(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083042
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】飲料サーバ
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20240613BHJP
B67D 1/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
B67D1/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197328
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】白木 丈博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優樹
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB02
3E082BB03
3E082BB05
3E082CC01
3E082EE03
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】注出時の作業工数を低減することができる飲料サーバを提供する。
【解決手段】飲料が収容された飲料缶Cから飲料を注出する飲料サーバとして、飲料缶Cを配置し、上下動可能に構成された置台20と、置台20に配置されて上昇した飲料缶Cに挿入する汲出し管22と、汲出し管22を通じて飲料缶Cの内部の飲料を汲み出し、飲料注出ノズル18から飲料を注出する注出機構24と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が収容された飲料容器から飲料を注出する飲料サーバであって、
前記飲料容器を配置し、上下動可能に構成された置台と、
前記置台に配置されて上昇した前記飲料容器に挿入する汲出し管と、
前記汲出し管を通じて前記飲料容器の内部の飲料を汲み出し、注出口から飲料を注出する注出機構と、
を備える飲料サーバ。
【請求項2】
飲料が収容された飲料容器から飲料を注出する飲料サーバであって、
前記飲料容器を配置する置台と、
上下動可能に構成され、下降して前記飲料容器に挿入する汲出し管と、
前記汲出し管を通じて前記飲料容器の内部の飲料を汲み出し、注出口から飲料を注出する注出機構と、
を備える飲料サーバ。
【請求項3】
前記置台の上方側において、下方側が開放され、内側に前記置台を収容可能に形成された収納筒と、
前記収納筒の内部に配置され、前記飲料容器の開口を覆うように構成された蓋カバーと、
を備え、
前記置台と前記収納筒とが密着し、又は、前記飲料容器と前記蓋カバーとが密着した状態で、前記注出機構によって前記飲料容器の内部を加圧することによって、前記汲出し管を通じて飲料を汲み出すことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の飲料サーバ。
【請求項4】
前記置台に連結され、回転することによって前記置台を上下動させる送りねじ機構を備える、請求項1に記載の飲料サーバ。
【請求項5】
前記置台の下方側に連結され、上下方向に沿って伸縮することによって前記置台を上下動させる送りパンタグラフ式ジャッキを備える、請求項1に記載の飲料サーバ。
【請求項6】
前記置台に配置された前記飲料容器の位置を検出する検出部と、前記汲出し管に対する前記飲料容器の位置を補正する補正部とを備える、請求項1に記載の飲料サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、飲料サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
セットした生ビール樽の一方側から炭酸ガス圧力を加え、他方側からチューブにビールを押し出し、冷却水槽に設けた熱交換器コイルにチューブを通すことによってチューブを通過するビールを冷却し、冷却したビールをコックの開閉操作によって注ぎ口からグラスに注ぎ込むといった形態のビールサーバが一般的に実用に供されている。このようなビールサーバは、容量の大きなビール樽を用いて、来客数が多く、ビールを大量に消費する比較的規模が大きな飲食業店舗で使用されている。
【0003】
一方、規模の大きな飲食業店舗に比べて小規模の店舗では、時間当たりの来客数は少なくなるため、一つの生ビール樽を消費するのに比較的長時間を要する場合がある。このような場合、生ビール樽は、一旦開栓するとビールに含まれる炭酸が徐々に放出されていくことから、時間の経過に伴って炭酸が放出されていくことは、ビールの風味の低下を生じ得る。
【0004】
このため、例えば、特許文献1には、ビール缶の上面の開口からビールを抜き取るチューブを備えたビールサーバが開示されている。ここでは、ビールサーバは、ビール缶の上面をキャップ体で密封した状態で、開口から吹き込んだ空気圧によってビールを押し出すチューブと泡変換器によりビールを泡に変換して押し出すチューブとの2本のチューブを備える。このため、ビール缶から汲み出したビールを一方のチューブと接続した口からグラスに注ぎ、同じ缶から汲み出したビールを泡に変えて他方の口からグラスに注いだビール上に注ぐことができる。これによって、時間の経過に伴う炭酸の放出を抑制して、ビールをグラスに注ぐことができる。しかしながら、このビールサーバは、缶ビールの缶蓋の開蓋、開蓋した缶へのチューブの差し込み、ビールサーバへの配置を全て手動で行うものである。このため、店舗で使用する場合は、店員の作業工数の増加を招く場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を考慮して、注出時の作業工数を低減することができる飲料サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、飲料が収容された飲料容器から飲料を注出する飲料サーバであって、飲料容器を配置し、上下動可能に構成された置台と、置台に配置されて上昇した飲料容器に挿入する汲出し管と、汲出し管を通じて飲料容器の内部の飲料を汲み出し、注出口から飲料を注出する注出機構と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本開示の一態様は、飲料が収容された飲料容器から飲料を注出する飲料サーバであって、飲料容器を配置する置台と、上下動可能に構成され、下降して飲料容器に挿入する汲出し管と、汲出し管を通じて飲料容器の内部の飲料を汲み出し、注出口から飲料を注出する注出機構と、を備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、本開示の一態様は、置台の上方側において、下方側が開放され、内側に置部を収容可能に形成された収納筒と、収納筒の内部に配置され、飲料容器の開口を覆うように構成された蓋カバーと、を備え、置台と収納筒とが密着し、又は、飲料容器と蓋カバーとが密着した状態で、注出機構によって飲料容器の内部を加圧することによって、汲出し管を通じて飲料を汲み出すことを特徴としてもよい。
【0010】
また、本開示の一態様は、置台に連結され、回転することによって置台を上下動させる送りねじ機構を備えてもよい。
【0011】
さらに、本開示の一態様は、置台の下方側に連結され、上下方向に沿って伸縮することによって置台を上下動させる送りパンタグラフ式ジャッキを備えてもよい。
【0012】
また、本開示の一態様は、置台に配置された飲料容器の位置を検出する検出部と、汲出し管に対する飲料容器の位置を補正する補正部とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、飲料サーバは、飲料容器を配置し、上下動可能に構成された置台と、置台に配置されて上昇した飲料容器に挿入する汲出し管と、汲出し管を通じて飲料容器の内部の飲料を汲み出し、注出口から飲料を注出する注出機構とを備える。このため、置台に配置されて上昇した飲料容器には汲出し管が挿入され、飲料容器内の飲料は、注出機構によって汲出し管を通じて汲出され、飲料サーバの注出口から注出される。これによって、ユーザは、飲料容器を置台に配置するだけで飲料サーバから飲料を注出することができるため、注出時の作業工数を低減することができる。
【0014】
また、本開示の一態様によれば、飲料サーバは、飲料容器を配置する置台と、上下動可能に構成され、下降して飲料容器に挿入する汲出し管と、汲出し管を通じて飲料容器の内部の飲料を汲み出し、注出口から飲料を注出する注出機構とを備える。このため、置台に配置されて飲料容器には下降してきた汲出し管が挿入され、飲料容器内の飲料は、注出機構によって汲出し管を通じて汲出され、飲料サーバの注出口から注出される。これによって、ユーザは、飲料容器を置台に配置するだけで飲料サーバから飲料を注出することができるため、注出時の作業工数を低減することができる。
【0015】
さらに、本開示の一態様によれば、飲料サーバは、置台の上方側において、下方側が開放され、内側に置部を収容可能に形成された収納筒と、収納筒の内部に配置され、飲料容器の開口を覆うと共に、飲料容器に密着するように構成された蓋カバーとを備える。このため、置台と収納筒とが密着し、又は、飲料容器と蓋カバーとが密着した状態で、注出機構によって飲料容器の内部を加圧することによって、汲出し管を通じて飲料を汲み出すことができる。これによって、置台に配置した飲料容器からの飲料を確実に注出することができ、ユーザの注出時の作業工数を低減することができる。
【0016】
また、本開示の一態様によれば、飲料サーバは、置台に連結され、回転することによって置台を上下動させる送りねじ機構を備える。このため、飲料容器に汲出し管を挿入するために飲料容器が配置された置台を確実に上昇させることができ、ユーザの注出時の作業工数を低減することができる。
【0017】
さらに、本開示の一態様によれば、飲料サーバは、置台の下方側に連結され、上下方向に沿って伸縮することによって置台を上下動させる送りパンタグラフ式ジャッキを備える。このため、飲料容器に汲出し管を挿入するために飲料容器が配置された置台を確実に上昇させることができ、ユーザの注出時の作業工数を低減することができる。
【0018】
また、本開示の一態様によれば、飲料サーバは、置台に配置された飲料容器の位置を検出する検出部と、汲出し管に対する飲料容器の位置を補正する補正部とを備える。このため、飲料サーバは、飲料容器の位置を検出し、これに挿入される汲出し管に対して飲料容器の位置がずれている場合には補正部によって位置を補正することができる。これによって、ユーザは飲料容器の位置を手動で補正する必要がなくなるため、注出時の作業工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る缶飲料サーバの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の2-2線に沿って切断した缶飲料サーバの断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1の3-3線に沿って切断した缶飲料サーバの部分断面図を示す。
【
図4】
図4は、注出機構及び加圧機構のブロック図を示す。
【
図5A】
図5Aは、置台に飲料缶が配置された状態を示す側面透視図を示す。
【
図5B】
図5Bは、飲料缶に蓋カバーが取り付けられた状態を示す側面透視図を示す。
【
図5C】
図5Cは、飲料缶が収納筒に収納された状態を示す側面透視図を示す。
【
図6】
図6は、飲料缶に汲出し管が挿入された状態を示す斜視透視図を示す。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る缶飲料サーバの
図2に対応する断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る飲料サーバを説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺を変更して説明する場合がある。
【0021】
図1には、一例として、飲料サーバとしての缶飲料サーバ10の斜視図を示す。缶飲料サーバ10は、飲料容器としての飲料缶Cに注入(封入)された飲料を注出するための本体部12と、その外側かつ下方側に、飲料を注ぎ入れるグラス(図示省略)を載置すると共に、こぼれた飲料を落下させないように収容可能に形成されたグラス受け14とを有する。本体部12は、グラス受け14の上方側に、上下又は左右に傾倒可能な切替コック16及び注出口としての飲料注出ノズル18を有する。このため、切替コック16を傾倒することによって飲料缶Cに注入された飲料を汲出し、飲料注出ノズル18からグラスへと注出することができる。
【0022】
ここで言う飲料とは、アルコール飲料及びノンアルコール飲料の両方を含んでおり、アルコール飲料には、例えば、ビール、ビール以外のアルコール炭酸飲料、すなわち、発泡酒、麦芽以外の原料から製造された別のアルコール飲料が注入されたビール風味の発泡アルコール飲料(いわゆる第三のビール)、チューハイ、カクテルサワー、梅酒ソーダ、スピリッツソーダ、発泡性清酒、スパークリングワイン、又は、ハイボール等の様々な飲料が含まれる。また、ノンアルコール飲料には、非アルコール炭酸飲料、すなわち、ノンアルコールビール、ノンアルコールスピリッツ、ノンアルコールワイン、ノンアルコールサワー、ノンアルコールカクテル、又は、炭酸ジュース等の様々な飲料が含まれる。なお、これらの飲料には、濃縮飲料(原液)も含まれる。
【0023】
本体部12は、下方側に飲料缶Cを配置するための置台20(
図2参照)と、置台20の上方側に飲料缶Cに挿入するための汲出し管22と、汲出し管22を通じて飲料缶Cに注入(封入)された飲料を汲出し、注出するための注出機構24とを備える。また、本体部12は、飲料缶Cから飲料を汲出すために飲料を加圧する、すなわち、飲料の液面を押圧するための加圧機構26を備える。汲出し管22は、飲料缶Cに挿入されたときに飲料缶Cの内部の最下部まで到達できる長さを有すると共に、飲料缶Cの缶蓋を押圧することができ、かつ、飲料缶Cの内部に挿入された後も変形やたわみによって缶蓋と接触しない程度の所定の硬度を有するように構成されている。具体的には、汲出し管22は、例えば、金属、合成樹脂等によって所定の硬度を有するように形成されている。これによって、ユーザは、汲出し管22を飲料缶Cに挿入する際に手で介添えする必要がなく、汲出し管22を飲料缶Cに挿入したあとも手で汲出し管22の位置調整をする必要がなくなることから、注出時の作業工数を低減することができる。
【0024】
本体部12の下方側には、下端がヒンジ連結(図示省略)されたドア28が取り付けられており、上方側に取り付けられたハンドル28aを引っ張ることによって、ドア28を下端回りに回動させて、すなわち、傾斜させて開くことができる。ここでは、置台20は、ドア28の回動と連動して傾斜し、その上面をドア28の開放する側へ向けるように構成されている。このため、ユーザは、飲料缶Cを置台20へ簡便に配置することができる。また、飲料サーバ10の前面側かつ上方側には、飲料の汲出しの開始及び並びに後述する排出弁48の開放及び閉鎖を操作するためのボタン32を有する操作部30が配置されている。
【0025】
図2及び
図3には、缶飲料サーバ10の断面図を示す。
図2に示すように、本体部12の後方側(図中左側)には、下方側に冷凍機室34が、上方側には冷却水槽36が配置されている。また、
図2及び
図3に示すように、本体部12の前方側かつ下方側には、飲料缶Cを載置することができる置台20が配置され、置台20の上方側には汲出し管22と、置台20に配置された飲料缶Cを収納可能に形成された収納筒38とが配置されている。
【0026】
図4には注出機構24及び加圧機構26のブロック図を示す。加圧機構26は、飲料缶Cから飲料を汲出すために、収納筒38にガスを導入して飲料を押圧するための機構であり、缶飲料サーバ10の外側に配置された炭酸ガスボンベ40と、炭酸ガスボンベ40と収納筒38とを接続するガス配管PP1と、を含んで構成されている。さらに、加圧機構26は、炭酸ガスボンベ40と収納筒38とを接続するガス配管PP1に取り付けられた開閉弁44と、開閉弁44と並列でガス配管PP1に取り付けられた逃し弁46とを含む。注出機構24は、具体的には、押圧された飲料を飲料缶Cから汲出し、汲出した飲料を飲料注出ノズル18から注出するための機構である。このため、加圧機構26と注出機構24とは連続する機構として構成されている。また、缶飲料サーバ10は、置台20の上下動並びに開閉弁44、逃し弁46及び後述する排出弁48の開閉を制御するための制御部42を備える。制御部42は、開閉弁44、逃し弁46及び排出弁48の開放時間をカウントするためのタイマ42aを含んで構成されている。
【0027】
汲出し管22は、収納筒38に取り付けられ、配管PP2を介して飲料注出ノズル18と接続されている。汲出し管22と接続された配管PP2は冷却水槽36内で図示しないコイル状に形成されており、冷却水槽36内の冷却水と熱交換するように構成されている。冷却水槽36内には冷凍機室34内(
図2参照)の冷凍サイクルと接続された図示しない冷却用熱交換器が設置されており、水の凝固温度以下の低温冷媒が循環するように構成されている。このため、冷凍サイクルを運転すると冷却用熱交換器の周りは氷結し、水温は凝固温度まで低下するように構成されている。また、冷却水槽36と切替コック16及び飲料注出ノズル18との間の配管PP2には、排出弁48を有する吐出部50が接続されている。排出弁48は、排出弁48及び吐出部50が取り付けられた位置における配管PP2の圧力を検出するための圧力センサ48aを有する。
【0028】
図3には、収納筒38及び置台20が断面図で示されている。置台20は、平面視で四角形状に形成されており、中央には、飲料缶Cを載置するための円筒形状の載置部52を有する。載置部52は、飲料缶Cの外径と同一又はそれ以上の内径を有して構成されている。また、置台20の四隅には、缶飲料サーバ10の下方側から収納筒38側へ向けて上下方向に沿って延在する送りねじ機構を構成する送りねじ54が螺入されている。送りねじ機構は、置台20の下方側に配置された歯車56と、歯車56を介して送りねじ54と接続されるモータ58(
図5A参照)とを有する。このため、モータ58を作動して歯車56を回転させることによって、送りねじ54を回転させることができる。これによって、送りねじ54が螺入された置台20を上下動させることができる。
【0029】
収納筒38の内側には、円筒形状の収納筒38の内周面と密着するように円板状に形成された蓋カバーとしてのピストン60が取り付けられている。ピストン60は、通常はその自重によって収納筒38の下端側に降りている。収納筒38の上端の中央部には、これを貫通すると共に、上下方向に沿って延在する汲出し管22が配置されている。汲出し管22は、
図3に示されているように、収納筒38の下端まで降りているピストン60の中央部を貫通する位置まで、すなわち、収納筒38の下端まで延在されている。また、汲出し管22は、置台20に載置された飲料缶Cが上昇してきたときに、飲料缶Cの缶蓋に形成された口金LDを押圧することができるように肉厚に形成され、かつ、その外周形状が平面視で口金LDの内側に位置するように形成されている。これによって、汲出し管22は、口金LDだけを押圧することができ、
図6に示すように、口金LDが開けられることによって生じる飲料缶Cの開口OPを通過し、その先端、すなわち、下端を飲料缶Cの内底まで到達させることができる。
【0030】
図3及び
図5Aに示すように、ピストン60の下端の中央部には飲料缶Cを切開するためのカッタ62が配置されている。カッタ62は、汲出し管22の径方向外側に形成されており、その外周形状は平面視で口金LDの内側、すなわち、口金LDの外周に沿って肉厚を薄く形成されたスコアSCで囲まれた部分の内側に位置するように形成されている。また、カッタ62の先端、すなわち、下端には、スコアSCに刺さって、これを切開できるように、先鋭部64が形成されている。このため、置台20と共に上昇してきた飲料缶Cをカッタ62によって切開し、さらに上昇を続ける飲料缶Cの開口OPの内側にカッタ62を入り込ませることができる。
【0031】
ピストン60の側部には球状のボールロック66が配置されており、ピストン60が収納筒38の下端に降りているときには、ボールロック66は、収納筒38の内周部の対応する位置に形成された係合穴68に嵌るように構成されている。このため、ピストン60は、収納筒38の下端側に降りているときには、この位置でロックされている。
【0032】
置台20と共に上昇してきた飲料缶Cの口金LD(スコアSC)がカッタ62によって切開され、カッタ62が飲料缶Cの開口OPの内側に入り込むと、飲料缶Cはさらに上昇して、
図5Bに示すように、ピストン60の底面に当接し、これを押圧する。ボールロック66は、このように飲料缶Cがピストン60の底面を押圧することによってロック解除されるように構成されており、ピストン60は、ロック解除されたボールロック66を収納筒38の内周側に上下方向に沿って形成されたボール溝70の内側でスライドさせながら、飲料缶Cと共に収納筒38の上端まで上昇するように構成されている。また、上昇した飲料缶Cは、口金LD部分が汲出し管22の下面に当接する。このため、
図6に示すように、口金LD部分は汲出し管22に押圧されて飲料缶Cの内部へ押し込められ、口金LD部分に生じた開口OPを通じて汲出し管22が飲料缶Cの内部へ挿入される。
【0033】
飲料缶Cに押圧されたピストン60が収納筒38の上端まで上昇すると、
図5C及び
図6に示すように、置台20は収納筒38の底部と密着し、上昇を停止するように構成されている。これによって、収納筒38と置台20とによって閉鎖空間が形成され、この閉鎖空間の内部に開口OPを有する上面側がピストン60と密着した飲料缶Cが配置されるように構成されている。
【0034】
なお、缶飲料サーバ10は、置台20に載置された飲料缶Cの位置を検出する検出部と、汲出し管22に対する飲料缶Cの位置を補正するための補正部とを備えてもよい。具体的には、検出部は、例えば、カメラ、位置センサ等の任意の位置検出手段を用いて、飲料缶C及び/又はスコアSCの位置を検出するように構成される。また、補正部は、例えば、置台20において飲料缶Cの底面を載置する部分に水平に配置され、垂直方向に沿った軸線回りに回転可能に形成された円板部と、制御部42と電気的に接続され、円板部を駆動(回転)するモータ等の駆動部とを備えて構成される。このため、検出部によって取得された飲料缶Cの位置情報に基づいて、補正部は、円板部(置台20)に載置させた飲料缶Cを回転させて、飲料缶Cの口金LD(スコアSC)が汲出し管22及びカッタ62の真下に位置するように飲料缶Cの位置を補正することができる。これによって、ユーザは汲出し管22及びカッタ62に対する飲料缶Cの位置を手動で補正する必要がなくなるため、注出時の作業工数を低減することができる。
【0035】
続いて、本実施形態に係る缶飲料サーバ10の作動の説明を通じて、缶飲料サーバ10の作用及び効果を説明する。
【0036】
缶飲料サーバ10の使用に先立ち、ユーザは、操作部30を通じて逃し弁46及び排出弁48を開放する場合の圧力の閾値を設定することができる。ユーザは、はじめに、ドア28を開けて飲料缶Cを置台20に配置する。次に、操作部30のボタン32を押して缶飲料サーバ10を起動すると、送りねじ54が回転して置台20が上昇を開始する。上昇する飲料缶Cの上面がカッタ62の先鋭部64に到達すると、すなわち、カッタ62の先鋭部64に当接すると、カッタ62は飲料缶Cの口金LD(スコアSC)を切開し、上昇する飲料缶Cの開口OPの中に入り込む。また、汲出し管22は、下面で口金LD部分を押圧して飲料缶Cの内部へ押し込める。飲料缶Cと置台20とは上昇を続け、飲料缶Cの上面がピストン60の底面を押圧することによって、ボールロック66を解除する。このため、飲料缶Cは、上面を密着させたピストン60と共に収納筒38の上端まで上昇する。これによって、収納筒38の内側に配置された汲出し管22が飲料缶Cの内部に挿入される。
【0037】
上昇して収納筒38の底部まで到達した置台20と収納筒38とは、密着して閉鎖空間を形成する。このため、収納筒38の内部は気密状態となる。置台20の上昇が停止すると開閉弁44が開放され、ガス配管PP1を通じて炭酸ガスボンベ40の炭酸ガスが収納筒38内に導入される。これによって、収納筒38内の圧力は上昇し、飲料缶Cには開口OPから炭酸ガスが流入して飲料の液面を押圧するため、飲料は汲出し管22の中へ押し出される。
【0038】
切替コック16を閉じている状態では、炭酸ガスボンベから導入された炭酸ガスによって収納筒38と飲料注出ノズル18とを接続する配管PP2内の圧力も上昇する。圧力センサ48aによって圧力の上昇が検出されると、排出弁48が作動して開放するように構成されている。このため、以前の飲料の注出や水洗浄によって配管PP2内に残留していた飲料及び水並びに気体は、開放された排出弁48を通じて吐出部50へと排出(吐出)される。
【0039】
さらに、汲出し管22の中へ押し出され、すなわち、汲出し管22から汲出された新しい飲料は、冷却水槽36を通過する配管PP2内で冷却された後、吐出部50の側まで押し出される。排出弁48は開放されており、吐出部50の側まで到達した直後の飲料の一部分は、排出弁48を通じて吐出部50へと吐出される。ここでは、排出弁48は、新しい飲料の吐出量を最小限にするために、制御部42によって閉鎖するタイミングを調整可能に構成されている。具体的には、制御部42のタイマ42aによって排出弁48の開放時間を設定可能に構成されている。このため、設定した開放時間が経過すると、排出弁48は閉鎖される。排出弁48が閉鎖されると、汲出し管22から汲出された飲料は、切替コック16まで、すなわち、飲料注出ノズル18の直前まで到達する。なお、排出弁48は、タイマ42aを使用せずに、ユーザの手動によって開閉されてもよい。
【0040】
排出弁48が閉鎖され、飲料が飲料注出ノズル18の直前まで到達すると、逃し弁46が開放するように構成されている。逃し弁46が開放することによってガス配管PP1及び配管PP2内が減圧される。配管PP2内が減圧されて飲料を注出する準備が整うと、ユーザは、グラス受け14にグラスを配置して、切替コック16を傾倒させることによって、グラスに飲料を注ぐことができる。このようにガス配管PP1及び配管PP2内の圧力を低下させることによって、飲料注出ノズル18を開いた瞬間に飲料が急激に吹き出すことを抑制又は防止した上で飲料を注出することができる。注出が終了すると、逃し弁46は閉鎖される。
【0041】
なお、飲料がビールである場合に、飲料注出ノズルの直前にビール液を泡に変換する装置(例えば、超音波等によって泡に変換する装置)が内蔵されてもよく、操作部にビール液を泡に切り替える泡ボタンが設けられてもよい。これによって、グラスにビールを注ぐ過程において、ビール缶内のビール液の大部分を注ぎ終わったところで、泡ボタンを押すと、残りのビールが細かい泡となってグラスのビール液の上を覆い、ビールの味わいを向上させることができる。
【0042】
飲料の注出が終了すると、炭酸ガスボンベに通じる開閉弁44が閉鎖されて収納筒38内の圧力が大気圧に戻されると共に、排出弁48が開放されて残留する飲料及び気体が排出される。また、送りねじ54が回転して置台20を下降させる。これによって、缶飲料サーバ10は、初期状態に戻り、ユーザは空になった飲料缶Cを取り出して注出作業は終了する。ユーザは、操作部30のボタン32を押すことによって、新しい飲料缶Cからの飲料の注出を開始する、又は、飲料の注出を終了させることができる。
【0043】
本実施形態に係る缶飲料サーバ10によれば、置台20に配置されて上昇した飲料缶Cには汲出し管22が挿入される。さらに、飲料缶C内の飲料は、注出機構24によって汲出し管22を通じて汲出され、飲料サーバ10の飲料注出ノズル18から注出される。これによって、ユーザは、飲料缶Cを置台20に配置するだけで飲料サーバ10から飲料を注出することができるため、注出時の作業工数を低減することができる。
【0044】
さらに、本実施形態に係る缶飲料サーバ10によれば、飲料サーバ10は、置台20の上方側において、下方側が開放され、内側に置台20を収容可能に形成された収納筒38と、収納筒38の内部に配置され、飲料缶Cの開口OPを覆うと共に、飲料缶Cの上面に密着するように構成されたピストン60とを備える。このため、置台20と収納筒38とが開口OPを覆うように密着し、又は、飲料缶Cとピストン60とが密着した状態で、注出機構24によって飲料缶Cの内部を加圧することによって、汲出し管22を通じて飲料を汲み出すことができる。これによって、置台20に配置した飲料缶Cからの飲料を確実に注出することができ、ユーザの注出時の作業工数を低減することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る缶飲料サーバ10によれば、置台20に連結され、回転することによって置台20を上下動させる送りねじ54(送りねじ機構)を備える。このため、飲料缶Cに汲出し管を挿入するために飲料缶Cが配置された置台20を確実に上昇させることができ、ユーザの飲料注出時の作業工数を低減することができる。
【0046】
このように、飲料缶Cの配置から注出までの工程を自動化又は簡略化することができるため、ユーザの作業工数を低減して飲料の提供を迅速に行うことができる。これによって、例えば、飲料樽を使うほどの販売量がない小規模店舗においてもお客様に効率よく飲料を提供することができる。
【0047】
以上の説明のとおり、本実施形態に係る缶飲料サーバ10は、注出時の作業工数を低減することができる。
【0048】
(第1変形例)
以下、第1実施形態に係る缶飲料サーバ10の第1変形例について説明する。第1実施形態と同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
図7に示すように、第1変形例に係る飲料サーバとしての缶飲料サーバ80は、置台20の下方側に配置されたパンタグラフ装置82を備える。パンタグラフ装置82は、置台20に連結され、回動可能に構成された上下のアーム部84を有する。また、置台20の四隅は、缶飲料サーバ10の下方側から収納筒38側へ向けて上下方向に沿って延在する支柱86に上下動可能に取り付けられている。このため、上下のアーム部84が伸縮することによって、置台20を上下動可能に構成されている。
【0050】
本変形例に係る缶飲料サーバ80によれば、上下のアーム部84が伸縮することによって、置台20を上下動可能に構成されたパンタグラフ装置82を備える。このため、飲料缶Cに汲出し管22を挿入するために飲料缶Cが配置された置台20を確実に上昇させることができ、ユーザの注出時の作業工数を低減することができる。
【0051】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る飲料サーバとしての缶飲料サーバ100について説明する。第1実施形態と同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0052】
第2実施形態に係る缶飲料サーバ100(図示省略)は、汲出し管22及び汲出し管22が取り付けられた収納筒38が下降するように構成されている。このため、汲出し管22及び収納筒38が下降し、置台20と収納筒38とが飲料缶Cの開口OPを覆うように密着した状態で注出機構24によって飲料缶Cの内部を加圧することによって、汲出し管22を通じて飲料を汲み出すことができる。これによって、置台20に配置した飲料缶Cからの飲料を確実に注出することができ、ユーザの注出時の作業工数を低減することができる。
【0053】
以上の説明のとおり、本実施形態に係る缶飲料サーバ100は、注出時の作業工数を低減することができる。
【0054】
なお、ここでは、飲料缶Cは、口金LDを有するプルタブ又はステイオンタブを備えたパーシャルオープンエンド形式の缶蓋の飲料缶Cであるとして説明したが、これに限らず、フルパネルを備えたフルオープンエンド形式の缶蓋といった他の形式の飲料缶が用いられてもよい。
【0055】
また、ここでは、缶飲料サーバ10は、炭酸ガスボンベ40と連結されているとして説明したが、これに限らず、缶飲料サーバは、例えば、炭酸を含まない飲料だけを注出する場合には窒素ガスボンベのように炭酸を含まないガスボンベと連結されてもよい。
【0056】
さらに、ここでは、飲料容器は飲料缶Cであるとして説明したが、これに限らず、飲料容器には、例えば、アルミ製のカバーが取り付けられたプラスティック容器及びガラス容器、紙容器といった缶以外の容器が用いられてもよい。
【0057】
以上、缶飲料サーバ10の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解できると考えられる。
【符号の説明】
【0058】
10 缶飲料サーバ(飲料サーバ)
18 飲料注出ノズル(注出口)
20 置台
22 汲出し管
24 注出機構
54 送りねじ(送りねじ機構)
56 歯車(送りねじ機構)
58 モータ(送りねじ機構)
60 ピストン(蓋カバー)
80 缶飲料サーバ(飲料サーバ)
82 パンタグラフ装置
100 缶飲料サーバ(飲料サーバ)
C 飲料缶(飲料容器)