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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083136
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/12 20060101AFI20240613BHJP
   F28F 21/06 20060101ALI20240613BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F28F3/12 D
F28F3/12 Z
F28F21/06
H01L23/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197484
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】株式会社レゾナック・パッケージング
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南谷 広治
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136CB06
5F136CB11
5F136DA25
5F136FA51
(57)【要約】
【課題】十分な薄型化を図ることができ、設計の自由度が高く、且つ熱交換能が担保される熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器は、熱媒体流入口及び熱媒体流出口を有し、熱媒体の流路を有する樹脂シートと、被覆シートと、を備え、前記被覆シートは、下記(1)又は(2)のいずれかを満たす。(1)前記樹脂シート側から順に、熱融着性樹脂層と、伝熱層とを備え、前記熱融着性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。(2)前記樹脂シート側から順に、伝熱層と、耐熱性樹脂層とを備え、前記耐熱性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。樹脂シートは、流路を構成する面の一部が開放されているか、又は内部に流路が中空状に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体流入口及び熱媒体流出口を有する熱交換器であり、
熱媒体の流路を有し、前記流路を構成する面の一部が開放されている樹脂シートと、
前記流路の開放されている面を塞ぐように配置される被覆シートと、を備え、
前記被覆シートは、下記(1)又は(2)のいずれかを満たす、熱交換器。
(1)前記樹脂シート側から順に、熱融着性樹脂層と、伝熱層とを備え、前記熱融着性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
(2)前記樹脂シート側から順に、伝熱層と、耐熱性樹脂層とを備え、前記耐熱性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
【請求項2】
熱媒体流入口及び熱媒体流出口を有する熱交換器であり、
熱媒体の流路が中空状に内部に形成されている樹脂シートと、
前記樹脂シートの少なくとも一方の面に配置される被覆シートと、を備え、
前記被覆シートは、下記(1)又は(2)のいずれかを満たす、熱交換器。
(1)前記樹脂シート側から順に、熱融着性樹脂層と、伝熱層とを備え、前記熱融着性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
(2)前記樹脂シート側から順に、伝熱層と、耐熱性樹脂層とを備え、前記耐熱性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
【請求項3】
前記被覆シートは前記(1)を満たし、前記伝熱層における前記熱融着性樹脂層とは反対面の一部又は全面に、さらに耐熱性樹脂層を備える、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記被覆シートは前記(2)を満たし、前記伝熱層における前記耐熱性樹脂層とは反対面の全面に、さらに熱融着性樹脂層を備える、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記被覆シートは前記(1)を満たし、前記樹脂シートと前記熱融着性樹脂層とが、同種の材質で構成される、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記伝熱層の少なくとも一部の表面に腐食防止層を備える、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記被覆シートの前記熱融着性樹脂層及び前記耐熱性樹脂層の少なくとも一方が、熱媒体の流路の構成領域における一部又は全部に設けられていない、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、PC等の高機能化に伴い、CPU(Central Processing Unit)周辺の発熱対策が必要になっている。そこで、一部の機種には冷却機構を組み込んで、CPUの発熱による負荷を下げ、筐体にも熱が溜まらないような工夫がなされている。また、電気自動車及びハイブリッド車に搭載される電池モジュールは、充電と放電を繰り返し発熱量が大きいことから、水冷、空冷等の冷却機構が組み込まれている。さらにSiC等のパワーモジュールも発熱量が大きいため、冷却板、ヒートシンク等の冷却機構を配置するなどの発熱対策がなされている。
【0003】
スマートフォン及びノートパソコンのような、筐体が薄く、各部品の設置スペースが限られる電子機器には、薄型で小型の冷却部材が求められる。そこで、例えば特許文献1では、エッチング加工された金属シートを2枚以上積み重ねて、少なくとも外周部の一部が接合により密閉された容器を形成したシート型ヒートパイプが提案されている。また、例えば特許文献2では、第1ヒートパイプと第2ヒートパイプが金属板に添わせて取り付けられ、第1ヒートパイプと第2ヒートパイプの長さ及び配置位置が特定された携帯型電子機器用熱拡散板が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-59693号公報
【特許文献2】特開2016-189415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2は金属シート又は金属板を加工して作製されるため、厚さを薄くすることに限界があり、ろう付け等の加工も難易度が高いため、製造コストが高くなりやすい。また、自動車に組み込む電池の冷却機構等も金属の鋳造やろう付けによって加工製造するため、大がかりな製造装置が必要となる。
【0006】
このように、特許文献1、2等の従前の冷却部材は、現行以上に薄型化を図ることが困難であり、生産効率が低下してコストも増大するという課題があった。その上さらに、従前の冷却部材は、金属加工により製作されるため、形状、大きさ等を簡単に変更することができず、設計の自由度に乏しく、汎用性に欠けるという課題も抱えている。
【0007】
本開示では、上記の課題に鑑みてなされたものであり、十分な薄型化を図ることができ、設計の自由度が高く、且つ熱交換能が担保される熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段は、以下の態様を含む。
<1> 熱媒体流入口及び熱媒体流出口を有する熱交換器であり、
熱媒体の流路を有し、前記流路を構成する面の一部が開放されている樹脂シートと、
前記流路の開放されている面を塞ぐように配置される被覆シートと、を備え、
前記被覆シートは、下記(1)又は(2)のいずれかを満たす、熱交換器。
(1)前記樹脂シート側から順に、熱融着性樹脂層と、伝熱層とを備え、前記熱融着性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
(2)前記樹脂シート側から順に、伝熱層と、耐熱性樹脂層とを備え、前記耐熱性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
<2> 熱媒体流入口及び熱媒体流出口を有する熱交換器であり、
熱媒体の流路が中空状に内部に形成されている樹脂シートと、
前記樹脂シートの少なくとも一方の面に配置される被覆シートと、を備え、
前記被覆シートは、下記(1)又は(2)のいずれかを満たす、熱交換器。
(1)前記樹脂シート側から順に、熱融着性樹脂層と、伝熱層とを備え、前記熱融着性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
(2)前記樹脂シート側から順に、伝熱層と、耐熱性樹脂層とを備え、前記耐熱性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
<3> 前記被覆シートは前記(1)を満たし、前記伝熱層における前記熱融着性樹脂層とは反対面の一部又は全面に、さらに耐熱性樹脂層を備える、<1>又は<2>に記載の熱交換器。
<4> 前記被覆シートは前記(2)を満たし、前記伝熱層における前記耐熱性樹脂層とは反対面の全面に、さらに熱融着性樹脂層を備える、<1>又は<2>に記載の熱交換器。
<5> 前記被覆シートは前記(1)を満たし、前記樹脂シートと前記熱融着性樹脂層とが、同種の材質で構成される、<1>~<3>のいずれか1項に記載の熱交換器。
<6> 前記伝熱層の少なくとも一部の表面に腐食防止層を備える、<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱交換器。
に記載の熱交換器。
<7> 前記被覆シートの前記熱融着性樹脂層及び前記耐熱性樹脂層の少なくとも一方が、熱媒体の流路の構成領域における一部又は全部に設けられていない、<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、十分な薄型化を図ることができ、設計の自由度が高く、且つ熱交換能が担保される熱交換器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一態様の熱交換器の外観を表す概略斜視図である。
図2図1におけるA-A’断面図である。
図3図1の熱交換器を部品ごとに分けた分解図である。
図4】熱交換器の変形例を説明する概略斜視図である。
図5】樹脂シートの変形例を説明する概略斜視図である。
図6】樹脂シートの変形例を説明する概略断面図である。
図7】被覆シートの層構成の例を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。但し、本開示の実施形態は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示の実施形態を制限するものではない。
【0012】
本開示における実施形態について図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、各図面において、実質的に同じ機能を有する部材には、全図面同じ符号を付与し、重複する説明は省略する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
【0013】
<熱交換器>
本開示の第一の形態の熱交換器は、熱媒体流入口及び熱媒体流出口を有する熱交換器であり、
熱媒体の流路を有し、前記流路を構成する面の一部が開放されている樹脂シートと、
前記流路の開放されている面を塞ぐように配置される被覆シートと、を備え、
前記被覆シートは、下記(1)又は(2)のいずれかを満たす、熱交換器。
(1)前記樹脂シート側から順に、熱融着性樹脂層と、伝熱層とを備え、前記熱融着性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
(2)前記樹脂シート側から順に、伝熱層と、耐熱性樹脂層とを備え、前記耐熱性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
【0014】
本開示の第二の形態の熱交換器は、熱媒体流入口及び熱媒体流出口を有する熱交換器であり、
熱媒体の流路が中空状に内部に形成されている樹脂シートと、
前記樹脂シートの少なくとも一方の面に配置される被覆シートと、を備え、
前記被覆シートは、下記(1)又は(2)のいずれかを満たす、熱交換器。
(1)前記樹脂シート側から順に、熱融着性樹脂層と、伝熱層とを備え、前記熱融着性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
(2)前記樹脂シート側から順に、伝熱層と、耐熱性樹脂層とを備え、前記耐熱性樹脂層は前記伝熱層の一部に設けられる。
【0015】
被覆シートは前記(1)を満たす場合に、前記伝熱層における前記熱融着性樹脂層とは反対面の一部又は全面に、さらに耐熱性樹脂層を備えてもよい。
また、被覆シートは前記(2)を満たす場合に、伝熱層における耐熱性樹脂層とは反対面の全面に、さらに熱融着性樹脂層を備えてもよい。
【0016】
本開示の熱交換器は、伝熱層の上に熱融着性樹脂層及び耐熱性樹脂層の少なくとも一方が設けられる被覆シートで構成されるため、従前の金属加工により作製されるヒートパイプ等に比べて、十分な薄型化を図ることができ、設計の自由度が高くなる。
そして、本開示の熱交換器は、熱融着性樹脂層及び耐熱性樹脂層の少なくとも一方が、伝熱層の一部に設けられる。熱融着性樹脂層及び耐熱性樹脂層を設ける位置は自由に設計でき、例えば、発熱体等の対象物品を搭載する位置、熱媒体の流路に対応する位置等を避けて、これらの位置以外に配置することができる。したがって、熱融着性樹脂層及び耐熱性樹脂層に起因する熱伝導性の低下が抑えられ、熱交換能が担保される。
【0017】
被覆シートの熱融着性樹脂層及び耐熱性樹脂層の少なくとも一方が、熱媒体の流路の構成領域における一部又は全部に設けられていないことが好ましく、この場合には、熱融着性樹脂層又は耐熱性樹脂層を介さずに発熱体等の対象物品から熱媒体まで熱移動させることができる。熱媒体の流路の構成領域における一部又は全部に熱融着性樹脂層及び耐熱性樹脂層の少なくとも一方が設けられていない熱交換器は、対象物品の形状及び設置位置に関わらず適用することができる。なお、「熱媒体の流路の構成領域」とは、熱交換器を厚み方向から観察したときに、熱媒体の流路が被覆シートの内部に配置されている領域をいう。
【0018】
なお、耐熱性樹脂層は伝熱層よりも外側に配置され、外部環境に対して保護機能を奏させることができる。耐熱性樹脂層は、例えば、耐候性、耐湿性、耐腐食性、耐薬性、耐傷性等の機能を有してもよい。耐熱性樹脂層とは、熱融着性樹脂層よりも融点が10℃以上高い樹脂層をいう。
熱融着性樹脂層は伝熱層よりも内側に配置され、樹脂シートを固定するのに用いることができる。樹脂シートを被覆シートの熱融着性樹脂層に融着させることで、樹脂シートを固定することができる。熱融着性樹脂層は、流路を流通する熱媒体に対する保護機能を奏させることもでき、熱媒体に対して耐腐食性、耐薬性、耐浸透性等の機能を有してもよい。
【0019】
以下、本開示の熱交換器について図面を参照して説明する。なお、本開示の実施形態は図面に記載の態様に限定されない。
【0020】
図1は、本開示の一態様の熱交換器100の外観を表す概略斜視図であり、図2図1におけるA-A’断面図であり、図3図1の熱交換器100を部品ごとに分けた分解図である。
図1~3に示される熱交換器100は、熱媒体Fの流入口10と流出口20とを有し、上側の被覆シート30A、樹脂シート40、及び下側の被覆シート30Bの順に配置されている。図1~3では、被覆シート30A、30Bは板状部材であるが、成形してもよい。例えば、下側の被覆シート30Bを張り出し成形、絞り成形等の成形を行って凹部を形成し、その凹部に樹脂シート40を配置してもよい。
なお、本開示では図面での上下に即して上及び下と表記するが、上下を逆にしてもよい。
【0021】
上側の被覆シート30Aには、熱媒体Fの流入口10としてのジョイントパイプ及び流出口20としてのジョイントパイプを貫通させるための穴が設けられている。ジョイントパイプは、射出成型等により成型されていてもよい。ジョイントパイプは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂又はそれらの変性樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル樹脂等で構成されてもよい。被覆シート30Aが熱融着性樹脂層を備える場合は、ジョイントパイプと被覆シート30Aとの接続部から熱媒体Fが漏れることを予防する観点から、ジョイントパイプは熱融着性樹脂層と同じ樹脂で構成されることが好ましい。これにより、接続部を熱接着により強固に封止することが可能となる。
【0022】
なお、図1~3の熱交換器100では、ジョイントパイプの向きが熱交換器100の厚み方向の上外側に延びているが、ジョイントパイプの向きはこれに限定されない。また、図1~3の熱交換器100では、流入口10のジョイントパイプと流出口20のジョイントパイプは、被覆シート30Aにおいて対角に配置されているが、樹脂シートの流路の始点及び終点の位置に応じて適宜配置される。
【0023】
被覆シート30Aは、熱交換器の内側から順に、熱融着性樹脂層32Aと、伝熱層31Aと、耐熱性樹脂層33Aとを備えている。熱融着性樹脂層32Aは伝熱層31Aの内側表面の全面に設けられ、耐熱性樹脂層33Aは、伝熱層31Aの外側表面の一部に設けられ、伝熱層31Aの外側表面には、耐熱性樹脂層33Aの未配置領域Sが存在する。図1図3では、耐熱性樹脂層33Aは被覆シート30Aの周辺部に設けられているが、耐熱性樹脂層33Aの配置位置は自由に変更することができる。また、被覆シート30Aの外側表面の全面積に対する耐熱性樹脂層33Aの未配置領域Sの占める割合は特に制限されず自由に設計することができる。未配置領域Sは、熱媒体Fの流路の構成領域における一部又は全部であることが好ましい。
【0024】
下側の被覆シート30Bは、熱交換器100の内側から順に、熱融着性樹脂層32Bと伝熱層31Bと耐熱性樹脂層33Bとを備える。図1図3では、熱融着性樹脂層32Bは伝熱層31Bの内側表面の全面に設けられ、耐熱性樹脂層33Bは伝熱層31Bの外側表面の全面に設けられている。
【0025】
被覆シート30Aと被覆シート30Bの間に、熱媒体Fの流路42を形成する樹脂シート40が配置される。図1~3では、樹脂シート40において刳り貫かれた領域が流路42を構成する。したがって、図1~3の樹脂シート40は、流路を構成する上面及び下面が開放されている。そして、開放された上面は上側の被覆シート30Aで塞がれ、下面は下側の被覆シート30Bで塞がれる。
【0026】
そして、被覆シート30A、樹脂シート40、及び被覆シート30Bの順に配置された状態で加熱することで、樹脂シート40を、被覆シート30Aの熱融着性樹脂層32A及び被覆シート30Bの熱融着性樹脂層32Bに熱融着することができる。
以下、被覆シート30A、30B、樹脂シート40等の詳細を説明する。
【0027】
下側の被覆シート30Aと上側の被覆シート30Bの材質は同じであっても異なっていてもよい。また、被覆シート30A、30Bと樹脂シート40の材質は同じであっても異なっていてもよい。
【0028】
伝熱層31A、31Bとしては、金属箔、グラファイトシート、セラミックスシート等が挙げられ、熱伝導性の観点から金属箔であることが好ましい。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔、ニッケル箔、チタン箔、ニッケルめっき加工した銅箔、ニッケル箔及び銅箔のクラッドメタル等が挙げられる。熱伝導性、コスト等の観点からは、アルミニウム箔及び銅箔が好ましく、アルミニウム箔がより好ましい。アルミニウムはアルミニウムを主成分としアルミニウム以外の金属等を含む合金であってもよい。
伝熱層31A、31Bは、それぞれ異なる材質であっても、同じ材質であってもよい。
【0029】
金属箔は熱処理を行ったものであっても、行っていないものであってもよい。また、後述の接着剤層との結合性、耐腐食性等の観点から、表面処理(下地層の形成)を行うことが好ましい。表面処理としては、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、ジルコニウム系化成処理等の化成処理、べーマイト処理などが挙げられる。表面処理層は、腐食防止層として設けられてもよい。
【0030】
伝熱層31A、31Bの厚みは、外部応力耐性、耐圧性を考慮し、それぞれ独立に、50μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましい。また、伝熱層31A、31Bの厚みは、軽量性、加工性を考慮し、それぞれ独立に、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。
【0031】
熱融着性樹脂層32A、32Bは、熱融着性を有する樹脂で構成される。熱融着性樹脂層32A、32Bの樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂又はそれらの変性樹脂、フッ素系樹脂、PET樹脂等のポリエステル系樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられ、耐薬性ヒートシール性を考慮するとポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムが好ましい。熱融着性樹脂層32A、32Bは、それぞれ異なる樹脂を用いても同じ樹脂を用いてもよい。
熱融着性樹脂層32A、32Bとして樹脂フィルムを用いてもよい。樹脂フィルムは延伸フィルムでも、無延伸フィルムでもよいが、溶融温度が低くシールしやすくなり、伝熱層31A、31Bとの接着性が良好となる観点から、無延伸フィルムであることが好ましい。
【0032】
熱融着性樹脂層32A、32Bの厚みは、それぞれ独立に、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。また、熱融着性樹脂層32A、32Bの厚みは、それぞれ独立に、80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。
【0033】
耐熱性樹脂層33A、33Bは、熱融着性樹脂層32A、32Bより融点が高い樹脂を用いることが好ましく、特に融点が10℃以上高い樹脂を使用することがより好ましい。耐熱性樹脂層33A、33Bの樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂等が挙げられる。耐熱性樹脂層33A、33Bとして樹脂フィルムを用いてもよい。
耐熱性樹脂層33A、33Bとして樹脂フィルムを用いてもよい。樹脂フィルムは延伸フィルムでも、無延伸フィルムでもよいが、融点が高く、耐電解液性に強い延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0034】
耐熱性樹脂層33A、33Bの厚みは、それぞれ独立に、9μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、耐熱性樹脂層33A、33Bの厚みは、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
【0035】
伝熱層31Aと熱融着性樹脂層32Aとの間、及び伝熱層31Aと耐熱性樹脂層33Aに他の層(図示せず)が設けられてもよく、設けられなくてもよい。他の層としては、接着剤層、絶縁層等が挙げられる。
【0036】
接着剤層は、熱融着性樹脂層32A及び耐熱性樹脂層33Aが配置される領域に設けることが好ましい。接着剤層に用いる接着剤としては、2液硬化型ウレタン系接着剤、オレフィン系接着剤等が挙げられる。
接着剤層の厚みは、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。また、接着剤層の厚みは、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましい。
【0037】
絶縁層は、伝熱層31A、31Bの少なくとも一部の表面に設けられ、全面に設けられてもよい。
絶縁層は、絶縁性を有する樹脂で構成されればよく、絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリセルロース等が挙げられ、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂が好ましい。
絶縁層の厚みは、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。また、絶縁層の厚みは、2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。
【0038】
同様に、伝熱層31Bと熱融着性樹脂層32Bとの間、及び伝熱層31Bと耐熱性樹脂層33Bとの間、にも他の層を設けてもよい。他の層の種類及び配置位置は上述のとおりである。
【0039】
被覆シートの最外層として被覆層(図示せず)を設けてもよい。被覆層は、保護層、絶縁層、導電層等として設けてもよい。保護層としての被覆層は、外部環境(光、湿度等)からの影響を抑えることができる。絶縁層としての被覆層は、対象物品である電気機器等と熱交換器とを絶縁することができる。導電層としての被覆層は、帯電を防止することができる。
被覆層の厚みは特に限定されないが、樹脂層と同程度、又は樹脂層よりも薄く設定することが好ましい。例えば、被覆層が絶縁層の場合には、当該被覆層の厚みは、0.1μm~5μmが好ましい。
【0040】
被覆シート30A、30Bの好適な層構成の例は次のとおりである。
外側から順に、耐熱性樹脂層33A、33B/接着剤層/絶縁層/伝熱層31A、31B/接着剤層/熱融着性樹脂層32A、32B
外側から順に、耐熱性樹脂層33A、33B/接着剤層/絶縁層/表面処理層(腐食防止層等)/伝熱層31A、31B/表面処理層(腐食防止層等)/接着剤層/熱融着性樹脂層32A、32B
外側から順に、耐熱性樹脂層33A、33B/接着剤層/表面処理層(腐食防止層等)/伝熱層31A、31B/表面処理層(腐食防止層等)/接着剤層/熱融着性樹脂層32A、32B
【0041】
被覆シートの総厚みは特に制限されない。強度及び熱伝導性の観点からは、被覆シートの総厚みは80μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、120μm以上であることがさらに好ましい。薄型化及び変形性の観点からは、被覆シートの総厚みは300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。かかる観点からは、被覆シートの総厚みは、80μm~300μmであることが好ましく、100μm~250μmであることがより好ましく、120μm~200μmであることがさらに好ましい。
【0042】
樹脂シート40の樹脂としては、熱融着性樹脂層32A、32Bで挙げたものと同様のものを適用することができる。
樹脂シート40を被覆シート30A、30Bに熱融着させる観点からは、樹脂シート40と、被覆シート30A、30Bの熱融着性樹脂層32A、32Bとは同種の材質であることが好ましく、共にポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
【0043】
樹脂シート40の総厚みは特に制限されず、流路の所望の大きさに応じて適宜設定することができる。流路の大きさを確保する観点からは、被覆シートの厚みは80μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。薄型化の観点からは、被覆シートの厚みは2000μm以下であることが好ましく、1500μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましい。
【0044】
図4は、熱交換器の変形例を説明する概略斜視図である。図4の熱交換器110では、熱媒体Fの流路42に沿って耐熱性樹脂層33Aの未配置領域Sを設け、耐熱性樹脂層33Aを配置しないようにしている。耐熱性樹脂層33Aは熱媒体Fの流路42の一部に重なって配置されていてもよい。耐熱性樹脂層33Aの配置位置が異なる以外は、図1~3の熱交換器100を参照できる。
【0045】
図5は、樹脂シートの変形例を説明する概略斜視図である。図5の樹脂シート40では溝が形成され、この溝が流路42となる。図5の樹脂シート40は流路42の上面が開放されているため、流路42の上面を塞ぐように被覆シート30Aが配置される。この場合、被覆シート30Bは配置しなくてもよいし、配置してもよい。
【0046】
図6は、樹脂シートの変形例を説明する概略断面図である。図6の断面図は、図1のA-A’断面図と同じ面を観察したときの図である。
樹脂シート40では、熱媒体Fの流路42が中空状に樹脂シート40の内部に形成されている。図6の樹脂シート40を用いる場合、上側の被覆シート30A及び下側の被覆シート30Bの少なくとも一方が配置される。
【0047】
図7は、被覆シート30Aの層構成の例を説明する概略断面図である。
図7(A)は、図1~4の熱交換器で用いた被覆シート30Aであり、熱融着性樹脂層32Aは伝熱層31Aの内側表面の全面に設けられ、耐熱性樹脂層33Aは伝熱層31Aの外側表面の一部に設けられている。図6(A)の被覆シート30Aは、冷却効率を高めながら、耐食性、耐薬性等に加えてシール性に優れることから耐圧性に対しても優れる。
【0048】
図7(B)の被覆シート30Aは、伝熱層31Aの内側表面に熱融着性樹脂層32Aを設けず、耐熱性樹脂層33Aが伝熱層31Aの外側表面の一部に設けられている。樹脂シート40を被覆シート30Aに融着せずともよい場合には、熱融着性樹脂層32Aを省略できる。なお、樹脂シート40を被覆シート30Aに融着しない場合であっても、熱媒体Fに対しての耐性等の観点から、熱融着性樹脂層32Aを設けてもよい。図7(B)の被覆シート30Aは、熱融着性樹脂層32Aを介さずに熱媒体Fと熱交換できるため冷却効率をより高くできる。また、図7(B)の被覆シート30Aは熱融着性樹脂層32Aを設けないため、製造コストを削減しやすい。
【0049】
図7(C)の被覆シート30Aは、熱融着性樹脂層32Aは伝熱層31Aの内側表面の一部に設けられ、耐熱性樹脂層33Aも伝熱層31Aの外側表面の一部に設けられている。図7(C)の被覆シート30Aは、冷却効率を高めながら、所定の箇所には熱融着性樹脂層32Aが配置されているため、熱媒体Fに対して耐腐食性、耐薬性、耐浸透性等が奏されやすい。また、熱融着性樹脂層32Aを樹脂シート40と融着させて樹脂シート40の位置を固定することもできる。そして、所定の箇所に耐熱性樹脂層33Aが配置されているため、外部環境に対して保護されやすい。
【0050】
図7(D)の被覆シート30Aは、伝熱層31Aの外側表面に耐熱性樹脂層33Aを設けず、熱融着性樹脂層32Aが伝熱層31Aの内側表面の一部に設けられている。熱伝導性が高く求められる用途では、耐熱性樹脂層33Aを省略してもよい。また、例えば、熱交換器が外部環境からの影響が少ない場所に設置される場合には、耐熱性樹脂層33Aを省略することもできる。図7(D)の被覆シート30Aは、耐熱性樹脂層33Aを介さずに熱媒体Fと熱交換できるため冷却効率をより高くできる。また、図7(D)の被覆シート30Aは耐熱性樹脂層33Aを設けないため、製造コストを削減しやすい。
【0051】
図7(E)の被覆シート30Aは、伝熱層31Aの外側表面の全面に耐熱性樹脂層33Aを設け、熱融着性樹脂層32Aが伝熱層31Aの内側表面の一部に設けられている。絶縁性が求められる用途では、耐熱性樹脂層33Aを全面に配置することが好ましい。図7(E)の被覆シート30Aは、冷却効率を高めながら、外側表面の全面に耐熱性樹脂層33Aが設けられるため、セル間に配置することでセル同士の絶縁性に対しても効果が期待できる。
【0052】
図7(A)~(C)における耐熱性樹脂層33Aの配置位置は、図1~4の熱交換器で説明したとおり、任意であり、適宜設計することができる。図7(C)~(E)における熱融着性樹脂層32Aの配置位置も任意であり、適宜設計することができる。例えば、熱融着性樹脂層32Aは、流路42の位置に合わせて配置してもよい。
【0053】
図7(A)~(E)は上側の被覆シート30Aとして説明したが、下側の被覆シート30Bも図7(A)~(E)の層構成としてもよい。
【0054】
被覆シートは、上記の形態を形成できればいずれの方法で製造してもよい。例えば、(1)の被覆シートの製造方法としては、伝熱層の一方の面の一部に接着剤を付与し、前記接着剤を付与した面の全面に熱融着性樹脂層を形成し、前記接着剤を付与していない領域における前記熱融着性樹脂層を除去する方法が挙げられる。また、(2)の被覆シートの製造方法としては、伝熱層の一方の面の一部に接着剤を付与し、前記接着剤を付与した面の全面に耐熱性樹脂層を形成し、前記接着剤を付与していない領域における前記耐熱性樹脂層を除去する方法が挙げられる。
【0055】
伝熱層上の熱融着性樹脂層又は耐熱性樹脂層の一部を除去する方法としては、レーザー、カッター刃等により熱融着性樹脂層又は耐熱性樹脂層に切り込みを入れ、そして、接着剤を付与していない領域の熱融着性樹脂層又は耐熱性樹脂層を除去する方法が挙げられる。
【0056】
本開示の熱交換器は、発熱体の冷却に広く利用可能であり、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピューター等の電子機器、電気自動車、ハイブリッド車等に搭載される電池モジュール、パワー半導体モジュールなどの冷却に有効である。
また、本開示の熱交換器は、対象物品の加温にも利用可能である。例えば、寒冷地等で充放電効率を高めるための電池の加温システムとして本開示の熱交換器を用いることができる。
【実施例0057】
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
<実施例1>
(被覆シートAの作製)
厚さ120μmのアルミニウム箔(A8079アルミニウム箔)の両面に、ポリアクリル酸、三価クロム化合物、水及びアルコールからなる化成処理液を塗布し、150℃で乾燥を行うことによって、アルミニウム箔の両面に化成皮膜を形成した。この化成皮膜によるクロム付着量は、片面当たり5mg/mであった。
化成皮膜を形成したアルミニウム箔とポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)をポリウレタン系接着剤(塗布厚さ3μm)を介して貼り合わせ、50℃で3日間養生した。その際、後の工程においてPETフィルムを除去する予定の領域には接着剤を付与しないように、パターンコートにより接着剤を塗工した。
【0059】
アルミニウム箔におけるPETフィルムとは反対面に、酸変性ポリプロピレン系接着剤(塗布厚さ3μm)を介してグラビアロールを使用して無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚さ40μm)を貼り合わせ、40℃で3日間養生した。
これにより、PETフィルム/接着剤層/化成皮膜/アルミニウム箔/化成皮膜/接着剤層/CPPフィルムの積層体を得た。
【0060】
得られた積層体において、接着剤を塗工していない領域に配置されているPETフィルムをカッターを使って、60mm×120mmの面積を切り取り、PETフィルムの未配置領域を形成した。PETフィルムの未配置領域は、化成皮膜/アルミニウム箔/化成皮膜/接着剤層/CPPフィルムの積層構造となっている。
そして、PETフィルムの未配置領域が中央位置になるように配置し、幅80mm、長さ200mmにトリミング加工した。幅方向の中央部で、且つ長さ方向の端から21mmの位置の両端にヘッダー及びフッターノズル用の14mmφの穴をあけ、板状の被覆シートを得た。
【0061】
(被覆シートBの作製)
上述の被覆シートAと同様の方法で、但し、PETフィルム側のアルミニウム箔の表面には、ポリウレタン系接着剤を全面に塗工して、PETフィルム/接着剤層/化成皮膜/アルミニウム箔/化成皮膜/接着剤層/CPPフィルムの積層体を得た。そして、ヘッダー及びフッターノズル用の14mmφの穴を開けずに、被覆シートBとした。
【0062】
(樹脂シートの作製)
幅80mm、長さ200mm、厚さ200μmのポリプロピレン(PP)シートを準備し、8mm幅の流路を刳り貫いた。流路はシートの長さ方向の一方の端部から4mm内側の位置から他方の端部に向けて延び、2回曲げて一往復半させた。流路の延びる方向についての概略は図3を参照できる。
【0063】
(熱交換器の作製)
被覆シートBのCPPフィルム側に樹脂シートを配置した。
被覆シートAの2つの穴にPP製のノズルを挿入した。樹脂シートの流路の端部にノズルが配置されるように、被覆シートAを樹脂シートの上に配置し、被覆シートB/樹脂シート/被覆シートAの順に重ねた。被覆シートA及び被覆シートBは、それぞれのCPPフィルム側が樹脂シートに接するようにした。
この状態で、170℃に熱した熱板によって上下から0.2MPaの圧力で7秒間加熱し、被覆シートBと樹脂シートと被覆シートAとをヒートシールし、熱交換器を作製した。
【0064】
<実施例2>
実施例1では、PETフィルムを60mm×120mmの面積で一部切り取ってPETフィルムの未配置領域を形成した。これに対して実施例2では、PETフィルムは一方の面の全面に配置し、他方の面のCPPフィルムについて60mm×120mmの面積で一部切り取ってCPPフィルムの未配置領域を形成した。CPPフィルムの未配置領域には、予め酸変性ポリプロピレン系接着剤を付与しないようにした。CPPフィルムの未配置領域は、PETフィルム/接着剤層/化成皮膜/アルミニウム箔/化成皮膜の積層構造となっている。その他は実施例1と同様の方法で、実施例2の熱交換器を作製した。
【0065】
<比較例1>
実施例1と同様の方法で、但し、被覆シートAの作製において、アルミニウム箔の全面にポリウレタン系接着剤を塗工し、PETフィルムを除去せずに、比較例1の熱交換器を作製した。
【0066】
<熱交換性能の評価>
発熱体を想定して、厚さ20mm、幅60mm、横120mmのアルミブロックを準備した。アルミブロックを高温槽で80℃に加熱した後、熱交換器の長さ方向の中央部付近に熱交換器の最外面に接触させて設置した。そして、恒温恒湿試験機の試験機内を25℃、90%RHの雰囲気に設定し、その中に熱交換器を垂直に設置した。
熱交換器に20℃の水道水を流量0.1L/minの速度で流し、アルミブロックの表面温度を中心部(幅30mm、横60mmの部分)において所定時間毎に測定した。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例1及び2は比較例1に比べて、アルミブロックの表面温度の低下速度が速く、熱交換性能が向上していた。
【符号の説明】
【0069】
F 熱媒体
S 耐熱性樹脂層の未配置領域
10 熱媒体の流入口
20 熱媒体の流出口
30A、30B 被覆シート
31A、31B 伝熱層
32A、32B 熱融着性樹脂層
33A、33B 耐熱性樹脂層
40 樹脂シート
42 流路
100、110 熱交換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7