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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083105
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ボーディングブリッジ
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/305 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
B64F1/305
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197432
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】518337876
【氏名又は名称】三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】寳田 明
(72)【発明者】
【氏名】大▲浜▼ 祐太
(57)【要約】
【課題】固定脚用基礎に対する負荷を低減することが可能なボーディングブリッジを提供する。
【解決手段】ボーディングブリッジは、トンネル部と、トンネル部を挟むように設けられた一対の支柱と、一対の支柱を下方から支持する走行部と、走行部に併設された一対のスタビライザーと、を備え、走行部は、一対の支柱の下端同士を接続するフレームと、フレームに対して揺動可能に支持された台車と、台車に設けられた一対の車輪と、を有し、スタビライザーは、フレームから延びる第一部材と、第一部材の下方に設けれた第二部材と、第一部材、及び第二部材との間に設けられた減衰部材、及び弾性部材と、第二部材の下端に設けられて、路面に接地している接地部材と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナルビルと航空機との間を接続可能なトンネル部と、
該トンネル部を幅方向の両側から挟むように設けられた一対の支柱と、
該一対の支柱を下方から支持する走行部と、
該走行部に併設された一対のスタビライザーと、
を備え、
前記走行部は、
前記一対の支柱の下端同士を前記幅方向に接続するフレームと、
該フレームに対して前記幅方向両側に揺動可能に支持された台車と、
該台車の前記幅方向両側に設けられた一対の車輪と、
を有し、
前記スタビライザーは、
前記フレームから下方に向かって延びる第一部材と、
該第一部材の下方に設けれた第二部材と、
前記第一部材、及び前記第二部材との間に設けられた減衰部材、及び弾性部材と、
前記第二部材の下端に設けられて、路面に接地している接地部材と、
を有するボーディングブリッジ。
【請求項2】
前記接地部材は、前記路面上で転動可能な小車輪であり、該小車輪は、前記第一部材、及び前記第二部材の延びる方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持されている請求項1に記載のボーディングブリッジ。
【請求項3】
前記接地部材は、前記路面に摺接可能な接地プレートであり、該接地プレートは、前記第二部材に対して揺動可能な状態で接続されている請求項1に記載のボーディングブリッジ。
【請求項4】
前記接地プレートと前記第二部材とを接続する球面軸受をさらに有する請求項3に記載のボーディングブリッジ。
【請求項5】
前記弾性部材は、伸長バネである請求項1から4のいずれか一項に記載のボーディングブリッジ。
【請求項6】
前記減衰部材は、オイルダンパである請求項1に記載のボーディングブリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボーディングブリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
ボーディングブリッジは、例えば、空港のターミナルビルと航空機とを連絡するトンネル状の通路であり、ターミナルビルと航空機との間で乗客の直接の乗り降りを可能にする。ボーディングブリッジは、入れ子式に嵌合された複数のトンネル部(通路部)を備え、これらのトンネル部が長手方向に相互に相対移動することによって伸縮する。これによって、ターミナルビルと航空機との間に生じる様々な間隔に対応できる。このようなボーディングブリッジの一例として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。ボーディングブリッジは、トンネル部のターミナルビル側においてトンネル部とターミナルビルを接続するロタンダを有し、ロタンダの下部には、固定脚が地盤中の固定脚用基礎に固定されて設置される。
【0003】
トンネル部の下方には、当該トンネル部を移動させるための車輪を有する走行部が設けられている。走行部は、トンネル部に対して揺動可能な状態で連結されている。したがって、地震や強風によってトンネル部に励振力が加わった場合、当該励振力による荷重は走行部には伝わらず、上述のロタンダと固定脚を介して固定脚用基礎に伝わるようになっている。
また、既設のボーディングブリッジは、経年変化のため、新規のボーディングブリッジと交換するなどの更新工事が必要である。例えば、空港等の現地にて既設のボーディングブリッジが撤去されて、同一の場所に新規のボーディングブリッジが新たに設置される。既設のボーディングブリッジと新設のボーディングブリッジは、材質や仕様の違いによって重量が異なる場合がある。例えば、既設のボーディングブリッジがアルミニウム合金製であり、新設のボーディングブリッジが鋼製の場合、新設のボーディングブリッジの重量のほうが重くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-175658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トンネル部に加わる励振力が過大となった場合、固定脚用基礎への負荷が増大してしまう。その結果、ボーディングブリッジの安定的な運用に支障を来たす虞がある。
さらに、新設のボーディングブリッジの重量のほうが重いとき、地震荷重が大きくなるなどの理由によって、既設の固定脚の基礎では強度が不足する場合がある。強度不足に対処するため、固定脚の基礎を新たに設置する場合、コストがかかるだけでなく、基礎の撤去及び新設が必要になり、ボーディングブリッジの更新工事にかかる工期が長期化して、空港の使用に制約が生じるという問題がある。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、固定脚用基礎に対する負荷を低減することが可能なボーディングブリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るボーディングブリッジは、ターミナルビルと航空機との間を接続可能なトンネル部と、該トンネル部を幅方向の両側から挟むように設けられた一対の支柱と、該一対の支柱を下方から支持する走行部と、該走行部に併設された一対のスタビライザーと、を備え、前記走行部は、前記一対の支柱の下端同士を前記幅方向に接続するフレームと、該フレームに対して前記幅方向両側に揺動可能に支持された台車と、該台車の前記幅方向両側に設けられた一対の車輪と、を有し、前記スタビライザーは、前記フレームから下方に向かって延びる第一部材と、該第一部材の下方に設けれた第二部材と、前記第一部材、及び前記第二部材との間に設けられた減衰部材、及び弾性部材と、前記第二部材の下端に設けられて、路面に接地している接地部材と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、固定脚用基礎に対する負荷を低減することが可能なボーディングブリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第一実施形態に係るボーディングブリッジの構成を示す全体図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る走行部の構成を示す図である。
図3】本開示の第一実施形態に係るスタビライザーの拡大断面図である。
図4】本開示の第二実施形態に係るスタビライザーの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係るボーディングブリッジ1について、図1から図3を参照して説明する。
【0011】
(ボーディングブリッジの構成)
ボーディングブリッジ1は、空港のターミナルビル側と航空機との間に乗客の通行路を形成して、ターミナルビルと航空機とを連絡し、乗客の直接の乗り降りを可能にする。ボーディングブリッジ1は、例えば、航空機到着前の接続準備のための待機位置と、航空機と接続されるときの接続位置との間で移動する。ボーディングブリッジ1は、トンネル部10と、ロタンダ20と、固定脚30と、固定脚用基礎31と、を備えている。
【0012】
(トンネル部の構成)
図1に示すように、トンネル部10は、後述するロタンダ20と航空機との間を連絡する通路を形成する。トンネル部10は、航空機の乗降口の地上高に対応するために、ロタンダ20に対して水平方向、及び上下方向に回動可能に接続されている。トンネル部10は、基端トンネル11と、先端トンネル12と、ヘッド13と、可動脚14と、を有する。基端トンネル11、及び先端トンネル12は、入れ子のように互いに嵌合している。つまり、先端トンネル12は、基端トンネル11の先端(航空機側)から、自身の延在方向両側に進退動可能である。
【0013】
先端トンネル12の先端にはヘッド13が設けられている。ヘッド13は、航空機の乗降口に接続される。ヘッド13の先端部には開口部が形成されている。この開口部を通じて乗客が航空機に乗降する。ヘッド13の内部には、操作卓等が設けられている。また、ヘッド13における航空機に接する部分には、航空機の外表面を保護するため、弾性変形可能な幌15が取り付けられている。
【0014】
(可動脚の構成)
可動脚14は、一対の支柱51と、走行部52と、昇降装置53と、スタビライザー40と、を有する。支柱51は、先端トンネル12の幅方向両側にそれぞれ1つずつ設けられている。支柱51の下端には、走行部52が設けられている。
【0015】
より具体的には図2に示すように、走行部52は、フレーム61と、台車62と、一対の車輪63と、を有する。フレーム61は、一対の支柱51の下端同士を、トンネル部10の幅方向に接続するフレーム本体71と、フレーム61から下方に向かって突出する接続部72と、を有する。なお、以下の説明では、この「トンネル部10の幅方向」を単に「幅方向」と呼ぶことがある。また、この幅方向に直交する水平方向を「前後方向」と呼ぶことがある。接続部72は、フレーム61の下面の幅方向中央部に設けられている。
【0016】
接続部72には、ピン73を介して台車62が連結されている。ピン73は、前後方向に延びている。これにより、台車62は、前後方向に延びる揺動軸Aを中心として幅方向両側に揺動可能とされている。台車62の幅方向両側には、1つずつ車輪63が設けられている。台車62には、不図示の駆動装置、変速装置が収容されており、一対の車輪63は互いに独立して回転駆動することが可能となっている。
【0017】
(スタビライザーの構成)
走行部52には、一対のスタビライザー40が併設されている。スタビライザー40は、一対の車輪63を幅方向両側から挟むようにして、フレーム61の幅方向両端部に1つずつ設けられている。図3に示すように、スタビライザー40は、第一部材41と、第二部材42と、減衰部材43と、弾性部材44と、接地部材45と、を有する。
【0018】
第一部材41は、フレーム61の下面から下方に向かって延びている。第一部材41は、上端がフレーム61に接続された支持板部81と、この支持板部81の下端に一体に接続された筒部82と、を有する。筒部82は、上下方向に延びる中心軸Oを中心とする円筒状をなしている。筒部82の上端は閉止されている。また、筒部82の上端面には、後述する減衰部材43のロッド91が固定されている。筒部82の下端は下方に向かって開放されている。
【0019】
筒部82の内側には、減衰部材43としてのオイルダンパが挿入されている。減衰部材43は、シリンダ90と、ロッド91と、ピストン92と、を有する。シリンダ90は、中心軸Oを中心とする円筒状をなし、その両端部は閉止されている。シリンダ90の下部は、筒部82から下方に向かって突出している。シリンダ90の内部にはオイルが充填されている。さらに、シリンダ90内には、ロッド91、及びピストン92が挿入されている。ロッド91は、上記のように第一部材41に固定されている。ロッド91は、シリンダ90の上端に形成された挿通孔93を通じてシリンダ90の内部まで延びている。ロッド91の下端には、ピストン92が一体に取り付けられている。ピストン92は、中心軸Oを中心とする円盤状をなしている。ピストン92の外周面とシリンダ90の内周面との間には、わずかな隙間か、又は複数のスリットが形成されている。シリンダ90に対して中心軸Oから荷重が加わると、シリンダ90が上方に移動する。この時、ピストン92の下側のオイルが上記隙間、又はスリットを通じてピストン92の上側に移動する。この際に生じるオイルの流動抵抗が荷重に対する減衰力となる。
【0020】
シリンダ90の下面には第二部材42が取り付けられている。第二部材42は、中心軸Oに直交する面内に広がる板状をなしている。さらに、第二部材42の外周側の端縁と、第一部材41の筒部82の下端との間には、弾性部材44としての伸長バネが取り付けられている。つまり、第二部材42、及び減衰部材43は、この弾性部材44によって、下方(路面)に向かって付勢されている。つまり、第二部材42に下方から荷重が加わると、弾性部材44の弾性力が当該荷重に抗して復元力を発生させ、第二部材42を初期の位置に戻すようになっている。
【0021】
第二部材42の下面には、接地部材45としての小車輪46が取り付けられている。小車輪46は路面に接地している。小車輪46は、路面上で転動可能であるとともに、中心軸O回りに回動自在な状態で第二部材42に支持されている。つまり、小車輪46は、スタビライザー40の移動する方向に合わせて自身の回転方向を自在に変化させることが可能となされている。
【0022】
再び図1に示すように、支柱51の上部には昇降装置53が設けられている。昇降装置53によって、支柱51の高さを自在に調整することができる。昇降装置53として具体的には、モータと、ボールネジ機構が用いられる。これにより、トンネル部10は、航空機の駐機位置に応じて伸縮しつつ、当該航空機にヘッド13を接触できる位置まで移動することが可能とされている。
【0023】
(ロタンダの構成)
ロタンダ20は、上記のトンネル部10とターミナルビルとを接続している。ロタンダ20の下面には、固定脚30が接続されている。つまり、ロタンダ20は、固定脚30によって地面の上方で支持されている。固定脚30の下端は、地盤に埋設された固定脚用基礎31(フーチング)に固定されている。固定脚用基礎31の上端は、地上に露出している。この露出部分から下方に向かって延びるアンカーボルトを挿通することで、固定脚30の下端が当該固定脚用基礎31に固定されている。
【0024】
(作用効果)
ここで、上述したように、走行部52の台車62は、トンネル部10(フレーム61)に対して揺動可能な状態で連結されている。したがって、地震や強風によってトンネル部10に励振力が加わった場合、当該励振力による荷重は走行部52には伝わらず、上述のロタンダ20と固定脚30を介して固定脚用基礎31に伝わるようになっている。しかしながら、トンネル部10に加わる励振力が過大となった場合、固定脚用基礎31への負荷が増大してしまう。その結果、ボーディングブリッジ1の安定的な運用に支障を来たす虞があった。そこで、本実施形態では上述の各構成を採っている。
【0025】
上記構成によれば、トンネル部10に励振力が加わった際には、スタビライザー40の接地部材45が路面に接地していることで、当該励振力に対して抗することができる。つまり、トンネル部10の動揺による荷重がスタビライザー40によって負担されるため、固定脚用基礎31に及ぶ荷重を小さく抑えることが可能となる。さらに、減衰部材43、及び弾性部材44によって、当該励振力を吸収・減衰させることができる。具体的には、減衰部材43によって、トンネル部10の変位速度に応じた減衰力を発揮させることができる。同時に、弾性部材44の弾性力によって、トンネル部10の変位に復元力を与え、初期位置に復元させることができる。これにより、トンネル部10の動揺が抑制され、固定脚用基礎31に加わる負荷を低減することができる。
【0026】
さらに、上記構成によれば、接地部材45として小車輪46が用いられることから、走行部52を走行させた際に、その向きに応じて小車輪46が追従して向きを変え、路面を転動する。これにより、走行部52の走行時に路面との間で摩擦抵抗(路面抵抗)を軽減することができる。したがって、スタビライザー40によるトンネル部10の安定化を図りつつも、走行時には当該スタビライザー40がトンネル部10の移動に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0027】
加えて、上記構成によれば、弾性部材44として伸長バネが用いられていることから、当該伸長バネの弾性力によって、接地部材45を路面に向かう方向に安定的に付勢することができる。これにより、接地部材45が常態的に路面に接地した状態となる。その結果、スタビライザー40としての機能を安定して発揮させることが可能となる。
【0028】
上記構成によれば、減衰部材43としてオイルダンパが用いられていることから、トンネル部10の動揺による荷重を、より安定的かつ緩やかに減衰させることができる。特に、オイルダンパを用いることで、比較的に大きな減衰力を発揮させることが可能である。これにより、トンネル部10の動揺をより早期に抑えることができる。したがって、固定脚用基礎31に及ぶ荷重の影響を最小限に抑えることができる。
【0029】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第一実施形態では、トンネル部10が、1つの基端トンネル11と、1つの先端トンネル12とを有する例について説明した。しかしながら、トンネル部10の構成はこれに限定されず、複数の先端トンネル12を入れ子状に接続する構成を採ることも可能である。
【0030】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態について、図4を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図4に示すように、本実施形態では、接地部材145の構成が第一実施形態とは異なっている。接地部材145は、球面軸受146と、接地プレート147と、を有する。球面軸受146は、第二部材42の下面に固定されている。球面軸受146の下端には、接地プレート147が取り付けられている。接地プレート147は板状をなし、その辺縁は上方に向かって傾斜するように延びている。これは、トンネル部10の走行中に当該接地プレート147が路面の凹凸に引っ掛からないようにするためである。接地プレート147の接地面は、摩擦係数の比較的に低い樹脂材料や金属等で形成されていることが望ましい。
【0031】
ここで、図1に示したように、昇降装置53を駆動することによって、トンネル部10の路面に対する角度を変化させることが可能である。これは、航空機の地上高がロタンダ20よりも低い場合に行われる運用である。この時、同図1中で示すように、支柱51の路面に対する角度も変化する。同時に、スタビライザー40の路面に対する角度も変化する。本実施形態に係る接地部材145では、接地プレート147が球面軸受146によって第二部材42に接続されている。これにより、スタビライザー40の路面に対する変化に追従して球面軸受146が揺動し、接地プレート147が常態的に路面に面接触した状態を維持する。
【0032】
(作用効果)
上記構成によれば、接地部材145として接地プレート147が用いられていることから、トンネル部10に動揺が生じた場合には、より大きな面積で当該接地プレート147が路面に対して接触する。これにより、トンネル部10の動揺による荷重に対して安定的に抗することができる。その結果、ロタンダ20に伝わる荷重が低減され、固定脚用基礎31への負荷を低減することができる。
【0033】
さらに、上記構成によれば、接地プレート147が第二部材42に対して球面軸受146によって接続されていることから、トンネル部10の昇降に伴ってスタビライザー40と路面との角度が変化しても、当該変化に追従して接地プレート147を路面に面接触させた状態を維持することができる。これにより、スタビライザー40としての機能をより安定的に発揮させることが可能となる。
【0034】
以上、本開示の第二実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0035】
<付記>
各実施形態に記載のボーディングブリッジ1は、例えば以下のように把握される。
【0036】
(1)第1の態様に係るボーディングブリッジ1は、ターミナルビルと航空機との間を接続可能なトンネル部10と、該トンネル部10を幅方向の両側から挟むように設けられた一対の支柱51と、該一対の支柱51を下方から支持する走行部52と、該走行部52に併設された一対のスタビライザー40と、を備え、前記走行部52は、前記一対の支柱51の下端同士を前記幅方向に接続するフレーム61と、該フレーム61に対して前記幅方向両側に揺動可能に支持された台車62と、該台車62の前記幅方向両側に設けられた一対の車輪63と、を有し、前記スタビライザー40は、前記フレーム61から下方に向かって延びる第一部材41と、該第一部材41の下方に設けれた第二部材42と、前記第一部材41、及び前記第二部材42との間に設けられた減衰部材43、及び弾性部材44と、前記第二部材42の下端に設けられて、路面に接地している接地部材45と、を有する。
【0037】
上記構成によれば、トンネル部10に励振力が加わった際には、スタビライザー40の接地部材45が路面に接地することで、当該励振力に対して抗することができる。さらに、減衰部材43、及び弾性部材44によって、当該励振力を吸収・減衰させることができる。これにより、トンネル部10の動揺が抑制され、固定脚30用基礎に加わる負荷を低減することができる。
【0038】
(2)第2の態様に係るボーディングブリッジ1は、(1)のボーディングブリッジ1であって、前記接地部材45は、前記路面上で転動可能な小車輪46であり、該小車輪46は、前記第一部材41、及び前記第二部材42の延びる方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持されている。
【0039】
上記構成によれば、接地部材45として小車輪46が用いられることから、走行部52を走行させた際に、その向きに応じて小車輪46が追従して向きを変え、路面を転動する。これにより、走行部52の走行時に路面との間で摩擦抵抗を軽減することができる。
【0040】
(3)第3の態様に係るボーディングブリッジ1は、(1)のボーディングブリッジ1であって、前記接地部材45は、前記路面に摺接可能な接地プレート147であり、該接地プレート147は、前記第二部材42に対して揺動可能な状態で接続されている。
【0041】
上記構成によれば、接地部材45として接地プレート147が用いられていることから、トンネル部10に動揺が生じた場合には、より大きな面積で当該接地プレート147が路面に対して接触する。これにより、トンネル部10の動揺を抑え、固定脚30用基礎への負荷を低減することができる。
【0042】
(4)第4の態様に係るボーディングブリッジ1は、(3)のボーディングブリッジ1であって、前記接地プレート147と前記第二部材42とを接続する球面軸受146をさらに有する。
【0043】
上記構成によれば、接地プレート147が第二部材42に対して球面軸受146によって接続されていることから、トンネル部10の昇降に伴ってスタビライザー40と路面との角度が変化しても、当該変化に追従して接地プレート147を路面に面接触させた状態を維持することができる。
【0044】
(5)第5の態様に係るボーディングブリッジ1は、(1)から(4)のいずれか一態様に係るボーディングブリッジ1であって、前記弾性部材44は、伸長バネである。
【0045】
上記構成によれば、弾性部材44として伸長バネが用いられていることから、当該伸長バネの弾性力によって、接地部材45を路面に向かう方向に安定的に付勢することができる。
【0046】
(6)第2の態様に係るボーディングブリッジ1は、(1)から(5)のいずれか一態様に係るボーディングブリッジ1であって、前記減衰部材43は、オイルダンパである。
【0047】
上記構成によれば、減衰部材43としてオイルダンパが用いられていることから、トンネル部10の動揺による荷重を、より安定的かつ緩やかに減衰させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…ボーディングブリッジ
10…トンネル部
11…基端トンネル
12…先端トンネル
13…ヘッド
14…可動脚
15…幌
20…ロタンダ
30…固定脚
31…固定脚用基礎
40…スタビライザー
41…第一部材
42…第二部材
43…減衰部材
44…弾性部材
45…接地部材
46…小車輪
51…支柱
52…走行部
53…昇降装置
61…フレーム
62…台車
63…車輪
71…フレーム本体
72…接続部
73…ピン
81…支持板部
82…筒部
90…シリンダ
91…ロッド
92…ピストン
93…挿通孔
145…接地部材
146…球面軸受
147…接地プレート
A…揺動軸
O…中心軸
図1
図2
図3
図4