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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083057
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】マルチ給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/14 20220101AFI20240613BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20240613BHJP
   F24H 15/365 20220101ALI20240613BHJP
   F24H 15/108 20220101ALI20240613BHJP
【FI】
F24H1/14 B
F24H15/269
F24H15/365
F24H15/108
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197358
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】木村 艶隆
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼上 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 久貴
【テーマコード(参考)】
3L034
【Fターム(参考)】
3L034BA25
3L034BB03
3L034EA07
(57)【要約】
【課題】給湯器の燃料ガス供給部に装備されたガス電磁弁の固着を予防することができるマルチ給湯システムを提供すること。
【解決手段】複数の給湯器(11~14)と、これら給湯器(11~14)による給湯運転の運転台数を要求される給湯能力に応じて増減させる制御装置(15)を有するマルチ給湯システム(10)において、制御装置(15)は、複数の給湯器(11~14)の各々の連続待機時間を計る機能を備え、連続待機時間が予め設定された基準待機時間を超過した給湯器がある場合には、この給湯器が次回の給湯運転時に最優先で給湯を行うように制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給湯器と、これら給湯器による給湯運転の運転台数を要求される給湯能力に応じて増減させる制御装置を有するマルチ給湯システムにおいて、
前記制御装置は、前記複数の給湯器の各々の連続待機時間を計る機能を備え、前記連続待機時間が予め設定された基準待機時間を超過した給湯器がある場合には、この給湯器が次回の給湯運転時に最優先で給湯を行うように制御することを特徴とするマルチ給湯システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記連続待機時間が前記基準待機時間を超過した複数の給湯器がある場合には、前記連続待機時間が最長の給湯器が次回の給湯運転時に最優先で給湯を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載のマルチ給湯システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記複数の給湯器の各々の積算給湯運転時間を計る機能を備え、前記連続待機時間が前記基準待機時間を超える給湯器がない場合には、前記積算給湯運転時間が最短の給湯器が次回の給湯運転時に最優先で給湯を行うように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチ給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯要求能力に応じて複数の給湯器による給湯運転の台数を増減させる制御装置を有するマルチ給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料ガスの燃焼熱を利用して加熱した湯水を給湯する燃焼式の給湯器が広く利用されている。この給湯器の燃料ガスの供給部は、例えば特許文献1のように、燃料ガスの供給流量を変更する比例電磁弁と、比例電磁弁への燃料ガスの供給/停止を切替える元電磁弁と、比例電磁弁からの燃料ガスのバーナへの供給/停止を切替えるメイン電磁弁を備えている。
【0003】
一般的に、電磁弁は閉止状態が長時間続くと流路を閉塞する弁体が固着して開かなくなる虞がある。そのため、特許文献1には、所定の時間待機した後の燃焼開始時(コールドスタート時)に、比例電磁弁を一時的に最大開度にして固着を解除する動作を行うことが記載されている。
【0004】
一方、一度に大量の湯水を使用する場合がある例えば公衆浴場や工場のような施設では、複数の燃焼式の給湯器を並列に接続して構成されたマルチ給湯システムが広く利用されている。このマルチ給湯システムは、複数の給湯器の中から予め1台のメイン給湯器を設定しておき、給湯運転が開始されると最初にメイン給湯器によって加熱した湯水を給湯する。そして、要求される給湯能力に対してメイン給湯器だけでは対応できない場合に、作動台数を増加させてメイン給湯器と一緒にサブ給湯器からも給湯する。
【0005】
給湯運転時には必ずメイン給湯器が給湯するので、例えば特許文献2のマルチ給湯システムは、メイン給湯器となる給湯器をローテーション制御により順次変更して、複数の給湯器のメイン給湯器としての作動時間を平準化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-300076号公報
【特許文献2】特開2020-16409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2のようなマルチ給湯システムのサブ給湯器は、例えば給湯量が少ない場合に長時間待機することになる。特に給湯開始の順番が遅いサブ給湯器ほど作動する機会が少なくなるので、待機中に燃料ガス供給部のガス電磁弁が閉止状態で固着してしまい、作動機会が到来したときに燃焼させることができない不具合が発生する虞がある。
【0008】
特許文献1では、所定の時間以上待機した後の燃焼開始時に、燃料ガスの流量を変える比例電磁弁を一時的に最大開度にする固着解除動作を行う。しかし、固着を解除できない場合には燃焼を開始することができず、元電磁弁とメイン電磁弁の固着については対応することができない。そのため、給湯器の燃料ガス供給部に装備されたガス電磁弁の固着を予防する技術が求められていた。
【0009】
そこで、本発明は、給湯器の燃料ガス供給部に装備されたガス電磁弁の固着を予防することができるマルチ給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明のマルチ給湯システムは、複数の給湯器と、これら給湯器による給湯運転の運転台数を要求される給湯能力に応じて増減させる制御装置を有するマルチ給湯システムにおいて、前記制御装置は、前記複数の給湯器の各々の連続待機時間を計る機能を備え、前記連続待機時間が予め設定された基準待機時間を超過した給湯器がある場合には、この給湯器が次回の給湯運転時に最優先で給湯を行うように制御することを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、連続待機時間が予め設定された基準待機時間を超過した給湯器は、次回の給湯運転時に必ず給湯することができる。従って、次回の給湯運転時に、基準待機時間を超えて待機していた給湯器のガス電磁弁を固着する前に駆動して、そのガス電磁弁の固着を予防することができる。
【0012】
請求項2の発明のマルチ給湯システムは、請求項1の発明において、前記制御装置は、前記連続待機時間が前記基準待機時間を超過した複数の給湯器がある場合には、前記連続待機時間が最長の給湯器が次回の給湯運転時に最優先で給湯を行うように制御することを特徴としている。
上記構成によれば、連続待機時間が予め設定された基準待機時間を超過した複数の給湯器のうち連続待機時間が最長の給湯器は、次回の給湯運転時に必ず給湯することができる。従って、次回の給湯運転時に、連続待機時間が最長の給湯器のガス電磁弁を固着する前に駆動して、そのガス電磁弁の固着を予防することができる。
【0013】
請求項3の発明のマルチ給湯システムは、請求項1又は2の発明において、前記制御装置は、前記複数の給湯器の各々の積算給湯運転時間を計る機能を備え、前記連続待機時間が前記基準待機時間を超える給湯器がない場合には、前記積算給湯運転時間が最短の給湯器が次回の給湯運転時に最優先で給湯を行うように制御することを特徴としている。
上記構成によれば、連続待機時間が基準待機時間を超える給湯器がない場合に、積算給湯運転時間が最短の給湯器は、次の給湯運転時に必ず給湯を行う。従って、複数の給湯器間における積算給湯運転時間の差を小さくすることができ、複数の給湯器の消耗、劣化の進行を平準化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマルチ給湯システムによれば、給湯器の燃料ガス供給部に装備されたガス電磁弁の固着を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1に係るマルチ給湯システムの説明図である。
図2】実施例1に係るマルチ給湯システムを構成する給湯器の説明図である。
図3】実施例1に係る給湯運転制御のフローチャートである。
図4】実施例1に係る固着予防動作のフローチャートである
図5】実施例2に係るローテーション設定の説明図である。
図6】実施例2に係る給湯運転制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0017】
図1に示すように、給水管1には矢印Wで示すように上水が供給され、この給水管1から導入される上水を目標温度に加熱して、例えば給湯先の複数の給湯栓F1~Fmが装備された給湯配管2に供給するように、マルチ給湯システム10が接続されている。このマルチ給湯システム10は、複数(ここでは4台)の給湯器11~14と、これら給湯器11~14による給湯運転の運転台数を制御するためのシステム制御装置15(制御装置)を有する。給湯器11~14には例えば#1~#4のように番号が付されている。
【0018】
システム制御装置15は、マルチ給湯システム10の例えば出湯温度の設定操作等を行う操作端末15aを有する。複数の給湯器11~14は、給水管1と給湯配管2の間に並列に接続され、どの給湯器11~14からでも複数の給湯栓F1~Fmに給湯することができる。複数の給湯栓F1~Fmは、例えば上水と混合して温度調整する機能を有し、給湯使用者は所望の温度に調整して使用する。尚、マルチ給湯システム10を構成する給湯器の台数は4台に限定されず、2台以上である。
【0019】
次に給湯器11~14ついて説明するが、これら給湯器11~14は同じ構成なので、給湯器11について説明し、給湯器12~14の説明を省略する。
図2に示すように、給湯器11は燃焼式の給湯器であり、燃焼部21での燃料ガスの燃焼熱を利用して、熱交換部22を流動する湯水を加熱する加熱運転を行って給湯するように構成されている。この給湯器11は、熱交換部22に上水を供給する給水部23と、熱交換部22で加熱された湯水の温度を調整して出湯する出湯部24を有する。
【0020】
燃焼部21は、複数の燃焼区画を有し、ここでは6つの燃焼区画に分けられている。この燃焼部21には、燃料ガス供給部25から燃料ガスが供給される。燃料ガス供給部25は、ガス電磁弁として、燃焼区画毎に燃料ガスの供給/停止を切替えるための能力切替電磁弁26a~26fと、能力切替電磁弁26a~26fへの燃料ガスの供給流量を調整するガス流量調整電磁弁27と、ガス流量調整電磁弁27への燃料ガスの供給/停止を切替える元ガス電磁弁28を有する。そして、燃焼部21に燃焼用空気を供給する燃焼ファン29と、放電を利用して燃焼部21に点火する点火装置30と、燃焼部21の火炎を検知する火炎検知装置31が装備されている。
【0021】
給水部23は、給水管1と熱交換部22とを接続する給水通路33と、給水通路33を開閉する給水弁33aと、給水温度センサ33bと、給水流量センサ33cを有する。給水温度センサ33bは、給水通路33に流入する上水の温度(給水温度)を検知する。給水流量センサ33cは、熱交換部22に供給される上水の流量(給水流量)を検知する。
【0022】
出湯部24は、熱交換部22と給湯配管2とを接続する出湯通路34と、給水弁33aの下流側で給水通路33から分岐されて出湯通路34に接続されたバイパス通路35を有する。バイパス通路35には、給水通路33から流入する上水の流量を調整するバイパス流量調整弁35aが装備されている。
【0023】
出湯通路34には、第1出湯温度センサ34aと、第2出湯温度センサ34bと、出湯流量調整弁34cが装備されている。第1出湯温度センサ34aは、熱交換部22で加熱された湯水の温度を検知する。第2出湯温度センサ34bは、加熱された湯水にバイパス通路35からの上水を混合して温度調整された湯水の温度(出湯温度)を検知する。出湯流量調整弁34cは、給湯配管2に供給する湯水の出湯流量を調整することによって給水管1から導入される上水の流量を調整する。
【0024】
給湯器11は、システム制御装置15と連携して給湯器11の加熱運転を制御する制御部36を有する。制御部36は、給水流量センサ33cの検知流量と、給水温度センサ33b及び第1、第2出湯温度センサ34a,34bの夫々の検知温度を取得する。そしてこれら検知流量と検知温度に基づいて、燃焼ファン29の回転数制御、ガス流量調整電磁弁27の開度制御及び能力切替電磁弁26a~26dの開閉制御によって加熱能力を調整すると共に、バイパス流量調整弁35aの開度を調整する。これにより、設定された目標温度の湯水を給湯配管2に出湯して給湯先に給湯する。
【0025】
例えば給湯使用量が大きいため、目標温度の湯水を供給できない場合には、制御部36は出湯流量調整弁34cの開度を調整して通水量を低下させることにより、目標温度の湯水を供給できるように制御する。給湯器11の通水量は、給水流量センサ33cの検知流量とバイパス流量調整弁35aの開度と出湯流量調整弁34cの開度に基づいて、制御部36によって算出される。
【0026】
次に、システム制御装置15について説明する。
システム制御装置15は、給湯運転の作動候補である複数の給湯器11~14のうちの1台(例えば給湯器11)をメイン給湯器に設定し、メイン給湯器以外の給湯器(例えば給湯器12~14)をサブ給湯器に設定する。
【0027】
メイン給湯器は、給湯運転の開始時に最初に加熱運転を開始して給湯する給湯器である。サブ給湯器は、給湯運転の開始時には作動させず、給湯運転中に要求される給湯能力に応じて追加作動させる給湯器である。サブ給湯器の設定時には、メイン給湯器の次に作動させる第1サブ給湯器と、その次に作動させる第2サブ給湯器と、最後に作動させる第3サブ給湯器まで、サブ給湯器の追加作動の順番(作動優先順位)が設定される。
【0028】
システム制御装置15は、メイン給湯器に対して給水弁33aを開いた状態にさせると共に、出湯流量調整弁34cの開度を所定の開度(例えば全開)にさせる。また、システム制御装置15は、サブ給湯器に対して給水弁33aを閉じた状態にさせると共に、出湯流量調整弁34cを所定の開度(例えば半開)にさせる。給湯先での給湯使用が開始され、メイン給湯器の給水流量が所定の作動開始流量以上になると、メイン給湯器の加熱運転が開始され、メイン給湯器のみの給湯運転が開始される。
【0029】
システム制御装置15は、最後に加熱運転を開始した給湯器の加熱能力が例えば予め設定された規定能力以上となって追加作動条件が成立し、且つ作動候補の中に未作動のサブ給湯器がある場合に、作動候補の中の作動優先順位が最も高い1台の未作動のサブ給湯器を追加作動させために、そのサブ給湯器の給水弁33aを開けさせる。給水管1から導入される上水が給湯している給湯器と追加作動させたサブ給湯器に分配されるので、システム制御装置15は、例えば先に作動していた給湯器の加熱能力が維持されるように、最後に追加作動させた給湯器の出湯流量調整弁34cの開度を調整させる。尚、最後に追加作動させた給湯器も含めて作動中の複数の給湯器の加熱能力が等しくなるようにしてもよい。
【0030】
追加作動させたサブ給湯器の加熱能力が規定能力以上になり、追加作動条件が成立して且つ作動候補の中に未作動のサブ給湯器がある場合には、システム制御装置15は、さらに1台の未作動のサブ給湯器を追加作動させる。このようにシステム制御装置15は、作動中の給湯器のうち最後に追加作動させた給湯器について追加作動条件が成立し、追加作動可能なサブ給湯器がある場合に1台ずつ追加作動させることにより、給湯要求能力に応じて運転台数を増加させる。
【0031】
一方、給湯使用量が減少して作動中の給湯器のうち最後に作動させたサブ給湯器の出湯流量調整弁34cの開度が小さくなり、例えば加熱能力が最小能力未満になって作動停止条件が成立した場合には、システム制御装置15はその最後に作動させたサブ給湯器の給水弁33aを閉じさせて加熱運転を停止させる。給湯要求能力に応じて運転台数を減少させて作動中のサブ給湯器が無くなり、メイン給湯器の給水流量が最低作動流量未満になると、メイン給湯器の加熱運転が停止し、マルチ給湯システム10による給湯運転が終了する。
【0032】
上記のように、システム制御装置15は、要求される給湯能力に応じて作動台数を増減させる作動台数制御を行うので、給湯運転中には作動優先順位が低いサブ給湯器ほど給湯する機会が少なくなり、給湯する機会があっても加熱運転の時間が短くなる。それ故、作動優先順位が低い給湯器ほど待機状態が続く時間(連続待機時間)が長くなる。
【0033】
待機状態の給湯器は、燃料ガスが出ないように燃料ガス供給部25のガス電磁弁(能力切替電磁弁26a~26f、ガス流量調整電磁弁27、元ガス電磁弁28)を閉止するので、連続待機時間が長くなるとこれらガス電磁弁が閉止状態で固着する虞がある。この固着は、弁体とシート部の素材に関わらず、例えば製造時に付着する油分やフラックス、又は燃焼生成物の付着によって引き起こされる場合がある。
【0034】
そこで、システム制御装置15は、給湯運転制御において、連続待機時間と積算給湯運転時間に基づいて燃料ガス供給部25のガス電磁弁の固着を予防するための制御を行う。システム制御装置15は、複数の給湯器11~14の各々の連続待機時間と積算給湯運転時間を計時する機能を有する。
【0035】
次に、システム制御装置15の給湯運転制御について、図3のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
システム制御装置15は、マルチ給湯システム10が起動されると給湯運転制御を開始し、給湯運転が終了して給湯運転制御が終了すると、給湯運転制御を再び最初から開始する。給湯運転制御を開始するとS1において、メイン給湯器及びサブ給湯器が設定されているか否か判定する。例えば初めての給湯運転でS1の判定がNoの場合はS2に進み、S2においてメイン給湯器及びサブ給湯器の設定を行ってS3に進む。マルチ給湯システム10の最初の給湯運転では、例えば給湯器に付された番号が#1の給湯器がメイン給湯器、#2~#4の給湯器がこの番号順に作動優先順位が高いサブ給湯器に設定される。S1の判定がYesの場合はS3に進む。
【0036】
S3において、給湯運転が開始されたか否か判定する。S3の判定がNoの場合はS3に戻り、S3の判定がYesになるまでS3の判定を繰り返す。このS3の判定が繰り返される間は、メイン給湯器及びサブ給湯器の各々の連続待機時間が計時される。メイン給湯器の制御部36から例えば加熱運転の開始情報を受信して、S3の判定がYesの場合はS4に進む。給湯運転が開始されたので、この給湯運転中にはメイン給湯器の積算給湯運転時間と、追加作動させたサブ給湯器の各々の積算給湯運転時間が計時される。また、メイン給湯器と作動中のサブ給湯器の連続待機時間は、夫々ゼロにリセットされる。
【0037】
S4において、連続待機時間が第1基準時間を超過した給湯器があるか否か判定する。第1基準時間は例えば24時間、12時間、8時間のように予め定められた時間から選択されている。S4の判定がYesの場合はS5に進み、S5において、この連続待機時間が第1基準時間を超過した給湯器にガス電磁弁の固着予防動作を実行させてS6に進む。そしてS6において、固着予防動作を行った給湯器の連続待機時間をゼロにリセットしてS7に進む。一方、S4の判定がNoの場合はS7に進む。
【0038】
固着予防動作は、例えば図4のように、S11において元ガス電磁弁28を開閉させてS12に進む。次にS12において、ガス流量調整電磁弁27を全開にしてから全閉してS13に進む。そしてS13において、能力切替電磁弁26a~26fを例えば開閉頻度が低いものから順に開閉させて固着予防動作を終了する。固着予防動作は給湯運転中に行われるので、ガス電磁弁の駆動音が誤作動又は故障の発生と間違われることがない。
【0039】
作動しておらず固着予防動作が行われたサブ給湯器では、その連続待機時間がゼロにリセットされ、連続待機時間の計時が開始される。作動しておらず固着予防動作もしていないサブ給湯器では、その連続待機時間の計時が継続される。固着予防動作中に追加作動されるサブ給湯器は、給湯を優先させるために固着予防動作を終了して加熱運転を行い、連続待機時間がゼロにリセットされ、積算給湯運転時間が計時される。
【0040】
次に、図3のS7において、給湯運転が終了したか否か判定する。メイン給湯器の制御部36から例えば加熱運転の停止を受信した場合に、給湯運転終了となる。S7の判定がNoの場合はS4に戻って給湯運転を継続する。S7の判定がYesの場合はS8に進む。
【0041】
S8において、連続待機時間が第2基準時間(基準待機時間)を超過した給湯器があるか否か判定する。第2基準時間は第1基準時間以下の時間に設定され、例えば第1基準時間の1/2の時間に設定されている。
【0042】
S8の判定がYesの場合はS9に進み、S9において連続待機時間に基づいて次回の給湯運転時のメイン給湯器とサブ給湯器を設定して給湯運転制御を終了し、次回の給湯運転のための給湯運転制御を開始する。このときメイン給湯器には、連続待機時間が第2基準時間を超過した給湯器が設定される。連続待機時間が第2基準時間を超過した給湯器が複数台ある場合には、連続待機時間が最長の給湯器が次回の給湯運転におけるメイン給湯器に設定される。メイン給湯器以外の給湯器は、例えば連続待機時間が長い給湯器ほど優先的に給湯するように作動優先順位が付けられたサブ給湯器に設定される。
【0043】
一方、S8の判定がNoの場合にはS10に進み、S10において積算給湯運転時間に基づいてメイン給湯器とサブ給湯器を設定して給湯運転制御を終了し、次回の給湯運転のための給湯運転制御を開始する。このとき、積算給湯運転時間が最短の給湯器が、次回の給湯運転におけるメイン給湯器に設定される。メイン給湯器以外の給湯器は、例えば積算給湯運転時間が短い給湯器ほど優先的に給湯するように作動優先順位が付けられたサブ給湯器に設定され、積算給湯運転時間の平準化を図る。尚、サブ給湯器は、固着を防止するために、連続待機時間が長い給湯器ほど優先的に給湯するように作動優先順位が付けられてもよい。
【0044】
連続待機時間が第2基準時間(基準待機時間)を超過した給湯器が1台の場合には、この給湯器が次回の給湯運転時のメイン給湯器に設定され、次回の給湯運転時に最優先で必ず給湯することができる。これにより、連続待機時間が第2基準時間を超過した給湯器のガス電磁弁が固着する前に次回の給湯運転時に必ず開閉駆動されるので、このガス電磁弁の固着を予防することができる。
【0045】
また、連続待機時間が第2基準時間を超過した給湯器が複数台ある場合には、そのうちの連続待機時間が最長の給湯器が次回の給湯運転時のメイン給湯器に設定され、次回の給湯運転時に最優先で必ず給湯することができる。これにより、連続待機時間が最長の給湯器のガス電磁弁が開閉駆動され、このガス電磁弁の固着を予防することができる。また、連続待機時間が長い給湯器ほど優先的に給湯するように作動優先順位が付けられたサブ給湯器は、追加作動又は固着予防動作によってガス電磁弁が開閉駆動されるので、ガス電磁弁の固着を予防することができる。
【0046】
一方、連続待機時間が第2基準時間を超える給湯器がない場合には、積算給湯運転時間が最短の給湯器が次回の給湯運転時のメイン給湯器に設定され、次回の給湯運転時に必ず給湯することができる。これにより、複数の給湯器間における積算給湯運転時間の差を小さくすることができ、複数の給湯器の消耗、劣化の進行を平準化することができる。
【実施例0047】
上記実施例1を部分的に変更した例について説明する。システム制御装置15は上記実施例1と同等であり、実施例1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0048】
システム制御装置15は、複数の給湯器11~14の各々の積算給湯運転時間と連続待機時間を夫々計時する機能を有する。そしてシステム制御装置15は、給湯運転制御において、複数の給湯器11~14のメイン給湯器としての積算給湯運転運転を平準化するために、図5のようにメイン給湯器となる給湯器を順次変更(ローテーション設定)する。その上、連続待機時間に基づいて燃料ガス供給部25のガス電磁弁の固着を予防するための制御を行う。この給湯運転制御について、図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0049】
システム制御装置15は、マルチ給湯システム10が起動されると給湯運転制御を開始し、ローテーション設定によってメイン給湯器を変更すると、給湯運転制御を再び最初から開始する。給湯運転制御開始後のS1~S6は実施例1の図3のS1~S6と同じなので説明を省略する。
【0050】
S7において、給湯運転が終了したか否か判定する。メイン給湯器の制御部36から例えば加熱運転の停止を受信した場合に、給湯運転終了となる。S7の判定がNoの場合はS4に戻って給湯運転を継続する。S7の判定がYesの場合はS21に進む。
【0051】
次にS21において、今回メイン給湯器に設定されてからのメイン給湯器としての積算給湯運転時間が、予め設定されたローテーション時間を超過したか否か判定する。ローテーション時間は、例えば24時間、12時間、8時間のように予め定められた時間から選択して設定することができる。
【0052】
S21の判定がNoの場合はS22に進み、S22において連続待機時間が第2基準時間(基準待機時間)を超過した給湯器があるか否か判定する。第2基準時間は第1基準時間以下の時間に設定され、例えば第1基準時間の1/2の時間に設定されている。S22の判定がNoの場合はS3に戻る。
【0053】
一方、S22の判定がYesの場合はS23に進み、S23において連続待機時間が最長の給湯器が次回の給湯運転時に最初に加熱運転を行って最優先で給湯するように設定してS3に戻る。次回の給湯運転時には、連続待機時間が最長の給湯器をメイン給湯器よりも優先的に給湯させ、メイン給湯器を例えば作動優先順位が最も高いサブ給湯器のように作動させる。給湯運転が終了すると元のローテーション設定の優先順位に戻る。尚、連続待機時間が第2基準時間を超過した複数の給湯器が、次回の給湯運転時にメイン給湯器よりも優先的にその連続待機時間の長さ順に作動するように設定してもよい。
【0054】
S21の判定がYesの場合にはS24に進み、S24においてメイン給湯器とサブ給湯器をローテーション設定して(図5参照)、給湯運転制御を終了し、メイン給湯器を変更した次の給湯運転のための給湯運転制御を最初から開始する。複数の給湯器11~14のメイン給湯器としての積算給湯運転時間が平準化され、サブ給湯器のときの優先順位も順次変更されるので、複数の給湯器11~14の積算給湯運転時間が概ね揃い、複数の給湯器11~14の消耗、劣化の進行が平準化される。
【0055】
連続待機時間が第2基準時間(基準待機時間)を超過した給湯器のうち連続待機時間が最長の給湯器は、次回の給湯運転時に最優先で給湯するように設定されるので、次回の給湯運転時に必ず加熱運転を行うことができる。これにより、第2基準時間を超過した連続待機時間が最長の給湯器のガス電磁弁は、固着する前に次回の給湯運転時に必ず開閉駆動されるので、このガス電磁弁の固着を予防することができる。
【0056】
上記マルチ給湯システム10の作用、効果について説明する。
マルチ給湯システム10は、複数の給湯器11~14の各々の連続待機時間を計る機能を備え、連続待機時間が予め設定された第2基準時間(基準待機時間)を超過した給湯器が次回の給湯運転時に最優先で給湯を行うように制御する。連続待機時間が予め設定された第2基準時間を超過した給湯器は、次回の給湯運転時に必ず加熱運転を行うことができるので、ガス電磁弁を固着する前に駆動して固着を予防することができる。また、連続待機時間が予め設定された基準待機時間を超過した給湯器が複数台ある場合には、そのうちの連続待機時間が最長の給湯器が次の給湯運転時に必ず加熱運転を行うことができるので、ガス電磁弁を駆動して固着を予防することができる。
【0057】
一方、連続待機時間が第2基準時間を超える給湯器がない場合に、積算給湯運転時間が最短の給湯器が次回の給湯運転時に最優先で給湯を行うように制御する場合には、積算給湯運転時間が最短の給湯器が次の給湯運転時に必ず給湯を行う。これにより、複数の給湯器11~14間における積算給湯運転時間の差を小さくすることができ、複数の給湯器11~14の消耗、劣化の進行を平準化することができる。それ故、消耗、劣化が進んだ給湯器によってマルチ給湯システム10の耐用期間が短くなることが防止される。
【0058】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0059】
1 :給水管
2 :給湯配管
10 :マルチ給湯システム
11~14:給湯器
15 :システム制御装置(制御装置)
15a:操作リモコン
21 :燃焼部
22 :熱交換部
23 :給水部
24 :出湯部
25 :燃料ガス供給部
26a~26f :能力切替電磁弁
27 :流量調整電磁弁
28 :元ガス電磁弁
29 :燃焼ファン
30 :点火装置
31 :火炎検知装置
33 :給水通路
33a :給水弁
33b :給水温度センサ
33c :給水流量センサ
34 :出湯通路
34a :第1出湯温度センサ
34b :第2出湯温度センサ
34c :出湯流量調整弁
35 :バイパス通路
35a :バイパス流量調整弁
36 :制御部
F1~Fm:給湯栓
図1
図2
図3
図4
図5
図6