(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083088
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】棒状化粧材繰出容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/20 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A45D40/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197398
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000252090
【氏名又は名称】鈴野化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大庭 淳
(57)【要約】
【課題】化粧材保持部材を先筒に挿入する際に帯部が損傷することを防止する。
【解決手段】繰出容器1は、棒状化粧材Aを保持する芯チャック部材10と、先筒20と基筒30との相対回転によって棒状化粧材Aを進退させる繰出機構と、を備え、化粧材保持部11は、棒状化粧材Aの外周面を保持する複数の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面15aと、周方向の一部に形成され少なくとも一対の爪片12を連結する連結帯13と、を有し、貫通孔20aは、棒状化粧材Aが摺動する第1壁状部22aと、連結帯13が摺動する第2壁状部22bと、を有し、芯チャック部材10を先筒20に挿入する際に、爪片12と貫通孔20aとの中心軸まわりの組付角度を、第2壁状部22bに連結帯13が位置するように規定する組付角度規定機構を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状化粧材繰出容器であって、
棒状化粧材の外周面を保持する化粧材保持部と前記化粧材保持部が立設するベース部とを有し、前記棒状化粧材を保持する棒状化粧材保持部材と、
前記棒状化粧材が進退可能である貫通孔を有する先筒と、
前記先筒に相対回転可能に組み付けられる基筒と、
前記先筒と前記基筒との相対回転によって、前記棒状化粧材保持部材により保持された前記棒状化粧材を、前記先筒の前記貫通孔の先端開口から進退させる繰出機構と、
を備え、
前記化粧材保持部は、
前記棒状化粧材の軸方向に沿って延び前記棒状化粧材の外周面を保持する複数の爪片と、
前記棒状化粧材の底部を保持する底面部と、
周方向の一部に形成されて少なくとも一対の前記爪片を周方向に連結する帯部と、
を有し、
前記貫通孔は、
前記棒状化粧材の外周面が軸方向に沿って摺動する第1壁状部と、
前記棒状化粧材保持部材の進退に伴い、前記帯部が軸方向に沿って摺動する第2壁状部と、
を有し、
前記棒状化粧材保持部材を前記先筒に挿入する際に、前記爪片と前記貫通孔との中心軸まわりの組付角度を、前記第2壁状部に前記帯部が位置するように規定する組付角度規定機構を有する、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記帯部の内周面と前記爪片の内周面とは、前記棒状化粧材の前記外周面に沿うように連続して形成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項3】
請求項2に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記帯部は、前記爪片よりも径方向の厚みが小さい、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項4】
請求項1に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記帯部は、周方向に複数設けられ、
前記第1壁状部は、周方向に複数設けられ、
前記第2壁状部は、周方向に複数設けられ、
複数の前記帯部の外径寸法は、複数の前記第1壁状部の内径寸法よりも大きく、かつ複数の前記第2壁状部の内径寸法よりも小さい、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項5】
請求項1に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記帯部は、前記底面部から離れた位置に設けられて前記底面部との間に空間部を形成する、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項6】
請求項1に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記帯部は、前記底面部から離れた先端部の内周面に、前記先端部に向けて前記棒状化粧材の前記外周面から離間するように傾斜するテーパ面を有する、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記貫通孔は、軸方向に沿って延設されて複数の前記爪片が位置し、前記棒状化粧材保持部材を軸方向に沿って案内する複数の案内溝を有し、
前記組付角度規定機構は、複数の前記爪片が周方向に不等間隔に配置され、複数の前記爪片の位置に対応するように複数の前記案内溝が周方向に不等間隔に配置されることによって構成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一つに記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記貫通孔は、軸方向に沿って延設されて複数の前記爪片が位置し、前記棒状化粧材保持部材を軸方向に沿って案内する複数の案内溝を有し、
前記組付角度規定機構は、複数の前記爪片のうち少なくとも一つの前記爪片の径方向の厚さが他の前記爪片の径方向の厚さよりも小さく形成され、前記爪片に対応するように複数の前記案内溝のうち少なくとも一つの径方向の深さが他の前記案内溝の径方向の深さよりも小さく形成されることによって構成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一つに記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記貫通孔は、軸方向に沿って延設されて複数の前記爪片が位置し、前記棒状化粧材保持部材を軸方向に沿って案内する複数の案内溝を有し、
前記組付角度規定機構は、複数の前記爪片のうち少なくとも一つの前記爪片の周方向の幅が他の前記爪片の周方向の幅よりも小さく形成され、前記爪片に対応するように複数の前記案内溝のうち少なくとも一つの周方向の幅が他の前記案内溝の周方向の幅よりも小さく形成されることによって構成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一つに記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記貫通孔は、軸方向に沿って延設されて複数の前記爪片が位置し、前記棒状化粧材保持部材を軸方向に沿って案内する複数の案内溝を有し、
前記組付角度規定機構は、複数の前記爪片のうち少なくとも一つの前記爪片の径方向の厚さが他の前記爪片の径方向の厚さよりも小さく形成され、前記爪片に対応するように複数の前記案内溝のうち少なくとも一つの径方向の深さが他の前記案内溝の径方向の深さよりも小さく形成され、かつ複数の前記爪片のうち少なくとも一つの前記爪片の周方向の幅が他の前記爪片の周方向の幅よりも小さく形成され、前記爪片に対応するように複数の前記案内溝のうち少なくとも一つの周方向の幅が他の前記案内溝の周方向の幅よりも小さく形成されることによって構成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一つに記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記棒状化粧材は、断面形状が長軸と短軸とを有するように形成され、
前記組付角度規定機構は、前記底面部が前記棒状化粧材の断面形状と相似する形状に形成されることによって構成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧材繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、棒状化粧材を保持する芯チャック(棒状化粧材保持部材)を備えた棒状化粧材繰出容器が記載されている。この容器では、芯チャックは、円筒状の芯チャック本体に複数のスリットを設けて、円周部を複数の保持片(爪片)に分割して形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の容器では、複数の保持片は、基端部のみが芯チャック本体の内底部に連結されている片持ち形状である。そのため、この容器では、棒状化粧材が挿入されたときに、複数の保持片の先端部が互いに離間するように拡がり、棒状化粧材を安定して保持できなくなり、棒状化粧材が保持片から抜けるおそれがある。
【0005】
本発明者は、複数の爪片の一部を連結する帯部を設けることで、爪片の先端部が互いに離間することを防止して、棒状化粧材を安定して保持する構造を提案している。この構造では、帯部は複数の爪片の一部を連結するので、帯部によって連結される部分と、帯部によって連結されない部分とで化粧材保持部の形状が異なる。これに対応して、棒状化粧材保持部材が進退する先筒の内周は、帯部が設けられる周方向の位置に対応して、帯部が挿入可能な形状に形成される。
【0006】
しかしながら、棒状化粧材保持部材を先筒に挿入して棒状化粧材繰出容器を組み立てる際に、帯部が挿入可能でない位置に帯部が挿入されると、帯部が損傷するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、化粧材保持部材を先筒に挿入する際に帯部が損傷することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、棒状化粧材繰出容器は、棒状化粧材の外周面を保持する化粧材保持部と前記化粧材保持部が立設するベース部とを有し、前記棒状化粧材を保持する棒状化粧材保持部材と、前記棒状化粧材が進退可能である貫通孔を有する先筒と、前記先筒に相対回転可能に組み付けられる基筒と、前記先筒と前記基筒との相対回転によって、前記棒状化粧材保持部材により保持された前記棒状化粧材を、前記先筒の前記貫通孔の先端開口から進退させる繰出機構と、を備え、前記化粧材保持部は、前記棒状化粧材の軸方向に沿って延び前記棒状化粧材の外周面を保持する複数の爪片と、前記棒状化粧材の底部を保持する底面部と、周方向の一部に形成されて少なくとも一対の前記爪片を周方向に連結する帯部と、を有し、前記貫通孔は、前記棒状化粧材の外周面が軸方向に沿って摺動する第1壁状部と、前記棒状化粧材保持部材の進退に伴い、前記帯部が軸方向に沿って摺動する第2壁状部と、を有し、前記棒状化粧材保持部材を前記先筒に挿入する際に、前記爪片と前記貫通孔との中心軸まわりの組付角度を、前記第2壁状部に前記帯部が位置するように規定する組付角度規定機構を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、組付角度規定機構が設けられるので、棒状化粧材保持部材を先筒に挿入する際に、爪片と貫通孔との中心軸まわりの組付角度が、第2壁状部に帯部が位置するように規定される。したがって、帯部が挿入可能でない位置に帯部が挿入されることが防止されるので、化粧材保持部材を先筒に挿入する際に帯部の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧材保持部材を備える棒状化粧材繰出容器の断面図であり、(a)は、棒状化粧材保持部材が後退限に位置した状態を示し、(b)は、
図1(a)におけるIB-IB線に沿う断面図であり、(c)は、
図1(b)にて先筒のみを示す断面図であり、(d)は、
図1(b)にて棒状化粧材保持部材のみを示す断面図である。
【
図2】
図2は、棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材保持部材における化粧材保持部を拡大して示した断面図である。
【
図3】
図3は、化粧材保持部の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材が挿入された状態の
図3(a)におけるIIID-IIID線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材繰出容器における棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材が挿入された状態の
図4(a)におけるIVD-IVD線に沿う断面図であり、(e)は、
図1(b)と同じ位置における先筒の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、
図5(b)におけるVC-VC線に沿う断面図であり、(d)は、
図5(b)におけるVD-VD線に沿う断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、
図6(b)におけるVID-VID線に沿う断面図であり、(e)は、
図1(b)と同じ位置における先筒の断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧材繰出容器の断面図であり、(a)は、棒状化粧材保持部材が後退限に位置した状態を示し、(b)は、
図7(a)におけるVIIB-VIIB線に沿う断面図であり、(c)は、
図7(b)にて先筒のみを示す断面図であり、(d)は、
図7(b)にて棒状化粧材保持部材のみを示す断面図である。
【
図8】
図8は、棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材保持部材における化粧材保持部を拡大して示した断面図である。
【
図9】
図9は、化粧材保持部の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入された状態の
図9(a)におけるIXC-IXC線に沿う断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧材繰出容器の断面図であり、(a)は、棒状化粧材保持部材が後退限に位置した状態を示す正面の断面図であり、(b)は、棒状化粧材保持部材が前進限に位置した状態を示す側面の断面図であり、(c)は、
図10(b)におけるXC-XC線に沿う断面図であり、(d)は、
図10(c)にて先筒のみを示す断面図であり、(e)は、
図10(c)にて棒状化粧材保持部材のみを示す断面図である。
【
図11】
図11は、棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材保持部材における化粧材保持部を拡大して示した断面図である。
【
図12】
図12は、化粧材保持部の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材が挿入された状態の
図12(b)におけるXIID-XIID線に沿う断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態の変形例を示す断面図であり、(a)は、第1変形例を示し、(b)は、第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
まず、
図1から
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧材繰出容器(以下、単に「繰出容器」と称する。)1について説明する。
【0013】
図1は、繰出容器1の断面図であり、(a)は、芯チャック部材10が後退限に位置した状態を示し、(b)は、
図1(a)におけるIB-IB線に沿う断面図であり、(c)は、
図1(b)にて先筒20のみを示す断面図であり、(d)は、
図1(b)にて芯チャック部材10のみを示す断面図である。
図2は、芯チャック部材10を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、芯チャック部材10における化粧材保持部11を拡大して示した断面図である。
図3は、化粧材保持部11の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材Aが挿入された状態の
図3(a)におけるIIID-IIID線に沿う断面図である。
【0014】
図1(a)に示すように、繰出容器1は、断面形状が略円形状の棒状化粧材Aを繰り出し可能な容器である。棒状化粧材Aは、棒状に成形される成形芯であり、例えばアイブロウ、アイライナー及びリップライナー等として用いられるものである。棒状化粧材Aの外径寸法は、後述する化粧材保持部11(
図3(a)及び
図3(b)参照)の内径寸法よりも僅かに大きく形成される。
【0015】
繰出容器1は、棒状化粧材Aが進退可能である貫通孔20aを有する先筒20と、先筒20に相対回転可能に組み付けられる基筒30と、棒状化粧材Aを保持する棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材10と、基筒30内に基筒30に対して相対回転不能に設けられる雌ねじ筒40と、を備える。以下では、先筒20における貫通孔20aの中心軸に沿う方向を「軸方向」と称し、貫通孔20aの中心軸周りの方向を「周方向」と称し、貫通孔20aの中心軸を中心とする放射方向を「径方向」と称する。また、繰出容器1から棒状化粧材Aが繰り出される動きを「前進」と称し、繰出容器1内に棒状化粧材Aが繰り戻される動きを「後退」と称する。
【0016】
先筒20は、軸方向に貫通する貫通孔20aが形成される筒状部材である。先筒20は、使用者が摘む摘部23と、摘部23と軸方向に連続して形成され基筒30内に嵌入される嵌入部24と、を有する。貫通孔20aの断面形状は、棒状化粧材Aの断面形状と相似しており、略円形状に形成されている。摘部23は、嵌入部24側から先端に向かって徐々に外径が小さくなるように軸方向にテーパ状に形成されている。
【0017】
嵌入部24の外周面には、基筒30に形成される後述する嵌合凹部32に嵌合する環状の嵌合凸部25と、Oリング2が装着されるOリング溝26と、が形成される。Oリング2は、先筒20と基筒30との間に圧縮された状態で設けられることで、先筒20と基筒30とを相対回転させる際に適度な抵抗を生じさせる。これにより、使用者の操作感を向上させることができる。
【0018】
貫通孔20aは、軸方向に沿って延設され、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材10を軸方向に沿って案内する案内溝21と、棒状化粧材Aの外周面が軸方向に沿って摺動する第1壁状部22aと、芯チャック部材10の進退に伴い、後述する連結帯13が軸方向に沿って摺動する第2壁状部22bと、を有する。
【0019】
図1(b)に示すように、案内溝21は、複数(ここでは4つ)の溝によって略H字状に構成される。複数の案内溝21は、複数の爪片12の位置に対応するように、周方向に不等間隔に配置される。
【0020】
案内溝21の内周面は、中心軸を中心とする円弧の一部を構成するように曲面状に形成される。案内溝21内には、芯チャック部材10の後述する爪片12が位置すると共に、後述する係合条部16が係合する。
【0021】
図1(a)に示すように、案内溝21は、先筒20の後端面20cまで形成されている。案内溝21は、貫通孔20aの先端開口20bには至ることなく、その手前まで形成されている。
【0022】
案内溝21は、隣り合って平行に設けられる一対の第1案内溝21aと、同じく隣り合って平行に設けられる一対の第2案内溝21bと、を有する。第1案内溝21aと第2案内溝21bとは、中心軸を挟んで対向するように設けられる。
【0023】
図1(b)に示すように、第1壁状部22aは、周方向に複数設けられる。第1壁状部22aは、周方向に隣り合う第1案内溝21aと第2案内溝21bとの間に設けられる。第1壁状部22aは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第1壁状部22aは、棒状化粧材Aを径方向に挟むように設けられる。第1壁状部22aは、棒状化粧材Aの外周面を支持できればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0024】
第2壁状部22bは、周方向に複数設けられる。第2壁状部22bは、周方向に隣り合う一対の第1案内溝21aの間と周方向に隣り合う一対の第2案内溝21bの間とに各々設けられる。第2壁状部22bは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第2壁状部22bは、連結帯13の外周面に面する。第2壁状部22bは、連結帯13の外周面に面していればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0025】
図1(c)に示すように、対向する一対の第1壁状部22aの間の内径寸法α-αは、対向する一対の第2壁状部22bの間の内径寸法β-βよりも小さい(α-α<β-β)。
【0026】
図1(a)に示すように、基筒30は、芯チャック部材10を収容すると共に先筒20の嵌入部24が嵌合され、雌ねじ筒40が挿入される収容孔33を有する有底筒状に形成された部材である。収容孔33には、先筒20の嵌合凸部25が嵌合される環状の嵌合凹部32が設けられる。
【0027】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、芯チャック部材10は、棒状化粧材Aを保持する化粧材保持部11と、化粧材保持部11が立設するベース部15と、を備える。
【0028】
化粧材保持部11には、軟質かつ細径であり断面形状が真円形状の棒状化粧材Aが装填される。ここでは、棒状化粧材Aの外径は、約φ1.5~3.0[mm]である。
【0029】
化粧材保持部11は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは4つ)の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15a(
図2(c)参照)と、周方向の一部に形成されて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する帯部としての連結帯13と、を備える。
【0030】
図2(c)に示すように、爪片12は、ベース部端面15aから軸方向に立設される。爪片12の外周面は、ベース部15における係合条部16の外周面よりも小径に形成される。爪片12の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片12は、棒状化粧材Aを挟むように複数(ここでは4つ)設けられる。複数の爪片12は、周方向に不等間隔に配置される。
【0031】
図3(a)から
図3(d)に示すように、爪片12は、隣り合って平行に設けられる一対の第1爪片12aと、同じく隣り合って平行に設けられる一対の第2爪片12bと、を有する。第1爪片12aと第2爪片12bとは、径方向の厚さ及び周方向の幅が同じである。第1爪片12aと第2爪片12bとは、中心軸を挟んで対向するように設けられる。一対の第1爪片12aは、連結帯13と共に保持片11aを構成する。一対の第2爪片12bは、連結帯13と共に保持片11bを構成する。
【0032】
爪片12は、径方向の厚さが約0.60[mm]に形成される。各々の爪片12は、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面12dを有する。
【0033】
テーパ面12dは、爪片12の先端部から軸方向に離間した位置に設けられる。テーパ面12dは、先端部に向かうほど中心軸を挟んで対向する爪片12の間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面12dが設けられることで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が爪片12によって削られることを防止できる。
【0034】
なお、
図3(b)に示すように、爪片12におけるテーパ面12dよりも先端部側の部分は、棒状化粧材Aの外径よりも大径に形成される。そのため、この部分は、棒状化粧材Aとは当接しない。
【0035】
ベース部端面15aは、ベース部15における軸方向の先端部に設けられる。ベース部端面15aには、棒状化粧材Aの底面が当接する。
【0036】
連結帯13は、平行に設けられる隣り合う一対の爪片12どうしを周方向に連結するように設けられる。具体的には、一方の連結帯13は、一対の第1爪片12aどうしを周方向に連結し、他方の連結帯13は、一対の第2爪片12bどうしを周方向に連結する。即ち、連結帯13は、保持片11a若しくは保持片11bを構成する一対の爪片12どうしを連結し、保持片11aと保持片11bとの間は連結しない。保持片11a,11bは、周方向に近接した位置で隣り合う一対の爪片12と連結帯13とによって形成される。
【0037】
連結帯13は、ベース部端面15aから軸方向に爪片12よりも短く延設される。連結帯13は、周方向に複数設けられる。連結帯13は、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。連結帯13は、3つの爪片12が平行に設けられる場合には、3つの爪片12を周方向に連結するように形成されてもよい。即ち、連結帯13は、少なくとも一対の爪片12を周方向に連結するものである。
【0038】
このように、芯チャック部材10の化粧材保持部11は、周方向の一部に形成されて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する連結帯13を有するので、複数の爪片12が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、棒状化粧材Aを安定して保持することができ、棒状化粧材Aが化粧材保持部11から抜けるのを防止することができる。
【0039】
また、複数の爪片12は、周方向に不等間隔に配置され、複数の案内溝21は、複数の爪片12の位置に対応するように、周方向に不等間隔に配置される。これにより、芯チャック部材10を先筒20に挿入する際に、爪片12と貫通孔20aとの中心軸まわりの組付角度が、第2壁状部22bに連結帯13が位置するように規定される。即ち、周方向に不等間隔に配置される複数の爪片12と、複数の爪片12の位置に対応するように周方向に不等間隔に配置される複数の案内溝21と、は、芯チャック部材10を先筒20に挿入する際に、爪片12と貫通孔20aとの中心軸まわりの組付角度を、第2壁状部22bに連結帯13が位置するように規定する組付角度規定機構を構成する。したがって、連結帯13が挿入可能でない位置に連結帯13が挿入されることが防止されるので、芯チャック部材10を先筒20に挿入する際に連結帯13の損傷を防止することができる。
【0040】
図1(b)から
図1(d)に示すように、複数の連結帯13の外径寸法θ-θは、複数の第1壁状部22aの内径寸法α-αよりも大きく、かつ複数の第2壁状部22bの内径寸法β-βよりも小さい(α-α<θ-θ<β-β)。
【0041】
即ち、連結帯13が設けられていない位置が挿入される第1壁状部22aの内周面(内径寸法α-α)と棒状化粧材Aの外周面との間のクリアランスは、連結帯13が挿入される第2壁状部22bの内周面(内径寸法β-β)と棒状化粧材Aの外周面との間のクリアランスよりも小さくなるように設定されている。また、対向する第2壁状部22bの内径寸法β-βは、対向する連結帯13の外径寸法θ-θよりも大きくなるように設定されている。
【0042】
ここで、上述したように、周方向に不等間隔に配置される複数の爪片12と、複数の爪片12の位置に対応するように周方向に不等間隔に配置される複数の案内溝21と、が組付角度規定機構を構成するので、芯チャック部材10を貫通孔20aに挿入する際には、芯チャック部材10の連結帯13が設けられていない位置は第1壁状部22aに、連結帯13が設けられている位置は第2壁状部22bに誘導される。
【0043】
よって、連結帯13が設けられていない位置が必ず第1壁状部22aに誘導されるので、第1壁状部22aの内周面と棒状化粧材Aの外周面との間のクリアランスを最小にできる。よって、芯チャック部材10の前進時及び後退時に棒状化粧材Aが傾いても、第1壁状部22aの内周面が棒状化粧材Aの外周面を軸方向に沿って常時支持できる。よって、棒状化粧材Aの傾斜に起因する芯折れを防止し、棒状化粧材Aの進退を安定させることができる。また、芯径が小さく芯長の大きな棒状化粧材Aが充填され、繰出ストロークが長くなっても、芯チャック部材10の後退限から前進限に至るまで、棒状化粧材Aの傾斜に起因する芯折れを防止することができる。
【0044】
また、連結帯13が設けられている位置が必ず第2壁状部22bに誘導されるので、連結帯13の摺動を安定させることができる。仮に、連結帯13が第1壁状部22aに挿入されると、対向する第1壁状部22aの内径寸法α-αは、対向する連結帯13の外径寸法θ-θよりも小さいので、芯チャック部材10の前進時及び後退時に、摺動しなくなったり、連結帯13が破損したりするおそれがある。これに対して、対向する第2壁状部22bの内径寸法β-βは、対向する連結帯13の外径寸法θ-θよりも大きいので、連結帯13が第2壁状部22bに必ず誘導されることにより、芯チャック部材10の前進時及び後退時に、安定して摺動させることができる。
【0045】
図3(c)及び
図3(d)に示すように、連結帯13の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯13の内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。
【0046】
連結帯13は、径方向の厚さが約0.20~0.25[mm]の薄膜によって形成される。即ち、連結帯13は、爪片12よりも径方向の厚みが小さい。連結帯13を薄膜によって形成することで、厚みのある連結帯を用いる場合よりも、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くすることができ、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0047】
図2(c)に示すように、連結帯13は、ベース部端面15aから離れた先端部の内周面に、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面13dを有する。
【0048】
テーパ面13dは、先端部に向かうほど一対の連結帯13の間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面13dが設けられることで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が連結帯13によって削られることを防止できる。
【0049】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、ベース部15は、案内溝21に対して周方向に係合する係合条部16と、係合条部16から軸方向に連続して形成される雄ねじ部17と、を有する。
【0050】
係合条部16は、爪片12が立設されるベース部端面15aと雄ねじ部17との間の部分の外周に形成される。係合条部16は、軸方向に沿って直線状に形成される。係合条部16が先筒20の案内溝21に係合することで、先筒20と芯チャック部材10との周方向への相対回転が規制される。隣り合う係合条部16の間には、溝部端面19まで溝部が形成される。溝部端面19は、先筒20における第2壁状部22bの後端面20cに当接した状態で、芯チャック部材10の前進限を規定する。
【0051】
雄ねじ部17は、係合条部16から軸方向に連続して係合条部16よりも小径に形成される部分の外周に突出するように複数設けられる。雄ねじ部17は、周方向の複数個所(ここでは2か所)に設けられると共に、軸方向の複数個所に設けられる。雄ねじ部17は、雌ねじ筒40の雌ねじ部43に螺合する。
【0052】
図1(a)に示すように、雌ねじ筒40は、芯チャック部材10の雄ねじ部17が係合する雌ねじ部43が軸方向に貫通して形成された樹脂製の筒状部材である。雌ねじ筒40は、基筒30内に挿入された際に基筒30の段部35に当接する後端面44と、基筒30に先筒20が組付けられた際に先筒20の後端面20cに当接する前端面42と、を有する。
【0053】
雌ねじ筒40の外周面には、軸方向に延びる複数の縦リブ(図示省略)が周方向に等間隔で形成されている。縦リブは、基筒30の内周面に形成されたローレット(図示省略)と係合し、雌ねじ筒40が基筒30に対して回転することを防止する回転止めとして機能する。
【0054】
雌ねじ筒40の雌ねじ部43に芯チャック部材10の雄ねじ部17が螺合した状態で、先筒20と基筒30とを相対回転させると、芯チャック部材10は先筒20と一体に回転し、雌ねじ筒40は基筒30と一体に回転するので、芯チャック部材10と基筒30とが相対回転する。これにより、雌ねじ部43に対して芯チャック部材10の雄ねじ部17が回転するので、芯チャック部材10は雌ねじ筒40に対して軸方向に相対移動する。即ち、先筒20と基筒30との相対回転によって、芯チャック部材10により保持された棒状化粧材Aを、先筒20の貫通孔20aの先端開口20bから進退させる繰出機構が構成される。
【0055】
このように、繰出容器1では、雌ねじ筒40と芯チャック部材10とにより棒状化粧材Aを軸方向に繰り出す繰出機構が構成されており、先筒20と基筒30とを相対回転させると先筒20及び基筒30内で芯チャック部材10が軸方向に進退し、芯チャック部材10の進退に応じて棒状化粧材Aも進退する。
【0056】
具体的には、使用者が先筒20と基筒30とを順方向に相対回転させたときには、芯チャック部材10が先筒20の先端開口20bに向かって軸方向に移動して棒状化粧材Aを前進させる。これにより、先端開口20bから棒状化粧材Aが繰り出される。一方、使用者が先筒20と基筒30とを逆方向に相対回転させたときには、芯チャック部材10が逆方向に移動して棒状化粧材Aを後退させる。これにより、棒状化粧材Aが繰り戻される。
【0057】
前端面42は、係合条部16の後端面と当接した状態で、芯チャック部材10の後退限を規定する。
【0058】
<第1変形例>
続いて、
図4を参照して、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材110及び先筒120について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0059】
図4は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る芯チャック部材110を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材Aが挿入された状態の
図4(a)におけるIVD-IVD線に沿う断面図であり、(e)は、
図1(b)と同じ位置における先筒120の断面図である。
【0060】
この第1変形例に係る芯チャック部材110は、連結帯113の軸方向及び周方向の位置が、上述した第1実施形態とは相違する。
【0061】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、芯チャック部材110は、棒状化粧材Aを保持する化粧材保持部111と、化粧材保持部111が立設するベース部15と、を備える。
【0062】
化粧材保持部111は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは4つ)の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15aと、周方向の一部に形成されて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する帯部としての連結帯113と、を備える。
【0063】
爪片12は、ベース部端面15aから軸方向に立設される。爪片12の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。
図4(c)に示すように、爪片12は、棒状化粧材Aを挟むように複数(ここでは4つ)設けられる。複数の爪片12は、周方向に不等間隔に配置される。
【0064】
爪片12は、隣り合って平行に設けられる一対の第1爪片12aと、同じく隣り合って平行に設けられる一対の第2爪片12bと、を有する。この第1変形例では、隣り合って平行に設けられる一対の爪片12ではなく、隣り合って同一直線上に設けられる第1爪片12aと第2爪片12bとが、連結帯113と共に、中心軸を挟んで対向するように2組設けられる保持片111a,111bを構成する。
【0065】
連結帯113は、同一直線上に設けられて周方向に隣り合う第1爪片12aと第2爪片12bとを周方向に連結するように設けられる。即ち、連結帯113は、保持片111a若しくは保持片111bを構成する一対の爪片12どうしを連結し、保持片111aと保持片111bとの間は連結しない。保持片111a,111bは、周方向に離れた位置で隣り合う一対の爪片12と連結帯113とによって形成される。
【0066】
連結帯113は、周方向に複数設けられる。連結帯113は、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。
【0067】
先筒120は、軸方向に貫通する貫通孔120aが形成される筒状部材である。先筒120は、使用者が摘む摘部23と、摘部23と軸方向に連続して形成され基筒30内に嵌入される嵌入部24と、を有する。貫通孔120aの断面形状は、棒状化粧材Aの断面形状と相似しており、略円形状に形成されている。
【0068】
貫通孔120aは、軸方向に沿って延設され、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材110を軸方向に沿って案内する案内溝21と、棒状化粧材Aの外周面が軸方向に沿って摺動する第1壁状部122aと、芯チャック部材110の進退に伴い、後述する連結帯113が軸方向に沿って摺動する第2壁状部122bと、を有する。
【0069】
図4(e)に示すように、案内溝21は、複数(ここでは4つ)の溝によって略H字状に構成される。複数の案内溝21は、複数の爪片12の位置に対応するように、周方向に不等間隔に配置される。
【0070】
第1壁状部122aは、周方向に複数設けられる。第1壁状部122aは、周方向に隣り合う一対の第1案内溝21aの間と、同じく周方向に隣り合う一対の第2案内溝21bの間と、に設けられる。第1壁状部122aは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第1壁状部122aは、棒状化粧材Aを径方向に挟むように設けられる。第1壁状部122aは、棒状化粧材Aの外周面を支持できればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0071】
第2壁状部122bは、周方向に複数設けられる。第2壁状部122bは、周方向に隣り合う第1案内溝21aと第2案内溝21bとの間に設けられる。第2壁状部122bは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第2壁状部122bは、連結帯113の外周面に面する。第2壁状部122bは、連結帯113の外周面に面していればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0072】
複数の爪片12は、周方向に不等間隔に配置され、複数の案内溝21は、複数の爪片12の位置に対応するように、周方向に不等間隔に配置される。これにより、芯チャック部材110を先筒120に挿入する際に、爪片12と貫通孔120aとの中心軸まわりの組付角度が、第2壁状部122bに連結帯113が位置するように規定される。即ち、周方向に不等間隔に配置される複数の爪片12と、複数の爪片12の位置に対応するように周方向に不等間隔に配置される複数の案内溝21と、は、芯チャック部材110を先筒120に挿入する際に、爪片12と貫通孔120aとの中心軸まわりの組付角度を、第2壁状部122bに連結帯113が位置するように規定する組付角度規定機構を構成する。したがって、連結帯113が挿入可能でない位置に連結帯113が挿入されることが防止されるので、芯チャック部材110を先筒120に挿入する際に連結帯113の損傷を防止することができる。
【0073】
対向する一対の第1壁状部122aの間の内径寸法α-αは、対向する一対の第2壁状部122bの間の内径寸法β-βよりも小さい(α-α<β-β)。また、対向する一対の連結帯113の外径寸法θ-θは、対向する一対の第1壁状部122aの内径寸法α-αよりも大きく、かつ複数の第2壁状部122bの内径寸法β-βよりも小さい(α-α<θ-θ<β-β)。
【0074】
したがって、上記第1実施形態と同様に、棒状化粧材Aの傾斜に起因する芯折れを防止し、棒状化粧材Aの進退を安定させることができると共に、連結帯113が第2壁状部122bに必ず誘導されることにより、芯チャック部材110の前進時及び後退時に、安定して摺動させることができる。
【0075】
連結帯113は、周方向の一部に形成されて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する。連結帯113は、ベース部端面15aから軸方向先端側に離間した位置に設けられる。これにより、ベース部端面15aと連結帯113との間には、空間部114が形成される。空間部114が設けられることで、化粧材保持部111に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部114に食い込むことで、化粧材保持部111への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が連結帯113の後端面に引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0076】
連結帯113は、爪片12の先端部からベース部端面15aに向かって軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、爪片12における連結帯113よりも先端側には、爪片弾性部12eが形成される。爪片弾性部12eは、棒状化粧材Aを化粧材保持部111に挿入する際に外周に向けて拡がるので、棒状化粧材Aを化粧材保持部111にスムーズに案内することができる。
【0077】
連結帯113は、ベース部端面15aから離れた先端部の内周面に、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面113dを有する。
【0078】
テーパ面113dは、先端部に向かうほど一対の連結帯113の間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面113dが設けられることで、化粧材保持部111への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が連結帯113によって削られることを防止できる。
【0079】
このように、芯チャック部材110の化粧材保持部111は、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面15aから離間した位置にて複数の爪片12を周方向に連結する連結帯113を有するので、複数の爪片12が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、連結帯113によって爪片12が棒状化粧材Aを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0080】
連結帯113の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯113の内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。連結帯113は、第1実施形態の連結帯13と同様に、径方向の厚さが約0.20~0.25[mm]の薄膜によって形成される。即ち、連結帯113は、爪片12よりも径方向の厚みが小さい。連結帯113を薄膜によって形成することで、厚みのある連結帯を用いる場合よりも、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くすることができる。
【0081】
また、第1実施形態に係る芯チャック部材10から爪片12の位置を変更せずに、連結帯113が連結する周方向の位置を変更するだけで、連結帯113の内周面が棒状化粧材Aの外周面を保持する面積が大きくなる。したがって、棒状化粧材Aを保持する保持力が増強され、棒状化粧材Aの抜け防止効果を高めることができる。
【0082】
このように、複数の爪片12が周方向に不等間隔に配置され、爪片12が連結帯13,113によって連結される位置の周方向の長さと、連結されていない位置の周方向の長さが異なる寸法になるように設定することで、連結帯13,113の周方向の位置を変更するだけで、連結帯13,113が棒状化粧材Aの外周面を保持する面積を小さくしたり大きくしたりすることができる。したがって、簡単な設計変更のみで、棒状化粧材Aの芯径や材質に合わせて保持力を調整することができる。
【0083】
<第2変形例>
続いて、
図5を参照して、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材210について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0084】
図5は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る芯チャック部材210を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、
図5(b)におけるVC-VC線に沿う断面図であり、(d)は、
図5(b)におけるVD-VD線に沿う断面図である。
【0085】
この第2変形例に係る芯チャック部材210は、連結帯213が舌部213bを有する点で、上述した第1変形例とは相違する。
【0086】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、芯チャック部材210は、棒状化粧材Bを保持する化粧材保持部211と、化粧材保持部211が立設するベース部15と、を備える。
【0087】
化粧材保持部211には、棒状化粧材Aよりも硬質な棒状化粧材Bが装填される。棒状化粧材Bは、棒状化粧材Aと同一の外径及び長さに形成される。
【0088】
化粧材保持部211は、棒状化粧材Bの軸方向に沿って延び棒状化粧材Bの外周面を保持する複数(ここでは4つ)の爪片12と、棒状化粧材Bの底部を保持する底面部としてのベース部端面15aと、ベース部端面15aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する帯部としての連結帯213と、を備える。連結帯213は、連結帯213から軸方向に延設されて棒状化粧材Bの外周面に沿う曲面状の内周面を有する舌部213bを有する。
【0089】
舌部213bは、ベース部端面15aと連結帯213との間に形成される空間部214に設けられる。舌部213bは、連結帯213からベース部端面15aに向かって軸方向に延設され、ベース部端面15aの手前までの長さに形成される。即ち、舌部213bは、ベース部端面15aまでは到達せずに、舌部213bとベース部端面15aとの間には空間部214が確保される。舌部213bにおけるベース部端面15aに近い側の自由端部は、周方向に沿って略半円の円弧状(曲線状)に形成される。
【0090】
このように、芯チャック部材210の化粧材保持部211は、連結帯213から軸方向に延設されて棒状化粧材Bの外周面に沿う曲面状の内周面を有する舌部213bを有するので、棒状化粧材Bの外周面を軸方向に沿って長く保持することができる。したがって、舌部213bによって爪片12が棒状化粧材Bを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Bを安定して保持することができる。
【0091】
連結帯213は、舌部213bが設けられるのに伴い、第1変形例の連結帯113よりも先端部に近い軸方向の位置に設けられる。そのため、ベース部端面15aから連結帯213の先端までが棒状化粧材Bを保持する化粧材ホールド部212eを形成する。棒状化粧材Bは棒状化粧材Aよりも硬質であるので、爪片弾性部の弾性を利用しなくても、化粧材保持部211に比較的スムーズに棒状化粧材Bを挿入することができる。
【0092】
連結帯213の内周面は、棒状化粧材Bの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯213の内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Bの外周面に沿うように連続して形成される。連結帯213は、径方向の厚さが約0.20~0.25[mm]の薄膜によって形成される。一方、舌部213bは、径方向の厚さが約0.10[mm]の極薄膜によって形成される。即ち、舌部213bは、連結帯213よりも径方向の厚さが小さく形成される。よって、棒状化粧材Bの外周への舌部213bの密着度を高くできる。
【0093】
また、化粧材ホールド部212eが形成されることにより、爪片12の先端側の拡がりが抑制され、棒状化粧材Bを軸方向に長く保持できるため、棒状化粧材Bを保持する保持力が更に補強される。
【0094】
また、連結帯213に舌部213bを設ける設計変更を行うだけで、棒状化粧材Bの芯径や材質に合わせて保持力を調整できる。更に、芯チャック部材210を除く他の部品は、第1変形例のものを適用することができるので、製造コストを低減させることができる。
【0095】
<第3変形例>
続いて、
図6を参照して、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材710について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0096】
図6は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る芯チャック部材710を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、
図6(b)におけるVID-VID線に沿う断面図であり、(e)は、
図1(b)と同じ位置における先筒720の断面図である。
【0097】
この第3変形例に係る芯チャック部材710は、芯チャック部材710が単一の保持片11aと単一の第2爪片712bとによって棒状化粧材Aを保持する点で、上述した第1実施形態とは相違する。
【0098】
図6(a)及び(b)に示すように、芯チャック部材710は、棒状化粧材Aを保持する化粧材保持部711と、化粧材保持部711が立設するベース部715と、を備える。
【0099】
化粧材保持部711は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは3つ)の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15aと、周方向の一部に形成されて一対の爪片12を周方向に連結する帯部としての連結帯13と、を備える。
【0100】
爪片12は、ベース部端面15aから軸方向に立設される。爪片12の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。
図6(c)に示すように、爪片12は、棒状化粧材Aを挟むように複数(ここでは3つ)設けられる。複数の爪片12は、周方向に不等間隔に配置される。
【0101】
爪片12は、隣り合って平行に設けられる一対の第1爪片12aと、単一の第2爪片712bと、を有する。第1爪片12aと第2爪片712bとは、径方向の厚さ及び周方向の幅が同じである。一対の第1爪片12aと第2爪片712bとは、中心軸を挟んで対向するように設けられる。一対の第1爪片12aは、連結帯13と共に保持片11aを構成する。
【0102】
第2爪片712bは、第1爪片12aと同様に、径方向の厚さが約0.60[mm]に形成される。第2爪片12bもまた、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面12dを有する。
【0103】
連結帯13は、平行に設けられる隣り合う一対の第1爪片12aどうしを周方向に連結するように設けられる。即ち、連結帯13は、保持片11aを構成する一対の爪片12どうしを連結し、保持片11aと第2爪片712bとの間は連結しない。保持片11aは、周方向に近接した位置で隣り合う一対の爪片12と連結帯13とによって形成される。
【0104】
図6(e)に示すように、先筒720は、軸方向に貫通する貫通孔720aが形成される筒状部材である。先筒720は、使用者が摘む摘部23と、摘部23と軸方向に連続して形成され基筒30内に嵌入される嵌入部24と、を有する。貫通孔720aの断面形状は、棒状化粧材Aの断面形状と相似しており、略円形状に形成されている。
【0105】
貫通孔720aは、軸方向に沿って延設され、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材710を軸方向に沿って案内する案内溝21と、棒状化粧材Aの外周面が軸方向に沿って摺動する第1壁状部722aと、芯チャック部材710の進退に伴い、後述する連結帯13が軸方向に沿って摺動する第2壁状部22bと、を有する。
【0106】
案内溝21は、複数(ここでは3つ)の溝によって略Y字状に構成される。複数の案内溝21は、複数の爪片12の位置に対応するように、周方向に不等間隔に配置される。
【0107】
案内溝21は、隣り合って平行に設けられる一対の第1案内溝21aと、単一の第2案内溝721aと、を有する。一対の第1案内溝21aと第2案内溝721bとは、中心軸を挟んで対向するように設けられる。
【0108】
第1壁状部722aは、周方向に複数設けられる。第1壁状部722aは、周方向に隣り合う第1案内溝21aと第2案内溝721bとの間に設けられる。第1壁状部722aは、中心軸を含む面について対称になするように一対設けられる。一対の第1壁状部722aは、棒状化粧材Aを挟むように外周面を保持する。第1壁状部722aは、棒状化粧材Aの外周面を支持できればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0109】
第2壁状部22bは、周方向の一か所に設けられる。第2壁状部22bは、周方向に隣り合う一対の案内溝21の間に設けられる。第2壁状部22bは、連結帯13の外周面に面する。第2壁状部22bは、連結帯13の外周面に面していればよいので、周方向の一か所に限られるものではない。
【0110】
複数の爪片12は、周方向に不等間隔に配置され、複数の案内溝21は、複数の爪片12の位置に対応するように、周方向に不等間隔に配置される。これにより、芯チャック部材710を先筒720に挿入する際に、爪片12と貫通孔720aとの中心軸まわりの組付角度が、第2壁状部22bに連結帯13が位置するように規定される。即ち、周方向に不等間隔に配置される複数の爪片12と、複数の爪片12の位置に対応するように周方向に不等間隔に配置される複数の案内溝21と、は、芯チャック部材710を先筒720に挿入する際に、爪片12と貫通孔720aとの中心軸まわりの組付角度を、第2壁状部22bに連結帯13が位置するように規定する組付角度規定機構を構成する。したがって、連結帯13が挿入可能でない位置に連結帯13が挿入されることが防止されるので、芯チャック部材710を先筒720に挿入する際に連結帯13の損傷を防止することができる。
【0111】
また、一対の第1爪片12aの中心軸を挟んで対向するように単一の第2爪片712bが設けられているため、複数の爪片12の位置に対応するように周方向に不等間隔に配置される第1案内溝21aと第2案内溝721bの間に設けられる第1壁状部722aの周方向の幅が大きくなる。よって、第1壁状部722aの内周面と棒状化粧材Aの外周面との間のクリアランスを最小にできる幅も大きくなるため、棒状化粧材Aの傾斜に起因する芯折れを防止し、棒状化粧材Aの進退を安定させる効果が更に高まる。
【0112】
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0113】
繰出容器1は、棒状化粧材A,Bの外周面を保持する化粧材保持部11,111,211,711と化粧材保持部11,111,211,711が立設するベース部15とを有し、棒状化粧材A,Bを保持する芯チャック部材10,110,210,710と、棒状化粧材A,Bが進退可能である貫通孔20a,120a,720aを有する先筒20,120,720と、先筒20,120,720に相対回転可能に組み付けられる基筒30と、先筒20,120,720と基筒30との相対回転によって、芯チャック部材10,110,210,710により保持された棒状化粧材A,Bを、先筒20,120,720の貫通孔20a,120a,720aの先端開口20bから進退させる繰出機構と、を備え、化粧材保持部11,111,211,711は、棒状化粧材A,Bの軸方向に沿って延び棒状化粧材A,Bの外周面を保持する複数の爪片12と、棒状化粧材A,Bの底部を保持するベース部端面15aと、周方向の一部に形成されて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する連結帯13,113,213と、を有し、貫通孔20a,120a,720aは、棒状化粧材A,Bの外周面が軸方向に沿って摺動する第1壁状部22a,122a,722aと、芯チャック部材10,110,210,710の進退に伴い、連結帯13,113,213が軸方向に沿って摺動する第2壁状部22b,122bと、を有し、芯チャック部材10,110,210,710を先筒20,120,720に挿入する際に、爪片12と貫通孔20a,120a,720aとの中心軸まわりの組付角度を、第2壁状部22b,122bに連結帯13,113,213が位置するように規定する組付角度規定機構(周方向に不等間隔に配置される複数の爪片12と、複数の爪片12の位置に対応するように周方向に不等間隔に配置される複数の案内溝21)を有する。
【0114】
上記態様によれば、組付角度規定機構が設けられるので、芯チャック部材10,110,210,710を先筒20,120,720に挿入する際に、爪片12と貫通孔20a,120a,720aとの中心軸まわりの組付角度が、第2壁状部22b,122bに連結帯13,113,213が位置するように規定される。したがって、連結帯13,113,213が挿入可能でない位置に連結帯13,113,213が挿入されることが防止されるので、芯チャック部材10,110,210,710を先筒20,120,720に挿入する際に連結帯13,113,213の損傷を防止することができる。
【0115】
また、芯チャック部材10,110,210,710の化粧材保持部11,111,211,711は、周方向の一部に形成されて少なくとも一対の爪片12を周方向に連結する連結帯13,113,213を有するので、複数の爪片12が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、棒状化粧材A,Bを安定して保持することができ、棒状化粧材A,Bが化粧材保持部11,111,211,711から抜けるのを防止することができる。
【0116】
また、連結帯13,113,213の内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材A,Bの外周面に沿うように連続して形成される。
【0117】
また、連結帯13,113,213は、爪片12よりも径方向の厚みが小さい薄膜によって成形される。
【0118】
これらの構成によれば、連結帯13,113,213を薄膜によって形成することで、厚みのある連結帯を用いる場合よりも、棒状化粧材A,Bの外周への密着度を高くすることができ、棒状化粧材A,Bを安定して保持することができる。また、連結帯13,113,213よりも爪片12の方が径方向外側に突出するので、爪片12が先筒20,120,720の案内溝21内に位置するようにできる。
【0119】
また、連結帯13,113,213は、周方向に複数設けられ、第1壁状部22a,122a,722aは、周方向に複数設けられ、第2壁状部22b,122bは、周方向に複数設けられ、複数の連結帯13,113,213の外径寸法は、複数の第1壁状部22a,122a,722aの内径寸法よりも大きく、かつ複数の第2壁状部22b,122bの内径寸法よりも小さい。
【0120】
この構成によれば、第1壁状部22a,122a,722aの内周面と棒状化粧材A,Bの外周面との間のクリアランスを最小にできることにより、棒状化粧材A,Bの傾斜に起因する芯折れを防止し、棒状化粧材A,Bの進退を安定させることができると共に、連結帯13,113,213が第2壁状部22b,122bに必ず誘導されることにより、芯チャック部材10,110,210,710の前進時及び後退時に、安定して摺動させることができる。
【0121】
また、連結帯113,213は、ベース部端面15aから離れた位置に設けられてベース部端面15aとの間に空間部114,214を形成する。
【0122】
この構成によれば、ベース部端面15aと連結帯113,213との間には、空間部114,214が形成される。空間部114,214が設けられることで、化粧材保持部111,211に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部114,214に食い込むことで、化粧材保持部111,211への棒状化粧材A,Bの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材A,Bが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材A,Bの外周が連結帯113,213の後端面に引っかかるため、棒状化粧材A,Bが抜けるのを防止することができる。
【0123】
また、連結帯13,113は、ベース部端面15aから離れた先端部の内周面に、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面13d,113dを有する。
【0124】
この構成によれば、テーパ面13d,113dが設けられることで、化粧材保持部11,111への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が連結帯13,113によって削られることを防止できる。
【0125】
<第2実施形態>
次に、
図7から
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧材繰出容器(以下、単に「繰出容器」と称する。)301について説明する。なお、前述した実施形態又は各変形例と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0126】
図7は、本発明の第2実施形態に係る繰出容器301の断面図であり、(a)は、棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材310が後退限に位置した状態を示し、(b)は、
図7(a)におけるVIIB-VIIB線に沿う断面図であり、(c)は、
図7(b)にて先筒320のみを示す断面図であり、(d)は、
図7(b)にて芯チャック部材310のみを示す断面図である。
図8は、芯チャック部材310を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、芯チャック部材310における化粧材保持部311を拡大して示した断面図である。
図9は、化粧材保持部311の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入された状態の
図9(a)におけるIXC-IXC線に沿う断面図である。
【0127】
図7(a)に示すように、繰出容器301は、棒状化粧材Aが進退可能である貫通孔320aを有する先筒320と、先筒320に相対回転可能に組み付けられる基筒30と、棒状化粧材Aを保持する芯チャック部材310と、基筒30内に基筒30に対して相対回転不能に設けられる雌ねじ筒40と、を備える。
【0128】
第2実施形態では、芯チャック部材310の後端面が基筒30の底面に当接する位置を、芯チャック部材310の後退限と規定する。
【0129】
先筒320は、軸方向に貫通する貫通孔320aが形成される筒状部材である。先筒320は、使用者が摘む摘部23と、摘部23と軸方向に連続して形成され基筒30内に嵌入される嵌入部24と、を有する。貫通孔320aの断面形状は、棒状化粧材Aの断面形状と相似しており、略円形状に形成されている。
【0130】
貫通孔320aは、軸方向に沿って延設され、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材310を軸方向に沿って案内する案内溝321と、棒状化粧材Aの外周面が軸方向に沿って摺動する第1壁状部322aと、芯チャック部材310の進退に伴い、後述する連結帯313が軸方向に沿って摺動する第2壁状部322bと、を有する。
【0131】
図7(b)に示すように、案内溝321は、周方向に間隔をあけて複数(ここでは4つ)設けられる直線状の溝である。案内溝321内には、芯チャック部材310の後述する爪片312が位置すると共に、後述する係合条部16が係合する。隣り合う案内溝321の間には、第1壁状部322a若しくは第2壁状部322bが各々形成される。
【0132】
図7(a)に示すように、案内溝321は、先筒320の後端面20cまで形成されている。案内溝321は、貫通孔320aの先端開口20bには至ることなく、その手前まで形成されている。
【0133】
案内溝321は、周方向に90°間隔で隣り合って設けられる3つの第1案内溝321aと、一対の第1案内溝321aの間に周方向に90°間隔で設けられる単一の第2案内溝321bと、を有する。第1案内溝321aと第2案内溝321bとは、周方向に90°間隔で順に並ぶように設けられる。
【0134】
第2案内溝321bの径方向の深さは、第1案内溝321aの径方向の深さよりも小さく形成される。また、第2案内溝321bの周方向の幅は、第1案内溝321aの周方向の幅よりも小さく形成される。
【0135】
図7(c)に示すように、第1壁状部322aは、周方向に複数設けられる。第1壁状部322aは、周方向に隣り合う一対の第1案内溝321aの間と、周方向に隣り合う第1案内溝321aと第2案内溝321bとの間と、に設けられる。第1壁状部322aは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第1壁状部322aは、棒状化粧材Aを径方向に挟むように設けられる。第1壁状部322aは、棒状化粧材Aの外周面を支持できればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0136】
第2壁状部322bは、周方向に複数設けられる。第2壁状部322bは、周方向に隣り合う一対の第1案内溝321aの間と、周方向に隣り合う第1案内溝321aと第2案内溝321bとの間と、に設けられる。第2壁状部322bは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第2壁状部322bは、棒状化粧材Aを径方向に挟むように設けられる。第2壁状部322bは、棒状化粧材Aの外周面を支持できればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0137】
対向する一対の第1壁状部322aの間の内径寸法α2-α2は、対向する一対の第2壁状部322bの間の内径寸法β2-β2よりも小さい(α2-α2<β2-β2)。
【0138】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、芯チャック部材310は、棒状化粧材Aを保持する化粧材保持部311と、化粧材保持部311が立設するベース部15と、を備える。
【0139】
図9(b)に示すように、化粧材保持部311は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは4つ)の爪片312と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15a(
図9(a)参照)と、周方向の一部に形成されてベース部端面15aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片312を周方向に連結する帯部としての連結帯313と、を備える。
【0140】
図9(a)に示すように、爪片312は、ベース部端面15aから軸方向に立設される。爪片312の外周面は、ベース部15における係合条部16の外周面よりも小径に形成される。爪片312の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片312は、棒状化粧材Aの外周を十字状に挟むように4つ設けられる。
【0141】
爪片312は、周方向に90°間隔で隣り合って設けられる3つの第1爪片312aと、一対の第1爪片312aの間に周方向に90°間隔で設けられる単一の第2爪片312bと、を有する。周方向に隣り合う一対の第1爪片312aは、連結帯313と共に保持片311aを構成する。残りの1つの第1爪片312aと第2爪片312bとは、連結帯313と共に保持片311bを構成する。
【0142】
第2爪片312bの径方向の厚さは、第1爪片312aの径方向の厚さよりも小さく形成される。また、第2爪片312bの周方向の幅は、第1爪片312aの周方向の幅よりも小さく形成される。
【0143】
各々の爪片312は、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面312dと、内周に向かって突出して棒状化粧材Aに係合する係合部としての内周凸部312cと、を有する。
【0144】
テーパ面312dは、先端部に向かうほど対向する一対の爪片312の間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面312dが設けられることで、化粧材保持部311への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が爪片312によって削られることを防止できる。
【0145】
内周凸部312cは、棒状化粧材Aが化粧材保持部311に装填された状態で、棒状化粧材Aを係止する。内周凸部312cに代えて、例えばローレット状の突起を爪片312の内周に形成してもよい。
【0146】
連結帯313は、周方向に隣り合う一対の爪片312どうしを周方向に連結するように設けられる。具体的には、一方の連結帯313は、隣り合う一対の第1爪片312aどうしを周方向に連結し、他方の連結帯313は、隣り合う第1爪片312aと第2爪片312bとを周方向に連結する。即ち、連結帯313は、保持片311a若しくは保持片311bを構成する一対の爪片312どうしを連結し、保持片311aと保持片311bとの間は連結しない。保持片311a,311bは、周方向に隣り合う一対の爪片312と連結帯313とによって形成される。
【0147】
図9(a)に示すように、連結帯313は、ベース部端面15aから軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、ベース部端面15aと連結帯313との間には、空間部314が形成される。空間部314が設けられることで、化粧材保持部311に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部314に食い込むことで、化粧材保持部311への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が連結帯313の後端面に引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0148】
また、第2爪片312bの径方向の厚さは、第1爪片312aの径方向の厚さよりも小さく形成され、第2爪片312bの周方向の幅は、第1爪片312aの周方向の幅よりも小さく形成される。第2案内溝321bの径方向の深さは、第1案内溝321aの径方向の深さよりも小さく形成され、第2案内溝321bの周方向の幅は、第1案内溝321aの周方向の幅よりも小さく形成される。これにより、芯チャック部材310を先筒320に挿入する際に、爪片312と貫通孔320aとの中心軸まわりの組付角度が、第2壁状部322bに連結帯313が位置するように規定される。
【0149】
即ち、複数の爪片312のうち少なくとも一つの第2爪片312bの径方向の厚さが他の第1爪片312aの径方向の厚さよりも小さく形成され、複数の案内溝321のうち少なくとも一つの第2案内溝321bの径方向の深さが第1案内溝321aの径方向の深さよりも小さく形成される構成、及び複数の爪片312のうち少なくとも一つの第2爪片312bの周方向の幅が他の第1爪片312aの周方向の幅よりも小さく形成され、複数の案内溝321のうち少なくとも一つの第2案内溝321bの周方向の幅が他の第1案内溝321aの周方向の幅よりも小さく形成される構成は、芯チャック部材310を先筒320に挿入する際に、爪片312と貫通孔320aとの中心軸まわりの組付角度を、第2壁状部322bに連結帯313が位置するように規定する組付角度規定機構を構成する。したがって、連結帯313が挿入可能でない位置に連結帯313が挿入されることが防止されるので、芯チャック部材310を先筒320に挿入する際に連結帯313の損傷を防止することができる。
【0150】
なお、複数の爪片312のうち少なくとも一つの第2爪片312bの径方向の厚さが他の第1爪片312aの径方向の厚さよりも小さく形成され、複数の案内溝321のうち少なくとも一つの第2案内溝321bの径方向の深さが他の第1案内溝321aの径方向の深さよりも小さく形成される構成と、複数の爪片312のうち少なくとも一つの第2爪片312bの周方向の幅が他の第1爪片312aの周方向の幅よりも小さく形成され、複数の案内溝321のうち少なくとも一つの第2案内溝321bの周方向の幅が他の第1案内溝321aの周方向の幅よりも小さく形成される構成と、のいずれか一方のみにより組付角度規定機構を構成してもよい。
【0151】
図7(c)及び
図7(d)に示すように、複数の連結帯313の外径寸法θ2-θ2は、複数の第1壁状部322aの内径寸法α2-α2よりも大きく、かつ複数の第2壁状部322bの内径寸法β2-β2よりも小さい(α2-α2<θ2-θ2<β2-β2)。
【0152】
即ち、連結帯313が設けられていない位置が挿入される第1壁状部322aの内周面(内径寸法α2-α2)と棒状化粧材Aの外周面との間のクリアランスは、連結帯313が挿入される第2壁状部322bの内周面(内径寸法β2-β2)と棒状化粧材Aの外周面との間のクリアランスよりも小さくなるように設定されている。また、対向する第2壁状部322bの内径寸法β2-β2は、対向する連結帯313の外径寸法θ2-θ2よりも大きくなるように設定されている。
【0153】
したがって、上記第1実施形態と同様に、第1壁状部322aの内周面と棒状化粧材Aの外周面との間のクリアランスを最小にできることにより、棒状化粧材Aの傾斜に起因する芯折れを防止し、棒状化粧材Aの進退を安定させることができると共に、連結帯313が第2壁状部322bに必ず誘導されることにより、芯チャック部材310の前進時及び後退時に、安定して摺動させることができる。
【0154】
図9(a)に示すように、連結帯313は、爪片312の先端部からベース部端面15aに向かって軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、爪片312における連結帯313よりも先端側には、爪片弾性部312eが形成される。爪片弾性部312eは、棒状化粧材Aを化粧材保持部311に挿入する際に外周に向けて拡がるので、棒状化粧材Aを化粧材保持部311にスムーズに案内することができる。
【0155】
このように、芯チャック部材310の化粧材保持部311は、周方向の一部に形成されて少なくとも一対の爪片312を周方向に連結する連結帯313を有するので、複数の爪片312が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、棒状化粧材Aを安定して保持することができ、棒状化粧材Aが化粧材保持部311から抜けるのを防止することができる。
【0156】
図9(b)及び
図9(c)に示すように、連結帯313の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯313の内周面と爪片312の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。
【0157】
連結帯313は、径方向の厚さが約0.20~0.25[mm]の薄膜によって形成される。連結帯313は、爪片312よりも径方向の厚みが小さい。連結帯313を薄膜によって形成することで、厚みのある連結帯を用いる場合よりも、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くすることができ、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。また、連結帯313よりも爪片312の方が径方向外側に突出するので、爪片312が先筒320の案内溝321内に位置するようにできる。
【0158】
以上の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0159】
<第3実施形態>
次に、
図10から
図13を参照して、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧材繰出容器(以下、単に「繰出容器」と称する。)401について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0160】
図10は、本発明の第3実施形態に係る繰出容器401の断面図であり、(a)は、芯チャック部材410が後退限に位置した状態を示す正面の断面図であり、(b)は、芯チャック部材410が前進限に位置した状態を示す側面の断面図であり、(c)は、
図10(b)におけるXC-XC線に沿う断面図であり、(d)は、
図10(c)にて先筒420のみを示す断面図であり、(e)は、
図10(c)にて芯チャック部材410のみを示す断面図である。
図11は、芯チャック部材410を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、芯チャック部材410における化粧材保持部411を拡大して示した断面図である。
図12は、化粧材保持部411の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材Cが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材Cが挿入された状態の
図12(b)におけるXIID-XIID線に沿う断面図である。
図13は、本発明の第3実施形態の変形例を示す断面図であり、(a)は、第1変形例を示し、(b)は、第2変形例を示す図である。
【0161】
図10(a)及び
図10(b)に示すように、繰出容器401は、断面形状が略楕円形状の棒状化粧材Cを繰り出し可能な容器である。棒状化粧材Cは、棒状に成形される成形芯であり、例えばアイブロウ、アイライナー及びリップライナー等として用いられるものである。棒状化粧材Cは、棒状化粧材Aと同様に棒状化粧材Bよりも軟質である。棒状化粧材Cの外径寸法は、後述する化粧材保持部411の内径寸法よりも僅かに大きく形成される。棒状化粧材Cにおける短軸と長軸との比は、略1:2である。具体的には、例えば、棒状化粧材Cの短軸は約1.5[mm]であり、長軸は約3.0[mm]である。
【0162】
繰出容器401は、棒状化粧材Cが進退可能である貫通孔420aを有する先筒420と、先筒420に相対回転可能に組み付けられる基筒430と、棒状化粧材Cを保持する芯チャック部材410と、基筒430内に基筒430に対して相対回転不能に設けられる雌ねじ筒440と、を備える。
【0163】
先筒420は、軸方向に貫通する貫通孔420aが形成される筒状部材である。先筒420は、使用者が摘む摘部423と、摘部423と軸方向に連続して形成され基筒430内に嵌入される嵌入部424と、を有する。貫通孔420aの断面形状は、棒状化粧材Cの断面形状と相似しており、略楕円形状に形成されている。摘部423は、嵌入部424側から先端に向かって徐々に外径が小さくなるように軸方向にテーパ状に形成されている。
【0164】
嵌入部424の外周面には、基筒430に形成される後述する嵌合凹部432に嵌合する環状の嵌合凸部425と、Oリング402が装着されるOリング溝426と、が形成される。Oリング402は、先筒420と基筒430との間に圧縮された状態で設けられることで、先筒420と基筒430とを相対回転させる際に適度な抵抗を生じさせる。これにより、使用者の操作感を向上させることができる。
【0165】
貫通孔420aは、軸方向に沿って延設され、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材10を軸方向に沿って案内する案内溝421と、棒状化粧材Cの外周面が軸方向に沿って摺動する第1壁状部422aと、芯チャック部材410の進退に伴い、後述する連結帯413が軸方向に沿って摺動する第2壁状部422bと、を有する。
【0166】
図10(c)に示すように、案内溝421は、周方向に間隔をあけて複数(ここでは6つ)設けられる直線状の溝である。複数の案内溝421は、複数の爪片412の位置に対応するように、周方向に不等間隔に配置される。
【0167】
案内溝421の内周面は、中心軸を中心とする円弧の一部を構成するように曲面状に形成される。案内溝421内には、芯チャック部材410の後述する爪片412が位置すると共に、後述する係合条部416が係合する。隣り合う案内溝421の間には、第1壁状部422a若しくは第2壁状部422bが各々形成される。
【0168】
案内溝421は、先筒420の後端面420cまで形成されている。案内溝421は、貫通孔420aの先端開口420bには至ることなく、その手前まで形成されている。
【0169】
案内溝421は、隣り合って平行に一対ずつ設けられる第1案内溝421aと、中心軸を挟んで対向するように同一直線上に設けられる一対の第2案内溝421bと、を有する。第1案内溝421aと第2案内溝421bとは、中心軸を挟んで対向するように設けられる。
【0170】
一対の第1案内溝421aは、中心軸を挟んで対向するように2組設けられる。第1案内溝421aは、棒状化粧材Cの長軸に沿うように並べて配置される。
【0171】
第2案内溝421bは、2組設けられる一対の第1案内溝421aの間に設けられる。第2案内溝421bは、棒状化粧材Cの短軸に沿うように配置される。
【0172】
図10(d)に示すように、第1壁状部422aは、周方向に複数設けられる。ここでは、第1壁状部422aは、周方向の2か所に設けられる。第1壁状部422aは、周方向に隣り合う一対の第1案内溝421aの間に設けられる。第1壁状部422aは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第1壁状部422aは、棒状化粧材Cを短軸方向に挟むように設けられる。第1壁状部422aは、棒状化粧材Cの外周面を支持できればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0173】
第2壁状部422bは、周方向に複数設けられる。ここでは、第2壁状部422bは、周方向の4か所に設けられる。第2壁状部422bは、周方向に隣り合う第1案内溝421aと第2案内溝421bとの間に設けられる。第2壁状部422bは、中心軸を挟んで対向するように二対設けられる。二対の第2壁状部422bは、連結帯413の外周面に面する。第2壁状部422bは、連結帯413の外周面に面していればよいので、対向する二対に限られるものではない。
【0174】
図10(d)に示すように、対向する一対の第1壁状部422aの間の内径寸法α3-α3は、対向する二対の第2壁状部422bの間の内径寸法β3-β3よりも小さい(α3-α3<β3-β3)。
【0175】
基筒430は、芯チャック部材410を収容すると共に先筒420の嵌入部424が嵌合され、雌ねじ筒440が挿入される収容孔433を有する有底筒状に形成された部材である。収容孔433には、先筒420の嵌合凸部425が嵌合される環状の嵌合凹部432が設けられる。
【0176】
図11(a)及び
図11(b)に示すように、芯チャック部材410は、棒状化粧材Cを保持する化粧材保持部411と、化粧材保持部411が立設するベース部415と、を備える。
【0177】
化粧材保持部411は、棒状化粧材Cの軸方向に沿って延び棒状化粧材Cの外周面を保持する複数(ここでは6つ)の爪片412と、棒状化粧材Cの底部を保持する底面部としてのベース部端面415a(
図11(c)参照)と、周方向の一部に形成されてベース部端面415aから軸方向に離れた位置にて少なくとも一対の爪片412を周方向に連結する帯部としての連結帯413と、を備える。
【0178】
図11(c)に示すように、爪片412は、ベース部端面415aから軸方向に立設される。爪片412の外周面は、ベース部415における係合条部416の外周面よりも小径に形成される。爪片412の内周面は、棒状化粧材Cの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片412は、棒状化粧材Cを外周から挟むように6つ設けられる。複数の爪片412は、周方向に不等間隔に配置される。
【0179】
爪片412は、ベース部端面415aからの長さが小さい複数の第1爪片としての短爪片412bと、ベース部端面415aからの長さが短爪片412bよりも大きい複数の第2爪片としての長爪片412aと、を有する。
図12(c)に示すように、一対の長爪片412aと1つの短爪片412bとは、連結帯413と共に保持片411a,411bを各々構成する。
【0180】
短爪片412bは、棒状化粧材Cの長軸の両端に各々設けられる。短爪片412bは、棒状化粧材Cを長軸の両端から各々保持する。
【0181】
長爪片412aは、短爪片412bの間に2つずつ設けられる。長爪片412aは、中心軸を挟んだ2つずつが対向するように設けられる。長爪片412aは、短爪片412bよりも中心軸に近い位置に設けられる。長爪片412aは、短爪片412bよりも厚みが大きく形成される。
【0182】
なお、
図10(b)に示すように、芯チャック部材410が前進限に位置している状態では、短軸側の短爪片412bを長爪片412aよりも短く形成することで、先筒420の短軸側の先端方向の外径を小さくすることができる。これにより、先筒420の摘部423における短軸側のテーパを先端へ向かって小さくできる。先筒420の先端側の外径が小さい方が、目元に化粧を施す際に先筒420の先端部が顔に当たることを防止できるので、繰出容器401を使いやすくすることができる。
【0183】
図12(a)及び
図12(c)に示すように、各々の長爪片412aは、先端部に向けて棒状化粧材Cの外周面から離間するように傾斜するテーパ面412dを有する。
【0184】
テーパ面412dは、先端部に向かうほど対向する一対の長爪片412aの間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面412dが設けられることで、化粧材保持部411への棒状化粧材Cの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Cを挿入する際に棒状化粧材Cの後端部外周が長爪片412aによって削られることを防止できる。
【0185】
ベース部端面415aは、ベース部415における軸方向の先端部に設けられる。ベース部端面415aは、長軸と短軸とを有するように形成される棒状化粧材C断面形状と相似する形状に形成される。ベース部端面415aには、棒状化粧材Cの底面が当接する。
【0186】
一方の保持片411aでは、連結帯413は、隣り合う短爪片412bと長爪片412aとの間を周方向に連結するように一対設けられる。他方の保持片411bでは、連結帯413は、同一直線上に設けられる一対の長爪片412aと、その間に設けられる短爪片412bと、を周方向に連結するように一対設けられる。即ち、連結帯413は、保持片411a若しくは保持片411bを構成する3つの爪片412を連結し、保持片411aと保持片411bとの間は連結しない。保持片411a,411bは、周方向に離れた位置で隣り合う複数の爪片412と複数の連結帯413とによって形成される。
【0187】
連結帯413は、ベース部端面415aから軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、ベース部端面415aと連結帯413との間には、空間部414が形成される。空間部414が設けられることで、化粧材保持部411に挿入された棒状化粧材Cの外周面が空間部414に食い込むことで、化粧材保持部411への棒状化粧材Cの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Cが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Cの外周が連結帯413の後端面に引っかかるため、棒状化粧材Cが抜けるのを防止することができる。
【0188】
また、複数の爪片412は、周方向に不等間隔に配置され、複数の案内溝421は、複数の爪片412の位置に対応するように、周方向に不等間隔に配置される。これにより、芯チャック部材410を先筒420に挿入する際に、爪片412と貫通孔420aとの中心軸まわりの組付角度が、第2壁状部422bに連結帯413が位置するように規定される。即ち、周方向に不等間隔に配置される複数の爪片412と、複数の爪片412の位置に対応するように周方向に不等間隔に配置される複数の案内溝421は、芯チャック部材410を先筒420に挿入する際に、爪片412と貫通孔420aとの中心軸まわりの組付角度を、第2壁状部422bに連結帯413が位置するように規定する組付角度規定機構を構成する。更に、棒状化粧材Cは、断面形状が長軸と短軸とを有するように形成され、ベース部端面415aが棒状化粧材Cの断面形状と相似する形状に形成される構成と、貫通孔420aがベース部端面415aの断面形状と相似する形状に形成される構成によってもまた、組付角度規定機構が構成される。したがって、連結帯413が挿入可能でない位置に連結帯413が挿入されることが防止されるので、芯チャック部材410を先筒420に挿入する際に連結帯413の損傷を防止することができる。
【0189】
図10(d)及び
図10(e)に示すように、中心軸を挟んで対向する二対の連結帯413の外径寸法θ3-θ3は、複数の第1壁状部422aの内径寸法α3-α3よりも大きく、かつ複数の第2壁状部422bの内径寸法β3-β3よりも小さい(α3-α3<θ3-θ3<β3-β3)。
【0190】
即ち、連結帯413が設けられていない位置が挿入される第1壁状部422aの内周面(内径寸法α3-α3)と棒状化粧材Cの外周面との間のクリアランスは、連結帯413が挿入される第2壁状部422bの内周面(内径寸法β3-β3)と棒状化粧材Cの外周面との間のクリアランスよりも小さくなるように設定されている。また、対向する第2壁状部422bの内径寸法β3-β3は、対向する連結帯413の外径寸法θ3-θ3よりも大きくなるように設定されている。
【0191】
したがって、上記第1及び第2実施形態と同様に、棒状化粧材Cの傾斜に起因する芯折れを防止し、棒状化粧材Cの進退を安定させることができると共に、連結帯413が第2壁状部422bに必ず誘導されることにより、芯チャック部材410の前進時及び後退時に、安定して摺動させることができる。
【0192】
連結帯413は、爪片412の先端部からベース部端面415aに向かって軸方向に離間した位置に設けられる。これにより、爪片412における連結帯413よりも先端側には、爪片弾性部412eが形成される。爪片弾性部412eは、棒状化粧材Cを化粧材保持部411に挿入する際に外周に向けて拡がるので、棒状化粧材Cを化粧材保持部611にスムーズに案内することができる。
【0193】
このように、芯チャック部材410の化粧材保持部411は、棒状化粧材Cの底部を保持するベース部端面415aから離間した位置にて複数の爪片412を周方向に連結する連結帯413を有するので、複数の爪片412が互いに離間するように拡がることが抑制される。したがって、連結帯413によって爪片412が棒状化粧材Cを保持する保持力が補強されるので、棒状化粧材Cを安定して保持することができ、棒状化粧材Cが化粧材保持部611から抜けるのを防止することができる。
【0194】
連結帯413の内周面は、棒状化粧材Cの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、連結帯413の内周面と爪片412の内周面とは、棒状化粧材Cの外周面に沿うように連続して形成される。
【0195】
連結帯413は、径方向の厚さが約0.20~0.25[mm]の薄膜によって形成される。連結帯413は、爪片412よりも径方向の厚みが小さい。連結帯413を薄膜によって形成することで、厚みのある連結帯を用いる場合よりも、棒状化粧材Cの外周への密着度を高くすることができ、棒状化粧材Cを安定して保持することができる。また、連結帯413よりも爪片412の方が径方向外側に突出するので、爪片412が先筒420の案内溝421内に位置するようにできる。
【0196】
図11(a)及び
図11(b)に示すように、ベース部415は、案内溝421に対して周方向に係合する係合条部416と、係合条部416から軸方向に連続して形成される雄ねじ部417と、を有する。
【0197】
係合条部416は、爪片412が立設されるベース部端面415aと雄ねじ部417との間の部分の外周に形成される。係合条部416は、軸方向に沿って直線状に形成される。係合条部416は、爪片412から軸方向に連続して形成される。係合条部416が先筒420の案内溝421に係合することで、先筒420と芯チャック部材410との周方向への相対回転が規制される。係合条部416は、長爪片412aから連続して形成される第1係合条部416aと、短爪片412bから連続して形成される第2係合条部416bと、を有する。隣り合う第1係合条部416aの間には、溝部端面419まで溝部が形成される。溝部端面419は、先筒420における第1壁状部422aの後端面420cに当接した状態で、芯チャック部材410の前進限を規定する。
【0198】
雄ねじ部417は、係合条部416から軸方向に連続して係合条部416よりも小径に形成される部分の外周に突出するように複数設けられる。雄ねじ部417は、周方向の複数個所(ここでは2か所)に設けられる。雄ねじ部417は、雌ねじ筒440の雌ねじ部443に螺合する。
【0199】
雌ねじ筒440は、芯チャック部材410の雄ねじ部417が螺合する雌ねじ部443が軸方向に貫通して形成された樹脂製の筒状部材である。雌ねじ筒440は、基筒430内に挿入された際に基筒430の段部435に当接する後端面444と、基筒430に先筒420が組付けられた際に先筒420の後端面420cに当接する前端面442と、を有する。
【0200】
雌ねじ筒440の外周面には、軸方向に延びる複数の縦リブ(図示省略)が周方向に等間隔で形成されている。縦リブは、基筒430の内周面に形成されたローレット(図示省略)と係合し、雌ねじ筒440が基筒430に対して回転することを防止する回転止めとして機能する。
【0201】
雌ねじ筒440の雌ねじ部443に芯チャック部材410の雄ねじ部417が螺合した状態で、先筒420と基筒430とを相対回転させると、芯チャック部材410は先筒420と一体に回転し、雌ねじ筒440は基筒430と一体に回転するので、芯チャック部材410と基筒430とが相対回転する。これにより、雌ねじ部443に対して芯チャック部材410の雄ねじ部417が回転するので、芯チャック部材410は雌ねじ筒440に対して軸方向に相対移動する。即ち、先筒420と基筒430との相対回転によって、芯チャック部材410により保持された棒状化粧材Cを、先筒420の貫通孔420aの先端開口420bから進退させる繰出機構が構成される。
【0202】
このように、繰出容器401では、雌ねじ筒440と芯チャック部材410とにより棒状化粧材Cを軸方向に繰り出す繰出機構が構成されており、先筒420と基筒430とを相対回転させると先筒420及び基筒430内で芯チャック部材410が軸方向に進退し、芯チャック部材410の進退に応じて棒状化粧材Cも進退する。
【0203】
具体的には、使用者が先筒420と基筒430とを順方向に相対回転させたときには、芯チャック部材410が先筒420の先端開口420bに向かって軸方向に移動して棒状化粧材Cを前進させる。これにより、先端開口420bから棒状化粧材Cが繰り出される。一方、使用者が先筒420と基筒430とを逆方向に相対回転させたときには、芯チャック部材410が逆方向に移動して棒状化粧材Cを後退させる。これにより、棒状化粧材Cが繰り戻される。
【0204】
芯チャック部材410の係合条部416は、雌ねじ筒440を挿通不能に形成されている。そのため、芯チャック部材410の後退に伴って係合条部416が雌ねじ筒440と当接し、芯チャック部材410の後退限が規定される。
【0205】
以上の第3実施形態によれば、第1及び第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0206】
<第1変形例>
続いて、
図13(a)を参照して、本発明の第3実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材510及び先筒520について説明する。なお、前述した実施形態又は各変形例と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0207】
図13(a)は、本発明の第3実施形態の第1変形例を示す断面図である。
【0208】
この第1変形例に係る芯チャック部材510は、爪片412は、4つの長爪片412aのみを有し、短爪片412bを有さない点で、上述した第3実施形態とは相違する。
【0209】
また、貫通孔520aの案内溝521は、第1案内溝421aのみを有し、第2案内溝421bを有さない。
【0210】
第1壁状部422aは、周方向に複数設けられる。ここでは、第1壁状部422aは、周方向の2か所に設けられる。第1壁状部422aは、周方向に隣り合う一対の第1案内溝421aの間に設けられる。第1壁状部422aは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第1壁状部422aは、棒状化粧材Cを短軸方向に挟むように設けられる。
【0211】
第2壁状部522bは、周方向に複数設けられる。ここでは、第2壁状部522bは、周方向の2か所に設けられる。第2壁状部522bは、周方向に隣り合う一対の第1案内溝421aの間に設けられる。一対の第2壁状部522bは、中心軸を挟んで対向するように設けられる。一対の第2壁状部522bは、棒状化粧材Cを長軸方向に挟むように設けられる。一対の第2壁状部522bは、連結帯513の外周面に面する。
【0212】
連結帯513は、隣り合う一対の長爪片412aの間を周方向に連結するように一対設けられる。連結帯513は、棒状化粧材Cの短軸に沿うように設けられる。
【0213】
この第1変形例によっても同様に、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0214】
<第2変形例>
続いて、
図13(b)を参照して、本発明の第3実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材610及び先筒620について説明する。なお、前述した実施形態又は各変形例と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0215】
図13(a)は、本発明の第3実施形態の第2変形例を示す断面図である。
【0216】
この第1変形例に係る芯チャック部材610は、連結帯613が棒状化粧材Cの長軸に沿うように設けられる点で、上述した第3実施形態の第1変形例とは相違する。
【0217】
第1壁状部622aは、周方向に複数設けられる。ここでは、第1壁状部622aは、周方向の2か所に設けられる。第1壁状部622aは、周方向に隣り合う一対の第1案内溝421aの間に設けられる。第1壁状部622aは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第1壁状部622aは、棒状化粧材Cを長軸方向に挟むように設けられる。
【0218】
第2壁状部622bは、周方向に複数設けられる。ここでは、第2壁状部622bは、周方向の2か所に設けられる。第2壁状部622bは、周方向に隣り合う一対の第1案内溝421aの間に設けられる。一対の第2壁状部622bは、中心軸を挟んで対向するように設けられる。一対の第2壁状部622bは、棒状化粧材Cを短軸方向に挟むように設けられる。一対の第2壁状部622bは、連結帯613の外周面に面する。
【0219】
連結帯613は、隣り合う一対の長爪片412aとの間を周方向に連結するように一対設けられる。連結帯613は、棒状化粧材Cの長軸に沿うように設けられる。
【0220】
この第2変形例によっても同様に、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0221】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0222】
1,301,401,701 繰出容器(棒状化粧材繰出容器)
10,110,210,310,410,510,610,710 芯チャック部材(棒状化粧材保持部材)
11,111,211,311,411,711 化粧材保持部
12,312,412 爪片
12a,312a 第1爪片
12b,312b,712b 第2爪片
13,113,213,313,413,513,613 連結帯(帯部)
13d,113d テーパ面
15,415,715 ベース部
15a,415a ベース部端面(底面部)
20,120,320,420,720 先筒
20a,120a,320a,420a,520a,720a 貫通孔
22a,122a,322a,422a,722a 第1壁状部
22b,122b,322b,422b 第2壁状部
30,330,430 基筒
114,214,314,414 空間部
213b 舌部
412a 長爪片(第1爪片)
412b 短爪片(第2爪片)
A,B,C 棒状化粧材