したが、これに限らず、缶飲料サーバは、飲料缶内部の飲料の加熱速度を速くするために使用されてもよい。
【0047】
さらに、ここでは、缶飲料サーバ12は、親テーブル32、子テーブル34、親ギア部36及び子ギア部38を用いて自転テーブル32、34の回転速度を変動できるように構成されているが、これに限らず、例えば、ステッピングモータ等の速度変動が可能な駆動装置を用いて自転テーブルの回転速度を変動させてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 液体冷却加熱装置
12 缶飲料サーバ
26 冷却加熱水槽
28 伝熱容器
30 公転ベース
32 親テーブル(自転テーブル)
32a 親回転軸
34 子テーブル(自転テーブル)
34a 子回転軸
36 親ギア部(親回転ギア)
38 子ギア部(子ギア)
44 従動ギア
46 駆動ギア
50 テーブル回転モータ(駆動機構)
50a モータ回転軸(回転駆動軸)
C 飲料缶