(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083116
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ラベル及びラベルの剥離方法
(51)【国際特許分類】
G09F 3/10 20060101AFI20240613BHJP
G09F 3/04 20060101ALI20240613BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G09F3/10 J
G09F3/04 C
G09F3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197455
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】榎谷 幸敏
(72)【発明者】
【氏名】名取 智基
(57)【要約】
【課題】容器を液体に浸けることなく、被粘着体から容易に剥離することが可能なラベルを提供する。
【解決手段】ラベル(10)は、リサイクルまたはリユースに用いられる被粘着体(1)に粘着されるラベル(10)であって、被粘着体(1)に粘着可能な粘着層(11)と、粘着層(11)に積層され、粘着層(11)の外周部の少なくとも一部に対応する位置にエネルギー線(60)の照射により発熱する発熱体(20)を含む印刷層(14)と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクルまたはリユースに用いられる被粘着体に粘着されるラベルであって、
前記被粘着体に粘着可能な粘着層と、
前記粘着層に積層され、前記粘着層の外周部の少なくとも一部に対応する位置にエネルギー線の照射により発熱する発熱体を含む印刷層と、
を備えている、ラベル。
【請求項2】
前記ラベルにおける前記粘着層以外の構成で、前記印刷層を含む構成をラベル本体とすると、
前記発熱体は、前記ラベル本体を平面視した場合の前記ラベル本体の前記外周部のいずれかの領域に位置する前記印刷層に含まれており、
前記粘着層は、前記ラベル本体の一方の面上において、前記ラベル本体の前記外周部に対応する位置に設けられている、
請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記発熱体は、前記ラベル本体を平面視した場合の前記ラベル本体の外周部に沿った領域に位置する前記印刷層に含まれており、
前記粘着層には、前記粘着層を前記被粘着体に直接粘着させるよりも粘着力を弱める糊抑え部が形成されている、
請求項2に記載のラベル。
【請求項4】
熱収縮性を有するシュリンク層をさらに備えている、
請求項1に記載のラベル。
【請求項5】
被粘着体に粘着されたラベルを前記被粘着体から剥離するラベルの剥離方法であって、
前記ラベルにエネルギー線を照射する照射ステップと、
前記被粘着体に前記ラベルを粘着する粘着層に積層される印刷層において、前記粘着層の外周部の少なくとも一部に対応する位置に含まれる発熱体を前記エネルギー線の照射により発熱させる発熱ステップと、を含む、
ラベルの剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル及びラベルの剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リサイクルを目的として、容器からラベルを分離する技術が知られている。例えば、特許文献1には、約50度と約95度との間の温度範囲から指示された洗浄温度で収縮する、飲料用ボトルに接着されるように適合されたラベルが開示されている。特許文献1に記載されている発明では、指定された洗浄温度における収縮の際の積層物の収縮の程度及び収縮応力を規定することにより、容器に対するラベルの粘着力が大きい場合であっても容器からラベルを分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラベル付き被粘着体等についてリサイクルやリユースを行う場合、洗浄により容器からラベルを剥がし、その後、被粘着体を乾燥させる必要が生じる場合がある。また、電子機器やインクカートリッジ、紙包装体等の液体に浸けることが好ましくない容器にラベルが貼付されている場合、洗浄により被粘着体からラベルを剥がすことができない場合がある。
【0005】
さらに、容器からラベルを分離する技術として、アルカリ液を使用することも考えられるが、その場合、廃液を処理するための後処理工程が必要となる。また、上記の場合、通常、容器及びラベルを粉砕してから容器とラベルとの分離を行うため、容器をリユースすることができない。
【0006】
本発明の一態様は、被粘着体を液体に浸けることなく、被粘着体から容易に剥離することが可能なラベル及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るラベルは、リサイクルまたはリユースに用いられる被粘着体に粘着されるラベルであって、被粘着体に粘着可能な粘着層と、前記粘着層に積層され、前記粘着層の外周部の少なくとも一部に対応する位置にエネルギー線の照射により発熱する発熱体を含む印刷層と、を備えている。
【0008】
また、本発明の一態様に係るラベルの剥離方法は、被粘着体に粘着されたラベルを前記被粘着体から剥離するラベルの剥離方法であって、前記ラベルにエネルギー線を照射する照射ステップと、前記被粘着体に前記ラベルを粘着する粘着層に積層される印刷層において、前記粘着層の外周部の少なくとも一部に対応する位置に含まれる発熱体を前記エネルギー線の照射により発熱させる発熱ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、被粘着体を液体に浸けることなく、被粘着体から容易に剥離することが可能なラベル及びその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係るラベルの断面図である。
【
図2】上記ラベルの構成の一例を示す平面図である。
【
図3】上記ラベルにエネルギー線を照射させた状態を示す正面図である。
【
図4】上記ラベルの構成の他の例を示す平面図である。
【
図5】上記ラベルの形状の他の例を示す平面図である。
【
図6】上記ラベルを被粘着体から剥離させる剥離方法を説明する図である。
【
図7】本発明の試験例における剥離試験装置の一例を示す図である。
【
図8】前記試験における結果の一部を示す表である。
【
図10】実施例9および実施例10の糊抑え部の形成パターンを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。ただし、以下の説明は本発明に係るラベルの一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0012】
(ラベルの概要)
商品について容器等のラベル付き被粘着体をリサイクルまたはリユースする際、多くの場合はそれまで被粘着体等に粘着されていたラベルを被粘着体等から剥離させる必要がある。被粘着体等からのラベルの剥離は、被粘着体等の性質により、液体を用いることができない場合がある。
【0013】
図1は、本発明の実施形態1に係るラベル10の断面図である。
図1に示すように、ラベル10はエネルギー線60を照射されることにより発熱する発熱体20を少なくとも一部に含む印刷層14を備え、粘着層11により被粘着体1に粘着可能である。ラベル10は、エネルギー線60により印刷層14に含まれる発熱体20を発熱させることで、被粘着体1を液体に浸けなくとも、被粘着体1からラベル10を容易に剥離可能にしたものである。
【0014】
(被粘着体)
被粘着体1は、ラベル10が粘着される対象である。被粘着体1は特に限定されず、飲料容器であってもよい。また、ラベル10は液体に浸けることなく容易に被粘着体1から剥離することができるので、被粘着体1が、液体に浸けることが好ましくない電気機器やインクカートリッジまたは洗浄液等を入れるポリタンク等であっても、被粘着体1からラベル10を剥離させ、被粘着体1をリユースすることが可能となる。
【0015】
(ラベルの基本構成)
ラベル10は、リユースまたはリサイクルに用いられる被粘着体1に貼付されるラベルである。ここで、リユースとは、被粘着体1を再利用することを示す。リサイクルとは、被粘着体1を素材として用いて新たな製品を作りだすことを示す。
【0016】
図2は、ラベル10の構成の一例を示す平面図である。
図2の2001は、ラベル10を表側(粘着層11が形成されてない側)から見た図であり、
図2の2002は、ラベル10を裏側(粘着層11が形成されている側)から見た図である。
【0017】
図2の2001及び
図2の2002に示すように、本実施形態ではラベル10は、略四角形の形状を有する。ラベル10は、粘着層11と、ラベル本体12と、を備えている。
【0018】
(粘着層)
粘着層11は、被粘着体1に粘着可能な層であり、ラベル本体12を被粘着体1に粘着させる。また、
図2の2002に示すように、粘着層11は、ラベル本体12の一方の面12a上において、ラベル本体12を平面視した場合のラベル本体12の外周部に対応する位置に設けられ、ラベル本体12を被粘着体1に粘着する。
【0019】
これにより、ラベル本体12の外周部を被粘着体1に粘着させることができる。そのため、ラベル10の粘着時には、ラベル本体12の外周部においてラベル本体12がめくれず、例えば、利用者が被粘着体1を使用している間は、ラベル本体12を被粘着体1に粘着した状態を保持することができる。
【0020】
粘着層11は、ラベル本体12の一方の面12a上において、全面に設けられていてもよく、一部に設けられていてもよい。
【0021】
粘着層11に使用される粘着剤は粘着後、剥離可能なものであればよく、材質について特に限定されないが、常温において、粘着強度が1.0N/25mm以上20.0N/25mm以下であることが望ましい。これにより、後述の印刷層14に含まれる発熱体20が発熱すると発熱体20が含まれる印刷層14に対応する箇所において、好適にラベル10を被粘着体1から剥離させることができる。
【0022】
また、粘着強度が弱すぎると意図せずラベル10が被粘着体1から剥がれる可能性があり、粘着強度が強すぎるとラベル10を被粘着体1から剥離する際に、被粘着体1に粘着剤が残りやすくなる。さらに、粘着強度が強すぎると、利用者がラベル10を被粘着体1から剥がす用途で使用した場合に、剥がしにくくなる。そのため、粘着強度は、常温において、5.0N/25mm以上10.0N/25mm以下であることがより望ましい。
【0023】
また、粘着層11には、ラベル本体12を平面視した場合のラベル本体12の中央部に対応する領域において、粘着層11を被粘着体1に直接粘着させるよりも粘着力を弱める糊抑え部30が形成されている。
【0024】
糊抑え部30は、例えば、粘着層11おいてラベル本体12とは反対側の面上に、印刷インキを印刷することで形成することができる。糊抑え部30は、無色透明インキを印刷して形成してもよく、着色インキを印刷して形成してもよい。なお、粘着層11をラベル本体12上に選択的に形成することで、糊抑え部30を備えていない構成としてもよい。
【0025】
図2の2002に基づき説明すると、粘着層11において糊抑え部30を備えていない構成とする場合は、ラベル本体12の外周に沿って粘着層11を設ける必要がある。対して、糊抑え部30を形成する場合は、例えば、糊抑え部30が外周の一部に形成されたとしても、粘着剤はラベル本体12の外周に沿って存在するので、ラベル本体12の外周部を被粘着体1に粘着させることができる。
【0026】
また、ラベル10は、粘着層11の露出部を覆う剥離紙を備えていてもよい。これにより、ラベル10が被粘着体1に粘着されていない状態であっても流通が容易となる。
【0027】
(ラベル本体)
図1に示すように、ラベル本体12は、基材層13と、印刷層14と、シュリンク層15と、を備えている。言い換えると、ラベル本体12は、ラベル10において粘着層11以外の構成で、印刷層14を含む構成である。ラベル本体12は、粘着層11側から、基材層13、印刷層14及びシュリンク層15がこの順で積層されることで構成されている。なお、ラベル10は、化粧品やフェイクタトゥに用いられる転写ラベルであってもよく、その場合、ラベル本体12は印刷層14のみを含む。
【0028】
(印刷層)
印刷層14は、粘着層11に積層され、粘着層11の外周部の少なくとも一部に対応する位置にエネルギー線60の照射により発熱する発熱体20を含む。ここで、「粘着層11に積層され」とは、粘着層11に直接積層されることだけではなく、本実施形態で示すように、粘着層11と印刷層14との間に他の層が存在しつつ、印刷層14が粘着層11に積層される場合も含む。
【0029】
本実施形態では、
図2の2001に示すように、発熱体20は、ラベル本体12を平面視した場合のラベル本体12の外周部のいずれかの領域に位置する印刷層14に含まれている。具体的には、発熱体20は、ラベル本体12を平面視した場合のラベル本体12の外周部に沿った領域に位置する印刷層14に含まれている。なお、
図2及び後述する
図4では、印刷層14において発熱体20を含む領域を発熱体含有部141として示している。
【0030】
エネルギー線60は、例えば、紫外線、マイクロ波及び電子線を含み、例えば、照射源50(
図6参照)から照射される。エネルギー線60が紫外線の場合、照射源50はLED(発光ダイオード)光源を用いることが好ましい。
【0031】
発熱体20としては、エネルギー線60で発熱するインキを用いてもよく、エネルギー線60で発熱する材料をインキに混在させて用いてもよい。エネルギー線60に紫外線が含まれる場合、発熱体20として用いるインキは、例えば、黒インキ及び藍インキを採用することができ、発熱体20としてインキに混在させる材料は、紫外線吸収材等を採用することができる。発熱体20として紫外線吸収材を混在させたメジウムを用いることで、印刷層14を透明とすることができるのでラベル10の意匠性を向上させることができる。
【0032】
また、印刷層14として、例えば、紫外線吸収材を混在させたニスまたは紫外線吸収材を混在させたアンカーコート剤を用いてもよい。
【0033】
エネルギー線60としてマイクロ波が含まれる場合、発熱体20として用いるインキは、例えば、黒インキや銀インキを採用することができ、発熱体20としてインキに混在させる材料は、ベンガラなどの酸化鉄系の顔料及び透明導電膜等を採用することができる。エネルギー線60として用いられるマイクロ波の周波数は約2.45GHzとすることが好ましい。
【0034】
発熱体20がエネルギー線60により発熱する温度は、大よそ60度以上85度以下であることが好ましい。また、ラベル10を被粘着体1から剥離させる工程において、ラベル10ではエネルギー線60により印刷層14に含まれる発熱体20のみが発熱するため、被粘着体1の熱への影響を最小限にすることができる。
【0035】
印刷層14の厚さは特に限定されないが、1μm以上5μm以下とすることができる。また、印刷層14において発熱体含有部141以外の領域では、例えば、商品関連情報が印刷されていてもよい。商品関連情報は、例えば、商品名、絵柄、製造者名、ロゴマーク、商品説明等である。
【0036】
さらに、発熱体20は印刷層14全体に含まれるものであってもよく、その場合、印刷層14はラベル本体12に部分的に形成されるものであってもよい。例えば、
図2の2001で説明すると、印刷層14は発熱体含有部141の部分のみに形成されるものであってもよい。その場合、ラベル本体12には商品関連情報が印刷される印刷表示層がさらに積層されていてもよい。
【0037】
(ラベルにエネルギー線を照射させた場合)
図3は、ラベル10にエネルギー線60を照射させた状態を示す正面図である。ラベル10にエネルギー線60が照射されると、印刷層14に含まれた発熱体20がエネルギー線60の照射により発熱する。そして、エネルギー線60により発熱した発熱体20の熱により、発熱体20が含まれている印刷層14に対応する領域に位置する、粘着層11の外周部の一部において、粘着層11の粘着力が低下する。
【0038】
また、熱により基材層13及び印刷層14が歪む。粘着層11の粘着力が低下した個所において基材層13及び印刷層14が歪むことで、
図3に示すように、被粘着体1に粘着されていた破線で示すラベル10が、実線で示すラベル10のように、被粘着体1から離れて浮く。
【0039】
また、ラベル本体12の外周部に沿った領域に位置する印刷層14に発熱体20が含まれているため、エネルギー線60がラベル10に照射されることで、ラベル本体12の外周部において、ラベルを被粘着体から浮かせることができる。さらに、上述したように、粘着層11においてラベル本体12の中央部に対応する位置には糊抑え部30が形成されているため、ラベル本体12の外周部においてラベル10を被粘着体1から浮かせることで、ラベル10全体を容易に被粘着体1から剥がすことができる。
【0040】
(基材層)
図1に示す基材層13は、ラベル10の支持体であり、印刷層14の裏側(粘着層11側)に積層されている。基材層13としては、従来公知の材料を適用でき、例えば、ユポ(登録商標)系またはPP(ポリプロピレン)であってもよい。基材層13は、印刷層14よりも粘着層11側に積層されているので、基材層13についてエネルギー線60を透過させるための透過率の制限はなく、例えば、白色の基材層13であっても用いることができる。
【0041】
基材層13の材料は特に制限はないが、熱による変形が起こりやすいものであることが好ましい。具体的には、基材層13は動的粘弾性で表されるtanδ(=損失弾性率G”(Pa)/貯蔵弾性率G’(Pa))が、80℃において0.10以上であることが好ましい。これにより、発熱体20の発熱により基材層13が大きく歪み、被粘着体1への熱が伝導する前にラベル10が浮くことで、被粘着体1への熱影響を抑えながらラベル10を被粘着体1から剥がすことが可能になる。
【0042】
(シュリンク層)
シュリンク層15は、印刷層14の表側(基材層13とは反対側)に積層され、印刷層14を保護する。また、シュリンク層15は、熱収縮性を有する。ラベル本体12がシュリンク層15を有することで、発熱体20の発熱によりラベル本体12自体をさらに収縮させることができるので、よりラベル10が被粘着体1から離れやすくなる。また、ラベル10が所定の温度帯で被粘着体1から離れるため、エネルギー線60が照射され続けても、加熱されたラベル10の熱が被粘着体1に伝わりにくくなり、被粘着体1の過加熱を防げる効果がある。
【0043】
エネルギー線60は、ラベル10においてシュリンク層15側から照射されるので、例えば、シュリンク層15がPET(ポリエチレンテレフタレート)系またはPP系である場合、シュリンク層15は、透過率が70%以上100%以下となることが好ましく、より好ましいシュリンク層15の透過率は70%以上95%以下である。これにより、効率よくエネルギー線60を印刷層14に透過させることができる。
【0044】
本実施形態では、粘着層11側から基材層13、印刷層14及びシュリンク層15がこの順で積層されることでラベル本体12が構成されているが、上記に限らない。例えば、ラベル本体12においてシュリンク層15が含まれていなくてもよい。
【0045】
その場合、例えば、基材層13に熱収縮性を有する材料を用いてもよい。これにより、発熱体20の発熱により基材層13が熱収縮するため、ラベル本体12にシュリンク層15を含まなくとも、好適にラベル10を被粘着体1から剥がすことができる。
【0046】
また、ラベル本体12は、粘着層11側から印刷層14及び基材層13がこの順で積層されることで構成されていてもよい。基材層13が印刷層14に対して表側に積層されることで、シュリンク層15がなくとも基材層13により印刷層14を保護することができる。
【0047】
さらに、シュリンク層15の代わりに熱収縮性を有しない保護層を用いてもよい。その場合、ラベル本体12は、粘着層11側から基材層13、印刷層14及び保護層がこの順で積層されることで構成されていてもよい。
【0048】
また、ラベル本体12においてシュリンク層15をラミネートすることで設けてもよい。これにより、発熱体20の発熱によりラミネートに使用したシュリンク層15が熱収縮するため、ラベル本体12を保護しつつ、好適にラベル10を被粘着体1から剥がすことができる。
【0049】
(ラベルの構成の他の例)
図4は、ラベル10の構成の他の例を示す平面図である。
図4の4001は、ラベル10の他の例を表側から見た図であり、
図4の4002は、ラベル10の他の例を裏側から見た図である。
図4の4003は、ラベル10のさらに他の例を表側から見た図であり、
図4の4004は、ラベル10のさらに他の例を裏側から見た図である。
【0050】
図4の4001及び
図4の4002に示すように、ラベル10において、粘着層11は、ラベル本体12の一方の面12a上において全面に設けられ、粘着層11の全面に亘って糊抑え部30が、複数のドット形状で形成されていてもよい。
【0051】
また、発熱体20は、ラベル本体12を平面視した場合のラベル本体12の外周において隣り合う2辺が交わる部位である角部16に位置する印刷層14に含まれていてもよい。
【0052】
言い換えると、ラベル10が略四角形の形状を有する場合、印刷層14における発熱体含有部141は4つ角部16のいずれかに位置していればよい。
【0053】
この場合、ラベル本体12の一方の面12a上において全面に設けられた粘着層11には、ドット形状の複数の糊抑え部30が全面に亘って形成されている。そのため、粘着層11は、粘着力を抑えながらラベル本体12全体を被粘着体1に粘着させることができるので、ラベル本体12を被粘着体1に安定して粘着することができる。
【0054】
さらに、ラベル本体12の角部16に位置する印刷層14に発熱体20が含まれている。角部16はラベル10において剥がれやすい箇所であり、さらに糊抑え部30により粘着層11の粘着力が抑えられているため、角部16においてラベル10は被粘着体1から容易に浮く。さらに、糊抑え部30により粘着層11の全体においても粘着力が抑えられているため、ラベル本体12の一方の面12a上において全面に粘着層11が設けられていても、角部16において浮いたラベル10により、ラベル10を被粘着体1から容易に剥離させることができる。
【0055】
また、
図4の4003及び
図4の4004に示すように、ラベル10において、粘着層11は、ラベル本体12の一方の面12a上における全面に対応する位置に設けられ、粘着層11において、発熱体20が含まれている印刷層14(発熱体含有部141)に対応する領域R1では、粘着層11の中央部から粘着層11の外周に向かうにつれて、粘着力が弱くなるように粘着層11が形成されていてもよい。
【0056】
粘着層11はラベル本体12の一方の面12a上における全面に対応する位置に設けられているため、ラベル本体12を被粘着体1に安定して粘着させることができる。また、発熱体含有部141に対応する領域R1における粘着層11は、粘着層11の中央部から粘着層11の外周に向かうにつれて、粘着力が弱くなるように形成されている。そのため、発熱体含有部141に対応する領域R1において、ラベル本体12の外周側に向かうほどラベル10が被粘着体1から離れやすくなり、好適にラベル10を被粘着体1から浮かせることができる。
【0057】
(ラベルの形状の他の例)
図5は、ラベル10の形状の他の例を示す平面図である。上述の実施形態ではラベル10が略四角形である場合について説明したが、ラベル10の形状は特に限定されない。
図5に示すように、ラベル10は両端部に突出部17を有し、略T字となる形状であってもよい。
【0058】
突出部17はラベル10において剥がれやすい箇所となり、突出部17に粘着層11及び印刷層14の発熱体含有部141を設けることで、エネルギー線60の照射により、より好適にラベル10を被粘着体1から剥がすことができる。
【0059】
(ラベルの剥離方法)
図6は、ラベル10を被粘着体1から剥離させる剥離方法を説明する図である。ラベル10を被粘着体1から剥離させる場合、
図6に示すように、まず、ラベル10に照射源50からエネルギー線60を照射する(照射ステップ)。また、被粘着体1にラベル10を粘着する粘着層11に積層される印刷層14において、粘着層11の外周部の少なくとも一部に対応する位置に含まれる発熱体20をエネルギー線60の照射により発熱させる(発熱ステップ)。これにより、発熱体20が発熱した箇所においてラベル10が被粘着体1から離れて浮き、ラベル10を被粘着体1から剥離させる、または、ラベル10を被粘着体1から剥離させる手がかりを作ることができる。
【0060】
また、被粘着体1からラベル10が浮いた箇所に向かって、エアー等を吹き付けてもよい。これにより、確実にラベル10が被粘着体1から剥離させることができる。その結果、被粘着体1を液体に浸けることなく、被粘着体1から容易に剥離することができる。
【0061】
(効果)
容器等についてリサイクルやリユースを行う場合、洗浄により容器からラベルを剥がすと、その後、容器を乾燥させる必要がある。また、電子機器やインクカートリッジ等の液体に浸けることが好ましくない容器にラベルが粘着されている場合、洗浄により容器からラベルを剥がすことができない場合がある。
【0062】
さらに、容器からラベルを分離する技術として、アルカリ液を使用することも考えられるが、その場合、廃液を処理するための後処理工程が必要となる。また、上記の場合、通常、容器及びラベルを粉砕してから容器とラベルとの分離を行うため、容器をリユースすることができない。
【0063】
また、特殊な光により粘着力が弱まる粘着層を用いることで、光により粘着力を低下させてラベルを容器から剥離させる方法も考えられるが、粘着層に光が到達するようにラベルを構成する必要があり、ラベルを透明基材にする等の制約が生じる。
【0064】
それに対して、本実施形態に係るラベル10では、ラベル10にエネルギー線60を照射させることで、ラベル10を被粘着体1から剥離させることができる。これにより、被粘着体1を液体に浸けることなく、被粘着体1からラベル10を容易に剥離することができる。また、被粘着体1及びラベル10を破壊せずに被粘着体1からラベル10を剥離することが可能となる。言い換えると、リサイクル工程における剥離工程(ラベル10を被粘着体1から剥離させる工程)が非破壊状態で行われる。
【0065】
さらに、被粘着体1からラベル10を剥離するために大掛かりな設備は必要ではなく、一般の消費者であっても照射源50を所持していれば、容易に被粘着体1からラベル10を剥離することができる。
【0066】
また、印刷層14に含まれる発熱体20にエネルギー線60が照射されればよいので、ラベル本体12における印刷層14の積層順によってはラベル本体12を構成する各層の透過率の制限が緩和されるため、ラベル10の意匠性を低下させることなく、被粘着体1からラベル10を剥離することができる。
【0067】
また、被粘着体1がインクカードリッジ等である場合では、被粘着体1を回収する時点まで利用者にラベル10を被粘着体1から剥離されたくない場合がある。このような場合であっても、ラベル10によれば、ラベル10粘着時はラベル本体12の外周部が被粘着体1に粘着されているため(
図2の2002参照)、被粘着体1の販売時及び利用時は、利用者がラベル10を剥離する手がかりがラベル10に存在せず、利用者はラベル10を被粘着体1から剥離できない。つまり、ラベル10は剥離工程の時点で初めて被粘着体1から剥離できる。または、剥離工程の時点で初めてラベル10を被粘着体1から剥離させる手がかりを作ることができる。
【0068】
また、このように構成によれば、液体に浸けることなくラベル10を被粘着体1から剥離することができるので、被粘着体1をリサイクルやリユースすることが容易となる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「つくる責任つかう責任」等の達成にも貢献するものである。
【0069】
〔試験例〕
以下、本発明の一試験例の試験結果ついて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0070】
本試験例では、構成が異なる実施例1から実施例10のラベル10において、エネルギー線60として紫外線を所定時間照射する剥離試験を行い、各ラベル10について、デラベル評価及び糊残り評価を行った。
【0071】
ここで、デラベル評価は、各ラベル10に紫外線を照射した後のラベル10の剥がれ具合を評価したものであり、各ラベル10に紫外線を照射した後、各ラベル10の剥がれ具合を目視確認することで評価を行った。また、評価結果について、
図8及び
図9に示す表に記載した。
図8は剥離試験における結果の一部を示す表であり、
図9は剥離試験における他の結果を示す表である。
【0072】
デラベル評価において、デラベル評価AAは、紫外線の照射開始後、10秒以内にラベル10の面積の70%以上が支持板71から剥離した結果を示す。デラベル評価Aは、紫外線の照射開始後、10秒から12秒以内にラベル10の面積の70%以上が支持板71から剥離した結果を示す。デラベル評価Bは、紫外線の照射開始後、12秒から15秒以内にラベル10の面積の70%以上が支持板71から剥離した結果を示す。
【0073】
また、糊残り評価は、各ラベル10に紫外線を照射した後の支持板71において、ラベル10が剥がれた部分の粘着剤の付着の有無を評価したものであり、各ラベル10に紫外線を照射した後、支持板71において各ラベル10の剥がれた部分を目視確認することで評価を行った。
【0074】
糊残り評価において、糊残り評価Aは、ラベル10が剥がれた部分に粘着剤の付着が無かった結果を示す。糊残り評価Bは、ラベル10が剥がれた部分に粘着剤の付着があった結果を示す。
【0075】
(試験手順)
図7は、本発明の試験例における剥離試験装置70の一例を示す図である。剥離試験装置70は、照射源50と、支持板71と、で構成した。照射源50として、波長が385nm、出力が20W、照射面積が75mm×20mmであるUV-LED(紫外線発光ダイオード、フォセオンテクノロジー社)を使用した。
【0076】
まず、照射源50から水平方向に紫外線が照射されるように、照射源50を水平面に設置した。また、被粘着体1の替わりとなる支持板71にはPE(ポリエチレン)板を用い、支持板71にラベル10を粘着して、ラベル10に紫外線が垂直に照射され、かつ、照射源50からラベル10までの距離L1が40mmとなるように、固定具72で支持板71を水平面に固定した。その状態で、最大出力の紫外線を、所定時間(15秒以内)ラベル10に照射し、評価を行った。
【0077】
なお、ラベル10は30mm角の略正方形とし、支持板71にラベル10を粘着させた後、ラベル10上で重量2kgの荷重ローラーを2往復させて支持板71にラベル10を定着させ、その後24時間経過したラベル10を試験サンプルとして用いた。
【0078】
〔実施例1〕
実施例1におけるラベル10には、基材層13及び印刷層14を備えるラベル本体12を用いた。基材層13は厚さが80μmの合成紙PPであり、印刷層14の厚さを1μm以上2μm以下として発熱体20に黒インキを用いた。合成紙PPとは、紙の特性(不透明性及び印刷容易性)を有する、ポリプロピレンでつくられたフィルム素材である。黒インキはUV(紫外線)硬化型フレキソインキの黒インキを採用し、UV照射により黒インキを硬化させフレキソコーターにてラベル本体12の全面に印刷層14を形成した。
【0079】
また、粘着層11の粘着剤を中粘着糊111とし、粘着層11はラベル本体12の全面に形成した。ここで中粘着糊111は、粘着強度が常温において5.0N/25mm以上10.0N/25mm以下である粘着剤である。
【0080】
実施例1では、
図8に示すように、デラベル評価がB、糊残り評価がAとなり、好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できた。
【0081】
〔実施例2〕
実施例2におけるラベル10の構成は、発熱体20に藍インキを用いる点が実施例1のラベル10と異なり、その他の構成は同じである。
【0082】
実施例2では、
図8に示すように、デラベル評価がB、糊残り評価がAとなり、発熱体20に藍インキを用いた場合であっても好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できた。
【0083】
〔実施例3〕
実施例3におけるラベル10の構成は、紫外線吸収剤が重量比で15%添加された透明ニスを印刷層14として用いる点が実施例1のラベル10と異なり、その他の構成は同じである。
【0084】
実施例3では、
図8に示すように、デラベル評価がB、糊残り評価がAとなり、印刷層14に紫外線吸収剤が添加された透明ニスを用いる場合であっても、好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できた。
【0085】
〔実施例4〕
実施例4におけるラベル10の構成は、印刷層14の厚さが4μmである点が実施例1のラベル10と異なり、その他の構成は同じである。なお、印刷層14の厚さを4μmとするために、印刷層14の形成にはバーコーターを用いた。
【0086】
実施例4では、
図8に示すように、デラベル評価がA、糊残り評価がAとなり、印刷層14を厚くすることでより好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できた。
【0087】
〔実施例5〕
実施例5におけるラベル10の構成は、厚さ15μmのシュリンク層15をさらに備える点が実施例4のラベル10と異なり、その他の構成は同じである。なお、実施例5におけるラベル10では、実施例4の印刷層14上にフレキソコーターによりUV硬化型接着剤を塗工後、収縮性PPフィルムをラミネートすることで、シュリンク層15を設けた。
【0088】
実施例5では、
図8に示すように、デラベル評価がAA、糊残り評価がAとなり、シュリンク層15を設けることでより好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できた。
【0089】
〔実施例6〕
実施例6におけるラベル10の構成は、粘着層11の粘着剤が中粘着糊112となる点が実施例4のラベル10と異なり、その他の構成は同じである。ここで中粘着糊112は、粘着強度が中粘着糊111と同範囲であり、粘着剤の種類が中粘着糊111と異なる。
【0090】
実施例6では、
図8に示すように、デラベル評価がB、糊残り評価がAとなり、粘着強度が同程度の粘着剤であれば異なる種類であっても好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できた。
【0091】
〔実施例7〕
実施例7におけるラベル10の構成は、粘着層11の粘着剤が中粘着糊113となる点が実施例4のラベル10と異なり、その他の構成は同じである。ここで中粘着糊113は、粘着強度が中粘着糊111と同範囲であり、粘着剤の種類が中粘着糊111及び中粘着糊112と異なる。
【0092】
実施例7では、
図8に示すように、デラベル評価がAA、糊残り評価がAとなり、粘着強度が同程度の粘着剤であっても種類を適切に選択することでより好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できた。
【0093】
〔実施例8〕
実施例8におけるラベル10の構成は、粘着層11の粘着剤が強粘着糊140となる点が実施例4のラベル10と異なり、その他の構成は同じである。ここで強粘着糊140は、粘着強度が常温において15.0N/25mm以上20.0N/25mm以下である粘着剤である。
【0094】
実施例8では、
図8に示すように、デラベル評価がA、糊残り評価がBとなり、粘着強度が高い粘着剤を用いても好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できたが、支持板71に粘着剤が付着しているのが確認できた。そのため、実際の運用において被粘着体1をリサイクルする際は粘着剤として中粘着糊111~中粘着糊113中を用いることが好ましいことが確認できた。
【0095】
〔実施例9〕
実施例9におけるラベル10の構成は、粘着層11において糊抑え部30が設けられている点が実施例4のラベル10と異なり、その他の構成は同じである。
図10の1001は実施例9の粘着層11における糊抑え30の形成パターン(パターン1)を示す平面図である。実施例9におけるラベル10は、
図10の1001に示すように、粘着層11がラベル本体12の全面に設けられ、外周に沿う幅5mmの外周枠範囲外に糊抑え30が形成されている。言い換えると、ラベル本体12を平面視した場合のラベル本体12の中央部に対応する領域において、糊抑え部30が形成されている。
【0096】
なお、糊抑え部30は、粘着層11上に糊抑え用のUV硬化型インキをフレキソコーターにて部分塗工することにより形成した。
【0097】
実施例9では、
図9に示すように、デラベル評価がAA、糊残り評価がAとなり、ラベル本体12の中央部に対応する領域において糊抑え部30を形成することで、より好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できた。
【0098】
〔実施例10〕
実施例10におけるラベル10の構成は、ラベル本体12において糊抑え部30が設けられている範囲が異なる点が実施例9のラベル10と異なり、その他の構成は同じである。
図10の1002は実施例10の粘着層11の糊抑え30の形成パターン(パターン2)を示す平面図である。実施例10におけるラベル10では、
図10の1002に示すように、粘着層11がラベル本体12の全面に設けられ、4つの角部に糊抑え30が形成されている。
【0099】
実施例10では、
図9に示すように、デラベル評価がAA、糊残り評価がAとなり、4つの角部に糊抑え30を形成することで、より好適にラベル10が支持板71から剥離することが確認できた。
【0100】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るラベル(10)は、リサイクルまたはリユースに用いられる被粘着体(1)に粘着されるラベル(10)であって、被粘着体(1)に粘着可能な粘着層(11)と、粘着層(11)に積層され、粘着層(11)の外周部の少なくとも一部に対応する位置にエネルギー線(60)の照射により発熱する発熱体(20)を含む印刷層(14)と、備えている。
【0101】
上記の構成によれば、エネルギー線により発熱した発熱体(20)の熱により、粘着層(11)の外周部の少なくとも一部において粘着層(11)の粘着力が低下する。また、発熱体(20)の熱により粘着力が低下した粘着層(11)に対応する箇所の印刷層(14)が歪む。粘着層(11)の粘着力が低下した個所において印刷層(14)が歪み、ラベル(10)が被粘着体(1)から離れて浮く。これにより、ラベル(10)を被粘着体(1)から剥離させる、または、ラベル(10)を被粘着体(1)から剥離させる手がかりを作ることができる。その結果、被粘着体(1)を液体に浸けることなく、被粘着体(1)から容易に剥離することが可能なラベル(10)を実現することができる。
【0102】
本発明の態様2に係るラベル(10)は、上記態様1において、ラベル(10)における粘着層(11)以外の構成で、印刷層(14)を含む構成をラベル本体(12)とすると、発熱体(20)は、ラベル本体(12)を平面視した場合のラベル本体(12)の外周部のいずれかの領域に位置する印刷層(14)に含まれており、粘着層(11)は、ラベル本体(12)の一方の面(12a)上において、ラベル本体(12)の外周部に対応する位置に設けられていてもよい。
【0103】
上記の構成によれば、粘着層(11)はラベル本体(12)の一方の面上において、ラベル本体(12)を平面視した場合のラベル本体(12)の外周部に対応する位置に設けられているため、ラベル本体(12)の外周部を被粘着体(1)に粘着させることができる。そのため、ラベル(10)粘着時には、ラベル本体(12)の外周部においてラベル本体(12)がめくれず、例えば、利用者が被粘着体(1)を使用している間は、ラベル本体(12)を被粘着体(1)に粘着した状態を保持することができる。
【0104】
また、ラベル本体(12)の外周部のいずれかの領域に位置する印刷層(14)に発熱体(20)が含まれているため、エネルギー線(60)がラベル(10)に照射されることで、ラベル本体(12)の外周部において、ラベル(10)を被粘着体(1)から浮かせることができ、ラベル(10)を被粘着体(1)から剥がしやすくなる。
【0105】
本発明の態様3に係るラベル(10)は、上記態様2において、発熱体(20)は、ラベル本体(12)を平面視した場合のラベル本体(12)の外周部に沿った領域に位置する印刷層(14)に含まれており、粘着層(11)には、粘着層(11)を被粘着体(1)に直接粘着させるよりも粘着力を弱める糊抑え部(30)が形成されていてもよい。
【0106】
上記の構成によれば、ラベル本体(12)の外周部に沿った領域に位置する印刷層(14)に発熱体(20)が含まれているため、エネルギー線(60)がラベル(10)に照射されると、ラベル本体(12)の外周部において、ラベル(10)が被粘着体(1)から離れて浮く。また、粘着層(11)には、粘着層(11)を被粘着体(1)に直接粘着させるよりも粘着力を弱める糊抑え部(30)が形成されているため、ラベル本体(12)の外周部においてラベル(10)を被粘着体(1)から浮かせることで、ラベル(10)全体を容易に被粘着体(1)から剥がすことができる。
【0107】
本発明の態様4に係るラベル(10)は、上記態様2において、発熱体(20)は、ラベル本体(12)を平面視した場合のラベル本体(12)の外周において隣り合う2辺が交わる部位である角部(16)に位置する印刷層(14)に含まれており、粘着層(11)は、ラベル本体(12)の一方の面(12a)上において全面に設けられ、粘着層(11)の全面に亘って、粘着層(11)を被粘着体(1)に直接粘着させるよりも粘着力を弱める糊抑え部(30)が、複数のドット形状で形成されていてもよい。
【0108】
上記の構成によれば、ラベル本体(12)の一方の面上において全面に設けられた粘着層(11)には、ドット形状の複数の糊抑え部(30)が全面に亘って形成されている。そのため、粘着層(11)は、粘着力を抑えながらラベル本体(12)全体を被粘着体(1)に粘着させることができるので、ラベル本体(12)を被粘着体(1)に安定して粘着することができる。
【0109】
さらに、ラベル本体(12)の外周を形成する隣り合う2辺が交わる部位である角部(16)に位置する印刷層(14)に発熱体(20)が含まれている。角部(16)はラベル(10)が剥がれやすい箇所であり、さらに糊抑え部(30)により粘着力が抑えられているため、角部(16)おいてラベル(10)は被粘着体(1)から容易に浮く。また、糊抑え部(30)により粘着層(11)11の全体においても粘着力が抑えられているため、ラベル本体(12)の一方の面上において全面に粘着層(11)が設けられていても、角部(16)において浮いたラベル(10)により、ラベル(10)を被粘着体(1)から容易に剥離させることができる。
【0110】
本発明の態様5に係るラベル(10)は、上記態様2において、粘着層(11)は、ラベル本体(12)の一方の面(12a)上における全面に対応する位置に設けられ、粘着層(11)において、発熱体(20)が含まれている印刷層(14)に対応する領域(R1)では、粘着層(11)の中央部から粘着層(11)の外周に向かうにつれて、粘着力が弱くなるように形成されていてもよい。
【0111】
上記の構成によれば、粘着層(11)はラベル本体(12)の一方の面上における全面に対応する位置設けられているため、ラベル本体(12)を被粘着体(1)に安定して粘着させることができる。また、発熱体(20)が含まれている印刷層(14)に対応する領域(R1)における粘着層(11)は、粘着層(11)の中央部から粘着層(11)の外周に向かうにつれて、粘着力が弱くなるように形成されている。そのため、発熱体(20)が含まれている印刷層(14)に対応する領域(R1)において、ラベル本体(12)の外周側に向かうほどラベル(10)が被粘着体(1)から離れやすくなり、好適にラベル(10)を被粘着体(1)から浮かせることができる。
【0112】
本発明の態様6に係るラベル(10)は、上記態様1から5のいずれかにおいて、熱収縮性を有するシュリンク層(15)をさらに備えていてもよい。
【0113】
上記の構成によれば、発熱体(20)の発熱によりラベル本体(12)自体もさらに収縮させることができるので、よりラベル(10)が被粘着体(1)から離れやすくなる。
【0114】
本発明の態様7に係るラベル(10)の剥離方法は、被粘着体(1)に粘着されたラベル(10)を被粘着体(1)から剥離するラベル(10)の剥離方法であって、ラベル(10)にエネルギー線(60)を照射する照射ステップと、被粘着体(1)にラベル(10)を粘着する粘着層(11)に積層される印刷層(14)において、粘着層(11)の外周部の少なくとも一部に対応する位置に含まれる発熱体(20)をエネルギー線(60)の照射により発熱させる発熱ステップと、を含む。
【0115】
上記の構成によれば、照射ステップにおいて照射されたエネルギー線(60)により粘着層(11)の外周部の少なくとも一部において印刷層(14)に含まれる発熱体(20)が発熱し、発熱した発熱体(20)の熱により粘着層(11)の粘着力が低下する。また、発熱した発熱体(20)の熱により粘着層(11)に対応する箇所の印刷層(14)が歪む。粘着層(11)の粘着力が低下した個所において印刷層(14)が歪み、印刷層(14)が被粘着体(1)から離れて浮く。これにより、ラベル(10)が被粘着体(1)から剥離する、または、ラベル(10)を被粘着体(1)から剥離する手がかりを作ることができる。その結果、被粘着体(1)を液体に浸けることなく、被粘着体(1)からラベル(10)を容易に剥離することができる。
【0116】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0117】
1 被粘着体
10 ラベル
11 粘着層
12 ラベル本体
12a ラベル本体の一方の面
13 基材層
14 印刷層
15 シュリンク層
16 角部
20 発熱体
30 糊抑え部
60 エネルギー線
R1 発熱体が含まれている印刷層に対応する領域