(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083039
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】リサイクル樹脂組成物の製造方法、リサイクル樹脂組成物、及びリサイクル樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240613BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20240613BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20240613BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20240613BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20240613BHJP
C08L 27/18 20060101ALI20240613BHJP
C08J 11/06 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L23/04
C08L23/10
C08K3/00
C08K3/26
C08L27/18
C08J11/06 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197324
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】311018921
【氏名又は名称】株式会社TBM
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】土肥 彰人
【テーマコード(参考)】
4F401
4J002
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA10
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(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、無機物質粉末が高充填された樹脂廃材を使用しつつも、良好な溶融特性を備えるリサイクル樹脂組成物を得るための技術の提供である。
【解決手段】本発明は、樹脂廃材に、前記樹脂廃材に対して、0.2質量%以上3.0質量%以下のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加する工程を含み、前記樹脂廃材が、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを10:90~50:50の質量比で含み、前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、ポリテトラフルオロエチレンと、有機系重合体と、からなる、リサイクル樹脂組成物の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂廃材に、前記樹脂廃材に対して、0.2質量%以上3.0質量%以下のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加する工程を含み、
前記樹脂廃材が、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを10:90~50:50の質量比で含み、
前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、ポリテトラフルオロエチレンと、有機系重合体と、からなる、
リサイクル樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
樹脂廃材及び無機物質粉末の樹脂混合物に、前記樹脂混合物に対して、0.2質量%以上3.0質量%以下のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加する工程を含み、
前記樹脂混合物が、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを10:90~50:50の質量比で含み、
前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、ポリテトラフルオロエチレンと、有機系重合体と、からなる、
リサイクル樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記無機物質粉末が、重質炭酸カルシウムを含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記重質炭酸カルシウムの平均粒子径が、0.5μm以上13.5μm以下である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ポリテトラフルオロエチレンの含有量が、前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体に対して、10質量%以上70質量%以下であり、かつ、
前記有機系重合体の含有量が、前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体に対して、30質量%以上90質量%以下である、
請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の製造方法によって得られた、リサイクル樹脂組成物。
【請求項9】
請求項7に記載のリサイクル樹脂組成物から得られた、リサイクル樹脂成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル樹脂組成物の製造方法、リサイクル樹脂組成物、及びリサイクル樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題等を踏まえ、資源のリサイクル(再生利用)に関する関心が高まっている。この様な資源としては樹脂廃材等が挙げられる。
【0003】
樹脂廃材としては、例えば、熱可塑性樹脂と共に無機物質粉末が高充填された樹脂組成物(例えば、特許文献1)が挙げられる。
無機物質粉末が高充填された樹脂廃材は、環境負荷等を低減する観点から、有用な加工材料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、樹脂廃材のリサイクルにおいては、樹脂廃材の組成等が成形加工性に影響するため、樹脂廃材の種類等に応じてリサイクルのし易さが異なることが知られている。
【0006】
本発明者は、無機物質粉末(炭酸カルシウム粉末等)が高充填された樹脂廃材が、低い溶融特性を有することを見出した。これは、無機物質粉末の分散性が不均一であることに起因すると考えられる。
無機物質粉末が高充填された樹脂廃材は、溶融特性が低いことから、成形加工性が悪く、安定的なリサイクルが困難だった。
【0007】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、無機物質粉末が高充填された樹脂廃材を使用しつつも、良好な溶融特性を備えるリサイクル樹脂組成物を得るための技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、無機物質粉末が高充填された樹脂廃材に対して、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体を所定量添加することで上記課題を解決出来る点を見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下を提供する。
【0009】
(1) 樹脂廃材に、前記樹脂廃材に対して、0.2質量%以上3.0質量%以下のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加する工程を含み、
前記樹脂廃材が、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを10:90~50:50の質量比で含み、
前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、ポリテトラフルオロエチレンと、有機系重合体と、からなる、
リサイクル樹脂組成物の製造方法。
【0010】
(2) 樹脂廃材及び無機物質粉末の樹脂混合物に、前記樹脂混合物に対して、0.2質量%以上3.0質量%以下のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加する工程を含み、
前記樹脂混合物が、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを10:90~50:50の質量比で含み、
前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、ポリテトラフルオロエチレンと、有機系重合体と、からなる、
リサイクル樹脂組成物の製造方法。
【0011】
(3) 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を含む、(1)又は(2)に記載の製造方法。
【0012】
(4) 前記無機物質粉末が、重質炭酸カルシウムを含む、(1)又は(2)に記載の製造方法。
【0013】
(5) 前記重質炭酸カルシウムの平均粒子径が、0.5μm以上13.5μm以下である、(4)に記載の製造方法。
【0014】
(6) 前記ポリテトラフルオロエチレンの含有量が、前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体に対して、10質量%以上70質量%以下であり、かつ、
前記有機系重合体の含有量が、前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体に対して、30質量%以上90質量%以下である、
請求項(1)又は(2)に記載の製造方法。
【0015】
(7) 前記ポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンである、(5)に記載の製造方法。
【0016】
(8) (1)又は(2)に記載の製造方法によって得られた、リサイクル樹脂組成物。
【0017】
(9) (7)に記載のリサイクル樹脂組成物から得られた、リサイクル樹脂成形体。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無機物質粉末が高充填された樹脂廃材を使用しつつも、良好な溶融特性を備えるリサイクル樹脂組成物を得るための技術が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0020】
<本発明の製造方法-1>
本発明の第1の態様に係るリサイクル樹脂組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法-1」ともいう。)は、以下の要件を全て満たす。
・樹脂廃材に、前記樹脂廃材に対して、0.2質量%以上3.0質量%以下のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加する工程を含む。
・樹脂廃材が、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを10:90~50:50の質量比で含む。
・ポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、ポリテトラフルオロエチレンと、有機系重合体と、からなる。
【0021】
無機物質粉末(炭酸カルシウム粉末等)が高充填された樹脂廃材は、環境負荷が低いという観点から、有用な加工材料である。
他方で、本発明者は、この様な樹脂廃材が、無機物質粉末の分散性が不均一であることに起因する、低い溶融特性(溶融特性のばらつき等)を有することを見出した。この様な樹脂廃材は、成形加工性が悪く、安定的なリサイクルが困難だった。
【0022】
無機物質粉末が高充填された樹脂廃材の溶融特性を向上するための手段として、各種分散性向上剤の利用が考えられる。
しかし、高量の(例えば、樹脂含有量よりも高量の)の無機物質粉末が含まれる樹脂廃材においても充分な分散性を実現出来る分散性向上剤は見出し難かった。
【0023】
本発明者らが更に鋭意検討した結果、意外にも、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加すると、無機物質粉末が高充填された樹脂廃材であっても、その溶融時に、無機物質粉末の分散性が高まり、溶融特性が良好となり易いことが見出された。
この様な効果は、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の添加量が、樹脂廃材に対して0.2質量%以上3.0質量%以下であると、特に安定的に奏された。
【0024】
本発明において「樹脂廃材」とは、樹脂を材料として含む廃棄物を包含する。
【0025】
本発明の製造方法-1において「リサイクル樹脂組成物」とは、樹脂廃材を材料として得られた樹脂組成物を包含する。
本発明の製造方法-1におけるリサイクル樹脂組成物は、樹脂廃材、及びポリテトラフルオロエチレン含有粉体からなる態様を包含する。
【0026】
本発明において「良好な溶融特性」とは、メルトマスフローレイトのばらつきが小さいことを包含する。溶融特性は実施例に示した方法で評価される。
【0027】
溶融特性が良好であることは、成形加工性の向上をもたらす。
本発明において「成形加工性の向上」とは、樹脂廃材の加工が容易であり、得られる成形品の表面特性や外観等が良好となることを包含する。
【0028】
本発明において「成分Aからなる」とは、成分A以外の成分を実質的に含まないことを意味する。
【0029】
本発明において「成分Bを実質的に含まない」とは、成分Bの含有量が、その配合対象全体(例えば、樹脂廃材)に対して、0.1質量%未満である態様、より好ましくは0.01質量%以下である態様、更に好ましくは成分Bを全く含まない態様を包含する。
【0030】
(1)ポリテトラフルオロエチレン含有粉体
本発明の製造方法-1において、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体は、樹脂廃材の改質剤として機能し、樹脂廃材の均一な溶融特性や、成形加工性の向上に寄与する。その作用は定かではないが、ポリテトラフルオロエチレン(特に、繊維状のポリテトラフルオロエチレン)が、無機物質粉末の存在下であっても樹脂中に均一分散し易いことによって実現されるものと考えられる。
【0031】
(1-1)ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の構成
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体は、ポリテトラフルオロエチレンと有機系重合体とからなる。
具体的には、ポリテトラフルオロエチレン含有改質剤として知られる成分(例えば、特開2016-44226号公報を参照)を採用出来る。
【0032】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体を構成するポリテトラフルオロエチレンとしては、化学式「(C2F4)n」で表されるテトラフルオロエチレンの重合体を使用出来る。
【0033】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体を構成する有機系重合体としては特に限定されないが、本発明の効果が奏され易いという観点から、熱可塑性樹脂との親和性が高いものが好ましい。
【0034】
有機系重合体の単位としては、例えば、以下のうち何れか1以上が挙げられる;
(メタ)アクリル酸エステル系単量体(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等);
芳香族ビニル系単量体(スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、o-エチルスチレン、p-クロロスチレン、o-クロロスチレン、2,4-ジクロロスチレン、p-メトキシスチレン、o-メトキシスチレン、2,4-ジメチルスチレン等);
シアン化ビニル系単量体(アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等)。
オレフィン系単量体(エチレン、プロピレン、イソブチレン等)。
【0035】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体を構成する有機系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましい。
【0036】
本発明の効果が安定的に奏され易いという観点から、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体としては、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0037】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体を構成するポリテトラフルオロエチレン及び有機系重合体の比率は特に限定されないが、本発明の効果が奏され易いという観点から、以下の要件を全て満たすことが好ましい。
・ポリテトラフルオロエチレンの含有量が、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体に対して、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは20質量%以上60質量%以下である。
・有機系重合体の含有量が、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体に対して、30質量%以上90質量%以下、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
【0038】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の粒子径は特に限定されないが、通常、10μm以上100μm以下であり得る。ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)画像に基づき特定できる。
【0039】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体としては市販品を用いても良く、例えば、「メタブレン(商標)A-3000」、「メタブレン(商標)A-3700」、「メタブレン(商標)A-3750」、「メタブレン(商標)A-3800」(何れも三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
これらは何れもアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンである。
【0040】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法としては特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン粒子及び有機系重合体粒子の分散液を粉体化する方法等が挙げられる。
ポリテトラフルオロエチレン粒子及び有機系重合体粒子の分散液は、各成分の分散液の混合等によって得られる。
各成分の分散液は、モノマーの乳化重合等によって得られる。乳化重合に際しては、適宜界面活性剤を使用しても良い。
分散液の粉体化は、スプレードライ等を使用出来る。
【0041】
(1-2)ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の添加量
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体は、樹脂廃材に対して、0.2質量%以上3.0質量%以下の量で添加される。
本発明者は、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の添加量が上記範囲であると、無機物質粉末が高充填された樹脂廃材の溶融特性が特に安定的に良好となることを見出した。
【0042】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の添加量の下限は、樹脂廃材に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
【0043】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の添加量の上限は、樹脂廃材に対して、3.0質量%以下、好ましくは2.0質量%以下である。
【0044】
(2)樹脂廃材
樹脂廃材は、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを、熱可塑性樹脂:無機物質粉末=10:90~50:50の質量比で含む。該樹脂廃材は、無機物質粉末が高充填された樹脂廃材に相当する。
【0045】
(2-1)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、任意の樹脂製品に含まれるものであっても良い。熱可塑性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
【0046】
熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチル-1-ペンテン、エチレン-環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;
エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)、エチレン-アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-メタクリル酸アルキルエステル共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;
ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12等のポリアミド系樹脂;
ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系樹脂等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;
芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート等のポリカーボネート樹脂;
アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン(AS)共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体等のポリスチレン系樹脂;
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化ビニル系樹脂;
ポリフェニレンスルフィド;
ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のポリエーテル系樹脂等。
【0047】
熱可塑性樹脂は、本発明の効果が奏され易いという観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
本発明において「ポリオレフィン系樹脂」とは、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂を包含する。
本発明において「オレフィン成分単位を主成分とする」とは、ポリオレフィン系樹脂中のオレフィン成分単位が、50質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であることを包含する。
【0048】
ポリオレフィン系樹脂の製造方法は特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒、酸素、過酸化物等のラジカル開始剤等を用いる方法等の何れによって得られたものであっても良い。
【0049】
ポリオレフィン系樹脂は、本発明の効果が奏され易いという観点から、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0050】
本発明において「ポリエチレン系樹脂」とは、エチレン成分単位が50質量%以上の樹脂を包含する。
【0051】
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン1共重合体、エチレン-ブテン1共重合体、エチレン-ヘキセン1共重合体、エチレン-4メチルペンテン1共重合体、エチレン-オクテン1共重合体等が挙げられる。
【0052】
「高密度ポリエチレン(HDPE)」とは、0.942g/cm3以上の密度を有するポリエチレンである。
「中密度ポリエチレン」とは、0.930g/cm3以上0.942g/cm3未満の密度を有するポリエチレンである。
「低密度ポリエチレン(LDPE)」とは、0.910g/cm3以上0.930g/cm3未満の密度を有するポリエチレンである。
「超低密度ポリエチレン(ULDPE)」とは、0.910g/cm3未満の密度を有するポリエチレンである。
「直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)」とは、0.911g/cm3以上0.940g/cm3未満の密度(好ましくは0.912g/cm3以上0.928g/cm3未満の密度)を有するポリエチレンである。
【0053】
本発明において「ポリプロピレン系樹脂」とは、プロピレン成分単位が50質量%以上の樹脂を包含する。
【0054】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと、該プロピレンと共重合可能な他のα-オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
【0055】
プロピレン単独重合体としては、アイソタクティック、シンジオタクティック、アタクチック、ヘミアイソタクチック及び種々の程度の立体規則性を示す、直鎖又は分枝状ポリプロピレン等の何れであっても良い。
【0056】
プロピレンと、該プロピレンと共重合可能な他のα-オレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、二元共重合体、3元共重合体等の何れであっても良い。
具体的には、エチレン-プロピレンランダム共重合体、ブテン-1-プロピレンランダム共重合体、エチレン-ブテン-1-プロピレンランダム3元共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0057】
プロピレンと共重合可能な他のα-オレフィンとしては、炭素数2~10のα-オレフィン(エチレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン等)が挙げられる。
該α-オレフィンの含有量は、樹脂廃材中の樹脂全体の質量を100質量%とした場合に、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下である。
【0058】
(2-2)無機物質粉末
無機物質粉末としては、特に限定されず、通常の樹脂製品等に含まれるものであっても良い。無機物質粉末は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
【0059】
無機物質粉末としては、例えば、以下のものが挙げられる。
金属(カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛等)の炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩;
金属(カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛等)の酸化物;
上記塩又は酸化物の水和物等。
【0060】
無機物質粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪砂、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、亜硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。
【0061】
無機物質粉末は合成のものであっても良く、天然鉱物由来のものであっても良い。
【0062】
無機物質粉末の分散性や反応性を高めるために、無機物質粉末の表面を、常法に従い、予め表面改質しても良く、しなくても良い。
表面改質法としては、物理的処理方法(プラズマ処理等)、化学的処理方法(カップリング剤や界面活性剤を使用した方法)等が挙げられる。
【0063】
無機物質粉末の形状は、特に限定されず、粒子状(球形、不定形状等)、フレーク状、顆粒状、繊維状等の何れであっても良い。
【0064】
無機物質粉末の平均粒子径は、リサイクル樹脂組成物の溶融特性を高め易いという観点から、好ましくは0.5μm以上13.5μm、より好ましくは1μm以上10μm以下である。
【0065】
本発明において、「平均粒子径」とは、JIS M-8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した値を意味する。測定機器としては、例えば、島津製作所社製の比表面積測定装置SS-100型を好ましく用いることが出来る。
【0066】
無機物質粉末としては、炭酸カルシウムが好ましい。
炭酸カルシウムが高充填された樹脂廃材は、従来、溶融特性が低く、安定した成形加工が困難であった。しかし、本発明によれば、樹脂廃材が炭酸カルシウムを含む場合であっても、良好な溶融特性を実現出来る。
【0067】
炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、及び軽質炭酸カルシウムのうち、何れであっても良い。
「重質炭酸カルシウム」とは、CaCO3を主成分とする天然原料(石灰石等)を機械的に粉砕(乾式法、湿式法等)して得られる炭酸カルシウムである。
「軽質炭酸カルシウム」とは、合成法(化学的沈殿反応等)により調製された炭酸カルシウムである。
したがって、重質炭酸カルシウム、及び軽質炭酸カルシウムは互いに明確に区別される。
【0068】
重質炭酸カルシウムは、その製法上、粒径や形状にばらつきがあるため、樹脂廃材の溶融特性を低下させ易い。しかし、本発明によれば、重質炭酸カルシウムが高充填された樹脂廃材であっても、良好な溶融特性を実現出来る。
したがって、本発明の好ましい態様において、樹脂廃材は重質炭酸カルシウムを含む。本発明のより好ましい態様において、樹脂廃材に含まれる無機物質粉末は重質炭酸カルシウムからなる。
【0069】
重質炭酸カルシウムの平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上13.5μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下である。
【0070】
(2-3)熱可塑性樹脂と無機物質粉末との比率
本発明の製造方法-1の樹脂廃材における、熱可塑性樹脂と無機物質粉末との質量比は、熱可塑性樹脂:無機物質粉末=10:90~50:50、好ましくは20:80~30:70、より好ましくは40:60~45:55である。
本発明によれば、この様に、無機物質粉末の割合が相対的に高い樹脂廃材であっても、溶融特性のばらつきが生じ難く、安定した成形加工を実現出来る。
【0071】
本発明の製造方法-1において、熱可塑性樹脂の含有量の下限は、樹脂廃材に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
本発明の製造方法-1において、熱可塑性樹脂の含有量の上限は、樹脂廃材に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。
【0072】
本発明の製造方法-1において、無機物質粉末の含有量の下限は、樹脂廃材に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上である。
本発明の製造方法-1において、無機物質粉末の含有量の上限は、樹脂廃材に対して、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
【0073】
(2-4)その他の成分
樹脂廃材には、必要に応じて、樹脂製品に配合される任意の成分が含まれていても良い。この様な成分としては、例えば、色剤、滑剤、カップリング剤、流動性改良材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、可塑剤等やそれらの組み合わせが挙げられる。これらの成分は、樹脂製品の用途や性質等に応じて任意の量で含まれ得る。
【0074】
(3)リサイクル樹脂組成物の製造方法
リサイクル樹脂組成物は、樹脂廃材に対して、所定量のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加することで得られる。
【0075】
樹脂廃材は、溶融や加工等を容易にするために、予め、破砕機等でチップ状(数cm~数mm径)等に破砕しても良い。
【0076】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の添加タイミングは特に限定されず、例えば、樹脂廃材の粉砕物に添加しても良いし、溶融状の樹脂廃材に添加しても良い。
製造効率の観点から、樹脂廃材の粉砕物に添加することが好ましい。
【0077】
樹脂廃材は、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の添加後、任意の撹拌手段(タンブラー、ミキサー等)でブレンドされ得る。
【0078】
樹脂廃材の溶融、混練及び成形は、従来知られる任意の方法で行うことが出来る。例えば、樹脂廃材の溶融から成形までを連続的に行う方法であっても良く、各工程の一部又は全てを非連続的に行う方法であっても良い。
具体的には、押出成形機、射出成形機、プレス成形機等を用いた方法が挙げられる。これらのうち、製造効率の観点から、押出成形機を用いた方法が好ましい。
【0079】
押出成形機としては、二軸混練押出機(同方向回転二軸混練押出機、異方向回転二軸混練押出機)、ニーダー式押出機、単軸押出機等が挙げられる。
これらのうち、樹脂廃材の混練時のメルトマスフローレイトが高くなり易く、かつ、メルトマスフローレイトのばらつきが抑えられて成形性が良好となる観点から、ニーダー式押出機、二軸混練押出機が好ましい。
【0080】
<本発明の製造方法-2>
本発明の第2の態様に係るリサイクル樹脂組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法-2」ともいう。)は、以下の要件を全て満たす。
・樹脂廃材及び無機物質粉末の樹脂混合物に、前記樹脂混合物に対して、0.2質量%以上3.0質量%以下のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加する工程を含む。
・樹脂混合物が、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを10:90~50:50の質量比で含む。
・ポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、ポリテトラフルオロエチレンと、有機系重合体と、からなる。
【0081】
本発明の製造方法-2は、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加する対象が、樹脂廃材及び無機物質粉末の樹脂混合物であり、樹脂廃材に必ずしも無機物質粉末が含まれていない点以外は、本発明の製造方法-1と共通の構成を有する。ただし、本発明の製造方法-1と、本発明の製造方法-2の各態様の一部は、互いに重複し得る。
【0082】
本発明の製造方法-2において「リサイクル樹脂組成物」とは、樹脂廃材及び無機物質粉末を材料として得られた樹脂組成物を包含する。
本発明の製造方法-2におけるリサイクル樹脂組成物は、樹脂廃材、無機物質粉末、及びポリテトラフルオロエチレン含有粉体からなる態様を包含する。
【0083】
本発明の製造方法-2において、樹脂廃材は無機物質粉末を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0084】
本発明の製造方法-2において、熱可塑性樹脂の含有量の下限は、樹脂廃材に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
本発明の製造方法-2において、熱可塑性樹脂の含有量の上限は、樹脂廃材に対して、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0085】
本発明の製造方法-2の樹脂混合物における、熱可塑性樹脂と無機物質粉末との質量比は、熱可塑性樹脂:無機物質粉末=10:90~50:50、好ましくは20:80~30:70、より好ましくは40:60~45:55である。
【0086】
本発明の製造方法-2において、熱可塑性樹脂の含有量の下限は、樹脂混合物に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
本発明の製造方法-2において、熱可塑性樹脂の含有量の上限は、樹脂混合物に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。
【0087】
本発明の製造方法-2において、無機物質粉末の含有量の下限は、樹脂混合物に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上である。
本発明の製造方法-2において、無機物質粉末の含有量の上限は、樹脂混合物に対して、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
【0088】
<リサイクル樹脂組成物>
本発明は、本発明の製造方法から得られたリサイクル樹脂組成物も包含する。
【0089】
リサイクル樹脂組成物の形態は特に限定されないが、例えば、ペレット等が挙げられる。
【0090】
ペレットの形状としては特に限定されないが、例えば、円柱、球形、楕円球状等が挙げられる。
【0091】
ペレットのサイズは特に限定されない。
球形ペレットの場合、直径1mm以上10mm以下であり得る。
楕円球状のペレットの場合、縦横比0.1以上1.0以下、縦横の長さ1mm以上10mm以下であり得る。
円柱ペレットの場合、直径1mm以上10mm以下、長さ1mm以上10mm以下であり得る。
【0092】
<リサイクル樹脂成形体>
本発明は、本発明のリサイクル樹脂組成物から得られたリサイクル樹脂成形体も包含する。
【0093】
リサイクル樹脂成形体を得るための成形方法は特に限定されず、得ようとする成形体の種類に応じて選択出来る。例えば、射出成形、真空成形、ブロー成形、カレンダー成形等が挙げられる。
【0094】
リサイクル樹脂成形体の形状や大きさ等は、特に限定されず、成形体の用途等に応じて適宜設定出来る。例えば、シート、フィルム、各種容器(食品容器等)等が挙げられる。
【実施例0095】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0096】
<リサイクル樹脂組成物の作製>
以下の方法でリサイクル樹脂組成物を作製した。
【0097】
(1)樹脂廃材又は樹脂混合物の準備
樹脂廃材又は樹脂混合物として、以下の何れかを用いた。なお、以下の試料に含まれる重質炭酸カルシウムの平均粒子径は、何れも2.2μmである。
(樹脂廃材A)「LIMEX」(株式会社TBM製)の粉砕物:該粉砕物は熱可塑性樹脂(ポリエチレン)と無機物質粉末(重質炭酸カルシウム)とを、熱可塑性樹脂:無機物質粉末=40:60の質量比で含む。
(樹脂廃材B)「LIMEX」(株式会社TBM製)の粉砕物:該粉砕物は熱可塑性樹脂(ポリプロピレン)と無機物質粉末(重質炭酸カルシウム)とを、熱可塑性樹脂:無機物質粉末=10:90の質量比で含む。
(樹脂混合物A)該樹脂混合物は、熱可塑性樹脂(ポリエチレン)のみからなる樹脂廃材の破砕物と、無機物質粉末(重質炭酸カルシウム)とを、熱可塑性樹脂:無機物質粉末=40:60の質量比で含む。
(樹脂混合物B)該樹脂混合物は、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン)のみからなる樹脂廃材の破砕物と、無機物質粉末(重質炭酸カルシウム)とを、熱可塑性樹脂:無機物質粉末=10:90の質量比で含む。
【0098】
なお、何れの粉砕物も5~8mm程度の径に調整した。また、重質炭酸カルシウムの平均粒子径は、JIS M8511に準じた空気透過法に基づき特定した。
【0099】
(2)ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の準備
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体として、以下の何れかを用いた。何れの粉体も、空気透過法による平均粒子径は、約50μmである。
(粉体a)「メタブレン(商標)A-3000」、三菱ケミカル株式会社製(アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンからなる粉体。)
(粉体b)「ユーメックス(商標)1010」、三洋化成株式会社製(酸変性ポリプロピレン、分散性向上剤として知られる。)
【0100】
(3)樹脂廃材への粉体の添加及びそれらの混練
上記樹脂廃材にポリテトラフルオロエチレン含有粉体を添加した後、タンブラーで、60分、185℃で混練した。
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体は、樹脂廃材又は樹脂混合物に対して、下記表の「粉体の添加量」の項に示す割合となるように添加した。
【0101】
(4)リサイクル樹脂組成物の製造
混練後、得られた組成物を同方向回転二軸混練押出機(フリージアマクロス株式会社製)のホッパーに投入し、200℃でストランド状に成形し、2mm径程度に切揃え、ペレット(リサイクル樹脂組成物に相当する。)を得た。
【0102】
<リサイクル樹脂組成物の評価>
上記「(4)リサイクル樹脂組成物の製造」の項で得られたリサイクル樹脂組成物について以下の溶融特性の評価を行った。
【0103】
リサイクル樹脂組成物のメルトマスフローレイト及びそのばらつきを、ISO1133:2005(JIS K 7140-1)に準拠して、温度230℃、質量2.16kgで評価した。
その結果を下記表中の「溶融特性」の項に示す。
表中、「溶融特性」における数字(最大:3、最小:1)が大きいほど、メルトマスフローレイトのばらつきが大きいことを意味する。「溶融特性」における数字が小さいほど、すなわち、メルトマスフローレイトのばらつきが小さいほど、溶融特性が良好であり、成形加工性に優れることを意味する。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
上記の結果の通り、本発明の製造方法によれば、溶融特性が良好であり、成形加工性に優れるリサイクル樹脂組成物が得られることがわかる。
【0109】
本例では、無機物質粉末として、重質炭酸カルシウムを含む樹脂廃材を用いたが、その他の無機物質粉末(軽質炭酸カルシウム、タルク等)でも、上記同様の結果が得られた。
【0110】
本例では、重質炭酸カルシウムとして、空気透過法による平均粒子径が2.2μmであるものを含む樹脂廃材を用いたが、同平均粒子径が0.5μm以上13.5μm以下であれば上記同様の結果が安定的に得られ易かった。
【0111】
本例では、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体として、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを用いたが、その他の種類のポリテトラフルオロエチレン含有粉体であっても上記同様の結果が得られる傾向にあった。
ただし、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを用いた場合において最も本発明の効果が得られ易かった。