(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083086
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】断熱パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 59/10 20060101AFI20240613BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20240613BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240613BHJP
F16L 59/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F16L59/10
B32B5/18
B32B15/08 E
F16L59/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197396
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】513162952
【氏名又は名称】株式会社ディベロ
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】林 泰司
(72)【発明者】
【氏名】宮地 秀典
(72)【発明者】
【氏名】黒田 誠
【テーマコード(参考)】
3H036
4F100
【Fターム(参考)】
3H036AB02
3H036AB18
3H036AC01
3H036AE11
4F100AB01A
4F100AB01E
4F100BA05
4F100BA06
4F100CB00B
4F100CB00D
4F100DB16C
4F100DJ01C
4F100GB07
4F100JB04C
4F100JJ02
4F100JJ07C
(57)【要約】
【課題】断熱芯材に欠けや凹み等が生じることを防止する断熱パネルを提供する。
【解決手段】断熱パネル1は、発泡樹脂からなる断熱芯材2と、断熱芯材2の表裏面に接着剤を介して接合される一対の金属板3とを備え、断熱芯材2が、その外周端縁に被膜成分の硬化物で形成される被膜層4を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂からなる断熱芯材と、
前記断熱芯材の表裏面に接着剤を介して接合される一対の金属板とを備え、
前記断熱芯材が、その外周端縁に被膜成分の硬化物で形成される被膜層を有することを
特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の断熱パネルにおいて、
前記被膜層が、耐候性を有する被膜で形成されることを
特徴とする断熱パネル。
【請求項3】
請求項1に記載の断熱パネルにおいて、
前記被膜層が、難燃性を有する被膜で形成されることを
特徴とする断熱パネル。
【請求項4】
請求項1に記載の断熱パネルにおいて、
前記被膜層が、撥水性を有する被膜で形成されることを
特徴とする断熱パネル。
【請求項5】
発泡樹脂からなる断熱芯材を準備する工程と、
前記断熱芯材の外周端縁に被膜成分を含む塗布液を塗布し、被膜層を形成する工程と、
前記被膜層が形成された前記断熱芯材の表裏面に、接着剤を介して一対の金属板を接合する工程とを備えることを
特徴とする断熱パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱芯材に欠けや凹み等が生じることを防止する断熱パネル及び断熱パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断熱性が要求される屋根材や壁材、あるいはサイディングとして、発泡樹脂からなる断熱芯材を一対の金属板でサンドイッチした構成を有する断熱パネルが知られている。
【0003】
例えば、従来の断熱パネルは、金属板を主材とする中空パネル体と、このパネル体の中空部に充満されたスチレン-無水マレイン酸共重合樹脂からなる発泡粒子とを備えて構成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
断熱パネルは、特許文献1に記載されているように金属板の間に樹脂を充填して作製することもできるが、あらかじめ所定形状を呈する断熱芯材を準備しておき、これに金属板を接合して作製することもできる。
【0006】
しかしながら、あらかじめ準備された断熱芯材は、パネル作製前においては、一時的な保管時や運搬時等に外部から力が加わることによって、角部が欠けたり、側面部に凹みが生じたりするといった課題を有していた。同様に、パネル作製時においても、運搬時や金属板の接合時に角部の欠けや側面部の凹みが生じ、また、パネル作製後においても、特に、金属板から露出した部位(例えば、側面部)に凹みが生じるといった課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解消するためになされたものであり、断熱芯材に欠けや凹み等が生じることを防止する断熱パネル及び断熱パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る断熱パネルは、発泡樹脂からなる断熱芯材と、断熱芯材の表裏面に接着剤を介して接合される一対の金属板とを備え、断熱芯材が、その外周端縁に被膜成分の硬化物で形成される被膜層を有する。
【0009】
このように本発明においては、断熱芯材の外周端縁に、被膜成分の硬化物で形成される被膜層を有することから、断熱芯材の外周端縁における機械的強度を大きくすることができることとなり、断熱パネルの作製前後等において、断熱パネルを構成する断熱芯材に対し外力が加わった際に、角部の欠けや側面などへの凹みが生じることを防止することができる。
【0010】
本発明に係る断熱パネルは、必要に応じて、被膜層が、耐候性を有する被膜で形成される。
【0011】
このように本発明においては、耐候性を有する被膜で被膜層が形成されることから、断熱芯材の機械的強度をより長期間維持することができる。
【0012】
本発明に係る断熱パネルは、必要に応じて、被膜層が、難燃性を有する被膜で形成される。
【0013】
このように本発明においては、難燃性を有する被膜で被膜層が形成されることから、防火性を高めることができる。
【0014】
本発明に係る断熱パネルは、必要に応じて、被膜層が、撥水性を有する被膜で形成される。
【0015】
このように本発明においては、撥水性を有する被膜で被膜層が形成されることから、断熱芯材を結露水などから保護することができる。
【0016】
本発明に係る断熱パネルは、発泡樹脂からなる断熱芯材を準備する工程と、断熱芯材の外周端縁に被膜成分を含む塗布液を塗布し、被膜層を形成する工程と、被膜層が形成された断熱芯材の表裏面に、接着剤を介して一対の金属板を接合する工程とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る断熱パネルの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1における断熱パネルの断面図であって、(a)はA-A線断面図であり、(b)はB-B線断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る断熱パネルの製造方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る断熱パネルについて、
図1及び
図2を用いて説明する。本実施形態の全体を通して、同じ要素には同じ符号を付している。
【0019】
本実施形態に係る断熱パネル1は、発泡樹脂からなる断熱芯材2と、断熱芯材の表裏面に接着剤を介して接合される一対の金属板3と、断熱芯材2の外周端縁に被膜成分の硬化物から形成される被膜層4とを備える。
断熱パネル1は、側面部分において連結機構(図示略)を設けることで、隣接配置される他の断熱パネルと連結して壁材等として使用することもできる。このような断熱パネル1の施工方法としては、特に制限されないが、例えば、芋目地貼り又は馬目地貼り等を用いることができる。
【0020】
断熱芯材2は、施工性の観点から、平面視長方形状に形成されている。
【0021】
断熱芯材2としては、フェノール樹脂等の合成樹脂に、発泡剤や、必要に応じて硬化剤や難燃剤などを含有させた発泡樹脂(発泡体)を使用することができる。このような発泡体としては、フェノールフォーム、スチレンフォーム、ウレタンフォーム等を用いることができる。その他、発泡体として、上記フォーム材を粉砕したものや、シリカ、アルミナ、パーライト等の粉粒体からなるもの、グラスファイバー、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー等の繊維体からなるものを用いることもできる。中でも、吸水性が低く、難燃性にも優れる点から、発泡体としてフェノールフォームを用いることが好ましい。
【0022】
発泡剤としては、例えば、炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素、ハロゲン化飽和炭化水素、ハロゲン化不飽和炭化水素等のハロゲン化炭化水素、窒素、アルゴン、炭酸ガス、空気等の低沸点ガス、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アゾジカルボン酸アミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン等の化学発泡剤、多孔質固体材料等を用いることができる。
【0023】
被膜層4は、断熱芯材2の少なくとも外周端縁に被膜成分を含む塗布液を塗布して形成される層であり、具体的には、断熱芯材2の角部と、断熱芯材2が金属板3に被覆されずに露出している側面に形成される。なお、被膜層4は、断熱芯材2の外周端縁にべたに形成されている必要はなく、被膜成分が塗布されていない部位が点在するムラのある状態で形成されていてもよい。
【0024】
被膜層4の厚さとしては、断熱芯材2の外周端縁に機械的強度を付与することができれば特に制限されるものではないが、例えば、被膜層4が形成されている部分においては1μm以上とすることができる。
【0025】
被膜成分としては、ガラスコーティング剤や硬化性樹脂が挙げられる。
【0026】
ガラスコーティング剤としては、有機金属化合物が挙げられる。有機金属化合物としては、例えば、スズ(Sn)、チタン(Ti)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)のいずれか1種以上を含む金属アルコキシドが挙げられるが、加水分解可能なものであればよく、特に限定されない。中でも、Siを含む化合物であることが好ましく、シランカップリング剤、シラン系アルコキシド、ポリオルガノシロキサン、ポリシラザンや、ケイ素原子に結合した有機基を有し、かつ、その有機基の1個以上が反応性官能基を有する有機基である有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。
【0027】
ガラスコーティング剤は、反応制御を容易にするため観点から、溶媒で希釈することが好ましい。溶媒としては、有機金属化合物を溶解することができ、かつ、水と均一に混合することができるものを用いることができ、そのような溶媒としては、脂肪族の低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0028】
また、隠蔽剤として、トリエタノールアミンのアルコール溶液を添加することもできる。
【0029】
このように、耐候性を有する被膜で被膜層4が形成されることから、断熱芯材2の機械的強度をより長期間維持することができる。
また、耐汚染性を付与することもできる。
【0030】
また、被膜層4は、硬化性樹脂と溶剤とを含んで構成される硬化性樹脂組成物を断熱芯材2の外周端縁に塗布して形成される。硬化性樹脂や溶剤は、断熱芯材2表面に影響を及ぼさない範囲で適宜選択される。
【0031】
硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂が挙げられる。硬化性樹脂が熱硬化性樹脂である場合、硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、硬化剤や硬化促進剤、その他公知の添加剤が含まれていてもよい。
【0032】
熱硬化性樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲において従来公知のものを用いることができ、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フラン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
硬化剤としては、従来公知のものの中から適宜選択して使用することができ、例えば、シアネートエステル化合物(シアネートエステル硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、活性エステル化合物、カルボジイミド化合物(カルボジイミド硬化剤)、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン化合物(ベンゾオキサジン硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、ホスフィン化合物、ジシアンジアミド、酸無水物等が挙げられる。
【0034】
また、熱硬化性樹脂として、難燃性、撥水性等を有するものを用いることもできる。
【0035】
難燃性を有する熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂等が挙げられる。このようなエポキシ樹脂として、具体的には、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0036】
その他、熱硬化性樹脂に難燃剤を添加して、難燃性を付与、向上させることもできる。
このような難燃剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ホスファゼン化合物、シリコーン化合物、モリブデン酸亜鉛担持タルク、モリブデン酸亜鉛担持酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン等が挙げられる。難燃剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
このように、難燃性の被膜で被膜層4が形成されることから、防火性を高めることができる。
【0038】
撥水性を有する熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリアミド樹脂、フッ素化アクリル樹脂、フッ素化ポリウレタン樹脂、フッ素化シロキサン樹脂等のフッ素原子を含有する樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、アクリルポリオールをイソシアネートで硬化させた樹脂、ポリエステルポリオールをメラミンで硬化させた樹脂、アクリル酸をメラミンで硬化させた樹脂等が挙げられる。
【0039】
また、熱可塑性樹脂であっても、架橋によって硬化し、硬化後に撥水性を有する樹脂であれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。
【0040】
その他、熱硬化性樹脂に撥水性添加剤を添加して、撥水性を付与、向上させることもできる。
このような撥水性添加剤としては、例えば、シリコーン系化合物、フッ素系化合物が挙げられる。撥水性添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
このように、撥水性の被膜で被膜層4が形成されることから、断熱芯材2を結露水などから保護することができる。
【0042】
硬化性樹脂としては、速乾性に優れた光硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂等)、電子線硬化性樹脂等を用いることもできる。
【0043】
光硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリルウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。光硬化性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、特に制限されず、従来公知のものの中から適宜選択して使用することができる。
【0044】
電子線硬化性樹脂としては、例えば、アクリルアミド、アクリルニトリル、アクリル酸、アクリル酸エステルなどのアクリロイル基をもつ化合物からなるラジカル重合系、エポキシ、環状エーテル、環状アセタール、ラクトン、ビニルモノマー、環状シロキサンとアリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩などとの組合せからなるカチオン重合系、チオール基を有する化合物(トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール)とポリエン化合物からなるポリエン・チオール系などが挙げられる。電子線硬化性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
溶剤は、硬化性樹脂組成物の固形分質量や粘度を調整するものであり、溶剤として、例えば、有機溶剤や液状有機ポリマー等が挙げられる。
【0046】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン等の環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類が挙げられる。有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、断熱芯材2への硬化性樹脂組成物の塗工時の作業性等を考慮すると、揮発性を有する有機溶剤であることが好ましく、例えば、このような揮発性を有する有機溶剤としてはメチルエチルケトン等が挙げられる。
【0047】
液状有機ポリマーは、硬化反応に直接寄与しないものであり、液状有機ポリマーとして、例えば、カルボキシル基含有ポリマー変性物、アクリルポリマー、特殊変性燐酸エステルのアミン塩、変性アクリル系ブロック共重合物等が挙げられる。
【0048】
金属板3は、平面視長方形状を呈し、断熱芯材2よりもわずかに大きく形成される。また、断面視コの字状を呈しており、断熱芯材2の表裏面及び対向配置された一組の側面の一部に接着剤を介して接合されている。
【0049】
このような金属板3としては、鋼板、合金板、非鉄金属板等を用いることができ、例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板、アルミ合金板などの合金板、アルミ板などの非鉄金属板が挙げられる。
また、金属板3としては、亜鉛メッキ・アルミ合金メッキ・その他のメッキが施されたメッキ鋼板や、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂などで被覆したものを用いることもできる。
【0050】
なお、断熱芯材2やこれに接合される金属板3の形状は、上記したものに制限されず、その要求性能や隣接配置される他の断熱パネルとの連結機構に応じて適宜変更可能である。
【0051】
次に、本実施形態に係る断熱パネル1の製造方法について、
図3を用いて説明する。
【0052】
まず、所定の形状、例えば、平面視長方形状に切り出された断熱芯材2を準備する。
【0053】
次に、準備した断熱芯材2の外周端縁に被膜成分を含む塗布液を塗布する。この被膜成分を含む塗布液の塗布方法としては、従来公知の手法を使用することができ、例えば、スプレーコート法、ダイコート法、浸漬塗布法等を用いることができる。被膜成分を含む塗布液の塗布前には、必要に応じて、断熱芯材2に対して密着性改善処理やクリーニング処理を施してもよい。
【0054】
次に、被膜成分を含む塗布液の塗布工程の一例として、熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物を断熱芯材2にスプレーコート法により塗布する場合について説明する。
【0055】
図3に示されるように、ミキシングヘッド5には、熱硬化性樹脂が含む溶液Cを貯留した貯留タンク6と硬化剤等を含む溶液Dを貯留した貯留タンク7とが接続されている。
ミキシングヘッド5は、断熱芯材2の連続する表面、側面、裏面に沿った略コの字状に形成され、内側の3側面には、それぞれ噴霧口が設けられている。
ミキシングヘッド5から断熱芯材2に硬化性樹脂組成物を塗布する際には、まず、ミキシングヘッド5を断熱芯材2の一端側(初期位置)に配置させる。続けて、貯留タンク6と貯留タンク7とから送液された溶液をミキシングヘッド5内にて混合し、この混合溶液を噴霧口から噴霧させながら、断熱芯材2の側面に沿ってミキシングヘッド5を平行移動させる。最後に、ミキシングヘッド5を断熱芯材2の他端側(終点位置)まで移動させて、混合溶液の噴霧を停止させる。
同様の操作を断熱芯材2の各側面について行い、硬化性樹脂組成物の塗布が完了する。
【0056】
なお、各側面への被膜成分を含む塗布液の塗布は、ミキシングヘッド5からの噴霧を一側面ごとに停止させることなく、連続的に行ってもよいし、二つのミキシングヘッド5で対向する側面に同時並行で行ってもよい。また、断熱芯材2の外周端縁への塗布は、同一箇所に複数回行ってもよい。
【0057】
塗布工程において、被膜成分を含む塗布液の固形分濃度や塗工速度は、必要とする被膜層4の厚さによって適宜調整される。
【0058】
塗布工程終了後、断熱芯材2に塗布された硬化性樹脂組成物を乾燥させる。この乾燥工程では、硬化性樹脂組成物内に含まれる溶剤を揮発させて、被膜層4を形成する成分のみとする。乾燥方法としては、例えば、風乾(自然乾燥)、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。
【0059】
乾燥後、硬化刺激として加熱処理や紫外線照射等を行い、硬化性樹脂組成物を硬化させて、被膜層4を形成する。
【0060】
最後に、内面に接着剤が塗布された一対の金属板3を断熱芯材2の表裏面に接合させることで、断熱芯材2が製造される。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る断熱パネル1は、断熱芯材2の外周端縁に、被膜成分の硬化物で形成される被膜層4を有することから、断熱芯材2の外周端縁における機械的強度を大きくすることができることとなり、断熱パネル1の作製前後等において、断熱パネル1を構成する断熱芯材2に対し外力が加わった際に、角部の欠けや側面などへの凹みが生じることを防止することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 断熱パネル
2 断熱芯材
3 金属板
4 被膜層
5 ミキシングヘッド
6、7 貯留タンク