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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083109
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/494 20060101AFI20240613BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A61F13/494 110
A61F13/49 315Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197439
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 成美
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA12
3B200CA15
3B200DA03
(57)【要約】
【課題】肌側に起立した内側ギャザーと、肌側に折り返し反転された外側ギャザーとの間に体液を溜めて、体液の漏れを抑制できる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】吸収体13を有する本体10の肌側に内側ギャザー20が配置され、本体10の非肌側に外側ギャザー30が配置され、内側ギャザー20は、幅方向外側部分に本体10に接着される肌側外側領域21が設定されると共に幅方向内側部分に本体10に接着されない第1起立部24を有し、外側ギャザー30は、幅方向外側部分に本体10に接着される非肌側外側領域31が設定されると共に幅方向内側部分に本体10に接着されない第2起立部34を有し、外側ギャザー30が肌側に折り返し反転されて、第1起立部24よりも幅方向Wの外側で第2起立部34が着用者に向かって起立し、且つ、吸収体13の幅方向Wの両側部の一部が、肌側外側領域21と非肌側外側領域31との間に挟まれている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の前後方向に対応する方向を長手方向とし、前記長手方向に直交する方向を幅方向とし、前記長手方向及び前記幅方向に直交する方向を厚さ方向とすると共に、前記厚さ方向において装着時に前記着用者に近い方を肌側とし、装着時に前記着用者から遠い方を非肌側とするとき、
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に配置された吸収体と、を有する本体と、
前記本体の前記肌側の前記幅方向の両側部に配置された一対の内側ギャザーと、
前記本体の前記非肌側の前記幅方向の両側部に配置された一対の外側ギャザーと、を備え、
前記内側ギャザーは、前記幅方向の外側部分に前記本体に接着された肌側外側領域が設定されると共に、前記幅方向の内側部分に前記本体に接着されない第1起立部を有し、
前記第1起立部には、前記長手方向に伸縮可能な第1弾性伸縮部材が配置され、前記第1起立部は、前記着用者に向かって起立可能であり、
前記外側ギャザーは、前記幅方向の外側部分に前記本体に接着された非肌側外側領域が設定されると共に、前記幅方向の内側部分に前記本体に接着されない第2起立部を有し、
前記第2起立部には、前記長手方向に伸縮可能な第2弾性伸縮部材が配置され、前記外側ギャザーが前記肌側に折り返し反転されることで、前記第2起立部は、前記第1起立部よりも前記幅方向の外側で前記着用者に向かって起立し、
前記吸収体は、前記幅方向の両側部の一部が、前記肌側外側領域と前記非肌側外側領域との間に挟まれている
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載された吸収性物品において、
前記吸収体の前記幅方向の両側部は、前記本体の前記長手方向の両端部において前記肌側外側領域と前記非肌側外側領域との間に挟まれ、前記本体の前記長手方向の中間部の少なくとも一部では、前記肌側外側領域と前記非肌側外側領域との間に挟まれない
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された吸収性物品において、
前記第2起立部の前記幅方向の長さは、前記第1起立部の前記幅方向の長さよりも長い
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載された吸収性物品において、
前記第2弾性伸縮部材の伸縮力は、前記第1弾性伸縮部材の伸縮力よりも強い
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載された吸収性物品において、
前記吸収体は、前記外側ギャザーが前記肌側に折り返し反転されたとき前記第2起立部の前記長手方向の端部が前記本体に干渉する位置に、前記幅方向の内側にへこんだ切欠部が形成されている
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載された吸収性物品において、
前記吸収体は、前記肌側外側領域と前記非肌側外側領域との間に挟まれた部分に、前記吸収体を前記長手方向に沿って折り曲げ可能とする折曲部が形成されている
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載された吸収性物品において、
前記肌側外側領域の前記肌側に配置された親水性を有する第1親水部材と、前記非肌側外側領域の前記非肌側に配置された親水性を有する第2親水部材と、の少なくとも一方が設けられている
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載された吸収性物品において、
前記内側ギャザーは、前記肌側外側領域であって、前記吸収体に平面視で重なる位置に、貫通孔が形成されている
ことを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トップシートとバックシートとこれらの間に配置された吸収体とを有する本体と、本体の肌側に配置されて長手方向に延びる内側ギャザーと、本体の非肌側に配置されて長手方向に延びる外側ギャザーと、を備えた吸収性物品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、従来の吸収性物品では、内側ギャザー及び外側ギャザーには、それぞれ幅方向の外側部分に本体に接着される接着領域が設定され、幅方向の内側部分に本体に接着されていない起立領域を有している。そして、内側ギャザーは、接着領域の幅方向内側位置を起点に、起立領域が肌側に起立する。また、外側ギャザーは、本体に接着されていない起立領域が肌側に折り返し反転され、内側ギャザーよりも幅方向の外側で着用者に向かって起立する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-166076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の吸収性物品では、吸収体が、内側ギャザーの接着領域及び外側ギャザーの接着領域よりも幅方向の内側に配置されている。そのため、内側ギャザーの接着領域と外側ギャザーの接着領域との間に吸収体が挟まれることはない。このため、外側ギャザーが肌側に折り返し反転されたとき、内側ギャザーの起立した部分と外側ギャザーの起立した部分との間に吸収体が巻き込まれることはなく、内側ギャザーと外側ギャザーとの間が狭くなる。これにより、従来の吸収性物品では、内側ギャザーを越えた体液を、内側ギャザーと外側ギャザーの間に溜めておくことが難しく、体液が漏れてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、肌側に起立した内側ギャザーと、肌側に折り返し反転された外側ギャザーとの間に体液を溜めて、体液の漏れを抑制することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、着用者の前後方向に対応する方向を長手方向とし、前記長手方向に直交する方向を幅方向とし、前記長手方向及び前記幅方向に直交する方向を厚さ方向とすると共に、前記厚さ方向において装着時に前記着用者に近い方を肌側とし、装着時に前記着用者から遠い方を非肌側とするとき、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に配置された吸収体と、を有する本体と、前記本体の前記肌側の前記幅方向の両側部に配置された一対の内側ギャザーと、前記本体の前記非肌側の前記幅方向の両側部に配置された一対の外側ギャザーと、を備えている。ここで、前記内側ギャザーは、前記幅方向の外側部分に前記本体に接着された肌側外側領域が設定されると共に、前記幅方向の内側部分に前記本体に接着されない第1起立部を有し、前記第1起立部は、前記長手方向に伸縮可能な第1弾性伸縮部材が配置されて、前記着用者に向かって起立可能である。また、前記外側ギャザーは、前記幅方向の外側部分に前記本体に接着された非肌側外側領域が設定されると共に、前記幅方向の内側部分に前記本体に接着されない第2起立部を有し、前記第2起立部は、前記長手方向に伸縮可能な第2弾性伸縮部材が配置されて、前記外側ギャザーが前記肌側に折り返し反転されることで、前記第1起立部よりも前記幅方向の外側で前記着用者に向かって起立する。そして、前記吸収体は、前記幅方向の両側部の一部が、前記肌側外側領域と前記非肌側外側領域との間に挟まれている構成とした。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明の吸収性物品は、肌側に起立した内側ギャザーと、肌側に折り返し反転された外側ギャザーとの間に体液を溜めて、体液の漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の吸収性物品を肌側から見たときの平面図である。
図2】実施例1の吸収性物品を非肌側から見たときの平面図である。
図3図1におけるA-A断面図である。
図4図1におけるB-B断面図である。
図5図3の使用状態図である。
図6図4の使用状態図である。
図7】第1変形例の吸収性物品を肌側から見たときの平面図である。
図8図7におけるC-C断面図である。
図9】第2変形例の吸収性物品を肌側から見たときの平面図である。
図10】第2変形例の吸収性物品を非肌側から見たときの平面図である。
図11図9におけるD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の吸収性物品を実施するための形態は、図面に示す実施例1に基づいて以下のように説明される。なお、本明細書では、着用者の前後方向に対応する方向、つまり着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向が「長手方向L」とされ、長手方向Lに直交する方向が「幅方向W」とされる。また、長手方向L及び幅方向Wの双方に直交する方向が「厚さ方向H」とされる。さらに、厚さ方向Hにおいて、装着時に着用者の身体に近い方が「肌側」とされ、装着時に着用者から遠い方が「非肌側」とされる。
【0011】
実施例1の吸収性物品1は、いわゆる尿もれパッドであり、使い捨ての紙パンツや下着等の内側に装着され、尿等の体液の吸収に使用される。吸収性物品1は、図1及び図2に示されたように、長手方向Lに延びた本体10と、本体10の肌側に配置された一対の内側ギャザー20(図1参照)と、本体10の非肌側に配置された一対の外側ギャザー30(図2参照)と、を備えている。
【0012】
実施例1の本体10は、トップシート11(図1参照)と、バックシート12(図2参照)と、吸収体13と、を備えている。本体10は、図3及び図4に示されたように、トップシート11とバックシート12と間に吸収体13を挟んだ状態で、少なくとも周縁部を含む適宜の領域がホットメルト等の接着剤や溶着等によって固定されて形成されている。
【0013】
トップシート11は、装着時に着用者の身体側(肌側)に位置するシート材であり、液体を透過する特性である液透過性を有している。また、トップシート11は、厚さ方向Hから見た平面視で長手方向Lに長いほぼ矩形に形成され、長手方向Lの中間部において幅方向Wの両側縁が幅方向Wの内側に括れている。
【0014】
バックシート12は、装着時に衣類側(非肌側)に位置するシート材であり、液体を透過させない特性である液不透過性を有している。また、バックシート12は、トップシート11とほぼ相似形状であり、平面視で長手方向Lに長いほぼ矩形に形成され、長手方向Lの中間部において幅方向Wの両側縁が幅方向Wの内側に括れている。なお、実施例1では、図示していないが、バックシート12の方がトップシート11よりも部分的に幅方向Wに大きい。そのため、バックシート12は、幅方向Wの両側縁の一部がトップシート11よりも幅方向Wに突出している。
【0015】
吸収体13は、吸収性ポリマー粒子とパルプ繊維を含んで構成された液体吸収材であり、トップシート11を透過した体液を吸収して保持する。なお、実施例1では、吸収体13は、クレープ紙や不織布等からなるコアラップシート13aによって包まれている(図3及び図4参照)。また、吸収体13は、平面視でトップシート11及びバックシート12よりも小さく、長手方向Lの中間部において幅方向Wの両側縁が幅方向Wの内側に括れている。
【0016】
内側ギャザー20は、本体10の肌側(トップシート11)の幅方向Wの両側部に配置されたシート材からなり、液不透過性又は液体をはじく性質である撥水性を有している。また、内側ギャザー20は、長手方向Lに延びる帯状に形成されている。なお、内側ギャザー20の幅方向Wの外側縁は、バックシート12の側縁に沿ってカットされている。また、トップシート11は、内側ギャザー20が配置されたことで、内側ギャザー20が重ならない幅方向Wの中間部が着用者に接する。
【0017】
そして、内側ギャザー20は、幅方向Wの外側部分に肌側外側領域21が設定され、幅方向Wの内側部分に肌側内側領域22が設定されている。
【0018】
肌側外側領域21は、長手方向Lの全長にわたって本体10の肌側(実施例1ではトップシート11の一部及びトップシート11よりも幅方向Wに突出したバックシート12の両側縁)に接着されている。また、肌側外側領域21は、本体10の長手方向Lの両端部において、平面視で吸収体13に重なっており、本体10の長手方向Lの中間部では平面視で吸収体13に重なっていない。なお、肌側外側領域21は、ホットメルト等の接着剤を介して本体10に接着されてもよいし、超音波溶着等によって接着されてもよい。また、肌側外側領域21は、全面が一様に本体10に接着されてもよいし、長手方向Lに沿って間欠的に接着されていてもよい。図1では、内側ギャザー20がトップシート11に接着された部分(肌側外側領域21及び後述する第1接着部23)が、ドットを付して示されている。
【0019】
肌側内側領域22は、肌側外側領域21よりも幅方向Wの内側に位置し、長手方向Lの両端部が本体10の肌側(実施例1ではトップシート11)に接着され、長手方向Lの中間部が本体10に接着されていない。そして、肌側内側領域22は、長手方向Lの両端部に、本体10に接着された一対の第1接着部23(図1ではドットを付して示されている)を有している。また、肌側内側領域22は、長手方向Lの中間部(ここでは、一対の第1接着部23の間)に、本体10に接着されない第1起立部24を有している。さらに、肌側内側領域22は、長手方向Lのほぼ全長にわたって平面視で吸収体13に重なっている。
【0020】
ここで、第1接着部23の長手方向Lの長さL2は、本体10の長手方向Lの長さL1の三分の一よりも短い長さに設定されている。
【0021】
また、第1起立部24には、長手方向Lに伸縮可能な第1弾性伸縮部材25が長手方向Lに沿って配置されている。なお、第1弾性伸縮部材25は、例えば複数の糸ゴムであり、所定の伸長状態で内側ギャザー20に固定されている。そして、第1弾性伸縮部材25が収縮することで、第1起立部24は、本体10に沿った長さよりも縮み、図3及び図4に示されたように本体10から離れて着用者に向かって起立する。
【0022】
外側ギャザー30は、本体10の非肌側(バックシート12)の幅方向Wの両側部に配置されたシート材からなり、液不透過性又は撥水性を有している。また、外側ギャザー30は、長手方向Lに延びる帯状に形成されている。なお、外側ギャザー30の幅方向Wの外側縁は、バックシート12の側縁に沿ってカットされている。
【0023】
そして、外側ギャザー30は、幅方向Wの外側部分に非肌側外側領域31が設定され、幅方向Wの内側部分に非肌側内側領域32が設定されている。
【0024】
非肌側外側領域31は、長手方向Lの全長にわたって本体10の非肌側(実施例1ではバックシート12)に接着されている。また、非肌側外側領域31は、本体10の長手方向Lの両端部において、平面視で吸収体13に重なっており、本体10の長手方向Lの中間部では平面視で吸収体13に重なっていない。なお、非肌側外側領域31は、ホットメルト等の接着剤を介して本体10に接着されてもよいし、超音波溶着等によって接着されてもよい。非肌側外側領域31は、全面が一様に本体10に接着されてもよいし、長手方向Lに沿って間欠的に接着されていてもよい。図2では、外側ギャザー30がバックシート12に接着された部分(非肌側外側領域31及び後述する第2接着部33)が、ドットを付して示されている。
【0025】
非肌側内側領域32は、非肌側外側領域31よりも幅方向Wの内側に位置し、長手方向Lの両端部が本体10の非肌側(実施例1ではバックシート12)に接着され、長手方向Lの中間部が本体10に接着されていない。そして、非肌側内側領域32は、長手方向Lの両端部に、本体10に接着された一対の第2接着部33(図2ではドットを付して示されている)を有している。また、非肌側内側領域32は、長手方向Lの中間部(ここでは、一対の第2接着部33の間)に、本体10に接着されない第2起立部34を有している。さらに、非肌側内側領域32は、長手方向Lのほぼ全長にわたって平面視で吸収体13に重なっている。
【0026】
ここで、第2接着部33の長手方向Lの長さL3は、本体10の長手方向Lの長さL1の三分の一よりも短い長さに設定されている。
【0027】
また、第2起立部34の幅方向Wの長さW3は、第1起立部24の幅方向Wの長さW2よりも長くなるように設定されている。
【0028】
なお、実施例1の吸収性物品1では、内側ギャザー20の幅方向寸法WAよりも、外側ギャザー30の幅方向寸法WBの方が長くされている。また、肌側外側領域21の幅方向寸法WXと非肌側外側領域31の幅方向寸法WYが、同じ長さに設定されている。これにより、第2起立部34の幅方向Wの長さW3は、第1起立部24の幅方向Wの長さW2よりも長くなっている。
【0029】
しかしながら、内側ギャザー20の幅方向寸法WAと、外側ギャザー30の幅方向寸法WBが同じ長さに設定され、肌側外側領域21の幅方向寸法WXよりも非肌側外側領域31の幅方向寸法WYが短くされることで、第2起立部34の幅方向Wの長さW3は、第1起立部24の幅方向Wの長さW2より長くされてもよい。
【0030】
さらに、第2起立部34の幅方向Wの長さW3は、内側ギャザー20の幅方向寸法WAよりも、外側ギャザー30の幅方向寸法WBの方が長くされた上で、肌側外側領域21の幅方向寸法WXよりも非肌側外側領域31の幅方向寸法WYが短くされることで、第1起立部24の幅方向Wの長さW2よりも長くされてもよい。
【0031】
さらに、第2起立部34には、長手方向Lに伸縮可能な第2弾性伸縮部材35が長手方向Lに沿って配置されている。なお、第2弾性伸縮部材35は、例えば複数の糸ゴムであり、所定の伸長状態で外側ギャザー30に固定されている。また、第2弾性伸縮部材35の伸縮力は、第1弾性伸縮部材25の伸縮力よりも強い。具体的には、第2弾性伸縮部材35を構成する糸ゴムの数が、第1弾性伸縮部材25を構成する糸ゴムの数よりも多い。或いは、第2弾性伸縮部材35を構成する糸ゴムの方が、第1弾性伸縮部材25を構成する糸ゴムよりも太い。又は、第2弾性伸縮部材35を構成する糸ゴムの自然長(第2起立部34に固定される前の非伸長状態での長さ)が、第1弾性伸縮部材25を構成する糸ゴムの自然長(第1起立部24に固定される前の非伸長状態での長さ)よりも短く設定されている。
【0032】
そして、第2起立部34は、図5及び図6に示されたように、外側ギャザー30の非肌側内側領域32が肌側に折り返し反転されると共に第2弾性伸縮部材35が収縮することで、第1起立部24よりも幅方向Wの外側の位置で着用者に向かって起立する。ここで、「折り返し反転される」とは、幅方向Wの内側に向いている第2起立部34の先端が、幅方向Wの外側に向かうように折り返され、さらに非肌側内側領域32が、非肌側外側領域31との境界K2を起点として、肌側に向かって折り曲げられることである。
【0033】
そして、実施例1の吸収性物品1では、内側ギャザー20の肌側外側領域21と、外側ギャザー30の非肌側外側領域31が、本体10の長手方向Lの両端部において、それぞれ平面視で吸収体13に重なっている。これにより、吸収体13の幅方向Wの両側部は、長手方向Lの両端部において、肌側外側領域21と非肌側外側領域31との間に挟まれる(図3参照)。
【0034】
また、内側ギャザー20の肌側外側領域21及び外側ギャザー30の非肌側外側領域31は、本体10の長手方向Lの中間部において、平面視で吸収体13に重なっていない。そのため、吸収体13の幅方向Wの両側部は、本体10の長手方向Lの中間部の少なくとも一部では、肌側外側領域21と非肌側外側領域31の間に挟まれることはない(図4参照)。
【0035】
なお、肌側外側領域21と非肌側外側領域31の間に吸収体13が挟まれない本体10の長手方向Lの中間部の位置は、任意に設定することができるが、着用者の鼠径部に沿う位置であることが望ましい。
【0036】
さらに、吸収体13の幅方向Wの両側部には、幅方向Wの内側にへこんだ切欠部14がそれぞれ形成されている。ここで、切欠部14は、外側ギャザー30が肌側に折り返し反転されたとき、第2起立部34の長手方向Lの端部34aが本体10に干渉する位置に形成されている。実施例1の切欠部14は、吸収体13のうち、肌側外側領域21と非肌側外側領域31に挟まれた領域で、第2接着部33よりも長手方向Lの内側の位置に形成されている。なお、切欠部14は、吸収体13の幅方向Wの両側部の一部を幅方向Wの内側に向かってへこませればよく、へこみの深さや形状は任意に設定可能である。
【0037】
実施例1の吸収性物品1の作用は以下の通りに説明される。
【0038】
実施例1の吸収性物品1では、本体10の肌側に内側ギャザー20が設けられている。そして、内側ギャザー20は、第1弾性伸縮部材25が収縮することで、第1起立部24が着用者に向かって起立する。
【0039】
また、実施例1の吸収性物品1は、装着時、図5及び図6に示されたように、外側ギャザー30の非肌側内側領域32が肌側に折り返し反転される。そして、これにより、外側ギャザー30の第2起立部34は、内側ギャザー20の第1起立部24よりも幅方向Wの外側の位置で着用者に向かって起立する。
【0040】
ここで、実施例1の吸収性物品1では、肌側内側領域22よりも幅方向Wの外側に肌側外側領域21が設定され、非肌側内側領域32よりも幅方向Wの外側に非肌側外側領域31が設定されている。そのため、第2起立部34を肌側に折り返し反転させると、着用者に向かって起立した第1起立部24と第2起立部34との間に、肌側外側領域21及び非肌側外側領域31が巻き込まれる(図5及び図6参照)。
【0041】
これに対し、実施例1の吸収性物品1では、吸収体13の幅方向Wの両側部の一部、ここでは長手方向Lの両端部が、内側ギャザー20の肌側外側領域21と、外側ギャザー30の非肌側外側領域31との間に挟まれている。そのため、肌側外側領域21と非肌側外側領域31との間に吸収体13が挟まれた部分では、第2起立部34が折り返し反転されて起立することで、図5に示されたように、第1起立部24と第2起立部34との間に、吸収体13の幅方向Wの両側部の一部が巻き込まれる。
【0042】
そして、第1起立部24と第2起立部34との間に吸収体13が巻き込まれることで、折り返し反転された第2起立部34は、剛性の高い吸収体13に引っ掛かる。このため、第2起立部34は、第1起立部24が起立する位置(肌側外側領域21と肌側内側領域22との境界K1)よりも、幅方向Wの外側の位置を起点に起立することになる。この結果、第1起立部24と第2起立部34との間には、幅方向Wの隙間Sが生じる。
【0043】
そして、実施例1の吸収性物品1は、第1起立部24と第2起立部34との間に隙間Sが生じるため、第1起立部24を乗り越えた体液を、隙間Sに溜めることができる。つまり、実施例1の吸収性物品1は、肌側に起立した内側ギャザー20の第1起立部24と、肌側に折り返し反転された外側ギャザー30の第2起立部34との間に体液を溜めて、体液の漏れを抑制することができる。
【0044】
また、実施例1の吸収性物品1は、肌側外側領域21と非肌側外側領域31との間に吸収体13が挟まれていない部分では、図6に示されたように、第2起立部34が折り返し反転されても、第1起立部24と第2起立部34との間に吸収体13が巻き込まれることはない。すなわち、実施例1の吸収性物品1では、本体10の長手方向Lの中間部の少なくとも一部において、肌側外側領域21と非肌側外側領域31との間に吸収体13が挟まれないため、本体10の長手方向Lの中間部では、第1起立部24と第2起立部34との間に吸収体13が巻き込まれることがない。
【0045】
そのため、実施例1の吸収性物品1は、本体10の長手方向Lの中間部では、第1起立部24が起立する位置(肌側外側領域21と肌側内側領域22との境界K1)に対し、第2起立部34が起立する位置を近づけることができる。これにより、実施例1の吸収性物品1は、本体10の長手方向Lの中間部では、着用者に接するトップシート11の幅方向Wの長さを短くすることなく、吸収性物品1自体の幅方向Wの長さを短くすることができる。
【0046】
このため、実施例1の吸収性物品1は、体液を適切に吸収体13に引き込むと共に、着用者の鼠径部に対して隙間をあけずに本体10を沿わせることができ、体液の漏れを抑制することができる。
【0047】
また、第2起立部34は、肌側に折り返されたとき吸収体13を巻き込むため、吸収体13を巻き込んだ長さ分だけ起立状態での高さ(起立高さH3)に寄与する長さが短くなる。これに対し、実施例1の吸収性物品1では、第2起立部34の幅方向Wの長さW3が、第1起立部24の幅方向Wの長さW2よりも長くなっている。そのため、実施例1の吸収性物品1は、肌側に折り返された第2起立部34の起立高さH3を第1起立部24の起立高さと同程度に確保し、又は第1起立部24よりも大幅に低くなることを防止し、隙間Sに溜まった体液の漏れを抑えることができる。
【0048】
また、実施例1の吸収性物品1では、第2弾性伸縮部材35の伸縮力が、第1弾性伸縮部材25の伸縮力よりも強くなっている。そのため、第2起立部34は、第1起立部24よりも強い力で長手方向Lに収縮する。これにより、実施例1の本体10は、非肌側から長手方向Lの内側に向かって押さえこまれるため、幅方向Wの外側部分が長手方向Lに丸まりやすくなる。このため、実施例1の吸収性物品1は、着用者の体にフィットしやすくなり、体液の漏れを抑制することができる。
【0049】
また、実施例1の吸収性物品1では、前記吸収体13の幅方向Wの両側部に、幅方向Wの内側にへこんだ切欠部14が形成されている。そして、切欠部14は、外側ギャザー30が肌側に折り返し反転されたとき第2起立部34の長手方向Lの端部34aが本体10に干渉する位置に形成されている。
【0050】
これにより、実施例1の吸収性物品1は、外側ギャザー30が肌側に折り返し反転された際、第2起立部34の長手方向Lの端部34aが切欠部14に引っ掛かかり、外側ギャザー30を非肌側に捲れにくくできる。このため、実施例1の吸収性物品1は、第2起立部34の倒伏を防止して起立状態を維持させ、体液の漏れを抑制することができる。
【0051】
以上、本発明の吸収性物品を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0052】
実施例1の吸収性物品1では、吸収体13に切欠部14が形成された例が示された。しかしながら、吸収体13の構成はこれに限らない。例えば、図7及び図8に示された第1変形例の吸収性物品1Aのように、吸収体13の肌側外側領域21と非肌側外側領域31との間に挟まれた部分に、折曲部15が形成されてもよい。折曲部15は、吸収体13を長手方向Lに沿って折り曲げ可能とする構造である。
【0053】
ここで、折曲部15は、吸収体13を肌側に折り曲げ可能とすることが好ましく、第1変形例の吸収性物品1Aでは、図8に示されたように、吸収体13の肌側面に形成された長手方向Lに延びるエンボスによって構成されている。なお、折曲部15は、吸収体13を長手方向Lに沿って折り曲げ可能とする構造であればよく、例えば、長手方向Lに延びるスリットや、長手方向Lに沿って配置された複数のドット状のエンボス等であってもよい。さらに、折曲部15は、吸収体13の非肌側面に形成されたエンボスであってもよい。
【0054】
吸収体13は、折曲部15が形成されたことで、折曲部15を起点にして容易に屈曲可能となる。これにより、第1変形例の吸収性物品1Aは、外側ギャザー30が肌側に折り返し反転された際、吸収体13が折曲部15を起点にして屈曲するため、吸収体13を倒れにくくできる。このため、第1変形例の吸収性物品1Aは、第1起立部24と第2起立部34の間の隙間Sを保持しやすく、体液の漏れを抑制することができる。
【0055】
また、図9図11に示された第2変形例の吸収性物品1Bのように、第1親水部材26及び第2親水部材36が配置されると共に、内側ギャザー20に貫通孔27が形成されてもよい。
【0056】
ここで、第1親水部材26は、水との親和性が良好な性質である親水性を有する部材である。第1親水部材26は、肌側外側領域21の肌側面に配置され、ここでは、肌側外側領域21と肌側内側領域22との境界K1に沿って延びている。
【0057】
第2親水部材36は、第1親水部材26と同様に、親水性を有する部材である。第2親水部材36は、非肌側外側領域31の非肌側面に配置され、ここでは、非肌側外側領域31と非肌側内側領域32との境界K2に沿って延びている。
【0058】
貫通孔27は、内側ギャザー20の肌側外側領域21を貫通する孔であり、少なくとも平面視で吸収体13に重なる位置に形成されている。なお、貫通孔27は、第1親水部材26に対して、平面視で重なってもよいし、重ならなくてもよい。また、第2変形例の吸収性物品1Bでは、貫通孔27が長手方向Lに沿って複数形成されている。しかしながら、貫通孔27の数や形成位置は任意に設定可能である。
【0059】
これにより、第2変形例の吸収性物品1Bでは、内側ギャザー20を越えて隙間Sに流入した体液を第1親水部材26及び第2親水部材36によって吸収して隙間Sから溢れることを抑制することができる。また、第2変形例の吸収性物品1Bは、隙間Sに流入した体液を、貫通孔27を介して吸収体13に吸収させることが可能となり、さらに隙間Sからの体液の漏れを抑えることができる。
【0060】
なお、第2変形例の吸収性物品1Bは、第1親水部材26及び第2親水部材36が設けられると共に、内側ギャザー20の肌側外側領域21に貫通孔27が形成された例が示された。しかしながら、隙間Sに流入した体液を、隙間S内で吸収して漏れにくくする構造としては、例えば、貫通孔27が形成されず、第1親水部材26又は第2親水部材36のいずれか一方が配置されただけの構造であってもよい。また、当該構造としては、第1親水部材26及び第2親水部材36がいずれも配置されず、貫通孔27が形成されただけの構造であってもよい。
【0061】
すなわち、隙間Sに流入した体液を、隙間S内で吸収して漏れにくくするため、吸収性物品は、第1親水部材26又は第2親水部材36の少なくとも一方が配置されるか、もしくは内側ギャザー20の肌側外側領域21に貫通孔27が形成されていればよい。
【符号の説明】
【0062】
1 吸収性物品
10 本体
11 トップシート
12 バックシート
13 吸収体
20 内側ギャザー
21 肌側外側領域
24 第1起立部
25 第1弾性伸縮部材
30 外側ギャザー
31 非肌側外側領域
34 第2起立部
35 第2弾性伸縮部材
L 長手方向
W 幅方向
H 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11