(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083134
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/06 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
G03G21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197482
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲澤 彰太
(72)【発明者】
【氏名】安藤 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】濱田 洋史
(72)【発明者】
【氏名】飯田 紘史
【テーマコード(参考)】
2H035
【Fターム(参考)】
2H035AA09
2H035AA11
2H035AA20
2H035AA22
2H035AB02
2H035AB04
2H035AB06
2H035AC03
2H035CA07
2H035CB01
(57)【要約】
【課題】複数の像保持体のいずれかが転写体への画像の転写を完了してから複数の像保持体の全ての回転が停止するまでの時間を短縮する。
【解決手段】画像形成装置は、回転し、転写された画像を転写位置で被転写体へ転写する転写体と、前記転写体の回転方向に沿った異なる位置で外周面が前記転写体に接触して前記転写体と共に回転し、前記外周面に保持した前記画像が前記転写体へ順次転写された後に除電動作が順次実行される複数の像保持体であって、全ての前記像保持体における前記除電動作が終了した後に全ての前記像保持体の回転が停止する前記複数の像保持体と、前記複数の像保持体のうち、前記転写位置を基準に前記回転方向の最下流側に配置された最下流像保持体以外の少なくとも1つの像保持体の外周面を除電する第一除電手段と、前記最下流像保持体の外周面を除電し、除電時間が前記第一除電手段の除電時間よりも短い第二除電手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転し、転写された画像を転写位置で被転写体へ転写する転写体と、
前記転写体の回転方向に沿った異なる位置で外周面が前記転写体に接触して前記転写体と共に回転し、前記外周面に保持した前記画像が前記転写体へ順次転写された後に除電動作が順次実行される複数の像保持体であって、全ての前記像保持体における前記除電動作が終了した後に全ての前記像保持体の回転が停止する前記複数の像保持体と、
前記複数の像保持体のうち、前記転写位置を基準に前記回転方向の最下流側に配置された最下流像保持体以外の少なくとも1つの像保持体の外周面を除電する第一除電手段と、
前記最下流像保持体の外周面を除電し、除電時間が前記第一除電手段の除電時間よりも短い第二除電手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記第一除電手段は、
前記像保持体の外周面を露光する露光部、及び、前記像保持体の外周面に保持された画像を前記転写体へ転写する転写部の少なくとも一方で構成され、
前記第二除電手段は、
前記最下流像保持体の回転方向において、前記転写体による転写位置に対する下流側であって、前記像保持体の外周面を帯電させる帯電部に対する上流側に配置された除電部である
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一除電手段は、
前記露光部及び前記転写部の両方で構成されている
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一除電手段は、
前記複数の像保持体のうち、前記最下流像保持体に対する直上流に配置された直上流像保持体の外周面を除電し、
前記第二除電手段は、
前記第一除電手段が除電動作を終了するまでに、除電動作を終了する
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子写真用の感光体表面を帯電させる接触帯電部材と、現像および転写後の感光体表面に光を照射して除電する除電ランプと、前記接触帯電部材に印加する帯電バイアス電圧および前記除電ランプの点灯および消灯を含む画像形成の動作を制御する制御部と、画像形成中の使用環境を検出する環境センサーとを備え、前記制御部は、検出された使用環境に基づいて画像形成中に前記除電ランプを点灯させるかあるいは消灯させるかを決定する画像形成装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、第1の感光体と、前記第1の感光体を帯電する帯電手段と、前記第1の帯電手段により帯電された前記第1の感光体を第1の画像データに基づいて露光する第1の露光手段と、前記第1の露光手段により前記第1の感光体に形成された静電像をトナーで現像する第1の現像手段と、を備えた第1の画像形成ステーションと、第2の感光体と、前記第2の感光体を直流電圧のみを印加されて帯電する第2の帯電手段と、前記第2の帯電手段により帯電された前記第2の感光体を第2の画像データに基づいて露光する第2の露光手段と、前記第2の露光手段により前記第2の感光体に形成された静電像をトナーで現像する第2の現像手段と、を備えた第2の画像形成ステーションと、前記第1の感光体に形成されたトナー像と前記第2の感光体に形成されたトナー像をこの順に受像部材へ静電的に重畳転写する転写手段と、を有し、前記第1の画像形成ステーションには前記第1の感光体を光学的に除電する除電手段を設けずに、前記第2の画像形成ステーションには前記第2の感光体を光学的に除電する除電手段を設け、前記第1の画像データに応じて前記除電手段の動作を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-139145号公報
【特許文献2】特許第6478616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置としては、回転し、転写された画像を転写位置で被転写体へ転写する転写体と、前記転写体の回転方向に沿った異なる位置で外周面が前記転写体に接触して前記転写体と共に回転し、前記外周面に保持した前記画像が前記転写体へ順次転写された後に除電動作が順次実行される複数の像保持体であって、全ての前記像保持体における前記除電動作が終了した後に全ての前記像保持体の回転が停止する前記複数の像保持体と、前記複数の像保持体のうち、前記転写位置を基準に前記回転方向の最下流側に配置された最下流像保持体以外の少なくとも1つの像保持体の外周面を除電する第一除電手段と、前記最下流像保持体の外周面を除電する第二除電手段と、を備える画像形成装置が考えられる。
【0006】
当該画像形成装置では、複数の像保持体において、全ての像保持体における除電動作が終了した後に全ての像保持体の回転が停止するため、最下流像保持体の外周面を除電する第二除電手段の除電時間が、第一除電手段の除電時間と同じであると、複数の像保持体のいずれかが転写体への画像の転写を完了してから複数の像保持体の全ての回転が停止するまでの時間が長くなる。
【0007】
本発明は、第二除電手段の除電時間が、第一除電手段の除電時間と同じである場合に比べ、複数の像保持体のいずれかが転写体への画像の転写を完了してから複数の像保持体の全ての回転が停止するまでの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様は、回転し、転写された画像を転写位置で被転写体へ転写する転写体と、前記転写体の回転方向に沿った異なる位置で外周面が前記転写体に接触して前記転写体と共に回転し、前記外周面に保持した前記画像が前記転写体へ順次転写された後に除電動作が順次実行される複数の像保持体であって、全ての前記像保持体における前記除電動作が終了した後に全ての前記像保持体の回転が停止する前記複数の像保持体と、前記複数の像保持体のうち、前記転写位置を基準に前記回転方向の最下流側に配置された最下流像保持体以外の少なくとも1つの像保持体の外周面を除電する第一除電手段と、前記最下流像保持体の外周面を除電し、除電時間が前記第一除電手段の除電時間よりも短い第二除電手段と、を備える。
【0009】
第2態様では、第1態様において、前記第一除電手段は、前記像保持体の外周面を露光する露光部、及び、前記像保持体の外周面に保持された画像を前記転写体へ転写する転写部の少なくとも一方で構成され、前記第二除電手段は、前記最下流像保持体の回転方向において、前記転写体による転写位置に対する下流側であって、前記像保持体の外周面を帯電させる帯電部に対する上流側に配置された除電部である。
【0010】
第3態様では、第2態様において、前記第一除電手段は、前記露光部及び前記転写部の両方で構成されている。
【0011】
第4態様では、第1態様において、前記第一除電手段は、前記複数の像保持体のうち、前記最下流像保持体に対する直上流に配置された直上流像保持体の外周面を除電し、前記第二除電手段は、前記第一除電手段が除電動作を終了するまでに、除電動作を終了する。
【発明の効果】
【0012】
第1態様の構成によれば、第二除電手段の除電時間が、第一除電手段の除電時間と同じである場合に比べ、複数の像保持体のいずれかが転写体への画像の転写を完了してから複数の像保持体の全ての回転が停止するまでの時間が短縮される。
【0013】
第2態様の構成によれば、第二除電手段が、最下流像保持体の外周面を露光する露光部、及び、最下流像保持体の外周面に保持された画像を転写体へ転写する転写部の少なくとも一方で構成されている場合に比べ、複数の像保持体のいずれかが転写体への画像の転写を完了してから複数の像保持体の全ての回転が停止するまでの時間が短縮される。
【0014】
第3態様の構成によれば、第一除電手段が、露光部のみで構成されている場合に比べ、露光部の寿命を延ばせる。
【0015】
第4態様の構成によれば、第二除電手段が、第一除電手段が除電動作を終了した後に除電動作を終了する場合に比べ、複数の像保持体のいずれかが転写体への画像の転写を完了してから複数の像保持体の全ての回転が停止するまでの時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る複数のトナー像形成部における除電時間を示す概略図である。
【
図3】比較例に係る複数のトナー像形成部における除電時間を示す概略図である。
【
図4】変形例に係る複数のトナー像形成部における除電時間を示す概略図である。
【
図5】変形例に係る複数のトナー像形成部における除電時間を示す概略図である。
【
図6】変形例に係る複数のトナー像形成部における除電時間を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0018】
<画像形成装置10>
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、画像形成装置10を示す概略図である。
【0019】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方(具体的には鉛直上方)を示し、矢印DOは、装置の下方(具体的には鉛直下方)を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。
【0020】
また、下記の説明では、「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。「左右方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0021】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0022】
図1に示される画像形成装置10は、画像を形成する装置である。具体的には、画像形成装置10は、
図1に示されるように、媒体収容部12と、搬送部13と、画像形成部14と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部について説明する。
【0023】
<媒体収容部12及び搬送部13>
媒体収容部12は、画像形成装置10において、記録媒体Pを収容する部分である。この媒体収容部12に収容された記録媒体Pが、画像形成部14へ搬送される。媒体収容部12に収容される記録媒体Pは、画像形成部14によって画像が形成される対象である。記録媒体Pとしては、例えば、用紙、及びフィルムなどがある。フィルムとしては、例えば、樹脂製フィルム、金属製フィルムなどがある。なお、記録媒体Pとしては、前述のものに限られず、種々の記録媒体を用いることが可能である。
【0024】
図1に示される搬送部13は、媒体収容部12に収容された記録媒体Pを排出部(図示省略)へ向けて上方側へ搬送する。具体的には、搬送部13は、
図1に示されるように、複数の搬送ロール等の搬送部材13Aを有しており、搬送部材13Aにより記録媒体Pを搬送する。なお、搬送部材13Aとしては、例えば、搬送ベルト及び搬送ドラム等の搬送部材であってもよく、種々の搬送部材を用いることが可能である。
【0025】
<画像形成部14>
図2に示される画像形成部14は、搬送部13によって搬送される記録媒体Pに画像を形成する。具体的には、画像形成部14では、電子写真方式によりトナー画像(画像の一例)を記録媒体Pに形成する。本実施形態では、画像形成部14は、
図1に示されるように、トナー像形成部20Y、20M、20C、20K(以下、20Y~20Kという)と、転写ベルト30と、一次転写ロール36と、二次転写ロール39と、定着部18と、を備えている。
【0026】
<転写ベルト30、一次転写ロール36、二次転写ロール39及び定着部18>
転写ベルト30は、転写体の一例であり、回転し、転写されたトナー像(画像の一例)を転写位置(後述の二次転写位置T2に相当)で記録媒体P(被転写体の一例)へ転写するベルトである。
【0027】
本実施形態では、転写ベルト30は、
図1に示されるように、無端ベルトで構成されており、環状に形成されている。この転写ベルト30は、前後方向を軸方向とする4つの巻掛ロール31、32、33、34に巻き掛けられている。この巻掛ロール31、32、33、34の少なくとも1つのロールが回転駆動することで、転写ベルト30が
図1における時計回り方向(矢印A方向)へ回転する。
【0028】
一次転写ロール36は、転写部の一例であり、
図1に示されるように、4つが備えられている。4つの一次転写ロール36の各々は、転写ベルト30の内周側に配置されており、転写ベルト30を挟んで、トナー像形成部20Y~20Kの各々の後述の感光体21に対向している。一次転写ロール36の各々と感光体21の各々との間が、一次転写位置T1とされている。一次転写ロール36は、感光体21の各々の外周面に保持されたトナー画像を、一次転写位置T1にて、転写ベルト30へ転写する。
【0029】
二次転写ロール39は、転写ベルト30を挟んで巻掛ロール32に対向している。二次転写ロール39と巻掛ロール32との間が、二次転写位置T2とされている。二次転写ロール39が、転写ベルト30に転写されたトナー画像を、二次転写位置T2にて、記録媒体Pに転写する。
【0030】
定着部18は、二次転写ロール39によって記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pへ定着する。
【0031】
<トナー像形成部20Y~20K>
トナー像形成部20Y~20Kの各々は、各色(具体的にはイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック)のトナー像を形成する構成部である。トナー像形成部20Y~20Kの各々は、感光体21を有している。これにより、複数(具体的には4つ)の感光体21が備えられている。この感光体21は、像保持体の一例であり、トナー像を保持する構造体である。
【0032】
4つの感光体21は、転写ベルト30の回転方向(矢印A方向)に沿った異なる位置で、外周面が転写ベルト30に接触して転写ベルト30と共に回転する。本実施形態では、感光体21は、
図1における反時計回り方向(矢印B方向)へ回転する。
【0033】
4つの感光体21の各々の周囲には、感光体21の回転方向上流側から順に、帯電装置22と、露光装置24と、現像装置26と、が設けられている。
【0034】
帯電装置22は、帯電部の一例であり、感光体21の外周面を帯電させる構成である。本実施形態では、帯電装置22は、例えば、感光体21に接触した状態で、感光体21の外周面を帯電させる帯電ロールで構成されている。帯電装置22としては、例えば、放電等により、非接触にて感光体21を帯電させる帯電装置であってもよく、種々の帯電装置を用いることが可能である。
【0035】
露光装置24は、露光部の一例であり、感光体21の外周面を露光する構成部である。本実施形態では、露光装置24は、LED等で構成された発光素子が感光体21の回転軸方向(具体的には前後方向)に沿って複数配置された露光装置で構成されている。なお、露光装置24の一例としては、例えば、回転多面鏡によって、光を走査する装置等であってもよく、種々の露光装置を用いることが可能である。
【0036】
トナー像形成部20Y~20Kの各々では、帯電装置22が感光体21を帯電させる(帯電工程)。さらに、露光装置24が、帯電装置22によって帯電した感光体21を露光して、感光体21に潜像(具体的には静電潜像)を形成する(露光工程)。感光体21は、露光装置24によって形成された潜像を保持する。そして、現像装置26は、感光体21が保持する潜像を現像する(現像工程)。これにより、4つの感光体21の各々に各色のトナー画像が形成される。
【0037】
4つの感光体21の各々は、前述のように形成されたトナー像を外周面に保持し、外周面に保持したトナー像が、一次転写ロール36によって、一次転写位置T1にて転写ベルト30へ順次転写される。
【0038】
さらに、4つの感光体21の各々は、外周面に保持したトナー像が転写ベルト30へ順次転写された後に、後述の除電動作が順次実行される。そして、4つの感光体21は、全ての感光体21における除電動作が終了した後に全ての感光体21の回転が停止する。
【0039】
なお、本実施形態では、4つの感光体21は、共通の駆動源により回転駆動される構成とされている。
【0040】
<4つの感光体21の各々における除電構成>
トナー像形成部20Kは、感光体21Kの外周面を除電する除電ランプ25を有している。除電ランプ25は、感光体21Kの回転方向(矢印B方向)において、一次転写位置T1に対する下流側であって、帯電装置22(すなわち帯電位置)に対する上流側に配置されている。除電ランプ25は、感光体21Kの外周面に対して光を照射することで、感光体21Kの外周面に残留する電荷が逃がし、感光体21Kの外周面を除電する。
【0041】
一方、トナー像形成部20Y、20M、20C(以下、20Y~20Cという)は、除電ランプ25を有しておらず、感光体21Y、21M、21C(以下、21Y~21Cという)の外周面は、露光装置24Y、24M、24C(以下、24Y~24Cという)、及び一次転写ロール36Y、36M、36C(以下、36Y~36Cという)にて除電される。
【0042】
トナー像形成部20Y~20Cの各々では、露光装置24Y~24Cの各々が感光体21Y~21Cの各々の外周面に対して光を照射することで、感光体21Y~21Cの各々の外周面に残留する電荷が逃がす。
【0043】
さらに、トナー像形成部20Y~20Cの各々では、一次転写ロール36Y~36Cの各々が感光体21Y~21Cの各々に対して電圧を印加することで、感光体21Y~21Cの各々の外周面に残留する電荷が逃がす。このように、トナー像形成部20Y~20Cの各々では、露光装置24及び一次転写ロール36が協働して、感光体21の外周面に残留する電荷を逃がすことで、感光体21Y~21Cの各々の外周面を除電する。
【0044】
なお、感光体21Kは、最下流像保持体の一例であり、4つの感光体21のうち、二次転写位置T2を基準に、転写ベルト30の回転方向(矢印A方向)の最下流側に配置された感光体21である。すなわち、感光体21Kは、二次転写位置T2から転写ベルト30の回転方向下流側(矢印A方向)へ向かって見た場合に、最も下流側に配置されている。
【0045】
感光体21Y~21Cは、最下流像保持体以外の像保持体の一例である。また、感光体21Cは、最下流像保持体に対する直上流に配置された直上流像保持体の一例である。直上流像保持体とは、最下流像保持体から上流側へ向かって見た場合に、最下流像保持体に対して最も近接した位置(すなわち、最も上流側)に配置された像保持体である。
【0046】
さらに、感光体21Cは、第一保持体の一例であり、感光体21Mは、第一像保持体に対する直上流に配置された第二像保持体の一例である。第二像保持体とは、第一像保持体から上流側へ向かって見た場合に、第一流像保持体に対して最も近接した位置(すなわち、最も上流側)に配置された像保持体である。
【0047】
また、感光体21Yは、最上流像保持体の一例であり、4つの感光体21のうち、二次転写位置T2を基準に、転写ベルト30の回転方向(矢印A方向)の最上流側に配置された感光体21である。すなわち、感光体21Yは、二次転写位置T2から転写ベルト30の回転方向上流側(矢印A方向に対する反対方向)へ向かって見た場合に、最も上流側に配置されている。
【0048】
露光装置24Y~24C、及び一次転写ロール36Y~36Cは、第一除電手段の一例である。除電ランプ25は、第二除電手段の一例である。
【0049】
なお、トナー像形成部20Y~20Kは、トナー像形成部20Kが、除電ランプ25を有している点を除いて、同様に構成されているので、
図1において、トナー像形成部20Y~20Cにおける各部の符号を適宜省略している。
【0050】
<トナー像形成部20Y~20Kにおける除電時間等>
トナー像形成部20Kにおける除電ランプ25の除電時間は、
図2に示されるように、トナー像形成部20Y~20Cにおける露光装置24Y~24C、及び一次転写ロール36Y~36Cによる除電の除電時間よりも短い。
【0051】
トナー像形成部20Kでは、除電ランプ25による除電動作の開始から終了までの時間が、感光体21Kが1回転する時間に相当する。トナー像形成部20Y~20Cでは、露光装置24Y~24C、及び一次転写ロール36Y~36Cによる除電動作の開始から終了するまでの時間が、感光体21Y~21Cが2.5回転する時間に相当する。すなわち、トナー像形成部20Y~20Cにおける除電時間は、トナー像形成部20Kにおける除電時間の2.5倍とされる。トナー像形成部20Y~20Cにおける除電時間は、同じである。
【0052】
トナー像形成部20Y~20Kの各々では、トナー像が感光体21から転写ベルト30へ順次転写した後に、除電動作を順次実行する。トナー像形成部20Y~20Kの各々における除電は、
図2に示されるように、トナー像形成部20Y、20M、20C、20Kの順番で、予め定められた時間差を有して開始される。
【0053】
トナー像形成部20Y~20Cでは、除電時間が同じであるため、露光装置24Y~24C、及び一次転写ロール36Y~36Cによる除電動作は、トナー像形成部20Y、20M、20Cの順番で、予め定められた時間差を有して終了する。
【0054】
トナー像形成部20Kにおける除電ランプ25による除電動作は、露光装置24Y~24C及び一次転写ロール36Y~36Cによる除電動作が終了するまでに、終了する。
【0055】
すなわち、トナー像形成部20Kにおける除電動作は、トナー像形成部20Y~20Cにおける除電動作のいずれよりも、開始タイミングが遅く、且つ、終了タイミングが早くなっている。
【0056】
これにより、本実施形態では、トナー像形成部20Cの感光体21Cにおける除電動作が終了したタイミングで、4つの感光体21における全ての回転が停止する。
【0057】
<本実施形態の作用>
本実施形態では、トナー像形成部20Y~20Kにおける4つの感光体21は、全ての感光体21における除電動作が終了した後に全ての感光体21の回転が停止する。そして、トナー像形成部20Kにおける除電ランプ25の除電時間は、トナー像形成部20Y~20Cにおける露光装置24Y~24C、及び一次転写ロール36Y~36Cによる除電時間よりも短い。
【0058】
ここで、トナー像形成部20Kにおける除電ランプ25の除電時間が、
図3に示されるように、トナー像形成部20Y~20Cにおける露光装置24Y~24C、及び一次転写ロール36Y~36Cによる除電時間と同じである場合(以下、形態Aという)では、以下の課題が生じる。
【0059】
すなわち、4つの感光体21において、全ての感光体21における除電動作が終了した後に全ての感光体21の回転が停止するため、形態Aのように、トナー像形成部20Kにおける除電時間が、トナー像形成部20Y~20Cにおける除電時間と同じであると、感光体21Yが転写ベルト30へのトナー像の転写を完了してから、4つの感光体21の全ての回転が停止するまでの時間(
図3における時間X)が長くなる。この結果、4つの感光体21と転写ベルト30とが接触した状態で回転する時間が長くなるため、4つの感光体21及び転写ベルト30が摩耗し、4つの感光体21及び転写ベルト30の寿命が短くなるおそれがある。
【0060】
これに対して、トナー像形成部20Kにおける除電時間が、トナー像形成部20Y~20Cにおける除電時間よりも短いため、形態Aに比べ、感光体21Yが転写ベルト30へのトナー像の転写を完了してから、4つの感光体21の全ての回転が停止するまでの時間(
図2における時間X)が短縮される。この結果、4つの感光体21及び転写ベルト30の寿命が短くなることが抑制される。
【0061】
本実施形態では、トナー像形成部20Kにおける除電手段として、一次転写位置T1に対する下流側であって、帯電装置22に対する上流側に配置された除電ランプ25を用いている。
【0062】
ここで、トナー像形成部20Kにおける除電手段として、例えば、露光装置24を用いた場合では、トナー像形成部20Kにおいて、一次転写位置T1で転写ベルト30へのトナー像の転写が完了してから除電動作が開始されるまで、一次転写位置T1から露光装置24までの感光体21Yの回転時間を要する。このため、除電ランプ25を用いた場合よりも、除電動作の開始が遅れる。
【0063】
さらに、トナー像形成部20Kにおける除電手段として、例えば、一次転写ロール36Yを用いた場合では、一次転写位置T1で転写ベルト30へのトナー像の転写が完了してから除電動作が開始されるまで、感光体21Yが1回転する回転時間を要する。このため、露光装置24を用いた場合よりも、さらに除電動作の開始が遅れる。この結果、トナー像形成部20Kにおける除電動作の終了時刻が遅れ、除電時間が長くなりやすい。
【0064】
したがって、本実施形態によれば、トナー像形成部20Kにおける除電手段が、露光装置24及び一次転写ロール36Yの少なくとも一方で構成されている場合に比べ、感光体21Yが転写ベルト30へのトナー像の転写を完了してから、4つの感光体21の全ての回転が停止するまでの時間が短縮される。
【0065】
また、本実施形態では、トナー像形成部20Y~20Cにおける除電手段として、露光装置24及び一次転写ロール36を用いている。このため、露光装置24と一次転写ロール36とで分担して、感光体21の除電を行うことが可能となるので、トナー像形成部20Y~20Cにおける除電手段が露光装置24のみで構成されている場合に比べ、露光装置24の寿命を延ばせる。
【0066】
また、本実施形態では、トナー像形成部20Kにおける除電ランプ25による除電動作は、トナー像形成部20Cにおける露光装置24C及び一次転写ロール36Cによる除電動作が終了するまでに、終了する。
【0067】
これにより、本実施形態のように、トナー像形成部20Cの感光体21Cにおける除電動作が終了したタイミングで、4つの感光体21における全ての回転を停止させられる。この結果、トナー像形成部20Kにおける除電動作が、トナー像形成部20Cにおける除電動作が終了した後に、終了する場合に比べ、感光体21Yが転写ベルト30へのトナー像の転写を完了してから、4つの感光体21の全ての回転が停止するまでの時間が短縮される。
【0068】
<変形例>
本実施形態では、転写体の一例として、転写ベルト30を用いたが、これに限られない。転写体の一例としては、例えば、転写ドラムなどであってもよく、回転し、転写された画像を転写位置で被転写体へ転写する構造体であればよい。
【0069】
また、本実施形態では、被転写体の一例として、記録媒体Pを用いたが、これに限られない。被転写体の一例としては、例えば、転写ベルトや転写ドラムなど転写体であってもよく、画像が転写位置にて転写される構造体であればよい。
【0070】
本実施形態は、「転写体の回転方向に沿った異なる位置で外周面が前記転写体に接触して前記転写体と共に回転し、前記外周面に保持した前記画像が前記転写体へ順次転写された後に除電動作が順次実行される複数の像保持体であって、全ての前記像保持体における前記除電動作が終了した後に全ての前記像保持体の回転が停止する前記複数の像保持体」の一例としての4つの感光体21を備えていたが、当該複数の像保持体とは別に、転写体へ転写される画像を保持する他の像保持体を備えていてもよい。当該他の像保持体の一例としては、トナー像形成部20Y~20Kとは別に設けられたトナー像形成部に備えられた感光体を用いることが可能である。当該感光体は、例えば、4つの感光体21とは別駆動とされ、4つの感光体21と異なるタイミングで、回転が停止する構成とすることが可能である。このような構成であっても、前述の作用を奏する。
【0071】
また、本実施形態では、複数の像保持体の一例として、4つの感光体21が設けられていたが、これに限られない。複数の像保持体の一例としては、2つ又は3つの感光体21であってもよく、さらに5つ以上の感光体21であってもよい。
【0072】
本実施形態では、第二除電手段(すなわち、トナー像形成部20Kにおける除電手段)の一例として、一次転写位置T1に対する下流側であって、帯電装置22に対する上流側に配置された除電ランプ25を用いたが、これに限られない。第二除電手段の一例としては、例えば、露光装置24及び一次転写ロール36Yの少なくとも一方で構成されていてもよく、トナー像形成部20Kにおける除電時間が、トナー像形成部20Y~20Cにおける除電時間よりも短ければよい。
【0073】
また、本実施形態では、第一除電手段(すなわち、トナー像形成部20Y~20Cにおける除電手段)の一例として、露光装置24及び一次転写ロール36を用いたが、これに限られない。第一除電手段として、例えば、露光装置24及び一次転写ロール36の一方を用いてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、トナー像形成部20Kにおける除電ランプ25による除電動作は、トナー像形成部20Cにおける露光装置24C及び一次転写ロール36Cによる除電動作が終了するまでに、終了していたが、これに限られない。例えば、
図4に示されるように、トナー像形成部20Kにおける除電動作が、トナー像形成部20Cにおける除電動作が終了した後に、終了する構成であってもよく、トナー像形成部20Kにおける除電時間が、トナー像形成部20Y~20Cにおける除電時間よりも短ければよい。
【0075】
また、本実施形態では、トナー像形成部20Kにおける除電ランプ25による除電動作は、トナー像形成部20Mにおける露光装置24M及び一次転写ロール36Mによる除電動作が終了するまでに、終了していたが、これに限られない。例えば、
図5に示されるように、トナー像形成部20Kにおける除電動作が、トナー像形成部20Mにおける除電動作が終了した後であって、トナー像形成部20Cにおける除電動作が終了する前に、終了する構成であってもよい。
【0076】
さらに、本実施形態では、トナー像形成部20Kにおける除電ランプ25による除電動作は、トナー像形成部20Yにおける露光装置24Y及び一次転写ロール36Yによる除電動作が終了するまでに、終了していたが、これに限られない。例えば、
図6に示されるように、トナー像形成部20Kにおける除電動作が、トナー像形成部20Yにおける除電動作が終了した後であって、トナー像形成部20Mにおける除電動作が終了する前に、終了する構成であってもよい。
【0077】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0078】
<付記>
(((1)))
回転し、転写された画像を転写位置で被転写体へ転写する転写体と、
前記転写体の回転方向に沿った異なる位置で外周面が前記転写体に接触して前記転写体と共に回転し、前記外周面に保持した前記画像が前記転写体へ順次転写された後に除電動作が順次実行される複数の像保持体であって、全ての前記像保持体における前記除電動作が終了した後に全ての前記像保持体の回転が停止する前記複数の像保持体と、
前記複数の像保持体のうち、前記転写位置を基準に前記回転方向の最下流側に配置された最下流像保持体以外の少なくとも1つの像保持体の外周面を除電する第一除電手段と、
前記最下流像保持体の外周面を除電し、除電時間が前記第一除電手段の除電時間よりも短い第二除電手段と、
を備える画像形成装置。
【0079】
(((2)))
前記第一除電手段は、
前記像保持体の外周面を露光する露光部、及び、前記像保持体の外周面に保持された画像を前記転写体へ転写する転写部の少なくとも一方で構成され、
前記第二除電手段は、
前記最下流像保持体の回転方向において、前記転写体による転写位置に対する下流側であって、前記像保持体の外周面を帯電させる帯電部に対する上流側に配置された除電部である
(((1)))に記載の画像形成装置。
【0080】
(((3)))
前記第一除電手段は、
前記露光部及び前記転写部の両方で構成されている
(((2)))に記載の画像形成装置。
【0081】
(((4)))
前記第一除電手段は、
前記複数の像保持体のうち、前記最下流像保持体に対する直上流に配置された直上流像保持体の外周面を除電し、
前記第二除電手段は、
前記第一除電手段が除電動作を終了するまでに、除電動作を終了する
(((1)))~(((3)))のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0082】
(((1)))の構成によれば、第二除電手段の除電時間が、第一除電手段の除電時間と同じである場合に比べ、複数の像保持体のいずれかが転写体への画像の転写を完了してから複数の像保持体の全ての回転が停止するまでの時間が短縮される。
【0083】
(((2)))の構成によれば、第二除電手段が、最下流像保持体の外周面を露光する露光部、及び、最下流像保持体の外周面に保持された画像を転写体へ転写する転写部の少なくとも一方で構成されている場合に比べ、複数の像保持体のいずれかが転写体への画像の転写を完了してから複数の像保持体の全ての回転が停止するまでの時間が短縮される。
【0084】
(((3)))の構成によれば、第一除電手段が、露光部のみで構成されている場合に比べ、露光部の寿命を延ばせる。
【0085】
(((4)))の構成によれば、第二除電手段が、第一除電手段が除電動作を終了した後に除電動作を終了する場合に比べ、複数の像保持体のいずれかが転写体への画像の転写を完了してから複数の像保持体の全ての回転が停止するまでの時間が短縮される。
【符号の説明】
【0086】
10 画像形成装置
12 媒体収容部
13 搬送部
13A 搬送部材
14 画像形成部
18 定着部
20Y、20M、20C、20K トナー像形成部
21 感光体(像保持体の一例)
21K 感光体(最下流像保持体の一例)
21C 感光体(直上流像保持体の一例、第一像保持体の一例)
21M 感光体(第二像保持体の一例)
21Y 感光体(最上流像保持体の一例)
22 帯電装置
24 露光装置
24Y、24M、24C 露光装置(第一除電手段の一例)
25 除電ランプ(第二除電手段の一例)
26 現像装置
30 転写ベルト(転写体の一例)
31、32、33、34 巻掛ロール
36 一次転写ロール
36Y、36M、36C 一次転写ロール(第一除電手段の一例)
39 二次転写ロール
P 記録媒体(被転写体の一例)
T1 一次転写位置
T2 二次転写位置(転写位置の一例)