(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083048
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 21/16 20060101AFI20240613BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240613BHJP
F21V 21/008 20060101ALI20240613BHJP
F21S 8/06 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F21V21/16
F21S2/00 230
F21V21/008
F21S8/06 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197339
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】北川 貴稔
(72)【発明者】
【氏名】栗村 尚明
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 凌馬
(57)【要約】
【課題】固定する対象に合わせて固定位置を調整可能な照明器具を提供すること。
【解決手段】照明器具1は、照明素子31が配置された長尺の本体部2と、本体部2の長手方向に移動可能に取り付けられ、本体部2を天井材100に固定するとともに天井材100に対する本体部2の固定位置を調整可能な固定部5と、を備える。本体部2は、長手方向に延びて互いに対向する一対の側面部21と、一対の側面部21の内側部のそれぞれから互いに近付く方向に突出する一対の突出部22と、を有し、固定部5は、一対の突出部22を間に挟んで上下に重ねられて取り付けられ、一対の側面部21の間に配置される一対の板状部530を有することが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が配置された長尺の本体部と、
前記本体部の長手方向に移動可能に取り付けられ、前記本体部を天井材に固定するとともに前記天井材に対する前記本体部の固定位置を調整可能な固定部と、を備える、照明器具。
【請求項2】
前記本体部は、前記長手方向に延びて互いに対向する一対の側面部と、前記一対の側面部の内側部のそれぞれから互いに近付く方向に突出する一対の突出部と、を有し、
前記固定部は、前記一対の突出部を間に挟んで上下に重ねられて取り付けられ、前記一対の側面部の間に配置される一対の板状部を有する、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記一対の板状部は、前記光源を避けるように上方に突出する凸部を有する、請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記一対の板状部の間に差し込まれ、前記一対の板状部と一体に固定される断面視略L字状の振れ止め部材をさらに備える、請求項2又は3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記振れ止め部材は、前記一対の板状部の間に差し込まれる第1面部と、一端が前記天井材に固定された接続部材の他端が接続される第2面部と、を有し、
前記第1面部は、前記第1面部と前記第2面部との接続部からの長さが、前記第2面部の前記接続部からの長さより短く、
前記振れ止め部材は、振れ止めが不要である場合には、前記第2面部が前記一対の板状部の間に差し込まれる、請求項4に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具を取り付ける際に、予め決められた位置に、係止具等の金具が設けられることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明器具を固定する位置や対象が変化する場合に、固定する対象に合わせて固定位置を調整したい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、光源が配置された長尺の本体部と、前記本体部の長手方向に移動可能に取り付けられ、前記本体部を天井材に固定するとともに前記天井材に対する前記本体部の固定位置を調整可能な固定部と、を備える、照明器具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4A】第1実施形態の上側板状部の平面図である。
【
図4B】第1実施形態の上側板状部の側面図である。
【
図5A】第1実施形態の下側板状部の平面図である。
【
図5B】第1実施形態の下側板状部の側面図である。
【
図6A】第1実施形態の振れ止め部材の平面図である。
【
図6B】第1実施形態の振れ止め部材の正面図である。
【
図6C】第1実施形態の振れ止め部材の側面図である。
【
図7】第1実施形態の照明器具の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、第1実施形態の照明器具1は、天井材100から吊り下げて支持される吊り下げ式の照明器具1であり、いわゆるペンダントライトである。照明器具1は、例えば12Vの低電力で光を照射可能に構成されている。照明器具1は、本体部2と、光源3と、蓋部4と、固定部5と、吊紐部6と、振れ止め部7と、を有する。本実施形態における天井材100とは、ガーデンルームやテラス等の屋外の建造物における屋根や垂木等の上部構造物を言う。
【0008】
本体部2は、照明器具1の外形をなすアルミ形材の部材であり、上方が開口した長尺の形状を有する。本体部2には、後述する光源3や配線34等が内部に配置される。
図2に示すように、本体部2は、一対の側面部21と、一対の突出部22と、上部開口23と、底面部24と、蓋部係止部25と、端部キャップ26と、を有する。
【0009】
一対の側面部21は、本体部2の長手方向に延びて互いに対向する。一対の側面部21は、本体部2の長手方向に直交する幅方向の両側で、上下方向に沿って延びる面である。一対の側面部21は、同じ大きさで対向する一の側面部21aと、他の側面部21bから構成される。
【0010】
一対の突出部22は、一対の側面部21の上方の内側部に配置され、一の側面部21aと、他の側面部21bの内側部のそれぞれから互いに近づく方向に突出する小さな突起である。一対の突出部22は、一対の側面部21の長手方向の全長に亘って形成されている。一対の突出部22について、以下、単に突出部22と言う場合がある。
【0011】
一対の蓋部係止部25は、一対の突出部22から下方に間を空けて、一対の側面部21の上方の内面に配置される。蓋部係止部25は、一の側面部21aと、他の側面部21bの内側部から互いに近づく方向に突出する小さな突起である。蓋部係止部25は、突出部22とほぼ同様の形状を有するが、突出部22よりも本体部2の内側へ突出する突出長さが長い。蓋部係止部25には、後述する蓋部4が係止されて係合する。一対の蓋部係止部25について、以下、単に蓋部係止部25と言う場合がある。
【0012】
上部開口23は、本体部2の上面が長手方向の全長に亘って開放されている。底面部24は、一対の側面部21の下方を塞ぐ面である。底面部24は、傾斜面241と、溝部242と、を有する。傾斜面241は、底面部24の幅方向における略中央部側が上方に、幅方向の外側が一対の側面部21の下端に位置し、幅方向の外側から内側に向かって上方に傾斜する面である。溝部242は、底面部24の幅方向の中央部に配置され、幅方向の一方側の傾斜面241と、他方側の傾斜面241との上端より上方に形成された凹部である。溝部242は、下方に向かって開口する断面視略コの字の形状を有する。溝部242は、本体部2の長手方向に沿って連続して形成されている。溝部242には、後述する下側光源320が取り付けられる。
【0013】
端部キャップ26は、本体部2の長手方向の両端部を覆う樹脂製の部材である。端部キャップ26は、平面視略長方形の形状を有し、カバー面261と、リブ部262と、を有する。カバー面261は、一対の側面部21、上部開口23及び底面部24で形成される本体部2の側端の開口を覆うことが可能な大きさの平面で構成される。リブ部262は、カバー面261の裏面から本体部2の内側に向かって起立する。リブ部262は、本体部2の内部に差し込まれるとともに、一対の側面部21の内壁面に沿うように圧入されることで、端部キャップ26が本体部2に取り付けられる。
【0014】
光源3は、本体部2の長手方向に沿って延びるように配置される線状のライン照明である。光源3は、照明素子31と、保持部32と、透光カバー33と、配線34と、コネクタ35と、を有する。
【0015】
照明素子31は、電気で発光するLED電球である。照明素子31は、本体部2の長手方向に沿って複数間を空けて配置される。
【0016】
保持部32は、照明素子31が取り付けられる基部である。保持部32は、断面視略H字状形状で、本体部2の長手方向に沿って配置される。
【0017】
透光カバー33は、照明素子31を覆う樹脂製の透光部であり、光源3の外形を形成する。透光カバー33は、本体部2の上部開口23に沿って配置される長尺の形状を有する。透光カバー33は、表面に微細な凹凸が形成され、照明素子31から発光される光が透過することで拡散するディフューザーをとなっている。透光カバー33により、複数の照明素子31からの照射範囲が連続し、本体部2の長手方向に沿って線状に延びるライン照明となるように構成されている。透光カバー33は、防水性を有し、屋外でも耐用可能に構成されている。
【0018】
配線34は、光源3等から延びて電力を照明素子31に供給する電線であり、本体部2の内部に複数収納されている。配線34は、後述する蓋部4に形成された複数の配線孔412を挿通し、本体部2の上部開口23から上方の外側へ延びるように処理される。
【0019】
コネクタ35は、配線34に設けられ、コネクタ35同士を接続することで、照明素子31が接続され、光源3に電気が適切に供給されるように設計されている。配線34及びコネクタ35は、本体部2の内部に収納されている。
【0020】
光源3は、
図2に示すように、本体部2の上側と下側にそれぞれ一つずつ取り付けられる。上側の光源3を上側光源310、下側の光源3を下側光源320と呼ぶが、構成は同じである。上側光源310では上方に、下側光源320では下方に透光カバー33が向くように配置される。従って、上側光源310は、照明器具1が吊り下げられる天井材100の方を照らし、天井材100に反射した光がさらに拡散する間接照明となる。下側光源320は、直接下方に向かって光を照射するため、直接照明となるが、下方を照らす光は底面部24の傾斜面241に反射して部分的に間接照明ともなる。
【0021】
蓋部4は、
図3Aに示すように、本体部2の長手方向の略全長に亘って配置される長尺の板である。蓋部4は、アルミ形材で構成され、
図3Bに示すように、取付板41と、爪部42と、を有する。
図3Aと
図3Bとでは、説明の便宜上、縮尺は異なっている。
【0022】
取付板41は、一対の側面部21の間で、上部開口23を塞ぐように配置される板状の部材である。取付板41の幅方向の端部は、蓋部係止部25の上面に載っている。取付板41は、取付凹部411及び配線孔412を有する。取付凹部411は、取付板41の幅方向の略中央部が、下方に向かって窪み、上方に開口する。取付凹部411には上側光源310の保持部32が配置され、保持部32を介して照明素子31が取付けられる。配線孔412は、各種の配線34を通す貫通孔であり、複数形成されている。
【0023】
爪部42は、取付板41における蓋部4の幅方向の端部の近傍における下面に形成され、取付板41から下方に向かって突出する突起である。爪部42は、取付板41を蓋部係止部25の上部に載せた状態で押圧すると、弾性変形して一対の蓋部係止部25の突出端に係合する。爪部42は、必要な場合には、取付板41を上に引っ張ることで爪部42の係合を外すことができ、蓋部4は着脱可能に構成される。
【0024】
固定部5は、
図1に示すように、本体部2の上部開口23に設けられ、本体部2の長手方向の一方と他方にそれぞれ一つずつ配置される。
図2に示すように、固定部5は、蓋部4の上部に、本体部2の幅方向の一方から他方へ跨って配置される。固定部5は、
図1、
図4A~
図5Bに示すように、長手方向が本体部2の幅方向に沿い、短手方向が本体部2の長手方向に沿う金具である。固定部5は、本体部2の上部を長手方向に沿って移動可能に取り付けられ、天井材100に対する本体部2の固定位置を調整可能である。固定部5は、本体部2の固定位置を調整して天井材100に固定する。固定部5は、2枚の金具により構成される一対の板状部530を有する。
【0025】
一対の板状部530は、本体部2の左右一対の突出部22や、後述する吊金具61や振れ止め部材70を間に挟んで上下に重ねられて取り付けられ、一対の側面部21の間に配置される。一対の板状部530は、長手方向の略中央部が上に凸となった上下一対の板材で構成され、以下に説明する上側板状部531と、下側板状部532と、凸部540と、を有する。凸部540は、上側板状部531に設けられる上側凸部541と、下側板状部532に設けられる下側凸部542とを有する。
【0026】
図2、
図4A及び
図4Bに示すように、上側板状部531は、平面状で略水平方向に延びる。上側板状部531は、後述する下側板状部532の間に突出部22を挟んで、下側板状部532と上下に重ねられる。上側板状部531の長手方向の両側の端部は、突出部22の上に載っている。
図4Aに示すように、上側板状部531は、切り欠き部531aと、連結孔531bと、を有する。切り欠き部531aは、上側板状部531の長手方向の端部において、幅方向の略中央部が略コの字状に切り欠かれて形成されている。切り欠き部531aには、後述する振れ止め部材70が挿通する。連結孔531bは、貫通孔である。
【0027】
上側凸部541は、固定部5の長手方向の中央部(本体部2の幅方向の中央部)に設けられる。上側凸部541は、上側板状部531の長手方向の両端部側よりも上方に突出するように形成される。
図4Bに示すように、上側凸部541は、上側板状部531から連続しており、側面視で下方が開口した略コの字状に形成される。上側凸部541は、光源3を取り付けた際に、光源3の透光カバー33を避けるように形成されている。上側凸部541の上面541aには、吊金具取付孔541bが形成されており、後述する吊紐部6の吊金具61が挿通する。
【0028】
図2、
図5A及び
図5Bに示すように、下側板状部532は、平面状で略水平方向に延びる。下側板状部532は、固定部5の長手方向の中央部(本体部2の幅方向の中央部)に設けられる。下側板状部532の長手方向の両側の端部は、突出部22の下に接して配置されている。
図5Aに示すように、下側板状部532は、上側板状部531と比べて、切り欠き部を有さない点において異なっており、連結孔532bを有する。連結孔532bは、貫通孔である。
【0029】
下側板状部532の連結孔532b及び上側板状部531の連結孔531bには、上側板状部531及び下側板状部532の間に突出部22を挟んだ状態で、ねじ9が挿通されて締結される。連結孔531b、532bは、上側板状部531及び下側板状部532が配置されたときに、ねじ9が挿通可能な同軸の位置となるように配置される。
【0030】
下側凸部542は、固定部5の長手方向の中央部(本体部2の幅方向の中央部)に設けられる。下側凸部542は、下側板状部532の長手方向の両端部側よりも上方に突出するように形成される。
図5Bに示すように、下側凸部542は、下側板状部532から連続しており、側面視で下方が開口した略コの字状に形成される。下側凸部542は、光源3を取り付けた際に、透光カバー33を避けるように突出している。下側凸部542には、貫通孔は形成されていない。
【0031】
吊紐部6は、照明器具1を天井材100に吊り下げる部材である。吊紐部6は、吊金具61と、吊紐62と、不図示の長さ調節部を有する。吊金具61は、略円筒形の吊金具本体610の下端に、略円形のフランジ部611が設けられて形成されている。フランジ部611は、固定部5における上側凸部541に形成された吊金具取付孔541bの下面に配置される。フランジ部611の外径は、吊金具本体610及び吊金具取付孔541bの直径よりも大きい。吊紐62は、吊金具61に一端が固定され、吊金具61の上端から延びるワイヤである。吊紐62は、不図示の長さ調整部に連結されて、長さを調整される。吊紐62は、天井材100に取り付けられ、取り付けた部分が端部カバー63で覆われて隠蔽される。
【0032】
振れ止め部7は、
図1に示すように、振れ止め部材70と、接続部材74と、を有する。振れ止め部7は、照明器具1が屋外に吊り下げて設置される際、風等による本体部2の揺動を抑制する。
【0033】
接続部材74は、吊紐部6とは別の位置から本体部2に接続される金属のワイヤである。接続部材74は、一端が天井材100に固定され、他端が次に説明する振れ止め部材70に接続される。接続部材74は、吊紐部6を中心として本体部2の幅方向外側へ斜めに延びるように取り付けられる。接続部材74は、一端に取り付けられるフック741を有する。フック741は、振れ止め部材70に引っかけて接続される。
【0034】
振れ止め部材70は、断面視略L字型の金具により構成され、一対の板状部530(上側板状部531及び下側板状部532)の間に差し込まれる。振れ止め部材70は、一対の板状部530と一体に固定される。
図6A~
図6Cに示すように、振れ止め部材70は、第1面部71と、第2面部72と、接続部73と、を有する。第1面部71及び第2面部72は、互いに直交するように一端が接続されている。第1面部71及び第2面部72のそれぞれに、貫通孔711、721が形成されている。
【0035】
第1面部71は、
図2に示すように、上側板状部531と下側板状部532との間に差し込まれて配置される平板状の部分である。第1面部71は、貫通孔711を有する。貫通孔711は、上側板状部531の連結孔531b及び下側板状部532の連結孔532bと重なる位置に形成されており、上側板状部531及び下側板状部532と合わせてねじ9で固定される。
【0036】
接続部73は、第1面部71と第2面部72とを繋ぐ角に形成される縁であり、接続部73から第1面部71及び第2面部72は互いに略直交する方向に延びている。
【0037】
第2面部72は、第1面部71から屈曲して延びる平板状の部分である。第2面部72は、第1面部71が上側板状部531と下側板状部532の間に差し込まれた状態で、第1面部71から起立するように配置され、上側板状部531の切り欠き部531aから上方へ延びる。第2面部72の接続部73からの長さ(接続部73から離れる距離)と、第1面部71の接続部73からの長さとを比較すると、第2面部72の長さの方が長く、第1面部71の長さが短い。第2面部72の貫通孔721の直径は、第1面部71の貫通孔711の直径よりも大きい。第2面部72と第1面部71の厚さは同じ厚さである。第2面部72の貫通孔721には、接続部材74の端部に配置されたフック741が接続される。
【0038】
本実施形態の照明器具1の施工方法について説明する。まず、本体部2の上部が開口した状態で、下側光源320を底面部24の溝部242に取り付ける。具体的には、照明素子31及び透光カバー33が取り付けられた保持部32を溝部242の底面に固定する。次に、蓋部4の取付凹部411に上側光源310を取り付ける。このとき、上側光源310及び下側光源320の配線34は、本体部2の内部に収納する。配線34に設けられているコネクタ35を適宜接続し、光源3に電気が通るように配線される。
【0039】
本体部2の内部に配線34及びコネクタ35が収納された状態で、蓋部4の爪部42を蓋部係止部25に押し付けると、爪部42が弾性変形して蓋部係止部25を乗り越え、係止される。このように、蓋部4は本体部2に着脱可能に配置される。
【0040】
次に、下側板状部532を突出部22の下側に配置する。そして、下側板状部532の上に、振れ止め部材70の第1面部71を載せる。また、吊金具61のフランジ部611を下側凸部542の上に載せる。その状態で、上側板状部531を載せ、第2面部72を上側板状部531の切り欠き部531aから上方に挿通させる。また、上側凸部541の吊金具取付孔541bに吊金具61を挿通させつつ、フランジ部611の上に上側凸部541を載せる。上側板状部531の長手方向の端部(本体部2の幅方向外側に位置する端部)を突出部22の上に載せ、ねじを上側板状部531の連結孔531b、下側板状部532の連結孔532b及び第1面部71の貫通孔711に挿通させて軽く締結する。軽く締結した状態では、上側板状部531と下側板状部532とはぴったり固定されていないので、固定部5を本体部2の長手方向に沿ってスライド移動させ、本体部2の取付けに適切な位置を決める。位置を決めたら、ねじを強く締結し、固定する。
【0041】
第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。照明器具1を、照明素子31が配置された長尺の本体部2と、本体部2の長手方向に移動可能に取り付けられ、本体部2を天井材100に固定するとともに天井材100に対する本体部2の固定位置を調整可能な固定部5と、を含んで構成した。光源3が配置された長尺の本体部2を天井材100に取り付ける際に、天井材100の形状や構成によっては、取付位置が合わない場合がある。しかし、固定部5を有する照明器具1によれば、天井材100の取付けが容易な箇所を選んで適宜取り付けることができるので、利便性が向上する。また、本体部2の長さの長短に関わらず取付けが容易になるため、照明器具の寸法やデザインの自由度が広がる。
【0042】
第1実施形態によれば、本体部2を、長手方向に延びて互いに対向する一対の側面部21と、一対の側面部21の内側部のそれぞれから互いに近付く方向に突出する一対の突出部22と、を含んで構成した。固定部5を、一対の突出部22を間に挟んで上下に重ねられて取り付けられ、一対の側面部21の間に配置される一対の板状部530を含んで構成した。これにより、固定部5を、突出部22を間に挟んで上下に重ねた一対の板状部530(上側板状部531、下側板状部532)をスライドさせるだけで移動させることができる。天井材100に対する本体部2の固定位置を調整する際に、固定部5をスライドさせることで固定部5を本体部2に取り付ける位置を調整することができる。よって、固定部5の位置を調整する際に固定部5を取り外す必要がなく、作業性及び利便性が高まる。
【0043】
第1実施形態によれば、前記一対の板状部530を、照明素子31を含む光源3を避けるように上方に突出する凸部540を含んで構成した。これにより、光源3が配置されていても固定部5を本体部2に沿ってスライド移動させることが可能になる。このため、固定部5の本体部2に対する位置の調整、ひいては固定部5の天井材100に対する位置の調整を容易に行うことができる。
【0044】
第1実施形態によれば、一対の板状部530の間に差し込まれ、一対の板状部530と一体に固定される断面視略L字状の振れ止め部材70をさらに含んで構成した。振れ止め部材70を一対の板状部530の間に差し込んで一体に固定することで、振れ止め部材70を他の部材の邪魔にならないように取り付けることが可能になる。振れ止め部材70に天井材100との接続部材74を接続する場合は、断面視略L字状の振れ止め部材70の第2面部72に接続すればよいので、バランスをとりやすく、接続部材74の取付けが容易になる。また、上側板状部531と下側板状部532とをねじ9等で固定する際に、ねじ9等の変形を防止し、固定を安定させることが可能になる。
【0045】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
図7は、第1実施形態の変形例を示す。変形例の照明器具1Aは、接続部材74を有さない。しかし、第1実施形態の振れ止め部7で説明した振れ止め部材70が、第1実施形態と異なる配置で取り付けられる。
【0046】
照明器具1が屋外に設置されない場合等、本体部2が揺動しにくい状況では、接続部材74を取り付ける必要がない。しかし、上側板状部531と下側板状部532を直接重ねてねじ9で締結すると、ねじ9を強く締結しすぎた場合にねじ9が変形する等の懸念がある。そこで、振れ止めが不要で接続部材74を接続しない場合には、振れ止め部材70の第2面部72が上側板状部531と下側板状部532の間に差し込まれる。また、
図7に示すように、第1面部71を固定部5の長手方向の側縁に沿って起立するように配置させる。これにより、第2面部72がワッシャのような働きをする。第2面部72の貫通孔721は、上側板状部531の連結孔531bと下側板状部532の連結孔532bと重なる位置に形成されており、上側板状部531及び下側板状部532と合わせてねじで固定される。変形例では、第1面部71は特に機能していなくてよい。
【0047】
振れ止めが不要な場合でも、第2面部72を上側板状部531と下側板状部532の間に差し込むことで、上側板状部531と下側板状部532とを留めるねじ9の変形を防止して、安定して締結することが可能になる。さらに、第1面部71は、接続部73からの長さが、第2面部72の接続部73からの長さより短いので、第2面部72を上側板状部531と下側板状部532の間に差し込んだ状態では、上側板状部531から上方に突出する長さが短い。このため、第1面部71が他の部材に干渉する等の恐れもない。
【0048】
図8は、第2実施形態に係る照明器具1Bの断面図を示す。第2実施形態は、光源3Bのうち上側光源310がライン照明であり、下側光源320Bが、スポット照明である点が第1実施形態と異なる。スポット照明とは、一つの照明素子31Bが一定の照射範囲を有し、隣接する照明素子31Bと線状に連続しないで所定範囲を照らす照明である。以下の説明において、説明しない部分の構成は、第1実施形態と共通する。
【0049】
下側光源320Bは、例えば3つ、本体部2の長手方向に沿って間を空けて配置されている。下側光源320Bは、本体部2Bの開口としての上部開口23内に収納配置される。より具体的には、下側光源320Bは、上側光源310の下方に取り付けられる。下側光源320Bは、本体部2の底面部24Bから下方に向かって光を照射する。下側光源320Bは、コネクタ35付きの配線34を有する。
【0050】
上側光源310は、第1実施形態と同様の構成のライン照明である。上側光源310は、本体部2の長手方向に沿って設けられ、蓋部4の取付凹部411に取り付けられている。上側光源310は、上部開口23から上部を照らす。
【0051】
本体部2Bは、内部を上下に仕切る隔壁27を有する。隔壁27は、蓋部4と底面部24Bとの間で、一対の側面部21の上下方向における中央付近に形成される。隔壁27は、本体部2Bの長手方向の全長に沿って形成される。蓋部4が取り付けられた状態で、蓋部4と隔壁27との間が、配線34やコネクタ35を配置する配線空間Sとなる。配線空間Sには、上側光源310から延びる配線34やコネクタ35、下側光源320Bから延びる配線34やコネクタ35の両方、吊紐62等が収納される。配線34は、蓋部4の配線孔412を通じて本体部2Bの外側へ処理され、本体部2Bの上方へ取りまわされる。
【0052】
底面部24Bは、本体部2の下面で一対の側面部21の間を繋ぐ平坦な板面で形成され、第1実施形態のように傾斜していない。底面部24Bは、下側光源320Bを配置する光源取付凹部28を有する。光源取付凹部28は、本体部2Bの長手方向に沿って間を空けて複数配置される。光源取付凹部28に、下側光源320Bが嵌め込んで取り付けられる。
【0053】
第2実施形態の照明器具1Aの施工方法について説明する。下側光源320Bを本体部2に配置し、下側光源320Bの配線を処理する際に、隣接する下側光源320の配線やコネクタを接続する作業を行う。配線作業中は、蓋部4はまだ上部開口23を塞いでいない。よって、長尺の本体部2Bの任意の位置でコネクタ35の接続等の作業を行うことができる。その後、配線34を蓋部4の配線孔412から上方へ処理する。また、蓋部4の取付凹部411には、上側光源310Bを取付け、配線34を本体部2の内部に収納する。この状態で、蓋部4で本体部2の上部開口23を塞ぎ、上から押圧すると、蓋部4の爪部42が一対の蓋部係止部25を乗り越えて係合する。
【0054】
第1実施形態では、上側光源310及び下側光源320の両方がライン照明、第2実施形態では、上側光源310がライン照明、下側光源320Bが複数配置されるスポット照明である構成を例として説明した。しかし、光源の形状や数は特に限定されない。長尺の本体部2内に、自在に配置されてよい。
【0055】
上記の説明で、天井材をガーデンテラス等の屋外の上部構造物として説明したが、照明器具は屋外用に限定されない。室内の天井材に固定されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 照明器具、 2 本体部、 3 光源、 5 固定部、 21 一対の側面部、 22 一対の突出部、 70 振れ止め部材、 71 第1面部、 72 第2面部、 73 接続部、74 接続部材、 530 一対の板状部、 540 凸部