(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008308
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】帯状濾材を用いたドラム型濾過装置
(51)【国際特許分類】
B01D 33/044 20060101AFI20240112BHJP
B01D 24/46 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B01D33/12
B01D33/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110068
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】小貝 宣夫
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116BB12
4D116BB14
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC48
4D116BC64
4D116BC65
4D116BC67
4D116DD01
4D116DD06
4D116FF14B
4D116FF15B
4D116FF16B
4D116KK01
4D116QC08A
4D116QC38A
4D116QC39A
4D116RR01
4D116RR04
4D116RR14
4D116RR21
4D116RR23
4D116RR26
4D116SS01
4D116SS06
4D116VV12
(57)【要約】
【課題】帯状濾材のメンテナンス頻度を低くすることができ、スラッジや帯状濾材の廃棄による環境負荷を低減できる帯状濾材を用いたドラム型濾過装置を提供する。
【解決手段】スラッジ脱液分離装置22は、長手状の帯状濾材46を前進および後退させることで帯状濾材46を繰り返しの濾過に用いることができる。これにより、全長が長い帯状濾材46を用いることができるとともに、濾過効率を維持することができるので、帯状濾材46のメンテナンス頻度を低くすることができる。また、スラッジSGや帯状濾材46は脱液されているので、スラッジSGや帯状濾材46の廃棄による環境負荷を低減できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平なドラム支持軸により回転可能に支持された一対の円形部材が所定の長さの連結部材を介して相互に連結されたドラムと、前記一対の円形部材の下側外周に半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルトを備えたフィルタ送り装置と、前記メッシュベルトと前記一対の円形部材との間に挟まれた状態で前記フィルタ送り装置により送られる長手状の帯状濾材と、前記フィルタ送り装置から送り出された前記帯状濾材の外周面に付着したスラッジを前記帯状濾材から連続的に分離するスラッジ脱液分離装置とを、備える帯状濾材を用いたドラム型濾過装置であって、
前記フィルタ送り装置は、前記帯状濾材の送り出し量が予め設定された所定送り量に到達すると、前記帯状濾材を反対方向へ後退させ、再度送り出す
ことを特徴とする帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項2】
前記フィルタ送り装置は、前記ドラム内において前記帯状濾材上に滞留する前記ダーティ液の液面を検出する液面センサと、前記帯状濾材を送る送りモータと、前記液面センサにより検出された液面が予め設定された液面高さとなるように前記送りモータを駆動して前記帯状濾材を送るモータ制御装置と、を含む
ことを特徴とする請求項1の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項3】
前記フィルタ送り装置は、前記帯状濾材の一端部が巻回された第1ロールに前記帯状濾材に張力を発生させる定トルクを付与する第1トルクモータと、前記帯状濾材の他端部が巻回された第2ロールに前記帯状濾材に張力を発生させる定トルクを付与する第2トルクモータとを含む
ことを特徴とする請求項1の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項4】
前記フィルタ送り装置は、前記帯状濾材のうち前記スラッジ脱液分離装置によりスラッジが除去された部分が前記第1ロールに巻回されるように前記帯状濾材を後退させ、次いで、前記第1ロールに巻回された前記帯状濾材のうち前記スラッジ脱液分離装置によりスラッジが除去された部分を巻き出して、前記スラッジ脱液分離装置を介して前記第2ローラに巻回されるように再び前進させる
ことを特徴とする請求項3の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項5】
前記スラッジ脱液分離装置は、前記フィルタ送り装置から送出された前記帯状濾材の一面に堆積したスラッジを連続的に挟圧する挟圧ローラを、備える
ことを特徴とする請求項1の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項6】
前記スラッジ脱液分離装置は、前記フィルタ送り装置から送出された前記帯状濾材の移動方向において前記挟圧ローラよりも下流側位置に設けられ、前記帯状濾材の外周面に付着した脱液後のケーキ状のスラッジを前記帯状濾材から分離する回転ブラシを、備える
ことを特徴とする請求項5の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項7】
前記スラッジ脱液分離装置は、前記帯状濾材の移動方向において前記回転ブラシよりも下流側位置に設けられ、前記帯状濾材の外周面に付着した脱液後のスラッジを前記帯状濾材の内周面からの流体の噴射により分離する噴射ノズルを、備える
ことを特徴とする請求項6の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【請求項8】
前記スラッジ脱液分離装置は、前記フィルタ送り装置から送出された前記帯状濾材を回曲して鋭角方向へ案内する案内ローラを備え、
前記挟圧ローラは前記案内ローラの上流側位置に備えられ、
前記回転ブラシおよび前記噴射ノズルは、前記案内ローラの下流側位置に備えられる
ことを特徴とする請求項7の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムの下側半周に沿って連続的に送られる帯状濾材を備え、その帯状濾材に使用後のクーラント(ダーティ液)を通過させることで、クーラントに含まれる異物を除去する帯状濾材を用いたドラム型濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車部品、ベアリングなどの製造に際して用いられる研削盤、切削盤等の機械加工において、ドラムの下側半周に沿って連続的に送られる帯状濾材に、機械加工や研削加工に用いた使用後の汚れたクーラント(ダーティ液)を通過させることで、ダーティ液中から異物を除去することで清浄化したクリーン液を得て再利用可能とする帯状濾材を用いたドラム型濾過装置が、提案されている。たとえば、特許文献1の
図1~
図9に記載された帯状濾材を用いたドラム型濾過装置がそれである。
【0003】
上記帯状濾材を用いたドラム型濾過装置には、回転可能な水平支持軸に所定の間隔をあけて固定された一対の円形部材と、その一対の円形部材の下側半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルトを備えた濾材送り装置と、メッシュベルトと各円形部材との間に挟まれた状態で連続的に送られる帯状濾材とが備えられ、帯状濾材が一対の円形部材およびメッシュベルトとともに周方向へ送られつつ、ダーティ液が帯状濾材を通されることで、清浄化されたクーラント(クリーン液)が得られるようになっている。
【0004】
ところで、特許文献1の
図1から
図9に記載の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置においては、ダーティ液を濾過する帯状濾材は、未使用の帯状濾材が巻回されたロールから引き出されて、メッシュベルトと各円形部材との間に挟まれた状態で連続的に送られた後、使用済の帯状濾材が回収ボックス内に回収されるようになっている。しかし、この帯状濾材は使い捨てであるため、ドラム型濾過装置の稼働費用が高くなったり、使用済の帯状濾材を廃棄することによる環境負荷が大きいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対して、特許文献1の
図10には、ドラム型濾過装置の稼働費用が低くでき、使用済の帯状濾材を廃棄することによる環境負荷を小さくすることができる、無端環状(エンドレス)の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置が、提案されている。このドラム型濾過装置には、濾しとったスラッジを帯状濾材上から連続的に掻き取るための、スクレーパやブラシロールが備えられている。
【0007】
しかしながら、帯状濾材上のスラッジは多量の液状成分を含んでいて、比較的軟弱な性状であるため、スクレーパやブラシロールを用いて帯状濾材上からスラッジを掻き取る場合には、スラッジの一部が帯状濾材上に多く取り残されるので、そのままの状態で帯状濾材が移動して再度クーラントを濾過すると、ドラム型濾過装置の濾過効率が低下するので、帯状濾材の全長が短いこととも関連して帯状濾材のメンテナンス頻度が高くなるという問題や、多量の液状成分を含むスラッジや無端環状の帯状濾材の廃棄は、環境負荷が大きいという問題があった。
【0008】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、帯状濾材のメンテナンス頻度を低くすることができ、スラッジや帯状濾材の廃棄による環境負荷を低減できる帯状濾材を用いたドラム型濾過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、以上の事情を背景としてドラム型濾過装置について種々検討を重ねた結果、帯状濾材の一面に付着したスラッジを挟圧することで脱液してスラッジをケーキ状とすると、帯状濾材からのスラッジの剥離が容易化され、これにより、長手状の帯状濾材を前進および後退させることで繰り返しの濾過が可能となる点を見出した。本発明は、このような知見に基づいて為されたものである。
【0010】
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(a)水平なドラム支持軸により回転可能に支持された一対の円形部材が所定の長さの連結部材を介して相互に連結されたドラムと、前記一対の円形部材の下側外周に半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルトを備えたフィルタ送り装置と、前記メッシュベルトと前記一対の円形部材との間に挟まれた状態で前記フィルタ送り装置により送られる長手状の帯状濾材と、前記フィルタ送り装置から送り出された前記帯状濾材の外周面に付着したスラッジを前記帯状濾材から連続的に分離するスラッジ脱液分離装置とを、備える帯状濾材を用いたドラム型濾過装置であって、(b)前記フィルタ送り装置は、前記帯状濾材の送り出し量が予め設定された所定送り量に到達すると、前記帯状濾材を反対方向へ後退させ、再度送り出すことにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置によれば、前記スラッジ脱液分離装置は、長手状の帯状濾材を前進および後退させることで帯状濾材を繰り返しの濾過に用いることができる。これにより、全長が長い帯状濾材を用いることができるとともに、濾過効率を維持することができるので、帯状濾材のメンテナンス頻度を低くすることができる。
【0012】
ここで、好適には、前記フィルタ送り装置は、前記ドラム内において前記帯状濾材上に滞留する前記ダーティ液の液面を検出する液面センサと、前記帯状濾材を送る送りモータと、前記液面センサにより検出された液面が予め設定された液面高さとなるように前記送りモータを駆動して前記帯状濾材を送るモータ制御装置と、を含む。これにより、帯状濾材が過不足なく送られるので、帯状濾材の消耗が抑制される。
【0013】
また、好適には、前記フィルタ送り装置は、前記帯状濾材の一端部が巻回された第1ロールに前記帯状濾材に張力を発生させる定トルクを付与する第1トルクモータと、前記帯状濾材の他端部が巻回された第2ロールに前記帯状濾材に張力を発生させる定トルクを付与する第2トルクモータとを含む。これにより、長手状の帯状濾材が一定の張力が付与された状態で、前記フィルタ送り装置から前記スラッジ脱液分離装置へ送られる。これにより、帯状濾材の弛みが抑制される。
【0014】
また、好適には、前記フィルタ送り装置は、前記帯状濾材のうち前記スラッジ脱液分離装置によりスラッジが除去された部分が前記第1ロールに巻回されるように前記帯状濾材を後退させ、次いで、前記第1ロールに巻回された前記帯状濾材のうち前記スラッジ脱液分離装置によりスラッジが除去された部分を巻きだして、前記スラッジ脱液分離装置を介して前記第2ローラに巻回されるように再び前進させる。これにより、クーラントの濾過について帯状濾材が複数回用いられるので、帯状濾材の取り替え周期が長くなり、帯状濾材のメンテナンス頻度を低くすることができる。
【0015】
また、好適には、前記スラッジ脱液分離装置は、前記フィルタ送り装置から送出された前記帯状濾材の一面に堆積したスラッジを連続的に挟圧する挟圧ローラを、備える。これにより、前記フィルタ送り装置から送出された前記帯状濾材の外周面に堆積したスラッジを連続的に挟圧する挟圧ローラにより、スラッジが脱液されるので、帯状濾材からのスラッジの剥離が容易化される。また、スラッジや帯状濾材は挟圧ローラにより脱液されているので、スラッジや帯状濾材の廃棄による環境負荷が低減される。
【0016】
また、好適には、前記スラッジ脱液分離装置は、前記フィルタ送り装置から送出された前記帯状濾材の移動方向において前記挟圧ローラよりも下流側位置に設けられ、前記帯状濾材の外周面に付着した脱液後のケーキ状のスラッジを前記帯状濾材から分離する回転ブラシを、備える。これにより、前記回転ブラシにより、前記帯状濾材の外周面に付着した脱液後のケーキ状のスラッジが分離される。
【0017】
また、好適には、前記スラッジ脱液分離装置は、前記帯状濾材の移動方向において前記回転ブラシよりも下流側位置に設けられ、前記帯状濾材の外周面に付着した脱液後のスラッジを前記帯状濾材の内周面からの流体の噴射により分離する噴射ノズルを、備える。これにより、前記噴射ノズルによる前記帯状濾材の内周面からの流体の噴射により、前記帯状濾材の外周面に付着した脱液後のスラッジが前記帯状濾材から分離される。
【0018】
また、好適には、前記スラッジ脱液分離装置は、前記フィルタ送り装置から送出された前記帯状濾材を回曲して鋭角方向へ案内する案内ローラを備え、前記挟圧ローラは前記案内ローラの上流側位置に備えられ、前記回転ブラシおよび前記噴射ノズルは、前記案内ローラの下流側位置に備えられる。これにより、前記帯状濾材が前記案内ローラに到達する前に、前記帯状濾材の外周面に付着したスラッジが前記挟圧ローラにより脱液されて、ケーキ状とされる。また、前記帯状濾材が前記案内ローラを通過する過程の回曲でスラッジに亀裂が形成されるので、前記回転ブラシおよび前記噴射ノズルによる前記帯状濾材からのスラッジの剥離効率が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置の構成をその断面を用いて説明する模式図である。
【
図2】本発明の他の実施例の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置のスラッジ脱液分離装置の構成をその断面を用いて説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形された模式図であり、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0021】
図1は、本発明の一実施例の帯状濾材を用いたドラム型濾過装置(以下、濾過装置という)10の側面図であって、濾過装置10の幅方向の中央を通る垂直面で切断した断面で示す模式図である。
図1において、濾過装置10は、前壁12cと、後壁12dと、前壁12cおよび後壁12dを連結する一対の側壁12a、12bと、前壁12c、後壁12d、および一対の側壁12a、12bにより囲まれた空間の開口を上側から閉じる上壁12eと、底壁12fと、を有するケース12を、浄化後のクーラントすなわちクリーン液CFを貯留するクリーンタンク14上に備えている。
【0022】
底壁12fの後壁12d側の端部には切欠16が形成されており、その切欠16下には、上側に開口してスラッジSGを収容するためのスラッジ収容容器18が、配設されている。ケース12内には、ケース12内をドラム36およびフィルタ送り装置40等を収容する前側空間S1と、スラッジ脱液分離装置22を収容する後側空間S2とに仕切るための隔壁12gが設けられている。
【0023】
濾過装置10は、ドラム36を回転可能に支持するために、一対の側壁12a、12b間に水平に掛け渡された円筒状のドラム支持軸30と、ドラム支持軸30により回転可能に支持された一対の円形部材32が所定の長さの長手状の連結部材34を介して一定の間隔を隔てて相対向する状態で相互に連結されたドラム36と、一対の円形部材32の下側外周に半周にわたって沿わせた無端環状のメッシュベルト38を備えたフィルタ送り装置40とを、備えている。ドラム36の回転中心線CLは、円筒状のドラム支持軸30の中心線でもある。
【0024】
ケース12の前側空間S1内には、帯状フィルタとして機能する所定幅の帯状濾材46の一端部が巻回された円柱状の第1ロール24が回転可能に側壁12a、12bにより支持されている。ケース12の後側空間S2内には、帯状濾材46の他端部が巻回された円柱状の第2ロール26が回転可能に側壁12a、12bにより支持されている。フィルタ送り装置40は、この第1ロール24に帯状濾材46に張力を発生させる定トルクを付与する第1トルクモータTM1と、第2ロール26に帯状濾材46に張力を発生させる定トルクを付与する第2トルクモータTM2とを、含む。これにより、長手状の帯状濾材46は、一定の張力が付与された状態で、第1ロール24から巻き出され、フィルタ送り装置40からスラッジ脱液分離装置22を介して第2ロール26に巻き取られ、弛みが抑制される。
【0025】
フィルタ送り装置40は、ドラム36を囲むように設けられ、且つ無端環状のメッシュベルト38が巻き掛けられた駆動ローラ42および3本の従動ローラ44a、44b、44cと、駆動ローラ42を回転駆動するが電動機Mとを備え、駆動ローラ42が回転駆動されると、無端環状のメッシュベルト38およびドラム36が回転させられる。これにより、第1ロール24から巻き出された帯状濾材46はメッシュベルト38と一対の円形部材32との間において半円状に挟まれ、次いでフィルタ送り装置40からスラッジ脱液分離装置22を介して第2ロール26に向かって送られるようになっている。長手状の帯状濾材46は、たとえば不織布、織布、濾紙などの濾材からなる帯状フィルタである。また、メッシュベルト38は、多数の網目を有する金属メッシュ或いは合成繊維或いは炭素繊維製や、複合材料製のメッシュである。
【0026】
上記3本の従動ローラ44a、44b、44cのうち、従動ローラ44cは駆動ローラ42と同等以上の高さに位置させられており、一対の従動ローラ44a、44bは、それら一対の従動ローラ44a、44b間に掛け渡されたメッシュベルト38がドラム36よりも下方へ所定距離隔てた位置となるように高さ位置が定められるとともに、水平方向に所定距離隔てて位置させられている。フィルタ送り装置40からスラッジ脱液分離装置22へ送られた帯状濾材46は、第2ロール26に巻回される。
【0027】
円筒状のドラム支持軸30は、クーラントが用いられている研磨盤や研削盤から排出されるダーティ液DFを、ドラム36内において帯状濾材46上に流入させる。これにより、ドラム36内において帯状濾材46上に滞留するダーティ液DFが帯状濾材46を通して下方へ通過させられるので、帯状濾材46の外周面にはスラッジSGが堆積させられる。
【0028】
フィルタ送り装置40は、ドラム支持軸30に設けられ、ドラム36内において帯状濾材46上に滞留するダーティ液DFの液面を検出する液面センサ48と、駆動ローラ42の回転を制御するモータ制御装置50とを備え、液面センサ48により検出された液面が予め設定された液面高さとなるように電動機Mによる駆動ローラ42の回転速度を調節して、帯状濾材46の送り速度(前進速度)を適切に制御する。
【0029】
フィルタ送り装置40は、スラッジ脱液分離装置22へ向かう帯状濾材46の前進方向の送出量が予め設定された所定送り量に到達すると、それまでとは逆に反対向きの後進方向に帯状濾材46を所定量後退させ、再度前進方向へ送り出す往復駆動することで、クーラントの濾過について帯状濾材46を複数回用いられるようにする。
【0030】
フィルタ送り装置40は、帯状濾材46の帯状濾材46が予め設定された位置、たとえば第1ロール24から巻出されていた帯状濾材46の巻回残数が零となる位置に到達すると、ドラム支持軸30からのダーティ液DFの流入が停止させられ、帯状濾材46のうちスラッジ脱液分離装置22によりスラッジが除去された部分が第1ロール24に巻き取られるようになるまで、たとえば第2ロール26の帯状濾材46の巻回残数が零となる位置まで、帯状濾材46を後退させる。次いで、フィルタ送り装置40は、ドラム支持軸30からのダーティ液DFの流入が再開された状態で、第1ロール24に巻回されている帯状濾材46のうちスラッジ脱液分離装置22によりスラッジが除去された部分を巻き出して、スラッジ脱液分離装置22を介して第2ローラ26に巻回されるように再び前進させる。そして、フィルタ送り装置40は、このような帯状濾材46の前進後退を繰り返す。これにより、クーラントの濾過について帯状濾材46が複数回用いられるので、帯状濾材46の取り替え周期が長くなり、帯状濾材46のメンテナンス頻度が低くされる。
【0031】
スラッジ脱液分離装置22は、後側空間S2内において、フィルタ送り装置40から略水平方向に送出された帯状濾材46の外周面に堆積したスラッジSGを連続的に挟圧する一対の挟圧ローラ52と、挟圧ローラ52の斜め下方に位置し、垂直方向に所定の間隔を隔てた一対の案内ローラ54および56と、一対の案内ローラ54および56の間に位置する帯状濾材46の外周面に堆積するスラッジSGであって挟圧ローラ52により脱液され後のケーキ状のスラッジSGを帯状濾材46の外周面から分離する回転ブラシ58と、回転ブラシ58よりも下流側位置において帯状濾材46内周面からの空気或いはクーラント等の流体の噴射により帯状濾材46の外周面に付着したスラッジSGを分離する噴射ノズル60とを、備える。帯状濾材46の外周面上のスラッジSGの挟圧により挟圧ローラ52から帯状濾材46を通して落下したクリーン液CFは、クリーン液案内斜板64を介してクリーンタンク14内に流入させられる。
【0032】
一対の挟圧ローラ52の間で帯状濾材46を挟圧するために、一対の挟圧ローラ52は、好適には、一対の挟圧ローラ52のうちのすくなくとも一方のローラが径方向に弾性変形可能な材質例えば合成ゴム等の弾性部材を備えるように構成される。或いは、一対の挟圧ローラ52のうちの一方の軸受が他方の軸受に向かって付勢されるローラ付勢機構が備えられる。
【0033】
上述のように、本実施例の濾過装置10によれば、スラッジ脱液分離装置22は、長手状の帯状濾材46を前進および後退させることで帯状濾材46を繰り返しの濾過に用いることができる。これにより、全長が長い帯状濾材46を用いることができるとともに、濾過効率を維持することができるので、帯状濾材46のメンテナンス頻度を低くすることができる。
【0034】
また、本実施例の濾過装置10によれば、ドラム36内において帯状濾材46上に滞留するダーティ液DFの液面を検出する液面センサ48と、帯状濾材46を送る送り電動機Mと、液面センサにより検出されたダーティ液DFの液面が予め設定された液面高さとなるように送り電動機Mを駆動して帯状濾材46を送るモータ制御装置50と、を含む。これにより、滞留するダーティ液DFの液面高さが維持されるように帯状濾材46が過不足なく送られるので、帯状濾材46の濾過効率が高く維持されつつ、帯状濾材46が過不足なく送られる。
【0035】
また、本実施例の濾過装置10によれば、フィルタ送り装置40は、帯状濾材46の一端部が巻回された第1ロール24に帯状濾材46に張力を発生させる定トルクを付与する第1トルクモータTM1と、帯状濾材46の他端部が巻回された第2ロール26に帯状濾材46に張力を発生させる定トルクを付与する第2トルクモータTM2とを含む。これにより、長手状の帯状濾材46が一定の張力が付与された状態で、フィルタ送り装置40から前記スラッジ脱液分離装置22へ送られる。これにより、帯状濾材46の弛みが抑制される。
【0036】
また、本実施例の濾過装置10によれば、フィルタ送り装置40は、帯状濾材46のうちスラッジ脱液分離装置22によりスラッジSGが除去された部分が第1ロール24に巻回されるように帯状濾材46を後退させ、次いで、第1ロール24に巻回された帯状濾材46のうちスラッジ脱液分離装置22によりスラッジSGが除去された部分を巻きだして、スラッジ脱液分離装置22を介して第2ローラ26に巻回されるように再び前進させる。これにより、クーラントの濾過について帯状濾材46が複数回用いられるので、帯状濾材46の取り替え周期が長くなり、帯状濾材46のメンテナンス頻度を低くすることができる。
【0037】
また、本実施例のスラッジ脱液分離装置22は、フィルタ送り装置40から送出された帯状濾材46の一面に堆積したスラッジSGを連続的に挟圧する挟圧ローラ52を、備える。これにより、フィルタ送り装置40から送出された帯状濾材46の外周面に堆積したスラッジSGを連続的に挟圧する挟圧ローラ52によりスラッジSGが脱液されるので、帯状濾材46からのスラッジSGの剥離が容易化されるとともに、スラッジSGや帯状濾材46は脱液されているので、スラッジSGや帯状濾材46の廃棄による環境負荷を低減できる。
【0038】
また、本実施例のスラッジ脱液分離装置22は、フィルタ送り装置40から送出された帯状濾材46の移動方向において挟圧ローラ52よりも下流側位置に設けられ、帯状濾材46の外周面に付着した脱液後のケーキ状のスラッジSGを帯状濾材46から分離する電動式の回転ブラシ58を、備える。これにより、回転ブラシ58の毛先による引掻かきにより、帯状濾材46の外周面に付着した脱液後のケーキ状のスラッジSGが好適に分離される。
【0039】
また、本実施例のスラッジ脱液分離装置22は、帯状濾材46の移動方向において回転ブラシ58よりも下流側位置に設けられ、帯状濾材46の外周面に付着した脱液後のスラッジSGを帯状濾材46の内周面からの流体の噴射により分離する噴射ノズル60を、備える。これにより、噴射ノズル60による帯状濾材46の内周面からの流体の噴射により、帯状濾材46の外周面に付着した脱液後のスラッジSGが帯状濾材46から分離される。
【0040】
また、本実施例の濾過装置10によれば、ドラム36の下側に、ドラム36内において帯状濾材46上に滞留するダーティ液DFが帯状濾材46を通して下方へ通過したクリーン液CFを受ける樋部材を設けることが不要となる。これにより、濾過装置10が小型となる。
【0041】
また、本実施例の濾過装置10によれば、スラッジ脱液分離装置22の下方には、回転ブラシ58および噴射ノズルに60より帯状濾材46から分離されて落下するスラッジSGを受けるための、上側に向かって開口するスラッジ収容容器18が配置されている。これにより、帯状濾材46から分離されたスラッジSGがスラッジ収容容器18内に収集される。
本実施例のスラッジ脱液分離装置28では、帯状濾材46が案内ローラ80に到達する前に、帯状濾材46の外周面に付着したスラッジSGが挟圧ローラ52により脱液されて、ケーキ状とされる。また、帯状濾材46が案内ローラ80を通過する過程の鋭角の回曲でスラッジに亀裂が形成されるので、回転ブラシ58および噴射ノズル60による帯状濾材46からのスラッジSGの剥離効率が高められる。
たとえば、前述のフィルタ送り装置40は、帯状濾材46を往復駆動することで、クーラントの濾過について帯状濾材46を複数回用いられるようにするものであったが、帯状濾材46の往復駆動ストロークは、必ずしも帯状濾材46の全長でなくてもよく、帯状濾材46の長手方向の一部であってもよい。
また、前述の実施例において、帯状濾材46上のスラッジを脱液させるために帯状濾材46を挟圧する一対の挟圧ローラ52が配設されていたが、複数対の挟圧ローラ52が配設されていてもよい。
また、前述の実施例において、ドラム36は、一対の円形部材32が棒状の連結部材34により連結されたものであったが、円形部材32は、円板状ではなく、ハブとリング状部材との間に嵌め込まれた複数の放射状の部材により接続された円形部材であってもよい。