(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083090
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】棒状化粧材繰出容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/20 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A45D40/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197402
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000252090
【氏名又は名称】鈴野化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大庭 淳
(57)【要約】
【課題】爪片の数を少なくしても棒状化粧材を安定して保持することができ、棒状化粧材保持部材から棒状化粧材が抜けることを防止する。
【解決手段】繰出容器1は、芯チャック部材10と、貫通孔20aを有する先筒20と、先筒20に組み付けられる基筒30と、先筒20と基筒30との相対回転によって、棒状化粧材Aを貫通孔20aの先端開口20bから進退させる繰出機構と、を備え、芯チャック部材10は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面15aと、爪片12から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部13と、羽根部13の後方に形成される空間部13cと、を有し、貫通孔20aは、芯チャック部材10を軸方向に沿って案内する案内溝21を有し、案内溝21には、爪片12と羽根部13とが位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状化粧材繰出容器であって、
棒状化粧材の外周面を保持する化粧材保持部と、前記化粧材保持部が立設するベース部と、を有し、前記棒状化粧材を保持する棒状化粧材保持部材と、
前記棒状化粧材が進退可能である貫通孔を有する先筒と、
前記先筒に相対回転可能に組み付けられる基筒と、
前記先筒と前記基筒との相対回転によって、前記棒状化粧材保持部材により保持された前記棒状化粧材を、前記先筒の前記貫通孔の先端開口から進退させる繰出機構と、
を備え、
前記化粧材保持部は、
前記棒状化粧材の軸方向に沿って延び前記棒状化粧材の前記外周面を保持する爪片と、
前記棒状化粧材の底部を保持する底面部と、
前記爪片から前記棒状化粧材の前記外周面に沿って周方向に延設され前記棒状化粧材の前記外周面を保持する羽根部と、
前記羽根部の後方に形成される空間部と、
を有し、
前記貫通孔は、前記棒状化粧材保持部材を軸方向に沿って案内する案内溝を有し、
前記案内溝には、前記爪片と前記羽根部とが位置する、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記羽根部は、前記棒状化粧材が軸方向に係合する係合部を有する、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項3】
請求項1に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記羽根部の内周面と前記爪片の内周面とは、前記棒状化粧材の前記外周面に沿うように連続して形成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項4】
請求項1に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記羽根部は、前記爪片よりも径方向の厚みが小さい、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項5】
請求項1に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記羽根部は、前記爪片と径方向の厚みが同じである、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項6】
請求項2に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記係合部は、前記羽根部の後端面に形成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項7】
請求項2に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記爪片は、前記底面部から軸方向に延設され、前記爪片と同じ厚みに形成されて前記棒状化粧材の前記外周面に沿って周方向に拡がる拡張部を有する、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項8】
請求項7に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記羽根部は、前記拡張部から軸方向に離れた位置に設けられて前記拡張部との間に前記空間部を形成し、
前記係合部は、前記羽根部の後端面に形成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項9】
請求項8に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記羽根部は、前記爪片よりも径方向の厚みが小さく、前記拡張部と周方向の幅が同じである、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項10】
請求項2に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記羽根部は、
前記底面部から軸方向に離れた位置に設けられて前記底面部との間に第1空間部を形成する第1羽根部と、
前記第1羽根部から軸方向に離れた位置に設けられて前記第1羽根部との間に第2空間部を形成する第2羽根部と、
を有し、
前記係合部は、前記第1羽根部の後端面と前記第2羽根部の後端面とに形成される、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項11】
請求項1に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記羽根部は、前記底面部から離れた先端部の内周面に、前記先端部に向けて前記棒状化粧材の前記外周面から離間するように傾斜するテーパ面を有する、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一つに記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記貫通孔は、前記棒状化粧材の前記外周面が軸方向に沿って摺動する壁状部を更に有する、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項13】
請求項12に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記羽根部の外径寸法は、前記壁状部の内径寸法よりも大きい、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項14】
請求項12に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記爪片は、周方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記羽根部は、前記爪片における周方向の両端部から各々延設され、
前記壁状部は、隣り合う前記爪片から各々延設される一対の前記羽根部の間にて前記棒状化粧材の前記外周面を支持するように設けられる、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【請求項15】
請求項12に記載の棒状化粧材繰出容器であって、
前記爪片は、周方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記羽根部は、前記爪片における周方向の一端部のみから延設され、
前記壁状部は、
隣り合う前記爪片から各々延設される前記羽根部の間にて前記棒状化粧材の前記外周面を支持する第1壁状部と、
隣り合う前記爪片における前記羽根部が設けられない他端部の間にて前記棒状化粧材の前記外周面を支持する第2壁状部と、
を有する、
ことを特徴とする棒状化粧材繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧材繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、棒状化粧材を保持する芯チャック(棒状化粧材保持部材)を備えた棒状化粧材繰出容器が記載されている。この容器では、芯チャックは、円筒状の芯チャック本体に複数のスリットを設けて、円周部を複数の保持片(爪片)に分割して形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の容器では、芯チャックは、4つの保持片を有しており、各々の保持片は、先筒内の溝部に位置している。この容器において、仮に、保持片の数を減らした場合には、芯チャックによって保持される棒状化粧材の面積が小さくなり、充分な保持力が維持できなくなるおそれがある。そのため、棒状化粧材の繰り出し及び繰り戻しの際や、容器が落下して衝撃が加わった際に、棒状化粧材が芯チャックから抜けやすくなる。
【0005】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、爪片の数を少なくしても棒状化粧材を安定して保持することができ、棒状化粧材保持部材から棒状化粧材が抜けることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、棒状化粧材繰出容器は、棒状化粧材の外周面を保持する化粧材保持部と、前記化粧材保持部が立設するベース部と、を有し、前記棒状化粧材を保持する棒状化粧材保持部材と、前記棒状化粧材が進退可能である貫通孔を有する先筒と、前記先筒に相対回転可能に組み付けられる基筒と、前記先筒と前記基筒との相対回転によって、前記棒状化粧材保持部材により保持された前記棒状化粧材を、前記先筒の前記貫通孔の先端開口から進退させる繰出機構と、を備え、前記化粧材保持部は、前記棒状化粧材の軸方向に沿って延び前記棒状化粧材の前記外周面を保持する爪片と、前記棒状化粧材の底部を保持する底面部と、前記爪片から前記棒状化粧材の前記外周面に沿って周方向に延設され前記棒状化粧材の前記外周面を保持する羽根部と、前記羽根部の後方に形成される空間部と、を有し、前記貫通孔は、前記棒状化粧材保持部材を軸方向に沿って案内する案内溝を有し、前記案内溝には、前記爪片と前記羽根部とが位置する。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、爪片から棒状化粧材の外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材の外周面を保持する羽根部が設けられ、爪片と羽根部とは貫通孔の案内溝内に位置する。そのため、爪片の数を減らしたとしても、羽根部が設けられているので、棒状化粧材を保持するための充分な保持力を確保できる。したがって、爪片の数を少なくしても棒状化粧材を安定して保持することができ、棒状化粧材保持部材から棒状化粧材が抜けることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧材繰出容器を示す図であり、(a)は、棒状化粧材保持部材が後退限に位置した状態を示す断面図であり、(b)は、
図1(a)におけるIB-IB線に沿う断面図である。
【
図2】
図2は、棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材保持部材における化粧材保持部を拡大して示した正面の断面図であり、(d)は、
図2(c)における側面の断面図である。
【
図3】
図3は、化粧材保持部の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材が挿入された状態の
図3(b)におけるIIID-IIID線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材繰出容器における棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材が挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、
図1(b)と同じ位置における断面図であり、(e)は、棒状化粧材が挿入された状態の
図4(b)におけるIVE-IVE線に沿う断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態の第4変形例に係る棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧材繰出容器の断面図であり、(a)は、棒状化粧材保持部材が後退限に位置した状態を示す正面の断面図であり、(b)は、棒状化粧材保持部材が後退限に位置した状態を示す側面の断面図であり、(c)は、
図8(a)におけるVIIIC-VIIIC線に沿う断面図であり、(d)は、
図8(a)におけるVIIID-VIIID線に沿う断面図である。
【
図9】
図9は、棒状化粧材保持部材を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、平面図であり、(d)は、棒状化粧材保持部材における化粧材保持部を拡大して示した断面図である。
【
図10】
図10は、化粧材保持部の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、
図10(a)におけるXC-XC線に沿う断面図であり、(d)は、
図10(a)におけるXD-XD線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
<第1実施形態>
まず、
図1から
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧材繰出容器(以下、単に「繰出容器」と称する。)1について説明する。
【0011】
図1は、繰出容器1を示す図であり、(a)は、芯チャック部材10が後退限に位置した状態を示す断面図であり、(b)は、
図1(a)におけるIB-IB線に沿う断面図である。
図2は、芯チャック部材10を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、芯チャック部材10における化粧材保持部11を拡大して示した正面の断面図であり、(d)は、
図2(c)における側面の断面図である。
図3は、化粧材保持部11の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、棒状化粧材Aが挿入された状態の
図3(b)におけるIIID-IIID線に沿う断面図である。
【0012】
図1(a)に示すように、繰出容器1は、断面形状が略円形状の棒状化粧材Aを繰り出し可能な容器である。棒状化粧材Aは、棒状に成形される成形芯であり、例えばアイブロウ、アイライナー及びリップライナー等として用いられるものである。棒状化粧材Aの外径寸法は、後述する化粧材保持部11(
図3(a)及び
図3(b)参照)の内径寸法よりも僅かに大きく形成される。
【0013】
繰出容器1は、棒状化粧材Aが進退可能である貫通孔20aを有する先筒20と、先筒20に相対回転可能に組み付けられる基筒30と、棒状化粧材Aを保持する棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材10と、基筒30内に基筒30に対して相対回転不能に設けられる雌ねじ筒40と、を備える。
【0014】
以下では、先筒20における貫通孔20aの中心軸に沿う方向を「軸方向」と称し、貫通孔20aの中心軸周りの方向を「周方向」と称し、貫通孔20aの中心軸を中心とする放射方向を「径方向」と称する。また、繰出容器1から棒状化粧材Aが繰り出される動きを「前進」、棒状化粧材Aが繰り出される方向を「前方」と称し、繰出容器1内に棒状化粧材Aが繰り戻される動きを「後退」、棒状化粧材Aが繰り戻される方向を「後方」と称する。
【0015】
先筒20は、軸方向に貫通する貫通孔20aが形成される筒状部材である。先筒20は、使用者が摘む摘部24と、摘部24と軸方向に連続して形成され基筒30内に嵌入される嵌入部27と、を有する。貫通孔20aの断面形状は、棒状化粧材Aの断面形状と相似しており、略円形状に形成されている。摘部24は、嵌入部27側から先端に向かって徐々に外径が小さくなるように軸方向にテーパ状に形成されている。
【0016】
嵌入部27の外周面には、基筒30に形成される後述する嵌合凹部32に嵌合する環状の嵌合凸部25と、Oリング2が装着されるOリング溝26と、が形成される。Oリング2は、先筒20と基筒30との間に圧縮された状態で設けられることで、先筒20と基筒30とを相対回転させる際に適度な抵抗を生じさせる。これにより、使用者の操作感を向上させることができる。
【0017】
貫通孔20aは、軸方向に沿って延設され、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材10を軸方向に沿って案内する案内溝21と、棒状化粧材Aの外周面が軸方向に沿って摺動する壁状部22と、を有する。
【0018】
図1(b)に示すように、案内溝21は、複数(ここでは2つ)の溝によって構成される。2つの案内溝21は、中心軸を通過する直線上に、中心軸を挟んで対向するように設けられる。2つの案内溝21は、複数の爪片12の位置に対応するように、周方向に180°間隔に配置される。
【0019】
案内溝21の内周面は、中心軸を中心とする円弧の一部を構成するように曲面状に形成される。案内溝21内には、芯チャック部材10の後述する爪片12と羽根部13とが位置すると共に、後述する係合条部16が係合する。
【0020】
図1(a)に示すように、案内溝21は、先筒20の後端面22aまで形成されている。案内溝21は、貫通孔20aの先端開口20bには至ることなく、その手前まで形成されている。
【0021】
壁状部22の内周面は、中心軸を中心とする円弧の一部を構成するように曲面状に形成される。壁状部22は、棒状化粧材Aの外周面を支持する。詳細は後述するが、壁状部22は、隣り合う爪片12から各々延設される一対の羽根部13の間にて棒状化粧材Aの外周面を支持するように設けられる。
【0022】
基筒30は、芯チャック部材10を収容すると共に先筒20の嵌入部27が嵌入され、雌ねじ筒40が挿入される収容孔33を有する有底筒状に形成された部材である。収容孔33には、先筒20の嵌合凸部25が嵌合される環状の嵌合凹部32が設けられる。
【0023】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、芯チャック部材10は、棒状化粧材Aの外周面を保持する化粧材保持部11と、化粧材保持部11が立設するベース部15と、を有する。
【0024】
化粧材保持部11には、軟質かつ細径であり断面形状が真円形状の棒状化粧材Aが装填される。ここでは、棒状化粧材Aの外径は、約φ1.5~3.0[mm]である。
【0025】
化粧材保持部11は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは2つ)の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15a(
図2(c)参照)と、爪片12から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部13と、羽根部13の後方(軸方向のベース部端面15a側)に形成される空間部13c(
図2(c)及び
図2(d)参照)と、を備える。
【0026】
図2(c)に示すように、爪片12は、ベース部端面15aから軸方向に立設される。爪片12の外周面は、ベース部15における係合条部16の外周面よりも小径に形成される。爪片12の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片12は、棒状化粧材Aを挟むように複数(ここでは2つ)設けられる。
【0027】
爪片12は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。具体的には、2つの爪片12は、複数の案内溝21の位置に対応するように、周方向に180°間隔に配置される。
【0028】
図3(a)から
図3(d)に示すように、2つの爪片12は、中心軸を挟んで対向するように設けられる。爪片12は、径方向の厚さが約0.60[mm]に形成される。各々の爪片12は、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面12dを有する。
【0029】
テーパ面12dは、爪片12の先端部から軸方向に離間した位置に設けられる。テーパ面12dは、先端部に向かうほど一対の爪片12の間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面12dが設けられることで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が爪片12によって削られることを防止できる。
【0030】
なお、
図3(a)に示すように、爪片12におけるテーパ面12dよりも先端部側の部分は、棒状化粧材Aの外径よりも大径に形成される。そのため、この部分は、棒状化粧材Aとは当接しない。
【0031】
ベース部端面15aは、ベース部15における軸方向の先端部に設けられる。ベース部端面15aには、棒状化粧材Aの底面が当接する。
【0032】
羽根部13は、爪片12における周方向の両端部から各々延設される。羽根部13は、棒状化粧材Aの周方向に沿って延設される。周方向に対向する一対の羽根部13どうしは、周方向に連結されず、間隔をあけて設けられる。
【0033】
羽根部13は、爪片12の軸方向の一部に形成される。即ち、羽根部13は、爪片12よりも短く延設される。羽根部13は、ベース部端面15aから軸方向に離間した位置に設けられる。
【0034】
このように、芯チャック部材10の化粧材保持部11は、爪片12から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部13を有する。これにより、爪片12の数を減らしたとしても、羽根部13が設けられているので、棒状化粧材Aを保持するための充分な保持力を確保できる。したがって、爪片12の数を少なくしても棒状化粧材Aを安定して保持することができ、芯チャック部材10から棒状化粧材Aが抜けることを防止することができる。
【0035】
図3(c)及び
図3(d)に示すように、羽根部13の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、羽根部13の内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、羽根部13の内周面と爪片12の内周面とが周方向の広い範囲で棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0036】
羽根部13は、径方向の厚さが約0.10~0.50[mm]の薄膜によって形成される。即ち、羽根部13は、爪片12よりも径方向の厚みが小さい。羽根部13を薄膜によって形成することで、厚みのある羽根部を用いる場合よりも、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くすることができる。
【0037】
羽根部13は、爪片12と共に先筒20の案内溝21内に位置する。棒状化粧材Aの外周面は、径方向の厚みが大きい爪片12と薄膜状の羽根部13との内周面に保持される。そのため、棒状化粧材Aは、爪片12に保持されることに加えて、薄膜状の羽根部13によって外周面が弾性的に最適な保持力で密着保持される。
【0038】
羽根部13は、ベース部端面15aから離れた先端部の内周面に、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面13aと、棒状化粧材Aが軸方向に係合する係合部13bと、を有する。
【0039】
テーパ面13aは、先端部に向かうほど内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面13aが設けられることで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が羽根部13によって削られることを防止できる。
【0040】
係合部13bは、羽根部13の後端面(軸方向のベース部端面15a側の端面)に形成される。係合部13bは、棒状化粧材Aの周方向に沿って設けられる。係合部13bの後方には、空間部13cが形成される。
【0041】
空間部13cは、ベース部端面15aと羽根部13との間に形成される。空間部13cが設けられることで、化粧材保持部11に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部13cに食い込むことで、化粧材保持部11への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が係合部13bに引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0042】
ここで、通常は、細径の棒状化粧材Aは、4つの爪片によって保持されるのが一般的である。これに対して、本実施形態では、細径の棒状化粧材Aを2つの爪片12によって保持している。このように、爪片12の数を4つから2つに減らす場合には、4つの爪片を設ける場合と同等の保持力を維持するために、爪片の周方向の幅を大きくして棒状化粧材Aの外周面を保持する面積を増やすことが一般的である。
【0043】
これに対して、本実施形態では、爪片12の周方向の幅が4つの爪片を設ける場合と同等のままとし、薄膜状の羽根部13を設けている。これにより、爪片12の数を4つから2つに減らしたとしても、4つの爪片を設ける場合と同等の保持力を維持することができる。
【0044】
羽根部13の弾性は、羽根部13の径方向の厚み(外径寸法)を変更することで調整できる。例えば、羽根部13の厚みが小さくなると、羽根部13の弾性が増す。また、羽根部13の周方向の幅を変更することで、棒状化粧材Aの外周面の保持面積を調整できる。したがって、棒状化粧材の特徴(軟質又は硬質,細い又は太い,等)に合わせて、羽根部13の径方向の厚みと周方向の幅とを変更するだけで、特徴の異なる棒状化粧材ごとに最適な保持力を提供することができる。したがって、棒状化粧材の特徴を問わず、爪片12の数が少なくても、棒状化粧材が化粧材保持部11から抜けることを防止できる。
【0045】
先筒20の貫通孔20aには、棒状化粧材Aの外周面が軸方向に沿って摺動する壁状部22が設けられる。
図1(b)に示すように、先筒20に芯チャック部材10を組み付けると、案内溝21内に爪片12と羽根部13とが位置する。このとき、羽根部13の外径寸法は、壁状部22の内径寸法よりも若干大きく形成されている。
【0046】
上述したように、爪片12は、4つの爪片を設ける場合と周方向の幅が同等のままで、4つから2つに数を減らしている。これに伴い、案内溝21も、爪片12の周方向の幅に羽根部13の周方向の幅を追加する必要はあるが、4つから2つに減らすことができる。したがって、貫通孔20aにおける案内溝21を除くすべての部分が壁状部22となり、壁状部22と棒状化粧材Aの外周面との間のクリアランスを最小にすることのできる面積を、従来よりも大きくすることができる。
【0047】
よって、芯チャック部材10の前進時及び後退時に棒状化粧材Aが傾いても、クリアランスを最小にすることのできる面積が大きいので、傾斜角度は小さい。よって、壁状部22が、棒状化粧材Aの外周面を軸方向に沿って充分な面積で常時支持することができるので、棒状化粧材Aの傾斜による芯折れを防止し、棒状化粧材Aの進退を安定させることができる。そのため、棒状化粧材Aが極細かつ軟質で、繰り出しストロークが長く折れやすい場合であっても、芯チャック部材10の後退限から前進限まで全体にわたって棒状化粧材Aの傾斜による芯折れを防止することができる。
【0048】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、ベース部15は、案内溝21に対して周方向に係合する係合条部16と、係合条部16から軸方向に連続して形成される雄ねじ部17と、を有する。
【0049】
係合条部16は、爪片12が立設されるベース部端面15aと雄ねじ部17との間の部分の外周に形成される。係合条部16は、軸方向に沿って直線状に形成される。係合条部16が先筒20の案内溝21に係合することで、先筒20と芯チャック部材10との周方向への相対回転が規制される。隣り合う係合条部16の間には、端面19まで溝部が形成される。端面19は、先筒20における壁状部22の後端面22a(
図1(a)参照)に当接した状態で、芯チャック部材10の前進限を規定する。
【0050】
雄ねじ部17は、係合条部16から軸方向に連続して係合条部16よりも小径に形成される部分の外周に突出するように複数設けられる。雄ねじ部17は、周方向の複数個所(ここでは2か所)に設けられると共に、軸方向の複数個所に設けられる。雄ねじ部17は、雌ねじ筒40の雌ねじ部43(
図1(a)参照)に螺合する。
【0051】
図1(a)に示すように、雌ねじ筒40は、芯チャック部材10の雄ねじ部17が螺合する雌ねじ部43が軸方向に貫通して形成された樹脂製の筒状部材である。雌ねじ筒40は、基筒30内に挿入された際に基筒30の段部35に当接する後端面44と、基筒30に先筒20が組付けられた際に先筒20の後端面22aに当接する前端面42と、を有する。
【0052】
雌ねじ筒40の外周面には、軸方向に延びる複数の縦リブ(図示省略)が周方向に等間隔で形成されている。縦リブは、基筒30の内周面に形成されたローレット(図示省略)と係合し、雌ねじ筒40が基筒30に対して回転することを防止する回転止めとして機能する。
【0053】
雌ねじ筒40の雌ねじ部43に芯チャック部材10の雄ねじ部17が螺合した状態で、先筒20と基筒30とを相対回転させると、芯チャック部材10は先筒20と一体に回転し、雌ねじ筒40は基筒30と一体に回転するので、芯チャック部材10と基筒30とが相対回転する。これにより、雌ねじ部43に対して芯チャック部材10の雄ねじ部17が回転するので、芯チャック部材10は雌ねじ筒40に対して軸方向に相対移動する。即ち、先筒20と基筒30との相対回転によって、芯チャック部材10により保持された棒状化粧材Aを、先筒20の貫通孔20aの先端開口20bから進退させる繰出機構が構成される。
【0054】
このように、繰出容器1では、雌ねじ筒40と芯チャック部材10とにより棒状化粧材Aを軸方向に繰り出す繰出機構が構成されており、先筒20と基筒30とを相対回転させると先筒20及び基筒30内で芯チャック部材10が軸方向に進退し、芯チャック部材10の進退に応じて棒状化粧材Aも進退する。
【0055】
具体的には、使用者が先筒20と基筒30とを順方向に相対回転させたときには、芯チャック部材10が先筒20の先端開口20bに向かって軸方向に移動して棒状化粧材Aを前進させる。これにより、先端開口20bから棒状化粧材Aが繰り出される。一方、使用者が先筒20と基筒30とを逆方向に相対回転させたときには、芯チャック部材10が逆方向に移動して棒状化粧材Aを後退させる。これにより、棒状化粧材Aが繰り戻される。なお、芯チャック部材10の後退限は、芯チャック部材10の後端面が基筒30の底面に当接することによって規定される。
【0056】
<第1変形例>
続いて、
図4を参照して、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材210について説明する。なお、以下の各変形例では、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0057】
図4は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る繰出容器1における棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材210を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、棒状化粧材Aが挿入される前の状態を示す平面図であり、(d)は、
図1(b)と同じ位置における断面図であり、(e)は、棒状化粧材Aが挿入された状態の
図4(b)におけるIVE-IVE線に沿う断面図である。
【0058】
この第1変形例に係る芯チャック部材210は、羽根部213の径方向の厚みが爪片12と同じである点で、上述した第1実施形態とは相違する。
【0059】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、芯チャック部材210は、棒状化粧材Aの外周面を保持する化粧材保持部211と、化粧材保持部211が立設するベース部15と、を有する。
【0060】
化粧材保持部211は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは2つ)の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15aと、爪片12から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部213と、羽根部213の後方(軸方向のベース部端面15a側)に形成される空間部213cと、を備える。
【0061】
羽根部213は、爪片12における周方向の両端部から各々延設される。羽根部213は、棒状化粧材Aの周方向に沿って延設される。周方向に対向する一対の羽根部213どうしは、周方向に連結されず、間隔をあけて設けられる。
【0062】
羽根部213は、爪片12の軸方向の一部に形成される。即ち、羽根部213は、爪片12よりも短く延設される。羽根部213は、ベース部端面15aから軸方向に離間した位置に設けられる。
【0063】
このように、芯チャック部材210の化粧材保持部211は、爪片12から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部213を有する。これにより、爪片12の数を減らしたとしても、羽根部213が設けられているので、棒状化粧材Aを保持するための充分な保持力を確保できる。したがって、爪片12の数を少なくしても棒状化粧材Aを安定して保持することができ、芯チャック部材210から棒状化粧材Aが抜けることを防止することができる。
【0064】
図4(c),
図4(d),及び
図4(e)に示すように、羽根部213の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、羽根部213の内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、羽根部213の内周面と爪片12の内周面とが周方向の広い範囲で棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0065】
羽根部213は、径方向の厚さが約0.60[mm]に形成される。即ち、羽根部213は、爪片12と径方向の厚みが同じである。羽根部213の外径寸法は、壁状部22の内径寸法よりも大きい。
【0066】
図4(d)に示すように、羽根部213は、爪片12と共に先筒20の案内溝21内に位置する。棒状化粧材Aの外周面は、爪片12と羽根部213との内周面に保持される。
【0067】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、羽根部213は、ベース部端面15aから離れた先端部の内周面に、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面213aと、棒状化粧材Aが軸方向に係合する係合部213bと、を有する。
【0068】
テーパ面213aは、先端部に向かうほど内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面213aが設けられることで、化粧材保持部211への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が羽根部213によって削られることを防止できる。
【0069】
係合部213bは、羽根部213の後端面(軸方向のベース部端面15a側の端面)に形成される。係合部213bは、棒状化粧材Aの周方向に沿って設けられる。係合部213bの後方には、空間部213cが形成される。
【0070】
空間部213cは、ベース部端面15aと羽根部213との間に形成される。空間部213cが設けられることで、化粧材保持部211に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部213cに食い込むことで、化粧材保持部211への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が係合部213bに引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0071】
羽根部213は、爪片12と厚みが同じであるため、第1実施形態の係合部13bよりも係合部213bが径方向に大きくなり、係合部213bの面積も大きくなる。そのため、化粧材保持部211に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部213cに食い込み、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周面が羽根部213の係合部213bに引っ掛かる面積が大きくなるため、棒状化粧材Aの抜け防止効果を更に高めることができる。
【0072】
<第2変形例>
続いて、
図5を参照して、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材410について説明する。
【0073】
図5は、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る芯チャック部材410を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図である。
【0074】
この第2変形例に係る芯チャック部材410は、羽根部413が第1羽根部413aと第2羽根部413bとを有する点で、上述した第1実施形態とは相違する。
【0075】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、芯チャック部材410は、棒状化粧材Aの外周面を保持する化粧材保持部411と、化粧材保持部411が立設するベース部15と、を有する。
【0076】
化粧材保持部411は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは2つ)の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15aと、爪片12から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部413と、羽根部413の後方(軸方向のベース部端面15a側)に形成される第1空間部413c,第2空間部413dと、を備える。
【0077】
羽根部413は、ベース部端面15aから軸方向に離れた位置に設けられてベース部端面15aとの間に第1空間部413cを形成する第1羽根部413aと、第1羽根部413aから軸方向に離れた位置に設けられて第1羽根部413aとの間に第2空間部413dを形成する第2羽根部413bと、を有する。
【0078】
第1羽根部413aは、爪片12における周方向の両端部から各々延設される。第1羽根部413aは、棒状化粧材Aの周方向に沿って延設される。周方向に対向する一対の第1羽根部413aどうしは、周方向に連結されず、間隔をあけて設けられる。
【0079】
第2羽根部413bは、爪片12における周方向の両端部から各々延設される。第2羽根部413bは、棒状化粧材Aの周方向に沿って延設される。周方向に対向する一対の第2羽根部413bどうしは、周方向に連結されず、間隔をあけて設けられる。
【0080】
第1羽根部413a及び第2羽根部413bは、爪片12の軸方向の一部に形成される。即ち、第1羽根部413a及び第2羽根部413bは、爪片12よりも短く延設される。第1羽根部413aは、ベース部端面15aから軸方向に離間した位置に設けられ、第2羽根部413bは、第1羽根部413aから更に軸方向に離間した位置に設けられる。
【0081】
このように、芯チャック部材410の化粧材保持部411は、爪片12から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する第1羽根部413a及び第2羽根部413bを有する。これにより、爪片12の数を減らしたとしても、第1羽根部413a及び第2羽根部413bが設けられているので、棒状化粧材Aを保持するための充分な保持力を確保できる。したがって、爪片12の数を少なくしても棒状化粧材Aを安定して保持することができ、芯チャック部材410から棒状化粧材Aが抜けることを防止することができる。
【0082】
第1羽根部413a及び第2羽根部413bの内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、第1羽根部413a及び第2羽根部413bの内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、第1羽根部413a及び第2羽根部413bの内周面と爪片12の内周面とが周方向の広い範囲で棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0083】
第1羽根部413a及び第2羽根部413bは、径方向の厚さが約0.10~0.50[mm]の薄膜によって形成される。即ち、第1羽根部413a及び第2羽根部413bは、爪片12よりも径方向の厚みが小さい。第1羽根部413a及び第2羽根部413bを薄膜によって形成することで、厚みのある羽根部を用いる場合よりも、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くすることができる。
【0084】
第1羽根部413a及び第2羽根部413bは、爪片12と共に先筒20の案内溝21内に位置する。棒状化粧材Aの外周面は、爪片12と第1羽根部413a及び第2羽根部413bとの内周面に保持される。
【0085】
第1羽根部413a及び第2羽根部413bが設けられることで、棒状化粧材Aの外周面を弾性的に最適な保持力で、第1実施形態のように羽根部13のみ設けられている場合と比較して軸方向に長く保持することができ、棒状化粧材Aの保持面積が増加する。よって、保持力が更に増強され、棒状化粧材Aが化粧材保持部411から抜けることを防止できる。
【0086】
第1羽根部413aは、棒状化粧材Aが軸方向に係合する第1係合部413eを有する。
【0087】
第2羽根部413bは、ベース部端面15aから離れた先端部の内周面に、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面13aと、棒状化粧材Aが軸方向に係合する第2係合部413fと、を有する。
【0088】
第1係合部413eは、第1羽根部413aの後端面(軸方向のベース部端面15a側の端面)に形成される。第1係合部413eは、棒状化粧材Aの周方向に沿って設けられる。第1係合部413eの後方には、第1空間部413cが形成される。
【0089】
第2係合部413fは、第2羽根部413bの後端面(軸方向のベース部端面15a側の端面)に形成される。第2係合部413fは、棒状化粧材Aの周方向に沿って設けられる。第2係合部413fの後方には、第2空間部413dが形成される。
【0090】
即ち、第1係合部413eと第2係合部413fとは、第1羽根部413aの後端面と第2羽根部413bの後端面とに各々形成される。
【0091】
第1空間部413cは、ベース部端面15aと第1羽根部413aとの間に形成される。第2空間部413dは、第1羽根部413aと第2羽根部413bとの間に形成される。第1空間部413c及び第2空間部413dが設けられることで、化粧材保持部411に挿入された棒状化粧材Aの外周面が第1空間部413c及び第2空間部413dに食い込むことで、化粧材保持部411への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が第1係合部413e及び第2係合部413fに引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0092】
<第3変形例>
続いて、
図6を参照して、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材510について説明する。
【0093】
図6は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る芯チャック部材510を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図である。
【0094】
この第3変形例に係る芯チャック部材510は、爪片12が拡張部512aを有する点で、上述した第1実施形態とは相違する。
【0095】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、芯チャック部材510は、棒状化粧材Aの外周面を保持する化粧材保持部511と、化粧材保持部511が立設するベース部15と、を有する。
【0096】
化粧材保持部511は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは2つ)の爪片12と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15aと、爪片12から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部513と、羽根部513の後方(軸方向のベース部端面15a側)に形成される空間部513cと、を備える。
【0097】
爪片12は、ベース部端面15aから軸方向に延設される拡張部512aを有する。
【0098】
拡張部512aは、爪片12における周方向の両端部から各々延設される。拡張部512aは、棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に拡がる。周方向に対向する一対の拡張部512aどうしは、周方向に連結されず、間隔をあけて設けられる。拡張部512aは、爪片12と径方向の厚みが同じに形成される。
【0099】
拡張部512aは、爪片12の軸方向の一部に形成される。即ち、拡張部512aは、爪片12よりも短く延設される。
【0100】
拡張部512aの内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、拡張部512aの内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、ベース部端面15aから軸方向に延設される拡張部512aの内周面と爪片12の内周面とが周方向の広い範囲で棒状化粧材Aに密着するので、特に棒状化粧材Aの後部を安定して保持することができる。
【0101】
拡張部512aは、爪片12と共に先筒20の案内溝21内に位置する。棒状化粧材Aの外周面は、爪片12と拡張部512aとの内周面に保持される。
【0102】
羽根部513は、拡張部512aから軸方向に離れた位置に設けられて拡張部512aとの間に空間部513cを形成する。
【0103】
羽根部513は、爪片12における周方向の両端部から各々延設される。羽根部513は、棒状化粧材Aの周方向に沿って延設される。周方向に対向する一対の羽根部513どうしは、周方向に連結されず、間隔をあけて設けられる。
【0104】
羽根部513は、爪片12の軸方向の一部に形成される。即ち、羽根部513は、爪片12よりも短く延設される。
【0105】
このように、芯チャック部材510の化粧材保持部511は、爪片12から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部513を有する。これにより、爪片12の数を減らしたとしても、羽根部513が設けられているので、棒状化粧材Aを保持するための充分な保持力を確保できる。したがって、爪片12の数を少なくしても棒状化粧材Aを安定して保持することができ、芯チャック部材510から棒状化粧材Aが抜けることを防止することができる。
【0106】
羽根部513の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、羽根部513の内周面と爪片12の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、羽根部513の内周面と爪片12の内周面とが周方向の広い範囲で棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0107】
羽根部513は、径方向の厚さが約0.10~0.50[mm]の薄膜によって形成される。即ち、羽根部513は、爪片12及び拡張部512aよりも径方向の厚みが小さい。羽根部513を薄膜によって形成することで、厚みのある羽根部を用いる場合よりも、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くすることができる。
【0108】
羽根部513は、拡張部512aと周方向の幅が同じである。羽根部513は、爪片12と共に先筒20の案内溝21内に位置する。棒状化粧材Aの外周面は、爪片12と羽根部513との内周面に保持される。
【0109】
羽根部513が設けられることで、棒状化粧材Aの外周面を弾性的に最適な保持力で保持することができ、棒状化粧材Aの保持面積が増加する。よって、保持力が更に増強され、棒状化粧材Aが化粧材保持部511から抜けることを防止できる。
【0110】
羽根部513は、棒状化粧材Aが軸方向に係合する係合部513dを有する。
【0111】
係合部513dは、羽根部513の後端面(軸方向のベース部端面15a側の端面)に形成される。係合部513dは、棒状化粧材Aの周方向に沿って設けられる。係合部513dの後方には、空間部513cが形成される。
【0112】
空間部513cは、拡張部512aと羽根部513との間に形成される。空間部513cが設けられることで、化粧材保持部511に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部513cに食い込むことで、化粧材保持部511への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が係合部513dに引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0113】
<第4変形例>
続いて、
図7を参照して、本発明の第1実施形態の第4変形例に係る棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材110について説明する。
【0114】
図7は、本発明の第1実施形態の第4変形例に係る芯チャック部材110を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図である。
【0115】
この第4変形例に係る芯チャック部材110は、爪片112が切欠き部112bを有する点で、上述した第1実施形態とは相違する。
【0116】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、芯チャック部材110は、棒状化粧材Aの外周面を保持する化粧材保持部111と、化粧材保持部111が立設するベース部15と、を有する。
【0117】
化粧材保持部111は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する複数(ここでは2つ)の爪片112と、棒状化粧材Aの底部を保持する底面部としてのベース部端面15aと、爪片112から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部113と、羽根部113の後方(軸方向のベース部端面15a側)に形成される空間部113cと、を備える。
【0118】
爪片112は、ベース部端面15aから軸方向に立設される。爪片112の外周面は、ベース部15における係合条部16の外周面よりも小径に形成される。爪片112の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片112は、棒状化粧材Aを挟むように複数(ここでは2つ)設けられる。
【0119】
爪片112は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。具体的には、2つの爪片112は、複数の案内溝21の位置に対応するように、周方向に180°間隔に配置される。
【0120】
2つの爪片112は、中心軸を挟んで対向するように設けられる。爪片112は、径方向の厚さが約0.60[mm]に形成される。各々の爪片112は、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面12dと、周方向の両端部から一部が切りかかれて形成される切欠き部112bと、を有する
【0121】
切欠き部112bは、ベース部端面15aと羽根部113との間に軸方向に沿って設けられる。切欠き部112bは、ベース部端面15aから軸方向に離れるほど周方向に大きく切り欠かれる。即ち、切欠き部112bは、軸方向に沿って斜めに形成される。
【0122】
羽根部113は、ベース部端面15aから軸方向に離れた位置に設けられてベース部端面15aとの間に空間部113cを形成する。
【0123】
羽根部113は、爪片112における周方向の両端部から各々延設される。羽根部113は、棒状化粧材Aの周方向に沿って延設される。周方向に対向する一対の羽根部113どうしは、周方向に連結されず、間隔をあけて設けられる。
【0124】
羽根部113は、爪片112の軸方向の一部に形成される。即ち、羽根部113は、爪片112よりも短く延設される。
【0125】
このように、芯チャック部材110の化粧材保持部111は、爪片112から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部113を有する。これにより、爪片112の数を減らしたとしても、羽根部113が設けられているので、棒状化粧材Aを保持するための充分な保持力を確保できる。したがって、爪片112の数を少なくしても棒状化粧材Aを安定して保持することができ、芯チャック部材110から棒状化粧材Aが抜けることを防止することができる。
【0126】
羽根部113の内周面は、棒状化粧材Aの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、羽根部113の内周面と爪片112の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、羽根部113の内周面と爪片112の内周面とが周方向の広い範囲で棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0127】
羽根部113は、径方向の厚さが約0.10~0.50[mm]の薄膜によって形成される。即ち、羽根部113は、爪片112よりも径方向の厚みが小さい。羽根部113を薄膜によって形成することで、厚みのある羽根部を用いる場合よりも、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くすることができる。
【0128】
羽根部113は、爪片112と共に先筒20の案内溝21内に位置する。棒状化粧材Aの外周面は、爪片112と羽根部113との内周面に保持される。
【0129】
羽根部113が設けられることで、棒状化粧材Aの外周面を弾性的に最適な保持力で保持することができ、棒状化粧材Aの保持面積が増加する。よって、保持力が更に増強され、棒状化粧材Aが化粧材保持部111から抜けることを防止できる。
【0130】
羽根部113は、棒状化粧材Aが軸方向に係合する係合部113bを有する。また、爪片112は、棒状化粧材Aが軸方向に係合する係合部112cを有する。
【0131】
係合部113bは、羽根部113の後端面(軸方向のベース部端面15a側の端面)に形成される。係合部113bは、棒状化粧材Aの周方向に沿って設けられる。同様に、係合部112cは、爪片112における切欠き部112bに臨む後端面(軸方向のベース部端面15a側の端面)に形成される。係合部112cは、棒状化粧材Aの周方向に沿って設けられる。係合部113b及び係合部112cの後方には、空間部113cが形成される。
【0132】
空間部113cは、ベース部端面15aと羽根部113との間に形成される。空間部113cが設けられることで、化粧材保持部111に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部113cに食い込むことで、化粧材保持部111への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が係合部113b及び係合部112cに引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0133】
このように、第4変形例では、空間部113cは、切欠き部112bが設けられることで、羽根部113の後端面だけでなく、爪片112の一部にも形成されている。よって、化粧材保持部111への棒状化粧材Aの係合を更に強固にすることができ、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0134】
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0135】
繰出容器1は、棒状化粧材Aの外周面を保持する化粧材保持部11,111、211,411,511と、化粧材保持部11,111、211,411,511が立設するベース部15と、を有し、棒状化粧材Aを保持する芯チャック部材10,110,210,410,510と、棒状化粧材Aが進退可能である貫通孔20aを有する先筒20と、先筒20に相対回転可能に組み付けられる基筒30と、先筒20と基筒30との相対回転によって、芯チャック部材10,110,210,410,510により保持された棒状化粧材Aを、先筒20の貫通孔20aの先端開口20bから進退させる繰出機構と、を備え、化粧材保持部11,111、211,411,511は、棒状化粧材Aの軸方向に沿って延び棒状化粧材Aの外周面を保持する爪片12,112と、棒状化粧材Aの底部を保持するベース部端面15aと、爪片12,112から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部13,113,213,413,513と、羽根部13,113,213,413,513の後方に形成される空間部13c,113c,213c,413c,413d,513cと、を有し、貫通孔20aは、芯チャック部材10,110,210,410,510を軸方向に沿って案内する案内溝21を有し、案内溝21には、爪片12,112と羽根部13,113,213,413,513とが位置する。
【0136】
上記態様によれば、爪片12,112から棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Aの外周面を保持する羽根部13,113,213,413,513が設けられ、爪片12,112と羽根部13,113,213,413,513とは貫通孔20aの案内溝21内に位置する。そのため、爪片12,112の数を減らしたとしても、羽根部13,113,213,413,513が設けられているので、棒状化粧材Aを保持するための充分な保持力を確保できる。したがって、爪片12,112の数を少なくしても棒状化粧材Aを安定して保持することができ、芯チャック部材10,110,210,410,510から棒状化粧材Aが抜けることを防止することができる。
【0137】
また、羽根部13,113,213,413,513は、棒状化粧材Aが軸方向に係合する係合部13b,113b,213b,413e,413f,513dを有する。
【0138】
この構成によれば、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が係合部13b,113b,213b,413e,413f,513dに引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0139】
また、羽根部13,113,213,413,513の内周面と爪片12,112の内周面とは、棒状化粧材Aの外周面に沿うように連続して形成される。
【0140】
この構成によれば、羽根部13,113,213,413,513の内周面と爪片12,112の内周面とが全周にわたって棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0141】
また、羽根部13,113,413,513は、爪片12,112よりも径方向の厚みが小さい。
【0142】
この構成によれば、羽根部13,113,413,513を薄膜によって形成することで、厚みのある羽根部を用いる場合よりも、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くすることができる。
【0143】
また、羽根部213は、爪片12と径方向の厚みが同じである。
【0144】
この構成によれば、羽根部213は、爪片12と厚みが同じであるため、係合部213bが径方向に大きくなり、係合部213bの面積も大きくなる。そのため、化粧材保持部211に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部213cに食い込み、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周面が羽根部213の係合部213bに引っ掛かる面積が大きくなるため、棒状化粧材Aの抜け防止効果を更に高めることができる。
【0145】
また、係合部13b,113b,213b,413e,413f,513dは、羽根部13,113,213,413,513の後端面に形成される。
【0146】
この構成によれば、化粧材保持部11に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部13c,113c,213c,413c,413d,513cに食い込むことで、化粧材保持部11,111、211,411,511への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が係合部13b,113b,213b,413e,413f,513dに引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0147】
また、爪片12は、ベース部端面15aから軸方向に延設され、爪片12と同じ厚みに形成されて棒状化粧材Aの外周面に沿って周方向に拡がる拡張部512aを有する。
【0148】
また、羽根部513は、拡張部512aから軸方向に離れた位置に設けられて拡張部512aとの間に空間部513cを形成し、係合部513dは、羽根部513の後端面に形成される。
【0149】
また、羽根部513は、爪片12よりも径方向の厚みが小さく、拡張部512aと周方向の幅が同じである。
【0150】
これらの構成によれば、拡張部512aと羽根部513との間には、空間部513cが形成される。空間部513cが設けられることで、化粧材保持部511に挿入された棒状化粧材Aの外周面が空間部513cに食い込むことで、化粧材保持部511への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が羽根部513の係合部513dに引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。そして、薄膜の羽根部513は、棒状化粧材Aの外周への密着度を高くし、ベース部端面15aから軸方向に延設される拡張部512aの内周面と爪片12の内周面とが周方向の広い範囲で棒状化粧材Aに密着するので、棒状化粧材Aを安定して保持することができる。
【0151】
また、羽根部413は、ベース部端面15aから軸方向に離れた位置に設けられてベース部端面15aとの間に第1空間部413cを形成する第1羽根部413aと、第1羽根部413aから軸方向に離れた位置に設けられて第1羽根部413aとの間に第2空間部413dを形成する第2羽根部413bと、を有し、第1係合部413eと第2係合部413fとは、第1羽根部413aの後端面と第2羽根部413bの後端面とに各々形成される。
【0152】
この構成によれば、第1空間部413c及び第2空間部413dが設けられることで、化粧材保持部411に挿入された棒状化粧材Aの外周面が第1空間部413c及び第2空間部413dに食い込むことで、化粧材保持部411への棒状化粧材Aの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Aが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Aの外周が第1係合部413e及び第2係合部413fに引っかかるため、棒状化粧材Aが抜けるのを防止することができる。
【0153】
また、羽根部13,113,213,413b,513は、ベース部端面15aから離れた先端部の内周面に、先端部に向けて棒状化粧材Aの外周面から離間するように傾斜するテーパ面12d,213aを有する。
【0154】
この構成によれば、テーパ面12d,213aが設けられることで、化粧材保持部11,111、211,411,511への棒状化粧材Aの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Aを挿入する際に棒状化粧材Aの後端部外周が羽根部13,113,213,413b,513によって削られることを防止できる。
【0155】
また、貫通孔20aは、棒状化粧材Aの外周面が軸方向に沿って摺動する壁状部22を更に有する。
【0156】
また、羽根部13,113,213,413,513の外径寸法は、壁状部22の内径寸法よりも大きい。
【0157】
また、爪片12,112は、周方向に間隔をあけて複数設けられ、羽根部13,113,213,413,513は、爪片12,112における周方向の両端部から各々延設され、壁状部22は、隣り合う爪片12,112から各々延設される一対の羽根部13,113,213,413,513の間にて棒状化粧材Aの外周面を支持するように設けられる。
【0158】
これらの構成によれば、爪片12,112は、4つの爪片を設ける場合と周方向の幅が同等のままで、4つから2つに数を減らしている。これに伴い、案内溝21も、爪片12,112の周方向の幅に羽根部13,113,213,413,513の周方向の幅を追加する必要はあるが、4つから2つに減らすことができる。したがって、貫通孔20aにおける案内溝21を除くすべての部分が壁状部22となり、壁状部22と棒状化粧材Aの外周面との間のクリアランスを最小にすることのできる面積を、従来よりも大きくすることができる。よって、芯チャック部材10,110,210,410,510の前進時及び後退時に棒状化粧材Aが傾いても、クリアランスを最小にすることのできる面積が大きいので、傾斜角度は小さい。よって、壁状部22が、棒状化粧材Aの外周面を軸方向に沿って充分な面積で常時支持することができるので、棒状化粧材Aの傾斜による芯折れを防止し、棒状化粧材Aの進退を安定させることができる。
【0159】
<第2実施形態>
次に、
図8から
図10を参照して、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧材繰出容器(以下、単に「繰出容器」と称する。)301について説明する。なお、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0160】
図8は、本発明の第2実施形態に係る繰出容器301の断面図であり、(a)は、芯チャック部材310が後退限に位置した状態を示す正面の断面図であり、(b)は、芯チャック部材310が後退限に位置した状態を示す側面の断面図であり、(c)は、
図8(a)におけるVIIIC-VIIIC線に沿う断面図であり、(d)は、
図8(a)におけるVIIID-VIIID線に沿う断面図である。
図9は、芯チャック部材310を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、平面図であり、(d)は、芯チャック部材310における化粧材保持部311を拡大して示した断面図である。
図10は、化粧材保持部311の拡大図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、
図10(a)におけるXC-XC線に沿う断面図であり、(d)は、
図10(a)におけるXD-XD線に沿う断面図である。
【0161】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、繰出容器301は、断面形状が略楕円形状の棒状化粧材Bを繰り出し可能な容器である。棒状化粧材Bは、棒状に成形される成形芯であり、例えばアイブロウ、アイライナー及びリップライナー等として用いられるものである。棒状化粧材Bは、棒状化粧材Aよりも軟質である。棒状化粧材Bの外径寸法は、後述する化粧材保持部311の内径寸法よりも僅かに大きく形成される。棒状化粧材Bにおける短軸と長軸との比は、短軸を1とした場合に長軸が略3である。
【0162】
繰出容器301は、棒状化粧材Bが進退可能である貫通孔320aを有する先筒320と、先筒320に相対回転可能に組み付けられる基筒330と、棒状化粧材Bを保持する棒状化粧材保持部材としての芯チャック部材310と、基筒330内に基筒330に対して相対回転不能に設けられる雌ねじ筒340と、を備える。
【0163】
先筒320は、軸方向に貫通する貫通孔320aが形成される筒状部材である。先筒320は、使用者が摘む摘部324と、摘部324と軸方向に連続して形成され基筒330内に嵌入される嵌入部327と、を有する。貫通孔320aの断面形状は、棒状化粧材Bの断面形状と相似しており、略楕円形状に形成されている。摘部324は、嵌入部327側から先端に向かって徐々に外径が小さくなるように軸方向にテーパ状に形成されている。
【0164】
嵌入部327の外周面には、基筒330に形成される後述する嵌合凹部332に嵌合する環状の嵌合凸部325と、Oリング302が装着されるOリング溝326と、が形成される。Oリング302は、先筒320と基筒330との間に圧縮された状態で設けられることで、先筒320と基筒330とを相対回転させる際に適度な抵抗を生じさせる。これにより、使用者の操作感を向上させることができる。
【0165】
貫通孔320aは、軸方向に沿って延設され、径方向外側に向かって突出して芯チャック部材310を軸方向に沿って案内する案内溝321と、棒状化粧材Bの外周面が軸方向に沿って摺動する第1壁状部322a及び第2壁状部322bと、を有する。第1壁状部322aと第2壁状部322bとは、壁状部322を構成する。
【0166】
図8(c)及び
図8(d)に示すように、案内溝321は、周方向に間隔をあけて複数(ここでは4つ)設けられる直線状の溝である。複数の案内溝321は、複数の爪片312の位置に対応するように、周方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0167】
案内溝321の内周面は、中心軸を中心とする円弧の一部を構成するように曲面状に形成される。案内溝321内には、芯チャック部材310の後述する爪片312が位置すると共に、後述する係合条部316が係合する。隣り合う案内溝321の間には、第1壁状部322a若しくは第2壁状部322bが各々形成される。
【0168】
案内溝321は、先筒320の後端面320cまで形成されている。案内溝321は、貫通孔320aの先端開口320bには至ることなく、その手前まで形成されている。
【0169】
案内溝321は、隣り合って平行に一対ずつ設けられる。一対の案内溝321は、中心軸を挟んで対向するように2組設けられる。案内溝321は、棒状化粧材Bの長軸に沿うように並べて配置される。
【0170】
第1壁状部322aは、周方向に複数設けられる。ここでは、第1壁状部322aは、周方向の2か所に設けられる。第1壁状部322aは、周方向にて長軸方向に隣り合う一対の案内溝321の間に設けられる。第1壁状部322aは、後述する隣り合う爪片312から各々延設される羽根部313の間にて棒状化粧材Aの外周面を支持する。第1壁状部322aは、中心軸を挟んで対向するように一対設けられる。一対の第1壁状部322aは、棒状化粧材Bを短軸方向に挟むように設けられる。第1壁状部322aは、棒状化粧材Bの外周面を支持できればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0171】
第2壁状部322bは、周方向に複数設けられる。ここでは、第2壁状部322bは、周方向の2か所に設けられる。第2壁状部322bは、周方向にて短軸方向に隣り合う案内溝321の間に設けられる。第2壁状部322bは、後述する隣り合う爪片312における羽根部313が設けられない他端部の間にて棒状化粧材Aの外周面を支持する。一対の第2壁状部322bは、中心軸を挟んで対向するように設けられる。一対の第2壁状部322bは、棒状化粧材Bを長軸方向に挟むように設けられる。第2壁状部322bは、棒状化粧材Bの外周面を支持できればよいので、対向する一対に限られるものではない。
【0172】
基筒330は、芯チャック部材310を収容すると共に先筒320の嵌入部327が嵌合され、雌ねじ筒340が挿入される収容孔333を有する有底筒状に形成された部材である。収容孔333には、先筒320の嵌合凸部325が嵌合される環状の嵌合凹部332が設けられる。
【0173】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、芯チャック部材310は、棒状化粧材Bを保持する化粧材保持部311と、化粧材保持部311が立設するベース部315と、を備える。
【0174】
化粧材保持部311は、棒状化粧材Bの軸方向に沿って延び棒状化粧材Bの外周面を保持する複数(ここでは4つ)の爪片312と、棒状化粧材Bの底部を保持する底面部としてのベース部端面315a(
図9(d)参照)と、周方向にて長軸方向に隣り合う爪片312の互いに対向する一端部のみから延設される羽根部313と、を備える。
【0175】
図9(d)に示すように、爪片312は、ベース部端面315aから軸方向に立設される。爪片312の外周面は、ベース部315における係合条部316の外周面よりも小径に形成される。爪片312の内周面は、棒状化粧材Bの外周面に沿うように曲面状に形成される。爪片312は、棒状化粧材Bを外周から挟むように4つ設けられる。複数の爪片312は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。爪片312は、中心軸を挟んだ2つずつが対向するように設けられる。
【0176】
図10(b)に示すように、各々の爪片312は、先端部に向けて棒状化粧材Bの外周面から離間するように傾斜するテーパ面312dを有する。
【0177】
テーパ面312dは、先端部に向かうほど対向する一対の爪片312の間の距離である内径が大きくなるように傾斜して形成される。テーパ面312dが設けられることで、化粧材保持部311への棒状化粧材Bの挿入が容易になると共に、棒状化粧材Bを挿入する際に棒状化粧材Bの後端部外周が爪片312によって削られることを防止できる。
【0178】
図10(a)及び
図10(b)に示すように、ベース部端面315aは、ベース部315における軸方向の先端部に設けられる。ベース部端面315aは、長軸と短軸とを有するように形成される棒状化粧材Bの断面形状と相似する形状に形成される。ベース部端面315aには、棒状化粧材Bの底面が当接する。
【0179】
周方向にて長軸方向に隣り合う爪片312は、ベース部端面315aから軸方向に延設される拡張部312aを有する。
【0180】
拡張部312aは、爪片312における周方向の一端部のみから延設される。具体的には、拡張部312aは、周方向にて長軸方向に隣り合う爪片312の互いに対向する一端部のみから延設される。拡張部312aは、棒状化粧材Bの外周面に沿って周方向に拡がる。周方向に対向する一対の拡張部312aどうしは、周方向に連結されず、間隔をあけて設けられる。拡張部312aは、爪片312と径方向の厚みが同じに形成される。
【0181】
拡張部312aは、爪片312の軸方向の一部に形成される。即ち、拡張部312aは、爪片312よりも短く延設される。
【0182】
拡張部312aの内周面は、棒状化粧材Bの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、拡張部312aの内周面と爪片312の内周面とは、棒状化粧材Bの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、ベース部端面315aから軸方向に延設される拡張部312aの内周面と爪片312の内周面とが周方向の広い範囲で棒状化粧材Bに密着するので、特に、棒状化粧材Bの後部を安定して保持することができる。
【0183】
拡張部312aは、爪片312と共に先筒320の案内溝321内に位置する。棒状化粧材Bの外周面は、爪片312と拡張部312aとの内周面に保持される。
【0184】
羽根部313は、拡張部312aから軸方向に離れた位置に設けられて拡張部312aとの間に空間部313cを形成する。
【0185】
羽根部313は、爪片312における周方向の一端部のみから延設される。具体的には、羽根部313は、周方向にて長軸方向に隣り合う爪片312の互いに対向する一端部のみから延設される。羽根部313は、棒状化粧材Bの周方向に沿って延設される。周方向に対向する一対の羽根部313どうしは、周方向に連結されず、間隔をあけて設けられる。
【0186】
羽根部313は、爪片312の軸方向の一部に形成される。即ち、羽根部313は、爪片312よりも短く延設される。
【0187】
このように、芯チャック部材310の化粧材保持部311は、爪片312から棒状化粧材Bの外周面に沿って周方向に延設され棒状化粧材Bの外周面を保持する羽根部313を有する。これにより、爪片312の数を減らしたとしても、羽根部313が設けられているので、棒状化粧材Bを保持するための充分な保持力を確保できる。したがって、爪片312の数を少なくしても棒状化粧材Bを安定して保持することができ、芯チャック部材310から棒状化粧材Bが抜けることを防止することができる。
【0188】
羽根部313の内周面は、棒状化粧材Bの外周面に沿うように曲面状に形成される。即ち、羽根部313の内周面と爪片312の内周面とは、棒状化粧材Bの外周面に沿うように連続して形成される。これにより、羽根部313の内周面と爪片312の内周面とが周方向の広い範囲で棒状化粧材Bに密着するので、棒状化粧材Bを安定して保持することができる。
【0189】
羽根部313は、径方向の厚さが約0.10~0.50[mm]の薄膜によって形成される。即ち、羽根部313は、爪片312及び拡張部312aよりも径方向の厚みが小さい。羽根部313を薄膜によって形成することで、厚みのある羽根部を用いる場合よりも、棒状化粧材Bの外周への密着度を高くすることができる。
【0190】
羽根部313は、拡張部312aと周方向の幅が同じである。羽根部313は、爪片312と共に先筒320の案内溝321内に位置する。棒状化粧材Bの外周面は、爪片312と羽根部313との内周面に保持される。
【0191】
羽根部313が設けられることで、棒状化粧材Bの外周面を弾性的に最適な保持力で保持することができ、棒状化粧材Bの保持面積が増加する。よって、保持力が更に増強され、棒状化粧材Bが化粧材保持部311から抜けることを防止できる。
【0192】
羽根部313は、棒状化粧材Bが軸方向に係合する係合部313bを有する。
【0193】
係合部313bは、羽根部313の後端面(軸方向のベース部端面315a側の端面)に形成される。係合部313bは、棒状化粧材Bの周方向に沿って設けられる。係合部313bの後方には、空間部313cが形成される。
【0194】
空間部313cは、拡張部312aと羽根部313との間に形成される。空間部313cが設けられることで、化粧材保持部311に挿入された棒状化粧材Bの外周面が空間部313cに食い込むことで、化粧材保持部311への棒状化粧材Bの係合を強固にすることができる。よって、衝撃などにより棒状化粧材Bが軸方向前方へ移動しそうになっても、棒状化粧材Bの外周が係合部313bに引っかかるため、棒状化粧材Bが抜けるのを防止することができる。
【0195】
先筒320の貫通孔320aには、棒状化粧材Bの外周面が軸方向に沿って摺動する壁状部322が設けられる。
図8(c)に示すように、先筒320に芯チャック部材310を組み付けると、案内溝321内に爪片312と羽根部313とが位置する。
【0196】
このとき、爪片312の拡張部312aの外径寸法は、第1壁状部322aの内径寸法よりも大きい。また、羽根部313の外径寸法は、第1壁状部322aの内径寸法よりも若干大きい。そのため、貫通孔320aにおける案内溝321を除くすべての部分が壁状部322となり、壁状部322と棒状化粧材Bの外周面との間のクリアランスを最小にすることのできる面積を、従来よりも大きくすることができる。
【0197】
よって、芯チャック部材310の前進時及び後退時に棒状化粧材Bが傾いても、クリアランスを最小にすることのできる面積が大きいので、傾斜角度は小さい。よって、壁状部322が、棒状化粧材Bの外周面を軸方向に沿って充分な面積で常時支持することができるので、棒状化粧材Bの傾斜による芯折れを防止し、棒状化粧材Bの進退を安定させることができる。そのため、棒状化粧材Bが極細かつ軟質で、繰り出しストロークが長く折れやすい場合であっても、芯チャック部材310の後退限から前進限まで全体にわたって棒状化粧材Bの傾斜による芯折れを防止することができる。
【0198】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、ベース部315は、案内溝321に対して周方向に係合する係合条部316と、係合条部316から軸方向に連続して形成される雄ねじ部317と、を有する。
【0199】
係合条部316は、爪片312が立設されるベース部端面315aと雄ねじ部317との間の部分の外周に形成される。係合条部316は、軸方向に沿って直線状に形成される。係合条部316は、爪片312から軸方向に連続して形成される。係合条部316が先筒320の案内溝321に係合することで、先筒320と芯チャック部材310との周方向への相対回転が規制される。隣り合う係合条部316の間には、溝部端面319まで溝部が形成される。溝部端面319は、先筒320における第1壁状部322aの後端面320cに当接した状態で、芯チャック部材310の前進限を規定する。
【0200】
雄ねじ部317は、係合条部316から軸方向に連続して係合条部316よりも小径に形成される部分の外周に突出するように複数設けられる。雄ねじ部317は、周方向の1か所に設けられる。これに代えて、雄ねじ部317を周方向の複数個所(例えば2か所)に設けてもよい。雄ねじ部317は、雌ねじ筒340の雌ねじ部343に螺合する。
【0201】
雌ねじ筒340は、芯チャック部材310の雄ねじ部317が螺合する雌ねじ部343が軸方向に貫通して形成された樹脂製の筒状部材である。雌ねじ筒340は、基筒330内に挿入された際に基筒330の段部335に当接する後端面344と、基筒330に先筒320が組付けられた際に先筒320の後端面320cに当接する前端面342と、を有する。
【0202】
雌ねじ筒340の外周面には、軸方向に延びる複数の縦リブ(図示省略)が周方向に等間隔で形成されている。縦リブは、基筒330の内周面に形成されたローレット(図示省略)と係合し、雌ねじ筒340が基筒330に対して回転することを防止する回転止めとして機能する。
【0203】
雌ねじ筒340の雌ねじ部343に芯チャック部材310の雄ねじ部317が螺合した状態で、先筒320と基筒330とを相対回転させると、芯チャック部材310は先筒320と一体に回転し、雌ねじ筒340は基筒330と一体に回転するので、芯チャック部材310と基筒330とが相対回転する。これにより、雌ねじ部343に対して芯チャック部材310の雄ねじ部317が回転するので、芯チャック部材310は雌ねじ筒340に対して軸方向に相対移動する。即ち、先筒320と基筒330との相対回転によって、芯チャック部材310により保持された棒状化粧材Bを、先筒320の貫通孔320aの先端開口320bから進退させる繰出機構が構成される。
【0204】
このように、繰出容器301では、雌ねじ筒340と芯チャック部材310とにより棒状化粧材Bを軸方向に繰り出す繰出機構が構成されており、先筒320と基筒330とを相対回転させると先筒320及び基筒330内で芯チャック部材310が軸方向に進退し、芯チャック部材310の進退に応じて棒状化粧材Bも進退する。
【0205】
具体的には、使用者が先筒320と基筒330とを順方向に相対回転させたときには、芯チャック部材310が先筒320の先端開口320bに向かって軸方向に移動して棒状化粧材Bを前進させる。これにより、先端開口320bから棒状化粧材Bが繰り出される。一方、使用者が先筒320と基筒330とを逆方向に相対回転させたときには、芯チャック部材310が逆方向に移動して棒状化粧材Bを後退させる。これにより、棒状化粧材Bが繰り戻される。芯チャック部材310の係合条部316は、雌ねじ筒340を挿通不能に形成されている。そのため、芯チャック部材310の後退に伴って係合条部316が雌ねじ筒340と当接し、芯チャック部材310の後退限が規定される。
【0206】
以上の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0207】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0208】
1,301 棒状化粧材繰出容器(繰出容器)
10,110、210,310,410,510 芯チャック部材(棒状化粧材保持部材)
11、111,211,311,411,511 化粧材保持部
12,112,312 爪片
12d,312d テーパ面
13、113,213,313,413,513 羽根部
13a,213a テーパ面
13b,112c,113b,213b、313b,513d 係合部
13c,113c,213c,313c,513c 空間部
15,315 ベース部
15a,315a ベース部端面(底面部)
20,320 先筒
20a,320a 貫通孔
20b、320b 先端開口
21,321 案内溝
22,322 壁状部
30,330 基筒
312a,512a 拡張部
322a 第1壁状部
322b 第2壁状部
413a 第1羽根部
413b 第2羽根部
413c 第1空間部
413d 第2空間部
413e 第1係合部
413f 第2係合部
A,B 棒状化粧材
【手続補正書】
【提出日】2023-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0198
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0198】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、ベース部315は、案内溝321に対して周方向に係合する係合条部316と、
周方向にて短軸方向に隣り合う一対の係合条部316
の間の部分の後端から軸方向に連続して形成される雄ねじ部317と、を有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0199
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0199】
係合条部316は、爪片312が立設されるベース部端面315aと雄ねじ部317が形成される軸方向の位置との間の部分の外周に形成される。係合条部316は、軸方向に沿って直線状に形成される。係合条部316は、爪片312から軸方向に連続して形成される。係合条部316が先筒320の案内溝321に係合することで、先筒320と芯チャック部材310との周方向への相対回転が規制される。周方向にて長軸方向に隣り合う係合条部316の間には、溝部端面319まで溝部が形成される。溝部端面319は、先筒320における第1壁状部322aの後端面320cに当接した状態で、芯チャック部材310の前進限を規定する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0200
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0200】
雄ねじ部317は、周方向にて短軸方向に隣り合う一対の係合条部316の間の部分の後端から軸方向に連続して係合条部316よりも小径に形成される部分の外周に突出するように複数設けられる。雄ねじ部317は、周方向の1か所に設けられる。これに代えて、雄ねじ部317を周方向の複数個所(例えば2か所)に設けてもよい。雄ねじ部317は、雌ねじ筒340の雌ねじ部343に螺合する。