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特開2024-83085棒状化粧材保持部材及び棒状化粧材繰出容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083085
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】棒状化粧材保持部材及び棒状化粧材繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/20 20060101AFI20240613BHJP
   A45D 40/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A45D40/20 F
A45D40/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197395
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000252090
【氏名又は名称】鈴野化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大庭 淳
(57)【要約】
【課題】棒状化粧材を安定して保持し、棒状化粧材が化粧材保持部から抜けるのを防止する。
【解決手段】繰出容器1内において棒状化粧材Aを保持する芯チャック部材10は、棒状化粧材Aの外周面を保持する化粧材保持部11と、化粧材保持部11が立設するベース部15と、を備え、化粧材保持部11は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面15aと、ベース部端面15aから離れた位置にて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結し、ベース部端面15aとの間に空間部14aを形成する連結帯13aと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状化粧材繰出容器内において棒状化粧材を保持する棒状化粧材保持部材であって、
前記棒状化粧材の外周面を保持する化粧材保持部と、前記化粧材保持部が立設するベース部と、を備え、
前記化粧材保持部は、
前記棒状化粧材の軸方向に沿って延び前記棒状化粧材の外周面を保持する複数の爪片と、
前記棒状化粧材の底部を保持する底面部と、
前記底面部から離れた位置にて少なくとも一対の前記爪片を周方向に連結し、前記底面部との間に空間部を形成する帯部と、
を備える、
ことを特徴とする棒状化粧材保持部材。
【請求項2】
請求項1に記載の棒状化粧材保持部材であって、
前記帯部は、少なくとも隣り合う一対の前記爪片を周方向に連結する、
ことを特徴とする棒状化粧材保持部材。
【請求項3】
請求項1に記載の棒状化粧材保持部材であって、
前記帯部は、全周にわたって形成され、すべての前記爪片を周方向に連結する、
ことを特徴とする棒状化粧材保持部材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の棒状化粧材保持部材であって、
前記帯部は、内周に向かって突出して前記棒状化粧材に係合する係合部を有する、
ことを特徴とする棒状化粧材保持部材。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一つに記載の棒状化粧材保持部材であって、
前記帯部の内周面と前記爪片の内周面とは、前記棒状化粧材の前記外周面に沿うように連続して形成される、
ことを特徴とする棒状化粧材保持部材。
【請求項6】
請求項5に記載の棒状化粧材保持部材であって、
前記帯部は、前記爪片よりも径方向の厚みが小さい、
ことを特徴とする棒状化粧材保持部材。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一つに記載の棒状化粧材保持部材であって、
前記帯部は、前記底面部から離れた先端部の内周面に、前記先端部に向けて前記棒状化粧材の前記外周面から離間するように傾斜するテーパ面を有する、
ことを特徴とする棒状化粧材保持部材。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一つに記載の棒状化粧材保持部材であって、
前記帯部は、前記爪片の先端部から前記底面部に向かって離間した位置に設けられる、
ことを特徴とする棒状化粧材保持部材。
【請求項9】
請求項1に記載の棒状化粧材保持部材であって、
前記爪片は、前記底面部からの長さが小さい複数の短爪片と、前記底面部からの長さが前記短爪片よりも大きい複数の長爪片と、を有し、
前記帯部は、前記長爪片どうしを前記短爪片の先端部よりも前記底面部から離れた位置にて周方向に連結する、
ことを特徴とする棒状化粧材保持部材。
【請求項10】
請求項1に記載の棒状化粧材保持部材を備える棒状化粧材繰出容器であって、
前記棒状化粧材が進退可能である貫通孔を有する先筒と、
前記先筒に相対回転可能に組み付けられる基筒と、
前記先筒と前記基筒との相対回転によって、前記棒状化粧材保持部材により保持された前記棒状化粧材を、前記先筒の前記貫通孔の先端開口から進退させる繰出機構と、を備える、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧材保持部材、及び当該棒状化粧材保持部材を備える棒状化粧材繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、棒状化粧材を保持する芯チャックを備えた棒状化粧材繰出容器が記載されている。この容器では、芯チャックは、円筒状の芯チャック本体に複数のスリットを設けて、円周部を複数の保持片に分割して形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-329176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の容器では、複数の保持片は、基端部のみが芯チャック本体の内底部に連結されている片持ち形状である。そのため、この容器では、棒状化粧材が挿入されたときに、複数の保持片の先端部が互いに離間するように拡がり、棒状化粧材を安定して保持できなくなり、棒状化粧材が保持片から抜けるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、棒状化粧材を安定して保持し、棒状化粧材が化粧材保持部から抜けるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、棒状化粧材繰出容器内において棒状化粧材を保持する棒状化粧材保持部材は、前記棒状化粧材の外周面を保持する化粧材保持部と、前記化粧材保持部が立設するベース部と、を備え、前記化粧材保持部は、前記棒状化粧材の軸方向に沿って延び前記棒状化粧材の外周面を保持する複数の爪片と、前記棒状化粧材の底部を保持する底面部と、前記底面部から離れた位置にて少なくとも一対の前記爪片を周方向に連結し、前記底面部との間に空間部を形成する帯部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、棒状化粧材保持部材の化粧材保持部は、棒状化粧材の底部を保持する底面部から離間した位置にて複数の爪片を周方向に連結する帯部を有するので、複数の爪片が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、棒状化粧材を安定して保持することができ、棒状化粧材が化粧材保持部から抜けるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧材保持部材を備える棒状化粧材繰出容器の断面図であり、(a)は、棒状化粧材保持部材が後退限に位置した状態を示し、(b)は、図1(a)におけるIB-IB線に沿う断面図である。
図2図2は、棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材保持部材における化粧材保持部を拡大して示した断面図である。
図3図3は、化粧材保持部の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材が挿入された状態の図3(a)におけるIIID-IIID線に沿う断面図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、図4(a)におけるIVC-IVC線に沿う断面図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、図5(a)におけるVC-VC線に沿う断面図であり、(d)は、図5(a)におけるVD-VD線に沿う断面図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧材保持部材を備える棒状化粧材繰出容器の断面図であり、(a)は、棒状化粧材保持部材が後退限に位置した状態を示し、(b)は、図6(a)におけるVIB-VIB線に沿う断面図である。
図7図7は、棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材保持部材における化粧材保持部を拡大して示した断面図である。
図8図8は、化粧材保持部の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入された状態の図8(a)におけるVIIIC-VIIIC線に沿う断面図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入された状態の図9(a)におけるIXC-IXC線に沿う断面図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入された状態の図10(a)におけるXC-XC線に沿う断面図である。
図11図11は、本発明の第2実施形態の第3変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入された状態の図11(a)におけるXIC-XIC線に沿う断面図である。
図12図12は、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧材保持部材を備える棒状化粧材繰出容器の断面図であり、(a)は、棒状化粧材保持部材が後退限に位置した状態を示し、(b)は、棒状化粧材保持部材が前進限に位置した状態を示し、(c)は、図12(b)におけるXIIC-XIIC線に沿う断面図である。
図13図13は、棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、棒状化粧材保持部材における化粧材保持部を拡大して示した断面図である。
図14図14は、化粧材保持部の拡大図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材が挿入された状態の図14(b)におけるXIVD-XIVD線に沿う断面図である。
図15図15は、本発明の第3実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、図15(b)におけるXVD-XVD線に沿う断面図であり、(e)は、図12(c)に相当する断面図である。
図16図16は、本発明の第3実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、図16(b)におけるXVID-XVID線に沿う断面図であり、(e)は、図16(b)におけるXVIE-XVIE線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
<第1実施形態>
まず、図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材10を備えた棒状化粧材繰出容器(以下、単に「繰出容器」と称する。)1について説明する。
【0011】
図1は、芯チャック部材10を備える繰出容器1の断面図であり、(a)は、芯チャック部材10が後退限に位置した状態を示し、(b)は、図1(a)におけるIB-IB線に沿う断面図である。図2は、芯チャック部材10を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、芯チャック部材10における化粧材保持部11を拡大して示した断面図である。図3は、化粧材保持部11の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材Aが挿入された状態の図3(a)におけるIIID-IIID線に沿う断面図である。
【0012】
図1(a)に示すように、繰出容器1は、断面形状が略円形状の棒状化粧材Aを繰り出し可能な容器である。棒状化粧材Aは、棒状に成形される成形芯であり、例えばアイブロウ、アイライナー及びリップライナー等として用いられるものである。棒状化粧材Aの外径寸法は、後述する化粧材保持部11(図3(a)及び(b)参照)の内径寸法よりも僅かに大きく形成される。
【0013】
繰出容器1は、棒状化粧材Aが進退可能である貫通孔20aを有する先筒20と、先筒20に相対回転可能に組み付けられる基筒30と、棒状化粧材Aを保持する芯チャック部材10と、を備える。以下では、先筒20における貫通孔20aの中心軸に沿う方向を「軸方向」と称し、貫通孔20aの中心軸周りの方向を「周方向」と称し、貫通孔20aの中心軸を中心とする放射方向を「径方向」と称する。また、繰出容器1から棒状化粧材Aが繰り出される動きを「前進」と称し、繰出容器1内に棒状化粧材Aが繰り戻される動きを「後退」と称する。
【0014】
先筒20は、軸方向に貫通する貫通孔20aが形成される筒状部材である。先筒20は、使用者が摘む摘部23と、摘部23と軸方向に連続して形成され基筒30内に嵌入される嵌入部24と、を有する。貫通孔20aの断面形状は、棒状化粧材Aの断面形状と相似しており、略円形状に形成されている。摘部23は、嵌入部24側から先端に向かって徐々に外径が小さくなるように軸方向にテーパ状に形成されている。
【0015】
嵌入部24の外周面には、基筒30に形成される後述する嵌合凹部32に嵌合する環状の嵌合凸部25と、Oリング2が装着されるOリング溝26と、が形成される。Oリング2は、先筒20と基筒30との間に圧縮された状態で設けられることで、先筒20と基筒30とを相対回転させる際に適度な抵抗を生じさせる。これにより、使用者の操作感を向上させることができる。
【0016】
先筒20の内周面には、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材10を軸方向に沿って案内する案内溝21が、軸方向に沿って延設されている。図1(b)に示すように、案内溝21は、複数の溝によって構成されるローレット状である。案内溝21内には、芯チャック部材10の後述する爪片12が位置すると共に、後述するローレット16が係合する。
【0017】
図1(a)に示すように、案内溝21は、先筒20の後端面22まで形成されている。案内溝21は、貫通孔20aの先端開口20bには至ることなく、その手前まで形成されている。図1(b)に示すように、先筒20の内周面は、案内溝21が設けられることで、山部と谷部とを備えるローレットの断面形状を有するように形成される。
【0018】
図1(a)に示すように、基筒30は、芯チャック部材10を収容すると共に先筒20の嵌入部24が嵌合される収容孔33を有する有底筒状に形成された部材である。収容孔33には、先筒20の嵌合凸部25が嵌合される環状の嵌合凹部32と、芯チャック部材10の後述する雄ねじ部17が係合する雌ねじ部31と、が開口端側から順に設けられる。
【0019】
雌ねじ部31は、基筒30の内周面に螺旋状に形成される。雌ねじ部31は、収容孔33と軸方向に連続して形成される。
【0020】
図2(a)及び(b)に示すように、芯チャック部材10は、棒状化粧材Aを保持する化粧材保持部11と、化粧材保持部11が立設するベース部15と、を備える。
【0021】
化粧材保持部11には、軟質かつ細径であり断面形状が真円形状の棒状化粧材Aが装填される。ここでは、棒状化粧材Aの外径は、約φ1.5~3.0[mm]である。
【0022】
化粧材保持部11は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは一対)の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15a(図2(c)参照)と、ベース部端面15aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する帯部としての連結帯13aと、を備える。
【0023】
図2(c)に示すように、爪片12は、ベース部端面15aから軸方向に立設される。爪片12の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片12は、棒状化粧材Aを挟むように一対設けられる。爪片12は、径方向の厚さが約0.20~0.25[mm]の薄膜によって形成される。各々の爪片12は、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面12dを有する。
【0024】
テーパ面12dは、先端部に向かうほど一対の爪片12の間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面12dが設けられることで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が爪片12によって削られることを防止できる。
【0025】
ベース部端面15aは、ベース部15における軸方向の先端部に設けられる。ベース部端面15aには、棒状化粧材Aの底面が当接する。
【0026】
連結帯13aは、周方向全体にわたって形成され、すべての爪片12を周方向に連結する。連結帯13aは、爪片12の一方のみを周方向に連結するように形成されてもよい。即ち、連結帯13aは、少なくとも隣り合う一対の爪片12を周方向に連結するものである。
【0027】
図3(a)及び(b)に示すように、連結帯13aは、ベース部端面15aから軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、ベース部端面15aと連結帯13aとの間には、空間部14aが形成される。空間部14aが設けられることで、化粧材保持部11に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部14aに食い込むことで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が連結帯13aの後端面に引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0028】
連結帯13aは、爪片12の先端部からベース部端面15aに向かって軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、爪片12における連結帯13aよりも先端側には、爪片弾性部12eが形成される。爪片弾性部12eは、棒状化粧材Aを化粧材保持部11に挿入する際に外周に向けて拡がるので、棒状化粧材Aを化粧材保持部11にスムーズに案内することができる。
【0029】
このように、芯チャック部材10の化粧材保持部11は、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面15aから離間した位置にて複数の爪片12を周方向に連結する連結帯13aを有するので、複数の爪片12が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、連結帯13aによって爪片12が棒状化粧材Aを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Aを安定して保持することができ、棒状化粧材Aが化粧材保持部11から抜けるのを防止することができる。
【0030】
図3(c)及び(d)に示すように、連結帯13aの内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯13aの内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、連結帯13aの内周面と爪片12の内周面とが全周にわたって棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0031】
連結帯13aは、径方向の厚さが約0.20~0.25[mm]の薄膜によって形成される。即ち、連結帯13aは、爪片12と径方向の厚さが略同一であるか、又は若干小さい。爪片12と連結帯13aとを薄膜によって形成することで、厚みのある爪片及び連結帯を用いる場合よりも、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くすることができる。連結帯13aは、内周に向かって突出して棒状化粧材Aに係合する係合部としてのリブ13cを有する。
【0032】
リブ13cは、棒状化粧材Aが化粧材保持部11に装填された状態で、棒状化粧材Aを係止する。なお、リブ13cに代えて、例えばローレット状の突起を連結帯13aの内周に形成してもよい。
【0033】
図2(c)に示すように、連結帯13aは、ベース部端面15aから離れた先端部の内周面に、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面13dを有する。
【0034】
テーパ面13dは、先端部に向かうほど一対の連結帯13aの間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面13dが設けられることで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が連結帯13aによって削られることを防止できる。
【0035】
図2(a)及び(b)に示すように、ベース部15は、案内溝21に対して周方向に係合するローレット16と、ローレット16から軸方向に連続して形成される大径部19と、大径部19に設けられる雄ねじ部17と、を有する。
【0036】
ローレット16は、爪片12が立設されるベース部端面15aと大径部19の大径部前端面19aとの間の部分の外周に形成される。ローレット16は、軸方向に沿って直線状に形成される平目ローレットである。ローレット16が先筒20の案内溝21に係合することで、先筒20と芯チャック部材10との周方向への相対回転が規制される。
【0037】
大径部19は、ローレット16から軸方向に連続して形成される。大径部19は、ローレット16よりも外径が大きく形成される。大径部19の大径部前端面19aは、先筒20の後端面22と当接した状態で、芯チャック部材10の前進限を規定する。大径部19は、基筒30の底部と当接した状態で、芯チャック部材10の後退限を規定する。
【0038】
雄ねじ部17は、大径部19の外周に突出するように複数設けられる。雄ねじ部17は、周方向の複数個所(ここでは4か所)に設けられる。雄ねじ部17は、基筒30の雌ねじ部31に螺合する。
【0039】
図1(a)に示すように、基筒30の雌ねじ部31に芯チャック部材10の雄ねじ部17が螺合した状態で、先筒20と基筒30とを相対回転させると、芯チャック部材10は先筒20と一体に回転するので、芯チャック部材10と基筒30とが相対回転する。これにより、雌ねじ部31に対して芯チャック部材10の雄ねじ部17が回転するので、芯チャック部材10は基筒30に対して軸方向に相対移動する。即ち、先筒20と基筒30との相対回転によって、芯チャック部材10により保持された棒状化粧材Aを、先筒20の貫通孔20aの先端開口20bから進退させる繰出機構が構成される。
【0040】
このように、繰出容器1では、基筒30と芯チャック部材10とにより棒状化粧材Aを軸方向に繰り出す繰出機構が構成されており、先筒20と基筒30とを相対回転させると先筒20及び基筒30内で芯チャック部材10が軸方向に進退し、芯チャック部材10の進退に応じて棒状化粧材Aも進退する。
【0041】
具体的には、使用者が先筒20と基筒30とを順方向に相対回転させたときには、芯チャック部材10が先筒20の先端開口20bに向かって軸方向に移動して棒状化粧材Aを前進させる。これにより、先端開口20bから棒状化粧材Aが繰り出される。一方、使用者が先筒20と基筒30とを逆方向に相対回転させたときには、芯チャック部材10が逆方向に移動して棒状化粧材Aを後退させる。これにより、棒状化粧材Aが繰り戻される。
【0042】
<第1変形例>
続いて、図4を参照して、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材110について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0043】
図4は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る芯チャック部材110を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、図4(a)におけるIVC-IVC線に沿う断面図である。
【0044】
この第1変形例に係る芯チャック部材110は、連結帯13aに加えて連結帯13bを更に備える点で、上述した第1実施形態とは相違する。
【0045】
図4(a)及び(b)に示すように、芯チャック部材110は、棒状化粧材Bを保持する化粧材保持部111と、化粧材保持部111が立設するベース部15と、を備える。
【0046】
化粧材保持部111には、棒状化粧材Aよりも硬質な棒状化粧材Bが装填される。棒状化粧材Bは、棒状化粧材Aと同一の外径及び長さに形成される。
【0047】
化粧材保持部111は、棒状化粧材Bの軸方向に沿って延び棒状化粧材Bの外周面を保持する複数(ここでは一対)の爪片12と、棒状化粧材Bの底部を保持する底面部としてのベース部端面15aと、ベース部端面15aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する帯部としての連結帯13aと、連結帯13aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する帯部としての連結帯13bと、を備える。
【0048】
連結帯13aは、周方向全体にわたって形成され、すべての爪片12を周方向に連結する。連結帯13aは、爪片12の一方のみを周方向に連結するように形成されてもよい。即ち、連結帯13aは、少なくとも隣り合う一対の爪片12を周方向に連結するものである。
【0049】
連結帯13bは、連結帯13aから軸方向先端側に離間した位置に設けられる。連結帯13bは、周方向全体にわたって形成され、すべての爪片12を周方向に連結する。連結帯13bは、爪片12の一方のみを周方向に連結するように形成されてもよい。即ち、連結帯13bは、少なくとも隣り合う一対の爪片12を周方向に連結するものである。
【0050】
連結帯13bが設けられることで、ベース部端面15aから連結帯13bの先端までが棒状化粧材Bを保持する化粧材ホールド部112eを形成する。棒状化粧材Bは棒状化粧材Aよりも硬質であるので、爪片弾性部の弾性を利用しなくても、化粧材保持部111に比較的スムーズに棒状化粧材Bを挿入することができる。
【0051】
連結帯13bは、連結帯13aと比較して、爪片12におけるベース部端面15aから軸方向に離れた位置に設けられる。これにより、化粧材ホールド部112eの軸方向の長さを大きくすることができる。即ち、化粧材ホールド部112eが保持する棒状化粧材Bの軸方向の長さを大きくすることができる。
【0052】
連結帯13aと連結帯13bの間には、空間部14bが更に形成される。空間部14aと併せて空間部14bが設けられることで、化粧材保持部111に挿入された棒状化粧材Bの外周面が空間部14a及び空間部14bに食い込むことで、化粧材保持部111への棒状化粧材Bの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Bが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Bの外周が連結帯13a及び連結帯13bの後端面に引っかかるため、棒状化粧材Bが抜けるのを防止することができる。
【0053】
このように、芯チャック部材110の化粧材保持部111は、棒状化粧材Bの底部を保持するベース部端面15aから離間した位置にて複数の爪片12を周方向に連結する連結帯13aと、連結帯13aから軸方向に離間した位置にて複数の爪片12を周方向に連結する連結帯13bと、を有するので、複数の爪片12が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、連結帯13a及び連結帯13bによって爪片12が棒状化粧材Bを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Bを安定して保持することができる。
【0054】
また、化粧材ホールド部112eが形成されることにより、爪片12の先端側の拡がりが抑制され、棒状化粧材Bを軸方向に長く保持できるため、棒状化粧材Bを保持する保持力が更に補強される。
【0055】
連結帯13bの内周面は、棒状化粧材Bの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯13bの内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Bの外周面に沿うように連続して形成される。連結帯13bは、連結帯13aと同様に、径方向の厚さが約0.20~0.25[mm]の薄膜によって形成される。即ち、連結帯13bは、爪片12と径方向の厚さが略同一であるか、又は若干小さい。爪片12と連結帯13bとを薄膜によって形成することで、厚みのある爪片及び連結帯を用いる場合よりも、棒状化粧材Bの外周への密着度を高くできる。
【0056】
なお、連結帯13aには、リブ13cが設けられるが、連結帯13bには、リブが設けられない。これにより、成形時にアンダーカットになる部分がなくなり、成形時の金型の型抜きを容易にすることができる。
【0057】
<第2変形例>
続いて、図5を参照して、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材910について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0058】
図5は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る芯チャック部材910を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、図5(a)におけるVC-VC線に沿う断面図であり、(d)は、図5(a)におけるVD-VD線に沿う断面図である。
【0059】
この第2変形例に係る芯チャック部材910は、連結帯13aが舌部13eを有する点で、上述した第1実施形態とは相違する。
【0060】
図5(a)及び(b)に示すように、芯チャック部材910は、棒状化粧材Bを保持する化粧材保持部911と、化粧材保持部911が立設するベース部15と、を備える。
【0061】
化粧材保持部911には、棒状化粧材Aよりも硬質な棒状化粧材Bが装填される。棒状化粧材Bは、棒状化粧材Aと同一の外径及び長さに形成される。
【0062】
化粧材保持部911は、棒状化粧材Bの軸方向に沿って延び棒状化粧材Bの外周面を保持する複数(ここでは一対)の爪片12と、棒状化粧材Bの底部を保持する底面部としてのベース部端面15aと、ベース部端面15aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する帯部としての連結帯13aと、を備える。
【0063】
連結帯13aは、連結帯13aから軸方向に延設されて棒状化粧材Bの外周面に沿う曲面状の内周面を有する舌部13eを有する。なお、第2変形例では、連結帯13aには、リブ13c(図3(a),(c)及び(d)参照)は設けられない。
【0064】
舌部13eは、ベース部端面15aと連結帯13aとの間に形成される空間部14aに設けられる。舌部13eは、連結帯13aからベース部端面15aに向かって軸方向に延設され、ベース部端面15aの手前までの長さに形成される。即ち、舌部13eは、ベース部端面15aまでは到達せずに、舌部13eとベース部端面15aとの間には空間部14aが確保される。舌部13eにおけるベース部端面15aに近い側の自由端部は、周方向に沿って略半円の円弧状(曲線状)に形成される。
【0065】
このように、芯チャック部材910の化粧材保持部911は、連結帯13aから軸方向に延設されて棒状化粧材Bの外周面に沿う曲面状の内周面を有する舌部13eを有するので、棒状化粧材Bの外周面を軸方向に沿って長く保持することができる。したがって、舌部13eによって爪片12が棒状化粧材Bを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Bを安定して保持することができる。
【0066】
連結帯13aは、舌部13eが設けられるのに伴い、第1変形例の連結帯13bと同じ軸方向の位置に設けられる。そのため、ベース部端面15aから連結帯13aの先端までが棒状化粧材Bを保持する化粧材ホールド部912eを形成する。棒状化粧材Bは棒状化粧材Aよりも硬質であるので、爪片弾性部の弾性を利用しなくても、化粧材保持部911に比較的スムーズに棒状化粧材Bを挿入することができる。
【0067】
連結帯13aの内周面は、棒状化粧材Bの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯13aの内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Bの外周面に沿うように連続して形成される。連結帯13aは、径方向の厚さが約0.20~0.25[mm]の薄膜によって形成される。一方、舌部13eは、径方向の厚さが約0.10[mm]の極薄膜によって形成される。即ち、舌部13eは、連結帯13aよりも径方向の厚さが小さく形成される。よって、棒状化粧材Bの外周への舌部13eの密着度を高くできる。
【0068】
また、化粧材ホールド部912eが形成されることにより、爪片12の先端側の拡がりが抑制され、棒状化粧材Bを軸方向に長く保持できるため、棒状化粧材Bを保持する保持力が更に補強される。
【0069】
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0070】
繰出容器1内において棒状化粧材Aを保持する芯チャック部材10は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面15aと、ベース部端面15aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結し、ベース部端面15aとの間に空間部14aを形成する連結帯13aと、を備える。
【0071】
この構成によれば、芯チャック部材10の化粧材保持部11は、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面15aから離間した位置にて複数の爪片12を周方向に連結する連結帯13aを有するので、複数の爪片12が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、棒状化粧材Aを安定して保持することができ、棒状化粧材Aが化粧材保持部11から抜けるのを防止することができる。そして、空間部14aが設けられることで、化粧材保持部11に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部14aに食い込むことで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が連結帯13aの後端面に引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0072】
また、連結帯13aは、内周に向かって突出して棒状化粧材Aに係合するリブ13cを有する。
【0073】
この構成によれば、棒状化粧材Aが化粧材保持部11に装填された状態で、リブ13cが棒状化粧材Aに係合することで、棒状化粧材Aを係止することができる。
【0074】
また、連結帯13aの内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。
【0075】
この構成によれば、連結帯13aの内周面と爪片12の内周面とが全周にわたって棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0076】
また、連結帯13aは、ベース部端面15aから離れた先端部の内周面に、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面13dを有する。
【0077】
この構成によれば、テーパ面13dが設けられることで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が連結帯13aによって削られることを防止できる。
【0078】
また、連結帯13aは、爪片12の先端部からベース部端面15aに向かって離間した位置に設けられる。
【0079】
この構成によれば、爪片12における連結帯13aよりも先端側には、爪片弾性部12eが形成される。爪片弾性部12eは、棒状化粧材Aを化粧材保持部11に挿入する際に外周に向けて拡がるので、棒状化粧材Aを化粧材保持部11にスムーズに案内することができる。
【0080】
<第2実施形態>
次に、図6から図11を参照して、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材210を備える棒状化粧材繰出容器(以下、単に「繰出容器」と称する。)201について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0081】
図6は、芯チャック部材210を備える繰出容器201の断面図であり、(a)は、芯チャック部材210が後退限に位置した状態を示し、(b)は、図6(a)におけるVIB-VIB線に沿う断面図である。図7は、芯チャック部材210を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、芯チャック部材210における化粧材保持部211を拡大して示した断面図である。図8は、化粧材保持部211の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入された状態の図8(a)におけるVIIIC-VIIIC線に沿う断面図である。
【0082】
図6(a)に示すように、繰出容器201は、棒状化粧材Aが進退可能である貫通孔20aを有する先筒220と、先筒220に相対回転可能に組み付けられる基筒230と、棒状化粧材Aを保持する芯チャック部材210と、基筒230内に基筒230に対して相対回転不能に設けられる雌ねじ筒240と、を備える。
【0083】
先筒220は、軸方向に貫通する貫通孔20aが形成される筒状部材である。先筒220は、使用者が摘む摘部223と、摘部223と軸方向に連続して形成され基筒230内に嵌入される嵌入部224と、を有する。貫通孔20aの断面形状は、棒状化粧材Aの断面形状と相似しており、略円形状に形成されている。摘部223は、嵌入部224側から先端に向かって徐々に外径が小さくなるように軸方向にテーパ状に形成されている。
【0084】
嵌入部224の外周面には、基筒230に形成される後述する嵌合凹部232に嵌合する環状の嵌合凸部225と、Oリング2が装着されるOリング溝226と、が形成される。Oリング2は、先筒220と基筒230との間に圧縮された状態で設けられることで、先筒220と基筒230とを相対回転させる際に適度な抵抗を生じさせる。これにより、使用者の操作感を向上させることができる。
【0085】
先筒220の内周面には、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材210を軸方向に沿って案内する案内溝221が、軸方向に沿って延設されている。図6(b)に示すように、案内溝221は、周方向に間隔をあけて複数(ここでは4つ)設けられる直線状の溝である。案内溝221内には、芯チャック部材210の後述する爪片212が位置すると共に、後述する係合条部216が係合する。隣り合う案内溝221の間には、壁条部222が各々形成される。
【0086】
図6(a)に示すように、案内溝221は、先筒220の後端面222aまで形成されている。案内溝221は、貫通孔20aの先端開口20bには至ることなく、その手前まで形成されている。
【0087】
基筒230は、芯チャック部材210を収容すると共に先筒220の嵌入部224が嵌合され、雌ねじ筒240が挿入される収容孔233を有する有底筒状に形成された部材である。収容孔233には、先筒220の嵌合凸部225が嵌合される環状の嵌合凹部232が設けられる。
【0088】
図7(a)及び(b)に示すように、芯チャック部材210は、棒状化粧材Aを保持する化粧材保持部211と、化粧材保持部211が立設するベース部215と、を備える。
【0089】
化粧材保持部211は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは4つ)の爪片212と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面215a(図7(c)参照)と、ベース部端面215aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片212を周方向に連結する帯部としての連結帯213と、を備える。
【0090】
図7(c)に示すように、爪片212は、ベース部端面215aから軸方向に立設される。爪片212の外周面は、ベース部215における係合条部216の外周面よりも小径に形成される。爪片212の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片212は、棒状化粧材Aの外周を十字状に挟むように4つ設けられる。各々の爪片212は、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面212dと、内周に向かって突出して棒状化粧材Aに係合する係合部としての内周凸部212cと、を有する。
【0091】
テーパ面212dは、先端部に向かうほど対向する一対の爪片212の間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面212dが設けられることで、化粧材保持部211への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が爪片212によって削られることを防止できる。
【0092】
内周凸部212cは、棒状化粧材Aが化粧材保持部211に装填された状態で、棒状化粧材Aを係止する。内周凸部212cは、後述する爪片弾性部212eの範囲内に形成される。なお、内周凸部212cに代えて、例えばローレット状の突起を爪片212の内周に形成してもよい。
【0093】
ベース部端面215aは、ベース部215における軸方向の先端部に設けられる。ベース部端面215aには、棒状化粧材Aの底面が当接する。
【0094】
連結帯213は、周方向全体にわたって形成され、すべての爪片212を周方向に連結する。連結帯213は、爪片212の周方向の一部のみを連結するように形成されてもよい。即ち、連結帯213は、少なくとも隣り合う一対の爪片212を周方向に連結するものである。
【0095】
図7(a)から(c)に示すように、連結帯213は、ベース部端面215aから軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、ベース部端面215aと連結帯213との間には、空間部214aが形成される。空間部214aが設けられることで、化粧材保持部211に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部214aに食い込むことで、化粧材保持部211への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が連結帯213の後端面に引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0096】
図8(a)に示すように、連結帯213は、爪片212の先端部からベース部端面215aに向かって軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、爪片212における連結帯213よりも先端側には、爪片弾性部212eが形成される。爪片弾性部212eは、棒状化粧材Aを化粧材保持部211に挿入する際に外周に向けて拡がるので、棒状化粧材Aを化粧材保持部211にスムーズに案内することができる。
【0097】
このように、芯チャック部材210の化粧材保持部211は、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面215aから離間した位置にて複数の爪片212を周方向に連結する連結帯213を有するので、複数の爪片212が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、連結帯213によって爪片212が棒状化粧材Aを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Aを安定して保持することができ、棒状化粧材Aが化粧材保持部211から抜けるのを防止することができる。
【0098】
図8(b)及び(c)に示すように、連結帯213の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯213の内周面と爪片212の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、連結帯213の内周面と爪片212の内周面とが全周にわたって棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0099】
連結帯213は、径方向の厚さが約0.10[mm]の薄膜によって形成される。連結帯213は、爪片212よりも径方向の厚みが小さい。これにより、連結帯213よりも爪片212の方が径方向外側に突出するので、爪片212が先筒220の案内溝221内に位置するようにできる。
【0100】
図7(a)及び(b)に示すように、ベース部215は、案内溝221に対して周方向に係合する係合条部216と、係合条部216から軸方向に連続して形成される雄ねじ部217と、を有する。
【0101】
係合条部216は、爪片212が立設されるベース部端面215aと雄ねじ部217との間の部分の外周に形成される。係合条部216は、軸方向に沿って直線状に形成される。係合条部216は、爪片212から軸方向に連続して形成される。係合条部216が先筒220の案内溝221に係合することで、先筒220と芯チャック部材210との周方向への相対回転が規制される。隣り合う係合条部216の間には、溝部端面219まで溝部が形成される。溝部端面219は、先筒220における壁条部222の後端面222aに当接した状態で、芯チャック部材210の前進限を規定する。また、ベース部215の後端面が基筒230の底部と当接した状態で、芯チャック部材210の後退限を規定する。
【0102】
雄ねじ部217は、係合条部216から軸方向に連続して係合条部216よりも小径に形成される部分の外周に突出するように複数設けられる。雄ねじ部217は、周方向の複数個所(ここでは2か所)に設けられると共に、軸方向の複数個所に設けられる。雄ねじ部217は、雌ねじ筒240の雌ねじ部243に螺合する。
【0103】
図6(a)に示すように、雌ねじ筒240は、芯チャック部材210の雄ねじ部217が係合する雌ねじ部243が軸方向に貫通して形成された樹脂製の筒状部材である。雌ねじ筒240は、基筒230内に挿入された際に基筒230の段部235に当接する後端面244と、基筒230に先筒220が組付けられた際に先筒220の後端面222aに当接する前端面242と、を有する。
【0104】
雌ねじ筒240の外周面には、軸方向に延びる複数の縦リブ(図示省略)が周方向に等間隔で形成されている。縦リブは、基筒230の内周面に形成されたローレット(図示省略)と係合し、雌ねじ筒240が基筒230に対して回転することを防止する回転止めとして機能する。
【0105】
雌ねじ筒240の雌ねじ部243に芯チャック部材210の雄ねじ部217が螺合した状態で、先筒220と基筒230とを相対回転させると、芯チャック部材210は先筒220と一体に回転し、雌ねじ筒240は基筒230と一体に回転するので、芯チャック部材210と基筒230とが相対回転する。これにより、雌ねじ部243に対して芯チャック部材210の雄ねじ部217が回転するので、芯チャック部材210は雌ねじ筒240に対して軸方向に相対移動する。即ち、先筒220と基筒230との相対回転によって、芯チャック部材210により保持された棒状化粧材Aを、先筒220の貫通孔20aの先端開口20bから進退させる繰出機構が構成される。
【0106】
このように、繰出容器201では、雌ねじ筒240と芯チャック部材210とにより棒状化粧材Aを軸方向に繰り出す繰出機構が構成されており、先筒220と基筒230とを相対回転させると先筒220及び基筒230内で芯チャック部材210が軸方向に進退し、芯チャック部材210の進退に応じて棒状化粧材Aも進退する。
【0107】
具体的には、使用者が先筒220と基筒230とを順方向に相対回転させたときには、芯チャック部材210が先筒220の先端開口20bに向かって軸方向に移動して棒状化粧材Aを前進させる。これにより、先端開口20bから棒状化粧材Aが繰り出される。一方、使用者が先筒220と基筒230とを逆方向に相対回転させたときには、芯チャック部材210が逆方向に移動して棒状化粧材Aを後退させる。これにより、棒状化粧材Aが繰り戻される。
【0108】
<第1変形例>
続いて、図9を参照して、本発明の第2実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材310について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0109】
図9は、芯チャック部材310を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入された状態の図9(a)におけるIXC-IXC線に沿う断面図である。
【0110】
この第1変形例に係る芯チャック部材310は、連結帯213が周方向全体にわたって形成されず、周方向の一部のみに形成される点で、上述した第2実施形態とは相違する。
【0111】
図9(a)に示すように、芯チャック部材310は、棒状化粧材Aを保持する化粧材保持部311と、化粧材保持部311が立設するベース部215と、を備える。
【0112】
化粧材保持部311は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは4つ)の爪片212と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面215aと、ベース部端面215aから軸方向に離れた位置にて一対の爪片212どうしを周方向に連結する帯部としての連結帯213と、を備える。
【0113】
連結帯213は、隣り合う一対の爪片212どうしを連結し、対向する一対の保持片311a,311bを形成する。保持片311a,311bどうしは、連結帯によって連結されない。
【0114】
連結帯213は、ベース部端面215aから軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、保持片311a,311bは、ベース部端面215aと連結帯213との間に、空間部214aが形成される。空間部214aが設けられることで、化粧材保持部311に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部214aに食い込むことで、化粧材保持部311への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が連結帯213の後端面に引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0115】
連結帯213は、爪片212の先端部からベース部端面215aに向かって軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、爪片212における連結帯213よりも先端側には、爪片弾性部212eが形成される。爪片弾性部212eは、棒状化粧材Aを化粧材保持部311に挿入する際に外周に向けて拡がるので、棒状化粧材Aを化粧材保持部311にスムーズに案内することができる。
【0116】
このように、芯チャック部材310の化粧材保持部311は、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面215aから離間した位置にて隣り合う一対の爪片212どうしを周方向に連結する連結帯213を有するので、連結された一対の爪片212が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、連結帯213によって爪片212が棒状化粧材Aを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Aを安定して保持することができ、棒状化粧材Aが化粧材保持部311から抜けるのを防止することができる。
【0117】
<第2変形例>
続いて、図10を参照して、本発明の第2実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材410について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0118】
図10は、芯チャック部材410を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入された状態の図10(a)におけるXC-XC線に沿う断面図である。
【0119】
この第2変形例に係る芯チャック部材410は、内周凸部212cに代えてリブ412cが爪片212に設けられる点で、上述した第2実施形態とは相違する。
【0120】
図10(a)から(c)に示すように、芯チャック部材410は、棒状化粧材Aを保持する化粧材保持部411と、化粧材保持部411が立設するベース部215と、を備える。
【0121】
化粧材保持部411は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは4つ)の爪片212と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面215aと、ベース部端面215aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片212を周方向に連結する帯部としての連結帯213と、を備える。
【0122】
爪片212は、ベース部端面215aから軸方向に立設される。爪片212の外周面は、ベース部215における係合条部216の外周面よりも小径に形成される。爪片212の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片212は、棒状化粧材Aの外周を十字状に挟むように4つ設けられる。各々の爪片212は、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面212dと、内周に向かって突出して棒状化粧材Aに係合する係合部としてのリブ412cと、を有する。
【0123】
リブ412cは、ベース部端面215aから軸方向に沿って直線状に形成される。リブ412cは、連結帯213よりも先端に近い位置まで形成される。リブ412cは、棒状化粧材Aが化粧材保持部411に装填された状態で、棒状化粧材Aを係止する。なお、リブ412cに代えて、例えばローレット状の突起を爪片212の内周に形成してもよい。
【0124】
このように、内周凸部212cに代えてリブ412cが爪片212に設けられる場合にも、棒状化粧材Aが化粧材保持部411に装填された状態で、リブ412cが棒状化粧材Aに係合することで、棒状化粧材Aを係止することができる。
【0125】
<第3変形例>
次に、図11を参照して、本発明の第2実施形態の第3変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材510について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0126】
図11は、芯チャック部材510を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材Bが挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材Bが挿入された状態の図11(a)におけるXIC-XIC線に沿う断面図である。
【0127】
この第3変形例に係る芯チャック部材510は、爪片512の幅が爪片212よりも小さく形成される点、及び連結帯513がリブ512cよりも爪片512の先端に近い位置に形成される点で、上述した第2実施形態の第2変形例とは相違する。
【0128】
図11(a)から(c)に示すように、芯チャック部材510は、棒状化粧材Bを保持する化粧材保持部511と、化粧材保持部511が立設するベース部215と、を備える。
【0129】
化粧材保持部511は、棒状化粧材Bの軸方向に沿って延び棒状化粧材Bの外周面を保持する複数(ここでは4つ)の爪片512と、棒状化粧材Bの底部を保持する底面部としてのベース部端面215aと、ベース部端面215aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片512を周方向に連結する帯部としての連結帯513と、を備える。
【0130】
爪片512は、ベース部端面215aから軸方向に立設される。爪片512の外周面は、ベース部215における係合条部216の外周面よりも小径に形成される。爪片512の内周面は、棒状化粧材Bの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片512は、棒状化粧材Bの外周を十字状に挟むように4つ設けられる。爪片512は、爪片212よりも幅(周方向の長さ)が小さく形成される。これにより、隣り合う爪片512の間の周方向の距離を大きくすることができる。各々の爪片512は、先端部に向けて棒状化粧材Bの外周面から離間するように傾斜するテーパ面512dと、内周に向かって突出して棒状化粧材Bに係合する係合部としてのリブ512cと、を有する。
【0131】
テーパ面512dは、先端部に向かうほど対向する一対の爪片512の間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面512dが設けられることで、化粧材保持部511への棒状化粧材Bの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Bを挿入する際に棒状化粧材Bの後端部外周が爪片512によって削られることを防止できる。
【0132】
リブ512cは、ベース部端面215aから軸方向に沿って直線状に形成される。リブ512cは、後述する化粧材ホールド部512eの範囲内に設けられる。リブ512cは、連結帯513よりも先端から軸方向に離れた位置まで形成される。即ち、リブ512cは、ベース部端面215aから連結帯513の手前までの長さに形成される。リブ512cは、棒状化粧材Bが化粧材保持部511に装填された状態で、棒状化粧材Bを係止する。なお、リブ512cに代えて、例えばローレット状の突起を爪片512の内周に形成してもよい。
【0133】
連結帯513は、周方向全体にわたって形成され、すべての爪片512を周方向に連結する。連結帯513は、爪片512の周方向の一部のみを連結するように形成されてもよい。即ち、連結帯513は、少なくとも隣り合う一対の爪片512を周方向に連結するものである。
【0134】
連結帯513は、ベース部端面215aから軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、ベース部端面215aと連結帯513との間には、空間部514aが形成される。空間部514aが設けられることで、化粧材保持部511に挿入された棒状化粧材Bの外周面が空間部514aに食い込むことで、化粧材保持部511への棒状化粧材Bの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Bが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Bの外周が連結帯513の後端面に引っかかるため、棒状化粧材Bが抜けるのを防止することができる。
【0135】
連結帯513は、爪片512の先端部からベース部端面215aに向かって軸方向に離間した位置に設けられる。連結帯513が設けられることで、ベース部端面215aから連結帯513の先端までが棒状化粧材Bを保持する化粧材ホールド部512eを形成する。棒状化粧材Bは棒状化粧材Aよりも硬質であるので、爪片弾性部の弾性を利用しなくても、化粧材保持部511に比較的スムーズに棒状化粧材Bを挿入することができる。
【0136】
連結帯513は、連結帯213と比較して、爪片512におけるベース部端面215aから軸方向に離れた位置に設けられる。これにより、化粧材ホールド部512eの軸方向の長さを大きくすることができる。即ち、化粧材ホールド部512eが保持する棒状化粧材Bの軸方向の長さを大きくすることができる。
【0137】
このように、芯チャック部材510の化粧材保持部511は、棒状化粧材Bの底部を保持するベース部端面215aから離間した位置にて複数の爪片512を周方向に連結する連結帯513を有するので、複数の爪片512が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、連結帯513によって爪片512が棒状化粧材Bを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Bを安定して保持することができる。
【0138】
また、化粧材ホールド部512eが形成されることにより、爪片512の先端側の拡がりが抑制され、棒状化粧材Bを軸方向に長く保持できるため、棒状化粧材Bを保持する保持力が更に補強される。
【0139】
連結帯513の内周面は、棒状化粧材Bの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯513の内周面と爪片512の内周面とは、棒状化粧材Bの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、連結帯513の内周面と爪片512の内周面とが全周にわたって棒状化粧材Bに密着するので、棒状化粧材Bを安定して保持することができる。
【0140】
連結帯513は、径方向の厚さが約0.10[mm]の薄膜によって形成される。連結帯513は、爪片512よりも径方向の厚みが小さい。これにより、連結帯513よりも爪片512の方が径方向外側に突出するので、爪片512が先筒220の案内溝221内に位置するようにできる。
【0141】
連結帯513は、爪片512の幅が爪片212よりも小さく形成されることにより、周方向の長さが大きい。即ち、化粧材保持部511にて、薄膜で形成される部分の周方向の長さが大きくなる。薄膜で形成される連結帯513は、爪片512よりも棒状化粧材Bの外周面への密着度が高くなるので、棒状化粧材Bの後部外周面は、爪片512と連結帯513とからなる腔部内周にぴったりと貼り付くように保持される。したがって、棒状化粧材Bを安定して保持することができる。
【0142】
以上の第2実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏すると共に、以下に示す効果を奏する。
【0143】
連結帯213は、爪片212よりも径方向の厚みが小さい。
【0144】
この構成によれば、連結帯213よりも爪片212の方が径方向外側に突出するので、爪片212が先筒220の案内溝221内に位置するようにできる。
【0145】
<第3実施形態>
次に、図12から図16を参照して、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材610を備える棒状化粧材繰出容器(以下、単に「繰出容器」と称する。)601について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0146】
図12は、芯チャック部材610を備える繰出容器601の断面図であり、(a)は、芯チャック部材610が後退限に位置した状態を示し、(b)は、芯チャック部材610が前進限に位置した状態を示し、(c)は、図12(b)におけるXIIC-XIIC線に沿う断面図である。図13は、芯チャック部材610を示す図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、芯チャック部材610における化粧材保持部611を拡大して示した断面図である。図14は、化粧材保持部611の拡大図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、棒状化粧材Cが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材Cが挿入された状態の図14(b)におけるXIVD-XIVD線に沿う断面図である。
【0147】
図12(a)及び(b)に示すように、繰出容器601は、断面形状が略楕円形状の棒状化粧材Cを繰り出し可能な容器である。棒状化粧材Cは、棒状に成形される成形芯であり、例えばアイブロウ、アイライナー及びリップライナー等として用いられるものである。棒状化粧材Cは、棒状化粧材Aと同様に棒状化粧材Bよりも軟質である。棒状化粧材Cの外径寸法は、後述する化粧材保持部611の内径寸法よりも僅かに大きく形成される。棒状化粧材Cにおける短軸と長軸との比は、略1:2である。具体的には、例えば、棒状化粧材Cの短軸は約1.5[mm]であり、長軸は約3.0[mm]である。
【0148】
繰出容器601は、棒状化粧材Cが進退可能である貫通孔20aを有する先筒620と、先筒620に相対回転可能に組み付けられる基筒630と、棒状化粧材Cを保持する芯チャック部材610と、基筒630内に基筒630に対して相対回転不能に設けられる雌ねじ筒640と、を備える。
【0149】
先筒620は、軸方向に貫通する貫通孔20aが形成される筒状部材である。先筒620は、使用者が摘む摘部623と、摘部623と軸方向に連続して形成され基筒630内に嵌入される嵌入部624と、を有する。貫通孔20aの断面形状は、棒状化粧材Cの断面形状と相似しており、略楕円形状に形成されている。摘部623は、嵌入部624側から先端に向かって徐々に外径が小さくなるように軸方向にテーパ状に形成されている。
【0150】
嵌入部624の外周面には、基筒630に形成される後述する嵌合凹部632に嵌合する環状の嵌合凸部625と、Oリング2が装着されるOリング溝626と、が形成される。Oリング2は、先筒620と基筒630との間に圧縮された状態で設けられることで、先筒620と基筒630とを相対回転させる際に適度な抵抗を生じさせる。これにより、使用者の操作感を向上させることができる。
【0151】
先筒620の内周面には、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材610を軸方向に沿って案内する案内溝621が、軸方向に沿って延設されている。図12(c)に示すように、案内溝621は、周方向に間隔をあけて複数(ここでは6つ)設けられる直線状の溝である。案内溝621内には、芯チャック部材610の後述する爪片612が位置すると共に、後述する係合条部616が係合する。隣り合う案内溝621の間には、壁条部622が各々形成される。
【0152】
案内溝621は、先筒620の後端面622aまで形成されている。案内溝621は、貫通孔20aの先端開口20bには至ることなく、その手前まで形成されている。
【0153】
基筒630は、芯チャック部材610を収容すると共に先筒620の嵌入部624が嵌合され、雌ねじ筒640が挿入される収容孔633を有する有底筒状に形成された部材である。収容孔633には、先筒620の嵌合凸部625が嵌合される環状の嵌合凹部632が設けられる。
【0154】
図13(a)及び(b)に示すように、芯チャック部材610は、棒状化粧材Cを保持する化粧材保持部611と、化粧材保持部611が立設するベース部615と、を備える。
【0155】
化粧材保持部611は、棒状化粧材Cの軸方向に沿って延び棒状化粧材Cの外周面を保持する複数(ここでは6つ)の爪片612と、棒状化粧材Cの底部を保持する底面部としてのベース部端面615a(図13(c)参照)と、ベース部端面615aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片612を周方向に連結する帯部としての連結帯613と、を備える。
【0156】
図13(c)に示すように、爪片612は、ベース部端面615aから軸方向に立設される。爪片612の外周面は、ベース部615における係合条部616の外周面よりも小径に形成される。爪片612の内周面は、棒状化粧材Cの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片612は、棒状化粧材Cを外周から挟むように6つ設けられる。爪片612は、ベース部端面615aからの長さが小さい複数の短爪片612aと、ベース部端面615aからの長さが短爪片612aよりも大きい複数の長爪片612bと、を有する。
【0157】
短爪片612aは、棒状化粧材Cの長軸の両端に各々設けられる。短爪片612aは、棒状化粧材Cを長軸の両端から各々保持する。
【0158】
長爪片612bは、短爪片612aの間に2つずつ設けられる。長爪片612bは、中心軸を挟んだ2つずつが対向するように設けられる。長爪片612bは、短爪片612aよりも中心軸に近い位置に設けられる。長爪片612bは、短爪片612aよりも厚みが大きく形成される。
【0159】
なお、図12(a)及び(b)に示すように、芯チャック部材610が前進限に位置している状態では、短軸側の短爪片612aを長爪片612bよりも短く形成することで、先筒620の短軸側の先端方向の外径を小さくすることができる。これにより、先筒620の摘部623における短軸側のテーパを先端へ向かって小さくできる。先筒620の先端側の外径が小さい方が、目元に化粧を施す際に先筒620の先端部が顔に当たることを防止できるので、繰出容器601を使いやすくすることができる。
【0160】
図13(c)に示すように、各々の長爪片612bは、先端部に向けて棒状化粧材Cの外周面から離間するように傾斜するテーパ面612dを有する。
【0161】
テーパ面612dは、先端部に向かうほど対向する一対の長爪片612bの間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面612dが設けられることで、化粧材保持部611への棒状化粧材Cの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Cを挿入する際に棒状化粧材Cの後端部外周が長爪片612bによって削られることを防止できる。
【0162】
ベース部端面615aは、ベース部615における軸方向の先端部に設けられる。ベース部端面615aには、棒状化粧材Cの底面が当接する。
【0163】
図14(a)及び(b)に示すように、連結帯613は、周方向全体にわたって形成され、すべての爪片612を周方向に連結する。連結帯613は、一部の爪片612のみを周方向に連結するように形成されてもよい。即ち、連結帯613は、少なくとも隣り合う一対の爪片612を周方向に連結するものである。連結帯613は、隣り合う短爪片612aと長爪片612bとの間を周方向に連結する第1連結帯613aと、隣り合う一対の長爪片612bの間を周方向に連結する第2連結帯613bと、を有する。
【0164】
連結帯613は、ベース部端面615aから軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、ベース部端面615aと第1連結帯613aとの間には、第1空間部614aが形成され、ベース部端面615aと第2連結帯613bとの間には、第2空間部614bが形成される。第1空間部614a及び第2空間部614bが設けられることで、化粧材保持部611に挿入された棒状化粧材Cの外周面が第1空間部614a及び第2空間部614bに食い込むことで、化粧材保持部611への棒状化粧材Cの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Cが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Cの外周が第1連結帯613a及び第2連結帯613bの後端面に引っかかるため、棒状化粧材Cが抜けるのを防止することができる。
【0165】
連結帯613は、爪片612の先端部からベース部端面615aに向かって軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、爪片612における連結帯613よりも先端側には、爪片弾性部612eが形成される。爪片弾性部612eは、棒状化粧材Cを化粧材保持部611に挿入する際に外周に向けて拡がるので、棒状化粧材Cを化粧材保持部611にスムーズに案内することができる。
【0166】
このように、芯チャック部材610の化粧材保持部611は、棒状化粧材Cの底部を保持するベース部端面615aから離間した位置にて複数の爪片612を周方向に連結する連結帯613を有するので、複数の爪片612が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、連結帯613によって爪片612が棒状化粧材Cを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Cを安定して保持することができ、棒状化粧材Cが化粧材保持部611から抜けるのを防止することができる。
【0167】
連結帯613の内周面は、棒状化粧材Cの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯613の内周面と爪片612の内周面とは、棒状化粧材Cの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、連結帯613の内周面と爪片612の内周面とが全周にわたって棒状化粧材Cに密着するので、棒状化粧材Cを安定して保持することができる。
【0168】
連結帯613は、径方向の厚さが約0.10[mm]の薄膜によって形成される。連結帯613は、爪片612よりも径方向の厚みが小さい。これにより、連結帯613よりも爪片612の方が径方向外側に突出するので、爪片612が先筒620の案内溝621内に位置するようにできる。
【0169】
図13(a)及び(b)に示すように、ベース部615は、案内溝621に対して周方向に係合する係合条部616と、係合条部616から軸方向に連続して形成される雄ねじ部617と、を有する。
【0170】
係合条部616は、爪片612が立設されるベース部端面615aと雄ねじ部617との間の部分の外周に形成される。係合条部616は、軸方向に沿って直線状に形成される。係合条部616は、爪片612から軸方向に連続して形成される。係合条部616が先筒620の案内溝621に係合することで、先筒620と芯チャック部材610との周方向への相対回転が規制される。係合条部616は、短爪片612aから連続して形成される第1係合条部616aと、長爪片612bから連続して形成される第2係合条部616bと、を有する。隣り合う第2係合条部616bの間には、溝部端面619まで溝部が形成される。溝部端面619は、先筒620における壁条部622の後端面622aに当接した状態で、芯チャック部材610の前進限を規定する。
【0171】
雄ねじ部617は、係合条部616から軸方向に連続して係合条部616よりも小径に形成される部分の外周に突出するように複数設けられる。雄ねじ部617は、周方向の複数個所(ここでは2か所)に設けられる。雄ねじ部617は、雌ねじ筒640の雌ねじ部643に螺合する。
【0172】
図12(a)及び(b)に示すように、雌ねじ筒640は、芯チャック部材610の雄ねじ部617が螺合する雌ねじ部643が軸方向に貫通して形成された樹脂製の筒状部材である。雌ねじ筒640は、基筒630内に挿入された際に基筒630の段部635に当接する後端面644と、基筒630に先筒620が組付けられた際に先筒620の後端面622aに当接する前端面642と、を有する。
【0173】
雌ねじ筒640の外周面には、軸方向に延びる複数の縦リブ(図示省略)が周方向に等間隔で形成されている。縦リブは、基筒630の内周面に形成されたローレット(図示省略)と係合し、雌ねじ筒640が基筒630に対して回転することを防止する回転止めとして機能する。
【0174】
雌ねじ筒640の雌ねじ部643に芯チャック部材610の雄ねじ部617が螺合した状態で、先筒620と基筒630とを相対回転させると、芯チャック部材610は先筒620と一体に回転し、雌ねじ筒640は基筒630と一体に回転するので、芯チャック部材610と基筒630とが相対回転する。これにより、雌ねじ部643に対して芯チャック部材610の雄ねじ部617が回転するので、芯チャック部材610は雌ねじ筒640に対して軸方向に相対移動する。即ち、先筒620と基筒630との相対回転によって、芯チャック部材610により保持された棒状化粧材Cを、先筒620の貫通孔20aの先端開口20bから進退させる繰出機構が構成される。
【0175】
このように、繰出容器601では、雌ねじ筒640と芯チャック部材610とにより棒状化粧材Cを軸方向に繰り出す繰出機構が構成されており、先筒620と基筒630とを相対回転させると先筒620及び基筒630内で芯チャック部材610が軸方向に進退し、芯チャック部材610の進退に応じて棒状化粧材Cも進退する。
【0176】
具体的には、使用者が先筒620と基筒630とを順方向に相対回転させたときには、芯チャック部材610が先筒620の先端開口20bに向かって軸方向に移動して棒状化粧材Cを前進させる。これにより、先端開口20bから棒状化粧材Cが繰り出される。一方、使用者が先筒620と基筒630とを逆方向に相対回転させたときには、芯チャック部材610が逆方向に移動して棒状化粧材Cを後退させる。これにより、棒状化粧材Cが繰り戻される。芯チャック部材610の係合条部616は、雌ねじ筒640を挿通不能に形成されている。そのため、芯チャック部材610の後退に伴って係合条部616が雌ねじ筒640と当接し、芯チャック部材610の後退限が規定される。
【0177】
<第1変形例>
続いて、図15を参照して、本発明の第3実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材710について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0178】
図15は、芯チャック部材710を示す図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、棒状化粧材Cが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、図15(b)におけるXVD-XVD線に沿う断面図であり、(e)は、図12(c)に相当する断面図である。
【0179】
この第1変形例に係る芯チャック部材710は、連結帯613が周方向全体にわたって形成されず、周方向の一部のみに形成される点で、上述した第3実施形態とは相違する。
【0180】
図15(a)から(e)に示すように、芯チャック部材710は、棒状化粧材Cを保持する化粧材保持部711と、化粧材保持部711が立設するベース部615と、を備える。
【0181】
化粧材保持部711は、棒状化粧材Cの軸方向に沿って延び棒状化粧材Cの外周面を保持する複数(ここでは6つ)の爪片612と、棒状化粧材Cの底部を保持する底面部としてのベース部端面615aと、ベース部端面615aから軸方向に離れた位置にて3つの爪片612どうしを周方向に連結する帯部としての連結帯613と、を備える。
【0182】
連結帯613は、短爪片612aと隣り合う一対の長爪片612bとを連結し、対向する一対の保持片711a,711bを形成する。保持片711a,711bどうしは、連結帯613によって連結されない。即ち、連結帯613は、第1連結帯613aのみを有し、第2連結帯613bは有さない。
【0183】
第1連結帯613aは、ベース部端面615aから軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、保持片711a,711bは、ベース部端面615aと第1連結帯613aとの間に、第1空間部614aが形成される。第1空間部614aが設けられることで、化粧材保持部711に挿入された棒状化粧材Cの外周面が第1空間部614aに食い込むことで、化粧材保持部711への棒状化粧材Cの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Cが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Cの外周が第1連結帯613aの後端面に引っかかるため、棒状化粧材Cが抜けるのを防止することができる。
【0184】
第1連結帯613aは、短爪片612aの先端部からベース部端面615aに向かって軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、短爪片612a及び長爪片612bにおける第1連結帯613aよりも先端側には、爪片弾性部612eが形成される。爪片弾性部612eは、棒状化粧材Cを化粧材保持部711に挿入する際に外周に向けて拡がるので、棒状化粧材Cを化粧材保持部711にスムーズに案内することができる。
【0185】
このように、芯チャック部材710の化粧材保持部711は、棒状化粧材Cの底部を保持するベース部端面615aから離間した位置にて短爪片612aと隣り合う一対の長爪片612bとを周方向に連結する第1連結帯613aを有するので、連結された爪片612が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、第1連結帯613aによって爪片612が棒状化粧材Cを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Cを安定して保持することができ、棒状化粧材Cが化粧材保持部711から抜けるのを防止することができる。
【0186】
なお、この第1変形例では、隣り合う一対の長爪片612bが位置する一対の案内溝621の間に形成される壁条部722どうしの間隔は、図12(c)に示す第3実施形態の壁条部622よりも小さい。これにより、第1変形例では、第1連結帯613aが設けられていない位置において、棒状化粧材Cの外周面と壁条部722との間のクリアランスを最小にできる。よって、芯チャック部材710の前進時及び後退時に、対向する壁条部722によって、棒状化粧材Cの短軸方向における外周面を軸方向に沿って常時支持することができる。したがって、棒状化粧材Cの傾斜による芯折れを防止し、棒状化粧材Cの進退を安定させることができる。そして、軟質で芯径が細く、芯長で長く折れやすい棒状化粧材Cが充填され、繰出ストロークが長くなっても、芯チャック部材710の後退限から前進限に至るまで、棒状化粧材Cの傾斜による芯折れを防止することができる。
【0187】
<第2変形例>
続いて、図16を参照して、本発明の第3実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材810について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0188】
図16は、芯チャック部材810を示す図であり、(a)は、側面図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、棒状化粧材Cが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、図16(b)におけるXVID-XVID線に沿う断面図であり、(e)は、図16(b)におけるXVIE-XVIE線に沿う断面図である。
【0189】
この第2変形例に係る芯チャック部材810は、第1連結帯613aと第2連結帯813bとが設けられる軸方向の位置が異なる点で、上述した第3実施形態とは相違する。
【0190】
図16(a)から(e)に示すように、芯チャック部材810は、棒状化粧材Cを保持する化粧材保持部811と、化粧材保持部811が立設するベース部615と、を備える。
【0191】
化粧材保持部811は、棒状化粧材Cの軸方向に沿って延び棒状化粧材Cの外周面を保持する複数(ここでは6つ)の爪片612と、棒状化粧材Cの底部を保持する底面部としてのベース部端面615aと、ベース部端面615aから軸方向に離れた位置にて一対の爪片612どうしを周方向に連結する帯部としての連結帯613と、を備える。
【0192】
連結帯613は、隣り合う短爪片612aと長爪片612bとの間を周方向に連結する第1連結帯613aと、隣り合う一対の長爪片612bの間を周方向に連結する第2連結帯813bと、を有する。
【0193】
第1連結帯613aは、ベース部端面615aから軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、ベース部端面615aと第1連結帯613aとの間には、第1空間部614aが形成される。第1空間部614aが設けられることで、化粧材保持部811に挿入された棒状化粧材Cの外周面が第1空間部614aに食い込むことで、化粧材保持部811への棒状化粧材Cの係合を強固にすることができる。
【0194】
第2連結帯813bは、第1連結帯613aよりもベース部端面615aから軸方向に離間した位置に設けられる。即ち、第2連結帯813bは、長爪片612bどうしを短爪片612aの先端部よりもベース部端面615aから軸方向に離れた位置にて周方向に連結する。これにより、ベース部端面615aと第2連結帯813bとの間には、第1空間部614aよりも大きな第2空間部814bが形成される。第2空間部814bが設けられることで、化粧材保持部811の内周に挿入された棒状化粧材Cの外周面が第2空間部814bに食い込むことで、化粧材保持部811への棒状化粧材Cの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Cが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Cの外周が第1連結帯613a及び第2連結帯813bの後端面に引っかかるため、棒状化粧材Cが抜けるのを防止することができる。
【0195】
以上の第3実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様の効果を奏する。
【0196】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0197】
1、201,601・・・棒状化粧材繰出容器
10,110、210,310,410,510,610,710,810・・・芯チャック部材(棒状化粧材保持部材)
11、111,211,311,411,511,611,711,811・・・化粧材保持部
12,212,512,612・・・爪片
13a,13b,213,513,613・・・連結帯(帯部)
13c・・・リブ(係合部)
13d・・・テーパ面
15a,215a,615a・・・ベース部端面(底面部)
20,220,620・・・先筒
20a・・・貫通孔
30,230,630・・・基筒
612a・・・短爪片(爪片)
612b・・・長爪片(爪片)
613a・・・第1連結帯(連結帯)
613b・・・第2連結帯(連結帯)
A,B,C・・・棒状化粧材
図1
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