(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083102
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】釣用のルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/01 20060101AFI20240613BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A01K85/01 Z
A01K85/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197424
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】八木 啓之
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA46
2B307BB03
2B307BB04
2B307BB10
(57)【要約】
【課題】 外部光の反射の際の反射率を向上させてより強い光輝度で反射することを可能としかつ様々な方向への反射光の形成を可能ならしめることで、より確実にフィッシュイーターを誘引することが可能な誘引部を備えたルアーを提供する。
【解決手段】 本発明の一実施形態に係る釣用のルアーは、内部に空洞を有する本体部を備える釣用のルアーであって、該空洞は外部から一部又は全部が視認可能であり、外部からの光を鏡面反射可能な1又は複数の反射面又は反射体が、前記本体部の内面又は前記空洞内の少なくともいずれかに設けられ、前記1又は複数の反射面又は反射体の少なくとも1つは、前記外部からの光を全反射可能なように配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞を有する本体部を備える釣用のルアーであって、
該空洞は外部から一部又は全部が視認可能であり、
外部からの光を鏡面反射可能な1又は複数の反射面又は反射体が、前記本体部の内面又は前記空洞内の少なくともいずれかに設けられ、
前記1又は複数の反射面又は反射体の少なくとも1つは、前記外部からの光を全反射可能なように配置されることを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記1又は複数の反射面又は反射体が複数設けられる場合、複数の反射面又は反射体は、それぞれの反射面が互いに異なる方向となるように設けられる、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記本体部の内面又は外面は平面又は球面であり、前記1又は複数の反射面又は反射体は、前記平面又は球面に沿って設けられる、請求項1に記載のルアー。
【請求項4】
前記本体部の内面又は外面は湾曲面であり、前記1又は複数の反射面又は反射体は、前記湾曲面に沿って設けられる、請求項1に記載のルアー。
【請求項5】
前記湾曲面は、前記ルアーの前後の延伸方向に垂直な方向に湾曲している、請求項4に記載のルアー。
【請求項6】
前記湾曲面は、前記ルアーの上下の延伸方向に垂直な方向に湾曲している、請求項4に記載のルアー。
【請求項7】
前記1又は複数の反射面又は反射体が、前記本体部の外面又は内面と、前記空洞内とに設けられる場合、前記外部からの光は、前記本体部の外面、前記本体部の内面又は前記空洞内の少なくともいずれかにおいて全反射される、請求項1に記載のルアー。
【請求項8】
前記反射面は、円形、多角形、円弧状又は鱗状に形成される、請求項1に記載のルアー。
【請求項9】
前記反射体は、少なくともその一部が、円柱、波形、多角体、多面体、球体又は瓦状に形成される、請求項1に記載のルアー。
【請求項10】
前記1又は複数の反射面又は反射体は、前記本体部と一体として形成されている、請求項1に記載のルアー。
【請求項11】
前記1又は複数の反射面又は反射体が本体部の内面に設けられる場合、該1又は複数の反射面又は反射体は、それぞれの反射面に、樹脂メッキ、蒸着塗装、あるいは、フォロフィルム、反射ミラーフィルム、又はホログラムシートの貼付け、あるいは鏡面の金属接着、樹脂接着又はガラスシート接着により形成される、請求項1に記載のルアー。
【請求項12】
前記本体部は、樹脂又は金属により形成される、請求項1から11までのいずれか1項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣用のルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ルアーフィッシングでは、フィッシュイーターを捕獲するため、小魚等のベイトに疑似された疑似餌(ルアー)が用いられている。このようなルアーとして、餌木、スプーン、プラグ、スピナー、ジグ、プラスチックルアー等様々な種類のものが知られている。
【0003】
このようなルアーの1つとして、特許文献1には、フィッシングに用いる疑似餌等の魚誘引具に係り、特に本体内に光線を反射する物体を液体と共に封入して反射体の移動により複雑な反射光を発現し、釣果を上げることが出来るようにした魚誘引具が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、一対の透明ないし半透明の素材からなる半割りのルアー部材を内部が中空となる間隔をもって貼り合わせてなり、上記半割りのルアー部材が内面に多数の凹凸を有する乱反射層を備えるとともに、乱反射層の表面に反射膜が形成され、かつ外面を平滑層とした発色性ルアーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-75628号公報
【特許文献2】特開平9-154438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような漁誘引具では、光の反射をもたらし得るものの、反射光が弱くなってしまうか、小片に当たる外部からの光の角度によっては、反射光がそもそもフィッシュイーターに届かないため、魚の誘引効果が必ずしも高くならないという問題があった。また、特許文献2のような発色性ルアーでも、乱反射を行わしめるものに過ぎず、反射光が拡散してしまうため強い反射光を形成できず、その結果フィッシュイーターに気付かれにくく、魚の誘引効果が必ずしも高くならないという問題があった。
【0007】
本発明の実施形態は、外部光の反射の際の反射率を向上させながらより強い光輝度で反射することを可能としかつ様々な方向への反射光の形成を可能ならしめることで、より確実にフィッシュイーターを誘引することが可能な誘引部を備えたルアーを提供することを目的の一つとする。本発明の実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーは、内部に空洞を有する本体部を備える釣用のルアーであって、該空洞は外部から一部又は全部が視認可能であり、外部からの光を鏡面反射可能な1又は複数の反射面又は反射体が、前記本体部の外面、前記本体部の内面又は前記空洞内の少なくともいずれかに設けられ、前記1又は複数の反射面又は反射体の少なくとも1つは、前記外部からの光を全反射可能なように配置される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記1又は複数の反射面又は反射体が複数設けられる場合、複数の反射面又は反射体は、それぞれの反射面が互いに異なる方向となるように設けられる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記本体部の内面又は外面は平面又は球面であり、前記1又は複数の反射面又は反射体は、前記平面又は球面に沿って設けられる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記本体部の内面又は外面は湾曲面であり、前記1又は複数の反射面又は反射体は、前記湾曲面に沿って設けられる。また、本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記湾曲面は、前記ルアーの前後の延伸方向に垂直な方向に湾曲している。また、本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記湾曲面は、前記ルアーの上下の延伸方向に垂直な方向に湾曲している。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記1又は複数の反射面又は反射体が、前記本体部の外面又は内面と、前記空洞内とに設けられる場合、前記外部からの光は、前記本体部の外面、前記本体部の内面又は前記空洞内の少なくともいずれかにおいて全反射される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記反射面は、円形、多角形、円弧状又は鱗状に形成される。また、本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記反射体は、少なくともその一部が、円柱、波形、多角体、多面体、球体又は瓦状に形成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーは、前記1又は複数の反射面又は反射体は、前記本体部と一体として形成されている。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記1又は複数の反射面又は反射体が本体部の内面に設けられる場合、該1又は複数の反射面又は反射体は、それぞれの反射面に、樹脂メッキ、蒸着塗装、あるいは、フォロフィルム、反射ミラーフィルム、又はホログラムシートの貼付け、あるいは鏡面の金属接着、樹脂接着又はガラスシート接着により形成される。
【0016】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、前記本体部は、樹脂又は金属により形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の様々な実施形態によって、外部光の反射の際の反射率を向上させながらより強い光輝度で反射することを可能としかつ様々な方向への反射光の形成を可能ならしめることで、より確実にフィッシュイーターを誘引することが可能な誘引部を備えたルアーを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の概略図である。
【
図2】(a)本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の断面図である。(b)本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の形状を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の形状を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1における反射面6の配置方法を説明する図である。
【
図6】(a)本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の断面図である。(b)本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の反射面6を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の反射体を説明する図である。
【
図9】本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1の断面図である。
【
図10】本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1の断面図である。
【
図11】本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1の断面図である。
【
図12】本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の様々な実施形態を適宜図面を参照して説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0020】
図1、2を参照して、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1について説明する。
図1、2に示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1は、内部に空洞11を有する本体部2を備え、該空洞11は外部から一部又は全部が視認可能であり、外部からの光を鏡面反射可能な1又は複数の反射部材4(複数の反射体面6(図示の例)又は反射体)が、該本体部2の内面又は該空洞11内の少なくともいずれか(図示の例は、本体部2の内面)に設けられ、該1又は複数の反射部材4(図示の例では、1又は複数の反射面6)の少なくとも1つは、該外部からの光を全反射可能なように配置される。ここで、
図2(a)では、複数の反射面6が、本体部2内面に本体部2に沿って並べられ、各反射面が隣接する反射面と一部接触するように設けられており、
図2(b)では、複数の反射面6が、本体部2内面に本体部2に沿って並べられ、各反射面が隣接する反射面と側部全体が接触するように設けられている。なお、1又は複数の反射部材4(例えば、反射面6)が設けられるという場合、1又は複数の反射部材4(反射面6)と本体部2とが一体又は別体として設けるようにしてもよい。1又は複数の反射部材4(反射面6)と本体部2とが別体として設けられる場合でも、1又は複数の反射部材4(反射面6)の一部又は全部が本体部2と接触するようにして設けてもよい(本明細書を通じて同様とする)。また、1又は複数の反射部材4が該本体部2の内面と該空洞11内とに設けられた場合、該本体部2の内面に設けた反射部材4で全反射を行わせるだけでなく、空洞11内に設けた反射部材4においても全反射を行わせることができる。また、1又は複数の反射部材4が該本体部2の内面と該空洞11内とに設けられた場合、該本体部2の内面又は該空洞11内のいずれか一方で全反射を行わせ、他方で鏡面反射を行わせるようにしてもよい。複数の反射部材4(例えば、反射面6又は反射体)が本体部2の内面に該本体部2と一体のものとして設けられ、かつ空洞11内に反射面6を設け、一部の外部光は、当該複数の反射部材4において全反射され、残りの外部光は、該空洞11内に屈折光として入射し、該空洞11内に設置された反射面6で鏡面反射されるように構成してもよい。なお、空洞11内には、例えば、鉛やその他の材料を埋め込むようにしてもよい。その際、埋め込まれた部材の外面と本体部の内面との間に、例えば、空気の層や真空の層が形成されるようにしてもよい。
【0021】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1によれば、外部光の反射の際の反射率を向上させながら外部光を強い光輝度で反射することを可能としかつ様々な方向への反射光の形成を可能ならしめることで、より確実にフィッシュイーターを誘引することが可能な誘引部を備えたルアーを提供することが可能となる。
【0022】
ここで、屈折率の大きな媒質から屈折率の小さな媒質に光線が入射する場合、屈折角は入射角よりも大きくなるが、入射角が大きくなると屈折角が90°に達し(この場合の入射角を臨界角という)、入射角がこの臨界角を超えると、屈折光がなくなり光線が全て反射される状態となり、この状態を全反射と言うが、入射光が全反射を起こさせるようにすることで、反射率を100%(理論上)又は100%に近い値に向上させることができる。また、臨界角θcは、下記のように算出することができる。
【0023】
これを踏まえ、例えば、ルアー1の本体部2及びその内面に設けられる反射部材4の素材としてポリカーボネードを使用する場合、その屈折率は1.585であり、該本体部2の内部の空洞11内は空気で満たされているとすると、その屈折率は1.000であることから、臨界角θcは、39.1°となる。また、例えば、ルアー1の本体部2及びその内面に設けられる反射部材4の素材としてABSを使用する場合、その屈折率は1.57であり、該本体部2の内部の空洞11内は空気で満たされているとすると、その屈折率は1.000であることから、臨界角θcは、39.6°となる。このようにして、入射光の入射角がこうした臨界角θcを超える場合には全反射を行わしめることができる。こうしたことから、反射部材4は、屈折率の大きな媒質から屈折率の小さな媒質に光線が入射する箇所に設けるようにするとよい。また、入射光の角度がこうした臨界角を超えるような角度とするため、ルアー1に設ける反射部材4の反射面の角度が様々な方向を向くように反射部材を設けることが有効となることが判明した。他方で、ルアー1の外部(すなわち水中)からルアー1の本体部2の外面では、海水の屈折率が1.343であるのに対して本体部の屈折率(上述のポリカーボネードの場合)は1.585であることから、上記式により臨界角θcは90°よりも大きい値となる、すなわち全反射されず、本体部2を透過することとなる。そして、こうした透過光(入射光)の入射角が、上述の通り臨界角θcを超える場合には全反射を行わしめることができる。また、当該透過光(入射光)が臨界角θcを超えない場合は、当該透過光は空洞11内に屈折光として入射し、既述の通り、該空洞11内に設置された反射面6で鏡面反射されるように構成することができる。
【0024】
また、これに加えて、反射部材4の反射面で鏡面反射を行わしめるようにすることで、外部光の反射の際の減衰を低減しより強い光輝度で反射することが可能となる。ここで、反射部材4は、鏡面反射を行うため、反射部材4の反射面は反射の法則(反射において入射角と反射角は等しく逆符号である)が成り立つ平面に形成されている(以下同様)。鏡面反射は、通常の拡散反射と比して反射光の輝度が高いため、外部光の鏡面反射を行わしめることで反射光の強さを大幅に高めることができ、その結果反射光を遠くまで伝達することができることが判っている(以下同様)。ここで、鏡面反射と拡散反射の反射輝度は諸条件により変化するが、同一条件下であれば拡散反射は鏡面反射の概ね1/5以下の輝度である。本発明において「鏡面反射」という場合、理想的な鏡面反射だけでなく、それに比して40%以上の輝度の反射(本明細書では準鏡面反射と呼ぶ)も含むことに留意されたい。
【0025】
出願人による最近の研究により、フィッシュイーターがベイトフィッシュを捕食するメカニズムが徐々に明らかになってきているが、フィッシュイーターが捕食するのに最も依存しているのが視覚である。しかしながら、魚種により異なるものの、そもそも魚の視力は総じて人間と比較して悪く、明瞭に捉えることできる距離は数メートルに過ぎないことが判ってきている。このようなことから、視力に頼る限りにおいては、フィッシュイーターは、目の前にベイトフィッシュが来るのを待って捕食する必要があることとなるが、実際には、フィッシュイーターは、ベイトフィッシュの反射光を手掛かりとして遠方から明瞭に見える距離まで急接近していき、最終的に目視で確認して捕食するというプロセスを辿る。出願人による同研究によれば、フィッシュイーターは、例えば、ギラっと光るイワシのようなベイトフィッシュが放つのと同じ自然光の鏡面反射光に最も強く反応するものであるところ、例えば、自然界には存在しない水中で遠方まで届く強力な人口灯は、魚類が元来強過ぎる光を嫌う傾向があることから逆効果であり,また、従来公知のルアーは入射光を拡散反射する拡散反射光であるため、反射輝度が弱く遠方まで反射光を到達させることが不可能となる。このように、フィッシュイーターから見ると、より遠くまで到達する高輝度の鏡面反射光を放つルアーが「まさに餌」として相応しいことを本願発明者は見出した。こうした技術的知見は、魚の行動・魚体構造を科学的に分析した結果、本出願人が導き出したものであり、従来公知の技術では考慮されていなかったものであると言える。
【0026】
また、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、当該1又は複数の反射部材4(反射面6又は反射体)が複数設けられる場合、複数の反射部材のそれぞれの反射面が互いに異なる方向となるように設けられる。このようにして、ルアー1に設ける反射部材4の反射面の角度が様々な方向を向くように反射部材を設けることで、より効果的に入射光の角度が臨界角を超えるような角度とすることが可能となる。
【0027】
次に、
図3及び
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、当該本体部2の内面又は外面は平面又は球面であり、当該1又は複数の反射部材4(反射面6又は反射体)は、平面又は球面に沿って設けられる。
【0028】
次に、
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、当該本体部2の内面(図示の例の場合)又は外面は湾曲面2aであり、1又は複数の反射面6(図示の場合)又は反射体は、当該湾曲面2aに沿って設けられる。また、同
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、当該湾曲面2aは、ルアー1の前後の延伸方向(X)に垂直な方向に湾曲している。また、同
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、当該湾曲面2aは、ルアー1の上下の延伸方向(Y)に垂直な方向に湾曲している。
【0029】
次に、
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1について説明する。
図6に示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1は、内部に空洞11を有する本体部2を備え、該空洞11は外部から一部又は全部が視認可能であり、外部からの光を鏡面反射可能な1又は複数の反射部材4(反射面6)が、該本体部2の内面又は該空洞11内の少なくともいずれか(図示の例は、空洞11内)に設けられる。ここで、
図6(a)では、反射面6が、空洞11内において紙面の上下方向に設けられ、
図6(b)では、反射面6が、空洞11内において紙面の左右方向に設けられている。なお、1又は複数の反射部材4(例えば、反射面6)が設けられるという場合、1又は複数の反射部材4(反射面6)と本体部2とが一体又は別体として設けるようにしてもよい。1又は複数の反射部材4(反射面6)と本体部2とが別体として設けられる場合でも、1又は複数の反射部材4(反射面6)の一部又は全部が本体部2と接触するようにして設けてもよい(本明細書を通じて同様とする)。ここで、鏡面反射させることが可能に構成されている当該上下方向の反射部材4(反射面6)は、V字形状が複数連続して形成されている(V字状という)反射部材4(反射面6)であってもよいし、波形状が複数連続して形成されている(波状という)反射部材4(反射面6)であってもよい。ここで、当該上下方向の反射部材4(反射面6)は、V字形状又は波形状が連続ではなく断続的に形成されるようにしてもよい。また、鏡面反射させることが可能に構成されている当該左右(水平)方向の反射部材4(反射面6)は、V字形状が複数連続して形成されている(V字状という)反射部材4(反射面6)であってもよいし、波形状が複数連続して形成されている(波状という)反射部材4(反射面6)であってもよい。ここで、当該水平方向の反射部材4(反射面6)は、V字形状又は波形状が連続ではなく断続的に形成されるようにしてもよい。このような反射部材4(反射面6)を設けることで、多方向への反射が可能となる。なお、V字形状又は波形状が形成される方向は、反射面6を正面からみて、縦方向や横方向に限らず、当該縦方向に対して傾斜する方向(傾斜方向)であってもよく、特定の方向に限定されるものではない。
【0030】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1によれば、外部光の反射の際の反射率を向上させながら外部光をより強い光輝度で反射することを可能としかつ様々な方向への反射光の形成を可能ならしめることで、より確実にフィッシュイーターを誘引することが可能な誘引部を備えたルアーを提供することが可能となる。特に、反射面を屈折率の大きな媒質(空洞内に設けられる反射部材)から屈折率の小さな媒質(空洞内の空気)に光線が入射する箇所に設けるようにすることで全反射を行わしめることが可能となる。また、反射面において鏡面反射を行わしめるようにすることで、外部光の反射の際の減衰を低減しより強い光輝度で反射することが可能となる。
【0031】
ここで、外部からの光を鏡面反射可能な1又は複数の反射部材4(反射面6、反射体)は、該本体部2の外面と該本体部2の内面、該本体部2の外面と該空洞11内、又は該本体部2の内面と該空洞11内に設けるようにしてもよい。このようにして、本体部2の外面、本体部2の内面又は空洞11内に設けた反射部材4の少なくとも2箇所で鏡面反射を行わせることもできる。また、例えば、本体部2の外面で鏡面反射を、本体部2の内面又は空洞11の少なくともいずれかで全反射及び鏡面反射を行うように構成してもよい。ここで、外部からの光を鏡面反射可能な1又は複数の反射部材4(反射面6、反射体)は、該本体部2の外面と該本体部2の内面と該空洞11内に設けるようにしてもよい。
【0032】
次に、
図7に示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、該反射面6は、円形、三角、四角、五角や六角等を含む多角形(
図7a、
図7b、
図7c、
図7f、
図7gの場合)、円弧状又は鱗状(
図7d、
図7eの場合)に形成される。また、複数の反射面6が設けられる場合、各反射面は、同一面に配置してもよいし、本体部2の形状に沿って曲面に配置してもよい(以下同様)。また、各反射面は、所定の同じ角度若しくは異なる角度分だけ傾斜して配置されるようにしてもよい(以下同様)。このようにして、鏡面反射する反射面を多数設け、ベイトフィッシュのようにリアルな鏡面反射光を放つようにせしめることで効果的なアピールが可能となる。
【0033】
次に、
図8に示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、該反射体は、少なくともその一部が、円柱(
図8aの場合)、波形(
図8bの場合)、多角柱や多角錐などの多角体(
図8cの場合)、多面体(
図8dの場合)、球体(
図8eの場合)、瓦状(
図8(f)の場合、瓦状の積層)に形成される。このようにして、より多くの方向からの入射光に対して鏡面反射を行わしめることが可能となる。
【0034】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、1又は複数の反射面6又は反射体が本体部2の内面に設けられる場合、該1又は複数の反射面6又は反射体は、例えば、該1又は複数の反射面又は反射体は、それぞれの反射面に、樹脂メッキ、蒸着塗装、あるいは、フォロフィルム、反射ミラーフィルム、又はホログラムシートの貼付け、あるいは鏡面の金属接着、樹脂接着又はガラスシート接着により鏡面が形成されるが、これらに限定されるものではない。このようにして、例えば、ルアー腹部(下面)のように水面上からの光が入射し易い部位に用いて反射効率を向上させ、より強い反射光を放つようにしたり、あるいは弱い入射光も確実に反射させることが可能となる。また、形成する反射面が、鏡面反射を行うか又は拡散反射を行うかは、形成する反射面の表面粗度・平面度や材質などの要素に大きく左右されるが、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1における1又は複数の反射部材4の鏡面反射面は、理想的な鏡面反射に比して40%以上の輝度の反射を可能とする材質及び表面粗度を決定し、上述の形成方法を用いることで形成可能である。例えば、樹脂射出成型の場合、特に、金型面の表面粗度に影響されるが、成型材料による差(例えば、アクリルと比較した場合、ルアーへの使用頻度の高いABSは表面粗度が粗い等)も鏡面形成に大きく影響し得る。このような場合でも、透明塗料を鏡面に薄く塗装することで表面粗度の影響を低減することができる。
【0035】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、本体部2は、樹脂(例えば、ABS、アクリル等)又は金属(例えば、亜鉛、鉛、タングステン等)により形成される。また、本体部2は、その一部が樹脂(例えば、ABS、アクリル等)又は金属(例えば、亜鉛、鉛、タングステン等)の少なくともいずれかにより形成されるようにしてもよい。また、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー2において、反射面6又は反射体が複数設けられる場合、各反射面6又は反射体は同じ形状又は異なる形状のいずれであってもよい。また、本体部2に設けた複数の反射部材4(反射面6又は反射体)のそれぞれには前述の透明塗料が塗装されるようにしてもよい。また、反射プリズムが設けられていない一方側本体部2b及び他方側本体部(図示しない)に当該透明塗料が塗装されるようにしてもよい。なお、透明塗料の材料は、例えば、ウレタン系透明塗料又はアクリル系透明塗料であり、厚みは0.01mmから0.6mmの範囲、好ましくは0.01mmから0.1mmの範囲であり、反射プリズムに塗装される場合、透明塗料により反射プリズムの頂点の角度に影響がない程度に塗装される、又は、金型による傷を埋めることができる程度に塗装され、傷による乱反射を防止するようにされる。
【0036】
次に、
図9を参照して、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1について説明する。
図9は、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1の断面図(ルアー1の延伸方向に垂直な断面でみた図)を示す。図示のように、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1は、その本体部2の内面に沿って複数の凹部12と凸部13とを形成するように構成されている。当該凹部12又は当該凸部13の少なくともいずれかを鏡面反射可能な反射部材4の反射面として構成することで、当該凹部12又は当該凸部13の少なくともいずれかにおいて鏡面反射を行わしめ、かつ当該凹部12又は当該凸部13の少なくともいずれかにおいて該外部からの光を全反射可能なように構成される。ここで、複数の凹部12と凸部13とは、本体部2の内面の一部に設けるようにしてもよい。なお、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1における本体部2の複数の凹部12と凸部13とは、例えば、金型を用いて形成することができる。
【0037】
次に、
図10を参照して、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1について説明する。
図10は、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1の断面図(ルアー1の延伸方向に垂直な断面でみた図)を示す。図示のように、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1は、その本体部2の内面に沿って複数の段部14を形成するように構成されている。当該段部14は、側部14aと上部14bとを有し、当該側部14a又は当該上部14bの少なくともいずれかを鏡面反射可能な反射部材4の反射面として構成することで、当該側部14a又は当該上部14bの少なくともいずれかにおいて鏡面反射を行わしめ、かつ当該側部14a又は当該上部14bの少なくともいずれかにおいて該外部からの光を全反射可能なように構成される。ここで、複数の段部14は、本体部2の内面の一部に設けるようにしてもよい。なお、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1における本体部2の複数の側部14aと上部14bとは、例えば、金型を用いて形成することができる。
【0038】
次に、
図11を参照して、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1について説明する。
図11は、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1の断面図(ルアー1の延伸方向に垂直な断面でみた図)を示す。図示のように、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1は、その本体部2の内面に沿って複数の突出部15を形成するように構成されている。当該突出部15は、例えば、多角推(三角錐、四角錐、五角錐又は六角錐)の形状をなしており、当該多角推の面の少なくともいずれかを鏡面反射可能な反射部材4の反射面として構成することで、当該多角推の面の少なくともいずれかにおいて鏡面反射を行わしめ、かつ当該多角推の面の少なくともいずれかにおいて該外部からの光を全反射可能なように構成される。ここで、複数の突出部15は、本体部2の内面の一部に設けるようにしてもよい。なお、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1における本体部2の複数の当該突出部15は、例えば、金型を用いて形成することができる。
【0039】
次に、
図12を参照して、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1について説明する。
図12は、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1の断面図(ルアー1の延伸方向に垂直な断面でみた図)を示す。図示のように、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1は、その本体部2の内面に沿って複数の切欠部16を形成するように構成されている。当該切欠部16の少なくともいずれかを鏡面反射可能な反射部材4の反射面として構成することで、当該切欠部16の少なくともいずれかにおいて鏡面反射を行わしめ、かつ当該切欠部16の少なくともいずれかにおいて該外部からの光を全反射可能なように構成される。ここで、複数の切欠部16は、本体部2の内面の一部に設けるようにしてもよい。なお、本発明のその他の実施形態に係る釣用のルアー1における本体部2の複数の切欠部16は、例えば、金型を用いて形成することができる。
【0040】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 ルアー
2 本体部
2a 湾曲面
3 支持部材
4 反射部材
5 支持受部
6 反射面
11 空洞
12 凹部
13 凸部
14 段部
14a 側部
14b 上部
15 突出部
16 切欠部