(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083046
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240613BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H02M7/48 F
H02M7/48 R
H02M7/12 B
H02M7/12 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197337
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】降幡 賢
(72)【発明者】
【氏名】太田 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】三好 宏明
【テーマコード(参考)】
5H006
5H770
【Fターム(参考)】
5H006CA01
5H006CB01
5H006CB08
5H006CC08
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC05
5H770AA05
5H770BA11
5H770CA02
5H770CA04
5H770CA05
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770HA03W
5H770HA03Y
5H770HA03Z
5H770HA05Z
5H770KA01Y
5H770KA01Z
(57)【要約】
【課題】再生エネルギーを含む電力網から入力される交流の周波数変動を抑制できる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、再生エネルギー発電機を含む電力網に接続され、電力網から入力される交流を直流に変換するコンバータ回路Cと、コンバータ回路Cに直列に接続され、コンデンサからなる平滑回路Sと、コンバータ回路Cに直列に接続され、かつ、平滑回路Sと並列に接続される蓄電デバイスDと、平滑回路S、および、蓄電デバイスDに直列に接続され、平滑回路Sからの直流、または、蓄電デバイスDからの直流を交流に変換して交流負荷に出力するインバータ回路Iと、直流電圧指令値に基づいてコンバータ回路CをPWM制御するコンバータ制御部12と、インバータ回路IをPWM制御するインバータ制御部13と、を備える。コンバータ制御部12は、直流電圧指令値補正部を有する直流電圧制御部と、電力網から入力される交流の周波数を検出する周波数検出部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生エネルギー発電機を含む電力網に接続され、前記電力網から入力される交流を直流に変換するコンバータ回路と、
前記コンバータ回路に直列に接続され、コンデンサからなる平滑回路と、
前記コンバータ回路に直列に接続され、かつ、前記平滑回路と並列に接続される蓄電デバイスと、
前記平滑回路、および、前記蓄電デバイスに直列に接続され、前記平滑回路からの直流、または、前記蓄電デバイスからの直流を交流に変換して交流負荷に出力するインバータ回路と、
直流電圧指令値に基づいて前記コンバータ回路をPWM制御するコンバータ制御部と、
前記インバータ回路をPWM制御するインバータ制御部と、
を備え、
前記コンバータ制御部は、
直流電圧指令値補正部を有する直流電圧制御部と、
前記電力網から入力される交流の周波数を検出する周波数検出部を、
を備え、
前記直流電圧制御部は、直流電圧基準値と前記コンバータ回路から前記インバータ回路へ供給される直流電圧との差分から前記直流電圧指令値を生成し、
前記直流電圧指令値補正部は、前記周波数検出部によって検出された前記電力網から入力される交流の周波数に基づいて、前記直流電圧指令値が正の値となる範囲で前記直流電圧指令値を補正することを特徴とする、電力変換装置。
【請求項2】
前記直流電圧指令値補正部は、前記周波数検出部によって検出された前記交流の周波数が上がった場合、前記直流電圧指令値を大きくなるように補正し、前記交流の周波数が下がった場合、前記直流電圧指令値を小さくなるように補正する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記コンバータ制御部は、前記蓄電デバイスから前記インバータ回路へ供給される直流電力と、前記インバータ回路の出力電力に基づいて算出される閾値とを比較する電力比較部を有し、
前記電力比較部により前記直流電力が前記閾値を上回ったと判定された場合、前記直流電圧指令値補正部は前記直流電圧指令値を大きくなるように補正する、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記電力比較部は、コンパレータから構成される、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記電力比較部は、前記直流電力と前記閾値との電力差分を検出する電力差分検出部から構成され、
前記電力差分検出部により前記直流電力が前記閾値を上回ったと判定された場合、前記直流電圧指令値補正部は前記電力差分検出部によって検出された前記電力差分に応じた割合で前記直流電圧指令値を大きくなるように補正する、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記コンバータ制御部は、前記電力網から入力される交流電力が所定の閾値を超えるかを判定する電力判定部を有し、
前記電力判定部によって前記電力網から入力される交流電力が前記閾値を下回ったと判定された場合、前記直流電圧指令値補正部は前記直流電圧指令値を大きくなるように補正する、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記コンバータ制御部は、前記直流電圧の偏差を検出する直流偏差検出部を有し、
前記直流偏差検出部によって検出された直流偏差が増加した場合、前記直流電圧制御部は前記直流偏差に応じて前記直流電圧指令値を補正する、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記コンバータ回路に直列に接続され、かつ、前記平滑回路と並列に接続され、直流電源からなる直流回路を更に備える、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項9】
再生エネルギー発電機および内燃機関を有する発電機を含む電力網に接続され、前記電力網から入力される交流を直流に変換するコンバータ回路と、
前記コンバータ回路に直列に接続され、コンデンサからなる平滑回路と、
前記コンバータ回路に直列に接続され、かつ、前記平滑回路と並列に接続される蓄電デバイスと、
前記平滑回路、および、前記蓄電デバイスに直列に接続され、前記平滑回路からの直流、または、前記蓄電デバイスからの直流を交流に変換して交流負荷に出力するインバータ回路と、
直流電圧指令値に基づいて前記コンバータ回路をPWM制御するコンバータ制御部と、
前記インバータ回路をPWM制御するインバータ制御部と、
を備え、
前記コンバータ制御部は、
直流電圧指令値補正部を有する直流電圧制御部と、
前記電力網から入力される交流の周波数を検出する周波数検出部を、
を備え、
前記直流電圧制御部は、直流電圧基準値と前記コンバータ回路から前記インバータ回路へ供給される直流電圧との差分から前記直流電圧指令値を生成し、
前記直流電圧指令値補正部は、前記周波数検出部によって検出された前記電力網から入力される交流の周波数に基づいて、前記直流電圧指令値が正の値となる範囲で前記直流電圧指令値を補正することを特徴とする、電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、火力発電等の同期発電機を用いた発電が主体となる商用電源では、消費電力が急激に変動した場合でも、発電量を調整することにより商用電源の周波数変動を抑えている。しかし、近年は太陽光等の再生エネルギーを用いた発電が増加し、商用電源における同期発電機を用いた発電の割合が減少していることから、消費電力が急激に変動した場合、商用電源の周波数変動が発生しうることが懸念されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、商用電源から入力される交流電圧を直流に変換し、DC/DC変換器を介して蓄電池をDCバスに接続するとともに、そのDC/DC変換器によって蓄電池の充放電を制御する電力変換装置が開示されている。これにより、電圧指令値を用いて、DCバスに接続された蓄電池の充放電制御を行い、安定した電力供給が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている電力変換装置は、消費電力が急激に変動した場合に、電力変換装置に接続された負荷の変動を抑制できるが、商用電源の周波数変動を抑制できない。
【0006】
そこで、本発明は、再生エネルギーを含む電力網から入力される交流の周波数変動を抑制できる電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る一側面に係る電力変換装置は、
再生エネルギー発電機を含む電力網に接続され、前記電力網から入力される交流を直流に変換するコンバータ回路と、
前記コンバータ回路に直列に接続され、コンデンサからなる平滑回路と、
前記コンバータ回路に直列に接続され、かつ、前記平滑回路と並列に接続される蓄電デバイスと、
前記平滑回路、および、前記蓄電デバイスに直列に接続され、前記平滑回路からの直流、または、前記蓄電デバイスからの直流を交流に変換して交流負荷に出力するインバータ回路と、
直流電圧指令値に基づいて前記コンバータ回路をPWM制御するコンバータ制御部と、
前記インバータ回路をPWM制御するインバータ制御部と、
を備え、
前記コンバータ制御部は、
直流電圧指令値補正部を有する直流電圧制御部と、
前記電力網から入力される交流の周波数を検出する周波数検出部と、
を備え、
前記直流電圧制御部は、直流電圧基準値と前記コンバータ回路から前記インバータ回路へ供給される直流電圧との差分から前記直流電圧指令値を生成し、
前記直流電圧指令値補正部は、前記周波数検出部によって検出された前記電力網から入力される交流の周波数に基づいて、前記直流電圧指令値が正の値となる範囲で前記直流電圧指令値を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、再生エネルギーを含む電力網から入力される交流の周波数変動を抑制する電力変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る電力変換装置の回路構成を示す回路図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るコンバータ制御部の回路構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示すコンバータ制御部内の直流電圧指令値およびコンバータ基準波形の波形データである。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るインバータ制御部の回路構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るコンバータ制御部の回路構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係るコンバータ制御部の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本実施形態に係る電力変換装置1の回路構成を示す図である。
図1に示すように、電力変換装置1の装置入力端子31a~31cには、三相交流電源91が接続され、電力変換装置1の装置出力端子71a~71cには、インバータ回路Iから出力される三相交流Voutが供給される交流負荷92が接続される。電力変換装置1は、入力フィルタF1と、コンバータ回路Cと、平滑回路Sと、インバータ回路Iと、出力フィルタF2と、直流回路Dと、コンバータ制御部12と、インバータ制御部13と、を備える。
なお、三相交流電源91は、太陽光発電、風力発電、波力発電などの発電量を意図的に調整することが難しい再生エネルギー発電機を含む電力網を意味する。
【0012】
入力フィルタF1は、入力フィルタコンデンサ2a~2cと、入力フィルタリアクトル3a~3cと、を有する。入力フィルタリアクトル3a~3cの一方の端子は、電力変換装置1の装置入力端子31a~31cにそれぞれ接続される。入力フィルタリアクトル3a~3cの他方の端子は、コンバータ回路Cの三相(r相,s相,t相)の交流入力端子41a~41cにそれぞれ接続される。
【0013】
入力フィルタコンデンサ2a~2cの一方の端子は、入力フィルタリアクトル3a~3cにおける装置入力端子31a~31c側の端子にそれぞれ接続される。入力フィルタコンデンサ2a~2cの他方の端子は、互いに接続される。入力フィルタF1は、三相交流電源91からの三相交流Vinをコンバータ回路Cに通過させるとともに、コンバータ回路Cで発生するキャリア周波数(PWM制御方式におけるパルス幅変調周期を決定する周波数)の信号が三相交流電源91に流れ込むのを防止する。
【0014】
コンバータ回路Cは、三相ブリッジ接続された6個の半導体スイッチング素子4a~4fを有する。半導体スイッチング素子4a~4fは、例えば、IGBT(絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ)と、逆並列された還流ダイオードとから構成される。コンバータ回路Cは、三相(r相,s相,t相)のフルブリッジ回路で構成される。コンバータ回路Cは、三相交流電源91から入力される三相交流を直流に変換する。
【0015】
平滑回路Sは、コンバータ回路Cの平滑コンデンサ5を有し、コンバータ回路Cに直列に接続される。平滑コンデンサ5は、例えば、電解コンデンサであり、コンバータ回路Cの直流出力端子42a、42bに接続される。平滑コンデンサ5は、コンバータ回路Cの出力を平滑化する。
【0016】
インバータ回路Iは、三相ブリッジ接続された6個の半導体スイッチング素子6a~6fを有し、平滑回路Sおよび直流回路Dに直列に接続される。半導体スイッチング素子6a~6fは、例えば、IGBTと、逆並列された還流ダイオードとから構成される。インバータ回路Iは、三相(u相,v相,w相)のフルブリッジ回路で構成される。インバータ回路Iは、直流入力端子61a、61bが平滑コンデンサ5の両極端子、および、DCDCコンバータ11の端子にそれぞれ接続される。インバータ回路Iは、半導体スイッチング素子6a~6fのスイッチング動作により、平滑回路Sからの直流(コンバータ回路Cが出力する直流)を交流に変換する、または、直流回路Dからの直流を交流に変換する。
【0017】
出力フィルタF2は、出力フィルタリアクトル7a~7cと、出力フィルタコンデンサ8a~8cと、を有する。出力フィルタリアクトル7a~7cの一方の端子は、三相(u相,v相,w相)のインバータ回路Iの交流出力端子62a~62cにそれぞれ接続される。出力フィルタリアクトル7a~7cの他方の端子は、電力変換装置1の装置出力端子71a~71cにそれぞれ接続される。
【0018】
出力フィルタコンデンサ8a~8cの一方の端子は、出力フィルタリアクトル7a~7cにおける装置出力端子71a~71c側の端子にそれぞれ接続される。出力フィルタコンデンサ8a~8cの他方の端子は、互いに接続される。出力フィルタF2は、インバータ回路Iから出力される交流を交流負荷92に通過させるとともに、インバータ回路Iで発生するキャリア周波数の信号が交流負荷92に流れ込むのを防止する。
【0019】
直流回路Dは、蓄電デバイス9と、DCDCコンバータ11と、を有する。蓄電デバイス9は、直流電源(蓄電池)10aと蓄電コンデンサ10bから構成される。DCDCコンバータ11の入力端子11a、11cは、蓄電デバイス9に接続される。DCDCコンバータ11の出力端子11b、11dは、インバータ回路Iの直流入力端子61a、61bにそれぞれ接続される。DCDCコンバータ11は、直流電源(蓄電池)10aと蓄電コンデンサ10bからの入力電圧を所定の出力電圧に電圧変換して、インバータ回路Iに出力する。
なお、蓄電デバイス9は、直流電源(蓄電池)10a、または蓄電コンデンサ10bの一方のみから構成されてもよい。また、直流回路Dは、DCDCコンバータ11を含まない構成であってもよい。
【0020】
直流回路Dは、平滑回路Sと並列に接続され、交流負荷92が増加した際に、または停電や瞬断が発生した際に交流負荷92への電力供給を継続するように構成される。具体的には、電力変換装置1の通常動作時は、平滑回路Sからの直流(コンバータ回路Cが出力する直流)がインバータ回路Iに入力される。電力変換装置1の蓄電デバイス9の動作時は、直流回路Dからの直流がインバータ回路Iに入力される。
【0021】
図2は、本発明の第1実施形態に係るコンバータ制御部12の回路構成を示す図である。コンバータ制御部12は、直流電圧制御部121と、周波数検出部122と、電力比較部123と、PLL124と、コンバータ指令生成部125と、コンバータPWM信号制御部126と、を有し、コンバータ回路Cの半導体スイッチング素子4a~4fを所望の状態にPWMスイッチング制御する。直流電圧制御部121は、直流電圧指令値補正部121Aを有する。
【0022】
周波数検出部122は、三相交流電源91から三相交流Vinが入力され、三相交流Vinの周波数fvinを検出し、直流電圧指令値補正部121Aへ出力する。
【0023】
電力比較部123は、インバータ回路Iから出力フィルタF2を通過して交流負荷92へと出力される三相交流Voutと、蓄電デバイス9からインバータ回路Iへ供給される直流が入力される。電力比較部123は、三相交流電力Poutに基づいて閾値Th1を算出し、蓄電デバイス9からインバータ回路Iへ供給される直流の直流電力Pdcと当該閾値Th1とを比較し、比較結果を出力する。
【0024】
直流電圧制御部121は、直流電圧Vdcが入力され、直流電圧基準値Vdstdと直流電圧Vdcとの差分に基づいて、直流電圧指令値IVdcを算出する。
直流電圧指令値補正部121Aには、算出された直流電圧指令値IVdcと、周波数検出部122からの三相交流Vinの周波数fvinとが入力される。直流電圧指令値補正部121Aは、周波数fvinに基づいて、直流電圧指令値IVdcが正の値となる範囲で直流電圧指令値IVdcを補正する。具体的には、周波数fvinが上がった場合に、直流電圧指令値IVdcを大きくなるように補正し、周波数fvinが下がった場合に、直流電圧指令値IVdcを小さくなるように補正する。その結果、
図3に示すように、補正後の直流電圧指令値I’Vdcは正の値となる。
図3の例示では、補正後の直流電圧指令値I’Vdcが最大となる場合、交流負荷92が一定である通常動作の場合、最小となる場合を表している。
【0025】
また、直流電圧指令値補正部121Aには、電力比較部123からの比較結果が入力される。直流電圧指令値補正部121Aは、比較結果に基づいて、直流電圧指令値IVdcが正の値となる範囲で直流電圧指令値IVdcを補正してもよい。具体的には、比較結果により直流電力Pdcが閾値Th1を上回った場合に、直流電圧指令値IVdcを大きくなるように補正し、直流電力Pdcが閾値Th1を下回った場合に、直流電圧指令値IVdcを小さくなるように補正してもよい。
【0026】
PLL124は、三相交流電源91から三相交流Vinが入力され、三相交流Vinと同期した正弦波リファレンス信号を生成して出力する。補正後の直流電圧指令値I’Vdcに正弦波リファレンス信号を積算することで、コンバータ基準波形が生成される。
図3に示すように、コンバータ基準波形は、補正後の直流電圧指令値I’Vdcを振幅として正弦波リファレンス信号に同期した正弦波となる。
なお、コンバータ制御部12はPLL124を有さない構成であってもよい。その場合、三相交流電源91から入力される三相交流Vinがそのまま正弦波リファレンス信号となる。
【0027】
コンバータ指令生成部125は、コンバータ基準波形が入力され、三相交流正弦波からなるコンバータ指令信号Vr、Vs、Vtを生成し、コンバータPWM信号制御部126へ出力する。
【0028】
コンバータPWM信号制御部126は、コンパレータ126aとキャリア信号生成部126bと、を有する。コンパレータ126aには、コンバータ指令信号Vr、Vs、Vtと、キャリア信号生成部126bで生成される三角波等のキャリア信号Vcが入力され、両者を比較して、PWM駆動信号Vgr、Vgs、Vgtを出力する。PWM駆動信号Vgrとその反転信号/Vgr、PWM駆動信号Vgsとその反転信号/Vgs、PWM駆動信号Vgtとその反転信号/Vgtは、それぞれコンバータ回路Cの半導体スイッチング素子4a~4fのゲートに入力される。つまり、PWM駆動信号Vgr、Vgs、Vgtは、コンバータ指令信号Vr、Vs、Vtがキャリア信号Vcよりも大きい場合に上側の半導体スイッチング素子4a,4c,4eをオン、下側の半導体スイッチング素子4b,4d,4fをオフする波形である。また、コンバータ指令信号Vr、Vs、Vtがキャリア信号Vcよりも小さい場合に下側の半導体スイッチング素子4b,4d,4fをオン、上側の半導体スイッチング素子4a,4c,4eをオフする波形である。
【0029】
このように、直流電圧指令値補正部121Aにおいて、直流電圧指令値IVdcを周波数検出部122からの周波数fvin、電力比較部123からの比較結果、または、周波数fvinと比較結果の両方に基づいて補正することで、交流負荷92の急激な変動等により三相交流Vinの周波数fvinが変動した場合に周波数fvinの変動を抑制するように、コンバータ回路Cの半導体スイッチング素子4a~4fをPWMスイッチング制御することができる。したがって、再生エネルギーを含む電力網から入力される電力の周波数fvinの変動を抑制できる。
【0030】
図4は、本実施形態に係るインバータ制御部13の回路構成を示す図である。インバータ制御部13は、交流電圧制御部131と、理想正弦波生成部132と、インバータ指令生成部133と、インバータPWM信号制御部134と、を有し、インバータ回路Iの半導体スイッチング素子6a~6fを所望の状態にPWMスイッチング制御する。
【0031】
交流電圧制御部131は、三相交流Voutが入力され、交流電圧基準値Vastdと三相交流Voutとの差分に基づいて、交流電圧指令値IVacを算出する。
【0032】
理想正弦波生成部132は、正弦波リファレンス信号を生成して出力する。交流電圧指令値IVacに正弦波リファレンス信号を積算することで、インバータ基準波形が生成される。
【0033】
インバータ指令生成部133は、インバータ基準波形が入力され、三相交流正弦波からなるコンバータ指令信号Vu,Vv,Vwを生成し、インバータPWM信号制御部134へ出力する。
【0034】
インバータPWM信号制御部134の構成は、
図2に示すコンバータ制御部12のコンバータPWM信号制御部126と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0035】
図5は、本発明の第2実施形態に係るコンバータ制御部12Aの回路構成を示す図である。第2実施形態に係るコンバータ制御部12Aは、
図2に示す第1実施形態に係るコンバータ制御部12の電力比較部123が電力判定部127に置き換わった構成である。
【0036】
電力判定部127は、コンパレータから構成され、三相交流電源91から三相交流Vinが入力される。電力判定部127は、三相交流Vinの三相交流電力Pinと予め設定されている閾値Th2(例えばTh2=0W)とを比較し、判定結果を出力する。
【0037】
直流電圧指令値補正部121Aには、電力判定部127からの判定結果が入力される。直流電圧指令値補正部121Aは、判定結果に基づいて、直流電圧指令値IVdcが正の値となる範囲で直流電圧指令値IVdcを補正してもよい。具体的には、比較結果により三相交流電力Pinが閾値Th2を上回った場合に、直流電圧指令値I’Vdcを大きくなるように補正し、直流電力Pinが閾値Th2を下回った場合に、直流電圧指令値I’Vdcを小さくなるように補正してもよい。
【0038】
電力判定部127以外の構成(直流電圧制御部121、周波数検出部122、PLL124、コンバータ指令生成部125、コンバータPWM信号制御部126)は、
図2に示すコンバータ制御部12と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0039】
このように、直流電圧指令値補正部121Aにおいて、直流電圧指令値IVdcを周波数検出部122からの周波数fvin、電力判定部127からの判定結果、または、周波数fvinと判定結果の両方に基づいて補正することで、交流負荷92の急激な変動等により三相交流Vinの周波数fvinが変動した場合に周波数fvinの変動を抑制するように、コンバータ回路Cの半導体スイッチング素子4a~4fをPWMスイッチング制御することができる。したがって、再生エネルギーを含む電力網から入力される電力の周波数fvinの変動を抑制できる。
【0040】
図6は、本発明の第3実施形態に係るコンバータ制御部12Bの回路構成を示す図である。第3実施形態に係るコンバータ制御部12Bは、
図2に示す第1実施形態に係るコンバータ制御部12の電力比較部123が直流偏差検出部128に置き換わった構成である。
【0041】
直流偏差検出部128は、直流電圧Vdcが入力され、直流電圧Vdcの偏差ΔVdcを所定の時間間隔で逐次的に出力する。
【0042】
直流電圧指令値補正部121Aには、直流偏差検出部128からの偏差ΔVdcが入力される。直流電圧指令値補正部121Aは、偏差ΔVdcに基づいて、直流電圧指令値IVdcが正の値となる範囲で直流電圧指令値IVdcを補正してもよい。具体的には、偏差ΔVdcが増加した場合に、直流電圧指令値I’Vdcを補正してもよい。
【0043】
直流偏差検出部128以外の構成(直流電圧制御部121、周波数検出部122、PLL124、コンバータ指令生成部125、コンバータPWM信号制御部126)は、
図2に示すコンバータ制御部12と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0044】
このように、直流電圧指令値補正部121Aにおいて、直流電圧指令値IVdcを周波数検出部122からの周波数fvin、直流偏差検出部128からの偏差ΔVdc、または、周波数fvinと偏差ΔVdcの両方に基づいて補正することで、交流負荷92の急激な変動等により三相交流Vinの周波数fvinが変動した場合に周波数fvinの変動を抑制するように、コンバータ回路Cの半導体スイッチング素子4a~4fをPWMスイッチング制御することができる。したがって、再生エネルギーを含む電力網から入力される電力の周波数fvinの変動を抑制できる。
【0045】
以上、本実施形態について説明をしたが、本実施形態に係る技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本実施形態に係る技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0046】
本実施形態では、三相交流電源91は、再生エネルギー発電機を含む構成からなる電力網としたが、さらに内燃機関を有する発電機を含む構成であってもよい。その場合、電力網から入力される電力の周波数fvinの変動を抑制できるのに加えて、内燃機関を有する発電機の出力容量を維持しつつ出力容量の最大定格を抑えることで、内燃機関を有する発電機を小型化できる。なお、内燃機関を有する発電機の一例として、エンジン発電機、ディーゼル発電機、バッテリ等があげられる。
【符号の説明】
【0047】
1:電力変換装置
2a~2c:入力フィルタコンデンサ
3a~3c:入力フィルタリアクトル
4a~4f:半導体スイッチング素子
5:平滑コンデンサ
6a~6f:半導体スイッチング素子
7a~7c:出力フィルタリアクトル
8a~8c:出力フィルタコンデンサ
9:蓄電デバイス
10a:直流電源(蓄電池)
10b:蓄電コンデンサ
11:DCDCコンバータ
12、12A、12B:コンバータ制御部
13:インバータ制御部
121:直流電圧制御部
121A:直流電圧指令値補正部
122:周波数検出部
123:電力比較部
124:PLL
125:コンバータ指令生成部
126:コンバータPWM信号制御部
126a:コンパレータ
126b:キャリア信号生成部
127:電力判定部
128:直流偏差検出部
131:交流電圧制御部
132:理想正弦波生成部
133:インバータ指令生成部
134:インバータPWM信号制御部
31a~31c:装置入力端子
41a~41c:交流入力端子
42a~42b:直流出力端子
61a~61b:直流入力端子
62a~62c:交流出力端子
71a~71c:装置出力端子
91:三相交流電源
92:交流負荷
C:コンバータ回路
I:インバータ回路
D:直流回路
F1:入力フィルタ
F2:出力フィルタ
S:平滑回路