(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083131
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】媒体排出装置、印刷装置および媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/52 20060101AFI20240613BHJP
B41J 13/10 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B65H29/52
B41J13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197476
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内林 誠
【テーマコード(参考)】
2C059
3F101
【Fターム(参考)】
2C059DD05
2C059DD07
3F101FA01
3F101FB12
3F101FC11
3F101FC18
3F101FE17
3F101LA07
3F101LB01
(57)【要約】
【課題】紙媒体の取込動作時に搬送ジャムが発生ことを抑制できる媒体排出装置、印刷装置および媒体処理装置を提供するものである。
【解決手段】紙媒体としてのレシートRTを受取りが可能な状態で排出口49から排出する媒体排出装置としてのレシート印刷ユニット30であって、排出口49に前記紙媒体を送り出す排出ローラ41と、前記紙媒体を排出口49に導く排出ガイド42と、を備え、排出ローラ41は、排出口49から前記紙媒体の一部を延出した受取り待ち状態で保持可能であり、排出ガイド42は、受取り待ち状態の前記紙媒体の両側に配置され、横方向の位置ずれを規制する一対の横ずれ規制ガイド42A,42Bを有し、前記一対の横ずれ規制ガイド42A,42Bの間隔L11,L21は、前記紙媒体の横幅L0よりもわずかに大きくなっている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙媒体を受取りが可能な状態で排出口から排出する媒体排出装置であって、
前記排出口に前記紙媒体を送り出す排出ローラと、
前記紙媒体を前記排出口に導く排出ガイドと、を備え、
前記排出ローラは、前記排出口から前記紙媒体の一部を延出した受取り待ち状態で保持可能であり、
前記排出ガイドは、受取り待ち状態の前記紙媒体の両側に配置され、横方向の位置ずれを規制する一対の横ずれ規制ガイドを有し、
前記一対の横ずれ規制ガイドの間隔は、前記紙媒体の横幅よりもわずかに大きくなっている、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記横ずれ規制ガイドの装置内部側の端部には、取込み方向に進むにつれて外側に傾斜する傾斜面が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
前記横ずれ規制ガイドは、前記排出口の付近に設置される第1の横ずれ規制ガイドと、前記受取り待ち状態の前記紙媒体の後端部分に設置される第2の横ずれ規制ガイドと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項4】
前記横ずれ規制ガイドは、前記排出口の付近に設置される第1の横ずれ規制ガイドと、前記受取り待ち状態の前記紙媒体の後端部分に設置される第2の横ずれ規制ガイドと、を有し、
前記第1の横ずれ規制ガイドおよび前記第2の横ずれ規制ガイドの装置内部側の端部には、取込み方向に進むにつれて外側に傾斜する傾斜面が形成されており、
前記第2の横ずれ規制ガイドの前記傾斜面の傾斜角度は、前記第1の横ずれ規制ガイドの前記傾斜面の傾斜角度よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項5】
前記横ずれ規制ガイドの排出口側の端部には、排出方向に進むにつれて弧を描いて外側に広がる曲面が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項6】
紙媒体を受取りが可能な状態で排出口から排出する印刷装置であって、
前記紙媒体に印刷を行う印刷部と、
前記排出口に前記紙媒体を送り出す排出ローラと、
前記紙媒体を前記排出口に導く排出ガイドと、を備え、
前記排出ローラは、前記排出口から前記紙媒体の一部を延出した受取り待ち状態で保持可能であり、
前記排出ガイドは、受取り待ち状態の前記紙媒体の両側に配置され、横方向の位置ずれを規制する一対の横ずれ規制ガイドを有し、
前記一対の横ずれ規制ガイドの間隔は、前記紙媒体の横幅よりもわずかに大きくなっている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載の媒体排出装置、または、請求項6に記載の印刷装置を備える、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体排出装置、印刷装置および媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行の支店、コンビニエンスストアなどに設置され、利用者との間で入金取引や出金取引等の取引を行う自動取引装置が存在する。この自動取引装置には、通信販売の購入代金や公共料金等の支払いに関する収納代行業務の処理を行うことが可能なものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
レシート、紙幣、払込票などの紙媒体を装置外に排出する排出口および排出口に通じる排出路は、紙媒体の横幅方向に対して十分に広い形状にするのが一般的である。このようにすることで、排出口から紙媒体が排出されるときに引っ掛かり難くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排出口から紙媒体の一部を延出した状態(顧客による受取り待ち状態)とし、顧客に受け取られずに一定時間が経過した後で当該紙媒体を装置内に取り込む動作を想定する。この動作を行う場合、排出路の幅方向の寸法が紙媒体の幅方向に対して広すぎる(例えば、紙媒体の両側に「5~10mm」程度の隙間がある)と、受取り待ち状態において紙媒体の側面方向から外力が加えられたときに紙媒体が搬送方向に対して傾いた状態になる。そして、傾いた状態のまま紙媒体を装置内に取り込んだ場合、例えば紙媒体の角部がガイドに接触して折れ曲がり、搬送ジャムが発生する。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、紙媒体の取込動作時に搬送ジャムが発生することを抑制できる媒体排出装置、印刷装置および媒体処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る媒体排出装置は、紙媒体を受取りが可能な状態で排出口から排出する媒体排出装置であって、前記排出口に前記紙媒体を送り出す排出ローラと、前記紙媒体を前記排出口に導く排出ガイドと、を備え、前記排出ローラは、前記排出口から前記紙媒体の一部を延出した受取り待ち状態で保持可能であり、前記排出ガイドは、受取り待ち状態の前記紙媒体の両側に配置され、横方向の位置ずれを規制する一対の横ずれ規制ガイドを有し、前記一対の横ずれ規制ガイドの間隔は、前記紙媒体の横幅よりもわずかに大きくなっていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係る印刷装置は、紙媒体を受取りが可能な状態で排出口から排出する印刷装置であって、前記紙媒体に印刷を行う印刷部と、前記排出口に前記紙媒体を送り出す排出ローラと、前記紙媒体を前記排出口に導く排出ガイドと、を備え、前記排出ローラは、前記排出口から前記紙媒体の一部を延出した受取り待ち状態で保持可能であり、前記排出ガイドは、受取り待ち状態の前記紙媒体の両側に配置され、横方向の位置ずれを規制する一対の横ずれ規制ガイドを有し、前記一対の横ずれ規制ガイドの間隔は、前記紙媒体の横幅よりもわずかに大きくなっていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係る媒体処理装置は、上述した媒体排出装置、または、上述した印刷装置を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紙媒体の取込動作時に搬送ジャムが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る媒体処理装置の外観図である。
【
図2】カード処理ユニットを側面から見た場合の内部構造を示す図である。
【
図3】レシート印刷ユニットを側面から見た場合の内部構造を示す図である。
【
図5】排出部を前後左右で構成される平面で切断した断面図(
図4のV-Vに対応する断面図)である。
【
図6A】本発明の第1実施形態に係る排出部の動作を説明するための図である。
【
図6B】本発明の第1実施形態に係る排出部の動作を説明するための図である。
【
図6C】本発明の第1実施形態に係る排出部の動作を説明するための図である。
【
図6D】本発明の第1実施形態に係る排出部の動作を説明するための図である。
【
図7A】本発明の第2実施形態に係る排出部の構成および動作を説明するための図である。
【
図7B】本発明の第2実施形態に係る排出部の構成および動作を説明するための図である。
【
図8】本発明の変形例に係る排出部の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるにすぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張等して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
[第1実施形態]
<第1実施形態に係る媒体処理装置の構成について>
図1を参照して、第1実施形態に係る媒体処理装置1の構成について説明する。
図1は、媒体処理装置1の外観図である。媒体処理装置1の説明における「上下」、「左右」、「前後」は、
図1の矢印に従う。当該方向は、説明の便宜上定めるものであり、本発明を限定するものではない。
【0014】
媒体処理装置1は、紙製の媒体(紙媒体)の処理を行う装置である。紙媒体は、例えばレシート、紙幣、払込票、チケットなどである。本実施形態では、銀行の支店、コンビニエンスストアなどに設置される現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)を想定して説明する。なお、媒体処理装置1は、現金自動預け払い機に限定されず、例えば、券売機、セルフ精算機等であってもよい。
【0015】
図1に示す媒体処理装置1は、利用者(例えば、金融機関の顧客)との間で入金取引や出金取引等の取引を行う。媒体処理装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、前面上部に接客部3を有する。媒体処理装置1は、前面上部が斜めに切り取られたような形状を呈しており、この部分に接客部3が設けられている。
【0016】
図1に示す接客部3は、利用者との間で現金、カード、レシート等をやり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うように構成される。接客部3は、例えば、入出金口4、テンキー5、操作表示部6、カード入出口7、およびレシート排出口8を備える。
【0017】
入出金口4は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。入出金口4は、シャッタを駆動することによって、開放または閉塞することが可能である。入出金口4の下側の筐体2内には、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10が設けられている。入出金口4に投入された紙幣は紙幣入出金機10に搬送されて処理が行われ、また、紙幣入出金機10で処理が行われた紙幣が入出金口4に搬送される。
【0018】
テンキー5は、「0」~「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
【0019】
カード入出口7は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される開口部である。カード入出口7の奥側(後方)には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理ユニット20(
図2参照)が設けられている。
【0020】
レシート排出口8は、取引内容等を印字したレシートを排出する開口部である。レシート排出口8の奥側(後方)には、レシートに取引内容等を印字するレシート印刷ユニット30(
図3参照)が設けられている。レシート印刷ユニット30は、取引処理の終了時にレシートを作成し、レシート排出口8を介して受取りが可能な状態(レシート排出口8からレシートの一部を延出した状態)でレシートを排出する。なお、利用者が排出されたレシートを受け取らなかった場合、当該レシートは、レシート印刷ユニット30内に取り込まれる。
【0021】
また、筐体2内には、媒体処理装置1全体を統括制御する主制御部9が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部9Aを有しており、処理に関する種々の情報をこの記憶部9Aに記憶させることが可能である。主制御部9が制御する対象には、紙幣入出金機10、カード処理ユニット20、レシート印刷ユニット30が含まれる。
【0022】
次に、
図2を参照して、カード処理ユニット20の構成について説明する。
図2は、カード処理ユニット20を側面から見た場合の内部構造を示す図である。カード処理ユニット20は、フィードローラ21および磁気読取部22を有する。
フィードローラ21は、磁気カードを装置内部またはカード入出口7に向けて搬送する。
磁気読取部22は、磁気カードに記録される情報を読み取る。磁気読取部22により読み取られた情報は主制御部9に送信され、主制御部9は、読み取った情報に基づいて取引を制御する。なお、カード処理ユニット20は、磁気読取部22に代えて、または、磁気読取部22と共にICチップに格納された情報を読み取る機能も有していてもよい。
【0023】
次に、
図3を参照して、レシート印刷ユニット30の構成について説明する。
図3は、レシート印刷ユニット30を側面から見た場合の内部構造を示す図である。なお、レシート印刷ユニット30は、「印刷装置」および「媒体排出装置」の一例である。
【0024】
図3に示すように、レシート印刷ユニット30は、主に、供給部31と、印字部32と、取込部33と、排出部40とを備える。なお、印字部32は、「印刷部」の一例であり、「印刷」は「印字」を含む意図である。
供給部31は、印字部32に対して帯状の感熱紙RSを供給する。供給部31は、感熱紙RSが巻回されたロール紙Rを格納する。
【0025】
印字部32は、感熱紙RSに取引内容等を印字する。印字部32は、サーマルヘッド34、プラテンローラ35、カッタ36、およびフィードローラ37を有する。
サーマルヘッド34は、プラテンローラ35上に搬送された感熱紙RSに所定の取引情報を印字する。
カッタ36は、感熱紙RSの取引情報が印字された部分をレシートRTとして切断する。
フィードローラ37は、切断処理を行ったレシートRTを排出部40に搬送する。また、フィードローラ37は、受け取られなかったレシートRTを取込部33に搬送する。
【0026】
排出部40は、受取りが可能な状態でレシート排出口8にレシートRTを排出する。排出部40は、主に、排出ローラ41、排出ガイド42およびフィードローラ43を有する。
排出ローラ41は、レシートRTをレシート排出口8に送り出す。排出ローラ41は、レシートRTを挟持することで、レシート排出口8からレシートRTの一部を延出した状態(受取り待ち状態)で保持することが可能である。レシートRTが一定時間受け取られなかった場合、排出ローラ41は、レシート排出口8に送り出すときとは逆方向に回転し、受け取られなかったレシートRTを装置内に引き込む。引き込まれたレシートRTは、取込部33に搬送される。
【0027】
排出ガイド42は、レシートRTをレシート排出口8に導くものである。排出ガイド42は、例えば排出方向以外への移動(
図3では、上下左右への移動)を規制するものである。排出ガイド42は、搬送路の端部に設けられ、本実施形態では排出ガイド42の先端部分がレシート印刷ユニット30の前壁から前方に突出している。排出ガイド42の先端部分は、媒体処理装置1の筐体2に入れ込まれる構造になっており、筐体2と共にレシート排出口8を形成する。以下では、排出ガイド42側の開口部を排出口49と呼ぶことにし、排出口49は、筐体2側の開口部に連通する。筐体2側の開口部は、排出口49と同等の寸法または排出口49よりも大きな寸法となっている。本実施形態の排出ガイド42は、受け取られなかったレシートRTを取り込むときに、搬送ジャムが発生することを抑制するための工夫が施されている。排出ガイド42の詳細は後述する。
【0028】
取込部33は、受け取られずに取り込んだレシートRTを格納する。取込部33は、取り込んだレシートRTを収納する収納庫38を有する。
【0029】
<レシート印刷ユニットの排出部の構成について>
図4および
図5を参照して(適宜、
図1ないし
図3を参照)、レシート印刷ユニット30が有する排出部40の構成について説明する。
図4は、排出部40の正面図である。
図5は、排出部40を前後左右で構成される平面で切断した断面図(
図4のV-Vに対応する断面図)である。
図4および
図5では、受取り待ち状態のレシートRTを二点鎖線で示している。
図5に示すように、受取り待ち状態のレシートRTは、後端付近を第1の排出ローラ41Aによって挟持されており、先端部分が排出口49から延出している。第1の排出ローラ41Aは、排出口49から一番近い場所に設置されるローラである。
【0030】
図5に示すように、本実施形態での排出ガイド42は、第1の横ずれ規制ガイド42Aと、第2の横ずれ規制ガイド42Bとを有する。
図5に示す第1の横ずれ規制ガイド42Aおよび第2の横ずれ規制ガイド42Bは、板状の部材を折り曲げたような形状を呈している。なお、第1の横ずれ規制ガイド42Aおよび第2の横ずれ規制ガイド42Bは、板状でなくてもよい。
【0031】
第1の横ずれ規制ガイド42Aは、先端側部材51に設けられ、第2の横ずれ規制ガイド42Bは、基端側部材52に設けられる。先端側部材51と基端側部材52とでは材質や色が異なり、例えば、先端側部材51は、筐体2と同じ材質(例えば樹脂製)および筐体2と同じ色になっており、基端側部材52は、筐体2とは違う材質(例えば一部が金属製)および筐体2と違う色になっている。つまり、筐体2内にレシート印刷ユニット30を取り付けた状態で、レシート排出口8を介して利用者が見ることができる部分を先端側部材51とし、それ以外の部分を基端側部材52としている。これにより、利用者に対して統一感のある印象を与えることが可能である。先端側部材51と基端側部材52とは、連結部材53を用いて連結される。連結部材53は、締結手段54によって先端側部材51および基端側部材52に固定される。
【0032】
図5に示すように、第1の横ずれ規制ガイド42Aおよび第2の横ずれ規制ガイド42Bは、排出されるレシートRTの左右両側に設けられている。左側に設けられた第1の横ずれ規制ガイド42Aと右側に設けられた第1の横ずれ規制ガイド42Aとは同様の形状であり、左右対称である。また、左側に設けられた第2の横ずれ規制ガイド42Bと右側に設けられた第2の横ずれ規制ガイド42Bとは同様の形状であり、左右対称である。第1の横ずれ規制ガイド42Aおよび第2の横ずれ規制ガイド42Bは、レシートRTが排出される空間(排出路)の側壁の役割を担い、排出口49付近に位置するレシートRTが横方向(左右方向)に移動するのを規制する。つまり、第1の横ずれ規制ガイド42Aおよび第2の横ずれ規制ガイド42Bは、受取り待ち状態のレシートRTの横方向の位置ずれを規制する。
【0033】
第1の横ずれ規制ガイド42Aは、レシート排出口8(
図3参照)付近に設けられる。本実施形態での第1の横ずれ規制ガイド42Aは、筐体2に入れ込まれる部分に形成され、排出口49を構成する。これにより、第1の横ずれ規制ガイド42Aは、受取り待ち状態のレシートRTの中央部分における横方向の位置ずれを規制する。
第2の横ずれ規制ガイド42Bは、第1の排出ローラ41A付近に設けられる。言い換えれば、第2の横ずれ規制ガイド42Bは、受取り待ち状態のレシートRTの後端部分に設置され、後端部分における横方向の位置ずれを規制する。
【0034】
第1の横ずれ規制ガイド42Aは、第1側面42Aaと、第2側面42Abとを有する。第1側面42Aaおよび第2側面42Abは、レシートRTに対向する側に設けられる。第1側面42Aaは、排出方向(ここでは前方向)および鉛直方向(ここでは上方向)で構成される基準平面Kに平行である。第2側面42Abは、第1の横ずれ規制ガイド42Aの装置内部側の端部に設けられる。第2側面42Abは、排出方向とは逆方向である取込み方向(ここでは後方向)に進むにつれて外側に傾斜している。第2側面42Abは、第1側面42Aa(つまり、基準平面K)に対して傾斜する傾斜面である。対向する第1側面42Aaの間隔は一定であり、対向する第2側面42Abの間隔は装置内部に向かって幅が広くなっている。これにより、第1側面42Aa間の寸法L11に対して、第2側面42Abにおける装置内部側の端部間の寸法L12は大きくなっている。
【0035】
第2側面42Abは、レシートRTを排出する場合に、レシートRTが第1の横ずれ規制ガイド42Aに引っ掛かり難くするためのものである。これにより、レシートRTが排出方向(ここでは前方向)に対して傾いた状態で搬送されてきた場合であっても、レシートRTの先端側の角部が第2側面42Abに接触することで引っ掛かることなく排出される。なお、第1側面42Aaの前後方向の寸法が短いと、レシートRTの走行性が不安定になる。そのため、第1側面42Aaの前後方向の寸法は、走行性が安定する程度の長さにするのがよい。
【0036】
第2の横ずれ規制ガイド42Bは、第1の横ずれ規制ガイド42Aと同様の構成となっている。つまり、第2の横ずれ規制ガイド42Bは、第1側面42Baと、第2側面42Bbとを有する。第2側面42Bbは、第2の横ずれ規制ガイド42Bの装置内部側の端部に設けられており、第1側面42Ba(つまり、基準平面K)に対して傾斜する傾斜面である。これにより、第1側面42Ba間の寸法L21に対して、第2側面42Bbにおける装置内部側の端部間の寸法L22は大きくなっている。第2側面42Bbの役割は、第2側面42Abと同様であり、レシートRTを排出する場合にレシートRTが第2の横ずれ規制ガイド42Bに引っ掛かり難くするためのものである。
【0037】
第1の横ずれ規制ガイド42Aおよび第2の横ずれ規制ガイド42Bは、前後方向に並べて一直線上に配置されている。第1側面42Aa間の寸法L11と第1側面42Ba間の寸法L21とは同じである。寸法L11,L21は、レシートRTの左右方向の寸法L0(横幅)よりもわずかに大きい値である。例えば、レシートRTの両側には、横ずれ規制ガイド42A,42Bに対して数mm(例えば「1~3mm」)程度の隙間がある。横ずれ規制ガイド42A,42Bの寸法L11,L21をレシートRTの寸法L0よりもわずかに大きい値とすることで、受取り待ち状態のレシートRTに横方向(左方向または右方向)の外力が加えられた場合でも、レシートRTの位置ずれや傾きを極力小さく抑えることができる。
【0038】
ここで、横ずれ規制ガイド42A,42Bの寸法L11,L21は、例えば、第2の排出ローラ41Bが設置された部分の搬送ガイド44の側面44aの寸法L3と同じになっている(つまり、横ずれ規制ガイド42A,42Bと搬送ガイド44とは、全て同一直線上に位置している)。第2の排出ローラ41Bは、排出口49から二番目に近い場所に設置されるローラである。
【0039】
第1側面42Aa,42Ba(つまり、基準平面K)に対する第2側面42Ab,42Bbの傾斜角度θ1,θ2は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2側面42Ab,42Bbの傾斜角度θ1,θ2は、例えば「10~50°」の範囲内で設定する。傾斜角度θ1,θ2を異ならせる場合、第1の横ずれ規制ガイド42Aの第2側面42Abの傾斜角度θ1に対して第2の横ずれ規制ガイド42Bの第2側面42Bbの傾斜角度θ2を大きくするのがよい。レシートRTを排出する場合に、排出口49に近い第1の横ずれ規制ガイド42AでのレシートRTの傾きに比べて、装置内部側に配置される第2の横ずれ規制ガイド42BでのレシートRTの傾きが大きいためである。例えば、第1の横ずれ規制ガイド42Aの第2側面42Abの傾斜角度θ1を「15~25°」とした場合、第2の横ずれ規制ガイド42Bの第2側面42Bbの傾斜角度θ2を「25~35°」とする。
【0040】
<レシート印刷ユニットの排出部の動作について>
図6Aないし
図6Dを参照して(適宜、
図1ないし
図5を参照)、レシート印刷ユニット30が有する排出部40の動作(排出動作および取込動作)について説明する。
【0041】
(レシートの排出動作)
排出部40は、排出ローラ41A,41Bを用いてレシートRTを排出方向に搬送し、
図6Aに示すように、排出口49(レシート排出口8)から装置外に向けてレシートRTが規定量だけ排出された状態で停止させる(受取り待ち状態)。
図6Aに示す状態では、レシートRTが第1の排出ローラ41Aによってクランプされており、レシートRTが落下せずに保持されている。そのため、利用者がレシート排出口8から排出されたレシートRTの先端部分をつかむことが可能であり、利用者はレシートRTの先端部分をつかんで前方に引っ張ることでレシートRTを引き抜く。これにより、レシートRTの受取りが完了する。
【0042】
ここで、
図6Bに示すように、受取り待ち状態のレシートRTに対して右側面方向から左方向に外力が加えられた場合を想定する。例えば、利用者がレシートRTを受け取らずに手で払ったような場合や、カードを受け取る場合に手が接触してそのままレシートRTを受け取らない場合である。このように、受取り待ち状態のレシートRTに対して外力が加えられた場合、レシートRTは、時計回り(右回り)に回転して正常に排出された状態(
図6A参照)に対して傾くが、第1の横ずれ規制ガイド42Aおよび第2の横ずれ規制ガイド42Bによって傾く量は一定に抑えられる。具体的には、第1の横ずれ規制ガイド42A間の寸法L11(
図5参照)および第2の横ずれ規制ガイド42B間の寸法L21(
図5参照)をレシートRTの横幅の寸法L0(
図5参照)よりもわずかに大きい値にしているので、レシートRTが傾く角度αを小さく抑えることができる。
【0043】
レシートRTが受け取られないまま所定時間が経過した場合、排出部40はレシートRTを排出したときとは逆方向に排出ローラ41A,41Bを回転させてレシートRTを装置内に引き込む。このとき、レシートRTが傾く角度αが小さく抑えられているため、排出ガイド42の先端にレシートRTが引っ掛かることなく、横ずれ規制ガイド42A,42Bに沿って引き込まれることによってレシートRTの傾きが修正されて装置内に引き込まれる(
図6C,
図6D参照)。そのため、取込み時に搬送ジャムにならず、正常にレシートRTの取込動作が行える。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るレシート印刷ユニット30の排出部40は、横ずれ規制ガイド42A,42BをレシートRTの左右方向の寸法L0(横幅)よりもわずかに大きい間隔で配置することで、受取り待ち状態のレシートRTが外力によって傾く角度αを小さく抑えることができる。そのため、排出ガイド42の先端にレシートRTが引っ掛かることなく装置内に引き込むことが可能であり、取込み時に搬送ジャムにならずに正常に取込動作が行える。なお、横ずれ規制ガイド42A,42Bは、取込み方向に進むにつれて外側に傾斜する第2側面42Ab,42Bbが装置内部側に形成される。そのため、横ずれ規制ガイド42A,42Bが従来よりも狭くても、レシートRTの先端側の角部が第2側面42Abに接触することで引っ掛かることなく排出できる。
【0045】
[第2実施形態]
第1実施形態では、第1の排出ローラ41Aと第2の排出ローラ41Bとの間隔を特に決めていなかった。第2実施形態では、第1の排出ローラ41Aと第2の排出ローラ41Bとの間隔を特定する。
【0046】
<レシート印刷ユニットの排出部の構成について>
図7Aを参照して(適宜、
図1ないし
図6Dを参照)、第2実施形態に係る排出部140の構成について説明する。
図7Aに示すように、排出部140の構成要素は第1実施形態の排出部40と同様である。排出口49から見て1番目の第1の排出ローラ41Aと2番目の第2の排出ローラ41Bとの間隔M1は、レシート印刷ユニット30が取り扱うレシートRTの中で最も短いものの長辺方向の寸法M0より少しだけ短くなっている。言い換えれば、第2の排出ローラ41Bの位置は、レシート印刷ユニット30が取り扱うレシートRTの中で最も短いものの寸法M0よりも少しだけ第1の排出ローラ41Aに近い位置である。
【0047】
<レシート印刷ユニットの排出部の動作について>
図7Aおよび
図7Bを参照して(適宜、
図1ないし
図6Dを参照)、第2実施形態に係る排出部140の動作について説明する。
図7Aに示すように、受取り待ち状態のレシートRTに対して右側面方向から左方向に外力が加えられた場合を想定する(第1実施形態と同様)。この場合、レシートRTは、時計回り(右回り)に回転して正常に排出された状態に対して傾くが、第1実施形態と同様に、第1の横ずれ規制ガイド42Aおよび第2の横ずれ規制ガイド42Bによって傾く量は一定に抑えられる。
【0048】
レシートRTが受け取られないまま所定時間が経過した場合、排出部140はレシートRTを排出したときとは逆方向に排出ローラ41A,41Bを回転させてレシートRTを装置内に引き込む。レシートRTが傾く角度αが小さく抑えられているため、排出ガイド42の先端にレシートRTが引っ掛かることなくレシートRTの傾きが修正されて装置内に引き込まれる。このとき、引込みを開始した時点では第1の排出ローラ41Aのみでクランプされているので引き込む力が強くなり過ぎず、レシートRTと横ずれ規制ガイド42A,42Bとが接触した場合にレシートRTが損傷するおそれは低くなっている。横ずれ規制ガイド42A,42Bに沿って引き込まれることによってレシートRTの傾きは徐々に修正され、第2の排出ローラ41Bに到達する時点でレシートRTの傾きは概ね修正される(
図7B参照)。
【0049】
第2の排出ローラ41BにレシートRTが到達することで第1の排出ローラ41Aおよび第2の排出ローラ41Bによってクランプされるので、第1の排出ローラ41Aのみでクランプして引き込む場合に比べて強い力で装置内にレシートRTを引き込む。つまり、第1の排出ローラ41Aと第2の排出ローラ41Bとの距離が近すぎないために、第1の排出ローラ41Aのみの力によってレシートRTの傾きを修正するための十分な時間を確保することが可能であるので、第1の排出ローラ41Aおよび第2の排出ローラ41Bによる強い力で傾いた状態のレシートRTを引き込むことにはならない。第1の排出ローラ41Aおよび第2の排出ローラ41Bによる強い力で傾いた状態のレシートRTを引き込んだ場合、条件によってはレシートRTと横ずれ規制ガイド42A,42Bとが接触することでレシートRTが損傷し、ジャムの発生原因になるおそれがある。
【0050】
以上説明した第2実施形態に係る排出部140によっても、第1実施形態と同等の効果を奏することができる。
また、第2実施形態では、第1の排出ローラ41Aと第2の排出ローラ41Bとの距離が近すぎないために、第1の排出ローラ41Aのみの力によってレシートRTの傾きを修正するための十分な時間を確保することが可能であるので、第1の排出ローラ41Aおよび第2の排出ローラ41Bによる強い力で傾いた状態のレシートRTを引き込むことにはならない。そのため、取込動作でのレシートRTの損傷をより抑えることができ、レシートRTの取込動作をより確実に行うことが可能である。
【0051】
[変形例]
各実施形態では、第1の横ずれ規制ガイド42Aが第1側面42Aaと、第2側面42Abとを有する構成であった。しかしながら、排出口49(レシート排出口8)側の端部に曲面を設けてもよい(
図8参照)。
図8に示す排出部240は、第1の横ずれ規制ガイド242Aを有する点が第1実施形態の排出部40と異なる。第1の横ずれ規制ガイド242Aは、第1側面242Aaと、第2側面242Abと、第3側面242Acとを有する。第3側面242Acは、レシートRTを取り込む場合に、レシートRTが第1の横ずれ規制ガイド242Aに引っ掛かり難くするためのものである。
図8に示す第3側面242Acは、曲面を呈し、排出方向(ここでは前方向)に進むにつれて弧を描いて外側に広がっている。
このような構成にすると、取込み時において第1の横ずれ規制ガイド242Aの先端にレシートRTが接触した場合に、レシートRTの損傷、折れ曲がり、紙粉の発生などを抑制することが可能であり、また、これらの事象に基づく搬送ジャムの発生をより抑制できる。
【0052】
また、各実施形態では、横ずれ規制ガイド42A,42Bをレシート印刷ユニット30側に設けていた。しかしながら、横ずれ規制ガイド42A,42Bを筐体2側に設けることも可能である。つまり、横ずれ規制ガイド42A,42Bは受取り待ち状態のレシートRTの横ずれを規制できる場所であれば設置場所は特に限定されない。例えば、第1の横ずれ規制ガイド42Aを筐体2側に設置し、第2の横ずれ規制ガイド42Bを各実施形態で説明したようにレシート印刷ユニット30側に設置することも可能である。
【0053】
また、実施形態では、
図1に示すように、カード入出口7とレシート排出口8とが横並びに配置される場合を説明したが、上下に配置されていてもよい(例えば、レシート排出口8がカード入出口7の上方に配置されていてもよい)。また、実施形態では、
図3に示すように、排出口49(レシート排出口8)付近に設けられる排出路が水平の場合を想定していたが、排出口49(レシート排出口8)付近の排出路は水平面に対して傾斜していてもよい。レシート排出口8がカード入出口7の上方に配置される場合、排出路が水平面に対して傾斜している場合があるが、本発明はそのような装置に対しても適用可能である。
【0054】
また、実施形態では、紙媒体としてレシートを例示して説明したが、レシート以外の紙媒体(例えば、紙幣、払込票、チケットなど)の排出においても本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 媒体処理装置
2 筐体
3 接客部
4 入出金口
5 テンキー
6 操作表示部
7 カード入出口
8 レシート排出口
9 主制御部
10 紙幣入出金機(入出金機)
20 カード処理ユニット
21 フィードローラ
22 磁気読取部
30 レシート印刷ユニット(印刷装置、媒体排出装置)
31 供給部
32 印字部(印刷部)
33 取込部
40,140,240 排出部
41 排出ローラ
41A 第1の排出ローラ
41B 第2の排出ローラ
42 排出ガイド
42A,242A 第1の横ずれ規制ガイド
42Aa,42Ba,242Aa 第1側面
42Ab,42Bb,242Ab 第2側面(傾斜面)
242Ac 第3側面(曲面)
42B 第2の横ずれ規制ガイド
43 フィードローラ
44 搬送ガイド
49 排出口
51 先端側部材
52 基端側部材
53 連結部材
54 締結手段