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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083027
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】産業車両用の燃料電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240613BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240613BHJP
   B60L 50/72 20190101ALI20240613BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240613BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/00 Z
B60L50/72
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197299
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】頭川 天洋
【テーマコード(参考)】
5H125
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA13
5H125AC07
5H125BD07
5H125FF09
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AC03
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA33
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB37
5H127EE04
5H127EE23
5H127EE27
5H127FF10
(57)【要約】
【課題】貯水タンクから気液分離器への生成水の漏出を抑制できる産業車両用の燃料電池ユニットを提供すること。
【解決手段】燃料電池ユニットは、貯水タンク50に貯留された生成水の水位を検出する水位センサ20を有する。水位センサ20は、軸部21と、軸部21に沿って移動するフロート22と、を有する。軸部21は、貯水タンク50の内部空間S1に延出している。フロート22は、内部空間S1に配置されている。排水口70を軸部21の延在方向から見ると、フロート22は、排水口70に重なり合って配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池から排出されたアノードオフガスが流入し、前記アノードオフガスに含まれる生成水を前記アノードオフガスから分離する気液分離器と、
前記気液分離器で分離された前記生成水を貯留する貯水タンクと、
前記気液分離器の内底面に開口し、かつ前記貯水タンクの天井面に開口し、前記気液分離器の内部空間と前記貯水タンクの内部空間を連通させる排水口と、
軸部と、前記軸部に沿って移動するフロートと、を有する水位センサと、
を有する産業車両の車体に搭載される産業車両用の燃料電池ユニットであって、
前記軸部は、前記貯水タンクの内部空間に延出しており、前記フロートは前記貯水タンクの内部空間に配置され、
前記排水口を前記軸部の延在方向から見ると、前記フロートは、前記排水口に重なり合って配置されていることを特徴とする産業車両用の燃料電池ユニット。
【請求項2】
前記排水口を囲むように前記貯水タンクの前記天井面から延出する筒状部材を有し、前記筒状部材は、前記貯水タンクの前記内部空間において、前記生成水の液面を、前記排水口に対向する対向領域と、前記対向領域と異なるその他の領域とに区切り、
前記軸部は、前記筒状部材に配置され、前記フロートは、前記筒状部材内にて前記対向領域に配置されている請求項1に記載の産業車両用の燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記筒状部材は、前記排水口の周縁に沿って延出しており、前記排水口を前記軸部の延在方向から見て、前記フロートの外形形状と前記筒状部材の内周面に沿う形状とは相似である請求項2に記載の産業車両用の燃料電池ユニット。
【請求項4】
前記貯水タンクは、前記産業車両の左右方向に対向する第1タンク側板及び第2タンク側板と、前記産業車両の前後方向に対向する第1タンク端板及び第2タンク端板と、を有し、前記左右方向への前記第1タンク端板及び前記第2タンク端板の寸法は、前記前後方向への前記第1タンク側板及び前記第2タンク側板の寸法より小さく、前記第1タンク側板及び前記第2タンク側板には、前記左右方向に延出し、かつ前記前後方向に対向する第1壁部及び第2壁部が架け渡されており、
前記第1壁部と前記第2壁部との間に前記排水口が配置されているとともに、前記フロートが配置されている請求項1に記載の産業車両用の燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両用の燃料電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両用の燃料電池ユニットは、燃料電池を有する。燃料電池は、産業車両の車両負荷に供給する電力を発電する。燃料電池は、アノードに供給される水素と、カソードに供給される酸素と、を化学反応させることにより発電する。燃料電池は、水素と酸素とが化学反応することにより生成水を生成する。
【0003】
産業車両用の燃料電池ユニットは、気液分離器と、貯水タンクを有する。気液分離器は、燃料電池から排出されたアノードオフガスに含まれる生成水を分離する。気液分離器は、貯水タンクよりも鉛直方向の上側に配置される。
【0004】
気液分離器の内部空間と貯水タンクの内部空間とは排水口によって連通している。気液分離器によって分離された生成水は、排水口を通じて貯水タンクに落下する。貯水タンクは、気液分離器によって分離された生成水を貯留する。また、燃料電池ユニットは、貯水タンクに貯留された生成水の水位を検出するための水位センサを備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-110714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
産業車両の移動時などに加速度が発生したとき、貯水タンクは傾かないが、貯水タンクの内部空間にて生成水の液面が傾く。すると、加速度が発生する前に比べて、液面の高くなった箇所が発生する。すると、液面の高くなった箇所にて、生成水が排水口を通じて貯水タンクから気液分離器へ漏出する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための産業車両用の燃料電池ユニットは、燃料電池と、前記燃料電池から排出されたアノードオフガスが流入し、前記アノードオフガスに含まれる生成水を前記アノードオフガスから分離する気液分離器と、前記気液分離器で分離された前記生成水を貯留する貯水タンクと、前記気液分離器の内底面に開口し、かつ前記貯水タンクの天井面に開口し、前記気液分離器の内部空間と前記貯水タンクの内部空間を連通させる排水口と、軸部と、前記軸部に沿って移動するフロートと、を有する水位センサと、有する産業車両の車体に搭載される産業車両用の燃料電池ユニットであって、前記軸部は、前記貯水タンクの内部空間に延出しており、前記フロートは前記貯水タンクの内部空間に配置され、前記排水口を前記軸部の延在方向から見ると、前記フロートは、前記排水口に重なり合って配置されていることを要旨とする。
【0008】
これによれば、産業車両の発進、停止、及び旋回の際、燃料電池ユニットに加速度が発生する。加速度の発生に伴い、貯水タンクの内部空間で液面が変動して液面に傾きが生じる。この液面の傾きに伴って、液面が排水口に近付くと、液面に浮遊しているフロートも排水口に近付く。つまり、液面が傾いたとき、排水口と液面との間にはフロートが介在している。さらに、フロートによって、波消し効果も発揮できるため、液面を低く抑えることができる。このため、貯水タンクの生成水が排水口を通じて気液分離器へ漏出することを抑制できる。
【0009】
産業車両用の燃料電池ユニットについて、前記排水口を囲むように前記貯水タンクの前記天井面から延出する筒状部材を有し、前記筒状部材は、前記貯水タンクの前記内部空間において、前記生成水の液面を、前記排水口に対向する対向領域と、前記対向領域と異なるその他の領域とに区切り、前記軸部は、前記筒状部材に配置され、前記フロートは、前記筒状部材内にて前記対向領域に配置されていてもよい。
【0010】
これによれば、液面に傾きが生じたとき、筒状部材によって、対向領域と、その他の領域とに液面が区切られている。このため、液面が区切られていない場合と比べると、対向領域の液面、及びその他の領域の液面の各々の高さは低くなる。その結果、貯水タンクに貯留された生成水が、排水口を通じて気液分離器に漏出することを抑制できる。そして、筒状部材内のフロートによっても、貯水タンクの生成水が排水口を通じて気液分離器へ漏出することを抑制できる。したがって、筒状部材及びフロートによって、貯水タンクに貯留された生成水が、排水口を通じて気液分離器に漏出することを抑制できる。
【0011】
産業車両用の燃料電池ユニットについて、前記筒状部材は、前記排水口の周縁に沿って延出しており、前記排水口を前記軸部の延在方向から見て、前記フロートの外形形状と前記筒状部材の内周面に沿う形状とは相似であってもよい。
【0012】
これによれば、排水口を軸部の延在方向から見たときに、排水口に重なり合うフロートの面積を大きくしやすい。その結果、フロートによって、排水口に近付く液面の面積を減らすことができる。このため、貯水タンクの生成水が排水口を通じて気液分離器へ漏出することを抑制できる。
【0013】
産業車両用の燃料電池ユニットについて、前記貯水タンクは、前記産業車両の左右方向に対向する第1タンク側板及び第2タンク側板と、前記産業車両の前後方向に対向する第1タンク端板及び第2タンク端板と、を有し、前記左右方向への前記第1タンク端板及び前記第2タンク端板の寸法は、前記前後方向への前記第1タンク側板及び前記第2タンク側板の寸法より小さく、前記第1タンク側板及び前記第2タンク側板には、前記左右方向に延出し、かつ前記前後方向に対向する第1壁部及び第2壁部が架け渡されており、前記第1壁部と前記第2壁部との間に前記排水口が配置されているとともに、前記フロートが配置されていてもよい。
【0014】
これによれば、貯水タンクは、左右方向に比べて前後方向に寸法が大きい。このため、産業車両の発進、停止、及び旋回の際、燃料電池ユニットに加速度が発生すると、前後方向の方が、左右方向に比べて液面が高くなる。このような産業車両において、第1壁部及び第2壁部によって、液面を前後方向に区切ることができるため、前後方向に傾いたときの液面の高さを低く抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、貯水タンクから気液分離器への生成水の漏出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】産業車両を示す側面図である。
図2】産業車両用の燃料電池ユニットを示す概略構成図である。
図3】気液分離器及び貯水タンクを示す斜視図である。
図4】気液分離器及び貯水タンクを示す図3の4-4線断面図である。
図5】水位センサを示す拡大断面図である。
図6】気液分離器及び貯水タンクを示す図3の6-6線断面図である。
図7】筒状部材及びフロートを示す断面図である。
図8】気液分離器及び貯水タンクの作用を説明する図である。
図9】気液分離器及び貯水タンクの別例を示す斜視図である。
図10】気液分離器及び貯水タンクを示す図9の10-10線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、産業車両用の燃料電池ユニットを具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。
<燃料電池フォークリフト>
図1に示すように、産業車両としての燃料電池フォークリフト100は、車体101と、車両負荷102と、を有する。以下の説明において、前後左右上下は、燃料電池フォークリフト100を基準にした前後左右上下である。前後方向Xは、燃料電池フォークリフト100の進行方向ともいえる。左右方向Yは、燃料電池フォークリフト100の車幅方向ともいえる。上下方向Zは燃料電池フォークリフト100の高さ方向ともいえる。
【0018】
車両負荷102の一例は、走行モータ103及び荷役モータ104である。走行モータ103は、車体101の駆動輪105を駆動させる。荷役モータ104は、荷役装置106を駆動させる。車体101は、燃料電池ユニット10の収容部107を有する。燃料電池ユニット10は、収容部107に収容されることにより、車体101に搭載されている。
【0019】
<燃料電池ユニット>
図2に示すように、燃料電池ユニット10は、燃料電池スタック11と、水素タンク12と、エアコンプレッサ13と、アノードガス供給路16と、カソードガス供給路17と、アノードオフガス排出路18と、カソードオフガス排出路19と、気液分離器30と、貯水タンク50と、排水口70と、を有する。また、図3に示すように、燃料電池ユニット10は、水位センサ20を有する。
【0020】
燃料電池としての燃料電池スタック11は、複数の燃料電池セルをスタック化したものである。燃料電池セルは、固体分子型燃料電池である。燃料電池スタック11は、アノードガスである水素ガス、及びカソードガスである酸化剤ガスが供給されることによって発電する。酸化剤ガスは、空気である。
【0021】
水素タンク12は、水素ガスを貯蔵する。エアコンプレッサ13は、空気を圧縮する。
図2に示すように、アノードガス供給路16は、燃料電池スタック11の図示しないアノードと水素タンク12を接続する。水素タンク12に貯留されているアノードガスは、水素タンク12から燃料電池スタック11に向けてアノードガス供給路16を流動する。
【0022】
カソードガス供給路17は、燃料電池スタック11の図示しないカソードとエアコンプレッサ13を接続する。エアコンプレッサ13によって圧縮された空気は、カソードガス供給路17に供給される。エアコンプレッサ13によって圧縮された空気は、エアコンプレッサ13から燃料電池スタック11に向けてカソードガス供給路17を流動する。
【0023】
アノードオフガス排出路18は、燃料電池スタック11の図示しないアノードと気液分離器30を接続する。燃料電池スタック11のアノードから排出されたアノードオフガスは、燃料電池スタック11のアノードから気液分離器30に向けてアノードオフガス排出路18を流動する。アノードオフガスは、燃料電池スタック11で未反応の水素ガスと、水素と酸素とが反応したときに生成された生成水を主に含む。
【0024】
カソードオフガス排出路19は、燃料電池スタック11の図示しないカソードと気液分離器30を接続する。カソードオフガスは、燃料電池スタック11から気液分離器30に向けてカソードオフガス排出路19を流動する。カソードオフガスは、燃料電池スタック11で未反応の酸素を含む空気と、水素と酸素とが反応したときに生成された生成水を主に含む。
【0025】
気液分離器30には、燃料電池スタック11から排出されたカソードオフガスが流入する。気液分離器30は、カソードオフガスに含まれる生成水を、カソードオフガスから分離する。また、気液分離器30には、燃料電池スタック11から排出されたアノードオフガスが流入する。気液分離器30は、アノードオフガスに含まれる生成水を、アノードオフガスから分離する。
【0026】
図3図4及び図6に示すように、気液分離器30は、アノードオフガス流入口38と、カソードオフガス流入口39と、ガス排出口40と、第1連通口41と、を有する。
気液分離器30は、前後方向Xに長手が延びる直方体状である。気液分離器30は、左右方向Yに短手が延びる直方体状である。
【0027】
気液分離器30は、上下方向Zに対向する底板31と天板32を有する。底板31及び天板32の各々は長四角板状である。底板31及び天板32の長縁は前後方向Xに延びる。底板31及び天板32の短縁は左右方向Yに延びる。底板31と天板32の上下方向Zの間隔は、前後方向X及び左右方向Yに一定であってもよいし、前後方向X及び左右方向Yの少なくとも一方において、一端から他端に向けて変化していてもよい。
【0028】
底板31は、板厚方向の一方面に内底面31aを有するとともに、板厚方向の他方面に外底面31bを有する。底板31の板厚方向は上下方向Zに一致する。天板32は、板厚方向の一方面に内面32aを有するとともに、板厚方向の他方面に外面32bを有する。天板32の板厚方向は上下方向Zに一致する。底板31の内底面31aと、天板32の内面32aは上下方向Zに対向する。
【0029】
気液分離器30は左右方向Yに対向する第1側板34と第2側板35を有する。第1側板34及び第2側板35の各々は長四角板状である。第1側板34及び第2側板35の長縁は前後方向Xに延びる。第1側板34及び第2側板35の短縁は上下方向Zに延びる。
【0030】
気液分離器30は前後方向Xに対向する第1端板36と第2端板37を有する。第1端板36及び第2端板37は長四角板状である。第1端板36及び第2端板37の長縁は左右方向Yに延びる。第1端板36及び第2端板37の短縁は上下方向Zに延びる。
【0031】
底板31、天板32、第1側板34、第2側板35、第1端板36、及び第2端板37は、気液分離器30を構成する板である。気液分離器30の長手方向は、底板31、天板32、第1側板34及び第2側板35の長縁の延びる方向である。
【0032】
気液分離器30の内部空間Sは、底板31と、天板32と、第1側板34と、第2側板35と、第1端板36と、第2端板37とによって画定されている。
アノードオフガス流入口38は、燃料電池スタック11から排出されたアノードオフガスを気液分離器30に流入させる。アノードオフガス流入口38には、アノードオフガス排出路18が接続されている。アノードオフガス流入口38は、天板32に配置されている。アノードオフガス流入口38は、天板32を板厚方向に貫通している。天板32におけるアノードオフガス流入口38の位置は、任意である。アノードオフガスに含まれる生成水は、気液分離器30の内部空間Sにおいて自重によってアノードオフガスから分離される。分離された生成水は、底板31の内底面31a上に溜まる。
【0033】
カソードオフガス流入口39は、燃料電池スタック11から排出されたカソードオフガスを気液分離器30に流入させる。カソードオフガス流入口39には、カソードオフガス排出路19が接続されている。カソードオフガス流入口39は、第1端板36に配置されている。カソードオフガス流入口39は、第1端板36を板厚方向に貫通している。第1端板36におけるカソードオフガス流入口39の位置は、任意である。カソードオフガスに含まれる生成水は、気液分離器30の内部空間Sにおいて自重によってカソードオフガスから分離される。分離された生成水は、底板31の内底面31a上に溜まる。
【0034】
ガス排出口40は、第2端板37に配置されている。ガス排出口40は、第2端板37を板厚方向に貫通する。カソードオフガスとアノードオフガスは、気液分離器30の内部空間Sで混合される。この混合により、アノードオフガスはカソードオフガスによって希釈される。気液分離器30でアノードオフガスとカソードオフガスが混合された排出ガスは、ガス排出口40を経由して排出される。したがって、気液分離器30は、アノードオフガスの希釈器を兼ねる。
【0035】
第1連通口41は、底板31に配置されている。第1連通口41は、底板31の長手方向の中央より第2端板37寄りに配置されている。第1連通口41は、底板31の短手方向の中央より第2側板35寄りに配置されている。第1連通口41は、底板31を板厚方向に貫通している。第1連通口41は、底板31の内底面31a上に溜まる生成水を気液分離器30の外部へ排出可能とする。
【0036】
<貯水タンク>
貯水タンク50は、気液分離器30で分離された生成水を貯留する。貯水タンク50には、生成水の上限水位が設定されている。上限水位は、貯水タンク50に貯留された生成水が満水か否かを判断するための水位である。なお、水位とは、液面Fの位置を高さによって表したものである。上限水位は、任意に設定できる。このため、貯水タンク50が満水か否かの判断基準は、燃料電池フォークリフト100の管理者によって任意に設定できる。液面Fが上限水位に到達した場合、貯水タンク50に貯留された生成水を貯水タンク50から排出することが好ましい。
【0037】
貯水タンク50は、タンク本体51と、第2連通口59と、筒状部材60と、排出口61を有する。
タンク本体51は、前後方向Xに長手が延びる直方体状である。タンク本体51は、左右方向Yに短手が延びる直方体状である。
【0038】
タンク本体51は、上下方向Zに対向するタンク底板52とタンク天板53を有する。タンク底板52及びタンク天板53の各々は長四角板状である。タンク底板52及びタンク天板53の長縁は前後方向Xに延びる。タンク底板52及びタンク天板53の短縁は左右方向Yに延びる。タンク底板52とタンク天板53の上下方向Zの間隔は、前後方向X及び左右方向Yに一定であってもよいし、前後方向X及び左右方向Yの少なくとも一方において、一端から他端に向けて変化していてもよい。
【0039】
タンク底板52は、板厚方向の一方面にタンク底面52aを有する。タンク天板53は、板厚方向の一方面に天井面53aを有するとともに、板厚方向の他方面に上面53bを有する。気液分離器30の外底面31bは、タンク天板53の上面53bに接触している。気液分離器30の内部空間Sと、貯水タンク50の内部空間S1とは、底板31とタンク天板53とによって隔てられている。タンク天板53の板厚方向は上下方向Zに一致する。タンク底板52のタンク底面52aと、タンク天板53の天井面53aは上下方向Zに対向する。
【0040】
タンク本体51は左右方向Yに対向する第1タンク側板54と第2タンク側板55を有する。したがって、貯水タンク50は、燃料電池フォークリフト100の左右方向Yに対向する第1タンク側板54及び第2タンク側板55を有する。第1タンク側板54及び第2タンク側板55の各々は長四角板状である。第1タンク側板54及び第2タンク側板55の長縁は前後方向Xに延びる。第1タンク側板54及び第2タンク側板55の短縁は上下方向Zに延びる。
【0041】
タンク本体51は前後方向Xに対向する第1タンク端板56と第2タンク端板57を有する。したがって、貯水タンク50は、燃料電池フォークリフト100の前後方向Xに対向する第1タンク端板56及び第2タンク端板57を有する。第1タンク端板56及び第2タンク端板57は長四角板状である。第1タンク端板56及び第2タンク端板57の長縁は上下方向Zに延びる。第1タンク端板56及び第2タンク端板57の短縁は左右方向Yに延びる。左右方向Yへの第1タンク端板56及び第2タンク端板57の寸法は、前後方向Xへの第1タンク側板54及び第2タンク側板55の寸法より小さい。したがって、貯水タンク50は、左右方向Yに比べて前後方向Xに寸法が大きい。
【0042】
貯水タンク50の内部空間S1、詳細には、タンク本体51の内部空間S1は、タンク底板52と、タンク天板53と、第1タンク側板54と、第2タンク側板55と、第1タンク端板56と、第2タンク端板57とによって画定されている。タンク底板52、タンク天板53、第1タンク側板54、第2タンク側板55、第1タンク端板56、及び第2タンク端板57は、タンク本体51を構成する板である。
【0043】
第2連通口59は、タンク天板53に配置されている。第2連通口59は、タンク天板53の長手方向の中央より第2タンク端板57寄りに配置されている。第2連通口59は、タンク天板53の短手方向の中央に配置されている。第2連通口59は、タンク天板53を板厚方向に貫通している。第2連通口59は、タンク天板53の天井面53aに開口する。第2連通口59は、気液分離器30の第1連通口41と上下方向Zに重なり合う。
【0044】
筒状部材60は、円筒状である。筒状部材60は、タンク天板53の天井面53aからタンク底板52のタンク底面52aに向けて延出する。筒状部材60は、第2連通口59を囲む筒状であるといえる。筒状部材60の内周縁は、第2連通口59の開口縁に沿う。筒状部材60の先端面60aは、筒状部材60の下端である。筒状部材60の先端面60aは、タンク底板52のタンク底面52aよりも上に位置する。筒状部材60の先端面60aは、タンク底面52aから離れている。
【0045】
排出口61は、第2タンク端板57に配置されている。排出口61は、第2タンク端板57を板厚方向に貫通する。貯水タンク50に貯留された生成水は、排出口61から定期的に排出される。
【0046】
排水口70は、気液分離器30の第1連通口41と、貯水タンク50の第2連通口59とが上下方向Zに重なって形成されている。排水口70は、気液分離器30の内部空間Sと貯水タンク50の内部空間S1を連通させる。排水口70は、気液分離器30の内底面31aに開口し、かつ貯水タンク50の天井面53aに開口する。
【0047】
筒状部材60は、貯水タンク50の天井面53aからタンク底板52のタンク底面52aに向けて延出する。また、筒状部材60は、第2連通口59を囲む。筒状部材60は、第2連通口59の周縁から延出する。したがって、筒状部材60は、排水口70の周縁に沿って延出する。よって、筒状部材60は、排水口70を囲むように天井面53aから延出する。
【0048】
気液分離器30の内底面31a上に溜まった生成水は、排水口70を通じて貯水タンク50の内部空間S1に排出される。貯水タンク50の内部空間S1に排出された生成水は、タンク底面52a上に貯留される。生成水の液面Fが筒状部材60の先端面60aより上に位置すると、液面Fは、筒状部材60の内側の第1領域R1と、第1領域R1以外の第2領域R2とに区切られる。液面Fを上側から見た場合、第1領域R1は円形状である。液面Fを上側から見た場合、第2領域R2は、第1領域R1を囲む。ここで、「上側から見た場合」とは、筒状部材60の延出方向に沿って液面Fから離れた位置から見た場合のことである。したがって、「液面Fを上側から見た場合」とは、筒状部材60の延出方向において液面Fから離れた排水口70側から液面Fを見ることである。なお、本実施形態では、筒状部材60の延出方向は、上下方向Zに一致する。
【0049】
筒状部材60は、貯水タンク50の内部空間S1において、生成水の液面Fを、第1領域R1と、その他の第2領域R2に区切る。第1領域R1は、液面Fのうち、排水口70に対向する対向領域である。第1領域R1は、排水口70の開口形状と同じ大きさの円形状である。第2領域R2は、第1領域R1と異なるその他の領域である。
【0050】
タンク本体51のタンク長Lは、第1タンク端板56の内面と第2タンク端板57の内面との前後方向Xへの距離である。筒状部材60の開口幅Wは、筒状部材60の内周面のうち、前後方向Xに対向する面同士の前後方向Xへの距離である。したがって、開口幅Wは、第1領域R1の前後方向Xへの距離Kと同じである。この第1領域R1の距離Kは、タンク長Lより短い。
【0051】
筒状部材60の先端面60aは、タンク底板52のタンク底面52aから離れている。筒状部材60は、液面Fを区切る一方で、貯水タンク50の内部空間S1を複数の空間に区切っていない。このため、第1領域R1と第2領域R2は、連通している。よって、貯水タンク50の内部空間S1に貯留された生成水も複数に分けて貯留されている訳ではない。筒状部材60の先端面60aと、タンク底板52のタンク底面52aとの間には、第1領域R1と第2領域R2を連通させる隙間が形成されている。この隙間は、第1領域R1と第2領域R2を連通させる連通部71である。したがって、燃料電池ユニット10は、第1領域R1と第2領域R2を連通させる連通部71を有する。そして、連通部71は、筒状部材60の先端面60aと、タンク底板52のタンク底面52aとの間に画定された隙間である。
【0052】
連通部71の高さH1は、筒状部材60の先端面60aと、タンク底板52のタンク底面52aとの上下方向Zへの寸法である。連通部71の高さH1が低すぎると、第1領域R1と第2領域R2との間での生成水の往来が困難になる。このため、連通部71の高さH1は、20mm以上に設定されるのが好ましい。
【0053】
<水位センサ>
図4図5及び図6に示すように、水位センサ20は、貯水タンク50に貯留された生成水の水位を検出する。より具体的には、水位センサ20は、貯水タンク50の上限水位に液面Fが到達したか否かを検出する。
【0054】
水位センサ20は、軸部21と、フロート22と、を有する。水位センサ20は、上側ストッパ25a及び下側ストッパ25bを有していてもよい。軸部21は金属製の円筒状である。軸部21の第1端部である上端部は、気液分離器30の天板32に固定されている。軸部21は、天板32から貯水タンク50に向けて真っ直ぐに延びる。軸部21は、気液分離器30の天板32から下方へ延出するように上下方向Zに延在する。
【0055】
軸部21は、貯水タンク50の内部空間S1に延出している。具体的には、軸部21は、天板32から延出し、かつ排水口70を通過して貯水タンク50の内部空間S1に延出している。軸部21は、筒状部材60の延出方向に延在している。軸部21の延在方向は、上下方向Zと一致する。軸部21の第2端部である下端部は、筒状部材60の先端面60a寄りに配置されている。筒状部材60は、排水口70の周縁から延出するため、軸部21の下端部側は、筒状部材60の内側に配置されている。したがって、軸部21は、排水口70を通過して筒状部材60に挿通されるように延在している。
【0056】
図示しないが、軸部21の内部には、上限水位を検出するための検出回路が設置されている。
フロート22は、筒状部材60内で液面Fを浮遊している。フロート22は、軸部21に対し摺動可能に軸部21に取り付けられている。フロート22は、液面Fの変動に応じて軸部21に沿って移動する。フロート22は、軸部21によって上下方向Zへ移動するように案内される。つまり、フロート22は、軸部21に沿って軸部21の延在方向に移動する。
【0057】
フロート22は、ケース23と、磁石24と、を有する。ケース23は、中空状である。ケース23は、軸部21に沿って上下方向Zに摺動可能である。図示しないが、ケース23の内周面と軸部21の周面との間はシールされている。
【0058】
図7に示すように、排水口70を上側から見て、フロート22の外形形状は円形状である。なお、「排水口70を上側から見て」とは、軸部21の延在方向に沿って排水口70から離れた位置から排水口70を見た場合のことである。排水口70を上側から見て、フロート22の外形形状と、排水口70の周縁に沿う形状とは相似である。具体的には、フロート22の外形形状である円と、排水口70の周縁に沿う円とは、排水口70の周縁に沿う円の方を大径とする相似形状である。筒状部材60は、排水口70の周縁に沿う円筒状であるため、排水口70を上側から見て、つまり、排水口70を軸部21の延在方向から見て、フロート22の外形形状と、筒状部材60の内周面に沿う形状とは相似である。フロート22は、軸部21に沿って摺動するため、フロート22の径方向への移動は規制されている。このため、排水口70を上側から見たとき、フロート22の外周面と、筒状部材60の内周面との間には、一定のクリアランスが画定されている。以上から、排水口70を上側から見ると、つまり、排水口70を軸部21の延在方向から見ると、フロート22は、その全体が排水口70に重なり合って配置されている。さらには、排水口70を上側から見て、つまり、排水口70を軸部21の延在方向から見て、フロート22は、その全体が排水口70に重なり合って筒状部材60内に配置されている。したがって、フロート22は、筒状部材60にて第1領域R1に配置されている。
【0059】
図4図5、及び図6に示すように、磁石24は、ケース23の内部に固定されている。磁石24は環状である。磁石24は、ケース23とともに軸部21に沿って上下方向Zに移動する。
【0060】
液面Fが上限水位より下にある場合、検出回路は、磁石24の磁気を検出することなく開状態になっている。このため、開状態の検出回路は、図示しない上位制御装置に対して、検出信号を出力しない。液面Fが上限水位に到達すると、フロート22も上限水位に到達する。この場合、検出回路は、磁石24の磁気を検出して閉状態になる。閉状態となった検出回路は、上位制御装置に対して、検出信号を出力する。検出信号を入力した上位制御装置は、図示しない報知手段によって、液面Fが上限水位に到達した旨を報知する。
【0061】
上側ストッパ25a及び下側ストッパ25bの各々は、軸部21に固定されている。上側ストッパ25a及び下側ストッパ25bは、貯水タンク50の内部空間S1に配置されている。上側ストッパ25a及び下側ストッパ25bの各々は、上下方向Zへ移動できない。上側ストッパ25aは、下側ストッパ25bより上方に位置している。上側ストッパ25aと下側ストッパ25bは、上下方向Zに離れている。フロート22は、上側ストッパ25aと下側ストッパ25bの間で上下方向Zへ移動する。
【0062】
上側ストッパ25aの下面にフロート22の上面が接触すると、上側ストッパ25aによって上方へのフロート22の移動が規制される。上側ストッパ25aの下面にフロート22の上面を接触させることで、予め設定された上限水位をフロート22で検出できるようにしている。
【0063】
下側ストッパ25bの上面にフロート22の下面が接触すると、下側ストッパ25bによって下方へのフロート22の移動が規制される。下側ストッパ25bの上面にフロート22の下面を接触させることで、フロート22の下方への移動を一定の範囲内に規制している。したがって、下側ストッパ25bは、フロート22が一定の範囲を越えて下方へ移動することを規制している。このため、下側ストッパ25bは、フロート22の下方への移動を下限位置に規制するストッパである。なお、下限位置は、生成水の上限水位を水位センサ20で検出するために必要とする水位である。
【0064】
<作用>
燃料電池フォークリフト100の発進の際、加速度が発生する。すると、前後方向Xへの加速度が発生して、貯水タンク50の内部空間S1にて液面Fが変動して液面Fが傾く。
【0065】
筒状部材60の内側でも液面Fが傾く。このとき、筒状部材60の内側にあるフロート22によって、第1領域R1での液面Fの変動が抑制される。また、液面Fが傾いて、液面Fが排水口70に近付いたとき、液面Fに浮遊するフロート22が排水口70に近付く。つまり、液面Fが傾いたとき、排水口70と液面Fとの間にはフロート22が介在している。さらに、フロート22によって液面Fの波消し効果が発揮される。このため、フロート22によって、液面Fを低く抑えつつ、フロート22によって排水口70への液面Fの接近を抑制できる。その結果、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することを抑制できる。
【0066】
図8の2点鎖線に示すように、筒状部材60が無い場合の液面Fの高さは、タンク長Lによって決まる。図8に示すように、筒状部材60の内側の第1領域R1での液面Fの高さは、距離Kによって決まる。距離Kは、タンク長Lよりも短い。このため、第1領域R1での液面Fの高さは、筒状部材60が無い場合の液面Fの高さより低くなる。
【0067】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)水位センサ20のフロート22は、排水口70に重なり合っている。このため、液面Fが変動して傾いたとき、排水口70と液面Fとの間にはフロート22が介在している。このため、フロート22によって、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することを抑制できる。したがって、水位センサ20を貯水タンク50に配置しても、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することを抑制できる。
【0068】
(2)水位センサ20のフロート22によって液面Fの波消しを行うことができる。このため、フロート22によって液面Fを排水口70に到達しにくくできる。よって、排水口70に重なり合うフロート22に加え、液面Fの変動をフロート22で抑制することにより、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することをより一層抑制できる。
【0069】
(3)貯水タンク50は、天井面53aから延出する筒状部材60を有する。筒状部材60は、液面Fを第1領域R1と第2領域R2に区切る。そして、第1領域R1の距離Kは、タンク長Lより短くなっている。このため、液面Fが傾いたとき、第1領域R1での液面Fの高さを、筒状部材60が無い場合での液面Fの高さより低くできる。その結果、筒状部材60とフロート22とによって、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することをより一層抑制できる。さらには、フロート22は、波消しされた第1領域R1に位置するため、水位センサ20の検出精度が高められる。
【0070】
(4)フロート22の外形形状は、排水口70の周縁に沿う形状、及び筒状部材60の内周面に沿う形状と相似な円形状である。このため、フロート22が排水口70に近付いたとき、フロート22によって排水口70を覆う面積を大きくできる。よって、フロート22によって液面Fを排水口70に到達しにくくできる。
【0071】
(5)筒状部材60は、排水口70を囲む筒状である。燃料電池フォークリフト100には、車体101の前後方向X、左右方向Yを含め全方位に加速度が発生する。このとき、排水口70は、筒状部材60によって全方位から囲まれている。このため、全方位から加速度が発生しても、第1領域R1の液面Fが全方位に高くなることを抑制できる。したがって、いずれの方向から加速度が発生しても、貯水タンク50から気液分離器30への生成水の漏出を抑制できる。
【0072】
(6)水位センサ20は、貯水タンク50の上限水位を検出するために設けられている。この水位センサ20のフロート22によって、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することを抑制できる。したがって、水位センサ20を貯水タンク50に設置するにあたり、フロート22の配置位置を調整することで、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することを抑制できる。つまり、新たに部品を追加することなく、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することを抑制できる。
【0073】
(7)貯水タンク50の上限水位を水位センサ20によって検出することを目的として、水位センサ20を排水口70とは別の場所に設置することがある。この場合、気液分離器30の天板32に第1端部の固定された軸部21は、気液分離器30の底板31及び貯水タンク50のタンク天板53を貫通する。すると、気液分離器30及び貯水タンク50には、排水口70に加え、水位センサ20を設置するための孔が設けられる。これに対し、排水口70に軸部21を通過させるとともに、その軸部21にフロート22を支持させた場合、水位センサ20を設置するための孔は、排水口70だけで済む。したがって、排水口70を利用して水位センサ20を設置することにより、気液分離器30及び貯水タンク50に形成される孔を減らすことができる。その結果として、気液分離器30と貯水タンク50との間での漏水を防止するために設けるシール構造の数も減らすことができる。
【0074】
(8)筒状部材60は、排水口70の周縁に沿って設けられている。このため、液面Fを上下方向Zに見たときの第1領域R1の大きさを、排水口70の大きさと同じにできる。よって、液面Fが傾いたとき、第1領域R1の高さを低くできる。
【0075】
(9)水位センサ20及び筒状部材60は、貯水タンク50から気液分離器30への生成水の漏出を抑制する。このため、気液分離器30の外へ生成水が排出されないようにガス排出口40やカソードオフガス流入口39の配置を調節する必要がない。
【0076】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図9及び図10に示すように、燃料電池ユニット10は、筒状部材60の代わりに、第1壁部81と、第2壁部82とを有していてもよい。
【0077】
第1壁部81及び第2壁部82の各々は、長四角板状である。第1壁部81及び第2壁部82の各々は、タンク天板53の天井面53aからタンク底面52aに向けて延出している。第1壁部81及び第2壁部82の各々は、第1タンク側板54及び第2タンク側板55に架け渡されている。したがって、第1タンク側板54及び第2タンク側板55には、左右方向Yに延出し、かつ前後方向Xに対向する第1壁部81及び第2壁部82が架け渡されている。第1壁部81及び第2壁部82は、タンク本体51の左右方向Yの全体に亘って設けられている。
【0078】
第1壁部81と第2壁部82は、前後方向Xに排水口70を挟む。つまり、排水口70は、第1壁部81と第2壁部82の間に配置されている。第1壁部81は、板厚方向の一面に第1対向面81aを有する。第2壁部82は、板厚方向の一面に第2対向面82aを有する。第1対向面81aと第2対向面82aは、前後方向Xに対向する。第1対向面81aは、排水口70の開口縁の一部に沿う。第2対向面82aは、排水口70の開口縁の一部に沿う。
【0079】
第1壁部81の下端81b及び第2壁部82の下端82bの各々は、タンク底板52のタンク底面52aよりも上に位置する。そして、連通部83は、下端81b及び下端82bと、タンク底面52aとの間に画定されている。
【0080】
水位センサ20の軸部21は、上下方向Zに排水口70を通過する。軸部21は、貯水タンク50の内部空間S1に延出している。フロート22は、前後方向Xにおける第1壁部81と第2壁部82の間に配置されている。排水口70を上側から見て、つまり、排水口70を軸部21の延在方向から見て、フロート22の外形形状と排水口70の周縁に沿う円形状とは相似となっている。
【0081】
このように構成した場合、排水口70に対向する対向領域としての第1領域R1は、第1壁部81と、第2壁部82と、第1タンク側板54と、第2タンク側板55との間に形成される。第1領域R1の距離Kは、実施形態と同じであるが、左右方向Yへの第1領域R1の寸法は、実施形態より長くなる。なお、その他の領域としての第2領域R2は、第1壁部81と、第1タンク端板56と、第1タンク側板54と、第2タンク側板55との間に形成される。もう一つのその他の領域としての第3領域R3は、第2壁部82と、第2タンク端板57と、第1タンク側板54と、第2タンク側板55との間に形成される。
【0082】
そして、第1壁部81及び第2壁部82は、貯水タンク50の内部空間S1にて生成水の液面Fを、排水口70に対向する対向領域としての第1領域R1と、その他の領域としての第2領域R2及び第3領域R3とに区切る。
【0083】
このように構成した場合、貯水タンク50は、左右方向Yに比べて前後方向Xに寸法が大きい。このため、燃料電池フォークリフト100の発進、停止、及び旋回の際、燃料電池ユニット10に加速度が発生すると、前後方向Xの方が、左右方向Yに比べて液面Fが高くなる。このような燃料電池フォークリフト100において、第1壁部81及び第2壁部82によって、液面Fを前後方向Xに区切ることができるため、前後方向Xに傾いたときの液面Fの高さを低く抑制できる。
【0084】
そして、第1壁部81及び第2壁部82によって、液面Fの高さを低くしつつ、フロート22によって、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することを抑制できる。よって、第1壁部81、第2壁部82、及びフロート22によって、貯水タンク50の生成水が排水口70を通じて気液分離器30へ漏出することをより一層抑制できる。
【0085】
図9及び図10に示す形態において、第1壁部81及び第2壁部82の各々は、第1タンク側板54及び第2タンク側板55に掛け渡されていなくてもよい。つまり、第1壁部81及び第2壁部82は、タンク本体51の左右方向Yの全体に亘って設けられていなくてもよい。この場合、対向領域は、第1壁部81と第2壁部82の間の第1領域R1となる。
【0086】
図9及び図10に示す形態において、第1壁部81及び第2壁部82の少なくとも一方は、排水口70の開口縁から前後方向Xに離れていてもよい。但し、距離Kが長くなりすぎることを抑制するため、開口縁からの離間距離は、150mm以下に設定されるのが好ましい。
【0087】
○ 筒状部材60は、排水口70の周縁に沿っていなくてもよい。この場合、筒状部材60は、排水口70の周縁から離れている。但し、距離Kが長くなりすぎることを抑制するため、排水口70の周縁からの筒状部材60の離間距離は、150mm以下に設定されるのが好ましい。
【0088】
○ 気液分離器30のガス排出口40は、天板32に配置されていてもよい。
○ 気液分離器30のアノードオフガス流入口38及びカソードオフガス流入口39の位置は変更してもよい。
【0089】
○ 気液分離器30には、アノードオフガスのみが流入してもよい。この場合、燃料電池ユニット10は、気液分離器30以外に希釈器を備えるのが好ましい。希釈器には、燃料電池スタック11から排出されたカソードオフガスが導入される。そして、希釈器は、気液分離器30から排出されたアノードオフガスをカソードオフガスで希釈する。
【0090】
○ 筒状部材60は、多角筒状であってもよい。この場合、筒状部材60の内縁に排水口70の周縁が沿うように、排水口70は多角孔状にするのが好ましい。さらに、排水口70の周縁に沿う形状と、フロート22の外形形状とが相似となるように、フロート22の外形形状も多角形状にするのが好ましい。
【0091】
○ 筒状部材60の内周面に沿う形状と、フロート22の外形形状とは相似でなくてもよい。例えば、筒状部材60の内周面に沿う形状が円形状であっても、フロート22の外形形状は四角形状等の多角形状であってもよい。逆に、筒状部材60の内周面に沿う形状が多角形状であっても、フロート22の外形形状は円形状であってもよい。
【0092】
○ 気液分離器30の底板31と、貯水タンク50のタンク天板53との間に連通管を介在させてもよい。この場合、排水口70は、底板31の第1連通口41と、タンク天板53の第2連通口59と、連通管とが上下方向Zに重なって形成されていてもよい。
【0093】
○ 燃料電池ユニット10は、筒状部材60や、第1壁部81及び第2壁部82を有していなくてもよい。この場合、排水口70を軸部21の延在方向から見て、排水口70にフロート22の全体が重なるように水位センサ20が設置されている。なお、排水口70を軸部21の延在方向から見て、排水口70にフロート22の一部が重なっているだけでもよい。つまり、液面Fが変動したとき、排水口70の一部だけでもフロート22で下方から覆うことができれば、排水口70に対するフロート22の位置は適宜変更してもよい。
【0094】
○ 水位センサ20は、液面Fの上限水位を検出するのではなく、液面Fの水位をリアルタイムで検出してもよい。
○ 水位センサ20は、上側ストッパ25a及び下側ストッパ25bを有していなくてもよい。
【0095】
○ 産業車両としては、荷等の搬送に用いられる牽引車、ピッキング作業に用いられるオーダーピッカー等であってもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
【0096】
○ 前記筒状部材は円筒状であり、前記フロートの外形形状は円形状である。
【符号の説明】
【0097】
F…液面、R1…対向領域としての第1領域、R2…その他の領域としての第2領域、S,S1…内部空間、X…前後方向、Y…左右方向、Z…上下方向、10…燃料電池ユニット、11…燃料電池としての燃料電池スタック、20…水位センサ、21…軸部、22…フロート、30…気液分離器、31a…内底面、50…貯水タンク、53a…天井面、54…第1タンク側板、55…第2タンク側板、56…第1タンク端板、57…第2タンク端板、60…筒状部材、70…排水口、81…第1壁部、82…第2壁部、100…産業車両としての燃料電池フォークリフト、101…車体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10